JP2013208454A - 脈管フィルタ - Google Patents

Abstract

【課題】栓子を捕捉するための新規で改良された製品を提供する。
【解決手段】
脈管システムは、少なくとも１つのフープを有し、少なくとも縮小位置から拡張位置へと動くことができる自己拡張型装置と、該自己拡張型装置が拡張位置にあるときに、平面状のフィルタ形状を形成するべく、フープに亘って延長するフィルタマトリクスとを備える。自己拡張型骨組及び生分解性ポリマ系、例えばステント様のニチノール（登録商標）要素及びＰＬＧＡを用いて、現場での少なくとも部分的な使用後の分解により、脈管構造への有害な影響や他の処置の負の人工産物無しで、血栓の捕捉に関連する長年の問題を処理する。
【選択図】図１

Description

本発明は、新規で改良した外科用器具に関する。特に、本発明は、改良されたトラップ面を必要とする脈管の外科的及び介入的放射線処置に有用な装置に関する。

例えば、大静脈フィルタに関連して必要性が実証されたことによって、血栓の肺への移動を防止する新しい器具の開発が促進されている。挿入の問題を最小にしつつ、より大きくかつ効率的なトラップ面を提供することが、当該技術分野において長年必要とされており、回収可能なＩＶＣフィルタの出現は、現在の治療モード及び治療方法を悩ませる問題を処理することなく、必要性を強調しているだけである。

外科的又は放射線の介入が行われたとき、及び血餅又は血栓の発生に関連する健康状態又は病因をもって患者が現れたとき、それらが有害又は致死的なものとなり得る体の他の領域へ通過するのを防止する機能をもつ医療器具が導入されている。

このような状態を取り扱うのに使用されている典型的な器具は、未だに問題処理しなければならない多くの長年に亘る必要性を生じさせている。これらを裏付ける実例として、これらの欠点の大部分を生じさせているデバイスが以下の米国特許明細書に記載されており（特許文献１乃至１１）、これらは本願発明の教示事項が出現する以前の技術分野の状態を画定するのに資するものであり、その内容はこれらを引用することにより本願明細書に記載されているものとする。

米国特許第５，３７５，６１２号明細書 米国特許第６，２６７，７７６号明細書 米国特許第６，９３２，８３２号明細書 米国特許第６，６６９，７２１号明細書 米国特許第６，６６６，８８２号明細書 米国特許第６，６５２，５５８号明細書 米国特許第６，５８２，４４７号明細書 米国特許第６，６６９，７２１号明細書 米国特許第６，６０５，１１１号明細書 米国特許第６，５１７，５５９号明細書 米国特許第６，２６７，７７６号明細書

以下に説明するように、これら各文献を、それらによって具体化された器具についても検討したが、本発明の主題とは差別化されるものであることが分かった。更に、最近５年間に７９もの器具が副作用としての病的性質の可能性があるために市場から取り除かれていることが注目される。同様に、頸動脈ステント留置術自体が問題となっており、フィルタの必要性が増すばかりである。

これらの理由により、及び患者にとって従来技術よりも良好に機能する治療を提供することが緊急に必要とされることから、その検討のために本発明を提供する。

本願発明者らは、とりわけ肺塞栓症の再発を防止する上で、長年の問題を、改良された生分解性フィルタの大静脈への経皮的配置により克服した。この改良された治療方法は、抗凝固剤が禁忌である場合に肺血栓塞栓症を処理し、血栓塞栓症の疾患を治療し、広範型の肺塞栓症及び慢性、再発性塞栓症を既存の器具よりも良好に処理するものである。有効な器具とともに、より安全な器具が非常に望まれている。

本発明の特徴によれば、相変化を受けて第１位置から第２位置へと動くことが可能な自己拡張型装置と、前記装置の相変化とともに緩めた状態からピンと張った状態へと拡張する複数のポリマ紐状部材とを、操作可能に結合して組み合わせてなる生分解性脈管フィルタシステムであって、脈管又は体の内腔の少なくとも一方にあるとき、その中を移動する血栓を捕捉するのに効果的なフィルタシステムが提供される。前記ポリマ紐状部材が緩めた状態又は緊張の無い状態にある中間位置が適応症によって適当な場合が多いことは、当業者に理解されるところである。このような器具は、添付図面（例えば図３を参照）及び、特許請求の範囲に記載されるように、明らかに本発明の教示事項の範囲内である。

本発明の別の特徴によれば、血栓による傷害及び損傷を軽減するための方法は、生分解性ポリマと操作可能に連結されたニチノールの骨組を更に有する脈管フィルタデバイスを提供する過程と、前記脈管フィルタデバイスを脈管内の所望の位置に留置する過程と、前記脈管フィルタデバイスを現場に残す過程とを組み合わせて構成される。

本発明のある特徴によれば、脈管内に留まる機能を有する装置と、前記脈管内に留置したときに緩めた状態からピンと張った状態へと、少なくとも円錐状又は切頭円錐状の形態を含む少なくとも１つの形態で配置され得る複数のポリマ紐状部材とを組み合わせてなる生分解性脈管フィルタシステムであって、脈管又は体の内腔の少なくとも一方に留置されたとき、その中を移動する血栓を捕捉するのに効果的なフィルタシステムが提供される。

本発明によれば、少なくとも１つのフープを有し、少なくとも縮小位置から拡張位置へと動くことができる自己拡張型装置と、該自己拡張型装置が拡張位置にあるときに、平面状のフィルタ形状を形成するべく、フープに亘って延長するフィルタマトリクスとを備える脈管システムが提供される。

簡単に言えば、栓子を捕捉するための新規な改良された製品及び方法は、自己拡張型骨組及び生分解性ポリマ系、例えばステント様のニチノール（登録商標）要素及びＰＬＧＡを用いて、現場での少なくとも部分的な使用後の分解により、脈管構造への有害な影響や他の処置の負の人工産物無しで、血栓の捕捉に関連する長年の問題を処理する。

本発明の実施例による生分解性フィルタを示す概略図である。 本発明の別の実施例による生分解性フィルタを示す概略上面図である。 （Ａ）図は本発明の実施例による生分解性フィルタの概略部分透視図、（Ｂ）図は第１の緊張の無い状態を表した配置を示す別の概略図、（Ｃ）図は第２の緊張の無い状態を表した配置を示す別の概略図である。 本発明の実施例による生分解性フィルタの概略側面図である。 本発明の実施例による概略側面図である。 本発明の実施例による生分解性フィルタの部分平面図である。 本発明の実施例による生分解性フィルタの側面図である。 本発明の実施例による生分解性フィルタの側面図である。

本発明の上述した特徴及び目的は、以下に添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例にかかる詳細な説明を参照することにより、より明確になる。尚、添付図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号を付して示す。

本願発明者らは、新規で改良した方法及び製品が血栓性の傷害、損傷及び関連する又は付随する傷害を軽減することを見出した。例えば、ニチノール（登録商標）などの形状記憶合金又はプラスチックと生分解性ポリマ系とを組み合わせることによって、血栓の透過を阻止するのに有効な改良された外科用フィルタを開示している。また、様々な実施例を用いた方法を教示しており、前記骨組が脈管内に成長する一方で、前記ポリマ系が吸収され又は分解される。

生分解性ポリマ系が、動物への使用について承認されている又は承認されるべきあらゆる関連する生体適合性を有する部分の組合せを含むことは、当業者であれば容易に理解される。一例をもって説明すると、ポリ乳酸・グリコール酸（poly（lactic-co-glycolic）acid）（以下、「ＰＬＧＡ」）は、米国食品医薬局（「ＦＤＡ」）が承認した器具での有力な使用実績を有する如何なる生分解性ポリマでも容易に置き換え可能である。

同様に、デリバリシステムは従来のものであり、全ての主要な心血管疾患に関わる企業で使用されており、そのことはこのような医療器具の設計及び実施において考慮しなければならない。これら器具の傾向は、より大きくかつより効果的なトラップ面及びより小型で低侵襲性の挿入システムを得ることである。

これらの分野における他の器具の著名なものの例として、C.R.Bard Incorporatedの一部門であるBard Peripheral Vascularから市販されているRecoveryブランドのフィルタシステムに加えて、B.Braunから販売されているＬＰブランドのフィルタ、Gunther Tulip（登録商標）ブランドの大静脈フィルタ、及びCordis Opteaseブランドの永続的大静脈フィルタが含まれる。これらデバイスの全てに関連して有害な結果が許容し難いほどに多く記録されている。

ＰＬＧＡは、グリコリドとラクチドとの共重合化により合成することができる。本願発明者らは、プレディケートな器具及び方法を調査したが、本発明が教示するようなＰＬＧＡ又は他のそのような生分解性ポリマの他の使用方法は見当たらなかった。しかしながら、現場での履歴を有する多くの材料が本発明の目的に十分であることは、当業者であれば容易に理解される。

同様に、フィルタの改良に有用な徴候が明らかであるにも拘わらず、本発明が目的とする問題を有効に処理しかつ解決しているものは、現在のところ全く知られていない。本発明が必要であることを示す別の例として、脈管フィルタが一般に必要に応じて別の内腔に適合させられ又は使用されている。例えば、図５乃至図８を参照。

別の公知のフィルタは、Boston Scientific（登録商標）から市販されているGreenfield（登録商標）ブランドのフィルタである。これらの各器具を研究したところ、共通の課題に由来する様々な合併症を受け易いことが分かった。本発明はこれらの問題を解消するものである。

捕捉した栓子によるフィルタの閉塞は、強力な血栓溶解療法を必要とする腎不全から対象患者の死亡までを含む有害な事象をもたらす場合が多い。金属疲労及び破砕、停滞の流れ特性及び流れ面積の低下が重要な問題を発生させる。公知の器具に関連する固定用フック及び公知のシステムの配置に関連する強い半径方向の力もまた、脈管の傷害及び損傷をリストに加えている。

次に図１を参照すると、新規な改良された生分解性フィルタは、器具１０１として一般的にかつ概略的に図示されており、ニチノール（登録商標）又は「ばね鋼」の利点を最大限に有効利用した支柱１１１が、脈管の所望の内腔のようなより高い温度を有する環境内で解放されると第１（縮小された）位置から第２の（拡張された）状態まで動くようになっている。技術者であれば、カテーテルの分野で一般に行われているように、この拡張を拘束手段で遅らせ得ることが理解される。前記「ばね鋼」が第１位置から第２位置へ動くようにしてニチノールの支柱１１１が拡張することにより引っ張られると、ＰＬＧＡマトリクス１１３によってトラップ機構が提供される。

次に、図２を参照すると、器具１０１の拡張した支柱１１１がＰＬＧＡ（又は、上述したようにかつ特許請求の範囲に記載されるように、他のあらゆる生分解性ポリマ系）のマトリクス１１３を、それに付随する流れの制限を強制することなく、どのようにして栓子を有効に捕捉できるようにするかを示している。器具１０１の配置は、強い半径方向の力による脈管の損傷を生じさせることがなく、また脈管の壁部を破ることにより損傷することがない。むしろ、ニチノールの支柱１１１は、緩やかに脈管壁部と合体して、脈管の新生内膜内に成長する。

次に図３（Ａ）を参照すると、器具１００のステント様の実施例は、ニチノールのフープ１１７を特徴とし、その記憶によってデリバリカテーテル内に収めることができ、かつ最小侵襲技術によって適当な部位に配送される。当業者であれば、この図に示す緩めた状態から、本発明による器具が多くの場合にどのようにして最も有効に配置されるかが理解される。同様に、ＰＬＧＡ又は他の生分解性生体吸収性材料をフープ１１７に用いることができる。

図３（Ｂ）及び図３（Ｃ）は、本発明のシステムを用いる場所によって異なる様々な状態で使用され得る展張の程度がどのように異なるかを示している。当業者であれば、人間の脈管構造に関して、これが最良に機能する場所及び方法が理解される。

形状記憶合金を医療器具に用いることは、その機能とともに、当業者によく知られており、SMART（登録商標）型の自己拡張型ステント（Cordis Endovascular,Johnson & Johnson）に従って、器具１０１を公知のカテーテルのシステムによって有効に配送することができ、かつ脈管の適当な接合部にそれを損傷することなく配置することができる。例えば、イントロデューサ及びガイドワイヤシステム（米国ＦＤＡにより承認され、Medtronic（登録商標） AVE、Guidant（登録商標）、Edward LifeSciences（登録商標）LLC又はCook Endovascularから市販されている）の大腿部への挿入によりあらゆる公知の脈管内に配置することは従来行われている。

例えばＰＬＧＡウェブ１１３を有するステント様の器具１０１の利点は、公知の技術と比較する上で重要である。例えば、フィルタを患者の中に残したり、又はそれを引きずり出すことによって回収しようとすることは、何れも良い結果よりも有害なことが多いが、それらと対照的に、本発明は、器具を中に残したままで、ＰＬＧＡを時間が過ぎると溶解させ、残りの構造を脈管の壁部に内皮化させかつ包み込ませることを教示している。

次に図４を参照すると、Cook EndovascularのBird-Nest（登録商標）ブランドの器具に類似した別の実施例が示されている。この生分解性フィルタ２０１は、同様にニチノール（登録商標）の支柱２１１からなり、カテーテル／デリバリシステム２２２内に第１の（縮小した）状態で図示されている。同様に、「ばね鋼」を冷やし、冷却し又はさもなければ拘束して、この第１の状態を維持する。ニチノール２１１は、正しい温度変化及び「記憶」に基づいてオーステナイトからマルテンサイトへの相変化を受け、ヘルスケアプロバイダがその大きさを所望の脈管に適したものにできるようにしている。ＰＬＧＡは有効なポリマ系であり、当業者であれば他のものを同様に使用できることが分かる。

図５乃至図８は、ニチノールの支柱の第２の即ち拡張した状態を示しており、それぞれ近位端部３１１及び遠位端部３１２（４１１、５１１）が各脈管内で栓子を濾過するのに使用される。図５は、例えば、血栓塞栓症の妊娠患者に使用することができる。このような疾患状態では、血栓溶解療法又は外科的血栓発生処置による広範な腋窩−大腿部（illofemoral）深部静脈血栓症が最大の関心事である。

当該技術分野の器具は、これらの処置の際に栓子を捕捉するように設計されているが、一般により多くの危険因子をそれらを防止するよりも追加することになる。本発明はこれらの問題を解消し、外科医及び介入的治療を行う者に選択枝を可能にする。

また、永続的大静脈フィルタが多くの場合に肺血栓症や、本発明の教示事項によりその多くが処理されかつ克服される他の重大な合併症を生じさせることは、文献において顕著である。

図６乃至図８は、一時的なフィルタとして使用され得る特別仕様のタイプを示している。本発明によって、医療従事者は、技術者が知っているように、脈管構造の様々な位置において栓子捕捉の問題を処理することができる。

同様に、図７及び図８は、外傷及び整形外科手術のためにニチノールのステント様部材４１１、５１１を使用し、ＰＬＧＡ（及び類似のポリマ）４１３、５１３が同様に小児科、肝臓、胆管の用途に合わせて特別に作られている。また、アンカ５３８は、内腔に接近することが要求される場合又は別の配置手段を必要とする特別な方法やより小さい脈管に使用することができる。このような使用方法は、外科医や当該分野の介入的放射線技術者が念願する範囲内であり、今回はこれ以上の議論を省略する。

上記装置及び方法は、現在最も実用的で好ましい実施例であると考えられる点から説明したが、その開示事項は開示した実施例に限定する必要がないことは理解すべきである。これは、特許請求の範囲に記載される技術的事項の範囲に含まれる様々な変形及び類似の構造を含むことを意味しており、その範囲は、そのような全ての変形及び類似の構造を包含するように最も広い解釈が許容されるべきである。本明細書の開示事項には、特許請求の範囲の全ての実施例が含まれる。

１００，１０１ 器具
１１１，２１１ 支柱
１１３ マトリクス
１１７ フープ
２０１ フィルタ
２２２ カテーテル／デリバリシステム

Claims (10)

1. 少なくとも１つのフープを有し、少なくとも縮小位置から拡張位置へと動くことができる自己拡張型装置と、
   前記自己拡張型装置が前記拡張位置にあるときに、平面状のフィルタ形状を形成するべく、前記フープに亘って延長するフィルタマトリクスとを備える脈管システム。
2. 前記フィルタマトリクスが、前記自己拡張型装置に連結されている複数の紐状部材を有し、前記自己拡張型装置が前記縮小位置にあるときに、前記複数の紐状部材が緩んでおり、前記自己拡張型装置が前記拡張位置にあるときに、前記複数の紐状部材がピンと張っている請求項１に記載の脈管システム。
3. 前記フープが複数の頂点部を有し、前記フィルタマトリクスが前記複数の頂点部に連結されている請求項１に記載の脈管システム。
4. 前記フィルタマトリクスが危険期において患者の体の中に有効に維持されかつ危険期の後に分解するように、前記複数の紐状部材が分解可能である請求項２又は３に記載の脈管システム。
5. 前記自己拡張型装置が前記拡張位置にあるときに、前記フィルタ要素が前記自己拡張型装置の中心軸を通って延長している請求項２に記載の脈管システム。
6. 前記自己拡張型装置が前記縮小位置から前記拡張位置へと動くために相変化を受けるように構成されている請求項１に記載の脈管システム。
7. 前記自己拡張型装置がニチノール（登録商標）で形成されている請求項１に記載の脈管システム。
8. 前記フィルタマトリクスがＰＬＧＡを含む請求項１に記載の脈管システム。
9. 前記フィルタマトリクスが前記自己拡張型装置の端部に設けられている請求項１に記載の脈管システム。
10. 前記自己拡張型装置が、所定の時間の後に分解するポリマを含む請求項１に記載の脈管システム。

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