JP2013205078A - ラマン分光法による生体内成分の濃度計測方法および濃度計測装置 - Google Patents

ラマン分光法による生体内成分の濃度計測方法および濃度計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】生体に埋め込まれたデバイスを用いるラマン分光法により生体内成分の濃度を、簡便に再現性良く計測する。
【解決手段】照射光7はビームスポットの中に測定領域12と参照領域13の両方を含むように照射され、測定領域12に吸着した成分からなる測定試料14に起因するラマン散乱光の強度を、参照領域13に固定されている参照試料15に起因するラマン散乱光の強度を用いて補正することにより、位置合わせのための複雑な光学系調整機構が無くても再現性の良い計測ができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、生体内成分の濃度計測方法および濃度計測装置に関するものである。
ラマン分光法は、試料に光を照射して得られる散乱光を分光して、ラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る方法であり、試料に含まれる物質の同定等に使用されている。またラマンスペクトルのスペクトル強度は、試料中の分子濃度に比例するため、試料中の分子濃度の計測等にも使用されている(例えば、特許文献1参照)。
ラマン散乱光は微弱な光であることから、ラマン散乱光を増強する光電場増強デバイスが開発されている。光電場増強デバイスの一つとして局在型表面プラズモン共鳴を利用したデバイスが挙げられる。これは、金属体、特に表面にナノオーダの凹凸を有する金属体に試料を接触させた状態で光を照射すると、金属体表面近傍に局在型表面プラズモン共鳴による光電場増強が生じ、金属体表面近傍に配置した試料のラマン散乱光の強度が増強されるというものである。
特許文献2は、光電場増強デバイスの作成ロットが異なるなどの原因で光電場の増強度にばらつきが生じた場合にも、精度良く測定する方法を開示している。当該方法では、まず、測定対象となる測定試料から発せられるラマン散乱光を増強する測定領域と、既知の参照試料から発せられるラマン散乱光を増強する参照領域とを一体的に製造する。次に、測定領域での測定と参照領域での測定を順次行う。測定試料から測定したラマンスペクトルのスペクトル強度を、参照試料から測定したラマンスペクトルのスペクトル強度を用いて補正することにより、個々の光電場増強デバイスの光電場の増強度にバラツキが生じている場合であっても、測定試料のラマンスペクトルのスペクトル強度を精度よくかつ定量的に測定することができる。
また、生体に光を照射して得られる光応答の信号に基づいて、当該生体に含まれるグルコースのような成分の濃度を計測する方法が知られている。
特許文献3は、蛍光によりグルコースの濃度を計測する方法を開示している。当該方法では、まず、グルコースと反応すると蛍光特性が変化する試薬を含有する微粒子を、生体の皮膚に埋め込む。次に、生体外から励起波長の光を照射することで発生する蛍光を測定することで、グルコースの濃度を計測している。
特開平6−174723号公報 特開2009−103651号公報 特表2004−510527号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、生体に埋め込んだデバイスに対して、生体外から光を照射し、その光応答の信号を生体外で測定する場合、測定の再現性が悪化するという課題があった。これは、生体に埋め込まれた微粒子チップからのラマン散乱光を生体外部で測定する場合、生体内部での減衰や生体表面での散乱などの影響が無視できず、それらの影響は測定場所もしくは測定日時によって大きく変化することが原因である。
また、測定領域で測定試料のラマン散乱を測定した後に、参照領域で参照試料のラマン散乱を測定するためには、2つの異なる領域に光を照射するために照射位置を変える必要があるが、その際、照射角度などの測定条件は保たれなければならない。生体に埋め込んだデバイスに対して、測定条件を保ったまま生体外部から光を照射するには、複雑な光学系調整機構が必要となるため、一般ユーザの使用を前提とした装置には不向きである。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、生体に埋め込まれたデバイスを用いるラマン分光法により生体内成分の濃度を、簡便に再現性良く計測する方法を提供するとともに、その方法を実現する装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の生体内成分の濃度計測方法は、生体内に埋め込んだ金属微粒子を含んだ微粒子チップに生体外から照射光を照射し、微粒子チップで発生したラマン散乱光を検出して、生体内の成分の濃度計測をする方法であって、前記微粒子チップには、前記生体内の成分を吸着させる物質が予め固定されている測定領域と、濃度が既知である参照物質が予め固定されている参照領域とを含み、前記照射光はビームスポットの中に前記測定領域と前記参照領域の両方を含むように照射され、前記測定領域に吸着した成分からなる測定試料に起因するラマン散乱光の強度を、前記参照領域に固定されている参照試料に起因するラマン散乱光の強度を用いて補正することを特徴とする生体内成分の濃度計測方法とした。
また、本発明の生体内成分の濃度計測装置は、生体内に埋め込んだ金属微粒子を含んだ微粒子チップに生体外から照射光を照射し、微粒子チップで発生したラマン散乱光を検出して、生体内の成分の濃度計測をする装置であって、前記微粒子チップには、前記生体内の成分を吸着させる物質が予め固定されている測定領域と、濃度が既知である参照試料が予め固定されている参照領域とを含み、前記照射光はビームスポットの中に前記測定領域と前記参照領域の両方を含むように照射され、前記測定領域に吸着した成分からなる測定試料に起因するラマン散乱光の強度を、前記参照領域に固定されている参照試料に起因するラマン散乱光の強度を用いて補正する機能を備えていることを特徴とする生体内成分の濃度計測装置とした。
本発明の生体内成分の濃度計測方法および濃度計測装置によれば、位置合わせのための複雑な光学系調整機構が無くても、高い精度で再現性の良い計測ができる。
本発明の実施の形態1における生体の皮膚の断面図 本発明の実施の形態1における微粒子チップの形状を示す図 本発明の実施の形態1における微粒子チップの上面図 試料から測定されるラマンスペクトルの図 本発明の実施の形態1における計測装置の概略図 本発明の実施の形態2における微粒子チップの上面図 照射光7の位置がずれた場合の影響を説明する図 本発明の実施の形態3における計測装置の概略図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における生体の皮膚の断面図である。生体内部2には、生体外部1に近い側から順に、表皮組織3、真皮組織4、皮下組織5がある。表皮組織3は、およそ0.2〜0.5mmの厚さを有する。真皮組織4は、およそ0.5〜2mmの厚さを有する。皮下組織5は主に脂肪組織から構成される。
微粒子チップ6は、真皮組織4に埋め込まれ、組織細胞間の体液である細胞間質液に浸されて保持されている。真皮組織4は複数の毛細血管を有するので、体液は当該毛細血管中の成分を含有している。特にグルコースは高い浸透性を有するので、体液のグルコース濃度は、血糖値との高い相関性を有する。
照射光7は、波長785nmであり、ビームスポットは直径150μmの円形の形状をしている。照射光7は生体外部1から微粒子チップ6に向けて照射される。照射光7は表皮組織3を透過し、真皮組織4に埋め込まれた微粒子チップ6に到達すると、微粒子チップ6により散乱され、散乱光8が発生する。散乱光8は、表皮組織3を透過し、生体外部1に伝播する。
図2は、微粒子チップ6の説明図である。微粒子チップ6は、表面に凹凸構造をもつ基板9と、基板9の表面に成膜された金属層10からなる。図2の拡大図では、基板9の凸部により形成される微粒子11が3×3の9個存在している領域を示しているが、微粒利チップ6に含まれる微粒子11の数はこれより多く、例えば1000×1000の100万個存在しているものでも良い。また、x方向の微粒子数とy方向の微粒子数は同じである必要はなく、さらに、微粒子11は周期的に配列されていなくても良い。
基板9は、1辺がおよそ100μmの平面、およびおよそ100μmの厚みを有する。基板9の材料はアクリルなどの樹脂やガラスなどであり、金属層10を成膜する前に凹凸構造に加工される。
金属層10は、z方向に20〜160nm程度の厚みを有し、x方向およびy方向に10〜80nm程度の厚みを有する。金属層10の材料は、金および金を主成分とした合金が使用される。金属層10はスパッタや真空蒸着によって成膜される。
微粒子11は、適当な波長を持つ光が照射されることによって局在型表面プラズモン共鳴を発生する。微粒子11のサイズはx方向およびy方向の幅が100〜400nm、z方向の高さが40〜300nm、x方向およびy方向の再隣接微粒子とのギャップが20〜200nmの範囲で調整することで、波長が785nmである照射光7により局在化表面プラズモン共鳴を発生させることができる。
図2では微粒子11は直方体構造であるが、角が丸みを持った構造であってもよい。
図1に示したように、微粒子チップ6は真皮組織4の中に埋め込まれる。生体表面から微粒子チップ6までの距離はおよそ1.5mmである。
照射光7が微粒子チップ6に照射されると、微粒子11上で局在型表面プラズモン共鳴が生じ、微粒子11の近傍における電磁の場強度は増強される。これにより、微粒子11の近傍(30nm以内)に位置する成分による散乱光8は増強される。ここで、増強された散乱光8のなかで、ラマン散乱光が増強されたものを表面増強ラマン散乱光と呼ぶ。表面増強ラマン散乱光は、通常のラマン散乱光よりも10〜10倍以上の強度を有する。
生体成分に含まれるグルコースの量は、生体に含まれる他の成分の量よりも少ない。従って、グルコースの通常のラマン散乱光の強度は弱く、測定は困難である。しかし、微粒子チップ6により、真皮組織4中の体液に含まれるグルコースのラマン散乱光が増強され、これにより、グルコースのラマン散乱光が測定可能になる。グルコースの表面増強ラマン散乱光の強度は、グルコースの濃度に比例するため、グルコースの表面増強ラマン散乱光の強度により、グルコースの濃度が算出できる。
図3は、微粒子チップ6の上面図である。微粒子チップ6の上面には図2で示したように微粒子11が多数存在している。図3に示すように、微粒子チップ6の上面は測定領域12と参照領域13が設けられる。
測定領域12には、体液に含まれるグルコースを吸着させる物質を予め固定しておく。これにより、測定領域12の測定試料14としてグルコースが、体液のグルコース濃度に応じた量だけ吸着する。
参照領域13には、体液に浸していても安定な参照試料15を、予め所定の濃度で固定しておく。
照射光7のビームスポットは、微粒子チップ6よりも大きい。そのため、照射光7は、測定試料14および参照試料15の両方のラマン散乱光を同時に発生させることができる。
ラマン散乱光は、照射光7の波長に対応するエネルギーから、試料に固有の振動順位もしくは回転順位のエネルギー差分だけシフトしたエネルギーに対応する波長をもつ。ラマン散乱におけるエネルギーのシフト量は一般的に波数kによって表される。そのため、光のエネルギーも波数kで表現すると都合が良く、波長λと波数kとの関係は以下の式で与えられる。
k(cm−1)=10/λ(nm)
785nmの波長λを波数kに換算すると12739(cm−1)になる。グルコース特有のエネルギーのシフト量の1つは波数で表現すると1120(cm−1)である。よって、ラマン散乱光の波数は、12739(cm−1)−1120(cm−1)=11619(cm−1)である。11619(cm−1)を波長に換算すると860.7nmである。
なお、グルコース特有のエネルギーのシフト量は複数あり、ラマン散乱光には複数の波長成分が含まれる。
図4は、試料に波長785nmの照射光7を照射することにより測定されるラマンスペクトルの一部である。
図4(a)は測定試料14のラマンスペクトルであり、参照領域13が無い微粒子チップを測定することにより得ることが出来る。測定試料14のラマンスペクトルは波長λ1およびλ3にピークをもち、それぞれの波長における信号強度はA1およびA3である。ここで、信号強度は測定試料14の濃度に比例するが、信号強度A1またはA3のみから測定試料14の濃度を決定することは困難である。なぜならば、生体内部2の真皮組織4に埋め込まれた微粒子チップ6からのラマン散乱光を生体外部1で測定する場合、表皮組織3での減衰や生体表面での散乱などの影響が無視できず、それらの影響は測定場所もしくは測定日時によって大きく変化するからである。
図4(b)は参照試料15のラマンスペクトルであり、測定領域12が無い微粒子チップを測定することにより得ることが出来る。参照試料15のラマンスペクトルは波長λ2およびλ4にピークをもち、それぞれの波長における信号強度はB2およびB4である。参照試料15の濃度は既知である。そのため、信号強度B2またはB4から、表皮組織3での減衰や生体表面での散乱などの影響が算出できる。すなわち、測定試料14のラマン散乱光の強度に対して、参照試料15のラマン散乱光の強度により定まる補正を実施することで、測定試料14の濃度を決定することが理想的には可能である。
しかし、上記の方法を実施するためには測定試料14のラマン散乱強度の測定条件と参照試料15のラマン散乱強度の測定条件が同等であることが必要となり、実現は困難である。例えば、参照領域13が無い微粒子チップで測定試料14のラマン散乱光の強度測定をおこなった後に、測定領域12が無い微粒子チップで参照試料15のラマン散乱光の強度測定をおこなう場合、2つの異なる微粒子チップに照射光7を照射するために照射位置を変える必要があるが、その際、照射角度などの測定条件は保たれなければならない。生体内部2に埋め込まれた2つの異なる微粒子チップに向けて、測定条件を保ったままで、生体外部1から照射光7を照射するには、複雑な光学系調整機構が必要となるため、一般ユーザの使用を前提とした装置には不向きである。
図4(c)は測定試料14と参照試料15の両方から得られるラマンスペクトルであり、図3に示した微粒子チップ6を測定することにより得ることが出来る。測定試料14と参照試料15の両方から得られるラマンスペクトルは、測定試料14もしくは参照試料15を独立に測定したラマンスペクトルで現れたピーク波長である、λ1、λ2、λ3およびλ4にピークを持つ。それぞれの波長における信号強度はC1、C2、C3およびC4である。ここで、波長λ1およびλ3のピークは測定試料14に起因するものであり、信号強度C1およびC3は測定試料14の濃度に比例する。また、波長λ2およびλ4のピークは参照試料15に起因するものであり、信号強度C2およびC4は参照試料15の濃度に比例する。
図4(c)のラマンスペクトルは、微粒子チップ6よりも大きいビームスポットを持つ照射光7を測定領域12および参照領域13の両方に照射することで、同じ測定条件による測定試料14および参照試料15のラマンスペクトルを重ね合わせたものとなっている。すなわち、測定試料14に起因するラマン散乱光の強度C1またはC3に対して、参照試料15に起因するラマン散乱光の強度C2またはC4により定まる補正を実施することで、複雑な光学系調整機構を用いなくても、測定試料14の濃度を決定することが可能となる。
図4(c)において、測定試料14に起因するピーク波長λ1と参照試料15に起因するピーク波長λ2は波長が離れており、互いの信号強度の重なりは小さい。この場合、信号強度C1から測定試料14の濃度を決定するための補正方法は、信号強度C2により容易に定められる。例えば、C1の値をC2の値で除算すれば良い。
一方、測定試料14に起因するピーク波長λ3と参照試料15に起因するピーク波長λ4は波長が接近しており、互いの信号強度が大きく重なり合っている。そのため、波長λ3での信号強度C3は測定試料14の濃度だけでなく参照試料15の濃度にも影響をうける。同様に、波長λ4での信号強度C4は参照試料15の濃度だけでなく測定試料14の濃度にも影響をうける。この場合、信号強度C3から測定試料14の濃度を決定するための補正方法を定めるのは難しくなる。例えば、C2、C3、C4の3つの値を用いた複雑な演算が必要になる。
以上の説明で明らかなように、測定試料14のラマンスペクトルのピーク波長と参照試料15のラマンスペクトルのピーク波長とが、互いの信号強度が大きく重ならない程度に離れている場合は、測定試料14に起因する1つの波長と参照試料15に起因する1つの波長の2波長の信号強度が得られれば、測定試料14の濃度が決定できる。そうでない場合でも、3波長以上の信号強度が得られれば、測定試料14の濃度が決定できる場合がある。
図5は、本発明の実施の形態1における計測装置の概略図である。計測装置は生体外部1で使用する測定器21と生体内部2に埋め込まれる微粒子チップ6からなる。生体内部2における微粒子チップ6の埋め込み位置は図1で示したとおりである。
測定器21は照射光7を微粒子チップ6へ照射する照射部23と、微粒子チップ6から発生する散乱光8を平行光にするレンズ24と、散乱光8なかで照射光7と同じ波長をもつレイリー散乱光や迷光を除去するノッチフィルター25と、散乱光8の一部を反射するハーフミラー26と、ハーフミラー26を透過した散乱光8を反射するミラー27と、ハーフミラー26で反射された散乱光8から所定の波長の光のみを透過させるバンドパスフィルター28、集光するレンズ29、フォトディテクター30と、ミラー27で反射された散乱光8から所定の波長の光のみを透過させるバンドパスフィルター31、集光するレンズ32、フォトディテクター33の光学部品を備えており、加えて、照射部23を含め測定器21全体の動作を制御する制御部22と、フォトディテクター30およびフォトディテクター33からの得られた信号強度を用いて微粒子チップ6の測定領域12上に吸着した測定試料14の濃度を算出する強度補正部34と、算出された濃度もしくは濃度から計算される血糖値のような値を表示する表示部35を備えている。
図5により本発明の濃度計測方法を説明する。まず、制御部22からの電気信号による命令が照射部23に転送されると、照射部23から波長785nmであり、強度が10μWである照射光7が生体内部2に埋め込まれた微粒子チップ6に向けて照射される。照射光7が微粒子チップ6に照射されることにより散乱光8が発生する。
散乱光8の一部は生体外部1の測定器21内に伝播し、レンズ24によって平行光となり、平行光となった散乱光8は、ノッチフィルター25で照射光7と同じ波長の光が除去された後、一部はハーフミラー26によって反射され、残りはミラー27によって反射される。
ハーフミラー26で反射された散乱光8は、バンドパスフィルター28によって所定の波長の光のみを透過し、レンズ29によってフォトディテクター30上に集光され、光の強度が電気信号に変換される。また、ミラー27で反射された散乱光8は、バンドパスフィルター31によって所定の波長の光のみを透過し、レンズ32によってフォトディテクター33上に集光され、光の強度が電気信号に変換される。この際、バンドパスフィルター28は測定試料14に起因するラマン散乱光のピーク波長の光を透過することで、フォトディテクター30では測定試料14の濃度に対応した電気信号が得られ、バンドパスフィルター31は参照試料15に起因するラマン散乱光のピーク波長の光を透過することで、フォトディテクター33では参照試料15の濃度に対応した電気信号が得られる。
フォトディテクター30およびフォトディテクター33のそれぞれで得られた電気信号は強度補正部34に転送される。強度補正部34では、測定試料14の濃度に対応した電気信号を、参照試料15の濃度に対応した電気信号により定まる補正を実施することで測定試料14の濃度を算出する。表示部35では、強度補正部34で算出された測定試料14の濃度もしくは濃度から計算される血糖値のような値を表示する。
以上の説明で明らかなように、本発明の実施の形態1における計測装置によれば、測定領域12と参照領域13が設けられた微粒子チップ6に、測定領域12と参照領域13を含むビームスポットをもつ照射光7を照射することにより、測定試料14に起因するラマン散乱光の強度と参照試料15に起因するラマン散乱光の強度を同じ測定条件で測定することができる。これにより、計測器22に複雑な光学系調整機構を用いなくても、測定試料14の濃度を決定することが可能となる。
なお、測定試料14をグルコースとして体液の血糖値をより正確に計算する場合、事前に血液採取など別の方法による血糖値測定と、本発明で開示した皮下に埋め込んだ微粒子チップによるラマン分光法による計測とを同時に実施して装置の校正をしておけばよい。以後は、ラマン分光法によりグルコース濃度の変化率を調べることで、血液採取などの負担無く血糖値を知ることができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における微粒子チップ6の上面図である。なお、図6において、図3と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。微粒子チップ6の上面には図2で示したように微粒子11が多数存在している。図6に示すように、実施の形態2における微粒子チップ6の上面は測定領域12と参照領域13が多数設けられており、それぞれが微粒子チップ6の上面で交互に配置されている。
図7は、微粒子チップ6に照射する照射光7の中心部位置が微粒子チップ6の中心からずれた場合に、照射光7のビームスポットに含まれる測定領域12の面積と参照領域13の面積との差に変化が生じることを示している。
図7(a)は、図3で説明した実施の形態1における微粒子チップ6を用いた場合に、照射光7の中心部位置が微粒子チップ6の中心からずれると、照射光7のビームスポットに含まれる測定領域12の面積と参照領域13の面積との差の変化が大きいことを示している。
図7(b)は、図6で説明した本実施の形態における微粒子チップ6を用いた場合に、照射光7の中心部位置が微粒子チップ6の中心からずれると、照射光7のビームスポットに含まれる測定領域12の面積の合計と参照領域13の面積の合計との差の変化が小さいことを示している。
照射光7の中心部位置が微粒子チップ6の中心からずれたときに、照射光7のビームスポットに含まれる測定領域12の面積の合計と参照領域13の面積の合計との差の変化が小さいということは、測定試料14により発生するラマン散乱光の強度と参照試料15により発生するラマン散乱光の強度の比の変化も小さいということであり、照射光7の位置ずれによる測定精度の悪化を防ぐことができる。
以上の説明で明らかなように、本発明の実施の形態2における微粒子チップ6によれば、測定領域12と参照領域13が多数設けられており、それぞれが微粒子チップ6の上面で交互に配置されることによって、照射光7の位置ずれによる測定精度の悪化を防ぐことができる。
なお、本実施の形態の微粒子チップ6では測定領域12と参照領域13はそれぞれ8箇所配置されているが、2箇所以上あれば効果は得られる。また、測定領域12と参照領域13の数は同じでなくても良い。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における計測装置の概略図である。なお、図8において、図5と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。回転ステージ36は制御部22からの命令によって、測定器21全体に対する照射部23の傾きを変えるものである。これにより、微粒子チップ6に対する測定器21の傾きが変化した場合も、微粒子チップ6と照射部23の傾きを最適な状態に保つことができる。
本発明にかかるラマン分光法による生体内成分の濃度計測方法および濃度計測装置は、複数試料のラマン散乱光の強度を同じ条件で測定でき、生体内の成分の濃度を計測する方法および装置として有用である。
1 生体外部
2 生体内部
3 表皮組織
4 真皮組織
5 皮下組織
6 微粒子チップ
7 照射光
8 散乱光
9 基板
10 金属層
11 微粒子
12 測定領域
13 参照領域
14 測定試料
15 参照試料
21 測定器
22 制御部
23 照射部
24 レンズ
25 ノッチフィルター
26 ハーフミラー
27 ミラー
28 バンドパスフィルター
29 レンズ
30 フォトディテクター
31 バンドパスフィルター
32 レンズ
33 フォトディテクター
34 強度補正部
35 表示部
36 回転ステージ

Claims (10)

  1. 生体内に埋め込んだ金属微粒子を含んだ微粒子チップに生体外から照射光を照射し、微粒子チップで発生したラマン散乱光を検出して、生体内の成分の濃度計測をする方法であって、
    前記微粒子チップには、前記生体内の成分を吸着させる物質が予め固定されている測定領域と、濃度が既知である参照試料が予め固定されている参照領域とを含み、前記照射光はビームスポットの中に前記測定領域と前記参照領域の両方を含むように照射され、
    前記測定領域に吸着した成分からなる測定試料に起因するラマン散乱光の強度を、前記参照領域に固定されている参照試料に起因するラマン散乱光の強度を用いて補正することを特徴とする生体内成分の濃度計測方法。
  2. 前記照射光、前記測定試料に起因するラマン散乱光もしくは前記参照試料に起因するラマン散乱光のうち、少なくとも1つの波長が、前記金属微粒子による局在型表面プラズモン共鳴波長の近傍に設定されることを特徴とする請求項1に記載の生体内成分の濃度計測方法。
  3. 前記照射光のビームスポットが、前記微粒子チップのサイズよりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体内成分の濃度計測方法。
  4. 前記微粒子チップに含まれる、前記測定領域および前記参照領域のうち少なくとも一方が2つ以上あり、前期測定領域および前期参照領域は前記微粒子チップ上の面に交互に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の生体内成分の濃度計測方法。
  5. 前記照射光の照射角度を調整する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体内成分の濃度計測方法。
  6. 生体内に埋め込んだ金属微粒子を含んだ微粒子チップに生体外から照射光を照射し、微粒子チップで発生したラマン散乱光を検出して、生体内の成分の濃度計測をする装置であって、
    前記微粒子チップには、前記生体内の成分を吸着させる物質が予め固定されている測定領域と、濃度が既知である参照試料が予め固定されている参照領域とを含み、前記照射光はビームスポットの中に前記測定領域と前記参照領域の両方を含むように照射され、
    前記測定領域に吸着した成分からなる測定試料に起因するラマン散乱光の強度を、前記参照領域に固定されている参照試料に起因するラマン散乱光の強度を用いて補正する機能を備えていることを特徴とする生体内成分の濃度計測装置。
  7. 前記照射光、前記測定試料に起因するラマン散乱光もしくは前記参照試料に起因するラマン散乱光のうち、少なくとも1つの波長が、前記金属微粒子による局在型表面プラズモン共鳴波長の近傍に設定されることを特徴とする請求項6に記載の生体内成分の濃度計測装置。
  8. 前記照射光のビームスポットが、前記微粒子チップのサイズよりも大きいことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の生体内成分の濃度計測装置。
  9. 前記微粒子チップに含まれる、前記測定領域および前記参照領域のうち少なくとも一方が2つ以上あり、前期測定領域および前期参照領域は前記微粒子チップ上の面に交互に配置されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の生体内成分の濃度計測装置。
  10. 前記照射光の照射角度を調整する機構を有することを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の生体内成分の濃度計測装置。
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