JP2013204623A - 転がり案内装置 - Google Patents

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Takuya Horie
拓也 堀江
Koshin Wada
光真 和田
Ayako Miyajima
綾子 宮島
Shinya Saito
慎也 斎藤
Takeshi Shimamura
武志 島村
Teruaki Ooka
輝明 大岡
Marie Horikawa
真理恵 堀川
Hiroyuki Kimura
裕之 木村
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Abstract

【課題】
無限循環路内における転動体の循環の円滑化を促進して、軌道部材に対する移動部材の運動を高精度化することが可能な転がり案内装置を提供する。
【解決手段】
前記移動部材は、前記転動体の負荷転走面及び戻し通路を有する本体部材と、前記内側方向転換路を内蔵すると共に外側方向転換路の内周側案内面を有する方向転換部と、前記本体部材に装着されると共に前記外側方向転換路の外周側案内面を有する蓋体と、を備え、前記本体部材には前記負荷転走面と平行に設けられた位置基準溝が形成される一方、前記方向転換部には該位置基準溝に嵌合する第一突起が形成されると共に第二突起が立設され、前記蓋体には前記第二突起が当接して前記方向転換部の回転止めをなす回転止め穴が形成され、前記回転止め穴内には当該回転止め穴に嵌合した第二突起を付勢して前記第一突起を前記位置基準溝内で拘束する付勢手段が形成される。
【選択図】 図14

Description

本発明は、工作機械のワークテーブルや各種搬送装置の直線案内部あるいは曲線案内部において、テーブル等の可動体を往復動自在に案内する転がり案内装置に関する。
従来、この種の転がり案内装置は、長手方向に沿って転動体の転走面が形成された軌道部材と、前記転走面を転走する多数の転動体を介して前記軌道部材に組み付けられると共に当該軌道部材に沿って往復動自在な移動部材とを備えている。前記移動部材は転動体の無限循環路を備えており、これによって移動部材は前記軌道部材に沿ってストロークを制限されることなく移動することが可能となっている。
特開2006−105296に開示される転がり案内装置では、前記移動部材が、金属製の本体部材と、当該本体部材に装着される複数の循環路組立体と、これら循環路組立体を覆うようにして前記本体部材に装着される一対の蓋体とを含んでいる。前記本体部材には前記軌道部材の転走面と対向する負荷転走面が形成されており、転動体は互いに対向する転走面と負荷転走面によって区画された負荷通路内を転走する。また、本体部材に装着される各循環路組立体は、前記本体部材に形成された貫通孔に挿入されるパイプ部と、このパイプ部の一端に設けられると共に前記本体部材の移動方向の端面に配置される方向転換部とを有している。
前記パイプ部には前記負荷通路と平行な転動体の戻し通路が形成される一方、前記方向転換部には前記戻し通路と前記負荷通路とを繋ぐ内側方向転換路が内蔵されている。また、前記方向転換部の外側面には前記内側方向転換路と交差する外側方向転換路の内周側案内面が形成されており、前記蓋体を本体部材に装着して循環路組立体を覆うと、前記方向転換部と蓋体との間に外側方向転換路が形成されるようになっている。
転動体の無限循環路は一対の循環路組立体の組合せから構成されており、一対の循環路組立体は前記本体部材に対して互いに向かい合わせに装着される。このとき、各循環路組立体のパイプ部は前記本体部材に形成された別々の貫通孔に対して挿入され、パイプ部の先端は本体部材を貫いて突出し、対向する循環路組立体の方向転換部において外側方向転換路と接続される。すなわち、一対の循環路組立体の組合せにより、負荷通路、内側方向転換路、戻し通路、外側方向転換路、負荷通路の順序で一巡する無限循環路が形成され、更に個々の転換部において前記内側方向転換路と外側方向転換路とが交差することにより、2回路の無限循環路が構築されるようになっている。
特開2006−105296
前記移動部材の内部における転動体の循環を円滑に行い、軌道部材に対する移動部材の移動抵抗を小さくするためには、転動体を負荷通路から方向転換路に対して円滑に進入させる必要があり、そのためには前記循環路組立体を本体部材に対して精度良く位置決めしなければならない。特に、前記本体部材の負荷転走面に対して循環路組立体を高精度に位置決めする必要があった。
しかし、特開2006−105296の転がり案内装置では、本体部材の貫通孔に対して前記循環路組立体のパイプ部を挿入し、それによって当該循環路組立体を本体部材に対して位置決めしており、当該貫通孔が当該循環路組立体の本体部材に対する位置決め基準としては何ら機能し得ないことから、本体部材の負荷転走面に対する循環路組立体の位置決め精度を高めることが難しかった。何故ならば、前記負荷転走面は前記本体部材に焼き入れ処理を施した後に研削加工されるが、前記循環路組立体のパイプ部が挿入される貫通孔は加工の容易性を考慮して本体部材の焼き入れ処理の前に形成されており、本体部材に生じる焼き入れ加工後の熱処理歪により、前記負荷転走面に対する貫通孔の位置精度そのものが低いからである。このため、転動体の循環に対して抵抗が作用し易く、特に軌道部材に対して移動部材を高速で運動させる用途においては移動部材の動きが悪化する懸念があった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、無限循環路内における転動体の循環の円滑化を促進して、軌道部材に対する移動部材の運動を高精度化することが可能な転がり案内装置を提供することにある。
すなわち、本発明を適用した転がり案内装置は、軌道部材と、多数の転動体を介して前記軌道部材に組み付けられ、互いに交差する内側方向転換路及び外側方向転換路を含んで構成された複数の転動体無限循環路を有する移動部材と、を備えており、前記移動部材は、前記転動体の負荷転走面及び戻し通路を有する本体部材と、前記内側方向転換路を内蔵すると共に前記外側方向転換路の内周側案内面を有する方向転換部と、前記本体部材に装着されると共に前記外側方向転換路の外周側案内面を有する蓋体と、を備えている。
そして、前記本体部材には長手方向に沿って前記負荷転走面と平行に設けられ、前記方向転換部の位置基準となる位置基準溝が形成される一方、前記方向転換部には当該位置基準溝に嵌合する第一突起が形成され、また、前記方向転換部には第二突起が立設される一方、前記蓋体には前記第二突起が当接して各方向転換部の回転止めをなす回転止め穴が形成され、前記回転止め穴内には、当該回転止め穴に嵌合した第二突起を付勢して前記第一突起を前記位置基準溝内に嵌合させ、当該第一突起を位置基準溝内で拘束する付勢手段が形成されている。
本発明によれば、前記方向転換部に形成された第一突起は前記本体部材に形成された位置基準溝に嵌合されており、しかも前記第一突起は前記付勢手段により前記位置基準溝内で拘束されているので、この位置基準溝に前記第一突起が嵌合された方向転換部は前記本体部材の正しい位置に装着されることになる。
また、前記方向転換部には第二突起が設けられる一方、前記蓋体には前記第二突起が当接して各方向転換部の回転止めをなす回転止め穴が形成されているため、前記位置基準溝に嵌合する第一突起の周囲における方向転換部の回転が係止される。これにより、前記方向転換部に備えられた方向転換路が本体部材の負荷転走面に対して高精度に位置決めされ、無限循環路内における転動体の循環の円滑化を促進して、軌道部材に対する移動部材の運動を高精度化することが可能となる。
本発明が適用される転がり案内装置の実施形態の一例を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 転動体としてのローラを配列した連結体ベルトを示す斜視図である。 実施形態に係る転がり案内装置の本体部材を示す斜視図である。 実施形態に係る転がり案内装置の循環路組立体を示す斜視図である。 図5に示す循環路組立体を別の角度から観察した斜視図である。 循環路組立体の分解斜視図である。 本体部材に対して循環路組立体を装着した状態を示す斜視図である。 図8に示す循環路組立体を別の角度から観察した斜視図である。 本体部材に対して一対の循環路組立体を組み付ける手順を示す概略図である。 本体部材に対する一対の循環路組立体の組合せ状態を説明する概略図である。 実施形態に係る転がり案内装置の蓋体を示す斜視図である。 蓋体に対して循環路組立体を装着した様子を示す斜視図である。 循環路組立体の本体部材に対する位置決め構造を説明する概略図である。 図14中に示すXV―XV線断面図である。 前記回転止め穴に対する第二突起の嵌合態様を示す概略図である。 前記回転止め穴内における付勢手段の作用状態を示す概略図である。
以下、添付図面を用いながら本発明の転がり案内装置を詳細に説明する。
図1及び図2は本発明を適用した転がり案内装置の実施形態の一例を示すものである。この転がり案内装置は、長手方向に沿って転動体としてのローラ1の転走面20が形成された軌道部材2と、多数のローラ1を介して前記軌道部材2に組み付けられると共に前記ローラ1の無限循環路を内蔵した移動部材3とから構成されている。前記ローラ1が前記無限循環路内を循環しながら軌道部材2の転走面20を転走することで、前記移動部材3が当該軌道部材2の長手方向に沿って自在に移動することが可能となっている。尚、本発明の転がり案内装置は前記転動体としてボールを使用することも可能である。
前記軌道部材2は断面略矩形状に形成されており、その両側面には凹部が夫々形成されている。各凹部の上下には前記ローラ1の転走面20が形成されており、軌道部材2全体では4条の転走面20が形成されている。各転走面20は軌道部材2の底面21に対して45°の角度で傾斜しており、前記凹部の上側に位置する転走面20は斜め下方へ45°の角度で面する一方、下側に位置する転走面20は斜め上方へ45°の角度で面している。また、かかる軌道部材2には長手方向に沿って所定の間隔で固定ボルトの取付け孔22が形成されており、当該軌道部材2を機械装置などに敷設する際に利用される。尚、前記軌道部材2に対する転走面20の配置、傾斜角度及びその条数は、前記移動部材3に必要とされる負荷能力に応じて適宜変更して差し支えない。
一方、前記移動部材3は、前記軌道部材2の一部を収容する案内溝を有する本体部材4と、この本体部材4の移動方向の前後に装着される一対の蓋体5と、前記本体部材4に装着されると共に前記蓋部材5によって外部から覆われた循環路組立体6とを備えている。尚、前記循環路組立体6の詳細については後述する。
前記本体部材4は、機械装置などの取付け面41が形成された水平部4a、及びこの水平部4aと直交する一対の脚部4bを備え、軌道部材2に対してこれに跨がるようにして配置されている。前記水平部4aには前記取付け面41が形成される一方、各脚部4bの内側には前記ローラ1が転走する負荷転走面42が2条ずつ形成されている。前記軌道部材2の転走面20と前記本体部材4の負荷転走面42は互いに対向し、ローラ1が本体部材4と軌道部材2との間で荷重を負荷しながら転走する負荷通路43を構成する。各脚部4bには各負荷転走面42に対応した戻し通路44が前記負荷通路43と平行に形成されており、前記負荷通路43を転走し終えて荷重から開放されたローラ1が負荷通路43内とは逆方向に転走するようになっている。この戻し通路44は前記循環路組立体6に具備されており、前記本体部材4に形成した貫通孔45に対して前記循環路組立体6の一部を挿入することで、かかる本体部材4に対して戻し通路44が具備されるようになっている。
また、前記循環路組立体6は前記蓋体5と相まって前記負荷通路と戻し通路44とを接続する方向転換路60を構成している。前述した各負荷通路43の両端とこれに対応する戻し通路44の両端を一対の方向転換路60が接続することにより、前記移動部材3の内部にローラ1の無限循環路が構築されている。図2中に破線で示すように、各負荷通路43は前記方向転換路60によって斜め下方又は斜め上方に位置する戻し通路44と接続されており、前記本体部材4の各脚部4bに構築された2回路の無限循環路は前記方向転換路60が互いに交差している。
前記ローラ1は、図3に示すように、可撓性の連結体ベルト10に等間隔で一列に配列されており、当該連結体ベルト10と共に前記無限循環路に組み込まれている。前記連結体ベルト10は合成樹脂の射出成形で形成されており、ローラ1とローラ1との間に介装される複数のスペーサ11と、これらスペーサ11を一列に連結したベルト部12とから構成されている。尚、前記ローラ1は前記連結体ベルト10に配列することなく、前記無限循環路に挿入しても良い。
図4は前記移動部材3から前記蓋体5及び前記循環路組立体6を取り外した状態を示す図であり、前記本体部材4を前記水平部4aで半分に切断し、一方の脚部4bのみを示している。この図から把握されるように、前記本体部材4の脚部4bの内側面には上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bが形成されている。また、前記脚部4bには、前記上側負荷転走面42aに対応する下側貫通孔45b、及び前記下側負荷転走面42bに対応した上側貫通孔45aが形成されており、これら上側貫通孔45a及び下側貫通孔45bに対しては前記循環路組立体6の一部が挿入されて、前記戻し通路44が構築されるようになっている。
また、前記蓋部材5が装着される前記本体部材4の端面には、前記蓋部材5を貫通する固定ボルトを締結するための雌ねじ孔46が形成される。更に、前記脚部4bの内側面には前記上側負荷転走面42aと下側負荷転走面42bの中間の位置に二面が交わる断面V字形状の位置基準溝47が設けられており、前記負荷通路43において前記連結体ベルト10を案内する中央保持部材9(図2参照)が前記位置基準溝47を利用して前記上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bに対して位置決めされるようになっている。
図5及び図6は前記循環路組立体6を示す斜視図である。この循環路組立体6は前記本体部材4の貫通孔45a又は45bに挿入されると共に内部に前記戻し通路44が形成されたパイプ通路部7と、前記方向転換路60を構築する方向転換部8とから構成され、これらパイプ通路部7及び方向転換部8が合成樹脂の射出成形で一体化されている。前記パイプ通路部7の全長は前記本体部材4に形成された貫通穴45a,45bの長さよりも僅かに長く形成されている。尚、前記パイプ通路部7及び方向転換部8は必ずしも一体である必要はなく、別々に形成した後、前記本体部材4への装着時に組み立てるようにしても差し支えない。
前記方向転換部8はその内部に略U字状に湾曲した内側方向転換路60−1を有しており、この内側方向転換路60−1は前記パイプ通路部7に形成された戻し通路44と連続している。また、図5に示されるように、前記方向転換部8の外側面には外側方向転換路60−2の内周側案内面60aがアーチ状に形成されている。この外側方向転換路60−2は前記内側方向転換路60−1と交差する方向へローラ1を導くように設けられており、前記内周側案内面60aは前記内側方向転換路60−1を跨ぐように、当該内側方向転換路60−1と交差している。
更に、図6に示されるように、前記方向転換部8の内側面には他の循環路組立体6のパイプ通路部の先端面が当接する突き当て凹部64が形成されており、前記内周側案内面60aの一端はこの突き当て凹部64に開放されている。また、前記方向転換部8の内側面には前記本体部材4に形成された位置基準溝47に嵌合する第一突起65が形成されている。この第一突起65は二面が交わる断面V字形状に形成されており、その断面形状は前記位置基準溝47の断面形状と略同一形状に形成されている。その一方で、前記方向転換部8の外側面には、図5に示されるように、後述する蓋体5の回転止め穴に嵌合する第二突起66が立設されている。この第二突起66は断面長方形状に形成され、前記内側方向転換路60−1と外側方向転換路60−2との交差位置から外れた位置に立設されている。
図7は前記循環路組立体の分解斜視図である。この循環路組立体6は第一循環半体6A及び第二循環半体6Bに分割されており、その分割面は前記戻し通路44及び内側方向転換路60−1の中心線を含んでいる。従って、前記第一循環半体及び第二循環半体の夫々には前記戻し通路44及び内側方向転換路60−1となる転動体誘導溝62が形成されており、これら転動体誘導溝62は前記パイプ通路部7から前記方向転換部8にかけて一筋の溝として連続している。また、前記転動体誘導溝62の底部には前記ベルト連結体10のベルト部12を収容する案内溝63が形成されている。更に、前記方向転換部8の外側面に対してアーチ状に形成された外側方向転換路60−2の内周側案内面60aは、当該内周側案内面60aを途中で横切るようにして前記第一循環半体6A及び第二循環半体6Bに分割されている。
前記第一循環半体6A及び第二循環半体6Bの夫々には互いに嵌合する突起67と穴68が形成されており、これらを嵌合させることで前記第一循環半体6Aに対して第二循環半体6Bが正確に組み合わされ、前記戻し通路44及び内側方向転換路60−1を備えた前記循環路組立体6が完成する。
図8及び図9は前記循環路組立体6を前記本体部材4の脚部4bに装着した様子を示す斜視図であり、前記循環路組立体6のパイプ通路部7を前記脚部4bの上側貫通穴45aに挿入した状態を示している。前記パイプ通路部7は前記本体部材4の移動方向(前記軌道部材の長手方向)の長さよりも僅かに長尺に形成されており、前記方向転換部8が脚部4bに接するまで前記パイプ通路部7を前記貫通穴45aに挿入すると、図8及び図9には描かれていないが、当該パイプ通路部7の先端が脚部4bの反対側の面から僅かに突出するようになっている。この状態で前記方向転換部8が有する内側方向転換路60−1は前記本体部材4に形成された下側負荷転走面42bに接続されており、方向転換部8に形成された外側方向転換路60−2の内周側案内面60aは前記本体部材4の上側負荷転走面42aに接続されている。
また、前記本体部材4の脚部4bに循環路組立体6が装着された状態では、前記循環路組立体6に形成された第一突起65が前記本体部材4の脚部4bに形成された位置基準溝47に嵌合することになる。上述したように、前記第一突起65の断面形状は前記位置基準溝47の断面形状と略同一に形成されているため、当該第一突起65は位置基準溝47に対して隙間なく嵌合する。ここで、図8及び図9は前記循環路組立体が装着された前記脚部4bの一方の端面を示すものであるが、当該脚部4bの反対側の端面に対しても同様にして他の循環路組立体6が装着される。
図10及び図11は、前記本体部材4の移動方向の前後から前記脚部4bに対して一対の循環路組立体6−1,6−2を装着する様子を簡易的に示した概略図である。図10に示すように、前記本体部材4に形成された上側貫通孔45a及び下側貫通孔45bに対し、別々の方向から一対の循環路組立体6−1,6−2のパイプ通路部7が挿入される。ここで、上側貫通孔45aに挿入される循環路組立体6−1と下側貫通孔45bに挿入される循環路組立体6−2は同一形状の部材であるが、前記脚部4bに対する挿入向きが互いに向かい合わせになっており、且つ、前記循環路組立体6−2は循環路組立体6−1と上下が逆さまになっている。図11は一対の循環路形成部材6−1,6−2を前記脚部4bに対して装着し終えた状態を示す概略図である。循環路形成部材6−1,6−2をスカート部に対して装着し終えた状態では、各循環路形成部材6−1,6−2のパイプ通路部7の先端が上側貫通孔45a又は下側貫通孔45bを通して当該脚部4bから僅かに突出し、向かい合わせに位置する方向転換部8の突き当て面64に当接する。これにより、前記脚部4bを挟んで一対の循環路組立体6−1,6−2が組み合わされる。また、前記本体部材4は一対の脚部4bを具備していることから、当該本体部材4に対しては4基の循環路組立体が装着されることになる。
図12は、前記循環路組立体6の方向転換部8を覆って前記本体部材4に装着される蓋体5を示す斜視図であり、かかる蓋体5を前記本体部材4側から観察したものである。この蓋体5は合成樹脂の射出成形で製作されており、前記本体部材4の水平部4aに対応した取付部5aを有すると共に、前記本体部材4の脚部4bに対応した一対の脚部5b,5cを備えている。前記本体部材4と当接する前記脚部5b,5cの内側面には前記循環路組立体6の方向転換部8を収容する収容溝50,51が夫々形成されている。ここで、前記脚部5bに形成された収容溝50は、図8において本体部材4に装着された循環路組立体6に対応している。また、前記脚部5cに形成された収容溝51は前記脚部5bに形成された収容溝50と180°異なる向きで形成されており、図8において本体部材4の脚部4bに対して反対側(紙面奥側)から装着される循環路組立体に対応している。
更に、各収容溝50,51の内部にはこれら収容溝50、51に向けて開放された回転止め穴56が形成されている。各回転止め穴56はその内部に互いに対向する第一当接面56a及び第二当接面56bを有して長方形状に形成されている。但し、前記収容溝50、51は互いに180°異なる向きで形成されていることから、これら収容溝50、51に形成された各回転止め穴56も互いに180°異なる向きで形成されている。また、前記脚部5b,5cの内側面には前記循環路組立体6の内周側案内面60aに対応する外周側案内面60b,60cが凹曲面状に形成されており、当該外周側案内面60b,60cは前記収容溝50,51と各脚部5b,5cにおいて交差するように設けられている。但し、前記脚部5cに形成された外周側案内面60cは前記脚部5bに形成された外周側案内面60bと180°異なる向きで形成されている。
前記蓋体5の各脚部5b,5cには前記循環路組立体6のパイプ通路部7の先端面が当接する位置決め凹部52が夫々形成されており、前記外周側案内面60b,60cの一端はこれら位置決め凹部52に開放されている。また、各外周側案内面60b,60cの両側には当該外周側案内面60b,60cの長手方向に沿って段部53が形成されており、前記収容溝50,51に対して前記循環路組立体6の方向転換部8を収容した際に、前記段部53が前記連結体ベルト10のベルト部12を収容する案内溝を構成するようになっている。尚、図12中の符号54は前記蓋体5を前記本体部材4に締結するための固定ボルトの貫通孔である。
図13は図10に示した循環路組立体6−1と蓋体との組合せ状態を示す斜視図であり、前記蓋体の一方の収容溝50に対して前記循環路組立体6−1の方向転換部8が収容された状態を示している。このように前記方向転換部8を蓋体5の収容溝50に収容すると、前記蓋体5の外周側案内面60bと前記方向転換部8の内周側案内面60aとが互いに対向し、前記外側方向転換路60−2が完成する。このとき、前記循環路組立体6−1に設けられたパイプ通路部7は本体部材4の脚部4bに形成された上側貫通穴45aに対して挿入される。また、前記方向転換部8を蓋体5の収容溝50に収容すると、当該方向転換部8に形成された突き当て凹部64と蓋体5に形成された位置決め凹部52とが組み合わさって、略円形状のパイプ収容穴55が形成される。このパイプ収容穴55に対しては、本体部材4の脚部4bに形成された下側貫通穴45から突き出た他の循環路組立体6−2のパイプ通路部7の先端が図中の矢線方向から嵌合するようになっている。これにより、前記外側方向転換路60−2が他の循環路組立体6−2の戻し通路44と接続される。
また、前記蓋体の他方の収容溝51に対しても前記循環路組立体6の方向転換部8が収容されるが、当該収容溝51に収容される循環路組立体は前述の収容溝50に収容された循環路組立体と上下が逆さまの姿勢となっている。尚、前記本体部材4に対してその移動方向の両側から装着される一対の蓋体5は図12に示す蓋体を互いに向かい合わせに配置したものであり、同じ形状を有している。
そして、このように前記本体部材4に対して同一形状の4個の循環路組立体6及び同一形状の2個の蓋体5を組み合わせることによって前記移動部材3が完成し、前記本体部材4の各脚部4bに対してローラ1の無限循環路が2回路ずつ形成される。すなわち、各脚部4bの上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bの両端には前記内側方向転換路60−1及び外側方向転換路60−2がそれぞれ位置し、これら内側方向転換路60−1及び外側方向転換路60−2が本体部材4の上側貫通穴45a又は下側貫通穴45b内の戻し通路44で接続される。
このように前記本体部材4、循環路組立体6及び蓋体5を組み合わせてローラ1の無限循環路を構築するにあたっては、当該無限循環路におけるローラ1の円滑な循環を確保するために、前記本体部材に形成された負荷転走面42a,42bに対して内側方向転換路60−1及び外側方向転換路60−2の入口が精度良く位置決めされることが重要である。特に、この実施形態の転がり案内装置では前記循環路組立体6を構成する方向転換部8の前記本体部材4に対する位置決めが重要となる。
上述したように、本実施形態に係る転がり案内装置では、前記本体部材4の脚部4bに対して循環路組立体6が装着されると、前記循環路組立体6に形成された第一突起65が前記本体部材4の脚部4bに形成された位置基準溝47に隙間なく嵌合することになる。更に、本実施形態に係る転がり案内装置では、前記位置基準溝47に隙間なく嵌合している循環路組立体6の第一突起65を当該位置基準溝47に向けて付勢し、前記本体部材4に対する循環路組立体6の位置決めを行う付勢手段が設けられている。この付勢手段は前記蓋体5に形成された回転止め穴56内に形成されている。
ここで、本実施形態に係る転がり案内装置では、前記蓋体5を前記循環路組立体6に被せて前記本体部材4に装着すると、かかる循環路組立体6に形成された第二突起66が前記蓋体5に形成された回転止め穴56内に嵌合するように構成されている。図14は、前記第一突起65の周囲における第二突起66と回転止め穴56との位置関係を示す概略図である。前記回転止め穴56は、前記第一突起65の頂点を通る中心線(図中の一点鎖線L1)と平行な線(図中の二点鎖線L2)に沿った長辺に形成された前記第一当接面56a及び第二当接面56bを有する一方、これら前記第一当接面56aから第二当接面56bまでの距離は断面長方形状に形成された第二突起66が隙間なく嵌合する大きさに形成されている。このため、前記蓋体5を前記循環路組立体6に被せて前記本体部材4に装着する際に、前記第二突起66と回転止め穴56との嵌合を容易に行うことが可能となっている。
図15は、図14中に示すXV―XV線断面図である。前記回転止め穴56内には前記付勢手段13が形成されている。この付勢手段13は前記第一突起65を位置基準溝47に向けて付勢する方向、すなわち図14中に示す中心線L1或いはこれに平行な二点鎖線L2に沿った方向(図14中の矢線A方向)に向けて、前記回転止め穴56内に嵌合してきた第二突起66を付勢する。つまり、中心線L1と平行な二点鎖線L2に沿って形成された回転止め穴56は前記付勢手段13の付勢方向に沿った長辺に形成された一対の当接面56a、56bを有して長方形状に形成されている。
前記付勢手段13は前記回転止め穴56の底部から各収容溝50、51に向けて立設されており、図15の紙面左右方向に弾性変形可能に成形されている。図15は図14中に示すXV―XV線断面図であるため、前記付勢手段13は前記回転止め穴56内で図14に示す二点鎖線L2に沿って弾性変形可能に成形されている。図16Aは前記回転止め穴56に対する第二突起66の嵌合態様を示す概略図であり、図16Bは前記回転止め穴56内における付勢手段13の作用状態を示す概略図である。前記回転止め穴56に嵌合してきた第二突起66は前記付勢手段13に当接し、これにより前記付勢手段13は紙面上左右方向に弾性変形することになる(図16A)。その後、前記蓋体5が前記循環路組立体6に被せて本体部材4に完全に装着されると、前記付勢手段13は弾性変形しながら前記第二突起66に当接する。かかる状態では付勢手段13が初期状態に戻ろうとする復元力Pが前記第二突起66に作用することになる。(図16B)。
ここで、図15、図16A及び図16Bは前記回転止め穴56内を同一の角度から観察したものであるため、各図の紙面上左右方向が図14に示す二点鎖線L2に沿った方向に合致している。すなわち、前記付勢手段13が発揮する復元力Pの作用方向は、図14中に示す矢線A方向、つまり前記第一突起65を位置基準溝47に向けて付勢する方向に合致している。
このように前記付勢手段13により前記第二突起66が矢線A方向に付勢されると、当然に当該第二突起66が形成された方向転換部8も前記蓋体5の幅方向外側に向けて付勢されることになる。これにより方向転換部8に形成された第一突起65も蓋体5の幅方向外側に向けて付勢され、当該第一突起65を構成する二面が本体部材4の位置基準溝47を構成する二面に当接することになる。その結果第一突起65の動きが前記位置基準溝47内で拘束され、循環路組立体6の方向転換部8を前記本体部材4に対して精度よく位置決めすることが可能となる。
上述の如く前記蓋体5の収容溝50,51の内部に設けた回転止め穴56に対して前記循環路組立体6の方向転換部8に立設した第二突起66を嵌合させる場合、前記方向転換部8と前記収容溝50,51との嵌合が当該循環路組立体6の位置決めに影響を及ぼすことがないよう、前記方向転換部8は前記収容溝50,51に対して遊嵌するように構成されている。
また、前記上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bに対する前記位置基準溝47の位置精度を高めるため、当該位置基準溝47は前記本体部材4の焼き入れ処理後に前記上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bと同じ加工基準を用いて形成されている。具体的には、前記本体部材4の焼き入れ処理の終了後に、当該本体部材4の脚部4bの側面に基準面48(図1及び図2参照)を形成すると共に前記水平部4aには前記取付け面41を形成し、これら基準面48及び取付け面41を加工基準として前記位置基準溝47の溝加工を行うと共に、上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bの研削加工を行う。このように同じ加工基準を用いて前記位置基準溝47、上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bを形成することにより、前記上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bに対する位置基準溝47の位置精度は高いものとなる。
このように、本実施形態に係る運動案内装置では、前記上側負荷転走面42a及び下側負荷転走面42bに対する位置基準溝47の位置精度が高いため、この位置基準溝47に前記循環路組立体6の第一突起65が嵌合することで、方向転換部8を本体部材4の上側負荷転走面45a及び下側負荷転走面45bの双方に対して精度良く位置決めすることが可能である。
一方、前記位置基準溝47に対して第一突起65を嵌合させたのみでは、図14に示すように、当該循環路組立体6が前記位置基準溝47の頂点を中心とした回転自由度を有しており、該循環路組立体6に立設された第二突起66は前記第一突起65の周囲で矢線B方向へ円弧状に移動可能である。しかし、この実施形態の転がり案内装置では前記第二突起66と回転止め穴56の構成によって、前記第一突起65の周囲における循環路組立体6の回転を係止している。具体的には、循環路組立体6が第一突起65の周囲で回転し、当該循環路組立体6の回転と共に前記第二突起66が矢線B方向に回転すると、平板状に形成された第二突起66の一端が前記回転止め穴56の第一当接面56aに当接する一方、他端は前記当接面56aと対向する回転止め穴56の第二当接面56bに当接することになる。その結果前記位置基準溝47の頂点を中心とした前記循環路組立体6の回転が確実に係止され、当該循環路組立体6の前記本体部材4に対する位置精度を確保することが可能となる。
また、図5に示されるように、前記第二突起66は前記内側方向転換路60−1が内蔵された前記方向転換部8の外側面上に立設されているが、その立設位置は前記内側方向転換路60−1と外側方向転換路60−2との交差位置を離れ、当該方向転換部8の端縁近傍である。すなわち、前記第二突起66は方向転換部8の中で前記第一突起65と十分に距離をおいた位置に設けられており、この点においても前記蓋体5の回転止め穴56に前記第二突起66を嵌合させることで、前記第一突起65の周囲における前記循環路組立体6の回転を確実に係止することができるようになっている。
更に、前記循環路組立体6に設けられた第一突起65及び第二突起66の双方は、当該循環路組立体6を構成する第一循環半体6Aに設けられており、第二循環半体6Bには設けられていない。このため、前記第一突起65及び前記第二突起66を用いた循環路組立体6の前記本体部材4に対する位置決めに関しては、事実上、前記第一循環半体6Aのみが前記本体部材4に対して精度良く位置決めされ、第二循環半体6Bは本体部材4に体して高精度に位置決めされた第一循環半体6Aに組み付けられるのみである。すなわち、前記第一循環半体6Aと第二循環半体6Bとの組立誤差が前記本体部材4に対する循環路組立体6の位置決めに影響を及ぼすことはなく、この点においても循環路組立体6を本体部材4の上側負荷転走42a面及び下側負荷転走面42bに対して精度良く位置決めすることが可能となっている。
また更に、この実施形態の転がり案内装置では、前記本体部材4の上側貫通穴45a又は下側貫通穴45bに対する前記循環路組立体6のパイプ通路部7の挿入が当該循環路組立体6の位置決めに影響を及ぼすことがないよう、前記上側貫通穴45a及び下側貫通穴45bの内径は前記パイプ通路部7の外径よりも大きく形成されている。すなわち、前記パイプ通路部7の存在が前記第一突起65及び第二突起66を使用した本体部材4に対する循環路組立体6の位置決めを阻害しないようになっている。前記本体部材4の貫通穴45a,45bに挿入されたパイプ通路部7はその先端が当該本体部材4に対して反対側から装着された循環路組立体6の方向転換部8に嵌合するので、換言すれば、前記パイプ通路部7は長手方向の両端が本体部材4に対して精度良く位置決めされた一対の方向転換部8によって支えられていることになり、これによってローラ1の無限循環路を精度良く形成し、ローラ1の循環の円滑化を図ることが可能となる。
1…ローラ(転動体)、2…軌道部材、3…移動部材、4…本体部材、5…蓋体、6…循環路組立体、7…パイプ通路部、8…方向転換部、13…付勢手段、47…位置基準溝、60−1…内側方向転換路、60−2…外側方向転換路、56…回転止め穴、65…第一突起、66…第二突起

Claims (5)

  1. 軌道部材と、多数の転動体を介して前記軌道部材に組み付けられ、互いに交差する内側方向転換路及び外側方向転換路を含んで構成された複数の転動体無限循環路を有する移動部材と、を備えた転がり案内装置において、
    前記移動部材は、前記転動体の負荷転走面及び戻し通路を有する本体部材と、前記内側方向転換路を内蔵すると共に前記外側方向転換路の内周側案内面を有する方向転換部と、前記本体部材に装着されると共に前記外側方向転換路の外周側案内面を有する蓋体と、を備え、
    前記本体部材には長手方向に沿って前記負荷転走面と平行に設けられ、前記方向転換部の位置基準となる位置基準溝が形成される一方、前記方向転換部には当該位置基準溝に嵌合する第一突起が形成され、また、
    前記方向転換部には第二突起が立設される一方、前記蓋体には前記第二突起が当接して各方向転換部の回転止めをなす回転止め穴が形成され、
    前記回転止め穴内には、当該回転止め穴に嵌合した第二突起を付勢して前記第一突起を前記位置基準溝内に嵌合させ、当該第一突起を位置基準溝内で拘束する付勢手段が形成されることを特徴とする転がり案内装置。
  2. 前記回転止め穴は、前記付勢手段の付勢方向に沿った長辺に形成された一対の当接面を有し、前記第二突起は前記一対の当接面間に嵌合して断面長方形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の転がり案内装置。
  3. 前記本体部材に形成された位置基準溝は二面が交わるようにして断面V字形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の転がり案内装置。
  4. 前記第二突起は前記内側方向転換路が内蔵された前記方向転換部の外側面上に立設され、その立設位置は前記内側方向転換路と外側方向転換路との交差位置から外れていることを特徴とする請求項3記載の転がり案内装置。
  5. 各方向転換部は前記内側方向転換路を含む平面において分割された第一循環半体及び第二循環半体から構成され、前記第一突起及び前記第二突起は第一循環半体に形成されていることを特徴とする請求項4記載の転がり案内装置。
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