JP2013202478A - 微粒子分散体 - Google Patents

微粒子分散体 Download PDF

Info

Publication number
JP2013202478A
JP2013202478A JP2012073174A JP2012073174A JP2013202478A JP 2013202478 A JP2013202478 A JP 2013202478A JP 2012073174 A JP2012073174 A JP 2012073174A JP 2012073174 A JP2012073174 A JP 2012073174A JP 2013202478 A JP2013202478 A JP 2013202478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block polymer
solvent
fine particle
particle dispersion
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012073174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5997471B2 (ja
Inventor
Kenichi Kono
健一 河野
Takayuki Okawa
隆行 大川
Yoshinao Murayama
良直 村山
Tomoya Yamamoto
智也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Finetech Nisca Inc
Original Assignee
Canon Finetech Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Finetech Inc filed Critical Canon Finetech Inc
Priority to JP2012073174A priority Critical patent/JP5997471B2/ja
Publication of JP2013202478A publication Critical patent/JP2013202478A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5997471B2 publication Critical patent/JP5997471B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Colloid Chemistry (AREA)

Abstract

【課題】金属濃度が極めて低く、分散安定性に優れ、含有する有機物を低温で除去することが可能な微粒子分散体を提供する。
【解決手段】有機溶媒と、無機微粒子と、無機微粒子を有機溶媒中に分散させる分散剤と、カチオン性脂肪族アミンとを含有し、分散剤が、疎水性ユニットと、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニットとを含むブロックポリマーである微粒子分散体を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、分散安定性に優れ、且つ含有する有機物(特に分散剤)を低温で除去することが可能な微粒子分散体に関する。
近年、PDP(プラズマディスプレイ)、FED(電界放出型ディスプレイ)、及びOLED(有機発光ダイオード)などの様々なフラットパネルディスプレイが開発されている。なかでもPDPやFEDは、LCD(液晶パネル)より高速表示が可能であり、大型化も容易であることから、次世代のディスプレイとして期待されている。
PDPやFEDは、基板上に形成された蛍光層に紫外線や電子を当てることで、発光及び表示が行なわれる。蛍光層は、一般に、有機溶媒中に蛍光体粒子とバインダーが分散されたペーストまたはインクを、スクリーン印刷法またはインクジェット印刷法などの印刷方法によりパターン印刷することで形成されており、比較的高い印刷精度が得られるインクジェット印刷法では、低粘度であるとともに、粒子の分散安定性が良好なインクが要求される。
また、蛍光層に有機物が残留すると、発光効率が低下したり輝度が劣化したりする場合があることから、通常、蛍光層はパターン印刷された後、500〜600℃程度で熱処理される。このため、熱による蛍光体や基板へのダメージを軽減すべく、インク中の有機物(バインダー、分散剤、溶媒等)は、できるだけ低温で除去または分解可能なものであること(以下、単に「低温分解性」とも記す)が要求される。
一方、有機溶媒中に無機微粒子を分散させるために用いられる分散剤として、様々な化合物が市販されている。さらに、蛍光体粒子の有機溶媒中への分散性を改善する目的で、特定の界面活性剤や高分子分散剤を添加する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。一般に、有機溶媒中に無機微粒子を分散する場合、高分子分散剤を併用することが有効であるとされており、なかでもブロックポリマーは、無機微粒子への吸着性や有機溶媒に対する親和性を適宜調整(設計)することが可能であり、組成の異なる粒子(例えば、赤・青・緑等の蛍光体)を分散するのに適している。
特開2006−335782号公報 特開2007−7648号公報
しかしながら、上述した粒子の分散安定性と低温分解性の二つの特性を満足するブロックポリマーは、これまで存在していなかった。また、ブロックポリマーは、重合時に使用する金属触媒に由来する金属を微量ながら含有するため、例えば、蛍光体粒子の分散剤として使用した際に金属が蛍光層に残留し、残留量が多い場合には発光効率の低下や輝度を劣化させる原因となっていた。よって、ブロックポリマー中の金属は可能な限り取り除く必要があったが、精製して金属濃度を下げると、ブロックポリマーを溶解させた溶媒(良溶媒)から無機微粒子を分散する溶媒(分散溶媒)へ溶媒交換を行う際にブロックポリマーが析出することがあり、無機微粒子の分散剤として利用することが困難となっていた。
従って、本発明の課題とするところは、ブロックポリマーの溶媒交換時にポリマーが析出するのを抑制し、さらに、金属濃度が極めて低く、分散安定性に優れ、含有する有機物を低温で除去することが可能な微粒子分散体を提供することにある。
本発明者らはこのような状況を鑑みて鋭意検討した結果、粒子の分散安定性と低温分解性に優れた特定のブロックポリマーから金属を除去した後、溶媒交換を行う際に、カチオン性脂肪族アミンを添加することで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す微粒子分散体が提供される。
[1]有機溶媒と、無機微粒子と、該無機微粒子を有機溶媒中に分散させる分散剤と、カチオン性脂肪族アミンとを含有し、前記分散剤が、疎水性ユニットと、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニットとを含むブロックポリマーであることを特徴とする微粒子分散体。
[2]前記無機微粒子が、酸化物または硫化物である前記[1]に記載の微粒子分散体。
[3]前記疎水性ユニットが、n−ブチルメタクリレート及び/またはベンジルメタクリレートで構成される前記[1]または[2]に記載の微粒子分散体。
[4]前記カチオン性脂肪族アミンが、酸または4級化剤で脂肪族アミンをカチオン化した化合物である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の微粒子分散体。
有機溶媒中へ無機微粒子を分散した微粒子分散体を上記本発明の構成とすることで、金属濃度が極めて低く、分散安定性に優れ、且つ含有する有機物を低温で除去することが可能な微粒子分散体を提供することができる。さらに、無機微粒子としてナノスケールの蛍光体粒子を用いた場合には、分散安定性と印刷特性に優れ、且つ高輝度で発光効率に優れた蛍光層を形成し得るインクを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明の微粒子分散体は、有機溶媒中に無機微粒子を分散したものであり、有機溶媒と、無機微粒子と、この無機微粒子を有機溶媒中に分散させる分散剤と、カチオン性脂肪族アミンとを含有する。また、前記分散剤には、疎水性ユニットと、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニットとを含むブロックポリマーが使用される。
<有機溶媒>
本発明の微粒子分散体に含有される有機溶媒(以下、「分散溶媒」とも記す)は、特に限定しないが、例えば、微粒子分散体を、蛍光層を形成する際のインクとして使用する場合には、バインダーの溶解性や基板への濡れ性、印刷特性(吐出性や印刷精度)が良好なものを選択するのが好ましい。このような有機溶媒としては、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系の溶媒が挙げられ、具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を挙げることができる。なお、これらの有機溶媒は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
<無機微粒子>
本発明の微粒子分散体に含有される無機微粒子は、酸化物または硫化物等の無機化合物であり、例えば、ディスプレイ用の蛍光物質として知られる赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、及びこれらの母材等を挙げることができる。
赤色蛍光体の具体例としては、Y23:Eu系、Y2SiO5:Eu系、Y3Al512:Eu系、Zn3(PO42:Mn系、YBO3:Eu系、(Y,Gd)BO3:Eu系、GdBO3:Eu系、ScBO3:Eu系、及びLuBO3:Eu系の化合物等を挙げることができる。
緑色蛍光体の具体例としては、Zn2SiO4:Mn系、BaAl1219:Mn系、SrAl1319:Mn系、CaAl1219:Mn系、YBO3:Tb系、BaMgAl1423:Mn系、LuBO3:Tb系、GdBO3:Tb系、ScBO3:Tb系、Sr6Si33Cl4:Eu系、その他、ZnO:Zn系、ZnS:(Cu,Al)系、ZnS:Ag系、Y22S:Eu系、ZnS:Zn系、(Y,Cd)BO3:Eu系、BaMgAl1223:Eu系の化合物等を挙げることができる。
青色蛍光体の具体例としては、Y2SiO5:Ce系、CaWO4:Pb系、BaMgAl1423:Eu系、BaMgAl1627:Eu系、BaMg2Al1423:Eu系、BaMg2Al1427:Eu系、ZnS:(Ag,Cd)系の化合物等を挙げることができる。
無機微粒子(蛍光体)の平均粒子径は300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。無機微粒子の平均粒子径が300nmを超えると、FEDに使用した場合に電子の侵入深度が浅くなり、電子が発光部まで到達できずに蛍光体表面でチャージアップするため、発光輝度が低下する場合がある。なお、無機微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した画像から任意に粒子を選んで平均を求めるか、あるいは、X線回折装置を用いて測定した回折ピークの半価幅をシェラーの式で換算することによって算出することができる。
また、無機微粒子(蛍光体)の分散溶媒中における体積平均粒子径は、50〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。無機微粒子の分散溶媒中における体積平均粒子径が上記の数値範囲内であれば、インクとして使用する際の吐出精度や分散安定性が良好である。なお、無機微粒子の分散溶媒中における体積平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
微粒子分散体における無機微粒子の含有量は、微粒子分散体の全質量に対して1〜20質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。無機微粒子の含有量が1質量%未満であると、蛍光層を形成した後の乾燥プロセスに時間がかかるために、経済的に不利となる場合がある。一方、無機微粒子の含有量が20質量%を超えると、無機微粒子同士が凝集しやすくなるため、インクとして使用して場合に吐出不良を起したり、形成される蛍光層にムラが生じたりする場合がある。
<分散剤(ブロックポリマー)>
本発明の微粒子分散体には、有機溶媒中における無機微粒子の分散性を改善するとともに、長期にわたって良好な分散安定性が得られるように分散剤が含有される。使用する分散剤としては、疎水性ユニットと、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニットとを含むブロックポリマーが好ましく、具体的には、下記一般式(1)で示される疎水性ユニットと、下記一般式(2)で示される親水性ユニットを有するブロックポリマーが挙げられる。
Figure 2013202478
一般式(1)中、R1は水素またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を示し、lは疎水性ユニットの繰り返し単位数を示す。また、一般式(2)中、R1は水素またはメチル基を示し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示し、EOはオキシエチレンを示し、mは親水性ユニットの繰り返し単位数を示し、nは1〜4の整数を示す。
疎水性ユニットを構成するモノマーの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;ベンジルアクリレート等のアリールアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、sec−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;ベンジルメタクリレート等のアリールメタクリレート;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。これらのモノマーは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、n−ブチルメタクリレートやベンジルメタクリレートで構成された疎水性ユニットを含むブロックポリマーは、比較的低温で容易に分解(留去)できるので好ましい。
親水性ユニットを構成するモノマーの具体例としては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、n−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート等を挙げることができる。これらのモノマーには、カルボキシル基、水酸基、及びアミノ基のような水素結合を形成する部位がない。よって、これらのモノマーで構成された親水性ユニットを含むブロックポリマーは、比較的低温で留去することが可能である。また、これらのモノマーで構成された親水性ユニットは、側鎖にオキシアルキレンを有するため、無機微粒子表面との親和性が高く、無機微粒子の分散安定性が向上すると考えられる。なお、これらのモノマーは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
ブロックポリマーに含まれる疎水性ユニットの繰り返し単位数(前記一般式(1)中のl)は、15〜120であることが好ましい。また、ブロックポリマーに含まれる親水性ユニットの繰り返し単位数(前記一般式(2)中のm)は、15〜120であることが好ましい。lとmが上記の数値範囲内であれば、親水性と疎水性とのバランスが制御しやすく、分散溶媒中における無機微粒子の分散性がより良好となる。
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜50,000であることが好ましく、5,000〜40,000であることがさらに好ましい。ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が5,000未満であると、無機微粒子の分散性が低下する場合がある。一方、ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が50,000を超えると、分散溶媒への溶解性が低下して無機微粒子の分散性が低下したり、微粒子分散体の粘度が上昇して蛍光層形成時の印刷特性(吐出性や印刷精度)が低下したりする場合がある。なお、ブロックポリマーの分子構造は、NMR、IR、または各種クロマトグラフィーによる解析から同定することができる。また、ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定することができる。
微粒子分散体におけるブロックポリマーの含有量は、無機微粒子100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。無機微粒子100質量部に対するブロックポリマーの含有量が10質量部未満であると、無機微粒子の分散性が低下しやすく、無機微粒子同士が凝集して沈降する場合がある。一方、無機微粒子100質量部に対するブロックポリマーの含有量が500質量部超であると、微粒子分散体の粘度が過度に上昇する場合がある。
<ブロックポリマーの調製方法>
分散剤として用いるブロックポリマーは、前述した疎水性ユニットを構成するモノマーと、親水性ユニットを構成するモノマーを重合することで得られる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法、原子移動ラジカル重合法(ATRP、リビングラジカル重合法の一種)、及び可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT)などがある。なかでも、リビングラジカル重合法は、分子鎖長(分子量)をより的確に揃えることができ、理想とする分子構造が得られるので好ましい。
<触媒及びリガンド>
重合の際には、従来公知の触媒を用いることができる。例えば、リビングラジカル重合法によってブロックポリマーを合成する場合には、Fe、Co、Ni、Cu等の遷移金属や、これらのハロゲン化物が触媒として使用できる。触媒の使用量は適宜設定され、特に限定されない。また、金属触媒を使用する場合には、後述する重合溶媒への溶解性や、触媒としての活性を向上させる目的で、配位子(リガンド)を併用することが好ましい。リガンドの具体例としては、下記式I−a〜IV−dで表される塩基性化合物及びそれらの誘導体を挙げることができ、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。リガンドの使用量は特に限定されないが、触媒量に対して1.0〜4.0倍当量とすることが好ましい。
Figure 2013202478
Figure 2013202478
Figure 2013202478
Figure 2013202478
<重合開始剤>
リビングラジカル重合法によってブロックポリマーを合成する場合には、ハロゲン化アルキル等の従来より公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の具体例としては、1−クロロエチルベンゼン、ベンジルクロライド、2−クロロプロピオン酸メチル、およびこれらの臭素置換体、p−トルエンスルホニルクロライド、トリクロロメタン、テトラクロロメタン等を挙げることができる。重合開始剤の使用量は特に限定されないが、モノマーの仕込量や、得ようとするポリマーの分子量に合わせて調整すればよい。なお、リビングラジカル重合法で合成したポリマーは、重合開始剤に由来するハロゲンをポリマー分子の一方の末端または両末端に有するため、ポリマー自体を重合開始剤として用いることができる。
<重合溶媒>
重合の際には、通常、重合溶媒を用いる。重合溶媒としては、モノマーや触媒の溶解性が高く、反応に悪影響を及ぼさず、未反応のモノマーや触媒を反応後に分離、除去しやすいものを選択すればよく、特に制限はない。
<精製方法>
重合して得られたポリマーは、反応終了後、精製することが好ましい。精製方法としては、ろ過法、吸着法、再沈法、透析法、分液抽出法等を用いることができる。ホモポリマーを精製する場合には再沈法が好ましく、ブロックポリマーを精製する場合には、透析法と分液抽出法を併用することが好ましい。これらの精製法でポリマーを精製することで、未反応モノマー、金属触媒、及びリガンド等を効率的に除去することができる。特に、分液抽出法においては、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミン塩酸塩等の水溶性アミンを使用することで、残留する金属触媒をほぼ完全に除去することができる。具体的には、金属濃度が50ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは実質的に金属が検出されないブロックポリマーを得ることができる。
<分散剤(ブロックポリマー)の使用方法>
ブロックポリマーを微粒子分散体に使用する場合には、重合及び精製の際に使用した溶媒を除去しておくことが好ましい。これにより、無機微粒子の分散性、必要に応じて用いられるバインダーの溶解性、蛍光層形成時の印刷特性を向上させることができる。また、不要な溶媒を除去したブロックポリマーは、分散溶媒に直接添加して使用してもよいが、分散溶媒に対するブロックポリマーの溶解性が低い場合には、溶媒交換を行うことが好ましい。溶媒交換とは、(i)ブロックポリマーを予め良溶媒に溶解した後、(ii)分散溶媒を加え、次いで、(iii)良溶媒を加熱留去して、良溶媒を分散溶媒へと置換することをいう。通常、良溶媒としては、分散溶媒に比して沸点が低いものを選択して用いる。
しかしながら、精製して金属を除去したブロックポリマーは、良溶媒を留去すると析出しやすく、一般的な方法では溶媒交換することが困難である。そこで、本発明で用いる金属濃度の低いブロックポリマーに対して溶媒交換を実施する場合は、ブロックポリマーを良溶媒に溶解させた後、この溶解液にカチオン性脂肪族アミンを添加することが好ましい。したがって、最終的に得られる本発明の微粒子分散体には、カチオン性脂肪族アミンが含有される。
カチオン性脂肪族アミンをブロックポリマーの溶解液に添加することで、溶媒交換が可能になる理由については明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。重合の際に用いた金属触媒に由来する金属を含有するブロックポリマーは、金属イオンに親水性ユニットのエチレンオキサイドが配位するとともに、疎水性ユニットが外側に向くことで、ミセル構造を形成している。このため、テトラヒドロフラン(THF)等の良溶媒から、極性が低いジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに溶媒交換されても、ブロックポリマーの溶解性(または分散性)は保持される。
一方、アンモニア水を用いて分液抽出されたブロックポリマーでも、アンモニウムイオンが金属イオンに置き換わることで同様にミセル構造が形成されると考えられる。しかしながら、良溶媒を加熱留去する際にアンモニアも系外へと放出され、アンモニアの放出(減少)とともにミセル構造が崩壊してしまうため、ブロックポリマーは不溶化して分散溶媒中に析出すると考えられる。これに対して、カチオン性脂肪族アミンは、アンモニアと異なり、良溶媒を加熱留去する際にも系外へと放出されることがほとんどない。このため、アンモニアが系外へと放出された後でも、カチオン性脂肪族アミンは系内に残留し、金属イオンの代役を果たすことになる。したがって、良溶媒を除去して溶媒交換を行った後でも、ブロックポリマーの分散溶媒への溶解性が保持されるものと推測される。
<カチオン性脂肪族アミン>
本発明の微粒子分散体に含有されるカチオン性脂肪族アミンは、第1級〜第3級の脂肪族アミンをカチオン化した化合物である。脂肪族アミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンを挙げることができる。これら脂肪族アミンのなかでも、カチオン化した化合物(カチオン性脂肪族アミン)の沸点が、ブロックポリマーの溶媒を交換する際の加熱温度(例えばテトラヒドロフラン(THF)等の良溶媒の沸点)よりも高いものを選択することが好ましい。
脂肪族アミンの使用量は、ブロックポリマーに対する割合で0.25〜25モル%とすることが好ましい。脂肪族アミンの使用量がブロックポリマーに対して0.25モル%未満であると、分散溶媒に対するブロックポリマーの溶解性が低下する傾向にある。一方、脂肪族アミンの使用量がブロックポリマーに対して25モル%を超えても、分散溶媒に対するブロックポリマーの溶解性には大きな変化は見られない。
カチオン性脂肪族アミンは、前記脂肪族アミンを溶解させた溶液に、酸または4級化剤を添加することで容易に調製することができる。使用する酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸等の有機酸;塩酸、リン酸、亜リン酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。また、4級化剤としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等のエポキシ化合物;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸メチル等の硫酸化物;メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド等のハロゲン化アルキル類等を挙げることができる。
これらの酸または4級化剤は、溶媒に対する溶解性を考慮して任意に選択すればよい。ただし、ブロックポリマーを溶解させる良溶媒または分散溶媒の極性が低い場合には、4級化剤を用いることが好ましい。なお、酸または4級化剤の使用量は、通常、脂肪族アミンに対して等モル以上であればよい。
なお、アンモニア水を用いてブロックポリマーを精製した場合には、溶媒交換前に脂肪族アミンを添加するだけで、カチオン性脂肪族アミンを添加した場合と同様の効果が得られることがある。これは、アンモニアより酸解離度が低い第1級〜第3級の脂肪族アミンが、アンモニア水から水を奪って第1級〜第3級のアンモニウムカチオンを生成するためと推測される。また、アンモニア水に代えて、例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミン塩酸塩等の水溶性アミンを用いてブロックポリマーを精製した場合も、カチオン性脂肪族アミンを添加した場合と同様の効果が得られることがある。すなわち、水溶性アミンを用いてブロックポリマーを精製した場合には、分散溶媒に対するブロックポリマーの溶解性(または分散性)が十分であれば、カチオン性脂肪族アミンを改めて添加する必要はない。
<微粒子分散体の製造方法>
本発明の微粒子分散体は、例えば、分散剤としてのブロックポリマーとカチオン性脂肪族アミンを含有する有機溶媒(分散溶媒)に無機微粒子を添加した後、混合することによって製造することができる。なお、微粒子分散体には、バインダー、粘度調整剤、pH調整剤、光増感剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中の「部」および「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
(1)ポリマーの調製及び精製
<ブロックポリマーA>
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換した4つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(溶媒)300部、塩化第一銅(重合触媒)1部、ペンタメチルジエチレントリアミン(リガンド)2部、1−クロロエチルベンゼン(開始剤)1部、及びn−ブチルメタクリレート(疎水性モノマー)85部を投入し、撹拌しながら系内を80℃に昇温した。GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、商品名「HLC8220」、東ソー社製)を使用して分子量をモニタリングしながら重合を進め、所望の分子量に到達した時点で加熱を停止して冷却した後、反応液をメタノールに投入してn−ブチルメタクリレートのホモポリマーを析出させた(再沈法)。析出したホモポリマーをGPCで分析したところ、重量平均分子量(Mw)は8,800であった。また、重量平均分子量から算出したホモポリマーの繰返し単位数(l)は62であった。
次に、上記と同様の窒素置換した4つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(溶媒)300部、塩化第一銅(重合触媒)1部、ペンタメチルジエチレントリアミン(リガンド)2部、上記のn−ブチルメタクリレートホモポリマー(開始剤)1部、及び2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート(親水性モノマー)150部を投入し、撹拌しながら系内を120℃に昇温した。GPCでモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで加熱を停止した。得られた反応液にテトラヒドロフランを加え、セルロースの透析膜を用いてメタノール溶媒中で透析を行い、未反応のモノマーを除去した。透析膜内の析出物と溶媒を取り出し、溶媒を留去した後にジメチルホルムアミドとテトラヒドロフランを加えて析出物を溶解させ、新しい透析膜を用いて再透析する操作を2回繰り返した。透析膜内の溶媒を留去して、疎水性ユニット(n−ブチルメタクリレート単位)と、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニット(2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート単位)とを有するブロックポリマーAを得た。得られたブロックポリマーAをGPCで分析したところ、重量平均分子量(Mw)は19,920であり、その値から算出した親水性ユニットの繰返し単位数(m)は58であった。また、ブロックポリマーAをICP発光分光分析装置(SPS1700HV、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定したところ、Cuが固形分換算で74ppm含まれていた。
<ブロックポリマーA1>
ブロックポリマーA 50gをクロロホルム500gに溶解して分液ロートへ移し、これに28%アンモニア水溶液25gを加えて振とうした。静置後、分離したクロロホルム層を抽出し(分液抽出)、イオン交換水で十分に洗浄した。次いで、クロロホルムを留去してブロックポリマーA1を得た。得られたブロックポリマーA1をICP発光分光分析装置を用いて測定したところ、Cuの含有濃度は固形分換算で8ppmであった。
<ブロックポリマーA2>
ブロックポリマーA 50gをクロロホルム500gに溶解して分液ロートへ移し、これに28%アンモニア水溶液250gを加えて振とうした。静置後、分離したクロロホルム層を抽出し(分液抽出)、イオン交換水で十分に洗浄した。次いで、クロロホルムを留去してブロックポリマーA2を得た。得られたブロックポリマーA2をICP発光分光分析装置を用いて測定したところ、Cuは検出されなかった。
<ブロックポリマーA3>
28%アンモニア水溶液250gに代えて20%トリエチルアミン塩酸塩水溶液1400gを用いたこと、及び数回に分けて分液抽出を行ったこと以外は、前述のブロックポリマーA2の場合と同様の処理を行って、ブロックポリマーA3を得た。得られたブロックポリマーA3をICP発光分光分析装置を用いて測定したところ、Cuは検出されなかった。
<ブロックポリマーA4>
28%アンモニア水溶液250gに代えて10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液1850gを用いたこと、及び数回に分けて分液抽出を行ったこと以外は、前述のブロックポリマーA2の場合と同様の処理を行って、ブロックポリマーA4を得た。得られたブロックポリマーA4をICP発光分光分析装置を用いて測定したところ、Cuは検出されなかった。
<ブロックポリマーB及びC>
疎水性ユニットの繰り返し単位数(l)と親水性ユニットの繰り返し単位数(m)を変更したこと以外は、前述のブロックポリマーAの場合と同様にして、ブロックポリマーB及びブロックポリマーCを得た。また、ブロックポリマーA2の場合と同様にして、それぞれ精製した。得られたブロックポリマーB及びブロックポリマーCの重量平均分子量(Mw)、各ユニットの繰返し単位数、及びCu含有量の測定結果を表1及び2に示す。
<ブロックポリマーD、E、及びK>
2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレートを2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、及びメタクリル酸にそれぞれ変更したこと以外は、前述のブロックポリマーAの場合と同様にして、ブロックポリマーD、ブロックポリマーE、及びブロックポリマーKを得た。また、ブロックポリマーA2の場合と同様にして、それぞれ精製した。得られたブロックポリマーD、ブロックポリマーE、及びブロックポリマーKの重量平均分子量(Mw)、各ユニットの繰返し単位数、及びCu含有量の測定結果を表1及び2に示す。
<ブロックポリマーF>
ブロックポリマーAの場合と同様にして、繰返し単位数(l)=62の疎水性ユニット(n−ブチルメタクリレート)と、繰返し単位数(m)=29の親水性ユニット(2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート)とを有するブロックポリマーA5を得た。窒素置換した4つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(溶媒)300部、塩化第一銅(重合触媒)1部、ペンタメチルジエチレントリアミン(リガンド)2部、上記のブロックポリマーA5(開始剤)1部、及び2−メトキシエチルメタクリレート(親水性モノマー)75部を投入し、撹拌しながら系内を120℃に昇温した。GPCでモニタリングしながら重合を進め、親水性ユニットの分子量が所望の値に達したところで加熱を停止した。次いで、ブロックポリマーAの場合と同様にして透析を行った後、ブロックポリマーA2の場合と同様にして精製してブロックポリマーFを得た。得られたブロックポリマーFの重量平均分子量(Mw)、各ユニットの繰返し単位数、及びCu含有量の測定結果を表1及び2に示す。
<ブロックポリマーG〜I>
n−ブチルメタクリレートに代えて、ベンジルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、及びビニルトルエンをそれぞれ用いた以外は、前述のブロックポリマーAの場合と同様にしてブロックポリマーG、ブロックポリマーH、及びブロックポリマーIを得た。また、ブロックポリマーA2の場合と同様にして、それぞれ精製した。得られたブロックポリマーG、ブロックポリマーH、及びブロックポリマーIの重量平均分子量(Mw)、各ユニットの繰返し単位数、及びCu含有量の測定結果を表1及び2に示す。
<ランダムポリマーJ>
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換した4つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(溶媒)300部、α,α’‐アゾビスイソブチロニトリル(開始剤)1部、n−ブチルメタクリレート(疎水性モノマー)100部、及び2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート(親水性モノマー)100部を投入し、80℃で2時間撹拌した。反応液をメタノールに投入して、ランダムポリマーJを析出させた(再沈法)。得られたランダムポリマーJの重量平均分子量(Mw)、及びCu含有量の測定結果を表1及び2に示す。また、ランダムポリマーJの疎水性ユニットと親水性ユニットのそれぞれの含有比率を、NMR(核磁気共鳴装置、商品名「ECA400」、日本電子社製)を用いて求めたところ、疎水性ユニット:親水性ユニットは60:53であった。
Figure 2013202478
Figure 2013202478
なお、表1及び表2中の略号の意味は以下に示す通りである。
・nBMA:n−ブチルメタクリレート
・tBMA:tert−ブチルメタクリレート
・BzMA:ベンジルメタクリレート
・VT:ビニルトルエン
・MEEMA:2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート
・EEMA:2−エトキシエチルメタクリレート
・MEMA:2−メトキシエチルメタクリレート
・MA:メタクリル酸
・N.D.:検出限界以下
(2)微粒子分散体の調製
<実施例1>
ブロックポリマーA1 10gを良溶媒であるテトラヒドロフラン50gに溶解し、これにジエチルアミン(脂肪族アミン)0.0023g、ジエチル硫酸(4級化剤)0.0049g、及びジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(BCA)(分散溶媒)80gを加えた。1時間撹拌した後、テトラヒドロフランのみを留去してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液に、無機微粒子としてナノサイズのY23粒子(25〜30nm、Aldrich社製)10gを加え、1時間撹拌して微粒子濃度10%の微粒子分散体(実施例1)を得た。
<実施例2>
表3に示すように、ジエチルアミン0.0023gに代えてトリエチルアミン0.0032gを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして微粒子分散体(実施例2)を得た。
<実施例3>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてブロックポリマーA2を用いたこと、及びジエチルアミン0.0023gに代えてトリエチルアミン0.0032gを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして微粒子分散体(実施例3)を得た。
<実施例4〜6>
表3に示すように、無機微粒子としてY23:Eu3+(38nm)、Zn2SiO4(23nm)、及びZnS(15nm)をそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例4〜6)を調製した。なお、Y23:Eu3+は、特表2001−513828号公報の記載を参照して調製した。また、Zn2SiO4は、特開2006−028354号公報の記載を参照して調製した。さらに、ZnSは、特開2005−105155号公報の記載を参照して調製した。
<実施例7>
表3に示すように、ブロックポリマーA2に代えてブロックポリマーBを用いたこと、トリエチルアミンの量を0.008gとしたこと、及びジエチル硫酸0.049gに代えてジメチル硫酸0.0099gを用いたこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例7)を得た。
<実施例8〜12>
表3に示すように、ブロックポリマーA2に代えてブロックポリマーC〜Gをそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例8〜12)を得た。
<実施例13及び14>
表3に示すように、ブロックポリマーA2に代えてブロックポリマーA3及びA4をそれぞれ用いたこと、及びトリエチルアミンとジエチル硫酸を用いなかったこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例13及び14)を得た。
<実施例15>
表3に示すように、ジエチル硫酸を用いなかったこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例15)を得た。
<実施例16及び17>
表3に示すように、ブロックポリマーA2に代えてブロックポリマーH及びIをそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例3と同様にして微粒子分散体(実施例16及び17)を得た。
<比較例1>
表3に示すように、ジエチルアミンとジエチル硫酸を用いないこと以外は、前述の実施例1と同様にしてポリマー溶液を調製しようとしたところ、テトラヒドロフランを留去する際にブロックポリマーA1が析出した。このため、後述の評価2及び3については実施せず、評価1のみを実施した。
<比較例2>
表3に示すように、トリエチルアミンとジエチル硫酸を用いないこと以外は、前述の実施例3と同様にしてポリマー溶液を調製しようとしたところ、テトラヒドロフランを留去する際にブロックポリマーA2が析出した。このため、後述の評価2及び3については実施せず、評価1のみを実施した。
<比較例3>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてランダムポリマーJを用いたこと、及びジエチルアミンとジエチル硫酸を用いなかったこと以外は、前述の実施例1と同様にして微粒子分散体(比較例3)を得た。
<比較例4>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてランダムポリマーJを用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして微粒子分散体(比較例4)を得た。
<比較例5>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてブロックポリマーKを用いたこと、及びジエチルアミンとジエチル硫酸を用いなかったこと以外は、前述の実施例1と同様にして微粒子分散体(比較例5)を得た。
<比較例6>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてブロックポリマーKを用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして微粒子分散体(比較例6)を得た。
<参考例1>
表3に示すように、ブロックポリマーA1に代えてブロックポリマーAを用いたこと、及びジエチルアミンとジエチル硫酸を用いなかったこと以外は、前述の実施例1と同様にして微粒子分散体(参考例1)を得た。
Figure 2013202478
(3)各種評価
[評価1:ポリマーの熱分解性]
ポリマー単体の熱重量変化をTG(熱重量分析装置、商品名「EXSTAR6000」、SII社製、昇温速度:10℃/分)を用いて測定し、450℃における残渣から、ポリマーの熱分解性を以下に示す基準に従って評価した。評価結果を表4に示す。
○:残渣が存在しない(検出限界以下)
△:残渣が0.1〜10.0%存在する
×:残渣が10.0%超存在する
[評価2:分散溶媒へのポリマーの溶解性]
テトラヒドロフラン(良溶媒)からジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(分散溶媒)へ溶媒交換した後の状態を目視観察し、分散溶媒へのポリマーの溶解性を以下に示す基準に従って評価した。評価結果を表4に示す。
○:ポリマーが溶解している
△:僅かに不溶物がある
×:ポリマーが溶解せず、分離している
[評価3:微粒子分散体の分散安定性]
調製後24時間静置した微粒子分散体の状態を目視観察し、微粒子分散体の分散安定性を以下に示す基準に従って評価した。評価結果を表4に示す。
○:沈降物がない
△:僅かに沈降物がある
×:沈降物が多く、分散体は透明層と白濁層とに分離している
Figure 2013202478
表4に示すように、金属(Cu)含有量が少ないブロックポリマー(A1〜I)にカチオン性脂肪族アミンを加えた場合には、良溶媒から分散溶媒への溶媒交換が可能であることが明らかである。さらに、実施例1〜17の微粒子分散体は、分散性に優れていることが明らかである。
本発明の微粒子分散体を用いれば、分散安定性と印刷特性に優れたインクを提供することができる。また、このインクを使用した場合、高輝度で発光効率に優れた蛍光層を形成することができるため、極めて高品位なPDP、FED、及びOLED等のフラットパネルディスプレイを提供することができる。

Claims (4)

  1. 有機溶媒と、無機微粒子と、該無機微粒子を有機溶媒中に分散させる分散剤と、カチオン性脂肪族アミンとを含有し、前記分散剤が、疎水性ユニットと、側鎖にオキシアルキレンを有する親水性ユニットとを含むブロックポリマーであることを特徴とする微粒子分散体。
  2. 前記無機微粒子が、酸化物または硫化物である請求項1に記載の微粒子分散体。
  3. 前記疎水性ユニットが、n−ブチルメタクリレート及び/またはベンジルメタクリレートで構成される請求項1または2に記載の微粒子分散体。
  4. 前記カチオン性脂肪族アミンが、酸または4級化剤で脂肪族アミンをカチオン化した化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の微粒子分散体。
JP2012073174A 2012-03-28 2012-03-28 無機微粒子分散用の溶液及び微粒子分散体 Active JP5997471B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012073174A JP5997471B2 (ja) 2012-03-28 2012-03-28 無機微粒子分散用の溶液及び微粒子分散体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012073174A JP5997471B2 (ja) 2012-03-28 2012-03-28 無機微粒子分散用の溶液及び微粒子分散体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013202478A true JP2013202478A (ja) 2013-10-07
JP5997471B2 JP5997471B2 (ja) 2016-09-28

Family

ID=49522186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012073174A Active JP5997471B2 (ja) 2012-03-28 2012-03-28 無機微粒子分散用の溶液及び微粒子分散体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5997471B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013203837A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Canon Finetech Inc 微粒子分散体

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006112089A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Sekisui Chemical Co., Ltd. バインダー樹脂組成物、及び、無機微粒子分散ペースト組成物
JP2008185740A (ja) * 2007-01-29 2008-08-14 Sharp Corp 電子写真用トナーおよびその製造方法
JP2008266406A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Nitto Denko Corp 分散剤、表面に分散剤が担持された窒化ホウ素粒子、分散剤を含むエポキシ樹脂組成物ならびにその製造方法
JP2009154056A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合化粒子の製造方法
JP2013504692A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 ハンファ ケミカル コーポレーション 水溶性ナノ粒子及びその分散液を製造する方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006112089A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Sekisui Chemical Co., Ltd. バインダー樹脂組成物、及び、無機微粒子分散ペースト組成物
JP2008185740A (ja) * 2007-01-29 2008-08-14 Sharp Corp 電子写真用トナーおよびその製造方法
JP2008266406A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Nitto Denko Corp 分散剤、表面に分散剤が担持された窒化ホウ素粒子、分散剤を含むエポキシ樹脂組成物ならびにその製造方法
JP2009154056A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合化粒子の製造方法
JP2013504692A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 ハンファ ケミカル コーポレーション 水溶性ナノ粒子及びその分散液を製造する方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013203837A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Canon Finetech Inc 微粒子分散体

Also Published As

Publication number Publication date
JP5997471B2 (ja) 2016-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6342322B1 (en) Photosensitive composition and calcined pattern obtained by use thereof
DE112005001483T5 (de) Bindemittelharz-Zusammensetzung, Paste und Grünfolie
US9562128B2 (en) Copolymer
US20140055520A1 (en) Inkjet recording method
EP2660066B1 (en) Inkjet recording method
EP2617746B1 (en) Novel copolymer
JP4389436B2 (ja) 水性インク
JPH11246638A (ja) 感光性組成物及びそれを用いて得られる焼成物パターン
WO2015079761A1 (ja) インクジェット記録用インク組成物、及びその製造方法、並びに、インクジェット記録方法
JP5997471B2 (ja) 無機微粒子分散用の溶液及び微粒子分散体
JP2012212054A5 (ja)
JP5997472B2 (ja) 微粒子分散体の製造方法
KR20080001635A (ko) 형광체 페이스트 및 디스플레이의 제조 방법
US9115239B2 (en) Copolymer
JP5574755B2 (ja) 無機蛍光体分散液の製造方法、無機蛍光体分散液を有するコーティング組成物及びインクジェット用インク
JP3634141B2 (ja) 感光性組成物及びそれを用いて得られる焼成物パターン
JP3830109B2 (ja) 絶縁蛍光体パターン形成用感光性ペースト組成物及び絶縁蛍光体パターンの形成方法
JP5272332B2 (ja) 蛍光体ペーストおよびディスプレイの製造方法
US20140272177A1 (en) Dispersing agent, a method for manufacturing a dispersing agent, an ink, and a method for forming an electrically conductive pattern
KR20150063574A (ko) 4 급 암모늄염 화합물
US10100138B2 (en) Dispersant and method for producing same, ink, and method for forming electro-conductive pattern
JP2011219556A (ja) カーボンブラック分散液、インク組成物及びインクジェット記録方法
CN113748171A (zh) 用于制备彩色滤光片的组合物
JP4101918B2 (ja) アルカリ現像型光硬化性組成物及びそれを用いて得られる焼成物パターン
JP2010254765A (ja) 自己分散型顔料、自己分散型顔料の製造方法、インクセット、インクジェット記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160506

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160809

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5997471

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350