JP2013209786A - インクジェット捺染方法、インクジェット捺染用インク組成物、及び布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像を形成することができるインクジェット捺染方法およびインクジェット捺染用インク組成物、並びに、画像の発堅牢性に優れ、発色濃度が高い布帛を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有するインクジェット捺染方法。
〔一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。〕
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有するインクジェット捺染方法。
〔一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。〕
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット捺染方法、インクジェット捺染用インク組成物、及び布帛に関する。
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できることが利点である。
一方、現在の布帛印刷は、スクリーン印刷等で行われている。これらは、印刷に先だって、印刷用の版銅やスクリーン版を作製する必要がある。版の製作は、時間と人手が掛かり、非常に高価であり、一定量以上の生産を行わないと、コスト的に引き合わない為、小規模生産や見本作り等の目的に、無製版の印刷システムが要望されている。
これに対し、染料を布に直接供給できる上記のようなインクジェット方式を用いたインクジェット捺染が提案されている。インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる利点を有しており、納期短縮、少量多品種生産対応、製版工程が必要ない等のメリットを備えている。更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来方法に比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
捺染においては、布帛中の繊維の種類により使用される染料の種類が限定され、絹、羊毛、ナイロンといったポリアミド繊維を主体とする布帛への画像形成する場合には、酸性染料を用いる方法が提案されている。
一般に、インクジェット捺染用インクに対しては、以下の特性が要求される。
(1)十分な濃度で発色していること
(2)色再現性に優れていること
(3)形成した画像がにじんだり、後処理工程や洗濯のときに非画像部や他の布帛を汚したりしないこと
(4)記録ヘッドのノズルを目詰りさせないこと
(5)インク保存中に物性上(例えば、粘度)の変化や固形分の析出がないこと
(6)長期間保存した後でも、吐出特性に変化がなく安定した吐出が行えること
(7)形成した画像が堅牢性(耐水性)に優れていること
一般に、インクジェット捺染用インクに対しては、以下の特性が要求される。
(1)十分な濃度で発色していること
(2)色再現性に優れていること
(3)形成した画像がにじんだり、後処理工程や洗濯のときに非画像部や他の布帛を汚したりしないこと
(4)記録ヘッドのノズルを目詰りさせないこと
(5)インク保存中に物性上(例えば、粘度)の変化や固形分の析出がないこと
(6)長期間保存した後でも、吐出特性に変化がなく安定した吐出が行えること
(7)形成した画像が堅牢性(耐水性)に優れていること
上記(1)の課題に対しては、インク中の染料濃度を高くする手法が一般的であるが、高濃度染料インクでは、ノズル先端からの水や水性有機溶剤等の蒸発により高粘度化したり、あるいは固形分である染料が析出し、上記(4)に記載の問題を引き起こす結果となる。
そこで、モル吸光係数が高く熱安定性に優れたオキソノール染料を着色剤に用いて高い着色力を得る試みとして、特定構造の染料の溶解性を高めて疎水性高分子物質を印刷法によって着色する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、モル吸光係数が高く熱安定性に優れたオキソノール染料を着色剤に用いて高い着色力を得る試みとして、特定構造の染料の溶解性を高めて疎水性高分子物質を印刷法によって着色する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記(2)の課題については、用いる染料の色相やインクの物性を調整することにより、同じパターンの印刷物を得る際に、安定した色再現性が得られるように工夫されてきた(例えば、特許文献2〜4参照)。
上記(3)の課題については、特定の化合物をインク中に存在させることによる改良が試みられているが、発色濃度が不十分な着色剤ではインク中の固形分濃度が必然的に上がるために、上記(5)の課題及び(6)の課題の問題は避けられない。例えば、特定の化合物をインク中に存在させる方法としては、酸性染料を用いることが開示されている(例えば、特許文献5および6参照)。なお、布帛の捺染以外の用途においても、画像の色相や堅牢性を高める試みがなされている(例えば、特許文献7〜10参照)。
また、上記(4)の課題に対しする改良方法としては、特定の水性溶剤等を用いる方法が提案されている。
例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコールを水性有機溶剤として用いる方法、あるいは特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルをインクへ添加する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照)。
例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコールを水性有機溶剤として用いる方法、あるいは特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルをインクへ添加する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照)。
また特定の前処理剤を布帛に付与することによる改良も行われている。
例えば、4級アンモニウムあるいはアミノ基含有化合物(例えば、特許文献12参照)、カチオン化デンプン(例えば、特許文献13参照)、水性合成高分子化合物(例えば、特許文献14参照)などを含有する前処理液による布帛の処理が提案されている。
例えば、4級アンモニウムあるいはアミノ基含有化合物(例えば、特許文献12参照)、カチオン化デンプン(例えば、特許文献13参照)、水性合成高分子化合物(例えば、特許文献14参照)などを含有する前処理液による布帛の処理が提案されている。
しかしながら、例えば、特許文献1に示される技術は解離状態にあるアニオン性染料を有機溶剤に溶解させる技術であるために、オキソノール染料の発色団が持つ水性(水溶性)という基本特性を活用できていないばかりか、導入する疎水性基のために重量当りの発色濃度の低下を招いてしまう。従って、インクジェット捺染において十分な発色濃度を達成するためには、水性が高く重量当りの発色濃度が高い染料を適量布帛に供給し、後処理工程後の繊維への染着性ができる限り高い着色剤を開発することが特に重要となる。
前記特許文献2〜4に示される技術を用いた場合、色によっては発色濃度が不十分な着色剤が存在するために、未だ満足できる結果が得られていないというのが現状である。
前記特許文献5および6に示される技術を用いても、捺染された布帛の堅牢性に優れない。
前記特許文献5および6に示される技術を用いても、捺染された布帛の堅牢性に優れない。
ところで、捺染された布帛は、当該布帛が衣類等として用いる場合、洗濯されることが多く、洗濯機内での激しい擦れ(外的負荷)や激しい流水の中に布帛が曝されても、画像が取れ難い程度の堅牢性が求められる。一方、画像が形成された紙や、基板上に着色組成物の硬化膜を形成したカラーフィルタ等は、洗濯機内のような、外的負荷や激しい流水に曝されることは皆無である。すなわち、紙の印刷や、カラーフィルタの形成に用いる着色組成物の硬化方法では、布帛の捺染で求められているほどの堅牢性が得られないのが現状であり、特許文献7〜10に示される布帛の捺染以外の他分野で用いられている着色組成物を、布帛の捺染に適用することは困難である。
前記特許文献8に示される技術を用いた場合、使用する染料と水性有機溶剤の極めて特異的な組み合わせ以外では満足な結果は得られず、特に発色濃度が不十分な着色剤ではインク中の固形分濃度が必然的に上がるために、大きな改良効果は望めない。
さらに、前記特許文献9〜11に示される技術を用いた場合、各色に用いられる染料の構造によっては前処理剤の作用が十分でない場合があり、発色濃度の観点等から満足できる結果が得られていない。
以上の様に、従来の技術範囲では、十分な発色濃度を実現でき滲み耐性も兼備したインクジェット捺染方法は未だ得られておらず、特に、画像の高い発色濃度と堅牢性を兼ね備えたインクジェット捺染方法の開発が待たれているのが現状である。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像を形成することができるインクジェット捺染方法およびインクジェット捺染用インク組成物、並びに、画像の発堅牢性に優れ、発色濃度が高い布帛を提供することである。
すなわち、堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像を形成することができるインクジェット捺染方法およびインクジェット捺染用インク組成物、並びに、画像の発堅牢性に優れ、発色濃度が高い布帛を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有するインクジェット捺染方法である。
一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。
<2> 前記捺染工程の前に、予め、前記布帛に、糊剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を付与する前処理工程を有する前記<1>に記載のインクジェット捺染方法である。
すなわち、<2>に示すインクジェット捺染方法は、「糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する前処理工程と、前記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た前記布帛に付与する捺染工程と、を有するインクジェット捺染方法」である。
また、
また、
<3> 下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物である。
一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。
<4> 前記化合物が、分子内にスルホ基を3つ以上有する前記<3>に記載のインクジェット捺染用インク組成物である。
<5> 前記<1>または前記<2>に記載のインクジェット捺染方法によって捺染された布帛である。
本発明によれば、堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像を形成することができるインクジェット捺染方法およびインクジェット捺染用インク組成物、並びに、画像の発堅牢性に優れ、発色濃度が高い布帛を提供することができる。
<インクジェット捺染方法>
本発明のインクジェット捺染方法(単に「捺染方法」と称することもある)は、下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(「特定化合物」ともいう)を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有して構成される。
本発明の捺染方法では、更に、捺染工程に先立って、予め、布帛に、糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を付与する前処理工程を有していてもよいし、捺染工程の後に、捺染した布帛を飽和水蒸気下で加熱する等の処理を行なう後処理工程を有していてもよい。
本発明のインクジェット捺染方法(単に「捺染方法」と称することもある)は、下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(「特定化合物」ともいう)を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有して構成される。
本発明の捺染方法では、更に、捺染工程に先立って、予め、布帛に、糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を付与する前処理工程を有していてもよいし、捺染工程の後に、捺染した布帛を飽和水蒸気下で加熱する等の処理を行なう後処理工程を有していてもよい。
本発明の捺染方法を上記構成とすることで、布帛に、堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像を形成することができる。
本発明の捺染方法に用いられる特定化合物は、着色剤として機能し、理由は定かではないが、発色性に富み、発色濃度の高い画像を布帛に形成することができる。画像の発色濃度は、主として、着色剤の化学構造に起因するが、布帛に固定する量にも大きく起因する。すなわち、布帛に固定化する量が多い方が、コントラストが大きく、高い発色濃度を得易い。
ところで、布帛の捺染は、着色剤が、布帛に付与され、布帛に固定化することにより行なう。着色剤の布帛への固定化は、よりミクロな観点からは、着色剤分子が、布帛の繊維に物理的ないし化学的に、付着または結合することにより成り立っているものと考えられる。ここで、着色剤分子が、布帛の繊維に物理的に付着または結合する場所としては、繊維が有するポリマー鎖の非晶領域におけるポリマー鎖部分が考えられる。この場所のポリマー鎖充填率の低い領域孔や空隙に着色剤分子が入り込み、抜き出さない状態で強固な固定化が達成されると考えられる。着色剤分子が、布帛の繊維に化学的に付着または結合している状態としては、静電的作用、水素結合、分子間力、または、化学構造が類似する性質であること等に起因して、互いに、引き付け合って付着したり、アミノ基、ヒドロキシ基等の各基が互いに結合する状態等が考えられる。
本発明の捺染方法に用いられる特定化合物は、着色剤として機能し、理由は定かではないが、発色性に富み、発色濃度の高い画像を布帛に形成することができる。画像の発色濃度は、主として、着色剤の化学構造に起因するが、布帛に固定する量にも大きく起因する。すなわち、布帛に固定化する量が多い方が、コントラストが大きく、高い発色濃度を得易い。
ところで、布帛の捺染は、着色剤が、布帛に付与され、布帛に固定化することにより行なう。着色剤の布帛への固定化は、よりミクロな観点からは、着色剤分子が、布帛の繊維に物理的ないし化学的に、付着または結合することにより成り立っているものと考えられる。ここで、着色剤分子が、布帛の繊維に物理的に付着または結合する場所としては、繊維が有するポリマー鎖の非晶領域におけるポリマー鎖部分が考えられる。この場所のポリマー鎖充填率の低い領域孔や空隙に着色剤分子が入り込み、抜き出さない状態で強固な固定化が達成されると考えられる。着色剤分子が、布帛の繊維に化学的に付着または結合している状態としては、静電的作用、水素結合、分子間力、または、化学構造が類似する性質であること等に起因して、互いに、引き付け合って付着したり、アミノ基、ヒドロキシ基等の各基が互いに結合する状態等が考えられる。
本発明の捺染方法では、特定化合物が布帛に付与されることで、布帛の繊維が有する空隙に、特定化合物が入り込み、布帛の繊維と化学的な作用を成していると考えられる。布帛に、堅牢性に優れた画像を形成することができるのは、繊維が有する空隙に入り込んだ特定化合物分子が空隙から離脱しにくいためと考えられる。通常、化合物の大きさは、化学構造に起因し、また、おおよそ、化合物の分子量に比例する。ここで、特定化合物は、分子内に少なくとも2つのヘテロ環を有しており、嵩張る構造をしている。また、重量平均分子量(Mw)は、800〜2000である。従って、理由は定かではないが、かかる分子構造、および分子量の範囲が、繊維の空隙に入り込み易く、かつ離脱し難い物理的作用を生み出していると考えられる。
また、本発明の捺染用の布帛は、ナイロンに代表されるポリアミド繊維を含む布帛である。ポリアミド繊維は、分子内にアミド結合を有している。特定化合物は、一般式(1)に示されるように、R1が結合するN原子、R2及びR3が結合するN原子、並びにR4が結合するN原子の存在により、1級〜3級のアミノ基を少なくとも3つ有する。アミド結合と1級〜3級のアミノ基とは化学構造が類似し、作用し易いため、ポリアミド繊維と、特定化合物とは引き付け合い易く、外的負荷があっても、特定化合物がポリアミド繊維から離脱し難いと考えられる。
また、本発明の捺染用の布帛は、ナイロンに代表されるポリアミド繊維を含む布帛である。ポリアミド繊維は、分子内にアミド結合を有している。特定化合物は、一般式(1)に示されるように、R1が結合するN原子、R2及びR3が結合するN原子、並びにR4が結合するN原子の存在により、1級〜3級のアミノ基を少なくとも3つ有する。アミド結合と1級〜3級のアミノ基とは化学構造が類似し、作用し易いため、ポリアミド繊維と、特定化合物とは引き付け合い易く、外的負荷があっても、特定化合物がポリアミド繊維から離脱し難いと考えられる。
このように、本発明の捺染方法では、発色性に優れた特定化合物が、物理的作用および化学的作用の2つの作用によってポリアミド繊維に固定化しているため、発色濃度が高く、堅牢性も高い画像を布帛に形成することができると考えられる。
以下、捺染工程、および、必要に応じて行なってもよい前処理工程等の各工程について詳細に説明する。
以下、捺染工程、および、必要に応じて行なってもよい前処理工程等の各工程について詳細に説明する。
〔捺染工程〕
本発明のインクジェット捺染方法において、捺染工程は、一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する工程である。
ここで、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
本発明のインクジェット捺染方法において、捺染工程は、一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する工程である。
ここで、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
まず、本発明のインクジェット捺染用インク組成物および一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)について、詳細に説明する。
(インクジェット捺染用インク組成物)
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)を、少なくとも含有する。本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、更に、水、有機溶媒、界面活性剤等を含有していてもよい。
以下、本発明のインクジェット捺染用インク組成物を、単に「インク組成物」と称することもある。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)を、少なくとも含有する。本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、更に、水、有機溶媒、界面活性剤等を含有していてもよい。
以下、本発明のインクジェット捺染用インク組成物を、単に「インク組成物」と称することもある。
−特定化合物−
特定化合物は、下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である。特定化合物は、本発明のインク組成物において、着色剤として機能する。
特定化合物は、下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である。特定化合物は、本発明のインク組成物において、着色剤として機能する。
一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。
既述のように、着色剤の布帛への固定化は、物理的作用の観点からは、布帛の繊維が有する孔や穴等の空隙に着色剤分子が入り込み、抜け出さなくなることによるものと考えられる。特定化合物の重量平均分子量(Mw)が、800未満であると、着色剤が繊維の空隙に入り込み易いものの、抜け出し易くもあり、特定化合物の布帛への固定化を行なうことができない。一方、特定化合物の重量平均分子量(Mw)が、2000を超えると、着色剤がそもそも繊維の空隙に入り込むことができないため、着色剤が布帛に固定化されない。
特定化合物の重量平均分子量(Mw)は、800〜1,400であることが好ましい。
次に、一般式(1)におけるR1〜R4、及び特定化合物の化学構造について説明する。
特定化合物の重量平均分子量(Mw)は、800〜1,400であることが好ましい。
次に、一般式(1)におけるR1〜R4、及び特定化合物の化学構造について説明する。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるアルキル基は、各々独立に、直鎖状または分岐状の、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるシクロアルキル基は、各々独立に、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるシクロアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるシクロアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるアラルキル基は、各々独立に、炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、2−フェネチル等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるアラルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるアラルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるアルケニル基は、各々独立に、炭素原子数が5〜12のアルケニル基が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるアルケニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるアルケニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるアリール基は、各々独立に、炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。例えばフェニル、p−トリル、ナフチル等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるアリール基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるアリール基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるヘテロ環基は、各々独立に、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基等が挙げられる。
また、R1〜R4で表されるヘテロ環基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R1〜R4で表されるヘテロ環基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるカルボキシル基は、各々独立に、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)であってもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4で表されるスルホ基は、各々独立に、スルホン酸塩基(−SO3Na、−SO3K等)であってもよい。
一般式(1)におけるR2〜R4で表されるスルホニル基としては、各々独立に、例えば、メタンスルホニル基に代表されるアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基に代表されるアリールスルホニル基等が挙げられる。
また、R2〜R4で表されるスルホニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R2〜R4で表されるスルホニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR2〜R4で表されるアシル基としては、各々独立に、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
また、R2〜R4で表されるアシル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、R2〜R4で表されるアシル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR2〜R4で表されるカルバモイル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
既述のように、一般式1におけるR1〜R4で表される水素原子、カルボキシル基、及びスルホ基以外の基は、いずれも、それぞれ独立に、さらに置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、ハロゲン原子、直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
かかる置換基としては、ハロゲン原子、直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基等)は、塩、すなわち、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SO3Na、−SO3K等)等であってもよい。
中でも、R1〜R4で表されるアルキル基が有し得る置換基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、イオン性親水性基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、イオン性親水性基としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SO3Na、−SO3K等)等が挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル等が挙げられる。
R1〜R4で表されるシクロアルキル基、アラルキル基、及びアルケニル基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SO3Na、−SO3K等)等のイオン性親水性基が好ましい。
R1〜R4で表されるアリール基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基、及びイオン性親水性基が好ましい。
置換基を有するアリール基としては、例えば、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル等が挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、例えば、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル等が挙げられる。
R1〜R4で表されるヘテロ環基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基、及びイオン性親水性基が好ましい。
以上に示されるR1〜R4の好ましい態様は次のとおりである。
R1は、電子吸引性基で置換されたアリール基又はヘテロ環基が好ましい。ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
R1は、電子吸引性基で置換されたアリール基又はヘテロ環基が好ましい。ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
R1の上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記ヘテロ環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
また、R2〜R4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環基が好ましく、さらにはスルホニル基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基が最も好ましい。
一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)は、分子内に、イオン性親水性基を2つ以上有することが好ましい。イオン性親水性基は、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。カルボキシ基およびスルホ基は、塩を形成していてもよい。すなわち、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)であっても、スルホン酸塩基(−SO3Na、−SO3K等)であってもよい。特定化合物が2つ以上のイオン性親水性基を有するとき、イオン性親水性基は、同種でも異種でもよい。
特定化合物が有するイオン性親水性基は、3つ以上であることがより好ましく、3つ〜4つが更に好ましい。
特定化合物が有するイオン性親水性基は、3つ以上であることがより好ましく、3つ〜4つが更に好ましい。
特に、特定化合物は、分子内に、3つ以上のスルホ基(スルホン酸塩基を含む)を有することが好ましく、全てがスルホ基であっても、スルホン酸塩基であってもよいし、またスルホ基とスルホン酸塩基とが混在していてもよい。
以下に、特定化合物の具体例を示すが、これらに限るものではない。
本発明のインク組成物は、既述の特定化合物のうち、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物は、着色剤として、既述の特定化合物のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、特定化合物以外の着色剤を含有していてもよい。
本発明のインク組成物が、特定化合物以外の着色剤を含有する場合、全着色剤中の特定化合物の含有量は、全着色剤質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。さらには、本発明のインク組成物が含有する着色剤は、100質量%特定化合物であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物中の特定化合物の含有量は、十分な発色濃度を得ると共に、インク組成物の保存安定性を考慮すると、インク組成物の全質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、着色剤として、既述の特定化合物のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、特定化合物以外の着色剤を含有していてもよい。
本発明のインク組成物が、特定化合物以外の着色剤を含有する場合、全着色剤中の特定化合物の含有量は、全着色剤質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。さらには、本発明のインク組成物が含有する着色剤は、100質量%特定化合物であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物中の特定化合物の含有量は、十分な発色濃度を得ると共に、インク組成物の保存安定性を考慮すると、インク組成物の全質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、既述の特定化合物のほか、必要に応じて、さらに水を含有し、有機溶媒、界面活性剤などの成分を含有していてもよい。
−水−
本発明のインク組成物が含有し得る水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、本発明のインク組成物が、水以外に既述の特定化合物のみを含む場合は、インク組成物の全質量から特定化合物の含有量を差し引いた残部であり、インク組成物が、他に、後述する成分を含む場合は、特定化合物と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
本発明のインク組成物が含有し得る水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、本発明のインク組成物が、水以外に既述の特定化合物のみを含む場合は、インク組成物の全質量から特定化合物の含有量を差し引いた残部であり、インク組成物が、他に、後述する成分を含む場合は、特定化合物と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
−有機溶媒−
本発明のインク組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類のほか、アミン類、一価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0076]に記載の水混和性有機溶剤の例示として挙げられる各化合物が好適である。
本発明のインク組成物中の有機溶媒の含有量は、インクジェット捺染用インク組成物の全質量に対して、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
本発明のインク組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類のほか、アミン類、一価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0076]に記載の水混和性有機溶剤の例示として挙げられる各化合物が好適である。
本発明のインク組成物中の有機溶媒の含有量は、インクジェット捺染用インク組成物の全質量に対して、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
−界面活性剤−
本発明のインク組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0073]に記載の表面張力調整剤の例示として挙げられる各陽イオン性界面活性剤が好適である。
本発明のインク組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0073]に記載の表面張力調整剤の例示として挙げられる各陽イオン性界面活性剤が好適である。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0073]に記載の表面張力調整剤の例示として挙げられる各陰イオン性界面活性剤が好適である。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0073]に記載の表面張力調整剤の例示として挙げられる各非イオン性界面活性剤が好適である。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0073]に記載の表面張力調整剤の例示として挙げられる各非イオン性界面活性剤が好適である。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明のインク組成物中の界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲でインク組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
本発明のインク組成物中の界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲でインク組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
−防腐剤、防黴剤−
本発明のインク組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)などが挙げられる。
本発明のインク組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)などが挙げられる。
−各種添加剤−
本発明のインク組成物は、その他に従来公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等である。
本発明のインク組成物は、その他に従来公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等である。
捺染工程においては、既述の特定化合物を含有するインク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛にインクを付与する。
ここで、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
また、本発明の捺染方法で用いる布帛(捺染用布帛)について、説明する。
ここで、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
また、本発明の捺染方法で用いる布帛(捺染用布帛)について、説明する。
−布帛(−捺染用布帛)−
本発明のインクジェット捺染方法で用いる布帛、すなわち、捺染工程を完了していない布帛を、「捺染用布帛」と称する。
捺染用布帛の種類は、少なくともポリアミド繊維を含む布帛であれば特に制限されない。ポリアミド繊維としては、具体的には、ナイロン、絹、羊毛が好ましい。上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
本発明のインクジェット捺染方法で用いる布帛、すなわち、捺染工程を完了していない布帛を、「捺染用布帛」と称する。
捺染用布帛の種類は、少なくともポリアミド繊維を含む布帛であれば特に制限されない。ポリアミド繊維としては、具体的には、ナイロン、絹、羊毛が好ましい。上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
本発明の効果をより十分に発揮する観点からは、ポリアミド繊維を含む布帛は、ポリアミド繊維100%のものが好適であるが、ポリアミド繊維以外の素材を含んでいてもよい。布帛がポリアミド繊維以外の繊維を含む場合、ポリアミド繊維の混紡率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることが好ましい。ポリアミド繊維以外の素材としては、例えば、レーヨン、綿、アセテ−ト、ポリウレタン、アクリル繊維等との混紡織布または混紡不織布等であってもよい。
布帛を構成するポリアミド繊維(ポリアミド繊維以外の繊維を用いる場合は、ポリアミド繊維及び他の繊維)から構成される糸の物理特性には好適な範囲があり、例えば、ナイロンの場合、ナイロン繊維の平均太さが1〜10d(デニール)、更に好ましくは、2〜6dに制御され、該ナイロン繊維から構成されるナイロン糸の平均太さが20〜100d、更に好ましくは、25〜80d、更に好ましくは、30〜70dに制御されたものが好ましく用いられる。また、絹の場合は、繊維自体の特性として、絹繊維の平均太さが2.5〜3.5d、更に好ましくは2.7〜3.3dに制御され、該絹繊維から構成される絹糸の平均太さが14〜147d、更に好ましくは14〜105dに制御され、公知の方法により布帛としたものが好ましく用いられる。
本発明のインクジェット捺染方法においては、既述の特定化合物を含有するインク組成物を布帛にインクを付与して印字した後、印字された布帛を巻き取り、布帛を加熱して発色させ、布帛を洗浄し、乾燥することが望ましい。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、特定化合物の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また滲み難い画像を得ることができる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床などに印字した布帛が重なっていってしまうことがある。従って、場所をとるばかりでなく不安全であり、また予期せず汚れてしまうことを抑制するために、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもよい。ただし、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、特定化合物の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また滲み難い画像を得ることができる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床などに印字した布帛が重なっていってしまうことがある。従って、場所をとるばかりでなく不安全であり、また予期せず汚れてしまうことを抑制するために、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもよい。ただし、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
本発明のインクジェット捺染方法においては、インク組成物を布帛に付与するにあたっては、特定化合物の布帛への固定化がより高まるように、捺染工程を行なう前に、捺染用布帛に前処理を施してもよいし、捺染工程を行なった後に、インク組成物が付与された布帛に後処理を施してもよい。
すなわち、本発明のインクジェット捺染方法は、前処理工程と、既述の捺染工程と、後処理工程と、有して構成することができ、(1)前処理工程、(2)捺染工程、(3)後処理工程の順に各工程を行なえばよい。
以下、前処理を行なう前処理工程と、後処理を行なう後処理工程の詳細を説明する。
すなわち、本発明のインクジェット捺染方法は、前処理工程と、既述の捺染工程と、後処理工程と、有して構成することができ、(1)前処理工程、(2)捺染工程、(3)後処理工程の順に各工程を行なえばよい。
以下、前処理を行なう前処理工程と、後処理を行なう後処理工程の詳細を説明する。
〔前処理工程〕
前処理工程は、糊剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を、ポリアミド繊維を含む布帛(インク組成物付与前の捺染用布帛)に付与する工程である。
本発明のインクジェット捺染方法が前処理工程を有することで、布帛にインク組成物を付与する前に、インク組成物が布帛に付着したときに、インク組成物が凝集し易くなったり、インク組成物中の特定化合物と布帛とが粘着し易くなる成分を含む前処理剤を、予め布帛に付与しておくことで、特定化合物の布帛への固定化を高めることができる。
前処理剤には、糊剤、及びヒドロトロピー剤のほか、必要に応じて、pH調整剤、水性(水溶性)金属塩、撥水剤、界面活性剤等を更に含有していてもよい。
前処理工程は、糊剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を、ポリアミド繊維を含む布帛(インク組成物付与前の捺染用布帛)に付与する工程である。
本発明のインクジェット捺染方法が前処理工程を有することで、布帛にインク組成物を付与する前に、インク組成物が布帛に付着したときに、インク組成物が凝集し易くなったり、インク組成物中の特定化合物と布帛とが粘着し易くなる成分を含む前処理剤を、予め布帛に付与しておくことで、特定化合物の布帛への固定化を高めることができる。
前処理剤には、糊剤、及びヒドロトロピー剤のほか、必要に応じて、pH調整剤、水性(水溶性)金属塩、撥水剤、界面活性剤等を更に含有していてもよい。
(前処理剤)
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、インク組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前処理剤の全質量に対するヒドロトロピー剤の含有量は0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、インク組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前処理剤の全質量に対するヒドロトロピー剤の含有量は0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
−糊剤−
糊剤としては、水溶性高分子が用いられる。水溶性高分子は、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
糊剤としては、水溶性高分子が用いられる。水溶性高分子は、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
前処理剤は、糊剤、及びヒドロトロピー剤を既述の含有量となるように混合し、更に水を添加して100質量%となるように調製すればよい。
前処理剤は、更に、pH調整剤、水性金属塩、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。前処理剤は下記の各成分のいずれかまたは全部を含んでもよい。
前処理剤は、更に、pH調整剤、水性金属塩、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。前処理剤は下記の各成分のいずれかまたは全部を含んでもよい。
−pH調整剤−
pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
なお、pH調整剤とは、布帛に付与される捺染用水性着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、捺染用水性着色組成物の液性を変化させる成分のほか、捺染用水性着色組成物の液性変化を抑制するpH緩衝剤の如き成分も含む。
pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
なお、pH調整剤とは、布帛に付与される捺染用水性着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、捺染用水性着色組成物の液性を変化させる成分のほか、捺染用水性着色組成物の液性変化を抑制するpH緩衝剤の如き成分も含む。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又はアルカリ及び酸の組み合わせのほか、酸アンモニウム塩の如きpH緩衝作用のある成分が挙げられる。酸アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は、0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は、0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
−水性金属塩−
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜pH10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl2、MgCl2等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜pH10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl2、MgCl2等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
−撥水剤−
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或はこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。撥水剤は、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%付与することが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲である。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或はこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。撥水剤は、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%付与することが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲である。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性や両性界面活性剤等が使用できる。
特に、HLB12.5以上、好ましくは14以上の非イオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性や両性界面活性剤等が使用できる。
特に、HLB12.5以上、好ましくは14以上の非イオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
両性界面活性剤としては、ベタイン型等を使用することができる。
界面活性剤は、布帛に対して0.01〜30質量%付与することが好ましい。更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を入れることが好ましい。
界面活性剤は、布帛に対して0.01〜30質量%付与することが好ましい。更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を入れることが好ましい。
前処理においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。
前処理において、上記各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
前処理において、上記各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
〔後処理工程〕
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、特定化合物の繊維への固定化を促進させることが好ましい。
後処理工程は、布帛に定着しなかった特定化合物、その他の着色剤、着色剤以外の成分、及び前処理剤を十分除去する工程を有することが好ましい。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
以下、後処理工程として行なうと好ましい各工程について説明する。
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、特定化合物の繊維への固定化を促進させることが好ましい。
後処理工程は、布帛に定着しなかった特定化合物、その他の着色剤、着色剤以外の成分、及び前処理剤を十分除去する工程を有することが好ましい。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
以下、後処理工程として行なうと好ましい各工程について説明する。
−予備乾燥工程−
まず、捺染工程の後、特定化合物を含有するインク組成物が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
まず、捺染工程の後、特定化合物を含有するインク組成物が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
本発明のインクジェット捺染方法によれば、予備乾燥を連続工程で加熱乾燥することも可能である。布帛をロール状にしてインクジェット印捺機に供給して印捺(印字して捺染)し、その後、印字した布帛を巻き取る以前に、乾燥機を用いて乾燥する。乾燥機は印捺機に直結したものでも、分離したものであってもよい。乾燥機における印字した布帛の乾燥は常温〜150℃で0.5分〜30分行われることが好ましい。また、好ましい乾燥方法としては、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、照射方式等が挙げられる。
−スチーム工程−
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝し、加熱することで、特定化合物の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明のインクジェット捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝し、加熱することで、特定化合物の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明のインクジェット捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
−洗浄工程−
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の着色剤は繊維に染着しないものがある。この未固着の着色剤は洗い流しておくことが好ましい。未固着の着色剤の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用することが好ましい。未固着の色材が完全に除去されていることで、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られる。
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の着色剤は繊維に染着しないものがある。この未固着の着色剤は洗い流しておくことが好ましい。未固着の着色剤の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用することが好ましい。未固着の色材が完全に除去されていることで、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られる。
−乾燥工程(洗浄後の乾燥)−
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
<インクジェット捺染用インク組成物>
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、既述の一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有して構成される。
布帛のインクジェット捺染において、上記構成のインク組成物を用いることで、布帛に、発堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像が捺染された布帛を得ることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物が含有する一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)は、分子内にスルホ基を3つ以上有する化合物(特定化合物S)であることが好ましい。特定化合物として、特に、特定化合物Sを用いることで、より一層、発色濃度が高く、かつ堅牢性に優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中の特定化合物(特定化合物Sを含む)および水の含有量は、本発明のインクジェット捺染方法に用いるインク組成物中の特定化合物の含有量として示した記述の範囲であることが好ましい。また、特定化合物S以外に、本発明のインクジェット捺染用インク組成物が含み得る成分は、本発明のインクジェット捺染方法に用いるインク組成物が含み得る成分と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、既述の一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有して構成される。
布帛のインクジェット捺染において、上記構成のインク組成物を用いることで、布帛に、発堅牢性に優れ、発色濃度が高い画像が捺染された布帛を得ることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物が含有する一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物(特定化合物)は、分子内にスルホ基を3つ以上有する化合物(特定化合物S)であることが好ましい。特定化合物として、特に、特定化合物Sを用いることで、より一層、発色濃度が高く、かつ堅牢性に優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中の特定化合物(特定化合物Sを含む)および水の含有量は、本発明のインクジェット捺染方法に用いるインク組成物中の特定化合物の含有量として示した記述の範囲であることが好ましい。また、特定化合物S以外に、本発明のインクジェット捺染用インク組成物が含み得る成分は、本発明のインクジェット捺染方法に用いるインク組成物が含み得る成分と同様であり、好ましい態様も同様である。
<布帛>
本発明の布帛は、本発明のインクジェット捺染方法によって捺染されたポリアミド繊維を含む布帛であれば、特に制限されず、布帛の種類は、既述の捺染用布帛の種類と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の布帛は、特定化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を用いて捺染されているため、捺染により形成された画像は、堅牢性に優れ、発色濃度が高い。
本発明の布帛は、本発明のインクジェット捺染方法によって捺染されたポリアミド繊維を含む布帛であれば、特に制限されず、布帛の種類は、既述の捺染用布帛の種類と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の布帛は、特定化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を用いて捺染されているため、捺染により形成された画像は、堅牢性に優れ、発色濃度が高い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〜実施例6、および、比較例1〜比較例3〕
<前処理工程>
−前処理剤A〜前処理剤Cの調製−
(1)糊剤:グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕
(2)ヒドロトロピー剤:尿素〔和光純薬社製〕
(3)pH調整剤:硫酸アンモニウム〔和光純薬社製〕
(4)水
<前処理工程>
−前処理剤A〜前処理剤Cの調製−
(1)糊剤:グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕
(2)ヒドロトロピー剤:尿素〔和光純薬社製〕
(3)pH調整剤:硫酸アンモニウム〔和光純薬社製〕
(4)水
上記(1)〜(4)に示す成分を表1に示す量〔%〕混合して、前処理剤A〜前処理剤Cを調製した。
−捺染用布帛−
捺染用布帛として、絹製布帛、及びナイロン製布帛を用意した。
絹製布帛は、絹羽二重14匁(色染社製)、ナイロン製布帛は、ナイロン−6タフタ(東レ社製)、及び、ナイロン−6,6(色染社製)を用いた。
捺染用布帛として、絹製布帛、及びナイロン製布帛を用意した。
絹製布帛は、絹羽二重14匁(色染社製)、ナイロン製布帛は、ナイロン−6タフタ(東レ社製)、及び、ナイロン−6,6(色染社製)を用いた。
得られた前処理剤A〜前処理剤Cを用い、絹製布帛およびナイロン製布帛をパッティングして、自然乾燥させ、処理済み布帛を得た。
なお、絞り率は、絹製布帛は80%〜100%とし、ナイロン製布帛は10%〜30%とした。
なお、絞り率は、絹製布帛は80%〜100%とし、ナイロン製布帛は10%〜30%とした。
<捺染工程>
(インク組成物の調製)
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、インク1〜4、およびインク101〜103を調製した。
(インク組成物の調製)
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、インク1〜4、およびインク101〜103を調製した。
・表2に示す染料 3%
・グリセリン〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒) 10%
・ジエチレングリコール〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒) 10%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤) 1%
・尿素 2%
・水 74%
・グリセリン〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒) 10%
・ジエチレングリコール〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒) 10%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤) 1%
・尿素 2%
・水 74%
なお、表2中、「一般式(1)」欄の「○」は、染料が既述の一般式(1)に包含される分子構造であることを意味し、「×」は、染料が既述の一般式(1)に包含されない分子構造であることを意味する。また、「Mw」は、各染料の重量平均分子量である。
なお、表1に示すインク1〜4で用いた各具体例の染料(特定化合物)は、特開2002−371079号公報を参考にして合成した。
インクジェットプリンター(ディマティックス社製、DMP−2381)に、得られた各インク(インク1〜4または101〜103)をセットした上、得られた前処理済み布帛にベタ画像を印捺した。
なお、捺染用布帛(絹製布帛、ナイロン6製布帛、またはナイロン6,6製布帛)に対して用いた前処理剤と、インクの組み合わせを、表3に示す。
なお、捺染用布帛(絹製布帛、ナイロン6製布帛、またはナイロン6,6製布帛)に対して用いた前処理剤と、インクの組み合わせを、表3に示す。
<後処理工程>
印捺した布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、100℃で、絹製布帛は8分、ナイロン製布帛は30分間スチームをかけ、染料を布帛の繊維に固着させた。その後、布帛を冷水で10分、60℃の温水で5分洗った後、自然乾燥した。
印捺した布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、100℃で、絹製布帛は8分、ナイロン製布帛は30分間スチームをかけ、染料を布帛の繊維に固着させた。その後、布帛を冷水で10分、60℃の温水で5分洗った後、自然乾燥した。
<評価>
1.発色濃度の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、発色濃度(OD値;Optical Density値)を、反射濃度測定計(Xrite社製、「Xrite938」)にて測定した。
1.発色濃度の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、発色濃度(OD値;Optical Density値)を、反射濃度測定計(Xrite社製、「Xrite938」)にて測定した。
2.堅牢性評価
ベタ画像が形成された各布帛について、光堅牢性、耐汗堅牢性、及び、耐洗濯堅牢性を評価した。なお、ナイロン6,6製布帛については、光堅牢性についてのみ評価した。
光堅牢性、耐汗堅牢性、及び、耐洗濯堅牢性は、それぞれ、以下のJIS試験法に準拠した方法で評価を行ない、当該試験法に準拠した評価方法により評価した。
(1)光堅牢性 :JIS−L0842
(2)耐汗堅牢性 :JIS−L0848
(3)耐洗濯堅牢性:JIS−L0844 A−2
ベタ画像が形成された各布帛について、光堅牢性、耐汗堅牢性、及び、耐洗濯堅牢性を評価した。なお、ナイロン6,6製布帛については、光堅牢性についてのみ評価した。
光堅牢性、耐汗堅牢性、及び、耐洗濯堅牢性は、それぞれ、以下のJIS試験法に準拠した方法で評価を行ない、当該試験法に準拠した評価方法により評価した。
(1)光堅牢性 :JIS−L0842
(2)耐汗堅牢性 :JIS−L0848
(3)耐洗濯堅牢性:JIS−L0844 A−2
以上により得られた各実施例、及び、比較例における各評価の結果を、それぞれ、表3に示す。
表3に示される堅牢性の評価結果中、「4/5」は、評価結果が4と5の間であったことを示す。「3/4」、「2/3も同様である。
表3からわかるように、実施例のインクジェット捺染方法によれば、捺染された布帛は、絹製、ナイロン6製、ナイロン6,6製とも、発色濃度(OD値)が1を超え、かつ、光、耐汗、耐洗濯の各堅牢性も4以上となる優れた堅牢性を示した。
一方、従来の着色剤を用いたインク101〜103においては、発色濃度が高くなっても、堅牢性が不十分であったり、そもそも捺染不能となることもあった。
このように、比較例に示すインクジェット捺染方法による布帛の捺染では、高発色濃度と高堅牢性とを両立することができなかった。
このように、比較例に示すインクジェット捺染方法による布帛の捺染では、高発色濃度と高堅牢性とを両立することができなかった。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染工程を有するインクジェット捺染方法。
〔一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。〕 - 前記捺染工程の前に、予め、前記布帛に、糊剤、及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤を付与する前処理工程を有する請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
- 下記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜2000である化合物を含有するインクジェット捺染用インク組成物。
〔一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R2とR3が同時に水素原子となることはない。〕 - 前記化合物が、分子内にスルホ基を3つ以上有する請求項3に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染方法によって捺染された布帛。
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