JP2013203266A - 車体骨格部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝突の荷重に対して強度を発揮できる車体骨格部材を提供する。
【解決手段】車体骨格部材の一例であるサイドシル11は、フランジ31a,31bを有する第1のパネル31と、フランジ32a,32bを有する第2のパネル32とを備えている。下側のフランジ31a,32a同士がシーム溶接部40によって結合されている。シーム溶接部40は、下側のフランジ31a,32aに沿ってサイドシル11の長手方向に延びている。第1のパネル31と第2のパネル32との間に閉断面50が形成されている。閉断面50内のシーム溶接部40と対応する領域に、発泡体70が充填されている。発泡体70は、シーム溶接部40の上側にシーム溶接部40に沿って設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動車の車体の骨格をなす例えばサイドシルやピラー、サイドメンバ、サイドルーフレール等の車体骨格部材に関する。
自動車の車体は、サイドシルやピラー、サイドメンバ、サイドルーフレール等の車体骨格部材を含んでいる。例えば車体の下部を構成するサイドシルは、アウタパネルおよびインナパネルと、必要に応じて設けるリンフォース部材(補強材)などによって構成されている。サイドシルを構成する前記アウタパネルとインナパネルとは、互いのフランジ同士をスポット溶接によって結合することにより、閉断面をなしている。
車体骨格部材は、衝突を想定した場合に入力する荷重に対し所定の衝突性能を有する必要がある。衝突性能を高める手段として、例えば特許文献1,2に記載されているように、ピラー等の車体骨格部材に発泡体を充填することが提案されている。発泡体としては、常温発泡タイプと、加熱発泡タイプとが知られており、生産工程や使用部位などに応じて選択される。常温発泡タイプの発泡体は、発泡前の液状の発泡体原液を車体骨格部材に注入するとともに、常温で発泡させるようにしている。
特開平9−267768号公報 特開平9−286353号公報
例えばアウタパネルとインナパネルとからなる閉断面を有する車体骨格部材は、各パネルのフランジ同士がスポット溶接等によって結合されている。スポット溶接部は車体骨格部材の長手方向に間隔を存して形成されている。言い換えると各スポット溶接部間は溶接されることなくフランジ同士が対向している。
このため常温発泡タイプの発泡体のように車体骨格部材の内部に発泡体原液を供給する場合、スポット溶接部が存在しないスポット溶接部間の領域において発泡体原液の一部がフランジ間に入り込み、発泡体原液が漏れることにより、所望量の発泡体が得られず、所望の性能が得られなくなったりすることがある。また、フランジ間に入り込んだ発泡体の発泡圧がフランジ間の隙間を広げる方向に作用する懸念がある。
従って本発明の目的は、車体骨格部材の長手方向の一部に原液から常温発泡する発泡体を有する車体骨格部材を提供することにある。
本発明は、フランジを有する第1のパネルと、フランジを有する第2のパネルとを有し、前記第1および第2のパネルの前記フランジ同士が接合された車体骨格部材であって、前記第1および第2のパネルのフランジ同士が重なる部分に沿って車体骨格部材の長手方向に延びるシーム溶接部と、前記第1および第2のパネルの内側の閉断面内で前記シーム溶接部と対応する領域に前記シーム溶接部に沿って充填された発泡体とを具備している。
本発明の1つの実施形態では、前記シーム溶接部の上側に該シーム溶接部に沿って前記発泡体が充填されている。
他の実施形態では、前記第1のパネルの一方のフランジと前記第2のパネルの一方のフランジとが上下方向に延びる第1のシーム溶接部によって互いに結合され、前記第1のパネルの他方のフランジと前記第2のパネルの他方のフランジとが上下方向に延びる第2のシーム溶接部によって互いに結合され、前記第1のシーム溶接部と前記第2のシーム溶接部との間に前記発泡体が充填されている。この実施形態において、前記発泡体の下方に、発泡体原液を受け止める仕切り部材が配置されていてもよい。また前記シーム溶接部が該車体骨格部材の長手方向に間隔を存して複数個所に形成され、互いに隣り合う前記シーム溶接部間に、前記フランジ同士を結合するスポット溶接部が設けられていてもよい。
本発明によれば、車体骨格部材の閉断面内に供給された発泡体原液がフランジ間に入り込むことをシーム溶接部によって阻止することができるため、発泡体原液が漏れることを回避でき、所望量の発泡体を有する車体骨格部材が得られる。また前記シーム溶接部がフランジに沿って線状に連続しているため、発泡圧によってフランジ間が広がる傾向をシーム溶接部によって抑制することができ、所望量の発泡体を得ることができる。
自動車の車体を示す斜視図。 第1の実施形態に係る車体骨格部材(サイドシル)の一部の側面図。 図2に示された車体骨格部材の内部を示す断面図。 図2中のF5−F5線に沿う車体骨格部材の断面図。 シーム溶接機の構成を模式的に示す側面図。 図4に示された車体骨格部材に発泡体原液を供給する様子を模式的に示す断面図。 発泡体原料の一部が発泡した様子を模式的に示す車体骨格部材の断面図。 第2の実施形態に係る車体骨格部材(センタピラー)の一部を切欠いて示す側面図。
以下に第1の実施形態に係る車体骨格部材について図1から図7を参照して説明する。図1は、自動車の車体10を示している。この車体10は、車体10の下部に設けられた左右一対のサイドシル11と、サイドメンバ12と、車体10の上部に設けられたサイドルーフレール13と、フロントピラー14と、センタピラー15と、リヤピラー16と、ルーフ部17などを含んでいる。
車体骨格部材の一例であるサイドシル11と、サイドメンバ12と、サイドルーフレール13は、それぞれ車体10の前後方向に延びている。図1に示す矢印Xは車体10の前後方向、Yは車体10の幅方向、Zは上下方向である。ルーフ部17は、ルーフパネル20と、ルーフパネル20の下面に沿って車体10の幅方向に延びるルーフボウ21とを含んでいる。ルーフボウ21も車体骨格部材の一例である。
以下に、車体骨格部材の一例として、サイドシル11を代表して説明する。
図2は、サイドシル11の一部を車体外側から見た側面図である。図3は、サイドシル11の内部を示している。図4はサイドシル11の断面図である。サイドシル11は、第1のパネル31と第2のパネル32とを備えている。この実施形態の場合、第1のパネル31は車体外側に位置するアウタパネル、第2のパネル32は車体内側に位置するインナパネルである。第1のパネル31と第2のパネル32は鋼板からなり、それぞれ車体10の前後方向に延びている。
第1のパネル31は、下側のフランジ31aと上側のフランジ31bとを有している。第2のパネル32も下側のフランジ32aと上側のフランジ32bとを有している。下側のフランジ31a,32a同士が、シーム溶接部40とスポット溶接部41とによって互いに結合されている。
シーム溶接部40は、フランジ31a,32a同士が重なる部分に沿ってサイドシル11の長手方向(図2に矢印X1で示す方向)に延びている。このシーム溶接部40は、後述する発泡体70の下側に位置するように形成されている。シーム溶接部40は、サイドシル11の長手方向に互いに間隔を存して複数個所に設けられている。互いに隣り合うシーム溶接部40間に、スポット溶接部41が設けられている。また上側のフランジ31b,32b同士がスポット溶接部42によって結合されている。第1のパネル31と第2のパネル32との間に閉断面50が形成されている。
シーム溶接部40は、図5に一例を示すシーム溶接機60によって形成される。このシーム溶接機60は、第1のローラ電極61と、第2のローラ電極62と、これらローラ電極61,62間に電圧を印加する溶接電源63と、加圧機構64と、ローラ電極61,62を回転させながらフランジ31a,32aに沿って移動させる機構(図示せず)などを備えている。加圧機構64は、ローラ電極61,62を近付ける方向に付勢することにより、ローラ電極61,62間にフランジ31a,32aに挟むことができるようになっている。なお、シーム溶接機60を固定してフランジ31a,32aを動かすことで溶接してもよい。
前記加圧機構64によってローラ電極61,62をフランジ31a,32aに押付け、溶接電源63から供給される電流をローラ電極61,62間に流すとともに、ローラ電極61,62を移動させることにより、フランジ31a,32aに沿って溶接ナゲットが連続的に形成され、冷却されることによりシーム溶接部40が形成される。なお、スポット溶接部41,42は、図示しないスポット溶接ガンによって溶接される。
サイドシル11の前記閉断面50内のシーム溶接部40と対応する領域の上方に、発泡体70が設けられている。発泡体70は、例えば常温発泡タイプの硬質ポリウレタンからなる。この発泡体70は、サイドシル11の長手方向(車体10の前後方向)の全長のうち、衝突荷重に対して効果のある領域(図1にSで示す領域)に沿って、シーム溶接部40が配置されている。
シーム溶接部40の上側の閉断面50に発泡体70を充填する際には、例えば図6に示すように、パネル32に形成された孔71にノズル72が挿入され、このノズル72から発泡体原液70aを閉断面50内のシーム溶接部40と対応する箇所に向けて注入する。シーム溶接部40はサイドシル11の長手方向に線状に連続しており、このシーム溶接部40が発泡体原液70aの漏れを防ぐシール部として機能する。このため、発泡体原液70aがフランジ31a,32a間から漏れることが回避される。
シーム溶接部40上の閉断面50に注入された発泡体原液70aは、常温で発泡しつつ、硬化しながら、図7に示すように積み重なって盛り上がってゆく。こうして発泡が完了することにより、図4に示すようにシーム溶接部40上の閉断面50内に発泡体70が充填される。
図4に示すように、車体10の側方から衝突荷重Pが入力した場合を想定すると、この衝突荷重Pによって第1のパネル31が車体内側に向けて変形する。第1のパネル31が車体内側に変形すると、荷重の一部が発泡体70を介して第2のパネル32にも伝わる。このため第2のパネル32も衝突荷重を受けることになる。このため第1のパネル31と第2のパネル32と発泡体70との相乗効果により、サイドシル11の衝突性能を向上させることができる。
図8に示す第2の実施形態は、車体骨格部材の他の例としてセンタピラー15を示している。このセンタピラー15は、図1に示すように車体10の上下方向に延びている。図8に示すセンタピラー15は、車体外側に配置される第1のパネル(下半部のみ示すアウタパネル)81と、車体内側に配置される第2のパネル(インナパネル)82とを備えている。第1のパネル81と第2のパネル82は車体10の上下方向に延びている。
第1のパネル81の一方のフランジ81aと、第2のパネル82の一方のフランジ82a同士が、第1のシーム溶接部40Aによって互いに結合されている。第1のパネル81の他方のフランジ81bと、第2のパネル82の他方のフランジ82b同士が、第2のシーム溶接部40Bによって互いに結合されている。
第1のシーム溶接部40Aは、センタピラー15の前側のフランジ81a,82aに沿って上下方向に延びている。そしてこのシーム溶接部40Aは、センタピラー15の長手方向に間隔を存して複数個所に設けられている。上下に隣り合う第1のシーム溶接部40A間にスポット溶接部41が設けられている。スポット溶接部41は、第1のシーム溶接部40Aを除く領域においてフランジ81a,82a同士を結合している。
第2のシーム溶接部40Bは、センタピラー15の後側のフランジ81b,82bに沿って上下方向に延びている。このシーム溶接部40Bも、センタピラー15の長手方向に間隔を存して複数個所に設けられている。上下に隣り合う第2のシーム溶接部40B間にスポット溶接部42が設けられている。スポット溶接部42は、第2のシーム溶接部40Bを除く領域においてフランジ81b,82b同士を結合している
第1のパネル81と第2のパネル82との間に閉断面50が形成されている。センタピラー15の上下方向の全長のうち、衝突荷重に対して効果のある部分(図1にSで示す領域)に発泡体70が充填されている。発泡体70は、第1のシーム溶接部40Aと第2のシーム溶接部40Bとの間に設けられている。
センタピラー15のように上下方向に延びる車体骨格部材の場合、発泡体70の下方には、発泡体70を充填する際に発泡体原液を受け止めるための仕切り部材90が配置されている。前記ノズル72(図6に示す)をセンタピラー15の孔71に挿入し、発泡体原液を閉断面50に注入する。注入された発泡体原液は仕切り部材90上に落ち、常温で発泡しながら仕切り部材90上に積み重なることにより、第1のシーム溶接部40Aと第2のシーム溶接部40Bとの間に発泡体70が充填される。それ以外の構成は前記第1の実施形態と共通であるため、第1の実施形態と共通の部分に共通の符号を付して説明を省略する。
なお本発明は、サイドシルやピラー以外の車体骨格部材、例えばサイドメンバやサイドルーフレール、クロスメンバ、ルーフボウなど、要するに衝突の荷重に対して有効な領域(図1にSで示す)を有する車体骨格部材に適用することができる。また本発明を実施するに当たり、シーム溶接部の具体的な形状や配置、車体骨格部材および発泡体の具体的な態様等を種々に変更して実施できることは言うまでもない。
10…車体、11…サイドシル、12…サイドメンバ、13…サイドルーフレール、14…フロントピラー、15…センタピラー、16…リヤピラー、20…ルーフパネル、21…ルーフボウ、31…第1のパネル、31a,31b…フランジ、32…第2のパネル、32a,32b…フランジ、40,40A,40B…シーム溶接部、41,42…スポット溶接部、50…閉断面、70…発泡体、90…仕切り部材。

Claims (5)

  1. フランジを有する第1のパネルと、
    フランジを有する第2のパネルとを有し、
    前記第1および第2のパネルの前記フランジ同士が接合された車体骨格部材であって、
    前記第1および第2のパネルのフランジ同士が重なる部分に沿って該車体骨格部材の長手方向に延びるシーム溶接部と、
    前記第1および第2のパネルの内側の閉断面内で前記シーム溶接部と対応する領域に前記シーム溶接部に沿って充填された発泡体と、
    を具備したことを特徴とする車体骨格部材。
  2. 前記シーム溶接部の上側に該シーム溶接部に沿って前記発泡体が充填されたことを特徴とする請求項1に記載の車体骨格部材。
  3. 前記第1および第2のパネルが車体の上下方向に延び、
    前記第1のパネルの一方のフランジと前記第2のパネルの一方のフランジとが上下方向に延びる第1のシーム溶接部によって互いに結合され、
    前記第1のパネルの他方のフランジと前記第2のパネルの他方のフランジとが上下方向に延びる第2のシーム溶接部によって互いに結合され、
    前記第1のシーム溶接部と前記第2のシーム溶接部との間に前記発泡体が充填されたことを特徴とする請求項1に記載の車体骨格部材。
  4. 前記発泡体の下方に発泡体原液を受け止める仕切り部材が配置されたことを特徴とする請求項3に記載の車体骨格部材。
  5. 前記シーム溶接部が該車体骨格部材の長手方向に間隔を存して複数個所に形成され、
    互いに隣り合う前記シーム溶接部間に、前記フランジ同士を結合するスポット溶接部が設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車体骨格部材。
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