JP2015190938A - 接触式内部温度計 - Google Patents
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Abstract
【課題】接触式内部温度計において、測定対象物の表面とプローブとを確実に接触させやすくし、測定誤差の発生を抑制する。【解決手段】測定対象物の被測定面に接触する第1のプローブ30と第2のプローブ31と、少なくとも第1のプローブ30と第2のプローブ31の配置方向の外側両側において測定面側に突きだす突出し部23と、第1のプローブ30と熱的に結合される第1の温度センサと、第2のプローブ31と熱的に結合される第2の温度センサと、少なくとも第1の温度センサ30及び第2の温度センサ31により検出される温度に基いて測定対象物の内部温度を算出するコントローラと、を有する接触式内部温度計100。【選択図】図2
Description
本発明は、接触式内部温度計に関する。
測定対象物の内部温度を迅速・正確かつ簡便(すなわち、非侵襲)に測定する要求がある。例えば、測定対象物として人体を含む生体の体温測定において、体の内部温度(深部体温などと称されることもある)は、血流により概ね恒温に保たれていると考えられ、周囲の気温等の環境に左右されにくいため、生体の状態をより正確に示すと考えられるからである。
このような内部温度を測定するものとして、測定対象物表面に接触する第1の温度センサと、第1の温度センサに対し断熱材を挟んで配置される第2の温度センサからなるセンサの組を少なくとも二組備え、各組を通過する熱流束の大きさが異なるものとなるよう工夫された内部温度計が提案されている。このような内部温度計では、定常状態における各温度センサにおける温度測定結果から連立熱伝導方程式を解き、内部温度を求める。
例えば、特許文献1には、それぞれのセンサの組における断熱材の熱抵抗値を異なるものとした体温計が開示されている。
上述の内部温度計は、各温度センサを通過する熱の流路における熱抵抗の差異を利用して内部温度を求めるため、精度のよい測定のためには、各流路における熱抵抗の値が測定毎に変動することなく一定であることが望まれる。ここで、接触式の温度計においては、測定対象物の表面と温度計のプローブを接触させて熱流路を形成するが、このとき、測定対象物の表面とプローブ間の熱抵抗はその接触圧による影響を受け変動しやすい。特に、接触時の熱抵抗は、接触圧が小さい場合に大きく変動するため、温度計のプローブと対象物の表面との接触が不十分である場合に、測定誤差が無視できないものとなる恐れがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、接触式内部温度計において、測定対象物の表面とプローブとを確実に接触させやすくし、測定誤差の発生を抑制することである。
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下のとおりである。
(1)測定対象物の被測定面に接触する第1のプローブ及び第2のプローブと、少なくとも前記第1のプローブ及び前記第2のプローブの配置方向の外側両側において測定面側に突き出す突出し部と、前記第1のプローブと熱的に結合される第1の温度センサ及び、前記第2のプローブと熱的に結合される第2の温度センサと、少なくとも前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサにより検出される温度に基いて測定対象物の内部温度を算出するコントローラと、を有する接触式内部温度計。
(2)(1)において、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブと、前記突出し部は相対的な動きが許容される接触式内部温度計。
(3)(2)において、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブは、前記突出し部に対し弾性的に支持される接触式内部温度計。
(4)(2)において、前記突出し部は、弾性材料により形成される接触式内部温度計。
(5)(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記突出し部は、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブを全周にわたり囲繞する接触式内部温度計。
上記(1)の側面によれば、接触式内部温度計において、測定対象物の表面とプローブとを確実に接触させやすくし、測定誤差の発生を抑制することができる。
上記(2)〜(4)の側面によれば、測定対象物の表面とプローブとをさらに確実に接触させやすくし、測定誤差の発生を一層抑制することができる。
上記(5)の側面によれば、プローブの配置方向以外の方向についての傾きについても測定対象物の表面とプローブとを確実に接触させやすくし、測定誤差の発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る接触式内部温度計100を背面側から見た外観図、図2は同実施形態に係る接触式内部温度計100を測定面側から見た外観図である。なお、本明細書にて接触式内部温度計とは、温度計であって、測定対象表面に接触させることにより内部温度を測定する温度計を意味している。また、内部温度とは、測定対象の表面温度でなく、その内部であって、実質的に恒温熱源と考えられる部位の温度を意味している。ここで、実質的に恒温熱源と考えられるとは、測定対象内部の熱容量が大きい場合や、測定対象内部に常に熱が供給される結果、接触式内部温度計による測定がその温度に実用上の影響を及ぼさないと考えられることを意味している。たとえば、測定対象が生体である場合には、血流により体幹より常に熱が供給されることとなるので、後者に該当する。
本実施形態で示す接触式内部温度計100は、図示の通り携帯式であり、ケース1の先端から側方に突き出すように測定ヘッド2が設けられており、その先端にはおおむね平坦な測定面20が設けられる。そして、かかる測定面20を測定対象物の被測定面、例えば皮膚に押し付けることによりその内部温度を計測する。図2より見て取れるように、測定ヘッド2の先端面は凹状に窪んでおり、その内部の空間に可動ヘッド22が収容されている。可動ヘッド22の先端面が測定面20となっており、かかる表面には、略円形の第1のプローブ30及び第2のプローブ31が接触式内部温度計100の長手方向に沿って直列に配置されている。なお、これら第1のプローブ30及び第2のプローブ31の配置は任意であり、その配置方向は必ずしも接触式内部温度計100の長手方向に沿ったものでなくともよい。測定ヘッド2の先端部は、第1のプローブ30及び第2のプローブ31を囲繞するように配置されたリング状の突出し部23となっている。
ケース1の測定面20の反対側の面である背面10には、ランプ11、表示部12、ブザー13が設けられている。以降、本明細書では、測定面20が向く方向を測定面側、その反対方向である背面が向く方向を背面側と称する。また、ケース1は長く伸び丸みを帯びた形状をしており、使用者が手に持つグリップ14を形成している。図2に見られるように、ケース1のグリップ14の測定面側には電池蓋15が設けられ、内部に接触式内部温度計100の電源となる電池を収容するようになっている。また、ケース1の適宜の位置、ここでは図2に示した位置に吸気穴16が、測定ヘッド2の側面に排気穴21が設けられ、それぞれの内部空間が外気と連通するようになされている。
なお、図1及び図2に示した接触式内部温度計100のデザインは一例である。かかるデザインは、その主たる用途や市場性等を考慮の上適宜変更して差し支えない。また、各構成部品の配置は、その機能を損なわない範囲で任意に選択してよい。
図3は、図1のIII−III線による接触式内部温度計100の概略断面図である。ケース1は、好ましくはABS樹脂等任意の合成樹脂製の中空の成形品であり、接触式内部温度計100を構成する各種部品をその内部に一体に収容する。グリップ14内には、電池4及び回路基板5が収容されている。回路基板5上には、その上にコントローラ50、不揮発性メモリ51を始めとする各種の電子部品が実装されており、電池4からの電力供給を受けて、電力を必要とする全ての部品への電力を供給するとともにその動作を制御している。電池4は、図示のものは市販の単4型(米国ではAAAと称される)乾電池であるが、その形式は任意のものであってよく、ボタン型、角型等の形状や、1次電池・2次電池の別も任意であってよい。なお、各部品と回路基板5とを電気的に接続する配線は、図示が煩雑となるため省略している。また、コントローラ50は、適宜の情報処理装置であり、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等からなるコンピュータ、いわゆるマイクロコントローラ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Prgrammable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)等を用いてよい。
ランプ11は、好ましくは多色発光可能な発光ダイオードであり、接触式内部温度計100の状態を使用者に通知するために点灯するものである。表示部12は、本実施形態では液晶表示装置であり、接触式内部温度計100の測定結果を図1に示すような態様で使用者に通知するためのものである。もちろん、表示部12にはこのほかにも任意の情報、例えば、電池4の残量等を表示するようにしてよい。あるいは、接触式内部温度計100の状態を併せて表示するようにして、ランプ11を省略してもよい。ブザー13は、本実施形態では一般的な電子ブザーであり、ビープ音により接触式内部温度計100の状態を使用者に通知するためのものである。なお、ブザー13の形式も又任意であり、スピーカを備えるようにして、音声あるいはメロディ等による通知をするようにしてもよい。あるいは、ランプ11及び/又は表示部12による通知のみとして、ブザー13を省略してもよい。
また、ケース1内部には隔壁18が設けられており、ケース1内部をグリップ空間19aとヘッド空間19bとに仕切っている。隔壁18には開口が設けられており、かかる開口を塞ぐようにブロア7が取り付けられている。ブロア7の機能については後述する。
可動ヘッド22は、本実施形態では、弾性接続部材3を介して測定ヘッド2に対して若干の動きが許容されるように弾性的に支持されている。弾性接続部材3の構造や材料には特に限定はないが、例えば、本実施形態ではシリコンゴム等の弾性変形可能な部材で測定ヘッド2と可動ヘッド22を接続することにより、可動ヘッド22を弾性的に支持している。これ以外にも、例えば可動ヘッド22をバネにより付勢する構造を採用してもよい。測定ヘッド2の先端部分は、可動ヘッド22を囲繞するリング状の突出し部23となっており、突出し部23の高さ(すなわち、測定面20の法線方向の位置)は、おおむね測定面20と等しいかやや異なる程度とされている。
また、可動ヘッド22は、形状が安定しており、熱伝導率が低く、かつ比熱の小さい材質で形成することが好ましく、例えば、硬質発泡ウレタンや硬質発泡塩化ビニルが好適に用いられる。しかしながら、この点についても実用上の問題がなければ材質は特に限定されるものでなく、任意でよい。さらに、弾性接続部材3を省略し、測定ヘッド2と可動ヘッド22を一体に作成してもよい。
可動ヘッド22の測定面20には第1のプローブ30及び第2のプローブ31に対応する位置に開口が設けられており、各プローブが測定面20からわずかに突出するように取り付けられている。そのため、測定面20を被測定面に押し付けると、第1のプローブ30と、第2のプローブ31がそれぞれ被測定面に接触し、両者の間で熱の授受が行われる。各プローブは、熱伝導率の高い材質であることが好ましく、本実施形態では金属製である。さらに、第1のプローブ30及び第2のプローブ31の材質は耐腐食性を備えていることが好ましく、金属材料では、アルミニウムやステンレスが好適である。なお、上述の通り、可動ヘッド22自体は熱伝導率が低い材質から構成されるため、第1のプローブ30及び第2のプローブ31は、互いに熱的に隔離されることとなる。
第1のプローブ30の背面側の面には、第1の温度センサ32が設けられており、両者は互いに熱的に結合している。また、第2のプローブ31の背面側の面には、第2の温度センサ33が設けられており、両者は互いに熱的に結合している。また、第1の温度センサ32、第2の温度センサ33から離れた背面側の任意の位置に、周囲の温度を測定する環境温度センサ34が設けられる。環境温度センサ34の支持構造は図3には示されていないが、これは任意の構造を用いてよい。例えば、ケース1に梁などの適宜の構造を設け、環境温度センサ34を固定するようにしてもよいし、第1の温度センサ32及び/又は第2の温度センサ33が実装されるFPCの適宜の位置に環境温度センサ34を実装することにより、環境温度センサ34がヘッド空間19b内の適当な位置に配置されるようにしてもよい。ヘッド空間19bは、接触式内部温度計100の外部の光(外光)や気流(外部気流)を遮蔽する遮蔽空間であり、第1の温度センサ32、第2の温度センサ33及び環境温度センサ34は共通の遮蔽空間であるヘッド空間19b内に配置される。
そして、測定ヘッド2を測定対象物に押し付けると、可動ヘッド22の測定面20が測定対象物の表面に密着し、その熱は第1のプローブ30及び第2のプローブ31に伝達される。第1のプローブ30に伝達された熱は、第1の温度センサ32へと伝わり、さらにヘッド空間19b内に放散される。また、第2のプローブ31に伝達された熱は、第2の温度センサ33へと伝わり、ヘッド空間19b内に放散されることになる。
なお、各温度センサにはどのようなものを用いてもよいが、本実施形態ではサーミスタを用いている。それぞれの温度センサは、回路基板5に図示しない配線、本実施形態ではFPCにより接続されており、コントローラ50により各温度センサにおける温度を検知できるようになっている。
ここで、第1の温度センサ32からヘッド空間19b内への熱伝達時における熱抵抗と、第2の温度センサ33からヘッド空間19b内への熱伝達時における熱抵抗は異なるものとなっている。したがって、この2つの熱抵抗の比の値は当然に1でない。第1の温度センサ32からの放熱時の熱抵抗と、第2の温度センサ33からの放熱時における熱抵抗を異ならしめる構造は特に限定されないが、第1の温度センサ32と第2の温度センサ33のいずれか片方に適宜の放熱構造、例えば、放熱板を取り付けたり、適宜の断熱構造、例えば、断熱材を取り付けたりする構造を採用してよい。又は、第1の温度センサ32と第2の温度センサ33の両方に互いに形状の異なる放熱構造又は断熱構造を設け、或いは、第1の温度センサ32と第2の温度センサ33のいずれか片方に放熱構造を設け、他方に断熱構造を設けてよい。
ここで、本実施形態の接触式内部温度計100による内部温度の測定原理を図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る接触式内部温度計100の可動ヘッド22に設けられた測定部の等価熱回路を示す図である。同図を図3を参照しつつ説明すると、TBは測定対象の内部温度、T1は第1の温度センサ32の温度、T2は第2の温度センサ33の温度、Teは環境温度センサ34の温度である。また、熱抵抗RBは測定対象の内部の恒温熱源から第1のプローブ30及び第2のプローブ31を通って第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33に熱が伝わる際の熱抵抗である。また、Teは環境温度センサ34の温度であり、第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33の周囲の環境の温度を示している。熱抵抗R1は第1の温度センサ32から周囲の環境へと熱が放散される際の熱抵抗、熱抵抗R2は第2の温度センサ33から周囲の環境へと熱が放散される際の熱抵抗である。また、TB>T1>Te及び、TB>T2>Teが成立している。
ここで、図に示した系が定常状態にある場合を考えると、TBよりT1へと流れる熱流束は一定であるから、次式が成立する。
ここで、上述の測定においては、測定対象の内部の恒温熱源から第1のプローブ30及び第2のプローブ31に熱が伝わる際の熱抵抗RBが等しいものとして内部温度TBを求めている。しかしながら、測定面20を測定対象物の表面に押し当てた際に、第1のプローブ30と第2のプローブ31における接触圧が異なると、特に接触圧が小さい側のプローブにおいて実質的な熱抵抗が大きなものとなり、測定誤差を生じる原因となる。そこで、本実施形態では、第1のプローブ30と第2のプローブ31を囲繞する突出し部23を設けることにより、両プローブ間における接触圧の差が生じにくい構造としている。
このことについて、図5及び図6を用いて説明する。図5は、突出し部23が設けられていない場合における測定対象物と第1のプローブ30及び第2のプローブ31との接触状態を示す図、図6は本実施形態における測定対象物と第1のプローブ30及び第2のプローブ31との接触状態を示す図である。
図5に示すように、突出し部23が設けられていない測定ヘッド2を測定対象面101、ここでは生体の皮膚に押し付けた際に測定面20が測定対象面101に対し傾いていると、例えば図示のように、第1のプローブ30は測定対象面101に強く密着するのに対し、第2のプローブ31は測定対象面101から半ば浮き上がるか、その接触圧が低い状態となってしまい、第1のプローブ30及び第2のプローブ31に熱が伝わる際の熱抵抗が異なるものとなる可能性が高い。
これに対し、図6に示す本実施形態のように、突出し部23が設けられている測定ヘッド2を測定対象面101に押し付けると、突出し部23により測定対象面101が強く圧迫される結果、突出し部23に囲まれる領域Aにおいて測定対象面101が変形し、おおむね突出し部23の先端面と平行となる。そのため、領域Aにおいては測定対象面101と測定面20は略平行となる。さらに加えて、可動ヘッド22は弾性接続部材3により測定ヘッド2に対し若干の動きが許容されるように弾性的に支持されているため、測定面20と測定対象面101は均一に密着し、第1のプローブ30及び第2のプローブ31に熱が伝わる際の熱抵抗は実質的に等しいものとなる。
なお、ここで突出し部23の先端面とは、突出し部23の最も先端側、すなわち測定面側となる部分を含むような平面を意味している。本実施形態では、突出し部23の最も測定面側となる部分は円形となるので、その先端面は、かかる円を含む面である。
また、図6に示したように、測定対象面101に突出し部23を押しつけた結果、領域Aにおいて測定対象面101は測定面20側に盛り上がるように変形する。この変形の程度は想定される測定対象面101の柔らかさに依存するので、測定面20の突出し部23に対する高さは、この変形の度合いに応じて、適正な接触圧が得られるように定めてよい。本実施形態では、おおむね測定面20と突出し部23の高さは一致しているが、測定面20を突出し部23に対し突出すように設けてもよいし、測定面20が突出し部23に対し引っ込むように設けてもよい。
なお、以上説明したように、突出し部23は測定ヘッド2を測定対象面101に押し付けた際に、突出し部23に囲まれる領域を測定面20に倣うように変形させ、第1のプローブ30及び第2のプローブ31間の接触圧の差異を小さくする目的で設けられる。したがって、突出し部23は必ずしも連続的に切れ目のないリング状である必要はなく、第1のプローブ30及び第2のプローブ31の配置方向の外側両側において測定面側に突出していればよいことになる。図7は、突出し部23を第1のプローブ30及び第2のプローブ31の配置方向の外側両側にのみ設けた場合の接触式内部温度計100の変形例を測定面側から見た外観図である。尤も、突出し部23を測定面20の全周にわたり設けると、第1のプローブ30及び第2のプローブ31の配置方向以外の方向についての傾きについても突出し部23に囲まれる領域を測定面20に倣うように変形させることができるのでより好ましい。
また、さらなる変形例として、図8に示す構造を用いてもよい。図8は、接触式内部温度計100のさらなる変形例を示す測定ヘッド2部分の概略断面図である。この変形例では、測定面20は先の例における可動ヘッド22ではなく、測定ヘッド2の一部として設けられる。そして、測定面20の外周には段24が設けられ、測定面20より背面側に位置する面が設けられる。さらに、段24の面に、測定面20を囲繞するように、測定ヘッド2とは別部材として突出し部23が設けられる。
ここで、突出し部23は、弾性変形可能な材料、例えばシリコンゴムにより作成されることが望ましい。突出し部23が弾性変形可能であると、測定ヘッド2を測定対象面に押し付けると、背面方向に若干変形する。これにより、測定対象面と測定面20との適正な接触圧が得られる。この場合において、突出し部23の高さ方向の寸法とその硬度は、想定される測定対象面の性状に応じて測定面20との適正な接触圧が得られるように定められる。
続いて、本実施形態に係る接触式内部温度計100を用いて内部温度を測定する手順を必要に応じて図1〜4を参照して説明する。
手順1:熱抵抗R1と熱抵抗R2の比Kを求め、熱抵抗比記憶部である不揮発性メモリ51に記憶させる。比Kは、例えば恒温槽内で第1のプローブ30及び第2のプローブ31を温度のわかっている恒温熱源に接触させる等して、温度T1、T2及びTeを実際に測定することにより、上述の数1及び数2より容易に求めることができる。なお、不揮発性メモリ51に記憶される値は、比Kそのものであっても、熱抵抗R1及びR2であってもよい(熱抵抗R1及びR2を記憶することは、比Kを記憶することに等しい)。この手順は接触式内部温度計100の製造後1度だけ実施すればよいものなので、例えば出荷前に工場において実施しておくとよい。接触式内部温度計100の使用者は、個々の測定にあたってはこの手順1を実行する必要はなく、次の手順2以降を実行すればよい。
手順2:接触式内部温度計100の測定面20を測定対象物に接触させ、測定を開始する。なお、この測定の開始は、第1の温度センサ32又は第2の温度センサ33により測定される温度の上昇を検知することにより自動的に行ってもよいし、図示しない押ボタン等のスイッチを使用者が操作することにより行ってもよい。このとき、コントローラ50はブザー13によるビープ音により測定を開始したことを使用者に通知する。同時に、ランプ11を任意の色、例えば赤色に点灯し、使用者に測定面20を測定対象物に接触させたまま維持するよう促す。
手順3:ヘッド空間19bを換気する。コントローラ50は、測定開始後、ブロア7を作動させ、ヘッド空間19bの換気を行う。これは、測定対象物から伝わった熱により、第1の温度センサ32又は第2の温度センサ33の周囲の温度が局所的に上昇して互いに異なるものとなったり、環境温度センサ34の温度Teと異なるものとなったりすることにより誤差が生じるのを防止するためである。
本実施形態では、ブロア7は図1のグリップ空間19aからヘッド空間19bへと流れる気流を強制的に発生させる。そのため、ブロア7により誘起される空気の流れは、図中矢印に示すように、吸気穴16から吸い込まれ、ブロア7を通過し、第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33の近傍を通過して排気穴21から排出されるものとなる。従って、本実施形態のブロア7、吸気穴16及び排気穴21は協働してヘッド空間19bを換気する換気機構を構成することになる。
なお、換気機構の構成はどのようなものであってもよく、ブロア7、吸気穴16及び排気穴21の配置は任意である。また、吸排気の向きを逆にしてもよい。また、ブロア7の形式は特に限定されず、一般的なファンであってもよいし、圧電素子を利用したマイクロブロアであってもよい。あるいは、自然対流による換気により十分な測定精度が得られる場合や、さらには、ヘッド空間19bの熱容量に対して、第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33を通して流入する熱量が十分小さく無視できる場合には、この換気機構そのものを廃し、手順3を省略しても差し支えない。
手順4:コントローラ50は、第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33が定常状態に達した後に測定対象物の内部温度TBを算出し、表示する。すなわち、コントローラ50は、第1の温度センサ32及び第2の温度センサ33の出力を監視し、これら温度センサの温度変化があらかじめ定められた閾値以下となった時点における出力を用いて、上述の数3から内部温度TBを求める。数3より明らかなように、コントローラ50は、定常状態における第1の温度センサ32の温度T1、第2の温度センサ33の温度T2、環境温度センサ34の温度Te、及び不揮発性メモリ51に記憶された比Kより測定対象の内部温度TBを算出する。算出された内部温度TBは、図1に示したように表示部12に表示される。また、ブザー13によるビープ音の発生、並びに、ランプ11を先ほどの色とは異なる任意の色、例えば緑色に点灯することにより、使用者に測定が終了したことを通知する。なお、算出された内部温度TBは、本実施形態では表示部12に表示することにより使用者に通知することとしているが、これに限られず、接触式内部温度計100に設けたメモリに蓄積したり、接触式内部温度計100の外部の機器に有線又は無線にて出力したりしてもよい。この場合には、表示部12は必ずしも必須の構成ではない。
なお、以上の説明では、使用者への測定開始及び測定終了の各種通知をいずれもブザー13によるビープ音及びランプ11の点灯により行ったが、これらの通知の方法はここで例示したものに限定されない。特に、ビープ音についてはこれを省略し、或いは使用者の設定によりこれを発声しないこととしてもよい。音声を用いず、ランプ11の点灯のみにより使用者に各種の通知を行うようにすると、例えば測定対象が就寝中の乳児である場合に、乳児の睡眠を妨げることなく測定が可能である等好ましい場合がある。もちろん、ランプ11の点灯をどのようにするか、例えば発光色をどのように選択するかは任意である。また、発色光によらず、ランプ11を点滅させたり、発光光の強度を変化させたり、あるいはランプ11を複数設けておき、その点灯数や位置を違えることにより使用者に各種通知を行うようにしてもよい。さらに前述したように、ランプ11でなく、表示部12により使用者に各種通知を行ってもよい。
また、以上の説明においては、接触式内部温度計100による内部温度の計測において、第1の温度センサ32と、第2の温度センサ33及び、環境温度センサ34の出力に基いて内部温度を算出するものとしたが、これに替えて、前述の特許文献1のように、2つの温度センサにより断熱材を挟んだ構造の温度センサの組を2つ用意し、それぞれの組毎に断熱材の熱抵抗値を異なるものとして、これらの温度センサの出力に基いて内部温度を算出するものとしてもよい。また、平均値をとり精度を向上させ、或いは故障時の予備とするため等を目的として、プローブ及び温度センサの数を3以上としてもよい。
以上説明した実施形態に示した具体的な構成は例示として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定するものではない。当業者はこれら開示された実施形態に種々の変形、例えば、各部材あるいはその部分の形状や数、配置等を適宜変更してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
1 ケース、2 測定ヘッド、3 弾性接続部材、4 電池、5 回路基板、7 ブロア、10 背面、11 ランプ、12 表示部、13 ブザー、14 グリップ、15 電池蓋、16 吸気穴、17 回路基板、18 隔壁、19a グリップ空間、19b ヘッド空間、20 測定面、21 排気穴、22 可動ヘッド、23 突出し部、24 段、30 第1のプローブ、31 第2のプローブ、32 第1の温度センサ、33 第2の温度センサ、34 環境温度センサ、50 コントローラ、51 不揮発性メモリ、100 接触式内部温度計、101 測定対象面。
Claims (5)
- 測定対象物の被測定面に接触する第1のプローブ及び第2のプローブと、
少なくとも前記第1のプローブ及び前記第2のプローブの配置方向の外側両側において測定面側に突き出す突出し部と、
前記第1のプローブと熱的に結合される第1の温度センサ及び、前記第2のプローブと熱的に結合される第2の温度センサと、
少なくとも前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサにより検出される温度に基いて測定対象物の内部温度を算出するコントローラと、
を有する接触式内部温度計。 - 前記第1のプローブ及び前記第2のプローブと、前記突出し部は相対的な動きが許容される請求項1記載の接触式内部温度計。
- 前記第1のプローブ及び前記第2のプローブは、前記突出し部に対し弾性的に支持される請求項2記載の接触式内部温度計。
- 前記突出し部は、弾性材料により形成される請求項2記載の接触式内部温度計。
- 前記突出し部は、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブを全周にわたり囲繞する請求項1〜4のいずれかに記載の接触式内部温度計。
Priority Applications (1)
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JP2014070138A JP2015190938A (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 接触式内部温度計 |
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JP2014070138A JP2015190938A (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 接触式内部温度計 |
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KR20190060362A (ko) * | 2017-11-24 | 2019-06-03 | 서울대학교산학협력단 | 이동식 기온측정장치 |
CN113286991A (zh) * | 2019-03-14 | 2021-08-20 | 生物数据银行股份有限公司 | 温度传感器单元及体内温度计 |
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-
2014
- 2014-03-28 JP JP2014070138A patent/JP2015190938A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20190060362A (ko) * | 2017-11-24 | 2019-06-03 | 서울대학교산학협력단 | 이동식 기온측정장치 |
KR101990408B1 (ko) * | 2017-11-24 | 2019-06-18 | 서울대학교산학협력단 | 이동식 기온측정장치 |
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