JP2013205654A - 着色感光性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び表示装置 - Google Patents

着色感光性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び表示装置 Download PDF

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壮二 石坂
Mikio Nakagawa
幹雄 中川
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Abstract

【課題】所望のパターン形状を有する着色パターンを高感度で形成することができ、且つ、形成された着色パターンの熱による変色が抑制され、比誘電率、剥離液耐性に優れた着色パターンを形成しうる着色感光性組成物、高品質な画像表示が可能なカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、画像表示性能に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む着色剤と、(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)重合性化合物と、を含有する着色感光性組成物。一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。

【選択図】なし

Description

本発明は、染料を着色剤として含む着色感光性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び表示装置に関する。
液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを作製する方法の1つとして、顔料分散法が広く利用されている。顔料分散法としては、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感光性組成物を用い、フォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法がある。この方法は、顔料を含有するために光や熱に対して安定であると共に、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が充分に確保され、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタのなどの作製に好適な方法とされている。
カラーフィルタの作製に用いられる着色剤としては、顔料だけでなく、染料などの顔料以外の色素化合物も広く検討されている。そのうち、染料としては、ピロメテン系染料、ピリミジンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、キサンテン系染料など、多種多様な色素母体を持つ化合物が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
着色剤として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさにより、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができる点で有用とされている。
また、染料として特定のアントラキノン化合物を用いると、コントラスト等に優れたカラーフィルタが得られることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、染料等の着色剤と不飽和基を有する特定構造の低分子のバインダーを用いた着色感光性組成物は、耐溶剤性が向上するとされている(例えば、特許文献5参照)。
また、COA(Color-filter On Array)方式の液晶表示装置にあっては、TFTの上に前記層間絶縁膜の役割も兼ねるカラーフィルタ層を形成する。このため、カラーフィルタ層に対する要求特性は前述のような通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率及び剥離液耐性が追加される。これらの要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に保護層として樹脂被膜を設けることも行なわれている。
通常、カラーフィルタの評価に用いられる耐NMP性は、50℃のNMPに10minで浸漬させた前後の色度変化で評価されるのに対し、前記剥離液耐性は、80℃の剥離液に2min浸漬後の膨潤率で評価する。従って、この条件では一般には剥離液耐性の方が厳しい評価となり、かかる剥離液耐性を満足することが求められる。
上述のように、COA方式にあっては、前記樹脂被膜やカラーフィルタが画素用の半導体に直接接するため低誘電率である必要があり、更に、層間絶縁膜も低誘電率であることが求められている。特にCOA方式にあっては、画素用半導体と前記樹脂被膜やカラーフィルタとが直接接することから低誘電率である点が重要である。
特開2008−292970号公報 特開2007−039478号公報 特許第3387541号公報 特開2001−108815号公報 特開2009−169231号公報
液晶表示装置などの表示装置に用いるカラーフィルタの作製においては、支持体上に画素を構成する着色パターンを形成し、得られた着色パターン上に、酸化錫−酸化インジウム(ITO)などからなる透明電極が形成される。断線などの欠陥のない透明電極を形成する観点からは、着色感光性組成物は、パターン形成性に優れるとともに、着色層の乾燥時、或いは、着色パターン形成後に加熱処理工程を行った場合においても、所望されない変色が抑制されることが必要である。
さらに、上記COA方式においては、TFTの上に直接カラーフィルタを形成することで、後述の耐酸性、剥離液耐性、低誘電率、コンタクトホールなど、これまでの通常のカラーフィルタ材料では対応できない要求特性があった。
しかしながら、パターン形成性に優れ、形成された着色パターンの耐熱性に優れ、熱処理後の変色が効果的に抑制された着色感光性組成物については、未だ提供されていないのが現況である。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、所望のパターン形状を有する着色パターンを高感度で形成することができ、且つ、形成された着色パターンの熱による変色が抑制された着色感光性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明のさらなる課題は、比誘電率、剥離液耐性、及び、耐熱性に優れた着色パターンを備えた、高品質な画像表示が可能なカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、画像表示性能に優れた表示装置を提供することにある。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む着色剤と、(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)重合性化合物と、を含有する着色感光性組成物。

[一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。]
<2> 前記金属錯体化合物が下記一般式(I−3)で表される化合物である<1>に記載の着色感光性組成物。

[一般式(I−3)中、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
<3> 前記(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂が、N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を0.1モル%〜70モル%、及びアルカリ可溶性基を含む繰り返し単位を0.1モル%〜50モル%を含む共重合体である<1>又は<2>に記載の着色感光性組成物。
<4> 前記(A)着色剤として、さらに顔料を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
<5> さらに、前記(B)アルカリ可溶性樹脂とは構造の異なるアルカリ可溶性バインダーを含有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色パターンを備えるカラーフィルタ。
<7> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物を、支持体上に付与して着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層に対してパターン様の露光する露光工程と、前記露光された着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、有するカラーフィルタの製造方法。
<8> <6>に記載のカラーフィルタ、或いは、<7>又は<8>に記載の製造方法により得られたカラーフィルタを具備してなる表示装置。
<9> 薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物により形成された画素を有するカラーフィルタを具備してなる液晶表示装置。
本発明によれば、所望のパターン形状を有する着色パターンを高感度で形成することができ、且つ、形成された着色パターンの熱による変色が抑制された着色感光性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、比誘電率、剥離液耐性、及び、耐熱性に優れた着色パターンを備えた、高品質な画像表示が可能なカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、画像表示性能に優れた表示装置を提供することができる。
以下、本発明の着色感光性組成物について詳細に説明すると共に、これを用いた本発明のカラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、着色感光性成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<着色感光性組成物>
本発明の着色感光性組成物は、(A)下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む着色剤と、(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)重合性化合物と、を含有する着色感光性組成物である。

上記一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
本発明の着色感光性組成物は、必要に応じて、更に、前記(B)成分とは異なるアルカリ可溶性樹脂等のバインダー、有機溶剤、各種添加剤、等を含有してもよい。
本発明の着色感光性組成物は、上記の構成を有することにより、パターン形成性に優れる。さらに、形成された着色パターンは耐熱性に優れ、塗膜乾燥工程、或いは、着色パターン形成後の熱処理工程を経た後も、熱による変色が抑制される、従って、本発明の着色感光性組成物により形成された着色パターンを有するカラーフィルタ及び該カラーフィルタを備えた表示装置は、高品質の画像表示が可能となり、耐久性に優れたものとなる。
本発明の着色感光性組成物は、前記ピロメテン金属錯体化合物を含む着色剤と、特定構造の繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂とを含有することで、既述の如き効果を奏する。
その作用機構は、未だ明確ではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
即ち、支持体上に付与した本発明の着色感光性組成物からなる塗膜中において、着色剤として含まれる前記金属錯体化合物における一般式(1)で示される部分構造と、(B)特定構造の繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂が有するN位−置換マレイミド基との間で相互作用が形成され、アルカリ可溶性樹脂中に該金属錯体化合物が均一に分散されるとともに膜中での移動が制限される。露光領域においては、重合により形成された着色硬化膜中に、該金属錯体化合物が強固に固定化され、耐熱性が改良されるものと考えられる。また、未露光部では、該金属錯体化合物と相互作用を形成しているアルカリ可溶性樹脂自体が有するアルカリ可溶性が発現され、現像において速やかに除去される。このため、本発明の着色感光性組成物はパターン形成に優れたものとなる。
また、本発明の着色感光性組成物により形成された着色硬化膜は、N位−置換マレイミド基を含む樹脂に起因して、優れた誘電率を有する。本発明の着色感光性組成物を用いて形成された硬化膜は、N位−置換マレイミド基に由来する優れた誘電率を維持しつつ、パターン形成性と耐熱性とがより優れたものとなった。
このように、本発明の着色感光性組成物を用いて形成した着色パターンを備えるカラーフィルタは、パターン形状に優れ、耐熱性に優れ、高品質の画像を形成しうるために各種の画像表示装置に好適に使用される。
以下、本発明の着色感光性組成物を構成する各成分について、詳細に説明する。なお、以下において、本発明の着色感光性組成物を単に「本発明の着色組成物」又は「着色組成物」と称することがある。
[(A)一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む着色剤]
本発明の着色感光性組成物は、少なくとも一種の(A)着色剤を含有し、該(A)着色剤は、下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物である染料(以下、適宜、「ジピロメテン金属錯体化合物」と称する)を含有する。
なお、本発明における(A)着色剤としては、染料として、少なくとも該ジピロメテン金属錯体化合物を含有すればよく、ジピロメテン金属錯体化合物とその他の染料又は顔料を併用してもよい。
ジピロメテン金属錯体化合物以外の、その他の染料、顔料としては、公知の着色剤を特に制限なく使用することができ、従来カラーフィルタ用途として公知の染料、顔料などから適宜、選択して用いることができる。併用可能な他の染料、顔料については後に詳述する。
なお、着色剤として染料を用いる場合には、有機溶剤に溶解性を有する有機溶剤可溶性の染料を用いることが好ましい。
(ジピロメテン金属錯体化合物)
本発明の着色感光性組成物に必須の着色剤として、ジピロメテン金属錯体化合物を含有することで、着色感光性組成物を用いて作製されたカラーフィルタの輝度が改良され、後述する(B)特定共重合体との併用により、さらに、パターン形成性や形成された着色パターンの耐熱性が改良される。

一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
以下、一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)について、詳細に説明する。
一般式(I)における一価の置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基が挙げられる)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基が挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基であり、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基が挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基であり、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基が挙げられる。)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基であり、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基であり、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基が挙げられる。)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基が挙げられる。)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基が挙げられる。)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基であり、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基が挙げられる。)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基であり、例えば、フェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基であり、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェノキシカルボニル基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基であり、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基が挙げられる。)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基であり、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基が挙げられる。)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基であり、例えば、4−ピリジルアミノ基が挙げられる。)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基であり、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基であり、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基が挙げられる。)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基であり、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基であり、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基が挙げられる。)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基であり、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基が挙げられる。)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基であり、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基が挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基であり、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基が挙げられる。)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基であり、例えば、ドデカンスルフィニル基が挙げられる。)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基であり、例えば、フェニルスルフィニル基が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基であり、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基が挙げられる。)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基であり、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基が挙げられる。)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基であり、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基が挙げられる。)を表す。
上述した一価の置換基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環、又は不飽和環のいずれであってもよい。この5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
また、一般式(I)において、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、その好ましい範囲は、前述のR〜Rとしてのハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の好ましい範囲と同様である。
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基がより好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基が特に好ましい。
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。
一般式(I)において、R及びRがアルキル基を表す場合の、該アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基
、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ベンジル基が挙げられる。該アルキル基として、より好ましくは炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基
、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
一般式(I)において、R及びRがアリール基を表す場合の、該アリール基としては、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換のフェニル基である。
及びRがヘテロ環基を表す場合の、該ヘテロ環基としては、好ましくは、置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の3−ピリジル基、置換又は無置換の2−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の2−ベンゾチアゾリル基、置換又は無置換の1−イミダゾリル基、置換又は無置換の1−ピラゾリル基、置換又は無置換のベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の1−ピリジル基が挙げられる。
次に、ジピロメテン系金属錯体化合物を形成する金属原子又は金属化合物について説明する。
金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、二価の金属原子、二価の金属酸化物、二価の金属水酸化物、又は二価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、B等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、B、又はVO(V=O)が最も好ましい。これらの中でも、特にZnが好ましい。
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物において、好ましい態様を以下に示す。
即ち、ジピロメテン系金属錯体化合物の好ましい態様としては、一般式(I)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され;
金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOで表される態様が挙げられる。
ジピロメテン系金属錯体化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、ジピロメテン系金属錯体化合物のより好ましい態様としては、一般式(I)において、
及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され;
金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B又はVOで表される態様が挙げられる。
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の好ましい態様としては、下記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物が挙げられ、なかでも、下記一般式(I−3)で表される金属錯体化合物がより好ましい。
一般式(I−1)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表し、Xは、Maに結合可能な基を表し、Xは、Maの電荷を中和するために必要な基を表す。なお、XとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
一般式(I−1)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−1)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−1)におけるXは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物に由来する基が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類、アミン化合物、アミド化合物が好ましく、水、カルボン酸化合物、アミド化合物がより好ましい。
一般式(I−1)中のXは、Maの電荷を中和するために必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、水酸基、脂肪族イミド(例えば、コハク酸イミド、マレイミド、グルタルイミド、ジアセトアミドなどが挙げられ、好ましくはコハク酸イミド、マレイミドが挙げられる。)由来の一価の基、芳香族イミド基又は複素環イミド(例えば、フタルイミド、ナフタルイミド、4−ブロモフタルイミド、4−メチルフタルイミド、4−ニトロフタルイミド、ナフタレンカルボキシイミド、テトラブロモフタルイミドなどが挙げられ、好ましくはフタルイミド、4−ブロモフタルイミド、4−メチルフタルイミドが挙げられる。)由来の一価の基、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸、2−ナフトエ酸、サリチル酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、4−ヘプチルオキシ安息香酸、4−t−ブチル安息香酸などが挙げられ、好ましくは安息香酸、4−メトキシ安息香酸、サリチル酸などが挙げられる)由来の一価の基、脂肪族カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタン酸、プロパン酸、乳酸、ピバリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2−ヘキサデシルオクタデカン酸、2−ヘキシルデカン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸などが挙げられ、好ましくは酢酸、メタクリル酸、乳酸、ピバリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリル酸などが挙げられる)由来の一価の基、ジチオカルバミン酸(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸が挙げられる。)由来の一価の基、スルホンアミド(例えば、ベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−メトキシベンゼンスルホンアミド、4−メチルベンゼンスルホンアミド、2−メチルベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミドが挙げられ、好ましくはベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミドが挙げられる。)由来の一価の基、ヒドロキサム酸(例えば、アセトヒドロキサム酸、オクタノヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸が挙げられる)由来の一価の基、含窒素環化合物(ヒダントイン、1−ベンジル−5−エトキシヒダントイン、1−アリルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン、5,5−ジメチル−2,4−オキサゾリジンジオン、バルビツール酸、イミダゾール、ピラゾール、4,5−ジシアノイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジエチルなどが挙げられ、好ましくは1−ベンジル−5−エトキシヒダントイン、5,5−ジメチル−2,4−オキサゾリジンジオン、4,5−ジシアノイミダゾール、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジエチルが挙げられる)由来の一価の基を表す。
なかでも、製造の点で、Xとしては、ハロゲン原子、脂肪族カルボン酸基、芳香族カルボン酸基、脂肪族イミド基、芳香族イミド基、スルホン酸基、含窒素環化合物が好ましく、水酸基、脂肪族カルボン酸基、芳香族イミド基、含窒素環化合物がより好ましい。
一般式(I−1)におけるXとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子及び水素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環であってもよい。
一般式(I−2)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又はい一価の置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
一般式(I−2)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR〜R13で表される一価の置換基は、一般式(I)で表される化合物のR〜Rで表される一価の置換基と同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(I−2)で表される化合物のR〜R13で表される一価の置換基が更に置換可能な基である場合には、前述した一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I−2)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR14は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14の好ましい範囲は、前記Rの好ましい範囲と同様である。R14が更に置換可能な基である場合には、前述した一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I−2)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−2)中のRとR、RとR10、R11とR12、R12とR13は、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、或いは不飽和環を形成していてもよい。形成される飽和環、又は不飽和環としては、RとR、RとR、RとR、及びRとRで形成される飽和環、又は不飽和環と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(I−3)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
一般式(I−3)中のR〜R、及びRは、一般式(I)中のR〜R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−3)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−3)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が挙げられる。)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基であり、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基が挙げられる。)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基であり、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基が挙げられる。)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基であり、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基が挙げられる。)を表す。
一般式(I−3)中、R及びRで表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、更に置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I−3)中、X及びXは、各々独立に、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Raは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基であり、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基であり、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が挙げられる。)を表す。また、Raが置換可能な場合には、さらに置換基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
及びXとして好ましくは、各々独立に、酸素原子、又は硫黄原子であり、X及びXとして特に好ましくは、ともに酸素原子である。
一般式(I−3)中、Y及びYは、各々独立にNRb、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは、前記XにおけるRaと同義である。
及びYとして好ましくは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。)であり、Y及びYとして特に好ましくは、ともにNHである。
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、前記のRとY及び炭素原子で形成される環中の1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
一般式(I−3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I−3)中、XはMaと結合可能な基を表し、前記一般式(I−1)におけるXと同様な基が挙げられる。aは0、1、又は2を表す。
一般式(I−3)で表される化合物の好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I−3)で表される化合物の好ましい態様としては、
〜R、R、及びMaは、それぞれ、一般式(I)で表される構造と金属原子又は金属化合物とを含む錯体(ジピロメテン金属錯体化合物)の好ましい態様であり、X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基が挙げられる。)、又は酸素原子であり、Y及びYは、各々独立にNRb(Rbは水素原子、又はアルキル基が挙げられる。)、窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
一般式(I−3)で表される化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I−3)で表される化合物のより好ましい態様としては、R〜R、R、Maは、それぞれ、一般式(I)で表される構造と金属原子又は金属化合物とを含む錯体(ジピロメテン金属錯体化合物)の好ましい態様であり;X及びXは、酸素原子であり;YはNHであり;Yは窒素原子であり;Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり;R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の好ましい態様である、前記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物のうち、前記一般式(I−3)で表される錯体化合物が、特に好ましい様態である。
以下、本発明に用いる前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン系金属錯体化合物)の具体例を示す。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
まず、例示化合物(1)〜(30)を示す。
例示化合物(1)〜(30)は、下記一般式(I−4)で示される化合物のうち、一般式(I−4)中のR101、R102、R103、X101、及びMが、下記に示す組み合わせである化合物である。



一般式(I−4)で表される化合物としては、次の例示化合物(31)〜(45)等も挙げられる。


これら一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)の例示化合物のうち、例示化合物(40)〜(44)は一般式(I−1)の例示化合物でもあり、例示化合物(45)は一般式(I−2)の例示化合物でもあり、例示化合物(1)〜(39)は一般式(I−3)の例示化合物でもある。
ジピロメテン金属錯体化合物としては、上記例示化合物以外にも、特開2008−292970号公報に記載の例示化合物(Ia−3)〜(Ia−83)、(Ia−1)〜(IIa−20)、(I−1)〜(I−36)(II−1)〜(II−11)、及び(III−1)〜(III−103)、特許第3324279号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−35)、特許第3279035号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−13)、特開平11−256057号公報に記載の例示化合物(2−1)〜(2−32)、(3−1)〜(3−32)、(4−1)〜(4−26)、及び(5−1)〜(5−26)、特開2005−77953号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−6)、及び(VII−1)〜(VII−8)、特開平11−352686号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)、特開2000−19729号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−50)、及び特開平11−352685号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)なども、その例として挙げられる。
本発明の着色感光性組成物におけるジピロメテン金属錯体化合物の含有量としては、着色感光性組成物の全固形分に対して、質量基準で0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましい。
ジピロメテン金属錯体化合物の含有量を、上記範囲とすることによって、良好な色濃度(例えば、液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、且つ、画素のパターン形成性、耐熱性が良好になる点で有利である。
本発明の着色感光性組成物においては、(A)着色剤として、少なくともジピロメテン金属錯体化合物を含有するが、ジピロメテン金属錯体化合物以外の、他の染料(「他の染料」と称することがある)又は顔料が併用される場合、ジピロメテン金属錯体化合物以外のその他の染料は、ジピロメテン金属錯体化合物に対して、1質量%〜200質量%、好ましくは10質量%〜150質量%であることが好ましい。
(A)着色剤としては、前記特定染料を含めば、該特定染料とは構造の異なる染料、或いは、顔料など、公知の着色剤を特に制限なく使用することができ、従来カラーフィルタ用途として公知の染料、顔料などから適宜、選択して用いることができる。
(他の染料)
本発明の着色感光性組成物において(A)着色剤として用いうる他の染料としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、スクアリリウム系、フタロシアニン系、べンゾピラン系、インジゴ系、ジピロメテン系等の色素骨格を有する染料が挙げられる。
本発明の着色感光性組成物に含有される染料の例としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報、特開平6−230210号公報等に記載の染料が挙げられる。
以下、他の染料の具体例を挙げるが、本発明はこれらに制限されない。
(アントラキノン化合物)
本発明の着色感光性組成物に含有される他の好適な染料としては、アントラセン−9,10−ジオン骨格を有するアントラキノン化合物から選択される少なくとも一種の染料が挙げられる。本発明の着色感光性組成物においては、該アントラキノン化合物の含有することにより、理由は定かではないが、該着色感光性組成物をカラーフィルタに適用した場合において、コントラストを効果的に高めることができる。
本発明に適用しうるアントラセン−9,10−ジオン骨格を有するアントラキノン化合物(以下、単に「アントラキノン化合物」と称する。)は、400〜700nmに吸収極大を有する化合物であり、本発明において好ましくは、500〜700nmに吸収極大を有し、特に好ましくは550〜700nmに吸収極大を有するアントラキノン化合物である。このような吸収極大を有するアントラキノン化合物であれば、特に構造上限定されるものではなく、着色感光性組成物をカラーフィルタに適用した場合におけるコントラスト向上効果に優れる。
本発明におけるアントラキノン化合物の中でも、好ましくは下記一般式(IX)で表されるジアミノアントラキノン化合物である。
このジアミノアントラキノン化合物のうち、吸収特性の観点から、下記一般式(X)で表される化合物がより好ましく、また熱安定性の観点から、下記一般式(XI)で表される化合物がより好ましく、更には、吸収特性と熱安定性の両立の観点からは、下記一般式(XII)又は下記一般式(XIII)で表される化合物が特に好ましい。
まず、下記一般式(IX)で表されるアミノアントラキノン化合物について説明する。

一般式(IX)において、R11a及びR12aは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表すが、R11aとR12aとが同時に水素原子を表すことはない。
一般式(IX)において、n11は、1〜4の整数を表し、n11が2〜4の整数である場合、複数のNR11a12aは同一でも異なっていてもよい。
次に、一般式(X)で表されるジアミノアントラキノン化合物について説明する。

一般式(X)において、R21a及びR22aは、各々独立に、アルキル基、又はアリール基を表す。
次に、一般式(XI)で表されるジアミノアントラキノン化合物について説明する。

一般式(XI)において、R31a、R32a、R33a、及びR34aは、各々独立に、アルキル基、又はハロゲン原子を表す。
上記の中でも、下記一般式(XII)又は下記一般式(XIII)で表されるジアミノアント
ラキノン化合物より選択される化合物が好ましい。
[一般式(XII)で表されるジアミノアントラキノン化合物]

一般式(XII)において、R41a、R42a、R43a、及びR44aは、各々独立
に、アルキル基、又はハロゲン原子を表し、前記一般式(XI)中のR31a、R32a、R33a、R34aにおけるアルキル基、ハロゲン原子と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記一般式(XII)中のR45a、R46a、R47a、及びR48aは、各々独立に
、アルキル基、スルホ基もしくはその塩、又はアミノスルホニル基を表す。R45a及びR47aのいずれか一方と、R46a及びR48aのいずれか一方とは、スルホ基もしくはその塩、又はアミノスルホニル基を表す。R45a、R46a、R47a、及びR48aは、前記一般式(XI)中のR35a、R36aで表されるアルキル基、スルホ基もしくはその塩、アミノスルホニル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
[一般式(XIII)で表されるジアミノアントラキノン化合物]
一般式(XIII)において、R51a、R52a、R53a、及びR54aは、各々独立に、アルキル基、又はハロゲン原子を表し、一般式(XI)中のR31a、R32a、R33a、R34aにおけるアルキル基、ハロゲン原子と同義であり、好ましい態様も同様である。
上記のうち、本発明において好ましいアントラキノン化合物は、前記一般式(XII)又
は前記一般式(XIII)で表されるジアミノアントラキノン化合物より選択される化合物であり、更には下記の場合が特に好ましい。すなわち、
前記一般式(XII)においては、R41a、R42a、R43a、及びR44aがメチ
ル基、エチル基、もしくは臭素原子であって、R45a、R46aが炭素数2〜15のアミノスルホニル基であり、R47a、R48aがメチル基である場合が好ましく、
また、一般式(XIII)においては、R51a、R52a、R53a、及びR54aがメチル基、エチル基、もしくは臭素原子であって、R55a及びR56aが水素原子もしくはメチル基であり、R57a及びR58aが水素原子、メチル基であって、L51a及びL52aが炭素数1〜10のアルキレンアミノスルホニル基、炭素数7〜12のアラルキレンアミノスルホニル基、又は炭素数2〜10のアルキレンオキシ基であり、L53a及びL54aが酸素原子である場合が好ましい。
この場合において、下記の染料化合物のうち、一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物と組み合わせて用いた場合が、本発明の効果がより効果的に奏される点で好ましい。
本発明における他の染料として、前記アントラキノン化合物が、前記ジピロメテン金属錯体化合物と併用される場合、前記アントラキノン化合物のジピロメテン金属錯体化合物に対する含有量は、質量基準で200質量%以下であることが好ましく、1質量%〜200質量%の範囲とすることがより好ましく、10質量%〜150質量%の範囲とすることがより好ましい。アントラキノン化合物の比率がこの範囲であると、堅牢性を維持しながら、着色画像の色相が良好でコントラストをより効果的に高めることができる。
〜顔料〜
本発明の着色感光性組成物には、(A)着色剤として顔料を併用することもできる。
顔料としては平均一次粒子径が10nm以上30nm以下の顔料が好ましい。この態様の顔料であると、色相とコントラストに優れる着色膜を形成しうる着色感光性組成物が得られる。
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができるが、信頼性の観点で有機顔料を用いることが好ましい。本発明において有機顔料として、例えば、特開2009−256572号公報の段落番号〔0093〕に記載の有機顔料が挙げられる。
また特に、
C.I.Pigment Red 177、224、242、254、255、264、
C.I.Pigment Yellow 138、139、150、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、38、71、
C.I.Pigment Green 7、36、58、
C.I.Pigment Blue 15:6、
C.I.Pigment Violet 23
が色再現性の観点で好適であるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。これら有機顔料は、単独で、又は、色純度を上げるため種々組合せて用いることもできる。
顔料を用いる場合、本発明の着色感光性組成物中における顔料の含有量は、該組成物の全固形分に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、優れた色特性を確保するのに有効である。
また、前記ピロメテン金属錯体化合物、及び所望により併用される他の染料、及び他の顔料を含む(A)着色剤の総含有量は、着色感光性組成物の全固形分に対して、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましい。
[(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂]
本発明の着色感光性組成物は、少なくとも一種のN位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂[以下、適宜、「(B)特定共重合体」と称する]を含む。
本発明の着色感光性組成物では、前記(B)特定共重合体はアルカリ可溶性のバインダー樹脂として含まれる。本発明の着色感光性組成物が(B)特定共重合体を含有することで、塗膜の均一性が良好となり、且つ、(B)特定共重合体が有するN−置換マレイミド基と、前記ジピロメテン金属錯体化合物におけるジピロメテン骨格との間に相互作用が形成され、耐熱性が向上し、染料が本来有する表示画像の色相や輝度などの性能が高められると推定される。
N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位は、N位−置換マレイミド基を有するほかは、特に制限されるものではなく、任意に選択することができる。
N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を構成しうる単量体について述べれば、例えば、N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド等のN−(置換)アリールマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、耐溶剤性の点で、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドに由来する構造単位が好ましい。
本発明における(B)特定共重合体は、アルカリ可溶性樹脂であるため、前記N位置換マレイミド基を有する繰り返し単位とともに、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。アルカリ可溶性基を含む繰り返し単位を共重合成分として含むことで、(B)特定共重合体を含む本発明の着色感光性組成物はパターン形成により優れることになる。
ここでいうアルカリ可溶性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸やマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸等の不飽和カルボン酸などの、カルボキシル基を有する不飽和単量体に由来する繰り返し単位、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のエステル単量体に由来する繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド等のアミドに由来する繰り返し単位、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾールなどが挙げられる。
また、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を形成しうるその他のアルカリ可溶性基を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
(B)特定共重合体が有するN位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位の含有率は、(B)特定共重合体全量に対して、0.1モル%〜70モル%であることが好ましく、1モル%〜50モル%であることがより好ましく、20〜40モル%の範囲で含んでいることが更に好ましい。
また、アルカリ可溶性基を含む繰り返し単位の含有率は(B)特定共重合体全量に対して0.1モル%〜50モル%であることが好ましく1モル%〜40モル%であることがより好ましい。
上記繰り返し単位に含有率が上記範囲にあることで、パターン形成性と形成された着色硬化膜の耐熱性がより高いレベルで両立される。
(B)特定共重合体には、発明の効果を妨げない限りにおいて、前記N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位及びアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位と結合し得る、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、例えば、二重結合を有する繰り返し単位、疎水性基を有する繰り返し単位等が挙げられる。二重結合を有する繰り返し単位を含むことで、形成された硬化膜の強度がより向上する。また、疎水性基を有する繰り返し単位を含むことで、本発明における共重合体の物性の調整が可能となるので、露光領域の硬化性と、未露光領域の現像性のバランスとをより良好にすることができる。このような他の繰り返し単位の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート・メタクリル酸(メタクリル酸のグリシジルメタクリレート付加体)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位が挙げられる。
(B)特定共重合体に二重結合を導入することにより、形成された硬化膜の強度がより向上する。また、疎水性基を含むことで、(B)特定共重合体の物性を調整し、露光領域の硬化性と、未露光領域の現像性のバランスをより良好にすることもできる。
共重合可能な繰り返し単位としては、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、スチレン等のモノマー由来の部分構造が挙げられる。
本発明における共重合体は、二元共重合体であっても、三元以上の多元共重合体であってもよい。
本発明における(B)特定共重合体としては、例えば、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/N―フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/N―フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリシジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン/アリルメタクリレート/グリシジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート共重合体、アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/スチレン共重合体等が挙げられる。
(B)特定共重合体のより具体的な例としては、例えば、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/スチレン(モル比:15/25/35/10/15)共重合体、メタクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン(30/10/35/15/10)共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体(20/35/35/10)、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体(20/35/15/30)、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリシジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体(25/35/10/30)、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/スチレン/アリルメタクリレート/グリシジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体(20/25/25/10/10/10)等が挙げられる。
これらのなかでも、耐熱性、耐溶剤性向上という観点からは、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリシジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体などが好ましい。
(B)特定共重合体は現像性、及び適切な粘度範囲を維持しうるいう観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が5,000〜50,000の重合体であることが好ましく、5,000〜30,000の重合体であることがより好ましく、8,000〜20,000の共重合体であるのが特に好ましい。
い。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、高速GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM−H、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定されるものである。
(B)特定共重合体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色感光性組成物中における上記(B)特定共重合体の含有量は、着色感光性組成物の全固形分に対して、1質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜60質量%であることがより好ましい。着色硬化性組成物中における(B)特定共重合体の含有量が3質量%以上であると、着色硬化性組成物を調製したときの液安定性が良好であり、パターン形成する際の現像残渣の発生が抑えられ、形成された着色硬化膜の耐熱性及び耐溶剤性がより優れたものとなる。また、本発明における共重合体の含有量が70質量%以下であると、塗布均一性、膜硬度がより良好となる。
[(C)光重合開始剤]
本発明の着色感光性組成物は、少なくとも一種の光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤は、後述する重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。
光重合開始剤は、露光光により感光し、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。波長300nm以上の活性光線に感応し、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物が好ましい。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光重合開始剤についても、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
光重合開始剤として具体的には例えば、オキシムエステル化合物、有機ハロゲン化化合物、オキサジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、感度の点から、オキシムエステル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましい。
オキシムエステル化合物としては、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、国際公開第2005/080337号、国際公開第2006/018973号明細書、特開2007−210991号公報、特開2007−231000号公報、特開2007−269779号公報、特開2009−191061号公報、国際公開第2009/131189号明細書に記載の化合物を使用できる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、本発明においては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、光重合開始剤であるオキシムエステル化合物として、下記一般式(A)で表される化合物も好適である。
一般式(A)中、X、X、及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表し、Rは−R、−OR、−COR、−SR、−CONRR’、又は−CNを表し、R及びRはそれぞれ独立に。−R、−OR、−COR、−SR、又は−NRR’を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、複素環基を表し、これらの基は、ハロゲン原子及び複素環基からなる群より選択される1以上で置換されていてもよく、該アルキル基、及びアラルキル基におけるアルキル鎖を構成する炭素原子の1以上が、不飽和結合、エーテル結合、又はエステル結合に置き換わっていてもよく、R及びR’は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(A)中、X1、X、及びXがハロゲン原子を表す場合のハロゲン原子とし
ては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、X1、X、及びXがアルキル基
を表す場合のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2−(ベンゾオキサゾール−2’−イル)エテニル等が挙げられる。
なかでも、X1、X、及びXがいずれも、水素原子を表すか、或いは、X1がアルキル基を表し、X、及びXがいずれも水素原子を表すことが好ましい。
一般式(A)中、R及びR’で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2−(ベンゾオキサゾール−2’−イル)エテニル等が挙げられる。
R及びR’で表されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル等が挙げられる。
R及びR’で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル、フェニルエテニル等が挙げられる。
R及びR’で表される複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェニル等が挙げられる。
また、R及びR’は互いに結合して形成される環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
上記R及びR’を含んで構成されるR及びRとしては、それぞれ独立に、メチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、−S−Ph、−S−Ph−Cl、及び−S−Ph−Brが特に好ましい様態である。
光重合開始剤の中でも、一般式(A)において、X1、X、及びXがいずれも、水
素原子であるもの;Rがアルキル基、特にメチル基であるもの;Rがアルキル基、特にメチル基であるもの;Rがアルキル基、特にエチル基であるものは、光重合開始剤として特に好適である。
従って、上記一般式(A)で表される光重合開始剤の好ましい具体例としては、以下に例示する化合物A〜化合物Gが挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。


一般式(A)で表される光重合開始剤は、例えば、特開2005−220097号公報に記載の方法により合成することができる。
本発明に用いる一般式(A)で表される化合物は、250nm〜500nmの波長領域に吸収波長を有するものである。より好ましくは、300nm〜380nmの波長領域に吸収波長を有するものを挙げることができる。特に、308nm及び355nmの吸光度が高いものが好ましい。
また、本発明においては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、光重合開始剤であるオキシムエステル化合物として、下記一般式(B)で表される化合物も好適である。
一般式(B)中、R22は一価の置換基を表す。A22は二価の連結基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、0〜5の整数である。X22は一価の置換基を表し、nが2〜4の整数である場合複数存在するX22は、同一であっても異なってもよい。
前記R22で表される一価の置換基としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
22で表される一価の非金属原子団としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよい複素環基、等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族或いは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、フリル基、ピラニル基、等が挙げられる。
前記R22としては、高感度化の点から、無置換の又は置換基を有するアシル基がより好ましく、具体的には、無置換の又は置換基を有するアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
前記置換基としては、例えば、下記の構造式で表される基が挙げられ、中でも、(d−1)、(d−4)及び(d−5)のいずれかが好ましい。
前記A22で表される二価の連結基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキレン、置換基を有してもよいシクロヘキシレン、置換基を有してもよいアルキニレンが挙げられる。
これらの基に導入しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
中でも、前記A22としては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。
具体的にはArは、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基等が挙げられる。中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
上記フェニル基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、等が挙げられる。
一般式(B)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が
以下に示す構造であると、感度の点で好ましい。
前記X22で表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、等がある。
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルチオオキシ基としては、炭素数1〜30のチオアルコキシ基が好ましく、例えば、メチルチオオキシ基、エチルチオオキシ基、プロピルチオオキシ基、イソプロピルチオオキシ基、ブチルチオオキシ基、イソブチルチオオキシ基、sec−ブチルチオオキシ基、tert−ブチルチオオキシ基、ペンチルチオオキシ基、イソペンチルチオオキシ基、ヘキシルチオオキシ基、ヘプチルチオオキシ基、オクチルチオオキシ基、2−エチルヘキシルチオオキシ基、デシルチオオキシ基、ドデシルチオオキシ基、オクタデシルチオオキシ基、ベンジルチオオキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールチオオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールチオオキシ基が好ましく、例えば、フェニルチオオキシ基、1−ナフチルチオオキシ基、2−ナフチルチオオキシ基、2−クロロフェニルチオオキシ基、2−メチルフェニルチオオキシ基、2−メトキシフェニルチオオキシ基、2−ブトキシフェニルチオオキシ基、3−クロロフェニルチオオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオオキシ基、3−シアノフェニルチオオキシ基、3−ニトロフェニルチオオキシ基、4−フルオロフェニルチオオキシ基、4−シアノフェニルチオオキシ基、4−メトキシフェニルチオオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルチオオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルチオオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルチオオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
置換基を有してもよいハロゲン化アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロメチル基、モノブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基等が挙げられる。
N上に置換基を有してもよいアミド基としては、N,N−ジメチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基等が挙げられる。
これらの中でも、X22としては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオオキシ基、置換基を有してもよいハロゲン化アルキル基、置換基を有してもよいアミノ基、又はN上に置換基を有してもよいアミド基が好ましく、中でも置換基を有してもよいアルキル基がより好ましい。
また、一般式(B)におけるnは0〜5の整数を表すが、合成の容易さの観点で0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。
一般式(B)において、X22が複数存在する場合、複数のX22は同じであっても、異なっていてもよい。
上記した一般式(B)で表されるオキシム光重合開始剤の具体例を以下に示す。


本発明に用いる一般式(B)で表される化合物は、250nm〜500nmの波長領
域に吸収波長を有するものである。より好ましくは、300nm〜380nmの波長領域に吸収波長を有するものを挙げることができる。特に、308nm及び355nmの吸光度が高いものが好ましい。
有機ハロゲン化化合物の例としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc.Japan」
42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)等に記載の化合物が挙げられ
、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上用いる場合には、一般式(III)で表される化合物を複数種を使用してもよいし、一般式(II)で
表される化合物を複数種を使用してもよい。また、一般式(II)、及び(III) で表される化合物からそれぞれ少なくとも1種を用いてもよい。また、一般式(II)、及び(III)で
表される化合物をそれぞれ少なくとも1種と一般式(II)、及び(III)で表される化合物
以外のオキシム化合物あるいはオキシム化合物以外の光重合開始剤を用いてもよい。また、増感剤を併用してもよい。
光重合開始剤の総含有量は、着色感光性組成物中の全固形分に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%が最も好ましい。光重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、露光時の感度が高く、また色特性も良好である。
(増感剤)
本発明の着色感光性組成物には、増感剤を加えることもできる。本発明に用いられる典型的な増感剤としては、クリベロ〔J.V.Crivello,Adv.in Polymer Sci,62,1(1984)〕に開示しているものが挙げられ、具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン、N−ビニルカルバゾール、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラキノン、ベンゾフェノン、クマリン、ケトクマリン、フェナントレン、カンファキノン、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。増感剤は、光重合開始剤に対し、50〜200質量%の割合で添加することが好ましい。
[(D)重合性化合物]
本発明の着色感光性組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有する。
重合性化合物としては、例えば少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であり、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。重合性化合物としては、好ましくは、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物から選ばれる。
このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン付加の重合性化合物も好適であり、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
その他の例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートEO変性体などが、並びに、市販品としては、NKエステル A−TMMT、NKエステル A−TMM−3、NKオリゴUA−32P、NKオリゴUA−7200(以上、新中村化学工業(株)製)、アロニックス M−305、アロニックス M−306、アロニックス M−309、アロニックス M−450、アロニックス M−402、TO−1382、TO−2349(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)、V#802(大阪有機化学工業(株)製)を好ましい例として挙げることができる。
また、前記(C)重合性化合物としては、低温硬化性の観点から、特開2009−265630号の段落番号〔0031〕〜〔0061〕に記載の成分を挙げることができる。なかでも、前記(C)重合性化合物としては、以下に示す(1)〜(20)及び(M−1)〜(M−8)が好ましい。特に分子内に2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーを用いることで、着色感光性組成物により形成される着色膜は、低温硬化性の観点から優れる。
これらの重合性化合物は単独で、或いは2種以上の併用で用いることができる。
着色感光性組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、10質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が特に好ましい。
[(E)その他の成分]
本発明の着色感光性組成物は、前記(A)着色剤、(B)特定共重合体、(C)光重合開始剤、及び(D)重合性化合物に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて種々の公知の添加剤を併用してもよい。
以下、着色感光性組成物が含みうるその他の成分について説明する。
(多官能チオール化合物)
本発明の着色硬化性組成物は、多官能チオール化合物を含有してもよい。
本発明の着色硬化性組成物は、多官能チオール化合物を含むことで、感度を高め、染料等の色材起因のイオン溶出等が抑制され、液晶表示装置のカラーフィルタ作製に本発明の着色硬化性組成物を用いたとき、クロストーク等の画質の劣化を防止することができ、鮮明な高画質の表示が可能となる。
本発明において「多官能チオール化合物」とは、チオール基を分子内に2個以上有する化合物を意味する。上記多官能チオール化合物としては、分子量100以上の低分子化合物が好ましく、具体的には、分子量100〜1500であることが好ましく、150〜1000が更に好ましい。上記多官能チオール化合物はチオール基を分子内に2〜10個有することが好ましく、2〜6個有することがさらに好ましく、2〜4個有することが特に好ましい。また、これら化合物は上記ラジカル重合性モノマーが重合する際に補助的に用いられる系とされることが好ましい。具体的には、多官能チオール化合物の添加量を組成物の全固形分に対して1〜20質量%であるようにするか、若しくは、同時に含有する上記ラジカル重合性モノマーの添加量よりも少ない添加量とすることが好ましい。
本発明に用いうる多官能チオール化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3−メルカプトブチルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5-トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、等が好適な多官能チオール化合物として挙げられる。特に好ましいのは2級SHを含む化合物であり、また、液安定性の観点からトリアジン骨格を有することが好ましい。具体的にはカレンズMTシリーズ(昭和電工(株)製)等を挙げることができる。
多官能チオール化合物の含有量は、着色硬化性組成物中の全固形分に対して0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
多官能チオール化合物を併用することで、着色硬化性組成物の感度、パターン形成性、及び、保存安定性がより良好となり、得られたカラーフィルタを表示装置に用いた場合、気特性が良好な着色硬化性組成物を提供することができる。
(紫外線吸収剤)
本発明の着色感光性組成物は紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、250nmから400nmの間に吸収極大を有する化合物を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、共役ジエン系化合物が好ましく、このような紫外線吸収剤としては、例えば、特公昭44−29620号、特開53−128333号、特開昭61−169831号、特開昭63−53543号、特開昭63−53544号、及び特開昭63−56651号の各公報に記載されている方法を参照することにより合成することができる。
紫外線吸収剤としては、上記した共役ジエン系化合物の他、例えば、スミソーブ130(住友化学製)、EVERSORB10、EVERSORB11、EVERSORB12(台湾永光化学工業製)、トミソーブ800(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB100、SEESORB101、SEESORB101S、SEESORB102、SEESORB103、SEESORB105、SEESORB106、SEESORB107、SEESORB151(シプロ化成製)などのベンゾフェノン化合物;
スミソーブ200、スミソーブ250、スミソーブ300、スミソーブ340、スミソーブ350(住友化学製)、JF77、JF78、JF79、JF80、JF83(城北化学工業製)、TINUVIN PS、TINUVIN99−2、TINUVIN109、
TINUVIN384−2、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、EVERSORB70、EVERSORB71、EVERSORB72、EVERSORB73、EVERSORB74、EVERSORB75、EVERSORB76、EVERSORB234、EVERSORB77、EVERSORB78、EVERSORB80、EVERSORB81(台湾永光化学工業製)、トミソーブ100、トミソーブ600(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB701、SEESORB702、SEESORB703、SEESORB704、SEESORB706、SEESORB707、SEESORB709(シプロ化成製)などのベンゾトリアゾール化合物;
スミソーブ400(住友化学製)、サリチル酸フェニルなどのベンゾエート化合物;
TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477DW、TINUVIN479(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などのヒドロキシフェニルトリアジン化合物;
などを挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物における紫外線吸収剤の含有量としては、パターン形成性と感度向上の観点から、着色感光性組成物の全固形分に対し、質量基準で、0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましく。
(他のアルカリ可溶性バインダー)
本発明の着色感光性組成物には、前記(B)特定共重合体とは構造が異なる、即ち、N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を分子内に含まない他のアルカリ可溶性バインダーを含んでもよい。他のアルカリ可溶性ンインダーは、分子内にアルカリ可溶性を有し、N位−置換マレイミド基を有しないこと以外は、特に限定はなく、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択すればよい。
他のアルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
上述したものの他、他のアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものや、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
また、他のアルカリ可溶性バインダーは、(B)特定共重合体と同様、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer.Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
これら各種の他のアルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、前記のPhotomer6173、KSレジスト−106、サイクロマーPシリーズ等が好ましい。
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法他ので測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
アルカリ可溶性バインダーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明の着色感光性組成物におけるアルカリ可溶性バインダーの含有量は、着色感光性組成物の全固形分に対し、質量基準で0.1〜80質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
(連鎖移動剤)
本発明の着色感光性組成物には連鎖移動剤を加えることもできる。本発明に用いうる連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、などの複素環を有するメルカプト化合物などが挙げられる。
連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、本発明の着色感光性組成物の全固形分に対して、0.01〜15質量%の範囲であることが、感度のばらつきを低減するという観点から好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
(重合禁止剤)
本発明の着色感光性組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤とは、光や熱により着色感光性組成物中に発生したラジカル等の重合開始種に対して、水素供与(又は、水素授与)、エネルギー供与(又は、エネルギー授与)、電子供与(又は、電子授与)などをすることにより、重合開始種を失活させ、重合が意図せず開始されることを抑制する役割を果たす物質である。
重合禁止剤の例としては、特開2007−334322号公報の段落0154〜0173に記載された重合禁止剤などを用いることができる。
これらの中でも、重合禁止剤としては、p−メトキシフェノールが好ましく挙げられる。
本発明の着色感光性組成物における重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
(有機溶剤)
本発明の着色感光性組成物は、有機溶剤を含有することができる。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色感光性組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、固形分の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、乳酸エチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート等が挙げられる。
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及びアルカリ可溶性バインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びシクロヘキサノールアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
有機溶剤の着色感光性組成物中における含有量としては、着色感光性組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
(界面活性剤)
本発明の着色感光性組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。具体的には、特開2009−098616号公報の段落0058に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、中でもフッ素系界面活性剤が好ましい。
本発明に用いることができるこの他の界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)などが挙げられる。
また、界面活性剤としては、下記式(W)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
式(W)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
前記Lは、下記式(W−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(W−2)におけるRは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する
濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
式(W)におけるpとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を使用することができる。
本発明の着色感光性組成物における界面活性剤の含有量は、着色感光性組成物の全固形分中0.01〜2.0質量%が好ましく、0.02〜1.0質量%が特に好ましい。界面活性剤の含有量がこの範囲であると、塗布性及び硬化膜の均一性がより良好となる。
(密着改良剤)
本発明の着色感光性組成物は、密着改良剤を含有してもよい。
密着改良剤は、支持体となる無機物、例えば、ガラス、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等と着色感光性組成物層の硬化膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤等が挙げられる。密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
シランカップリング剤としては、特開2009−98616号公報の段落0048に記載のシランカップリング剤が好ましく、中でもγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましい。これらは1種単独又は2種以上を併用できる。
本発明の着色感光性組成物における密着改良剤の含有量は、着色感光性組成物の全固形分量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
(架橋剤)
本発明の着色感光性組成物に補足的に架橋剤を用い、着色感光性組成物を硬化させてなる着色層の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、
フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
(現像促進剤)
着色感光性組成物層を露光した場合の非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、着色感光性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤は好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸化合物、分子量1000以下の低分子量フェノール化合物である。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等が挙げられる。
(その他の添加物)
本発明の着色感光性組成物には、さらに必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
[着色感光性組成物の調製方法]
本発明の着色感光性組成物は、前述の各必須成分と、必要に応じて任意成分とを混合することで調製される。
なお、着色感光性組成物の調製に際しては、着色感光性組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色感光性組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色感光性組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
本発明の着色感光性組成物は、色相及びコントラストに優れた着色硬化膜を形成することができるため、液晶表示装置、EL表示装置などの表示装置に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。また、印刷インキ、インクジェットインキ、及び塗料などの用途としても好適に用いることができる。
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、支持体(基板)と、該支持体上に本発明の着色感光性組成物からなる着色領域と、を設けて構成されたものである。支持体上の着色領域は、カラーフィルタの各画素をなす例えば赤(R)、緑(G)、青(B)等の着色層で構成されている。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の着色感光性組成物を支持体上に付与して着色層(着色感光性組成物層)を形成する着色層形成工程(以下、工程(A)とも称する。)と、前記着色層に対してパターン様の露光をして潜像を形成する露光工程((以下、工程(B)とも称する。)と、前記潜像が形成された着色層を現像してパターンを形成する現像工程(以下、工程(C)とも称する。)と、前記パターンを加熱する工程(以下、工程(D)とも称する。)を有する。
さらに、前記現像工程と前記ポストベーク工程との間に、着色パターンに対して紫外線を照射する工程(後露光)を設けることも可能である。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。従来主に用いられてきた製造方法に加え、輝度および歩留まり向上の観点から有効とされるColor Filter on Array(以下、COAと称することがある)方式のカラーフィルタ製造方法についても説明する。
(従来型のカラーフィルタ製造方法)
−工程(A)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色感光性組成物を付与して着色層を形成する。形成された該着色層は、加熱(プリベーク)又は真空乾燥などで乾燥させることが好ましい。
支持体上への着色感光性組成物の付与による着色層の形成は、回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、バー塗布、インクジェット等の塗布方法により行なうことができる。
また、着色層の形成は、仮支持体上に少なくとも着色感光性組成物層を有する転写材料を用いて、該転写材料上の着色感光性組成物層を、支持体上に転写することにより行なうこともできる。
支持体としては、例えば、液晶表示装置に用いられるソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、シリコン基板、樹脂基板などが挙げられる。なお、後述するCOA方式の液晶表示装置用カラーフィルタに用いられる支持体としては、薄膜トランジスター(TFT)方式の液晶表示装置の駆動用基板が用いられる。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層、層間絶縁膜等を設けてもよい。
プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色感光性組成物により形成される着色層の厚みは、目的に応じて適宜選択される。液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜4.0μmの範囲が更に好ましい。
なお、後述するCOA方式の液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、着色層の厚みは、0.3μm〜5.0μmの範囲が好ましく、0.5μm〜3.5μmの範囲が更に好ましい。なお、着色層の厚みは、加熱処理工程後の膜厚である。
−工程(B)−
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色層に対して、パターン様の露光が行なわれる。当該露光により、着色層に潜像が形成される。露光に適用し得る光もしくは放射線としては、g線、h線、i線、各種レーザー光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、5mJ/cm〜500mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
また、その他の露光光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、各種レーザー光源、等が使用できる。
〜レーザー光源を用いた露光工程〜
レーザー光源を用いた露光方式では照射光は、波長が300nm〜410nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である。具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。パターン露光量としては、生産性の観点から、1mJ/cm〜100mJ/cmの範囲が好ましく、1mJ/cm〜50mJ/cmの範囲がより好ましい。
露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
−工程(C)−
続いて、露光後の着色層に対して、現像液にて現像が行なわれる。これにより、着色パターンを形成することができる。
現像液は、着色層の未硬化部を溶解し、硬化部を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH10〜13となるように調整するのがよい。
前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-7-ウンデセン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
後述するCOA方式の液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいては、現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない観点から、有機アルカリ現像液が特に望ましい。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは20℃〜30℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行なうことができる。
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、着色感光性組成物を用いて形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行なうことも好ましい。
−工程(D)−
現像後の着色パターンに対して、あるいは上記のような紫外線照射による後露光が行なわれた着色パターンに対して、さらに加熱処理(いわゆるポストベーク処理)を行なう。
形成された着色パターンを加熱処理することにより、着色パターンを更に硬化させることができる。更に、着色パターンの形成に用いられる本発明の着色感光性組成物は、既述の如く、熱リフロー性が良好であることから、加熱処理により、着色パターンが有するテーパ角を小さくすることが可能となる。
工程(D)における加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜120分程度が好ましい。
このようにして得られた着色パターンは、カラーフィルタにおける画素を構成する。
複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記の工程(A)、工程(B)、工程(C)、及び工程(D)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
なお、単色の着色層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前記工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前記工程(D)を行なってもよい。
以下、本発明の着色感光性組成物を用いて構成されるカラーフィルタとして、より好適な態様であるカラーフィルタ、その作製方法、及びこれらを用いたCOAの作製に関わる詳細について説明する。
−COA方式カラーフィルタの製造方法及び使用方法−
COA方式の液晶表示装置用カラーフィルタは、まず、TFT基板上に着色剤を含む本発明の着色硬化性組成物を塗布して、着色硬化性組成物の塗布膜を形成する。該塗布膜にパターン露光、アルカリ現像、ポストベーク処理等を施して、各画素を形成し、該各画素上に透明電極(ITO)膜をスパッタリングにより形成する。次いで、ポジ型フォトレジスト塗布膜を形成し、該フォトレジスト膜にパターン露光、現像を施し、さらに必要なITOをエッチングして画素電極パターンを形成する。その後、該画素電極パターン上に残存しているフォトレジスト膜を剥離液で除去することにより、COA方式の液晶表示装置用カラーフィルタを製造することができる。
本発明の光熱重合性組成物を塗布して塗布膜を形成するには、直接又は他の層を介して基板に回転塗布(スピンコート)、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、インクジェット等の塗布方法により、基板に直接又は他の層を介して塗布し、乾燥(プリベーク)等することにより行なうことができる。なお、基板上に塗布された着色硬化性組成物の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用いて、50℃〜140℃の温度で10〜300秒加熱することにより行なうことができる。また、近年、基板の大型化が進んでいることから、塗布膜の形成方法としてはスリット塗布が有効であり、かかる塗布方法が一般的になりつつある。
また、塗布膜のパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ、現像液で現像して、各色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状被膜を形成することにより行なうことができる。露光に際して用いることができる放射線としては、特にg線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
次いでアルカリ現像処理を行なうことにより、ネガ型の場合には前記露光がなされていない非硬化部をアルカリ水溶液に溶出させ、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。
有機アルカリ現像液としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセン等の有機アルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したものを使用することができる。このような有機アルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後、純水で洗浄(リンス)が行なわれる。
なお、現像温度は、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
次いで、上記アルカリ現像処理後は、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥した後、加熱処理(ポストベーク)を行なう。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃にて熱硬化処理を行なう。ポストベーク処理は、現像後の塗布膜の温度が上記条件となるように、ホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて加熱することにより行なうことができる。なお、ポストベーク処理は、連続式又はバッチ式のいずれによっても行なうことができる。
このように、RGBの3色の着色硬化性組成物を用いて、順次、RGB色の着色パターンを形成する上記工程を順次繰り返すことにより、複数色の画素からなるパターン状の硬化被膜であるカラーフィルタを形成することができる。
−COA方式の液晶表示装置用カラーフィルタの使用方法−
上記方法により形成したカラーフィルタは、下記のようにして、COA方式の液晶表示装置に使用される。まず、上記カラーフィルタの画素上に、スパッタリングにより透明電極(ITO)膜を形成し、さらにその上に、エッチング耐性のあるポジ型フォトレジスト膜を形成する。そして、パターン露光、現像を施した後、フッ酸等の薬品で不要なITOをエッチングして画素電極を形成する。なお、パターン露光、現像、及びエッチングは通常公知の手法を制限なく用いることができる。
次に、形成された画素電極上に残っているポジ型レジストを剥離液で速やかに剥離除去する。この剥離液としては特に制限はなく従来公知の剥離液を使用することができる。例えば、特開昭51−72503号、特開昭57−84456号、特開平6−222573号等の各公報や米国特許第4165294号及び欧州特許第0119337号の各明細書に開示されている各種の有機溶剤が使用できる。代表的な剥離液としては、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒が挙げられる。また、剥離液として60℃以上に加熱した有機溶剤を使用することで、剥離工程を短時間にすることができ、さらにまた、現像残査の問題もなくすことができる。本発明における光熱重合性組成物は特に耐剥離液性が優れているので、60℃以上に加熱した有機溶剤を使用してもカラーフィルタの塗膜が剥れたり、膨潤・膨張したりするようなことはなく、レジスト膜を除去することができる。
本発明のカラーフィルタは、通常、特開平9−311347号公報の図1に開示されているような構造でTFT液晶表示装置などの各種表示装置に用いられる。
上述のようにして得られたカラーフィルタは、位置合わせが容易で、開口率を高めることができるため、COA方式の画像表示装置に好適である。しかも、本発明の光熱重合性組成物を用いて画素を形成しているので、剥離液耐性が高く、そのため良品化率が高く、生産効率も高いものである。また、通常カラーフィルタに要求される耐熱変色性、低誘電率性、膜厚均一性、解像性、電圧保持率、耐光性なども良好である。
カラーフィルタの構造は、上記したように画素が1層のみからなる形態に対し、画素用光熱重合性組成物の塗布膜からなる画素膜と該画素膜上に形成された前記画素保護膜用光熱重合性組成物からなる画素保護膜との2層を基板と画素電極との間に有する。
前記画素膜の膜厚は、0.3μm〜5.0μmが好ましく、0.5μm〜3.5μmがより好ましい。塗布厚みが厚い方が高色度を達成できるが、塗布厚みが厚いとコンタクトホールの解像性が悪くなるので、バランスが必要である。また、前記画素保護膜の膜厚は0.2μm〜5.0μmが好ましく、0.2μm〜3.0μmがより好ましい。また、下地の画素の凹凸を平坦化して、表面は平滑であることが望ましい。
−本発明の着色感光性組成物を用いたCOA方式の画像表示装置の製造方法−
以下、本発明の着色感光性組成物において最も好適なCOA方式の画像表示装置(以下、単に「COA」とも称する。)の例を示す。
通常のカラーフィルタはガラス基板上に設けられ、TFT基板と貼り合せられる。これに対し、COAの技術はTFT基板に直接カラーフィルタを形成するもので、通常のカラーフィルタ材料と比較して下記(i)〜(iii)の点を考慮する必要がある。
(i)低誘電率
COAではTFTに直接画素電極を設けるため、電圧が直接カラーフィルタにかかることから、カラーフィルタの材料が低誘電率材料であることが求められる。
(ii)コンタクトホール
COAでは画素電極のITO配線がその下に設けられるTFTと接続される必要がある。このため、コンタクトホールが現像時に確実に形成されることが求められる。
(iii)剥離液耐性
COAでは画素毎に電極形成が必須となる。該電極の形成は、画素の上にITOをスパッタで付け、パターニング及びエッチングによる配線をポジ型レジストで行ない、次いで、残ったポジ型レジストを、通常80℃程度の高温の剥離液で除去する。このためCOAではカラーフィルタ等がこの剥離液によって侵されないこと、及び剥離液によって膨潤し、ITOが追従できなくて断線することのないように低膨潤率が求められる。
一方、TFT基板の上にカラーフィルタを作製する際、カラーフィルタ作製工程における不良品の出現はTFT基板も含めて不良品となるため、非常にリスクが高い。しかし、近年液晶TVに代表されるようにLCDが大型化されるに伴い、製造基板サイズも年々大型化している。さらに液晶の注入時間も長くなるため、液晶注入方法が滴下方式へと変わりつつある。上述したように、このような基板サイズの大型化、液晶滴下方式の適用などに伴い、カラーフィルタとTFT基板を貼り合せる際に、カラーフィルタの画素とTFTとの位置合せ精度がシビアになっており、基板の中心部と周辺部との位置ズレを修正することが非常に困難になりつつある。
この点において、COAはTFTの上に直接画素を設けるために、位置ズレの心配はなく、また、液晶を挟んだ対向基板には、ITOを全面にスパッタした基板を用意すればよい。このため、位置合せの必要はシール剤の位置程度になり、飛躍的に作業効率が向上する。上述したように、COAの技術は、位置合せ精度が必要ない(緩やかである)ことから、ブラックマトリックスの線幅を非常に狭くして、開口率を広げることができ、バックライトの電力消費を低く抑えられるメリットがある。このようにCOAについては種々検討されており、今後のLCD大型基板への必須技術になる可能性がある。しかしながら、上述の通り、TFTの上にカラーフィルタを作製することによるリスクと、カラーフィルタ材料として前記(i)〜(iii)の要求に応えられるようなものが提供されていないため、採用が進んでいないのが現状であった。
本発明の着色感光性組成物は、上記に鑑み、COA用の前記カラーフィルタ材料に起因する問題点を解決し得るものであり、その使用方法は、それぞれ目的によって使い分けることができる。
即ち、最も望ましい方法は、着色剤を含んだ本発明の着色感光性組成物を用いてカラーフィルタを作製する方法である。更に、TFT上にカラーフィルタを作製することによって平坦性が満足できない場合には、さらに着色剤を含まない本発明の着色感光性組成物を平坦化膜として使用することで、種々の要求特性を満足することができる。当然、該平坦化層は下地のカラーフィルタとの相性も良いので、密着性も良くCOAの材料面からの不良率を最少に抑えることができる。
<表示装置>
本発明の表示装置は、既述の本発明のカラーフィルタを備えたものである。
本発明の表示装置としては、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話等の携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビ用表示装置等の表示装置が挙げられる。これらの中でも、本発明のカラーフィルタを適用する対象としては、特にカラー表示装置が好適である。
本発明のカラーフィルタを有機EL表示装置や液晶表示装置等に用いた場合、高輝度で、分光特性及びコントラストに優れた画像の表示が可能になる。
[液晶表示装置]
液晶表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタは、なかでも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。また、本発明のカラーフィルタは、COA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
−着色感光性組成物の調製−
下記の各成分を混合、溶解し、着色感光性組成物を調製した。
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 5.1g
・有機溶剤2(ジエチレングリコールエチルメチルエーテル) 17.1g
・アルカリ可溶性樹脂1〔(B)特定共重合体:表1に記載の化合物〕 11.5g
〔メタクリル酸/N―フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/スチレン(15/25/35/10/15)共重合体〕
・重合性化合物1(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA) 4.0g
・重合性化合物2(東亜合成(株)製、アロニックス TO−2349) 1.3g
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.003g
・光重合開始剤 光重合開始剤1(1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(チオフェノイル)−9H−カルバゾール−3−イル]プロパノン) 0.5g
・多官能チオール化合物1(下記構造) 0.35g
・紫外線吸収剤1(下記構造) 0.32g
・密着改良剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 0.16g
・フッ素系界面活性剤(DIC社製、商品名:メガファックF−554、0.2%
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液) 8.0g
・青色顔料分散液(下記により調製したPigment Blue 15:6分散液、
固形分濃度16.8質量%、顔料濃度9.9%) 21.9g
・染料溶液1(下記により調製した染料溶液) 4.7g
・染料溶液2(下記により調製した染料溶液) 25.1g
−青色顔料分散液の調製−
青色顔料分散液1は、以下のようにして調製した。
C.I.ピグメントブルー15:6を12.8部と分散剤(商品名:ソルスパース5500、日本ルーブリゾール社製)7.2部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.0部と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて、青色顔料分散液を調製した。
−染料溶液1の調製−
染料溶液1は、下記の各成分を混合、溶解して調製した。
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 4.23g
・染料1(B−1) 0.47g
−染料溶液2の調製−
染料溶液2は下記の各成分を混合、溶解して調製した。
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 23.84g
・染料2(A−1) 1.26g
以下に、実施例1の着色感光性組成物の調製で用いた染料1(B−1)、染料2(A−1)、紫外線吸収剤1、及び、多官能チオール化合物1の構造を示す。なお、染料1(A−1)は、ジピロメテン金属錯体化合物である染料である。染料2(B−1)は、アントラキノン化合物(アントラセン−9,10−ジオン骨格を有する化合物)である。

上記のように着色感光性組成物を調製混合して、下記の評価を行なった。
なお、本実施形態に用いる(B)特定共重合の例を、該(B)特定共重合体の合成に使用されたモノマー種と重合モル比により下記表1に示す。表1中「−」は、そのモノマーが共重合体に使用されないことを意味する。なお、以下に示す各(B)特定共重合体のGPC法で測定された重量平均分子量は、いずれも5,000〜50,000の範囲内であった。
各着色感光性組成物の組成の詳細は下記表2に、測定・評価の結果は下記表3にそれぞれ記載する。
〔実施例2〜29、比較例1〜11〕
実施例1において用いた染料1、光重合開始剤、及び(B)特定共重合体を、それぞれ表2に記載のように変更し、それ以外は実施例1と同様にして、着色感光性組成物を調製した。得られた着色感光性組成物より、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表3に示す。
なお、下記表2に記載の実施例2〜29、比較例1〜11に使用した(B)特定共重合体の詳細は記述の通りである。その他の化合物の詳細を以下に示す。染料のうち、(A−4)及び(A−5)はピロメテン金属錯体化合物には含まれない比較染料である。

光重合開始剤1:(1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(チオフェノイル)−9H−カルバゾール−3−イル]プロパノン)
光重合開始剤2:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン
光重合開始剤3:1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン
光重合開始剤4:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’−,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
光重合開始剤5:トリアジン化合物

(測定・評価)
−比誘電率の測定−
a)クロム被覆ガラス基板(1辺75mm、クロム膜の厚さ0.3μm)上に、硬化後(ポストベーク後)の膜厚が3.0μmになるように回転数を調整し、スピンコーターにて下記表1に記載の光重合性組成物(1)〜(6)を各々塗布した。
b)次いで、塗布膜が形成されたクロム被覆ガラス基板をホットプレート上で100℃・120秒の条件でプリベークし、溶剤を乾燥させた。
c)プリベーク後、2.5kwの超高圧水銀灯を使用し、200mJ/cmの露光量で塗布膜を光照射した。
d)次いで、熱風循環式乾燥機にて、塗布膜が形成されたクロム被覆ガラス基板を220℃60分の条件で加熱硬化(ポストベーク)し、試験片を作製した。
e)ポストベーク後、試験片の角隅1ヶ所の塗膜を削り取り、クロム表面を露出させた。
f)次いで、試験片の裏面に、銀ペーストをスピンコートし、風乾した。その後、表面のクロム露出面と裏面の銀ペースト塗布面とを前記銀ペーストで導通(接続)した。
g)乾燥後、試験片の表塗膜面に真空蒸着装置(商品名:イオンスパッタE1030、日立(株)製)を用いて、Pt・Pdターゲット材で図1に示すように、試験片1上に蒸着厚みが約50nmの主電極2(内円)及びガード電極3(外円)を作製した。なお、試験片1上には、前記e)において削り取ったクロム表面4が露出している。
h)電極作製後、試験片の電極のついていない部分の塗膜の厚みを触針式表面形状測定器(商品名:DEKTAK3、(株)アルバック製)で測定した。
i)次いで、静電容量測定器(精密インピーダンス アナライザー4294A、アジレント テクノロジー(株)製)に誘電テストフィクスチャー16451B及び電極を取り付け、更に前記g)における試験片を装着して、1kHz、0.5Vの交流電圧を印加したときの比誘電率ε’を測定した。
A:比誘電率ε’<3.0
B:比誘電率ε’3.0〜5.0
C:比誘電率ε’>5.0
−剥離液耐性−
以下の手順a)〜e)で試験片の膜厚みを測定して膨潤率を算出し、その算出値を剥離液耐性を評価する指標とした。但し、剥離液耐性が悪いものは剥離液への浸漬時に、塗膜が剥離液中に溶解したり、基板から剥れたりして、膜厚を測定できないものがある。このようなものは「×」の評価とした。
a)前記〔比誘電率の測定〕のd)にて得た試験片の膜厚(FT0)を測定した。
b)測定後、剥離液として、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルフォキシド(DMSO)との混合物(MEA/DMSO=7/3質量比)を用い、上記の試験片を剥離液に80℃・120秒浸漬した。
c)バットにMEA/DMSO=7/3の液を満たし、前記b)の浸漬後の試験片を更に漬け、その後、触針式表面形状測定器(商品名:DEKTAK3、(株)アルバック製)の試験片支持台に剥離液に表面を覆われた状態の試験片を載せて、塗膜厚み(FT1)を測定した(剥離液による膨潤状態の膜厚測定)。
d)別のバットに純水を満たし、前記c)において膨潤した試験片を浸漬し、1晩静置して塗膜に含まれる剥離液と水を置換した後、試験片を200℃・30分で乾燥し、再度塗膜厚(FT2)を測定した。
e)上記により測定したFT0、FT1、FT2を用いて、下記式から試験片の膨潤率及び膜減り率を算出し、下記基準に基づいて剥離液耐性を評価した。なお、(FT1−FT0)は、剥離液による見掛の膨潤を測定しているため、剥離液によって侵食された膜減り分(FT2−FT0)で補正し、真の膨潤率を算出した。
真の膨潤率(%)=100×(FT1−FT2)/F0
膜減り率(%)=100×(FT2−FT0)/F0
〔評価基準〕
A:真の膨潤率≦40%、膜減り率≦5%であり、剥離液耐性は良好であった。
B:真の膨潤率≦40%、膜減り率>5%であり、剥離液耐性は許容の範囲内であった。
C:塗膜が溶解又は剥離してしまい、剥離液耐性に劣っていた。
−パターン特性−
ガラス(#1737;コーニング社製)基板上に、上記で調製した着色感光性組成物をスピンコート法で塗布した後、室温で30分間乾燥させることにより揮発成分を揮発させて、着色層Aを形成した。この着色層Aにi線(波長365nm)を照射し、潜像を形成させた。i線の光源には超高圧水銀ランプを用い、平行光としてから照射するようにした。このとき、照射光量を35mJ/cmとした。次いで、この潜像が形成された着色層Aに対して、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムの水溶液(濃度2.4%)を用いて26℃で45秒間現像し、次いで、流水で20秒間リンスした後、スプレーで乾燥して、細線パターン画像を得た。得られた細線パターン画像を230℃で20分間、ポストベーク処理を行ない、膜厚0.5〜3.5μmのパターン状の着色層B(着色パターン)を得た。上記で得た塗布乾燥後のパターン状の着色層B(着色パターン)について、ガラス基表面と直交する面の断面形状を、SEMを用いて10万倍で観察し評価した。
評価は、着色パターン断面のSEM画像において、ガラス基板と画素パターン端部との接線との角度(以下、パターン角度とも称する。)を計測することにより行なった。
パターン端部の形状がなだらかで、パターン角度(テーパ角)が小さいほどカラーフィルタ作製の後工程であるITO蒸着時において、断線が起こり難くなることから、好ましい。
〔評価基準〕
A:パターン角度≦50°
B:50°<パターン角度≦70°
C:70°<パターン角度
−耐熱性−
上記で得られた着色層Bについて、分光光度計(瞬間マルチ測光システムMCPD−3700 大塚電子株式会社製)により分光測定を行い色度データを得た。さらに、着色層Bをさらに230℃で40分間追加ポストベーク処理を行い着色層Cを得た。着色層Cについて、同様に分光測定を行い、色度データ、輝度を得た。得られた色度データより、輝度、追加ポストベークによる色度変化ΔEを算出した。上記で得られた輝度、色度変化により耐熱性の評価を行なった。
〔評価基準〕
輝度は数値が大きいほうが好ましく、数値が高いほど加熱による輝度の低下が小さいことが分かる。
輝度≧10.10以上:輝度が良好である。
輝度<10.10未満:輝度は劣っている。
色度変化ΔEは、数値が小さい方が好ましく、加熱による色度の変化が少ないことを表す。
色度変化ΔE≦3.0:耐熱性が良好である。
色度変化ΔE>3.0:耐熱性に劣っている。
表3に示されるように、実施例の着色感光性組成物により形成された着色パターンは、パターン特性が良好であり、比誘電率、剥離液耐性に優れていることが分かる。且つ、本発明に係る一般式(I)で示される化合物と、本発明に係る(B)特定のアルカリ可溶性樹脂を組み合わせることにより、着色感光性組成物のパターン形状や上記の性能が良好であるとともに、一般式(I)で示される化合物の熱による劣化を抑止することができ、耐熱性が向上し、輝度の低下を低減させることができることが分かった。

Claims (9)

  1. (A)下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む着色剤と、(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)重合性化合物と、を含有する着色感光性組成物。


    [一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。]
  2. 前記金属錯体化合物が下記一般式(I−3)で表される化合物である請求項1に記載の着色感光性組成物。


    [一般式(I−3)中、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
  3. 前記(B)N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂が、N位−置換マレイミド基を有する繰り返し単位を0.1モル%〜70モル%、及びアルカリ可溶性基を含む繰り返し単位を0.1モル%〜50モル%を含む共重合体である請求項1又は請求項2に記載の着色感光性組成物。
  4. 前記(A)着色剤として、さらに顔料を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
  5. さらに、前記(B)アルカリ可溶性樹脂とは構造の異なるアルカリ可溶性バインダーを含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性組成物により形成された着色膜を備えるカラーフィルタ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色感光性組成物を、支持体上に付与して着色層を形成する着色層形成工程と、
    前記着色層に対してパターン様の露光する露光工程と、
    前記露光された着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
    を有するカラーフィルタの製造方法。
  8. 請求項6に記載のカラーフィルタ、或いは、請求項7に記載の製造方法により得られたカラーフィルタを具備してなる表示装置。
  9. 薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色感光性組成物により形成された画素を有するカラーフィルタを具備してなる液晶表示装置。
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