JP2013209606A - 有機半導体化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機半導体化合物およびこの化合物を含有する有機半導体薄膜に関する。
近年、有機半導体材料として主鎖型ポリチオフェンに代表される主鎖型有機半導体化合物が注目されている。他方、側鎖である複数のフルオレンユニットがスタックした側鎖型の有機半導体化合物の合成がなされ、得られた化合物が、複数の互いに隣り合うフルオレンユニット間におけるπ−π相互作用により、比較的良好な電荷移動度を有することが知られている(非特許文献1参照)。
Polymer Journal. (2010) 42, 103-123
しかしながら、上記非特許文献1にかかる有機半導体化合物では、電荷移動度及び溶媒への溶解性のいずれも十分ではなかった。そこで本発明は、より高い電荷移動度を有しており、かつ溶媒への溶解性が高い新規な側鎖型の化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、側鎖型の化合物についてさらに鋭意研究を進めたところ、側鎖型の化合物であって、化合物中でスタックし得る側鎖である複数の芳香環基(複素環基、炭素環基)に特定の置換基をさらに結合させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、下記の化合物およびこの化合物を含有する有機半導体薄膜が提供される。
[1] 下記式(1):
(式(1)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
Gは直接結合または連結基であり、複数個存在するGは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している化合物。
[2] 下記式(3):
(式(3)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2はRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基であり、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。)
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している、[1]に記載の化合物。
[3] Ar1およびAr2の芳香環の骨格が炭素原子のみからなる芳香族基である、[1]または[2]に記載の化合物。
[4] 化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有するフェニレン基である、[3]に記載の化合物。
[5] 下記式(4−1)および下記式(4−2)で表される構造単位を有し、下記式(4−1)で表される構造単位を連続して2個以上有する化合物。
(式(4−1)および式(4−2)中、
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
RAは下記式(2)で表される1価の基である。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
[6] RAが下記式(2−1)で表される1価の基である、[1]から[5]のいずれか1つに記載の化合物。
(式(2−1)中、
j’は1〜10の整数である。k’は1〜30の整数である。複数個存在する場合のj’は、同一であっても異なっていてもよい。
m’は0または1である。)
[7] [1]〜[6]のいずれか1つに記載の化合物を用いてなる有機半導体薄膜。
[8] 下記式(1−3)で表される化合物。
(式(1−3)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
(式(1)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
Gは直接結合または連結基であり、複数個存在するGは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している化合物。
[2] 下記式(3):
(式(3)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2はRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基であり、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。)
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している、[1]に記載の化合物。
[3] Ar1およびAr2の芳香環の骨格が炭素原子のみからなる芳香族基である、[1]または[2]に記載の化合物。
[4] 化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有するフェニレン基である、[3]に記載の化合物。
[5] 下記式(4−1)および下記式(4−2)で表される構造単位を有し、下記式(4−1)で表される構造単位を連続して2個以上有する化合物。
(式(4−1)および式(4−2)中、
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
RAは下記式(2)で表される1価の基である。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
[6] RAが下記式(2−1)で表される1価の基である、[1]から[5]のいずれか1つに記載の化合物。
(式(2−1)中、
j’は1〜10の整数である。k’は1〜30の整数である。複数個存在する場合のj’は、同一であっても異なっていてもよい。
m’は0または1である。)
[7] [1]〜[6]のいずれか1つに記載の化合物を用いてなる有機半導体薄膜。
[8] 下記式(1−3)で表される化合物。
(式(1−3)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
本発明の化合物は、従来の側鎖型の有機半導体化合物と比較して溶媒へのより高い溶解性とより高い電荷移動度を有する。よって有機薄膜トランジスタ素子、有機光電変換素子などを構成する有機薄膜の機能性材料として好適に用いることができ、有機薄膜トランジスタ素子、有機光電変換素子などの有機半導体素子の電気的特性をより向上させることができる。
また従来の主鎖型の有機半導体化合物と比較して溶媒に対してより高い溶解性を有するため、有機半導体素子の大面積化などの点で有利であり、実施が簡便である塗布法のための塗工液の材料として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、以下に説明する本発明の要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の化合物は、下記式(1):
(式(1)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
Gは直接結合または連結基であり、複数個存在するGは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
Gは直接結合または連結基であり、複数個存在するGは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらの基が連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。Rs、G’およびjが複数個存在する場合、複数個存在するRs、G’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している。
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらの基が連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。Rs、G’およびjが複数個存在する場合、複数個存在するRs、G’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している。
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよい。
Ar1およびAr2である2価の芳香族基の例としては、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基等が挙げられる。
ここで2価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子のうちの2個が脱離して生ずる基である。2価の複素環基とは、複素環式化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子のうちの2個が脱離して生ずる基である。
Ar1およびAr2である2価の芳香族基の例としては、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基等が挙げられる。
ここで2価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子のうちの2個が脱離して生ずる基である。2価の複素環基とは、複素環式化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子のうちの2個が脱離して生ずる基である。
2価の芳香族炭化水素基および2価の複素環基は、炭素原子数が通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜25であり、特に好ましくは6〜20である。なお、ここでいう炭素原子数は置換基の炭素原子数を含まないものとする。
前記芳香族炭化水素の具体例としては、下記式(A−1)〜式(A−19)から選ばれる芳香族炭化水素および式(C−1)〜式(C−13)から選ばれる芳香族炭化水素が挙げられ、好ましくは式(A−1)〜式(A−15)から選ばれる芳香族炭化水素、式(C−1)および式(C−2)から選ばれる芳香族炭化水素であり、より好ましくは式(A−1)〜式(A−8)および式(A−13)から選ばれる芳香族炭化水素であり、さらに好ましくは式(A−1)〜式(A−3)から選ばれる芳香族炭化水素であり、特に好ましくは式(A−1)で表される芳香族炭化水素である。
前記複素環式化合物の具体例としては、下記式(A−20)〜式(A−38)から選ばれる複素環式化合物、式(B−1)〜式(B−10)および式(C−14)〜式(C−24)から選ばれる複素環式化合物が挙げられ、好ましくは式(A−20)〜式(A−38)および式(B−1)〜式(B−10)から選ばれる複素環式化合物であり、より好ましくは式(A−20)〜式(A−26)、式(B−1)〜式(B−4)および式(B−8)から選ばれる複素環式化合物であり、さらに好ましくは式(A−20)〜式(A−23)、式(B−1)〜式(B−4)および式(B−8)から選ばれる複素環式化合物であり、特に好ましくは式(B−2)および式(B−3)から選ばれる複素環式化合物であり、とりわけ好ましくは式(B−3)の複素環式化合物である。
なお式(B−3)で表される複素環式化合物に結合する水素原子のうちの2個が脱離して生ずる基をチオフェニレン基という(「チエニレン基」といわれる場合がある)。
Ar1およびAr2は2価の芳香族炭化水素基または2価の複素環基であることが好ましく、2価の芳香族炭化水素基であること、即ち、Ar1およびAr2の芳香環の骨格が炭素原子のみからなる芳香族基であることがさらに好ましい。
本発明の化合物において、化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有するフェニレン基であることが好ましい。
本発明の化合物において、化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有するフェニレン基であることが好ましい。
式(1)中、Ar1とAr2とは同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
本発明の化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比(個数比)で10%以上が下記式(2)で表される1価の基であるRAを有している。Ar1およびAr2のうちの少なくとも一方は、下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していることが好ましく(つまり、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で50%以上が下記式(2)で表される1価の基であるRAを有している。)、Ar1およびAr2の両方がRAを有していることがより好ましい(つまり、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で100%が下記式(2)で表される1価の基であるRAを有している。)。
ここで、本発明の化合物において、「複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している」とは、例えば本発明の化合物が式(1)で表される構造単位を100個有する場合を想定してみると、Ar1およびAr2の総数は200個となるので、この200個の10%である20個のRAを、Ar1および/またはAr2が最低でも有していればよいことを意味している。
式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。ここで、アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。したがって、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
Rsとしては水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基およびヘキシル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基およびtert−ブチル基がより好ましく、水素原子、メチル基およびエチル基がさらに好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。式(2)中または本発明の化合物中に複数個存在するRsは、同一であっても異なっていてもよい。複数個存在するRsは3種類以内であることが好ましく、2種類以内であることがより好ましく、1種類であることがさらに好ましい。
式(2)中、G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらの基が連結した2価の基である。G’としては−O−で表される基または−S−で表される基であることが好ましく、−O−で表される基であることがより好ましい。本発明の化合物中に複数個存在するG’は、同一であっても異なっていてもよい。複数個存在するG’は、3種類以内であることが好ましく、2種類以内であることがより好ましく、1種類であることがさらに好ましい。
jは1〜50の整数であり、1〜20の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、1〜5の整数がさらに好ましく、1〜4の整数が特に好ましく、1または2がとりわけ好ましい。jが式(2)中または本発明の化合物中に複数個存在する場合、複数個存在するjは、同一であっても異なっていてもよい。複数個存在するjは、3種類以内であることが好ましく、2種類以内であることがより好ましく、1種類であることがさらに好ましい。
kは1以上の整数であり、好ましくは1〜100の整数である。本発明の化合物の導電性をより高めることができるので、kは1〜50の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、1〜20の整数がさらに好ましく、1〜10の整数が特に好ましく、1〜5の整数がとりわけ好ましく、1または2が最も好ましい。本発明の化合物中に複数個存在するkは、同一であっても異なっていてもよい。複数個存在するkは、3種類以内であることが好ましく、2種類以内であることがより好ましく、1種類であることがさらに好ましい。
mは0または1であり、好ましくは1である。本発明の化合物中に複数個存在するmは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがさらに好ましい。
本発明の化合物においては、RAが下記式(2−1)で表される1価の基であることが好ましい。
式(2−1)中、
j’は1〜10の整数である。k’は1〜30の整数である。複数個存在する場合のj’は、同一であっても異なっていてもよい。
m’は0または1である。
j’は1〜10の整数である。k’は1〜30の整数である。複数個存在する場合のj’は、同一であっても異なっていてもよい。
m’は0または1である。
Ar1とAr2とが有していてもよいRA以外の置換基の例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基(即ち、ヒドロカルビル基)、メルカプト基、カルボニルメルカプト基、チオカルボニルメルカプト基、置換基を有していてもよい炭化水素チオ基、置換基を有していてもよい炭化水素チオカルボニル基、置換基を有していてもよい炭化水素ジチオ基、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、置換基を有していてもよい炭化水素カルボニル基、置換基を有していてもよい炭化水素オキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭化水素カルボニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭化水素1置換アミノ基、置換基を有していてもよい炭化水素2置換アミノ基、ホスフィノ基、置換基を有していてもよい炭化水素1置換ホスフィノ基、置換基を有していてもよい炭化水素2置換ホスフィノ基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、カルバモイル基、置換基を有していてもよい炭化水素1置換カルバモイル基、置換基を有していてもよい炭化水素2置換カルバモイル基、式:−B(OH)2で表される基、ホウ酸エステル残基、スルホ基、置換基を有していてもよい炭化水素スルホ基、置換基を有していてもよい炭化水素スルホニル基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、2個以上のエステル結合を有する炭化水素基、2個以上のアミド結合を有する炭化水素基、式:−CO2Mで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−PO2Mで表される基、式:−PO3M2で表される基、式:−OMで表される基、式:−SMで表される基、式:−B(OM)2で表される基、式:−SO3Mで表される基、式:−SO2Mで表される基(Mは金属カチオンまたは置換基を有していてもよいアンモニウムカチオンを表す。以下も同じ。)、式:−NR3M’で表される基、式:−BR3M’で表される基、式:−PR3M’で表される基、式:−SR2M’で表される基(前記式中、Rは1価の炭化水素基を表し、M’はアニオンを表す。)、および第4級化された窒素原子を複素環内に有する置換基を有していてもよい1価の複素環基等が挙げられ、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭化水素カルボニル基、シアノ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭化水素1置換アミノ基、置換基を有していてもよい炭化水素2置換アミノ基、スルホ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、および水素原子が好ましく、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、および置換基を有していてもよい1価の複素環基がより好ましく、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基、および置換基を有していてもよい1価の複素環基がさらに好ましく、置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基が特に好ましい。
ここで、RA以外の置換基がさらに有していてもよい置換基としては、炭素原子数が1〜10の1価の炭化水素基が好ましい(以下で定義または例示される置換基(基)において、特に説明がない場合には、これらの基が有し得る置換基においても同様である)。
Ar1およびAr2はRA以外の置換基を有していないことが、RA以外の置換基を有している場合と同等およびそれ以上に好ましい。
RA以外の置換基(置換原子)であるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
RA以外の置換基である1価の炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素原子数が1〜50のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素原子数が3〜50のシクロアルキル基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素原子数が2〜50のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素原子数が6〜50のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数が7〜50のアラルキル基が挙げられ、炭素原子数が1〜50のアルキル基、炭素原子数が6〜50のアリール基が好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が6〜18のアリール基がより好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が6〜12のアリール基が特に好ましい。
これらの1価の炭化水素基は、基中の水素原子のうちの少なくとも1個(特に1個〜3個の水素原子、とりわけ1個または2個の水素原子)が置換基で置換されていてもよい。
置換基の例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数が1〜12のアルコキシ基;アルコキシカルボニル基;シアノ基が挙げられる。
置換基の例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数が1〜12のアルコキシ基;アルコキシカルボニル基;シアノ基が挙げられる。
RA以外の置換基である、炭化水素チオ基、炭化水素チオカルボニル基、炭化水素ジチオ基、炭化水素オキシ基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、および炭化水素カルボニルオキシ基に含まれる炭化水素基部分は「1価の炭化水素基」として説明し、例示した通りである。これらの基に含まれる炭化水素基部分の水素原子のうちの少なくとも一部は前記「1価の炭化水素基」の場合と同様に置換されていてもよく、置換基の例としても同様の基が挙げられる。
RA以外の置換基である、炭化水素1置換アミノ基、炭化水素2置換アミノ基、炭化水素1置換ホスフィノ基、炭化水素2置換ホスフィノ基、炭化水素1置換カルバモイル基、炭化水素2置換カルバモイル基に含まれる炭化水素基部分は、「1価の炭化水素基」として説明し、例示した通りである。これらの基に含まれる炭化水素基部分の水素原子のうちの少なくとも一部は、前記「1価の炭化水素基」の場合と同様に置換基で置換されていてもよく、置換基の例として同様の基が挙げられる。
RA以外の置換基であるホウ酸エステル残基の例としては、以下の式から選ばれる基が挙げられる。
RA以外の置換基である1価の複素環基は、複素環式化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を1個取り除いた残りの原子団である。複素環式化合物の例としては、ピリジン、1,2−ジアジン、1,3−ジアジン、1,4−ジアジン、1,3,5−トリアジン、フラン、ピロール、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、アザジアゾール等の単環式複素環式化合物;単環式複素環式化合物を構成する複素環の2個以上が縮合した縮合多環式複素環式化合物;単環式複素環式化合物を構成する複素環2個を、または芳香環1個と単環式複素環式化合物を構成する複素環1個とを、メチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する有橋多環式複素環式化合物等が挙げられる。
複素環式化合物としては、ピリジン、1,2−ジアジン、1,3−ジアジン、1,4−ジアジン、1,3,5−トリアジンが好ましく、ピリジン、1,3,5−トリアジンがより好ましい。該1価の複素環基中の水素原子は置換基で置換されていてもよく、置換基の例としては、前記「1価の炭化水素基」についての置換基が挙げられる。
RA以外の置換基である2個以上のエステル結合を有する炭化水素基の例としては、以下の式から選ばれる基が挙げられる。
式中、R’は、置換基を有してもよい2価の炭化水素基(即ち、ヒドロカルビレン基)を表す。pは、2以上の整数である。複数個あるR’は、同一であっても異なっていてもよい。
R’で表される2価の炭化水素基の例としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基等の炭素原子数が1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基等のアルケニレン基、およびエチニレン基等の炭素原子数が2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基等の炭素原子数が3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基等の炭素数が6〜50のアリーレン基等が挙げられ、エチレン基が好ましい。これらの2価の炭化水素基が有する水素原子の少なくとも一部は置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、前記「1価の炭化水素基」についての置換基が挙げられる。
ここで、R’で表される2価の炭化水素基は前記の通り説明し例示した通りであり、R’は置換基を有してもよい。
RA以外の置換基である2個以上のアミド結合を有する炭化水素基の例としては、以下の式から選ばれる基が挙げられる。
式中、R’およびpは、前記と同じ意味を有する。ここで、R’で表される2価の炭化水素基は前記の通り説明し例示した通りであり、R’は置換基を有してもよい。
RA以外の置換基である、第4級化された窒素原子を複素環内に有する1価の複素環基の例としては、以下の式から選ばれる基が挙げられる。
前記M’で表される金属カチオンとしては、1価〜3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等の金属のイオンが挙げられる。
前記M’で表されるアンモニウムカチオンは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数が1〜10のアルキル基が挙げられる。
前記Rで表される1価の炭化水素基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
前記M’で表されるアニオンの例としては、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、テトラキス(イミダゾリル)ボレートアニオン、8−キノリノラトアニオン、2−メチル−8−キノリノラトアニオン、2−フェニル−8−キノリノラトアニオン等が挙げられる。
Ar1とAr2とが複数のRA以外の置換基を有する場合には、複数(通常2個)のRA以外の任意の置換基同士が結合して共に2価の基を形成して環を形成してもよく、形成された環を構成する原子の個数は5個〜10個が好ましく、5個〜7個がさらに好ましく、6個が特に好ましい。形成された環は、共役が分子内により広く広がるべく、π軌道を有していることが好ましく、π軌道が2個以上あることがさらに好ましく、芳香環となっていることが特に好ましい。
式(1)中、Gは直接結合または2価の連結基であり、連結基の例としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基の他に、以下の式(D−1)〜式(D−7)から選ばれる2価の基が挙げられる。Gの例としては、直接結合、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、式(D−1)〜式(D−3)、式(D−6)、および式(D−7)の基が好ましく、直接結合、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、式(D−1)、式(D−2)、および式(D−3)の基がより好ましく、直接結合、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基がさらに好ましく、直接結合が特に好ましい。
式中、Rdは水素原子または置換基を表し、この置換基はAr1とAr2とがRA以外に有していてもよい置換基として定義した通りである。Rdは、好ましくは炭素原子数が1〜20の1価の飽和炭化水素基または水素原子である。
前記の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基の例としては、以下の式(E−1)〜式(E−5)から選ばれる2価の基が挙げられる。
式中、Reは水素原子または置換基を表し、この置換基はAr1とAr2とがRA以外に有していてもよい置換基として示した通りである。Reは、好ましくは炭素原子数が1〜20の1価の飽和炭化水素基または水素原子である。
Gが連結基である場合の具体例としては、下記式(F−1)〜式(F−32)から選ばれる2価の基が挙げられる。これらの2価の基の中でも、合成が容易であるので、式(F−1)〜式(F−25)の基が好ましく、式(F−1)〜式(F−14)の基がより好ましい。
式(F−1)〜式(F−32)中、n−Prはプロピル基であり、n−Hexはヘキシル基であり、n−Octはオクチル基であり、Phはフェニル基であり、およびt−Buはtert−ブチル基である。
Gが直接結合である場合には、本発明の化合物は下記式(3)で表される構造単位を連続して2個以上有する化合物である。
式(3)中、Ar1、Ar2、R1およびR2は、前記式(1)で定義の通りである。
前記式(1)および式(3)の構造単位において、R1とR2とは水素原子または置換基を有してもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1とR2とは同一であっても異なっていてもよい。この1価の炭化水素基はAr1とAr2とが有していてもよい置換基として示した通りである。R1及びR2は、好ましくは炭素原子数が1〜6の1価の飽和炭化水素基または水素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
本発明の化合物は、前記式(1)で表される構造単位を連続して2個以上有する化合物である。換言すると、本発明の化合物は、化合物中において式(1)で表される複数の構造単位同士が直接的に結合している連続構造を含み、この連続構造において式(1)で表される構造単位のうちの側鎖であるG、Ar1およびAr2が構成する環構造であって、複数の隣り合う側鎖の環構造同士をスタックさせた側鎖型の化合物である。ここで、「(側鎖である)環構造同士をスタックさせた」とは、複数の隣り合う側鎖の環構造それぞれが有するπ軌道同士が互いに重なり合う程度に近接するように複数の環構造が配置されることを意味する。
本発明の化合物は前記式(1)で表される構造単位を好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上連続して有することが好ましい。
本発明の化合物中、前記式(1)で表される構造単位が連続している連続構造における前記式(1)で表される構造単位同士の結合の態様は、頭−尾結合、頭−頭結合、尾−尾結合のいずれであってもよく、特に制限はない。構造単位同士の結合の態様は、電気的特性を良好にできるので、下記の式(1−1)に示されるような頭−尾結合が好ましい。
本発明の化合物が有する前記式(1)で表される複数の構造単位は、単一の種類でなくてもよい。即ち、前記式(1)で表される構造単位において、R1、R2、Ar1、Ar2およびGのうちの少なくとも1つが互いに異なる、複数種類の構造単位同士が連結している場合でも、「式(1)で表される構造単位を連続して2個以上有する」態様に含まれる。
本発明の化合物が、化合物中に前記式(1)で表される構造単位を連続して2個以上有することを確認する方法としては、1H−NMRによるスペクトルの測定が挙げられる。
即ち、1H−NMRスペクトルにおいてAr1および/またはAr2のプロトンのシグナルが、通常のケミカルシフトよりも高磁場側にシフトしていることを検出すればよい。このシグナルの高磁場側へのシフトは、隣り合う複数個の構造単位において、隣り合う複数個の側鎖のπ軌道同士が重なっていることに由来する。
即ち、1H−NMRスペクトルにおいてAr1および/またはAr2のプロトンのシグナルが、通常のケミカルシフトよりも高磁場側にシフトしていることを検出すればよい。このシグナルの高磁場側へのシフトは、隣り合う複数個の構造単位において、隣り合う複数個の側鎖のπ軌道同士が重なっていることに由来する。
前記式(1)で表される構造単位において、R1とR2とが異なる場合には、本発明の化合物中、式(1)で表される構造単位が連続する場合に、R1およびR2が結合する炭素原子が不斉炭素原子となり、2種類の連続構造になりえる。前記式(1)で表される構造単位がさらに連続する場合においては、さらに多くの種類の連続構造ができる。本発明の化合物においては、この連続構造に制限はない。また前記式(1)で表される構造単位において、Ar1とAr2とが異なる場合についても同様に、本発明の化合物中、前記式(1)で表される構造単位の連続構造の種類に多様性が現れる。この場合についても連続構造の種類に制限はない。ただし、連続する構造において、π軌道の十分な重なりを発現するためには、これらの多様な連続構造の中に好ましい連続構造の種類がある。
本発明の化合物が有する構造単位のうち、前記式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位については特に制限はないが、本発明の化合物が有する前記式(1)で表される構造単位が少なくなると側鎖のπ軌道同士が重なる割合が減るため、導電性が低下してしまう場合がある。したがって、本発明の化合物における、前記式(1)で表される構造単位のモル比(個数比)は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
本発明の化合物が有する構造単位のうち、前記式(1)で表される構造単位とは異なる他の構造単位は、好ましくは下記式(6)で表される構造単位である。
式(6)中、R1とR2とは水素原子または、置換基を有してもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基であり、R1とR2とは同一であっても異なっていてもよい。R21およびR25は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の基であり、同一であっても異なっていてもよい。
前記式(6)の構造単位において、R21およびR25は、Ar1とAr2がRA以外に有していてもよい置換基として示した通りである。前記式(6)で表される構造単位の具体例としては、下記式(V−1)〜式(V−12)の構造単位が挙げられる。
本発明の化合物は、主鎖が鎖状に長く伸びた構造である方が、隣り合う側鎖のπ軌道同士の重なりやすさの観点から好ましい。即ち、一般的には高分子またはオリゴマーと呼ばれる形態であることが好ましい。これらの場合には末端基が主鎖の末端に結合している。
末端基の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基が挙げられる。
末端基の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基が挙げられる。
本発明の化合物は、好ましくは下記式(4−1)および下記式(4−2)で表される構造単位を有し、下記式(4−1)で表される構造単位を連続して2個以上有する。
式(4−1)および式(4−2)中、
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
RAは下記式(2)で表される1価の基である。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
RAは下記式(2)で表される1価の基である。
式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。
式(4−1)および式(4−2)で表される構造単位を有する化合物において、R1、、R2およびRAの例、有していてもよい置換基の例等は、前記式(1)にかかる説明の通りである。
式(4−1)および式(4−2)で表される構造単位を有する化合物は、式(4−1)で表される構造単位をモル比で5%以上含むことが好ましい。換言すると、式(4−1)および式(4−2)で表される構造単位を有する化合物において、互いにスタックし得る側鎖に含まれるフェニレン基の総数のうちの10%以上がRAを有していることが好ましい。
本発明の化合物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて標準ポリスチレン換算値の数平均分子量として得ることができる。本発明の化合物の数平均分子量の値としては300〜1000万が好ましく、300〜100万がより好ましく、400〜20万がさらに好ましく、400〜1万が特に好ましく、400〜4000がとりわけ好ましい。
本発明の化合物は、複数本の主鎖を含み、かつ異なる主鎖に結合している側鎖である環構造同士が互いに架橋している構造を有してもよい。
<合成方法>
本発明の化合物を合成するための方法の例としては、下記式(1−2)で表される化合物を反応させる方法が挙げられる。
本発明の化合物を合成するための方法の例としては、下記式(1−2)で表される化合物を反応させる方法が挙げられる。
式(1−2)中、Ar1、Ar2、R1、R2およびGは、前記式(1)で定義の通りである。
本発明の化合物を合成するための方法においては、下記式(1−3)で表される化合物を用いることが好ましい。
式(1−3)中、Ar1、Ar2、R1、およびR2は、前記式(1)で定義の通りである。
本発明の化合物を合成するための方法においては、下記式(1−4)で表される化合物を用いることがより好ましい。
式(1−4)中、R1およびR2は、前記式(1)で定義の通りであり、RAは、前記式(2)で定義の通りである。RAの好ましい構造は、上記式(2−1)で定義された通りである。
式(1−2)で表される化合物を用いた本発明の化合物の合成における反応条件には、アニオン重合、カチオン重合またはラジカル重合で用いられる条件を適用することができる。とりわけアニオン重合で用いられる条件が好ましい。
アニオン重合の条件を用いた場合の具体的な方法としては、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドなどの溶媒中で、式(1−2)で表される化合物に、メチルリチウム(MeLi)、ブチルリチウム(n−BuLi)などの有機リチウム化合物を用いて反応させる方法が挙げられる。
<有機薄膜>
本発明は、前記本発明の化合物を用いてなる有機薄膜に関する。本発明の化合物は、側鎖、置換基の選択により電子受容性化合物、電子供与性化合物のいずれとしても機能することができる。よって本発明の化合物は、電界効果型トランジスタなどの有機半導体素子の電荷注入層、電荷輸送層、活性層などである有機薄膜の機能性材料として好適に用いることができる。
本発明は、前記本発明の化合物を用いてなる有機薄膜に関する。本発明の化合物は、側鎖、置換基の選択により電子受容性化合物、電子供与性化合物のいずれとしても機能することができる。よって本発明の化合物は、電界効果型トランジスタなどの有機半導体素子の電荷注入層、電荷輸送層、活性層などである有機薄膜の機能性材料として好適に用いることができる。
本発明の化合物を含む有機薄膜の形成には、前記の通り、従来公知の任意好適な形成方法を選択することができる。本発明の化合物を含む有機薄膜は、塗工液を用いる塗布法により形成することが好ましい。
塗布法による有機薄膜の形成方法としては、本発明の化合物を溶媒または分散媒中に分散させた塗工液を塗布する方法、別の支持基板上に形成された塗工液の層を転写する方法などが好適である。
塗布法の例としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、およびインクジェット印刷法などが挙げられる。
前記有機薄膜を形成する際に、(1)適切な溶媒を選択する、(2)ラビングした基板上に形成する、(3)光配向膜上に形成する、或いは(4)形成された膜の溶媒が徐々に蒸発するようにする、(5)形成された膜を高温でアニールする、(6)延伸する、(7)磁場をかける等の処理により、有機薄膜に含まれる本発明の化合物の隣り合う複数の側鎖におけるπ軌道同士の重なりの程度、即ち、スタックの程度を高め、より良好なπ-π相互作用を得ることができる。スタックの程度が高まったことは、X線回折(XRD)法等で確認できる。スタックの程度が高まった連続構造では、HOMO間および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値がより大きくなるため、キャリア移動度をより大きくすることができる。
<有機半導体素子>
ここで本発明の化合物を好適に適用できる有機半導体素子の例として電界効果型有機薄膜トランジスタの構成およびその製造方法について説明する。
ここで本発明の化合物を好適に適用できる有機半導体素子の例として電界効果型有機薄膜トランジスタの構成およびその製造方法について説明する。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極、ソース電極およびドレイン電極の間の電流経路となり、かつ本発明の化合物を含有する有機半導体層、電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層(ゲート絶縁膜)を備えることが好ましい。特に、ソース電極およびドレイン電極が、本発明の化合物を含有する有機半導体層に接しており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。
本発明の化合物が用いられる電界効果型有機薄膜トランジスタは、例えば特開平5−110069号公報に記載されているような従来公知の方法に準じて製造することができる。この方法によれば、電界効果型トランジスタは、端子を備えたゲート電極にゲート絶縁膜を形成し、該ゲート絶縁膜に、本発明の化合物を含み、活性化処理により半導体特性を有するようになる有機薄膜を形成し、ゲート電極を保護しながら前記有機薄膜を活性化処理して半導体特性を有する有機薄膜とした後、ゲート電極の端子を露出させ、並びに前記半導体特性を有する有機薄膜にソース電極およびドレイン電極を形成することにより製造することができる。
本発明の化合物を用いた有機薄膜トランジスタを例えばスイッチング素子として用いることができる。本発明の化合物を用いた有機薄膜トランジスタを、インクジェットプリント法などの塗布法を利用して製造できる有機エレクトロルミネッセンス素子と組み合わせれば、電気的特性がより優れた大面積の発光領域を有する装置、例えばフレキシブルディスプレイをより簡便な方法で製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(合成例1)2,7-ジヨード-9-フルオレノンの合成
9-フルオレノン(108.13g,600.06mmol)の酢酸-水-硫酸(100:20:3,v/v/v,1000mL)懸濁液を内温70℃に加熱した。この温度で過ヨウ素酸二水和物(68.90g,302.27mmol)およびヨウ素(154.91g,610.34mmol)を順に加え、さらに内温を85℃に上げ、8.5時間加熱しつつ撹拌した。得られた反応液を放冷して室温とした後、析出した結晶をろ取し、500mLの水で3回洗浄し、次いで一晩真空ラインで乾燥した。得られた結晶(約248g)をエタノール(1250mL)に懸濁させ、30分間還流撹拌した。得られた反応液を放冷して室温とした後、析出した結晶をろ取し、エタノールで洗浄して、2,7-ジヨード-9-フルオレノン(238.10g,y91%)を黄色の固体として得た。1H-NMRの測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (ppm/400MHz, CDCl3) 7.27 (2H, d), 7.83 (2H, d), 7.96 (2H, s).
9-フルオレノン(108.13g,600.06mmol)の酢酸-水-硫酸(100:20:3,v/v/v,1000mL)懸濁液を内温70℃に加熱した。この温度で過ヨウ素酸二水和物(68.90g,302.27mmol)およびヨウ素(154.91g,610.34mmol)を順に加え、さらに内温を85℃に上げ、8.5時間加熱しつつ撹拌した。得られた反応液を放冷して室温とした後、析出した結晶をろ取し、500mLの水で3回洗浄し、次いで一晩真空ラインで乾燥した。得られた結晶(約248g)をエタノール(1250mL)に懸濁させ、30分間還流撹拌した。得られた反応液を放冷して室温とした後、析出した結晶をろ取し、エタノールで洗浄して、2,7-ジヨード-9-フルオレノン(238.10g,y91%)を黄色の固体として得た。1H-NMRの測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (ppm/400MHz, CDCl3) 7.27 (2H, d), 7.83 (2H, d), 7.96 (2H, s).
(合成例2)MEF-one(2,7-ビス(2-メトキシエトキシ)フルオレノン)の合成
2,7-ジヨード-9-フルオレノン(151.24g,350.09mmol)をトルエン(2800mL)に加熱しつつ溶解させた後、2-メトキシエタノール(700mL)、炭酸セシウム(288.65g,885.92mmol)、ヨウ化銅(I)(14.11g,74.09mmol)および1,10-フェナントロリン(25.60g,142.06mmol)をこの順で加え、内温95℃で20時間加熱しつつ撹拌した。加熱を止め、内温が70℃に下がったところで、反応液をセライト膜を用いてろ過した。ろ上物を酢酸エチル(2L)で洗浄し、合わせたろ液を濃縮した。得られた残渣(195.54g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤;シリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン(体積比)=1:1→酢酸エチル)で精製して、MEF-oneの粗結晶を97.31g得た。この粗結晶をメタノール(4000mL)に加え、加熱しつつ溶解させた。粗結晶の溶け残りをろ過して除き、室温に放冷後、析出した結晶をろ取し、MEF-one(77.56g,y67%)をオレンジ色の固体として得た。1H-NMRの測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (ppm/400MHz, CDCl3) 3.46 (6H, s), 3.75 (4H, dd), 4.15 (4H, dd), 6.98 (2H, d), 7.17 (2H, s), 7.28 (2H, d).
2,7-ジヨード-9-フルオレノン(151.24g,350.09mmol)をトルエン(2800mL)に加熱しつつ溶解させた後、2-メトキシエタノール(700mL)、炭酸セシウム(288.65g,885.92mmol)、ヨウ化銅(I)(14.11g,74.09mmol)および1,10-フェナントロリン(25.60g,142.06mmol)をこの順で加え、内温95℃で20時間加熱しつつ撹拌した。加熱を止め、内温が70℃に下がったところで、反応液をセライト膜を用いてろ過した。ろ上物を酢酸エチル(2L)で洗浄し、合わせたろ液を濃縮した。得られた残渣(195.54g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤;シリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン(体積比)=1:1→酢酸エチル)で精製して、MEF-oneの粗結晶を97.31g得た。この粗結晶をメタノール(4000mL)に加え、加熱しつつ溶解させた。粗結晶の溶け残りをろ過して除き、室温に放冷後、析出した結晶をろ取し、MEF-one(77.56g,y67%)をオレンジ色の固体として得た。1H-NMRの測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (ppm/400MHz, CDCl3) 3.46 (6H, s), 3.75 (4H, dd), 4.15 (4H, dd), 6.98 (2H, d), 7.17 (2H, s), 7.28 (2H, d).
(合成例3)MEDBFの合成
下記のスキームにしたがって、MEF-oneを用いてMEDBF(2,7-ビス(2-メトキシエトキシ)ジベンゾフルベン)を合成した。
下記のスキームにしたがって、MEF-oneを用いてMEDBF(2,7-ビス(2-メトキシエトキシ)ジベンゾフルベン)を合成した。
メチルトリフェニルホスホニウムヨージド(461mg)のテトラヒドロフラン(THF,15mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液(1.63M)0.52mLを窒素ガス雰囲気下において-78℃で30分間かけて加え、ウィッティッヒ試薬(CH2=PPh3)を得た。このウィッティッヒ試薬にMEF-one(250mg)を加え、室温まで加熱した。この反応液を室温での暗所下で3時間攪拌した後、ジエチルエーテルで希釈して、ろ過することによってトリフェニルホスフィンオキシド(固体)を除去し、ろ液を濃縮した。これをクロマトグラフィー(充填剤;シリカゲル、展開溶媒;ベンゼン:ジエチルエーテル(体積比)=4:1)で分離し、MEDBF(108mg,y42%)を黄色粉体として得た。
(実施例1)ポリマー1の合成例(MEDBFのラジカル重合)
下記のスキームにしたがって、MEDBFを用いてポリ(MEDBF)(ポリマー1)を合成した。
下記のスキームにしたがって、MEDBFを用いてポリ(MEDBF)(ポリマー1)を合成した。
AIBN(2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル))(2.01mg)を開始剤として用いて、MEDBF(100mg)をクロロホルム(0.25mL)中、窒素ガス雰囲気下、60℃、暗所下で24時間かけて重合させた。重合混合物をノルマルヘキサンに加えてポリマーの沈殿物を発生させ、沈殿物をろ過によって精製し、ポリマー1(66mg,y66%)を白色粉体として得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は25600であり、重量平均分子量(Mw)との比はMw/Mn=1.76であった。
(実施例2)ポリマー2の合成例(MEDBFのカチオン重合)
下記のスキームにしたがって、MEDBFを用いてポリ(MEDBF)(ポリマー2)を合成した。
下記のスキームにしたがって、MEDBFを用いてポリ(MEDBF)(ポリマー2)を合成した。
三フッ化ホウ素エチルエーテル(1.89μL)を開始剤として用いて、MEDBF(100mg)を塩化メチレン(0.5mL)中、0℃、暗所下で24時間かけて重合させた。重合混合物をノルマルヘキサンに加えてポリマーの沈殿物を発生させた。沈殿物をろ過によって精製し、白色粉体としてポリマー2(51mg,y51%)を得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は92400であり、重量平均分子量(Mw)との比はMw/Mn=9.40であった。
(実施例3)電荷移動度の評価
導電性シリコン基板の表面を酸化させて絶縁層を作製し、この絶縁層上にソース電極とドレイン電極とを金を蒸着することにより作製した。チャネル幅は1mmであった。絶縁層の一部分を除去することにより導電性シリコン基板の一部分を絶縁層から露出させた。露出した導電性シリコン基板の一部分に銀ペーストを付けてゲート電極接点とした。上記ポリマー1をクロロホルムに溶かした塗布液1およびポリマー2をクロロホルムに溶かした塗布液2を準備し、塗布液1または塗布液2をソース電極とドレイン電極の両方にまたがって覆うように塗布し、クロロホルムの蒸気存在下で、ゆっくりと乾燥させた。ポリマー1およびポリマー2を構成する構造単位は-OCH2CH2OCH3で表される基を有する。結果として、ポリマー1およびポリマー2はいずれも溶媒に対する優れた溶解性を有しているため、電気有機素子(塗布液1を用いた素子1および塗布液2を用いた素子2)を塗布法により容易に作製することができた。
上記のとおり作製された電気有機素子(素子1および素子2)それぞれを用いて電荷移動度を測定した。結果を表1に示す。なお、絶縁層のキャパシタンスは11.9nF/cm2であった。
導電性シリコン基板の表面を酸化させて絶縁層を作製し、この絶縁層上にソース電極とドレイン電極とを金を蒸着することにより作製した。チャネル幅は1mmであった。絶縁層の一部分を除去することにより導電性シリコン基板の一部分を絶縁層から露出させた。露出した導電性シリコン基板の一部分に銀ペーストを付けてゲート電極接点とした。上記ポリマー1をクロロホルムに溶かした塗布液1およびポリマー2をクロロホルムに溶かした塗布液2を準備し、塗布液1または塗布液2をソース電極とドレイン電極の両方にまたがって覆うように塗布し、クロロホルムの蒸気存在下で、ゆっくりと乾燥させた。ポリマー1およびポリマー2を構成する構造単位は-OCH2CH2OCH3で表される基を有する。結果として、ポリマー1およびポリマー2はいずれも溶媒に対する優れた溶解性を有しているため、電気有機素子(塗布液1を用いた素子1および塗布液2を用いた素子2)を塗布法により容易に作製することができた。
上記のとおり作製された電気有機素子(素子1および素子2)それぞれを用いて電荷移動度を測定した。結果を表1に示す。なお、絶縁層のキャパシタンスは11.9nF/cm2であった。
表1から明らかなように、素子1(ポリマー1)および素子2(ポリマー2)はいずれも高い電荷移動度を有していた。
Claims (8)
- 下記式(1):
(式(1)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
Gは直接結合または連結基であり、複数個存在するGは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
で表される構造単位を連続して2個以上有しており、複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有している化合物。 - Ar1およびAr2の芳香環の骨格が炭素原子のみからなる芳香族基である、請求項1または2に記載の化合物。
- 化合物中に複数個存在するAr1およびAr2のうちのモル比で10%以上がRAを有するフェニレン基である、請求項3に記載の化合物。
- 下記式(4−1)および下記式(4−2)で表される構造単位を有し、下記式(4−1)で表される構造単位を連続して2個以上有する化合物。
(式(4−1)および式(4−2)中、
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
RAは下記式(2)で表される1価の基である。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。)) - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を用いてなる有機半導体薄膜。
- 下記式(1−3)で表される化合物。
(式(1−3)中、
Ar1およびAr2は2価の芳香族基であり、Ar1およびAr2は同一であっても異なっていてもよく、Ar1およびAr2は下記式(2)で表される1価の基であるRAを有していてもよく、Ar1およびAr2はRA以外にも置換基を有していてもよい。
R1およびR2は水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜20の1価の炭化水素基である。R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。
(式(2)中、
Rsは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜10のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。
G’は、−O−で表される基、−S−で表される基、−NRs−で表される基またはこれらが連結した2価の基である。
jは1〜50の整数である。kは1以上の整数である。複数個存在するRs、複数個存在する場合のG’およびjの各々は、同一であっても異なっていてもよい。
mは0または1である。))
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CN113105384A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-07-13 | 江苏广域化学有限公司 | 咔唑、芴类有机电致发光中间体的制备方法 |
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-
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