JP2013205205A - 白血球分類用試薬およびこれを用いた白血球分類方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】赤血球細胞を溶解し、白血球を分類可能とすることを特徴とする白血球分類用試薬であって、ショ糖と置換または非置換の飽和または不飽和脂肪酸とからなるショ糖脂肪酸エステルを含有する、白血球分類用試薬。
【選択図】なし
Description
本発明に係る白血球分類用試薬は、ショ糖と置換または非置換の飽和または不飽和脂肪酸とからなるショ糖脂肪酸エステルを含む。
ショ糖脂肪酸エステルを構成するショ糖は、スクロースとも呼ばれ、グルコースおよびフルクトースからなる二糖である。ショ糖は8つのヒドロキシ基を有しており、本発明に係るショ糖脂肪酸エステルは、前記ヒドロキシ基の1つ以上が前記脂肪酸とエステル結合を形成した構造を有している。2以上のヒドロキシ基が脂肪酸とエステル結合を形成する場合には、それぞれのヒドロキシ基に結合する脂肪酸は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されず、置換または非置換の飽和または不飽和脂肪酸である。前記飽和または不飽和脂肪酸の炭素原子数は、好ましくはC2〜C30であり、より好ましくはC12〜C18である。具体的な脂肪酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カピリル酸、エラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、アラキドン酸、ネルボン酸、エルカ酸等が挙げられる。これらのうち、前記飽和または不飽和脂肪酸は、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸であることが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸であることがより好ましい。
本発明に係る白血球分類用試薬は、ショ糖脂肪酸エステルの他、適宜公知の添加物を含んでいてもよい。上記添加物としては、例えば、界面活性剤、可溶化剤、蛍光色素、固定化剤、溶剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、およびキレート剤が挙げられる。
用いられうる界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル以外のものであれば特に制限されないが、赤血球細胞を優先して溶解するもの、または白血球細胞に影響を与えないものであることが好ましい。具体的には、硫酸エステル系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤、およびスルホン酸系界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸系界面活性剤)等の陰イオン性界面活性剤;第4級アンモニウム塩系界面活性剤、ピリジニウム塩系界面活性剤、およびアミドアミン系界面活性剤等の陽イオン性界面活性剤;サポニン、アルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、およびアルキルグルコシド系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤;ベタイン系界面活性剤、アルキルベタイン系界面活性剤、アミドベタイン系界面活性剤、およびアミンオキサイド系界面活性剤等の両性界面活性剤が挙げられる。これらのうち、イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、陰イオン性界面活性剤を用いることがより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸系界面活性剤を用いることがさらに好ましく、下記一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤であることが特に好ましい。
可溶化剤は、一部損傷した白血球細胞を収縮させる役割を有する。
蛍光色素は、白血球細胞を染色する役割を有する。これによって、白血球細胞を測定する際の判断要素が増えることとなり、より詳細で正確な測定をすることが可能となりうる。
固定化剤は、血球細胞の細胞膜を変性させて強度を向上させ、血球細胞の溶解を抑制する役割を有する。
溶剤は、血球細胞を分散して希釈する役割を有する。
浸透圧調整剤は、試薬中で、血球細胞が安定して存在できる浸透圧に調節する機能を有する。
pH調整剤は、試薬のpHを調整する役割を有する。
キレート剤は、金属イオンとキレートを形成することにより、試薬の長期保存、および使用時に金属イオンによって生じる沈殿物の発生を防止する機能を有する。
本発明の一実施形態によれば、血液試料に上述の白血球分類用試薬を混合して血液試料中の赤血球を溶解する工程(1)と、前記工程で得られた混合液をフローサイトメータに導く工程(2)と、を含む、白血球分類方法が提供される。本形態によれば、白血球の種別ごとの測定および白血球の形態異常の検出が可能となる。
工程1は、赤血球細胞および白血球細胞を含む血液試料に上述の白血球分類用試薬を混合して血液試料中の赤血球細胞を溶解する工程である。
工程2は、フローサイトメータを用いて前記工程1で得られた混合液に含まれる白血球を分類する工程である。フローサイトメータにおいて前方散乱光(FS)、側方散乱光(SS)、および蛍光からなる群から選択される少なくとも1つを測定することにより、白血球の種別ごとの測定および白血球細胞の形態異常の検出をすることができる。
ではない。
白血球分類試薬1の調製
ショ糖脂肪酸エステルとしてDKエステルSS(第一工業製薬株式会社製)1.5g、および浸透圧調整剤として塩化ナトリウム9.0gの混合物に、溶剤として精製水を総容量が1Lとなるまで添加し、白血球分類用試薬1を調製した。
白血球分類試薬2の調製
ショ糖脂肪酸エステルとしてDKエステルSS(第一工業製薬株式会社製)0.2g、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸系界面活性剤(ポリオキシエチレン(3)アルキル(C11〜C15混合物)エーテル硫酸ナトリウム)0.76g、および浸透圧調整剤として塩化ナトリウム9.0gの混合物に、溶剤として精製水を総容量が1Lとなるまで添加し、白血球分類用試薬2を調製した。
白血球分類用試薬3の調製
界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムを含むヘモライナック5(日本光電工業株式会社製)を白血球分類用試薬3として使用した。
血液試料を希釈液アイソトナック3(日本光電工業株式会社製)で希釈し、得られた希釈液に白血球分類用試薬1を添加した。15〜35℃で血液試料を反応させ、反応液をそのまま全自動血球計数器MEK−7222(日本光電工業株式会社製)に導入し、測定した。前方散乱光(FS)および側方散乱光(SS)を検出することにより図1に示すスキャッタグラムを得た。
図1〜3に示すスキャッタグラムによれば、白血球分類用試薬1および2を用いると、白血球分類用試薬3を用いた場合と同等の結果を得ることができ、赤血球細胞を溶解させても問題なく血液試料の白血球細胞を種別ごとに計測することができた。
2 好塩基球
3 単球
4 好中球
5 好酸球
Claims (6)
- 赤血球細胞を溶解し、白血球を分類可能とすることを特徴とする白血球分類用試薬であって、
ショ糖と置換または非置換の飽和または不飽和脂肪酸とからなるショ糖脂肪酸エステルを含有する、白血球分類用試薬。 - イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の白血球分類試薬。
- 前記イオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸系界面活性剤の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の白血球分類用試薬。 - 前記飽和または不飽和脂肪酸の少なくとも1つの炭素原子数が、C12〜C18である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
- 前記ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が、10〜20である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬。
- 赤血球細胞および白血球細胞を含む血液試料に請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬を混合して血液試料中の赤血球を溶解する工程と、
フローサイトメータを用いて前記工程で得られた混合液に含まれる白血球を分類する工程と、
を含む、白血球分類方法。
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