JP2013201585A - 無線端末装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラム - Google Patents

無線端末装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】無線端末装置の移動動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることが可能な無線端末装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】無線端末装置202は、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置101と通信を行い、自己の移動動作の実行回数をカウントするためのカウント部11と、上記実行回数に基づいて、自己の移動状態を推定するための移動状態推定部12と、移動状態推定部12によって推定された移動状態、および通信相手として選択している無線基地局装置101であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置101である周辺基地局の種別に基づいて、自己の移動動作の実行判断に関わる設定を行うための設定部14とを備える。
【選択図】図30

Description

本発明は、無線端末装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラムに関し、特に、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける無線端末装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラムに関する。
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセルすなわち無線端末装置が通信可能なエリアを形成する無線基地局装置(以下、マクロ基地局とも称する。)による通信サービスが提供されてきた。
近年、移動通信サービスの加入者数の劇的な増加およびデータ通信による通信トラヒック量の増大から、より半径の小さいセルを形成することによって加入者および通信トラヒックを分散し、また、一定レベルの通信速度をユーザへ安定して提供することが望まれている。また、ビルの超高層化に伴う不感地対策のため、企業フロア内および一般家庭内への無線基地局装置の設置も望まれている。
これらの要望と併せて、無線基地局装置で使用される種々のデバイスの処理能力が飛躍的に向上したことによって無線基地局装置の小型化が進み、このような小型化された小型基地局が注目を集めている。
この小型基地局の一種としてフェムト基地局およびピコ基地局が開発されている。フェムト基地局が形成するフェムトセル(Femto Cell)の半径は10メートル前後と小さいため、フェムト基地局は、マクロ基地局が形成するマクロセル(Macro Cell)の圏外となりマクロ基地局の設置が困難な屋内および地下街等の場所で使用されることが考えられる。
また、フェムト基地局は特定のエリアに多数設置されることから、フェムト基地局を直接コアネットワークに接続することは難しい。このため、特定のエリアに設置された多数のフェムト基地局を一旦、HeNB−GW等のゲートウェイ装置に接続し、フェムト基地局とコアネットワークとをHeNB−GW経由で接続することが考えられる。
また、ピコ基地局は、マクロ基地局をベースに開発され、たとえば半径100メートルから200メートルのピコセル(Pico Cell)を形成する。
このようなフェムト基地局、ピコ基地局およびマクロ基地局が混在する通信システムであるヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network)では、たとえばマクロセル内に複数のフェムトセルまたはピコセルが形成される。このため、無線端末装置のハンドオーバ動作が起こりやすくなり、また、ハンドオーバ動作を行なう状況も複雑になることから、ハンドオーバ動作のタイミングが早すぎたり、あるいは遅すぎたりするなど、不適切なハンドオーバ動作が行なわれる場合がある(たとえば、3GPP(Third Generation Partnership Project) TR 36.902 V9.3.1 2011.3(非特許文献1)参照)。
3GPP TR 36.902 V9.3.1 2011.3
非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。このような不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築する技術が望まれる。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、無線端末装置の移動動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることが可能な無線基地局装置、無線基地局装置、通信制御装置、管理装置、通信制御方法および通信制御プログラムを提供することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線端末装置は、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置であって、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行回数をカウントするためのカウント部と、上記カウント部によってカウントされた上記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するための移動状態推定部と、上記移動状態推定部によって推定された上記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うための設定部とを備える。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置の種別によって無線端末装置における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、移動動作の実行判断に関わる当該無線端末装置の設定を適切に行うことができる。
これにより、無線端末装置は、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生等を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
(2)好ましくは、上記設定部は、上記移動状態および上記種別に基づいて、自己の無線端末装置のハンドオーバ動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の動作に関する設定を行う。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断に関わる無線端末装置の動作のタイミング等を調整することができる。無線端末装置の移動状態に基づいて上記タイミングの調整を適切に行うことにより、ハンドオーバ動作のタイミングが適正化され、不適切なハンドオーバ動作の発生を抑制することができる。
(3)好ましくは、上記設定部は、上記周辺基地局に所定種別の無線基地局装置が含まれるか否かと、上記移動状態との組み合わせに応じて上記設定を変更する。
このような構成により、周辺基地局が所定種別の無線基地局装置であるか否か、および無線端末装置の移動状態に応じて、上記周辺基地局により送信される無線信号の当該無線端末装置における受信電力が大きく変化する場合においても、上記変化に対して適切に対処することができる。
(4)好ましくは、上記設定部は、上記移動状態のレベルに応じて上記設定を変更し、上記周辺基地局に所定種別の無線基地局装置が含まれる場合に、上記移動状態推定部によって推定された上記移動状態と比べて上記実行回数の大きい場合に推定される上記移動状態、のレベルに対応する上記設定を選択する。
たとえば、所定種別の周辺基地局が送信する無線信号の無線端末装置における受信電力の、当該無線端末装置の位置に対する変化が大きい場合、移動する無線端末装置における上記無線信号の受信電力の変化も大きい。このため、移動動作の実行回数の大きい場合に推定される移動状態のレベルに対応する設定を選択することにより、当該無線端末装置は、上記無線信号の受信電力の変化に適切に対処することができる。
(5)より好ましくは、上記移動状態は、上記無線端末装置の移動速度であり、上記所定種別は、小型基地局である。
このように、小型基地局が送信する無線信号の無線端末装置における受信電力の、当該無線端末装置の位置に対する変化は大きいため、実際の移動速度より大きい移動速度を示す移動状態に対応する設定を行うことにより、当該無線端末装置は、上記無線信号の受信電力の変化に適切に対処することができる。
これにより、無線端末装置は、たとえば移動先の無線基地局装置が小型基地局である場合においても、自己の移動状態に基づいて、上記小型基地局への移動動作を適切に行うことができる。
(6)好ましくは、上記無線端末装置は、さらに、上記無線基地局装置の保持する周辺基地局リストを取得するための基地局リスト取得部を備え、上記設定部は、上記周辺基地局リストから上記周辺基地局の種別を判断する。
このように、無線基地局装置の保持する周辺基地局リストを取得する構成により、たとえば周辺基地局の設定変更により通信システムの構成が変更される場合においても、当該変更を無線端末装置において速やかに反映させることができるので、通信システムの変更に対する柔軟性を高めることができる。
また、移動動作の開始に先立って、周辺基地局の種別を判断することができるので、移動先の無線基地局装置の種別、および無線端末装置の移動状態に基づいて上記設定を適切に行うことができる。
そして、無線端末装置は、上記設定を行うことにより、上記移動先の無線基地局装置への移動動作を適切に行うことができる。
(7)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線端末装置は、ハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置であって、自己の無線端末装置の上記ハンドオーバ動作の実行回数をカウントするためのカウント部と、上記カウント部によってカウントされた上記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するための移動状態推定部と、上記移動状態推定部によって推定された上記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、TTT(Time to Trigger)の値を設定するための設定部と、上記無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定結果が上記TTTで示される時間継続して所定条件を満たす場合に、上記測定結果を示すメジャメントレポートを上記サービング基地局へ送信するための受信電力報告部とを備える。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置の種別によって無線端末装置における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、ハンドオーバ動作の実行判断に関わる当該無線端末装置の設定を適切に行うことができる。
そして、3GPPで規定された無線端末装置において、当該無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、TTTの調整を適切に行うことにより、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することが可能となる。
これにより、無線端末装置は、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切なハンドオーバ動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御装置は、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、上記周辺基地局リストを作成するための周辺基地局リスト作成部と、上記周辺基地局リスト作成部によって作成された上記周辺基地局リストを他の装置に通知するための周辺基地局リスト通知部とを備える。
このように、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、たとえば無線端末装置へ通知することにより、当該無線端末装置においては、当該周辺基地局リストに基づいて、周辺基地局の種別を認識することができる。
これにより、無線端末装置は、自己の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生等が抑制され、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、たとえば通信制御装置が、不適切な移動動作を含む複数の移動動作を管理する場合、不適切な移動動作の発生状況を考慮した上で、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを作成することができる。
(9)好ましくは、上記周辺基地局リスト通知部は、上記周辺基地局リストを各上記無線基地局装置に通知する。
このような構成により、通信システムにおける、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、通信制御装置において一括で管理し、当該周辺基地局リストを各無線基地局装置へ効率的に通知することができる。
また、自己の周辺基地局を把握する当該各無線基地局装置は、自己が形成するセルに在圏する無線端末装置へ、当該周辺基地局リストに含まれる自己の周辺基地局に関する情報のみを送信することができる。
これにより、当該無線端末装置は、たとえば通信制御装置から当該周辺基地局リストを直接受信する場合と比べて、処理の負担を軽減することができる。
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線基地局装置は、上記(8)の通信制御装置を備える。
このような構成により、通信システムにおいて、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストの作成および当該周辺基地局リストの通知を各無線基地局装置で行なうことができるため、当該周辺基地局リストの作成処理および当該周辺基地局リストの通知の処理負荷を分散させることができる。
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる管理装置は、上記無線基地局装置を管理し、上記(8)の通信制御装置を備える。
このような構成により、通信システムにおいて、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストの作成および当該周辺基地局リストの通知を管理装置において一括して行なうことができるため、当該周辺基地局リストの作成処理および当該周辺基地局リストの通知を、より効率的に行なうことができる。
(12)また、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置における通信制御方法であって、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行回数をカウントするステップと、カウントした上記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、推定した上記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うステップとを含む。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置の種別によって無線端末装置における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、移動動作の実行判断に関わる当該無線端末装置の設定を適切に行うことができる。
これにより、無線端末装置は、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
(13)また、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、ハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置における通信制御方法であって、自己の無線端末装置の上記ハンドオーバ動作の実行回数をカウントするステップと、カウントした上記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、推定した上記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、TTTの値を設定するステップと、上記無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定結果が上記TTTで示される時間継続して所定条件を満たす場合に、上記測定結果を示すメジャメントレポートを上記サービング基地局へ送信するステップとを含む。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置の種別によって無線端末装置における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、ハンドオーバ動作の実行判断に関わる当該無線端末装置の設定を適切に行うことができる。
そして、3GPPで規定された無線端末装置において、当該無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、TTTの調整を適切に行うことにより、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することが可能となる。
これにより、無線端末装置は、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切なハンドオーバ動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
(14)また、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、通信制御装置における通信制御方法であって、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、上記周辺基地局リストを作成するステップと、作成した上記周辺基地局リストを他の装置に通知するステップとを含む。
このように、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、たとえば無線端末装置へ通知することにより、当該無線端末装置においては、当該周辺基地局リストに基づいて、周辺基地局の種別を認識することができる。
これにより、無線端末装置は、自己の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生等が抑制され、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、たとえば通信制御装置が、不適切な移動動作を含む複数の移動動作を管理する場合、不適切な移動動作の発生状況を考慮した上で、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを作成することができる。
(15)また、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行回数をカウントするステップと、カウントした上記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、推定した上記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の上記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うステップとを実行させる。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置の種別によって無線端末装置における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、移動動作の実行判断に関わる当該無線端末装置の設定を適切に行うことができる。
これにより、無線端末装置は、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
(16)また、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、通信制御装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、上記周辺基地局リストを作成するステップと、作成した上記周辺基地局リストを他の装置に通知するステップとを実行させる。
このように、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、たとえば無線端末装置へ通知することにより、当該無線端末装置においては、当該周辺基地局リストに基づいて、周辺基地局の種別を認識することができる。
これにより、無線端末装置は、自己の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生等が抑制され、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、たとえば通信制御装置が、不適切な移動動作を含む複数の移動動作を管理する場合、不適切な移動動作の発生状況を考慮した上で、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを作成することができる。
本発明によれば、無線端末装置の移動動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて移動動作が行われる状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるセル再選択動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA1を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA2を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA3を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA4を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA5を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ヒステリシスHSの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、オフセットOSTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、各位置の無線信号の受信電力の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作のタイミングを制御するためのパラメータの他の例を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が移動状態の検出処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、アイドル状態の無線端末装置が移動状態の検出処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置がハンドオーバ動作のタイミング調整を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、アイドル状態の無線端末装置がセル再選択動作のタイミング調整を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、複数の無線基地局装置が形成する各セル間を無線端末装置が移動する際の移動経路の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、移動する無線端末装置における無線信号の受信電力の時間変化の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線端末装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線端末装置における制御部の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、周辺セル情報の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、基地局種別リストおよびスモールセルリストの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の移動経路の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、周辺基地局リストの更新処理および周辺基地局リストの無線端末装置への送信処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が周辺基地局リストの更新処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が基地局種別リストの更新処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が、無線基地局装置の種別を無線端末装置へ通知する際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置がハンドオーバ動作を行う際におけるパラメータの更新処理の一例を示すシーケンス図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が自己の移動状態および周辺基地局の種別に応じた設定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、移動状態に応じて選択されるスケール因子の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が、移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてTTTを調整する際の動作手順を定めたフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が、移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてTTTを調整する際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、セル再選択(Cell Reselection)を意味する。
ハンドオーバとは、ある無線基地局装置との通信接続が確立した状態(以下、接続確立状態と称する)にある無線端末装置の通信接続先が他の無線基地局装置へ切り替えられることを意味する。
セル再選択とは、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味すし、たとえば3GPP TS 36.304に記載の内容が当てはまる。
ハンドオーバ動作は、無線端末装置の通信接続先の無線基地局装置主導で行なわれる。一方、セル再選択は、無線端末装置主導で行なわれ、通常、無線基地局装置が無線端末装置に対して特に指示を与えることなく実行される。
無線端末装置の「アイドル状態」とは、ある無線基地局装置を無線端末装置が通信相手として選択しており、かつ当該無線基地局装置と通信を行っていない状態である。また、「通信を行っていない状態」とは、当該無線基地局装置へ何らかの情報を送信する動作を行っていない状態である。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
具体的には、たとえば、無線端末装置が新たなセルすなわち無線基地局装置へ移動したことを当該無線基地局装置の上位装置が登録した状態を意味する。
また、「在圏」は、無線端末装置の属するトラッキングエリアの更新を上位装置が登録した状態を含むものとする。
すなわち、無線端末装置は、新たなセルへ移動した場合、この移動によって自己の存在するトラッキングエリアすなわちページング処理の対象エリアが変わった場合には、トラッキングエリア更新処理を実行する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、無線通信システム401は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。図1では、3つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。無線通信システム401は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW(Serving Gateway)161と、MME(Mobility Management Entity)162と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを含む。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A、無線基地局装置101Bまたは無線基地局装置101Cと、S−GW161と、P−GW163とを介してIP網302におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
より詳細には、無線基地局装置101A,101B,101Cは、無線信号を無線端末装置202と送受信することにより、無線端末装置202との通信を行なう。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム401における無線基地局装置101A,101B,101C、および無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101B,101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101Cは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて移動動作が行なわれる状況の一例を示す図である。
図2を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここで、無線端末装置202からコアネットワーク301への方向を上り方向と称し、コアネットワーク301から無線端末装置202への方向を下り方向と称する。
[セル再選択動作の一例]
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置および無線端末装置は、以下の各シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
以下、無線端末装置202の移動元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、移動先の無線基地局装置をターゲット基地局とも称する。また、以下では、無線基地局装置101Aがサービング基地局であり、無線基地局装置101Bがターゲット基地局である場合について説明する。
本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、セル再選択の実行判断に電力測定処理(Measurement)を利用する。この電力測定処理は、たとえば3GPPでは、レイヤ3スタックのRRC(Radio Resource Control)に対応する。
ここで、3GPP TS36.133 4.2.2.1章では、セル再選択のためのサービングセルの測定周期について、以下のように記載されている。すなわち、無線端末装置202は、少なくともDRX(Discontinuous Reception)サイクルごとに、サービングセルのRSRP(Reference Signal Received Power)レベルを測定し、TS36.304で定義されるS値(Cell Selection Criterion S)とRSRPレベルとを比較する。
無線端末装置202は、サービングセルの測定結果を、少なくとも2回の測定でフィルタリングする。このフィルタリングは、平均化であると考えられる。
フィルタリング対象となる上記測定の組のうち、少なくとも2回の測定は、少なくともDRXサイクルの1/2の間隔を空けて実行しなければならない。これは、測定間隔をDRXサイクルの1/2以上にしなければならないことを意味する、と考えられる。
ここで、3GPP TS36.133 4.2.2.1章の表4.2.2.1−1では、DRXサイクル長[秒]とDRXサイクル数Nservとの対応関係が示されている。具体的には、DRXサイクル長が0.32秒、0.64秒、1.28秒および2.56秒のとき、DRXサイクル数Nservがそれぞれ4,4,2,2である。
無線端末装置202は、Nserv回の連続したDRXサイクルにおいて、サービングセルがS値を満たしていない場合には、自己の測定(Measurement)機能が何らかの規制により制限されていない限り、サービング基地局から指定されたすべての周辺セルの測定を開始する。すなわち、無線端末装置202は、一定期間経過すれば、S値が条件を満たしていなくても周辺セルの測定を開始する。
このような3GPP TS36.133の記載から、サービングセルの測定周期として最短でも0.16秒(160ms)が必要となり、上記のようなS値の判定には少なくとも2回の測定が必要となる。このため、周辺セルの測定開始判断には、実質0.32秒(320ms)以上の間隔が必要になる。
また、S値が条件を満たしていない状態で周辺セルの測定を開始する場合、周辺セルの測定開始判断には0.32秒×4回=1.28秒の間隔が必要になる。
3GPP TS36.133 4.2.2.1章では、RSRPについてのみ記載されているが、RSRQ(Reference Signal Receive Quality)についてもRRCに従って測定されることから、RSRPと同様であると考えられる。
図3は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるセル再選択動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図2に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信相手として選択してから、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
再び図3を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aを新たに通信相手として選択することを決定すると、無線基地局装置101Aから送信される報知情報を受信し(ステップS1)、受信した報知情報の内容を保存する(ステップS2)。この報知情報に、周辺セル情報、およびセル再選択を行なうための情報が含まれる。
次に、無線端末装置202は、コアネットワーク301におけるMME162等に対して新たなセルCAへ移動したことを通知するため、端末登録処理であるアタッチ処理(Attach Procedure)を実行する(ステップS3)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局である無線基地局装置101Aから送信される無線信号の受信電力の測定を開始する。すなわち、無線端末装置202は、サービングセルの受信電力の測定を行なう。たとえば、無線端末装置202は、当該無線信号に含まれるパイロット信号を用いて受信電力を測定する。この測定周期は、たとえば0.16秒である(ステップS4)。
次に、無線端末装置202は、サービングセルの評価値であるS値を算出し、S値判定を行なう(ステップS5)。
無線端末装置202は、サービングセルのS値が所定条件を満たす場合には(ステップS5でYES)、報知情報の示す周波数において、報知情報の示す周辺基地局から送信される無線信号の受信電力の測定を開始する。ここで、周辺基地局は、サービング基地局以外の他の無線基地局装置101を示す。すなわち、無線端末装置202は、サービングセルに加えて、周辺セルの受信電力の測定を行なう。たとえば、無線端末装置202は、当該無線信号に含まれるパイロット信号を用いて受信電力を測定する(ステップS6)。
次に、無線端末装置202は、周辺セルの評価値であるS値を算出し、S値判定を行なう(ステップS7)。
無線端末装置202は、周辺セルのS値が所定条件を満たす場合には(ステップS7でYES)、サービングセルおよび周辺セルの測定結果を用いて、サービングセルおよび周辺セルをたとえば受信電力品質の良い順に順位付けする(ステップS8)。
次に、無線端末装置202は、順位付けの結果、最上位のセルがサービングセルでは無かった場合には(ステップS9でYES)、当該最上位セルへのセル再選択を行なう。すなわち、無線端末装置202は、最上位の周辺セルに対応する無線基地局装置、たとえば無線基地局装置101Bを新たに通信相手として選択することを決定する。そして、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bからの報知情報を受信し(ステップS10)、受信した報知情報の内容を保存する(ステップS11)。
次に、無線端末装置202は、コアネットワークにおけるMME等に対して新たなセルCBへ移動したことを通知するため、端末登録処理であるアタッチ処理を実行する(ステップS12)。
[ハンドオーバ動作の一例]
図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図2に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
以下、無線端末装置202と通信中の無線基地局装置またはハンドオーバ元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、ハンドオーバ先の無線基地局装置をターゲット基地局とも称する。また、以下では、無線基地局装置101Aがサービング基地局であり、無線基地局装置101Bがターゲット基地局である場合について説明する。
再び図4を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS31)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求(Measurement Configuration)を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS32)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理(Measurement)を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS33)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS34)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS35)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS36)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS37)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS38)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS39)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS40)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS41)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS42)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS43)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS44)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS45)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS46)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS47)。
[不適切なハンドオーバ動作の例]
図5は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図6は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Late HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、ハンドオーバが始まる前、あるいはハンドオーバ処理の最中に、ハンドオーバ元の無線基地局装置について無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)が発生し、かつハンドオーバ元の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Late HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、無線端末装置202が無線基地局装置101AについてRLFを起こした後に無線基地局装置101Bに対して無線リンクを再確立した場合、無線基地局装置101Bが無線基地局装置101Aに対してRLF通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは”Too Late HO”を検出する。
ここでは、図5に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である場合を想定する。
図5および図6を参照して、まず、無線端末装置202は、各無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS51)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS52)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS53)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS54)。
ここで、ネットワーク側のハンドオーバの準備中、すなわち無線基地局装置101Aおよび101Bが上記のようなハンドオーバのためのメッセージの送受信を行っている間に、無線端末装置202が、セルCAの圏外、かつセルCBの圏内に移動する(ステップS55)。
この無線端末装置202の移動により、無線基地局装置101Aから送信されるハンドオーバを指示するためのRRCコネクション再構成指示(ステップS56)が無線端末装置202に届かなくなり、RLFが発生してしまう(ステップS57)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Bに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS58)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再確立要求を受信して、RRCコネクション再確立応答を無線端末装置202へ送信する(ステップS59)。これにより、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立される。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再確立完了通知(RRC Connection Reestablishment Complete)を送信する(ステップS60)。
このRRCコネクション再確立完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション再確立完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Bは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Bは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS61)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS62)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI(Physical Cell ID)、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGI(E- UTRAN Cell Global Identifier)ならびに自己の無線端末装置202のC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)等を含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101AのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101BのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Aが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101AにおいてRLFが発生したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS63)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから受信したRLF通知のPCI、ECGIおよびC−RNTIを参照することにより、セルCBへの”Too Late HO”が発生したことを認識する(ステップS64)。
次に、無線基地局装置101Aは、セルCBへの”Too Late HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS65)。
図7および図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図7および図8を参照して、無線基地局装置101Bの形成するセルCBは、無線基地局装置101Bの設置エリアを含むセルCB1と、セルCA内に形成された、無線基地局装置101Bの設置エリアを含まないセルCB2とで構成される。
図9は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Early HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置に対する接続を成功した後、RLFが短時間で発生し、かつ、ハンドオーバ元の無線基地局装置に対して、当該無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Early HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101Aから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報開放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”Too Early HO”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”Too Early HO”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図7に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCB2内へ移動した場合(ステップS70)を想定する。
図7〜図9を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101A(Source eNB, Serving eNB)へ送信する(ステップS71)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS72)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS73)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS74)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS75)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS76)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS77)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS78)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS79)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線端末装置202Bへのハンドオーバが完了する(ステップS80)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外かつセルCAの圏内に移動する(ステップS81)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS83)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Aに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS84)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放済みであり、保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS85)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS86)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Aから受信すると、無線基地局装置101Aと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS87)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS88)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS89)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101AからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS90)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS91)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS92)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS93)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101A間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101AへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS94)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Aは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS95)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS96)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101AのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCAへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS97)。
次に、無線基地局装置101Aは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS98)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCAへの”Too Late HO”ではなく、セルCBへの”Too Early HO”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCAへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”Too Early HO”であると判断すると(ステップS99)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS100)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”Too Early HO”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”Too Early HO”が発生したことを認識し(ステップS101)、”Too Early HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS102)。
図10は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”HO to Wrong Cell”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置との接続に成功した後、短時間でRLFが発生し、かつハンドオーバ元およびハンドオーバ先の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する、無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”HO to Wrong Cell”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101Cから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報開放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”HO to Wrong Cell”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”HO to Wrong Cell”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図10に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、仮想セルCBVおよびセルCAの重複領域へ移動した場合(ステップS110)を想定する。仮想セルCBVは、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバを促進するために、パラメータであるオフセットOSTに従ってセルCBから拡大された仮想的なセルである。この場合、オフセットOSTは、無線基地局装置101Aの保持するパラメータである。
図10および図11を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS111)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS112)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS113)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS114)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS115)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS116)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS117)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS118)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS119)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線端末装置202Bへのハンドオーバが完了する(ステップS120)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外、かつ仮想セルCBVおよびセルCCの圏内に移動する(ステップS121)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101C(Other eNB)から送信される無線信号の干渉が大きく、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS123)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行なう。この場合、無線基地局装置101Cからの無線信号の受信電力が最大となることから、無線端末装置202は、探索した無線基地局装置101Cに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS124)。
次に、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS125)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS126)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Cから受信して、無線基地局装置101Cと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS127)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS128)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS129)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101CからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS130)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS131)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS132)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS133)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101C間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101CへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS134)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Cは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS135)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS136)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101CのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCCへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS137)。
次に、無線基地局装置101Cは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS138)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCCへの”Too Late HO”ではないと判断し、さらに、無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101CからRLF通知を受信したことから、セルCBへの”Too Early HO”ではなく、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCCへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断すると(ステップS139)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS140)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”HO to Wrong Cell”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”HO to Wrong Cell”が発生したことを認識し(ステップS141)、”HO to Wrong Cell”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS142)。
以上のような”Too Late HO”、”Too Early HO”および”HO to Wrong Cell”の他に、不適切なハンドオーバ動作として”Ping Pong HO”がある。
これは、ある無線端末装置について、2つの無線基地局装置が互いに他の無線基地局装置へのハンドオーバを判断する場合である。この”Ping Pong HO”が発生すると、無線端末装置および無線基地局装置間の接続が切断されることはないが、当該無線端末装置についてはハンドオーバ動作のための処理が繰り返され、通話およびデータ通信を行なうことができなくなり、また、上位ネットワーク側の負荷が増大してしまう。
[ハンドオーバ動作の制御パラメータ]
図12は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。
図12は、無線端末装置202が、時速30kmでピコ基地局付近を通過し、マクロ基地局付近を通過するまでの100秒間における無線端末装置202のRSSI(Received Signal Strength Indication)を示している。
図12において、グラフG1およびG3は、マクロ基地局から送信される無線信号のRSSIを示し、グラフG2およびG4は、ピコ基地局から送信される無線信号のRSSIを示している。また、グラフG1およびG2は、シャドウィング、すなわち無線端末装置202および他の物体間の相対的な位置変化に起因する、当該無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変化を考慮したシミュレーション結果であり、グラフG3およびG4は、シャドウィングを考慮しないシミュレーション結果である。
図12を参照して、無線端末装置202のピコ基地局からマクロ基地局へのハンドオーバの理想位置は、グラフの交点付近すなわち移動時間が約17秒となる位置である。しかしながら、実際には、無線端末装置202の未来の通信環境を無線通信システムにおいて把握することは困難であるため、各種測定結果等に基づいてハンドオーバ動作のタイミングを調整することにより、ハンドオーバ動作の最適化を図ることが重要である。
また、移動時間が15秒から20秒の期間では、各無線基地局装置からの無線信号の強弱が入り組んでいるため、たとえば”Too Early HO”または”Ping Pong HO”が発生しやすくなる。また、移動時間が20秒となるタイミング付近では、ピコ基地局からの無線信号の受信電力が急に小さくなり、マクロ基地局からの無線信号の受信電力が急に大きくなり、SINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)が急激に悪化するため、”Too Late HO”が発生しやすくなる。
ここで、3GPPで規定されたハンドオーバの最適化を図るMRO(Mobility Robustness Optimization)の評価関数をY=MRO(X)とすると、Yは、たとえば”Too Late HO”の発生頻度、”Too Early HO”の発生頻度、”HO to Wrong Cell”の発生頻度、”Ping Pong HO”等の不必要なハンドオーバの発生頻度、またはRRCコネクション情報を送信した直後すなわち無線端末装置202が無線基地局装置に接続された直後のハンドオーバの発生頻度である。
また、たとえば、Xは、電力測定処理(Measurement)用のパラメータであり、ヒステリシスHS:0dB〜+15dB、TTT(Time to Trigger):0ms〜5120ms、またはオフセットOST(Cell Individual Offset):−24dB〜+24dBである。あるいは、Xは、セル再選択処理用のパラメータである。
たとえば、ヒステリシスHSおよびTTTは後述するイベントごとに設定可能であり、オフセットOSTはサービング基地局の形成するサービングセル、および周辺セルごとに設定可能であり、後述するギャップMGおよびフィルタリング係数αはサービングセルごとに設定可能である。
ここでは、無線基地局装置は、無線端末装置202の上り送信負荷を軽減するために、測定結果通知(Measurement Report)を受信するとハンドオーバの判断を行なうものとする。すなわち、測定結果通知の送信タイミングとハンドオーバのタイミングとが対応するものとする。
以下、測定結果通知を送信する各種イベントと電力測定処理のパラメータとの関係について説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA1を示す図である。図13において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRすなわちサービング基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図13を参照して、イベントA1では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT1)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT1からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT2)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT2からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT3)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT3からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT4)。
ここで、無線端末装置202は、レポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移とは無関係に、たとえば周期的に電力測定処理を行なっており、直近の測定結果を測定結果通知として送信する。また、たとえば、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの各々について独立にレポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移を行なう。すなわち、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの一方について条件を満たせば、測定結果通知を送信する。
図14は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA2を示す図である。図の見方は図13と同様である。
図14を参照して、イベントA2では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも小さくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT11)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも小さい、という条件が満たされた状態でタイミングT11からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT12)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT12からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT13)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT13からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT14)。
図15は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA3を示す図である。図15において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRであり、NBCは周辺セルの受信電力またはSINRすなわち周辺基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図15を参照して、イベントA3では、サービングセルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST1が正方向に設定されており、さらに、正負の方向にヒステリシスHSが設定される。また、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST2が正方向に設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1+HS}よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT21)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1−HS}よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT21からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT22)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT22からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT23)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT23からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT24)。
図16は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA4を示す図である。図の見方は図15と同様である。
図16を参照して、イベントA4では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT31)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT31からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT32)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT32からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT33)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT33からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT34)。
図17は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA5を示す図である。図の見方は図15と同様である。
図17を参照して、イベントA5では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Th1に対して正負の方向にヒステリシスHS1が設定されており、閾値Th2に対して正負の方向にヒステリシスHS2が設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1−HS1)よりも小さくなり、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2+HS2)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT41)。
そして、無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1+HS1)よりも小さく、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2−HS2)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT41からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT42)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT42からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT43)。
以上のように、イベントA1〜A5で説明したパラメータ、すなわちヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整すれば、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングを制御することが可能である。
図18は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ヒステリシスHSの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図18は、イベントA3の場合を示す。
図18を参照して、ヒステリシスHSをゼロに設定した場合には、タイミングT51においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53において測定結果通知が送信され、タイミングT55においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、ヒステリシスHSをゼロより大きく設定した場合には、タイミングT51より後のタイミングT52においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53より後のタイミングT54において測定結果通知が送信され、タイミングT55より後のタイミングT56においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、ヒステリシスHSを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図19は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図19は、イベントA3の場合を示す。
図19を参照して、TTTを小さく設定した場合には、タイミングT62において測定結果通知が送信される。
これに対して、TTTを大きく設定した場合には、タイミングT61より後のタイミングT63において測定結果通知が送信される。
すなわち、TTTを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図20は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、オフセットOSTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図20は、イベントA3の場合を示す。
図20を参照して、オフセットOSTをゼロに設定した場合には、タイミングT71においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73において測定結果通知が送信され、タイミングT76においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、オフセットOSTをゼロより小さく設定した場合には、タイミングT71より後のタイミングT72においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73より後のタイミングT74において測定結果通知が送信され、タイミングT76より前のタイミングT75においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、オフセットOSTを小さくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
以上のように、ヒステリシスHSを大きくするか、TTTを大きくするか、あるいはオフセットOSTを小さくすることにより、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。すなわち、無線端末装置202がサービング基地局に接続される時間が長くなることから、”Too Early HO”、”HO to Wrong Cell”および”Ping Pong HO”の発生頻度が減り、”Too Late HO”の発生頻度が増えることになる。
ここで、ヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整する効果の違いについて考察する。
いずれのパラメータを調整しても、ハンドオーバのタイミングを調整することができるが、これらの効果は、干渉を含む地形、および無線端末装置の移動速度等によって異なる。
ヒステリシスHSおよびオフセットOSTを調整することは、セルを仮想的に大きくしたり小さくしたりして、ハンドオーバの行なわれる位置を調整することに相当する。たとえば、サービングセルのヒステリシスHSを大きくすることにより、無線信号の受信電力を大きく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。また、周辺セルのオフセットOSTを負の値に設定することにより、周辺セルからの無線信号の受信電力を小さく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。
また、ヒステリシスHSおよびオフセットOSTは、無線端末装置の移動速度による影響を受けにくいパラメータである。
図21は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、各位置の無線信号の受信電力の一例を示す図である。
図21を参照して、受信電力が極大値となる位置P1,P3,P5では、ヒステリシスHSを調整することにより、ハンドオーバ動作のタイミングを調整することが好ましい。また、受信電力が極小値となる位置P2,P4,P6では、オフセットOSTを調整することにより、ハンドオーバ動作のタイミングを調整することが好ましい。
一方、TTTは、ハンドオーバ動作のタイミングを時間領域で遅らせることが可能なパラメータである。TTTを調整する場合には、ハンドオーバ動作のタイミングが電波環境および地形に依存しない代わりに、ハンドオーバの行なわれる位置が無線端末装置202の移動速度によって大きく変わることになる。たとえば、TTTを大きく設定しすぎると、高速で移動する無線端末装置では、周囲の電波環境の変化が大きいため、ハンドオーバの失敗が生じやすくなる。
図22は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作のタイミングを制御するためのパラメータの他の例を説明するための図である。
図22を参照して、無線端末装置202は、たとえばギャップMGの時間間隔で、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する。
ギャップMGを大きくする場合には、より過去の受信電力がハンドオーバの判断に用いられることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。一方、ギャップMGを小さくする場合には、より最近の受信電力がハンドオーバの判断に用いられることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなる。
ギャップMGを小さくすることにより、より最近の受信電力に基づいた適切なハンドオーバを行なうことが可能となる。一方、ギャップMGを大きくすることにより、無線端末装置202の処理負荷を低減することができる。
また、無線端末装置202は、たとえば、時刻(t−1)において測定した受信電力M(t−1)、時刻(t−1)より後の時刻tにおいて測定した受信電力M(t)およびフィルタリング係数αから、以下の式で表される受信電力MR(t)を算出する。
MR(t)=α×M(t−1)+(1−α)×M(t)
無線端末装置202は、受信電力MR(t)を示す測定結果通知を無線基地局装置へ送信する。
フィルタリング係数αを大きくする場合には、より過去の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。一方、フィルタリング係数αを小さくする場合には、より最近の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなる。
ここで、無線基地局装置から無線端末装置202へ送信される測定開始要求(Measurement Configuration)およびRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)には、たとえば、周辺セルごとにオフセットOSTが設定され、イベントA1〜A5のうちの少なくとも1つが設定され、設定イベントに対応するヒステリシスHSおよびTTTが設定される。また、測定開始要求には、サービングセルごとにギャップMGおよびフィルタリング係数αが設定される。
[接続確立状態における無線端末装置の移動状態の検出処理]
図23は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が移動状態の検出処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、たとえば無線基地局装置101へのハンドオーバ動作を行った後、当該ハンドオーバ動作において無線基地局装置101から受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる移動状態パラメータ(MobilityStateParameters)に基づいて、自己の移動状態の推定処理を行うことが可能である。
そして、無線端末装置202は、自己の移動状態の推定処理の結果に基づいて、自己の移動状態を通常移動状態(Normal-mobility State)、高速移動状態(High-mobility State)または中速移動状態(Medium-mobility State)に設定する。
図23を参照して、まず、無線端末装置202は、ハンドオーバ動作の実行回数をカウントする期間を計測するためにタイマを用いる。無線端末装置202は、タイマの計測時間を移動状態パラメータにおけるt-Evaluationに設定し、当該タイマを始動させる(ステップS202)。
次に、無線端末装置202は、タイマを始動させてからタイマが満了するまでの間、ハンドオーバ動作の実行回数をカウントする(ステップS204)。
次に、無線端末装置202は、カウントしたハンドオーバ動作の実行回数が移動状態パラメータに含まれるn-CellChangeHigh以上となる場合(ステップS206でYES)、自己の移動状態を高速移動状態に設定する(ステップS208)。
一方、無線端末装置202は、カウントしたハンドオーバ動作の実行回数が上記n-CellChangeHigh未満であり(ステップS206でNO)、かつ移動状態パラメータに含まれるn-CellChangeMedium以上となる場合(ステップS210でYES)、自己の移動状態を中速移動状態に設定する(ステップS212)。
一方、無線端末装置202は、カウントしたハンドオーバ動作の実行回数が上記n-CellChangeMedium未満となる場合(ステップS210でNO)、タイマが満了しているか否かを確認する(ステップS214)。
無線端末装置202は、タイマが満了していない場合、すなわちタイマを始動させてからt-Evaluationに相当する時間が経過していない場合(ステップS214でNO)、引き続きハンドオーバ動作の実行回数をカウントする(ステップS204)。
一方、無線端末装置202は、タイマが満了していた場合、すなわちタイマを始動させてからt-Evaluationに相当する時間が経過した場合(ステップS214でYES)、自己の移動状態を通常移動状態に設定する(ステップS216)。
以上の動作により、無線端末装置202が、接続確立状態において、たとえばt-Evaluationにより示される所定時間内におけるハンドオーバ動作の実行回数に基づいて、自己の移動状態を推定する。
[アイドル状態における無線端末装置の移動状態の検出処理]
図24は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、アイドル状態の無線端末装置が移動状態の検出処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、たとえば無線基地局装置101から受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる移動状態パラメータに基づいて、自己の移動状態の推定処理を行うことが可能である。
そして、無線端末装置202は、自己の移動状態の推定処理の結果に基づいて、自己の移動状態を通常移動状態(Normal-mobility State)、高速移動状態(High-mobility State)または中速移動状態(Medium-mobility State)に設定する。
図24を参照して、まず、無線端末装置202は、セル再選択動作の実行回数をカウントする期間を測定するためにタイマを用いる。無線端末装置202は、タイマの計測時間を移動状態パラメータにおけるt-Evaluationに設定し、当該タイマを始動させる(ステップS242)。
次に、無線端末装置202は、タイマを始動させてからタイマが満了するまでの間、セル再選択動作の実行回数をカウントする(ステップS244)。
次に、無線端末装置202は、カウントしたセル再選択動作の実行回数が移動状態パラメータに含まれるn-CellChangeHigh以上となる場合(ステップS246でYES)、自己の移動状態を高速移動状態に設定する(ステップS248)。
一方、無線端末装置202は、カウントしたセル再選択動作の実行回数が上記n-CellChangeHigh未満であり(ステップS246でNO)、かつ移動状態パラメータに含まれるn-CellChangeMedium以上となる場合(ステップS250でYES)、自己の移動状態を中速移動状態に設定する(ステップS252)。
一方、無線端末装置202は、カウントしたセル再選択動作の実行回数が上記n-CellChangeMedium未満となる場合(ステップS250でNO)、タイマが満了しているか否かを確認する(ステップS254)。
無線端末装置202は、タイマが満了していない場合、すなわちタイマを始動させてからt-Evaluationに相当する時間が経過していない場合(ステップS254でNO)、引き続きセル再選択動作の実行回数をカウントする(ステップS244)。
一方、無線端末装置202は、タイマが満了していた場合、すなわちタイマを始動させてからt-Evaluationに相当する時間が経過した場合(ステップS254でYES)、自己の移動状態を通常移動状態に設定する(ステップS256)。
以上の動作により、無線端末装置202は、アイドル状態において、たとえばt-Evaluationにより示される所定時間内におけるセル再選択動作の実行回数に基づいて、自己の移動状態を推定する。
[検出した移動状態に応じたハンドオーバ動作のタイミング調整]
図25は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置がハンドオーバ動作のタイミング調整を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、接続確立状態において、推定した自己の移動状態に基づいて、ハンドオーバ動作のタイミング調整を行うことが可能である。
図25に示す動作は、たとえば無線基地局装置101によって無線端末装置202にイベントA3が設定された状態において、当該無線端末装置202がイベントA3におけるレポートオン状態へ遷移したときに起動される。
図25を参照して、まず、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS282でYES)、自己が保持するTTTにスケール因子であるsf-Highを乗ずる(ステップS284)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS282でNO)、中速移動状態である場合(ステップS286でYES)、自己が保持するTTTにスケール因子であるsf-Mediumを乗ずる(ステップS288)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でない場合(ステップS286でNO)、自己が保持するTTTに対して何もしない(ステップS290)。
以上の動作により、無線端末装置202は、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング調整を行う。
無線端末装置202は、レポートオン状態へ遷移した後、たとえば無線基地局装置101Bから送信される無線信号の受信電力がサービング基地局である無線基地局装置101Aから送信される無線信号の受信電力より大きい状態がTTTに相当する時間継続すると、測定した受信電力を示す測定結果通知をサービング基地局へ送信する。
また、無線端末装置202は、上記ステップS284において、自己が保持するTTTにスケール因子であるsf-Highを乗ずる。sf-Highは、たとえば0.25、0.50、0.75または1.00の値をとり、無線基地局装置101から予め通知されている。たとえば、0.25、0.50または0.75の値に設定されたsf-Highを乗じたTTTは、乗じる前のTTTより小さくなる。
また、無線端末装置202は、上記ステップS288において、自己が保持するTTTにスケール因子であるsf-Mediumを乗ずる。sf-Mediumは、たとえば0.25、0.50、0.75または1.00の値をとり、無線基地局装置101から予め通知されている。たとえば、0.25、0.50または0.75の値に設定されたsf-Mediumを乗じたTTTは、乗じる前のTTTより小さくなる。
従って、たとえば高速移動状態において0.25がTTTに乗じられ、また、中速移動状態において0.50がTTTに乗じられると、高速移動状態または中速移動状態におけるTTTは、通常移動状態におけるTTTと比べて小さくなる。このため、無線端末装置202は、高速移動状態または中速移動状態にある場合、通常移動状態にある場合と比べてより早いタイミングで測定結果通知をサービング基地局へ送信する。
サービング基地局は、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、ハンドオーバすべきか否かを判断するので、無線端末装置202は、推定した自己の移動状態に基づいてTTTを小さくすることにより、ハンドオーバ動作のタイミングを早めることが可能となる。
[検出した移動状態に応じたセル再選択動作のタイミング調整]
図26は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、アイドル状態の無線端末装置がセル再選択動作のタイミング調整を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、アイドル状態において推定した自己の移動状態に基づいて、セル再選択動作のタイミング調整を行うことが可能である。
より詳細には、無線端末装置202は、サービング基地局から送信される無線信号の受信電力、および他の無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を比較する際に、サービング基地局から送信される無線信号の受信電力に、無線基地局装置101から通知されたQhystを加える。
このQhystの値が正の値である場合、無線端末装置202は、サービング基地局から送信される無線信号の受信電力を実際より大きく判断するので、他の無線基地局装置101へのセル再選択が起こりにくくなる。
一方、Qhystの値が負の値である場合、無線端末装置202は、サービング基地局から送信される無線信号の受信電力を実際より小さく判断するので、他の無線基地局装置101へのセル再選択が起こりやすくなる。
無線端末装置202は、このQhystの値を変化させることにより、セル再選択動作のタイミングを調整することが可能である。
図26に示す動作は、たとえば無線端末装置202の移動状態が高速移動状態、中速移動状態、または通常移動状態のいずれかの状態へ遷移したときに起動される。
図26を参照して、まず、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS322でYES)、パラメータq-HystSFに含まれるスケール因子であるsf-Highを、自己が保持するQhystに加算する(ステップS324)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS322でNO)、中速移動状態である場合(ステップS326でYES)、パラメータq-HystSFに含まれるスケール因子であるsf-Mediumを、自己が保持するQhystに加算する(ステップS328)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でない場合(ステップS326でNO)、自己が保持するQhystに対して何もしない(ステップS330)。
以上の動作により、無線端末装置202は、Qhystの調整によるセル再選択動作のタイミング調整を行う。
無線端末装置202は、上記ステップS324において、無線基地局装置101から通知されたQhystにスケール因子であるsf-Highを加算する。sf-Highは、たとえば−6dB、−4dB、−2dBまたは0dBの値をとり、無線基地局装置101から予め通知されている。たとえば、−6dB、−4dBまたは−2dBの値に設定されたsf-Highを加算したQhystは、加える前のQhystより小さくなる。
また、無線端末装置202は、上記ステップS328において、無線基地局装置101から通知されたQhystにスケール因子であるsf-Mediumを加算する。sf-Mediumは、たとえば−6dB、−4dB、−2dBまたは0dBの値をとり、無線基地局装置101から予め通知されている。たとえば、−6dB、−4dBまたは−2dBの値に設定された、sf-Mediumを加算したQhystは、加える前のQhystより小さくなる。
従って、たとえば高速移動状態において−6dBがQhystに加算され、また、中速移動状態において−4dBがQhystに加算されると、高速移動状態または中速移動状態におけるQhystは、通常移動状態におけるQhystと比べて小さくなる。このため、無線端末装置202は、高速移動状態または中速移動状態にある場合、通常移動状態にある場合と比べてより早いタイミングで他の無線基地局装置101へのセル再選択動作を開始することが可能となる。
[ヘテロジーニアスネットワークにおける移動動作において発生する問題点]
図27は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、複数の無線基地局装置が形成する各セル間を無線端末装置が移動する際の移動経路の一例を示す図である。
図27を参照して、無線基地局装置101A,101Bは、たとえばマクロ基地局であり、それぞれマクロセルMCA,MCBを形成する。また、無線基地局装置101Dは、たとえばピコ基地局であり、ピコセルPCDを形成する。ピコセルPCDは、マクロセルMCAに含まれる。
無線端末装置202Aが、たとえば地点Sから経路Pを経由して地点E1へ移動する。また、無線端末装置202Bが、地点Sから経路Qを経由して地点E2へ移動する場合を想定する。すなわち、無線端末装置202Aは、マクロセルからマクロセルへの移動動作を行い、無線端末装置202Bは、マクロセルからピコセルへの移動動作を行う。
なお、無線端末装置202Aおよび無線端末装置202Bは、地点Sにおいて同じ移動状態にあり、当該移動状態を変えずに地点Sから地点E1または地点E2まで同じ速度でそれぞれ移動するとする。また、無線端末装置202Aおよび無線端末装置202Bには、イベントA3が設定されているとする。
無線端末装置202Aは、マクロ基地局である無線基地局装置101Aが形成するマクロセルMCAの圏内である地点Sを出発すると、地点E1に到着する前に、マクロセルMCBの圏内へ入る(ステップS352)。
この際、無線端末装置202Aは、無線基地局装置101Bを含む複数の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力を測定しながら移動する。そして、無線端末装置202Aは、たとえば無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力が、無線基地局装置101Aにより送信される無線信号の受信電力を上回る等の所定条件を満たすと、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移する。
無線端末装置202Aは、レポートオン状態へ遷移した後、自己の移動状態に応じたスケール因子を自己が保持するTTTに対して乗ずることにより、たとえばマクロ基地局へのハンドオーバ動作を適切なタイミングで実行可能な値のTTT−Mを設定する。
そして、無線端末装置202Aは、TTT−Mに相当する時間、上記所定条件を満たし続けると、測定した受信電力を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。
次に、無線基地局装置101Aは、受信した測定結果通知に基づいて、無線端末装置202Aをハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきと判断すると、たとえば無線端末装置202Aを無線基地局装置101Bへハンドオーバさせる(ステップS354)。
これにより、たとえば領域AP1においてハンドオーバ動作が実行され、無線端末装置202Aの接続先は、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ変更される。
次に、無線端末装置202Aは、当該ハンドオーバ動作の完了後、マクロセルMCAの圏内を脱し、地点E1へ到着する(ステップS356)。
一方、無線端末装置202Bは、マクロ基地局である無線基地局装置101Aが形成するマクロセルMCAの圏内である地点Sを出発すると、まず、ピコ基地局である無線基地局装置301Dが形成するピコセルPCDの圏内へ進入する(ステップS358)。
この際、無線端末装置202Bは、無線基地局装置101Dを含む複数の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力を測定しながら移動する。そして、無線端末装置202Bは、たとえば無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の受信電力が無線基地局装置101Aにより送信される無線信号の受信電力を上回る等の所定条件を満たすと、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移する。
無線端末装置202Bは、レポートオン状態へ遷移した後、自己の移動状態に応じたスケール因子を自己が保持するTTTに対して乗ずることにより、たとえばマクロ基地局へのハンドオーバ動作を適切なタイミングで実行可能な値のTTT−Mを設定する。
そして、無線端末装置202Bにおいて、たとえば後述する理由により、無線端末装置202Bおよび無線基地局装置101A間の無線リンク断(RLF)、または無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の無線端末装置202Bにおける強い干渉に起因する不適切なハンドオーバが発生してしまう(ステップS360)。
すなわち、無線基地局装置101Bは、不適切なハンドオーバ動作により領域AQ1において無線基地局装置101Aとの通信接続が途切れてしまい、いずれの無線基地局装置101とも通信接続していない状態となる。
次に、無線端末装置202Bは、たとえばRRCコネクション再確立要求を無線基地局装置101Dへ送信することにより無線基地局装置101Dとの通線接続を確立し(ステップS362)、地点E2へ到着する(ステップS364)。
図28は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、移動する無線端末装置における無線信号の受信電力の時間変化の一例を示す図である。
図28の(A)は、無線端末装置202Aが、地点Sから経路Pを経由して地点E1へ移動する際における、無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の、無線端末装置202Aにおける受信電力の時間変化を示す。
また、図28の(B)は、無線端末装置202Bが、地点Sから経路Qを経由して地点E2へ移動する際における、無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の、無線端末装置202Bにおける受信電力の時間変化を示す。
図28の(A)を参照して、無線端末装置202Aは、たとえば時刻TA1において、無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力が無線基地局装置101Aにより送信される無線信号の受信電力を上回り、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移する。
次に、無線端末装置202Aは、時刻TA1からTTT−Mに相当する時間が経過した時刻TA2において、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。
次に、無線基地局装置101Aは、受信した測定結果通知に基づいて、たとえば時刻TA3において無線端末装置202Aを自己から無線基地局装置101Bへハンドオーバさせる(ステップS354)。
なお、無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101Bは、マクロ基地局であるため、上記マクロ基地局により送信される無線信号の無線端末装置202Aにおける受信電力の時間変化は小さい。また、無線端末装置202Aは、同じ速度で移動すると想定しているので、上記マクロ基地局により送信される無線信号の無線端末装置202Aにおける受信電力の、当該無線端末装置202Aの位置に対する変化が小さいと言い換えてもよい。
一方、図28の(B)を参照して、無線端末装置202Bは、たとえば時刻TB1において、無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の受信電力が無線基地局装置101Aにより送信される無線信号の受信電力を上回り、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移する。
次に、無線端末装置202Bは、時刻TB1からTTT−Mに相当する時間が経過する前に、たとえば時刻TB2において無線基地局装置101AとのRLFが発生してしまう(ステップS360)。
無線基地局装置101Dは、小型基地局であるため、無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の無線端末装置202Bにおける受信電力の時間変化は大きい。また、無線端末装置202Bは、同じ速度で移動すると想定しているので、小型基地局により送信される無線信号の無線端末装置202Bにおける受信電力の、当該無線端末装置202Bの位置に対する変化が大きいと言い換えてもよい。
すなわち、無線端末装置202Bが測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する予定時刻である時刻TB3までに、無線端末装置202Bにおいて、小型基地局である無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の受信電力が、マクロ基地局である無線基地局装置101Aにより送信される無線信号の受信電力を大きく上回ってしまう。
このため、無線端末装置202Bにおいて、無線基地局装置101Dにより送信される無線信号が大きく干渉し、無線端末装置202Bおよび無線基地局装置101Aの通信接続が切断されてしまう。
また、たとえば、上記RLFの発生が回避され、無線端末装置202Bが、時刻TB3において測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信しても、無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101Dにより送信される無線信号の無線端末装置202Bにおける受信電力の差が大きいため、”Ping Pong HO”が発生する可能性が高い。
これは、TTT−Mは、マクロ基地局へのハンドオーバ動作を適切なタイミングで実行可能な値であるので、小型基地局へ移動する無線端末装置202Bに対してTTT−Mを設定したことが、上記不適切なハンドオーバ動作の原因である。
なお、上記の例では、無線端末装置202が通信接続状態のまま移動するハンドオーバ動作について想定したが、無線端末装置202がアイドル状態のまま選択先のセルを変更しながら移動するセル再選択動作についても、ハンドオーバ動作をセル再選択動作に置き換えることにより、同様に議論できる。
すなわち、無線端末装置202Bは、遅すぎるタイミングでセル再選択動作を行うことにより、圏外状態になってしまう場合がある。このため、無線端末装置202Bは、セルに在圏するために、無線基地局装置101からの無線信号の周波数を検索する等の処理を実行し直す必要があり、無線端末装置202Bの消費電力の増大およびユーザの使用感の悪化等、種々の問題が生じる。
しかしながら、非特許文献1に記載の技術に従って無線端末装置202の上記パラメータの設定処理を行う場合、ターゲット基地局が小型基地局であるかマクロ基地局であるかの種別を考慮せずに、移動状態のみに基づいて無線端末装置202のパラメータを設定する。
このため、無線端末装置202Aおよび無線端末装置202Bが同じ速度で移動しているにも関わらず、ターゲット基地局の種別が異なる場合、上記のように無線端末装置202Bにおいて不適切なハンドオーバ動作が発生してしまう。
そこで、本発明の実施の形態に係る無線端末装置202および無線基地局装置101では、以下の構成および動作により、無線端末装置202の移動状態を推定するだけでなく、移動先の無線基地局装置であるターゲット基地局の種別に応じてTTT等の移動動作の実行判断に関わるパラメータを適切に設定することにより、ヘテロジーニアスネットワークにおける上記問題を解決する。
[無線端末装置の構成]
図29は、本発明の実施の形態に係る無線端末装置の構成を示す図である。
図29を参照して、無線端末装置202は、アンテナ81と、サーキュレータ82と、無線受信部83と、無線送信部84と、信号処理部85と、制御部88と、入出力部89とを備える。信号処理部85は、受信信号処理部86と、送信信号処理部87とを含む。信号処理部85、制御部88、および入出力部89は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ82は、アンテナ81において受信されたマクロ基地局、ピコ基地局またはフェムト基地局である無線基地局装置101からの無線信号を無線受信部83へ出力し、また、無線送信部84から受けた無線信号をアンテナ81へ出力する。
無線受信部83は、サーキュレータ82から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部86へ出力する。
受信信号処理部86は、無線受信部83から受けたデジタル信号に対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるFFT(Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換し、制御部88へ送信する。
送信信号処理部87は、制御部88から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データ、または自ら生成した通信データに対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における拡散処理等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部84へ出力する。
無線送信部84は、送信信号処理部87から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ82へ出力する。
制御部88は、受信信号処理部86から受信したフレームフォーマットに格納されたデジタル信号を、たとえば音声データおよび映像データに変換し、必要であるならアナログ信号に変換したのち、スピーカ、マイク、ディスプレイおよびキー入力装置により構成される入出力部89へ送信する。
また、制御部88は、たとえば音声データおよびキー入力装置において受け付けた無線端末装置202を制御するための制御信号等を入出力部89から受信する。そして、制御部88は、必要に応じて受信した音声データおよび制御信号の一部を処理し、処理した音声データおよび制御信号を他の無線端末装置202へ送信するために所定のフレームフォーマットに変換する。
また、制御部88は、無線端末装置202における各ユニットとの間で各種情報をやり取りする。
図30は、本発明の実施の形態に係る無線端末装置における制御部の構成を示す図である。
図30を参照して、制御部88は、カウント部11と、移動状態推定部12と、報知情報取得部(基地局リスト取得部)13と、設定部14と、タイマ15と、受信電力測定部(受信電力報告部)16と、通知部(受信電力報告部)17とを含む。
タイマ15は、計測時間を設定して始動させると、設定した計測時間が経過するまで継続して作動する。タイマ15の作動状態を確認することにより、当該タイマ15を始動してから計測時間が経過したかどうかを知ることができる。
カウント部11は、自己の無線端末装置202の移動動作の実行回数をカウントする。具体的には、カウント部11は、たとえば自己の無線端末装置202が接続確立状態にある場合、通信接続先の無線基地局装置101からRRCコネクション再構成指示を受信する回数をカウントする。
また、カウント部11は、たとえば自己の無線端末装置202がアイドル状態にある場合、端末登録処理であるアタッチ処理を実行する回数をカウントする。
移動状態推定部12は、カウント部11によってカウントされた移動動作の実行回数に基づいて、自己の無線端末装置202の移動状態を推定する。
具体的には、移動状態推定部12は、たとえばハンドオーバ動作において受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる移動状態パラメータのt-Evaluationをタイマ15の計測時間に設定し、当該タイマ15を始動させる。この際、移動状態推定部12は、カウント部11により計測される移動動作の実行回数をゼロにリセットする。
そして、移動状態推定部12は、タイマ15を始動させてからタイマ15が満了するまで、カウント部11により計測される移動動作の実行回数を監視する。
たとえば、無線端末装置202の移動速度が大きい場合、当該無線端末装置202の移動動作の実行回数が多くなるので、移動状態推定部12は、上記実行回数の大きい順に、自己の移動状態をたとえば高速移動状態、中速移動状態または通常移動状態のいずれかのレベルに設定する。
報知情報取得部13は、無線基地局装置101の種別に関する情報を含む報知情報を取得し、取得した報知情報を設定部14へ出力する。具体的には、報知情報取得部13は、無線基地局装置101が保持する周辺基地局リストを、たとえば自己の無線端末装置202が通信相手として選択している無線基地局装置101であるサービング基地局が送信する報知情報から取得する。
また、報知情報取得部13は、当該周辺基地局リストを、たとえばサービング基地局以外の他の無線基地局装置101が送信する報知情報から取得してもよい。
図31は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、周辺セル情報の一例を示す図である。
図32は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、基地局種別リストおよびスモールセルリストの一例を示す図である。
周辺基地局リストは、少なくとも無線基地局装置101の種別に関する情報を含んでおり、具体的には、たとえば周辺セル情報、基地局種別リストおよびスモールセルリストである。
図31を参照して、周辺セル情報には、たとえば同一周波数帯周辺セル情報(IntraFreqNeighCellInfo)において、周辺基地局のID(physCellID)により示される無線基地局装置101が、ピコ基地局またはフェムト基地局等の小型基地局であるか否かを示す種別(smallCell)が含まれる。当該周辺セル情報は、たとえば報知情報におけるSIB4(SystemInformationBlockType4)に含まれる。
また、図32を参照して、図32の(A)に示す基地局種別リスト41は、たとえば、無線基地局装置101の「ID」と、当該無線基地局装置101の「種別」との対応関係を示す。また、図32の(B)に示すスモールセルリスト42は、小型基地局のIDである「小型基地局ID」を含む。
また、報知情報取得部13は、以下に示す報知情報を取得し、取得した報知情報を設定部14へ出力してもよい。すなわち、報知情報取得部13は、報知情報に含まれるSIB1(SystemInformationBlockType1)における、スケジューリング情報を参照し、小型基地局名であるhnb-Name(home eNB Name)を含むSIB9(SystemInformationBlockType9)を報知情報から取得する。
また、報知情報取得部13は、報知情報に含まれるRRC情報(Radio Resource Control Information Elements)における、参照信号電力(referenceSignalPower)を含むPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)-Configを取得する。
設定部14は、移動状態推定部12によって推定された移動状態、および周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置202の移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置202の設定、すなわち当該実行判断に影響する自己の無線端末装置202の設定を行う。
具体的には、設定部14は、自己の無線端末装置202がアイドル状態にある場合、以下の処理を行う。すなわち、設定部14は、たとえば報知情報取得部13により取得された周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42等を参照し、周辺基地局の種別を判断する。
また、設定部14は、報知情報取得部13から受けたSIB9における小型基地局名であるhnb-Nameを参照し、当該hnb-Nameおよび周辺基地局の名前を照合することにより、当該周辺基地局の種別を判断する。
また、設定部14は、報知情報取得部13から受けたPDSCH-Configにおける参照信号電力に基づいて、以下の処理を行なう。すなわち、マクロ基地局が形成するマクロセルの大きさは半径数百メートルから数十キロメートルであり、ピコ基地局またはフェムト基地局等の小型基地局が形成するセルの大きさは10〜200mである。これは、マクロ基地局が送信する無線信号の送信電力、および小型基地局が送信する無線信号の送信電力の大きさが大きく異なるためである。従って、設定部14は、当該参照信号電力に基づいて、周辺基地局の種別を判定することが可能となる。
そして、設定部14は、自己の無線端末装置202の移動状態のレベルおよび周辺基地局の種別に基づいて、たとえば他の無線基地局装置101へのセル再選択動作の実行判断に影響を与えるQhystに加算するスケール因子を変更する。
また、たとえば、設定部14は、自己の無線端末装置202が接続確立状態にある場合、移動状態推定部12によって推定された移動状態、および周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置202のハンドオーバ動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置202の動作に関する設定、すなわち当該実行判断に影響する自己の無線端末装置202の動作に関する設定を行う。
具体的には、設定部14は、自己の無線端末装置202の移動状態のレベルおよび周辺基地局の種別に基づいて、たとえばハンドオーバ動作のタイミングに影響を与えるTTTに乗ずるスケール因子を変更する。
また、たとえば、設定部14は、周辺基地局に所定種別の無線基地局装置101が含まれるか否かと、移動状態との組み合わせに応じて上記設定を変更する。
具体的には、設定部14は、周辺基地局に小型基地局が含まれる場合、以下の処理を行う。すなわち、設定部14は、たとえばターゲット基地局が小型基地局である場合、自己の無線端末装置202の移動状態に応じて、たとえばQhystまたはTTT等に作用させるスケール因子を、小型基地局への移動動作に適応させたスケール因子に設定する。
また、たとえば、設定部14は、移動状態のレベルに応じて上記設定を変更し、周辺基地局に所定種別の無線基地局装置101が含まれる場合に、移動状態推定部12によって推定された移動状態と比べて実行回数の大きい場合に推定される移動状態、のレベルに対応する上記設定を選択する。
具体的には、設定部14は、周辺基地局に小型基地局が含まれる場合において、たとえば小型基地局への移動動作を行う際には以下の処理を行う。
すなわち、設定部14は、たとえばQhystまたはTTT等に作用させるスケール因子を、自己の無線端末装置202の移動状態に相応の移動速度より大きい移動速度を示す移動状態に対応するスケール因子に設定する。
そして、設定部14が、選択したスケール因子をQhystまたはTTT等に作用させることにより、自己の無線端末装置202の小型基地局への移動動作を開始するタイミングを、マクロ基地局への移動動作を開始するタイミングよりも早くする。
また、設定部14は、自己の無線端末装置202の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて選択したスケール因子を乗じたTTTを、受信電力測定部16へ出力する。
受信電力測定部16は、たとえば自己の無線端末装置202と接続確立状態にある無線基地局装置101であるサービング基地局から測定開始要求を受信すると、受信した測定開始要求に含まれる周辺セル情報を参照する。
次に、受信電力測定部16は、当該周辺セル情報に基づいて、サービング基地局を含む測定対象となる無線基地局装置101の送信周波数を特定し、当該測定対象となる無線基地局装置101から送信される、当該送信周波数の無線信号の受信電力を測定する。
そして、受信電力測定部16は、たとえば自己の無線端末装置202において、イベントA3がサービング基地局により設定されている場合、以下の処理を行う。
すなわち、受信電力測定部16は、サービング基地局以外の他の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力が、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力より大きくなると、自己の無線端末装置202をレポートオン状態へ遷移させる。
この際、受信電力測定部16は、設定部14から受けたTTTをタイマ15の計測時間に設定し、当該タイマ15を始動させる。そして、受信電力測定部16は、上記他の無線基地局装置101およびサービング基地局により送信される無線信号の受信電力を監視する。
たとえば、受信電力測定部16は、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力において、オフセットOST1およびヒステリシスHSを設定してもよい。また、受信電力測定部16は、上記他の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力において、オフセットOST2を設定してもよい。
受信電力測定部16は、たとえば上記他の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力が、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力より大きい状態が、タイマ15を始動させてからタイマ15が満了するまで継続すると、以下の処理を行う。
すなわち、受信電力測定部16は、上記測定対象となる無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を示す測定結果通知、すなわちメジャメントレポートを通知部17へ出力する。
通知部17は、受信電力測定部16からメジャメントレポートを受けると、受けたメジャメントレポートを送信信号処理部87経由でサービング基地局へ送信する。当該メジャメントレポートは、サービング基地局において、メジャメントレポートを送信してきた無線端末装置202のハンドオーバを行うべきか否かについての判断に用いられる。
[無線基地局装置の構成]
図33は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図33を参照して、無線基地局装置(通信制御装置)101は、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを含む。信号処理部95および制御部98は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク301側へ送信する。
送信信号処理部97は、コアネットワーク301側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、無線基地局装置101における各ユニット、他の無線基地局装置101、およびコアネットワーク301との間で各種情報をやり取りする。
図34は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図34を参照して、制御部98は、基地局検出部(周辺基地局リスト作成部)21と、基地局種別リスト作成部(周辺基地局リスト作成部)22と、基地局種別リスト通知部(周辺基地局リスト通知部)23とを含む。
基地局検出部21は、たとえば休止状態にある周辺基地局が始動することにより、X2インタフェースを介した当該周辺基地局との通信接続の確立を検出すると、当該周辺基地局のIDを基地局種別リスト作成部22へ出力する。
基地局種別リスト作成部22は、検出された無線基地局装置101のIDを基地局検出部21から受けると、受けたIDに基づいて、たとえば無線基地局装置101の種別に関する情報を含む周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42を更新する。
具体的には、たとえば、基地局種別リスト作成部22は、検出された無線基地局装置101のIDを基地局検出部21から受けると、当該IDに基づいて、当該無線基地局装置101の種別を特定する。
そして、基地局種別リスト作成部22は、たとえば図31に示す周辺セル情報において、当該IDおよび特定した種別を、それぞれIDを示す「physCellID」および種別を示す「smallCell」へ追加することにより、当該周辺セル情報を更新する。
また、基地局種別リスト作成部22は、たとえば図32の(A)に示す基地局種別リスト41において、当該IDおよび特定した種別を、それぞれ「基地局ID」および「種別」へ追加することにより、基地局種別リスト41を更新する。
また、基地局種別リスト作成部22は、たとえば当該IDの無線基地局装置101が小型基地局である場合、図32の(B)に示すスモールセルリスト42における「基地局ID」に、当該IDを追加することにより、スモールセルリスト42を更新する。
そして、基地局種別リスト作成部22は、更新した周辺基地局リストである周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42を、基地局種別リスト通知部23へ出力する。
なお、基地局種別リスト作成部22は、更新すべき周辺基地局リストを保持していない場合、周辺基地局リストを新たに作成してもよい。また、基地局種別リスト作成部22は、たとえば他の無線基地局装置101から周辺基地局リストを取得できる場合、取得した周辺基地局リストを基地局種別リスト通知部23へ出力してもよい。
基地局種別リスト通知部23は、基地局種別リスト作成部22から周辺基地局リストを受けると、受けた周辺基地局リストの一部または全部を、他の無線基地局装置101または無線端末装置202へ送信する。
より詳細には、基地局種別リスト通知部23は、たとえば自己の無線基地局装置101がマクロ基地局または後述する管理基地局である場合、自己の無線基地局装置101が形成するセル内に位置する小型基地局、および自己の無線基地局装置101が形成するセルに隣接するセルを形成する無線基地局装置101へ、周辺基地局リストを送信する。
また、基地局種別リスト通知部23は、たとえば自己の無線基地局装置101が送信する報知情報に周辺基地局リストを含めることにより、自己の無線基地局装置101が形成するセルに在圏する無線端末装置202へ、周辺基地局リストを送信信号処理部97経由で送信する。
[周辺基地局リストの更新処理および無線基地局装置の種別の通知処理]
図35は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の移動経路の一例を示す図である。
図35を参照して、無線基地局装置101A,101Bは、たとえばマクロ基地局であり、それぞれマクロセルMCA,MCBを形成する。また、無線基地局装置101D,101Eは、たとえばピコ基地局である。
ここでは、無線基地局装置101Dは、活性状態にあり、無線信号を送信することによりピコセルPCDを形成する。ピコセルPCDは、マクロセルMCAに含まれる。
一方、無線基地局装置101Eは、休止状態にあり、無線信号を送信しない。また、無線基地局装置101Eが、たとえば活性状態に遷移した場合には、ピコセルPCEを形成する。ピコセルPCEは、マクロセルMCAに含まれ、かつピコセルPCDとは重ならない。
ピコセルPCDの隣接セルは、マクロセルMCAのみとなる。このため、無線基地局装置101Dが得ることが可能な、不適切なハンドオーバについての情報は、ピコセルPCDおよびマクロセルMCAに関連した不適切なハンドオーバに関する情報のみである。
同様に、ピコセルPCEの隣接セルは、マクロセルMCAのみとなる。このため、無線基地局装置101Eが得ることが可能な、不適切なハンドオーバについての情報は、ピコセルPCEおよびマクロセルMCAに関連した不適切なハンドオーバに関する情報のみである。
一方、マクロセルMCAの隣接セルは、ピコセルPCD、ピコセルPCEおよびマクロセルMCBである。このため、無線基地局装置101Aが得ることが可能な、不適切なハンドオーバについての情報は、ピコセルPCDおよびマクロセルMCAに関連した不適切なハンドオーバ、ピコセルPCEおよびマクロセルMCAに関連した不適切なハンドオーバ、およびマクロセルMCBおよびマクロセルMCAに関連した不適切なハンドオーバに関する情報である。
従って、マクロ基地局である無線基地局装置101Aが、少なくとも自己が形成するセル内に位置する小型基地局について管理することが好ましい。この場合における管理とは、無線基地局装置101の種別を無線基地局装置101毎に設定し、設定した種別を含めた周辺基地局リストを当該小型基地局へ通知することを意味する。
以下、他の無線基地局装置101を管理する無線基地局装置101を管理基地局と称する。また、当該無線基地局装置101によって管理される当該他の無線基地局装置101を被管理基地局と称する。
また、無線基地局装置101は、以下の基準を用いて、自己が管理基地局または被管理基地局であるべきかについて判断してもよい。すなわち、無線基地局装置101は、自己が形成するセルにおける無線基地局装置101の設置数の密度に基づいて、自己が管理基地局または被管理基地局のどちらであるかについて判断する。
具体的には、無線基地局装置101は、自己の送信電力に基づいて、自己が形成するセルの大きさを見積もり、また、周辺基地局の数に基づいて、当該セルに含まれる無線基地局装置101の数を見積もる。
これにより、無線基地局装置101は、自己が形成するセルにおける無線基地局装置101の設置数の密度を見積もることができる。
無線基地局装置101は、たとえば自己が形成するセルにおける無線基地局装置101の設置数の密度が所定のしきい値より大きい場合、管理基地局として動作すべきと判断する。また、無線基地局装置101は、たとえば自己が形成するセルにおける無線基地局装置101の設置数の密度が所定のしきい値より小さい場合、被管理基地局として動作すべきと判断する。
たとえば、図35に示す無線通信システムにおいては、無線基地局装置101Aが管理基地局となり、無線基地局装置101Dおよび無線基地局装置101Eが無線基地局装置101Aの被管理基地局となる。また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aの周辺基地局の一つである。
図36は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、周辺基地局リストの更新処理および周辺基地局リストの無線端末装置への送信処理のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図35に示すように、無線端末装置202Aが、たとえばピコセルPCD内における地点Sにおいて、無線基地局装置101Dと接続確立状態にある状況を想定する。
以下、図35および図36を適宜参照しながら、無線端末装置202A、無線基地局装置101A、無線基地局装置101D、無線基地局装置101E、および無線基地局装置101Bの動作を説明する。
まず、無線基地局装置101Eは、たとえば休止状態から活性状態へ遷移し、無線信号の送信を開始する(ステップS402)。無線基地局装置101Eは、無線信号を送信することにより、図35に示すようにピコセルPCEを形成する。
次に、無線基地局装置101Eは、たとえば自己が形成するピコセルPCEに隣接するマクロセルMCAを形成する無線基地局装置101Aと、X2インタフェースを介した通信接続を確立する(ステップS404)。
次に、管理基地局である無線基地局装置101Aは、X2インタフェースを介した無線基地局装置101Eとの通信接続の確立を検出すると、以下の処理を行う。すなわち、無線基地局装置101Aは、休止状態であった被管理基地局である無線基地局装置101Eが活性状態へ遷移したことを認識し、たとえば図32の(A)に示す基地局種別リスト41に、無線基地局装置101EのIDおよび種別を追加することにより、基地局種別リスト41を更新する(ステップS406)。管理基地局による基地局種別リスト41の更新処理の詳細については後述する。
次に、無線基地局装置101Aは、更新した基地局種別リスト41を被管理基地局である無線基地局装置101Eへ送信する(ステップS408)。
また、無線基地局装置101Aは、更新した基地局種別リスト41を被管理基地局である無線基地局装置101Dへ送信する(ステップS410)。
また、無線基地局装置101Aは、更新した基地局種別リスト41を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS412)。
次に、無線基地局装置101Dは、無線基地局装置101Aから受けた基地局種別リスト41に基づいて、たとえば図31に示す周辺セル情報に、無線基地局装置101Dの周辺基地局のIDおよび当該IDに対応する無線基地局装置101の種別を含める。次に、無線基地局装置101Dは、自己が形成するピコセルPCD内に在圏する無線端末装置202Aへ、当該周辺セル情報を含めた報知情報を送信する(ステップS414)。非管理基地局による周辺セル情報の送信処理の詳細については後述する。
次に、無線端末装置202Aは、自己と接続確立状態の無線基地局装置101Dから周辺セル情報を受信した後、ピコセルPCD内に位置する地点SからマクロセルMCA内に位置する地点Mへ向けて移動を開始する(ステップS416)。
次に、たとえば領域AD1においてハンドオーバ動作が実行され、無線端末装置202Aの接続先は、無線基地局装置101Dから無線基地局装置101Aへ変更される(ステップS418)。
次に、無線端末装置202Aは、セルMCAの圏内を移動する(ステップS420)。この際、無線端末装置202Aは、無線基地局装置101Aの周辺基地局のIDおよび当該IDに対応する無線基地局装置101の種別を含む周辺セル情報を、無線基地局装置101Aから受信する(ステップS422)。
次に、無線端末装置202Aは、マクロセルMCA内に位置する地点Mへ到着すると、ピコセルPCE内に位置する地点Eへ向けて移動を開始する(ステップS424)。
次に、たとえば領域AE1においてハンドオーバ動作が実行され、無線端末装置202Aの接続先は、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Eへ変更される(ステップS426)。
次に、無線端末装置202Aは、セルPCEの圏内を移動する(ステップS428)。この際、無線端末装置202Aは、無線基地局装置101Eの周辺基地局のIDおよび当該IDに対応する無線基地局装置101の種別を含む周辺セル情報を、無線基地局装置101Eから受信する(ステップS430)。
次に、無線端末装置202Aは、ピコセルPCE内に位置する地点Eへ到着する。以上の動作により、周辺基地局リストの更新処理および無線端末装置への周辺基地局リストの送信処理が完了する。
図37は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が周辺基地局リストの更新処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
以下は、図36に示す、周辺基地局リストの更新処理を行う管理基地局である無線基地局装置101Aの詳細な動作であり、図36におけるステップS404からS412までの動作に対応する。
図37を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、たとえば無線基地局装置101が休止状態から活性状態へ遷移することにより発生する、当該無線基地局装置101とのX2インタフェースを介した通信接続の確立を監視する(ステップS452)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線基地局装置101とのX2インタフェースを介した通信接続の確立を検出すると(ステップS452でYES)、当該無線基地局装置101が小型基地局であるか否かを判断する(ステップS454)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線基地局装置101が小型基地局でないと判断すると(ステップS454でNO)、たとえば図32の(A)に示すように、当該無線基地局装置101のIDおよび当該IDに対応する無線基地局装置101の種別であるマクロ基地局を、基地局種別リスト41に追加する(ステップS456)。
一方、無線基地局装置101Aは、当該無線基地局装置101が小型基地局であると判断すると(ステップS454でYES)、たとえば図32の(A)に示すように、当該無線基地局装置101のIDおよび当該IDに対応する無線基地局装置101の種別である小型基地局を、基地局種別リスト41に追加する(ステップS458)。
次に、無線基地局装置101Aは、たとえば周辺セル情報を参照することにより、被管理基地局を含む自己の周辺に位置する周辺基地局へ、基地局種別リスト41を送信する(ステップS460)。
なお、無線基地局装置101Aは、上記ステップS456において、当該IDに対応する無線基地局装置101の種別を、基地局種別リスト41でなくたとえば図31に示す周辺セル情報に追加してもよい。
また、無線基地局装置101Aは、上記ステップS458において、当該IDに対応する無線基地局装置101の種別を、基地局種別リスト41でなくたとえば図31に示す周辺セル情報に追加してもよいし、当該IDを図32の(B)に示すスモールセルリスト42に追加してもよい。
また、管理基地局である無線基地局装置101Aは、たとえば他の無線基地局装置101が活性状態から休止状態へ遷移する際に、当該他の無線基地局装置101に関する情報を周辺基地局リストから削除することにより、周辺基地局リストの更新処理を行ってもよい。以下に、当該処理の詳細を示す。
図38は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置がカウント方法リストの更新処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
図38を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、たとえば無線基地局装置101が活性状態から休止状態へ遷移することによる、当該無線基地局装置101とのX2インタフェースを介した通信接続の切断を監視する(ステップS482)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線基地局装置101とのX2インタフェースを介した通信接続の切断を検出すると(ステップS482でYES)、当該無線基地局装置101のIDを特定する(ステップS484)。
次に、無線基地局装置101Aは、たとえば図32の(A)に示す基地局種別リスト41を参照し、たとえば当該IDに対応する項目を特定し、特定した項目を基地局種別リスト41から削除する(ステップS486)。
次に、無線基地局装置101Aは、たとえば周辺セル情報を参照することにより、被管理基地局を含む自己の周辺に位置する周辺基地局へ、基地局種別リスト41を送信する(ステップS488)。
なお、無線基地局装置101Aは、上記ステップS486において、基地局種別リスト41における当該無線基地局装置101のIDに対応する項目でなく、たとえば図31に示す周辺セル情報において、当該IDに対応する項目を当該周辺セル情報から削除してもよいし、図32の(B)に示すスモールセルリスト42において、当該周辺セル情報から当該IDを削除してもよい。
図39は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が、無線基地局装置の種別を無線端末装置へ通知する際の動作手順を定めたフローチャートである。
以下は、一例として、図36に示す被管理基地局である無線基地局装置101Dが、無線基地局装置の種別を無線端末装置202Aへ通知する際の詳細な動作であり、図36におけるステップS410およびS414の動作に対応する。
図39を参照して、まず、無線基地局装置101Dは、たとえば管理基地局である無線基地局装置101Aから基地局種別リスト41を受信し、受信した基地局種別リスト41を保持する(ステップS532)。
次に、無線基地局装置101Dは、自己の周辺セル情報を参照し、当該周辺セル情報に含まれるセルIDを取得する(ステップS534)。
次に、無線基地局装置101Dは、保持している基地局種別リスト41を参照し、取得したセルIDに対応する種別を特定する(ステップS536)。
次に、無線基地局装置101Dは、特定した種別を、当該セルIDに対応付けて当該周辺セル情報に含める(ステップS538)。
次に、無線基地局装置101Dは、たとえば当該周辺セル情報を含めた報知情報を送信することにより、自己が形成するセルに在圏する無線端末装置202へ当該周辺セル情報を送信する(ステップS540)。
以上の動作により、無線基地局装置101Dは、当該無線端末装置202へ、無線基地局装置101の種別を送信することができる。また、これにより、当該無線端末装置202は、無線基地局装置101Dから送信された情報に基づいて、無線基地局装置101の種別を取得することができる。
なお、無線基地局装置101Dは、上記ステップS532において、管理基地局である無線基地局装置101Aから基地局種別リスト41を受信し、たとえば、上記ステップS540において、基地局種別リスト41を含めた報知情報を無線端末装置202へ送信してもよい。
一般に、管理基地局である無線基地局装置101Aの周辺基地局の数は、被管理基地局である無線基地局装置101Dの周辺基地局の数より多いので、基地局種別リスト41には、無線基地局装置101Dの周辺基地局でない無線基地局装置101の種別も含まれる。
また、報知情報は、ブロードキャストで送信されるので、無線基地局装置101Dが、基地局種別リスト41を報知情報に含める場合、無線基地局装置101Dが形成するセルに在圏する全ての無線端末装置202は、基地局種別リスト41を受信することになる。
このため、無線基地局装置101Dおよび当該無線端末装置202は、無線基地局装置101Dの周辺基地局でない無線基地局装置101の種別も送受信してしまい、処理の負担が増加してしまう。
これに対して、上記ステップS534において、無線基地局装置101Dは、自己の周辺セル情報に含まれる周辺基地局のIDを取得し、上記ステップS538において、当該IDに対応する周辺基地局の種別を当該周辺セル情報に含める。
これにより、被管理基地局である無線基地局装置101Dは、自己の周辺基地局でない無線基地局装置101の種別を送信することなく、当該無線端末装置202に対して、自己の周辺基地局の種別を通知することができる。
[ハンドオーバ動作を行う際における無線端末装置の設定動作]
図40は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置がハンドオーバ動作を行う際におけるパラメータの更新処理の一例を示すシーケンス図である。
図2に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。また、無線端末装置202には、サービング基地局である無線基地局装置101AによりイベントA3が設定されているとする。
図40を参照して、まず、たとえば無線端末装置202の通信接続先が、ハンドオーバ動作により、無線基地局装置101Aへ変更された後に、無線端末装置202は、自己の移動状態の更新を行う(ステップS572)。
次に、無線端末装置202は、たとえば図31に示す周辺セル情報をサービング基地局から受信する(ステップS574)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局から周辺セル情報を受信すると、受信した周辺セル情報に基づいて、以下の処理を行う。すなわち、無線端末装置202は、たとえばサービング基地局の周辺に位置する周辺基地局により送信される参照信号(Reference Signal)を受信し、受信した参照信号に基づいて、当該周辺基地局により送信される無線信号の受信電力を定期的に測定する(ステップS576)。
次に、無線端末装置202は、上記受信電力を測定しながらセルCAおよびセルCBの重複領域へ移動する(ステップS578)。
次に、無線端末装置202において、たとえば無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力が、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力を上回ると、以下の処理を行う。すなわち、無線端末装置202は、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移し、また、無線基地局装置101Bをターゲット基地局として検出する(ステップS580)。
次に、無線端末装置202は、たとえば周辺セル情報を参照し、検出したターゲット基地局の種別を特定する(ステップS582)。
次に、無線端末装置202は、更新した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に基づいて、TTTの設定を行う(ステップS584)。このTTTの設定の詳細については後述する。
次に、無線端末装置202は、上記レポートオン状態へ遷移してから上記TTTに相当する時間が経過するまで、たとえば無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力が、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力を継続して上回る場合、以下の処理を行う。すなわち、無線端末装置202は、周辺基地局により送信される無線信号の受信電力を示す測定結果通知をサービング基地局へ送信する(ステップS586)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行うべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行うべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS588)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS590)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS592)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS594)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS596)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS598)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS600)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線端末装置202Bへのハンドオーバが完了する(ステップS602)。
なお、無線端末装置202には、イベントA3が設定されていたが、イベントA1、イベントA2、イベントA4、およびイベントA5等の他のイベントが設定されていても構わない。また、イベントの設定は、無線基地局装置101により行われてもよいし、当該無線端末装置202により行われてもよい。
[移動状態および周辺基地局の種別に基づく無線端末装置の設定動作]
図41は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が自己の移動状態および周辺基地局の種別に応じた設定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
以下は、図40に示す無線端末装置202における、推定した移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、TTTの値を調整する際の詳細な動作を示す。
図41を参照して、無線端末装置202は、たとえばハンドオーバ動作またはセル再選択動作等の移動動作が完了した状態にあり、当該移動動作後の通信接続先の無線基地局装置101であるサービング基地局により、イベントA3が設定されている場合を想定する(ステップS642)。
次に、無線端末装置202は、当該移動動作をカウントの対象とし、移動動作の実行回数を示すカウント値CNTをインクリメントする(ステップS644)。
次に、無線端末装置202は、カウント値CNTに基づいて、自己の移動状態を推定する(ステップS646)。
次に、無線端末装置202は、周辺セル情報に基づいて、サービング基地局を含む無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS648)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局以外の他の無線基地局装置101により送信される無線信号の受信電力T1が、サービング基地局により送信される無線信号の受信電力S1より大きくなると(ステップS650でYES)、当該他の無線基地局装置101をターゲット基地局として認識し、以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、レポートオン状態へ遷移し、推定した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に応じたスケール因子を、たとえば自己が保持するTTTに対して乗ずることにより、TTTの値を調整する(ステップS652)。スケール因子の設定については後述する。
次に、無線端末装置202は、計測時間をTTTに設定したタイマを始動させる(ステップS654)。
一方、無線端末装置202は、受信電力T1が受信電力S1より小さい場合(ステップS650でNO)、無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を継続して測定する(ステップS648)。
次に、無線端末装置202は、受信電力T1が受信電力S1より大きい状態(ステップS656でYES)が、TTTに相当する時間経過するまで(ステップS658でNO)受信電力を監視し、TTTに相当する時間経過すると(ステップS658でYES)、以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を示す測定結果通知であるメジャメントレポートをサービング基地局へ送信する(ステップS660)。
一方、無線端末装置202は、受信電力T1が受信電力S1より大きい状態がTTTに相当する時間継続しない場合(ステップS656でNO)、レポートオフ状態へ遷移し、無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を継続して測定する(ステップS648)。
以上の動作により、無線端末装置202は、推定した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に基づいて、TTTの値を調整する。
無線端末装置202は、上記ステップS652において、自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に基づいて、たとえばTTTの値を調整することにより、移動動作の実行判断に関わる自己の設定を行う。
これにより、たとえば、周辺基地局により送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の、当該無線端末装置202の位置に対する変化が当該周辺基地局の種別に応じて異なる場合でも、当該無線端末装置202は、当該無線端末装置202の移動状態に関わらず、上記受信電力の変化に適切に対処することができる。
そして、無線端末装置202は、自己の移動状態および移動先の無線基地局装置の種別に応じて、たとえばハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することができるので、ヘテロジーニアスネットワークにおいてもハンドオーバ動作を適切に行うことができる。
なお、無線端末装置202は、上記ステップS644において、全ての移動動作をカウントの対象とする必要はない。無線端末装置202は、所定の移動動作のみをカウントの対象としてもよい。
無線端末装置202は、たとえば小型基地局に関連する移動動作をカウントの対象としないことにより、上記ステップS646において、より適切な移動状態を推定することができる場合がある。
無線端末装置202は、上記ステップS652において、たとえば周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42等の周辺基地局リストに基づいて、周辺基地局の種別を判断する。
また、無線端末装置202は、上記ステップS652において、たとえばSIB9に含まれる小型基地局名であるhnb-Name、またはRRC情報に含まれるPDSCH-Configの参照信号電力に基づいて、周辺基地局の種別を判断してもよい。
また、無線端末装置202は、周辺基地局リスト、SIB9およびRRC情報等の無線基地局装置101の種別に関する情報を、サービング基地局から取得してもよいし、サービング基地局以外の他の無線基地局装置101から取得してもよい。
たとえば、無線端末装置202は、以前に接続した無線基地局装置101から取得した報知情報を保存している場合、保存した報知情報から無線基地局装置101の種別に関する情報を取得してもよい。
また、無線端末装置202は、上記ステップS646において、たとえばt-Evaluationに相当する時間における移動動作の実行回数を評価し、評価した結果に応じて自己の移動状態を通常移動状態、中速移動状態または高速移動状態に設定する。
また、無線端末装置202は、上記ステップS652において、TTTの値の設定を行ったが、設定した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に応じて、たとえばアイドル状態におけるセル再選択動作を行う際において、判断基準となる受信電力に影響を与えるQhystに加算する定数の変更処理を行ってもよい。
これにより、無線端末装置202は、自己の移動状態に応じて、セル再選択動作の起こりやすさの調整を行うことができる。
また、無線端末装置202は、上記ステップS652において、自己の移動状態に応じて以下のような設定の変更を行うことにより、接続確立状態におけるハンドオーバ動作のタイミング、またはアイドル状態におけるセル再選択の起こりやすさの調整を行ってもよい。
すなわち、無線端末装置202に設定される、たとえばTTT、ヒステリシスHS、オフセットOST、ギャップMGおよびフィルタリング係数αといったパラメータについて、各設定値の変更、各パラメータに乗ずる係数の変更、または各パラメータの組み合わせの変更等が行われてもよい。また、無線端末装置202に設定されるイベントの変更が行われてもよい。上記変更は、無線基地局装置101により行われてもよいし、当該無線端末装置202により行われてもよい。
また、無線端末装置202は、ステップS646において、たとえば高速移動状態、中速移動状態および通常移動状態等の段階的に示す値により自己の移動状態を推定してもよいし、自己の移動速度自体を推定してもよい。たとえば、移動している無線端末装置202が無線基地局装置101により送信される無線信号を受信する際に発生するドップラー効果による周波数のシフト、またはGPS(Global Positioning System)と地図情報との組み合わせ等を用いることにより、無線端末装置202の移動速度を推定することができる。
[ハンドオーバ動作を行う際におけるTTTの設定]
図42は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、移動状態に応じて選択されるスケール因子の一例を示す図である。
図42を参照して、速度状態スケール因子(SpeedStateScaleFactors)には、スケール因子であるsf-Medium、sf-High、sf-SmallCell-Normal、sf-SmallCell-Mediumおよびsf-SmallCell-Highが含まれる。
なお、図42に示す、oDot25、oDot5、oDot75および1Dot0は、それぞれ0.25、0.5、0.75および1.0を意味する。また、上記スケール因子は、0.25、0.5、0.75または1.0のいずれかの値に設定される。
たとえばsf-Mediumは、マクロ基地局用かつ中速移動状態に適したスケール因子であり、以下、マクロ基地局用中速対応係数MMと称する。また、たとえばsf-Highは、マクロ基地局用かつ高速移動状態に適したスケール因子であり、以下、マクロ基地局用高速対応係数MHと称する。
たとえばsf-SmallCell-Normalは、小型基地局用かつ通常移動状態に適したスケール因子であり、以下、小型基地局用通常速対応係数SNと称する。また、たとえばsf-SmallCell-Mediumは、小型基地局用かつ中速移動状態に適したスケール因子であり、以下、小型基地局用中速対応係数SMと称する。また、たとえばsf-SmallCell-Highは、小型基地局用かつ高速移動状態に適したスケール因子であり、以下、小型基地局用高速対応係数SHと称する。
図43は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が、移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてTTTを調整する際の動作手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、TTTを調整することにより、ハンドオーバ動作のタイミング調整を行うことが可能である。
図43に示す動作は、たとえば無線基地局装置101によって無線端末装置202にイベントA3が設定された状態において、当該無線端末装置202がイベントA3におけるレポートオン状態へ遷移したときに起動される。
図43を参照して、まず、無線端末装置202は、たとえば無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力がサービング基地局により送信される無線信号の受信電力を上回ることにより、イベントA3におけるレポートオン状態へ遷移し、また、無線基地局装置101Bをターゲット基地局として検出する。
次に、無線端末装置202は、ターゲット基地局の種別が小型基地局である場合(ステップS702でYES)、自己の移動状態に応じて以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS704でYES)、小型基地局用高速対応係数SH(sf-SmallCell-High)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS706)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS704でNO)、中速移動状態である場合(ステップS708でYES)、小型基地局用中速対応係数SM(sf-SmallCell-Medium)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS710)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でなく通常移動状態である場合(ステップS708でNO)、小型基地局用通常速対応係数SN(sf-SmallCell-Normal)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS712)。
一方、無線端末装置202は、ターゲット基地局の種別が小型基地局でなくマクロ基地局である場合(ステップS702でNO)、自己の移動状態に応じて以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS714でYES)、マクロ基地局用高速対応係数MH(sf-High)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS716)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS714でNO)、中速移動状態である場合(ステップS718でYES)、マクロ基地局用中速対応係数MM(sf-Medium)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS720)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でなく通常移動状態である場合(ステップS718でNO)、TTTの設定値を変更しない(ステップS722)。
以上の動作により、無線端末装置202は、ハンドオーバ動作の実行判断に関わるTTTの設定を行う。
すなわち、無線端末装置202は、レポートオン状態へ遷移してから上記のように設定したTTTに相当する期間、たとえば無線基地局装置101Bから送信される無線信号の受信電力がサービング基地局から送信される無線信号の受信電力より大きい状態が継続すると、測定した受信電力を示す測定結果通知をサービング基地局へ送信する。
サービング基地局は、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて当該無線端末装置202をハンドオーバすべきか否かについて判断し、ハンドオーバすべきと判断すると、当該無線端末装置202をハンドオーバさせる。
従って、無線端末装置202は、推定した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてTTTを設定することにより、ハンドオーバ動作のタイミングを調整することができる。
具体的には、通常移動状態、中速移動状態および高速移動状態の順に、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングを早めることが好ましい。また、ターゲット基地局が小型基地局である場合におけるハンドオーバ動作のタイミングは、ターゲット基地局がマクロ基地局である場合におけるハンドオーバ動作のタイミングより早めることが好ましい。
たとえば、無線基地局装置101は、係数SH,SM,SNを当該順に大きくなるように設定する。また、無線基地局装置101は、係数MH,MMを当該順に大きくなるように設定する。また、無線基地局装置101は、係数SHを係数MHより小さくなるように設定し、また、係数SMを係数MMより小さくなるように設定する。
具体的には、たとえば、無線基地局装置101は、係数SH,SM,SNを、それぞれ0.25,0.50,0.75に設定する。また、無線基地局装置101は、係数MH,MMを、それぞれ0.50,0.75に設定する。
無線端末装置202は、上記ステップS706、S710、S712、S716およびS720において、上記係数を自己が保持するTTTに乗ずる。
これにより、無線端末装置202は、通常移動状態、中速移動状態および高速移動状態の順に、ハンドオーバ動作のタイミングを早くすることができる。また、無線端末装置202は、ターゲット基地局が小型基地局である場合におけるハンドオーバ動作のタイミングを、ターゲット基地局がマクロ基地局である場合におけるハンドオーバ動作のタイミングより早くすることができる。
なお、上記動作は、ハンドオーバ動作でなくセル再選択動作に対して適用してもよい。たとえば、無線基地局装置101は、無線端末装置202の移動状態およびターゲット基地局の種別に応じて、無線端末装置202における、セル再選択動作のタイミングに関わるQhyst等のパラメータを設定してもよい。
これにより、無線端末装置202は、推定した自己の移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてたとえばQhystを設定することにより、セル再選択動作のタイミングを調整することができ、不適切なセル再選択動作の発生を抑制することができる。
また、ターゲット基地局の種別のみでなく、ターゲット基地局以外の周辺基地局の種別に応じて、移動動作の実行判断に関わるたとえばTTTまたはQhyst等のパラメータの設定が行われてもよい。
また、以下のように、たとえば無線基地局装置101により送信される報知情報において、上記SH,SM,SN,MH,MMの係数を含めずに、マクロ基地局用の係数MH,MMのみを含めることにより、報知情報の送信処理および受信処理の負担を軽減することができる。
無線端末装置202は、たとえばマクロ基地局用の係数MH,MMを含む報知情報を受信することにより、以下のような動作を行う。
図44は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、接続確立状態の無線端末装置が、移動状態およびターゲット基地局の種別に応じてTTTを調整する際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、TTTを調整することにより、ハンドオーバ動作のタイミング調整を行うことが可能である。
図44に示す動作は、たとえば無線基地局装置101によって無線端末装置202にイベントA3が設定された状態において、当該無線端末装置202がイベントA3におけるレポートオン状態へ遷移したときに起動される。
図44を参照して、まず、無線端末装置202は、たとえば無線基地局装置101Bにより送信される無線信号の受信電力がサービング基地局により送信される無線信号の受信電力を上回ることにより、イベントA3における当該レポートオン状態へ遷移し、また、無線基地局装置101Bをターゲット基地局として検出する。
次に、無線端末装置202は、ターゲット基地局の種別が小型基地局である場合(ステップS752でYES)、自己の移動状態に応じて以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS754でYES)、マクロ基地局用高速対応係数MH(sf-High)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS756)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS754でNO)、中速移動状態である場合(ステップS758でYES)、マクロ基地局用高速対応係数MH(sf-High)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS760)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でなく通常移動状態である場合(ステップS758でNO)、マクロ基地局用中速対応係数MM(sf-Medium)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS762)。
一方、無線端末装置202は、ターゲット基地局の種別が小型基地局でなくマクロ基地局である場合(ステップS752でNO)、自己の移動状態に応じて以下の処理を行う。
すなわち、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態である場合(ステップS764でYES)、マクロ基地局用高速対応係数MH(sf-High)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS766)。
一方、無線端末装置202は、自己の移動状態が高速移動状態でなく(ステップS764でNO)、中速移動状態である場合(ステップS768でYES)、マクロ基地局用中速対応係数MM(sf-Medium)をTTTに乗ずることによりTTTの設定値を変更する(ステップS770)。
また、無線端末装置202は、自己の移動状態が中速移動状態でなく通常移動状態である場合(ステップS768でNO)、TTTの設定値を変更しない(ステップS772)。
以上の動作により、無線端末装置202は、ハンドオーバ動作の実行判断に関わるTTTの設定を行う。
これにより、無線基地局装置101により送信される報知情報にはマクロ基地局用の係数のみが含まれるので、図43において説明したように小型基地局およびマクロ基地局用の両方の係数が報知情報に含まれる場合と比べて、報知情報の送信処理および受信処理の負担を軽減することができる。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切な移動動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、カウント部11は、自己の無線端末装置202の移動動作の実行回数をカウントする。移動状態推定部12は、カウント部11によってカウントされた実行回数に基づいて、自己の無線端末装置202の移動状態を推定する。そして、設定部14は、移動状態推定部12によって推定された移動状態、および自己の無線端末装置202が通信相手として選択している無線基地局装置101であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置101である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置202の移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置202の設定を行う。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置101の種別によって無線端末装置202における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置202の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、移動動作の実行判断に関わる当該無線端末装置202の設定を適切に行うことができる。
これにより、無線端末装置202は、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、設定部14は、移動状態および上記種別に基づいて、自己の無線端末装置202のハンドオーバ動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置202の動作に関する設定を行う。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断に関わる無線端末装置202の動作のタイミング等を調整することができる。無線端末装置202の移動状態に基づいて上記タイミングの調整を適切に行うことにより、ハンドオーバ動作のタイミングが適正化され、不適切なハンドオーバ動作の発生を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、設定部14は、周辺基地局に所定種別の無線基地局装置101が含まれるか否かと、移動状態との組み合わせに応じて上記設定を変更する。
このような構成により、周辺基地局が所定種別の無線基地局装置101であるか否か、および無線端末装置202の移動状態に応じて、上記周辺基地局により送信される無線信号の当該無線端末装置202における受信電力が大きく変化する場合においても、上記変化に対して適切に対処することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、設定部14は、移動状態のレベルに応じて上記設定を変更し、周辺基地局に所定種別の無線基地局装置101が含まれる場合に、移動状態推定部12によって推定された移動状態と比べて実行回数の大きい場合に推定される移動状態、のレベルに対応する上記設定を選択する。
たとえば、所定種別の周辺基地局が送信する無線信号の無線端末装置202における受信電力の、当該無線端末装置202の位置に対する変化が大きい場合、移動する無線端末装置202における上記無線信号の受信電力の変化も大きい。このため、移動動作の実行回数の大きい場合に推定される移動状態のレベルに対応する設定を選択することにより、当該無線端末装置202は、上記無線信号の受信電力の変化に適切に対処することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、移動状態は、無線端末装置202の移動速度であり、所定種別は、小型基地局である。
このように、小型基地局が送信する無線信号の無線端末装置202における受信電力の、当該無線端末装置202の位置に対する変化は大きいため、実際の移動速度より大きい移動速度を示す移動状態に対応する設定を行うことにより、当該無線端末装置202は、上記無線信号の受信電力の変化に適切に対処することができる。
これにより、無線端末装置202は、たとえば移動先の無線基地局装置101が小型基地局である場合においても、自己の移動状態に基づいて、上記小型基地局への移動動作を適切に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、報知情報取得部13は、無線基地局装置101の保持する周辺基地局リストを取得する。そして、設定部14は、周辺基地局リストから周辺基地局の種別を判断する。
このように、無線基地局装置101が保持する周辺基地局リストを取得する構成により、たとえば周辺基地局の設定変更により無線通信システムの構成が変更される場合においても、当該変更を無線端末装置において速やかに反映させることができるので、通信システムの変更に対する柔軟性を高めることができる。
また、移動動作の開始に先立って、周辺基地局の種別を判断することができるので、移動先の無線基地局装置101の種別、および無線端末装置202の移動状態に基づいて上記設定を適切に行うことができる。
そして、無線端末装置202は、上記設定を行うことにより、上記移動先の無線基地局装置101への移動動作を適切に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、カウント部11は、自己の無線端末装置202のハンドオーバ動作の実行回数をカウントする。移動状態推定部12は、カウント部11によってカウントされた実行回数に基づいて、自己の無線端末装置202の移動状態を推定する。設定部14は、移動状態推定部12によって推定された移動状態、および自己の無線端末装置202が通信相手として選択している無線基地局装置101であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置101である周辺基地局の種別に基づいて、TTTの値を設定する。そして、受信電力測定部16は、無線基地局装置101から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定結果がTTTで示される時間継続して所定条件を満たす場合に、測定結果を示すメジャメントレポートをサービング基地局へ通知部17経由で送信する。
このような構成により、たとえば、移動元または移動先の無線基地局装置101の種別によって無線端末装置202における通信環境が異なる場合においても、無線端末装置202の移動状態および周辺基地局の種別に応じて、ハンドオーバ動作の実行判断に関わる当該無線端末装置202の設定を適切に行うことができる。
そして、3GPPで規定された無線端末装置202において、当該無線端末装置202の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、TTTの調整を適切に行うことにより、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することが可能となる。
これにより、無線端末装置202は、ハンドオーバ動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切なハンドオーバ動作の発生を抑制し、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、基地局種別リスト作成部22は、移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置101と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置101であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置101である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置202について、周辺基地局リストを作成する。そして、基地局種別リスト通知部23は、基地局種別リスト作成部22によって作成された周辺基地局リストを、他の無線基地局装置101または無線端末装置202に通知する。
このように、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、たとえば無線端末装置202へ通知することにより、当該無線端末装置202においては、当該周辺基地局リストに基づいて、周辺基地局の種別を認識することができる。
これにより、無線端末装置202は、自己の移動状態および周辺基地局の種別に基づいて、たとえば移動動作のタイミングを適切に調整することができるので、不適切な移動動作の発生等が抑制され、通信システムにおける通信の安定化を図ることができる。
また、たとえば無線基地局装置101が、不適切な移動動作を含む複数の移動動作を管理する場合、不適切な移動動作の発生状況を考慮した上で、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを作成することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、基地局種別リスト通知部23は、周辺基地局リストを各無線基地局装置101に通知する。
このような構成により、通信システムにおける、周辺基地局の種別を含む周辺基地局リストを、無線基地局装置101において一括で管理し、当該周辺基地局リストを各無線基地局装置101へ効率的に通知することができる。
また、自己の周辺基地局を把握する当該各無線基地局装置101は、自己が形成するセルに在圏する無線端末装置202へ、当該周辺基地局リストに含まれる自己の周辺基地局に関する情報のみを送信することができる。
これにより、当該無線端末装置202は、たとえば当該無線基地局装置101から当該周辺基地局リストを直接受信する場合と比べて、処理の負担を軽減することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置101が通信制御装置として動作する。すなわち、無線基地局装置101が、無線基地局装置101の種別を含む周辺基地局リストを作成し、作成した周辺基地局リストを他の無線基地局装置101または無線端末装置202へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信制御装置は、1または複数の無線基地局装置101を管理するための管理装置であってもよい。具体的には、MME162またはコアネットワーク301と通信接続するOAM(Operation, Administration, and Maintenance)サーバ等、無線基地局装置101を管理するための管理装置が、無線基地局装置101の種別を含む周辺基地局リストを作成し、作成した周辺基地局リストを他の無線基地局装置101へ送信する構成であってもよい。
この場合、管理装置において、基地局検出部は、たとえば休止状態にある周辺基地局が始動することにより、X2インタフェースを介した当該周辺基地局との通信接続の確立を検出すると、当該周辺基地局のIDを基地局種別リスト作成部へ出力する。
基地局種別リスト作成部は、検出された無線基地局装置101のIDを基地局検出部から受けると、受けたIDに基づいて、たとえば無線基地局装置101の種別を含む、周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42を更新する。そして、基地局種別リスト作成部は、たとえば更新した周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42を、基地局種別リスト通知部へ出力する。
基地局種別リスト通知部は、基地局種別リスト作成部からたとえば周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42を受けると、受けた周辺セル情報、基地局種別リスト41またはスモールセルリスト42の一部または全部を他の無線基地局装置101へ送信する。
このような構成により、無線通信システム401において、各無線基地局装置101がカバーする領域が変わってしまう場合においても、柔軟に対応することができる。
具体的には、たとえば、無線通信システム401において、無線基地局装置101が新たに追加された場合、各無線基地局装置101が送信する無線信号の送信電力が変更されることにより当該各無線基地局装置101が形成するセルの大きさが変更された場合、または当該セル内において建物が新たに建設された場合において、各無線基地局装置101がカバーする領域が変わってしまう。
このため、たとえば、あるマクロ基地局が形成するマクロセル内に位置していた小型基地局が、他のマクロ基地局が形成するマクロセル内に位置するようになったりすることにより、無線基地局装置101が形成するセルの隣接セルが変わってしまったりする。
このような場合、ある管理基地局が管理する被管理基地局が、他の管理基地局により管理されるようになったりするため、管理基地局は、適切な周辺基地局リストを作成できなかったりしてしまうという問題が発生する。
管理装置が、複数のマクロ基地局を含むような広域の無線基地局装置101を管理することにより、各無線基地局装置101のカバーエリアが変更された場合においても柔軟に対応することができるので、周辺基地局リストを適切に作成することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る無線端末装置202は、無線基地局装置101の種別をたとえば報知情報から取得したが、これに限定するものではない。無線端末装置202は、無線基地局装置101の種別の情報を、自己が保持してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る周辺基地局リストにおいて、無線基地局装置101および当該無線基地局装置101の種別の対応関係が示されたが、当該種別は、実際の種別に限定するものではない。
たとえば、管理基地局は、不適切な移動動作の発生状況に基づいて、実際はマクロ基地局である無線基地局装置101の種別を、小型基地局として周辺基地局リストに含めてもよい。
具体的には、たとえば、マクロ基地局である無線基地局装置101へのハンドオーバ動作において、いずれの移動状態においても不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が発生している場合に、当該無線基地局装置101の種別を小型基地局として周辺基地局リストに含めることが考えられる。
無線端末装置202は、当該周辺基地局リストに基づいて、実際はマクロ基地局である当該無線基地局装置101の種別を小型基地局として認識するので、たとえば各移動状態におけるTTTの値が小さくなるように調整する。
これにより、管理基地局は、実際はマクロ基地局である無線基地局装置101の種別を小型基地局として周辺基地局リストに含めることにより、たとえば無線端末装置202におけるTTTの値を、移動状態毎に設定することなく小さくすることができる。
また、たとえば、管理基地局は、不適切な移動動作の発生状況に基づいて、実際は小型基地局である無線基地局装置101の種別を、マクロ基地局として周辺基地局リストに含めてもよい。
具体的には、たとえば、小型基地局である無線基地局装置101へのハンドオーバ動作において、いずれの移動状態においても不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が発生している場合に、当該無線基地局装置101の種別をマクロ基地局として周辺基地局リストに含めることが考えられる。
無線端末装置202は、当該周辺基地局リストに基づいて、実際は小型基地局である当該無線基地局装置101の種別をマクロ基地局として認識するので、たとえば各移動状態におけるTTTの値が大きくなるように調整する。
これにより、管理基地局は、実際は小型基地局である無線基地局装置101の種別をマクロ基地局として周辺基地局リストに含めることにより、たとえば無線端末装置202におけるTTTの値を、移動状態毎に設定することなく大きくすることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置101は、マクロ基地局および小型基地局の2つの種別に分類したが、これに限定するものではない。無線基地局装置101は、たとえば、マクロ基地局、ピコ基地局およびフェムト基地局の3つの種別に分類してもよいし、更に多くの種別に分類してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置202は、移動動作の完了後に移動状態の更新処理を行ったが、これに限定するものではない。たとえば、無線端末装置202は、各無線基地局装置101の報知情報を保存するので、所定回数移動動作が完了した後に、上記移動動作を移動動作の実行回数にカウントするかどうかを保存した各報知情報に基づいて判断した後、移動状態の更新処理を行ってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置202は、移動動作を行う際に、接続確立状態のハンドオーバ回数とアイドル状態のセル再選択回数を独立にカウントする必要はない。たとえば、無線端末装置202は、接続確立状態およびアイドル状態を交互に繰り返しながら移動動作を行う際には、ハンドオーバ回数およびセル再選択回数を合わせた値に基づいて自己の移動状態を推定してもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 カウント部
12 移動状態推定部
13 報知情報取得部(基地局リスト取得部)
14 設定部
15 タイマ
16 受信電力測定部(受信電力報告部)
17 通知部(受信電力報告部)
21 基地局検出部(周辺基地局リスト作成部)
22 周辺セル情報作成部(周辺基地局リスト作成部)
23 周辺セル情報通知部(周辺基地局リスト通知部)
81 アンテナ
82 サーキュレータ
83 無線受信部
84 無線送信部
85 信号処理部
86 受信信号処理部
87 送信信号処理部
88 制御部
89 入出力部
91 アンテナ
92 サーキュレータ
93 無線受信部
94 無線送信部
95 信号処理部
96 受信信号処理部
97 送信信号処理部
98 制御部
101 無線基地局装置(通信制御装置)
161 S-GW
162 MME
163 P−GW
202 無線端末装置
301 コアネットワーク
302 IP網

Claims (16)

  1. 移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置であって、
    自己の無線端末装置の前記移動動作の実行回数をカウントするためのカウント部と、
    前記カウント部によってカウントされた前記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するための移動状態推定部と、
    前記移動状態推定部によって推定された前記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の前記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うための設定部とを備える、無線端末装置。
  2. 前記設定部は、前記移動状態および前記種別に基づいて、自己の無線端末装置のハンドオーバ動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の動作に関する設定を行う、請求項1に記載の無線端末装置。
  3. 前記設定部は、前記周辺基地局に所定種別の無線基地局装置が含まれるか否かと、前記移動状態との組み合わせに応じて前記設定を変更する、請求項1または請求項2に記載の無線端末装置。
  4. 前記設定部は、前記移動状態のレベルに応じて前記設定を変更し、前記周辺基地局に所定種別の無線基地局装置が含まれる場合に、前記移動状態推定部によって推定された前記移動状態と比べて前記実行回数の大きい場合に推定される前記移動状態、のレベルに対応する前記設定を選択する、請求項1または請求項2に記載の無線端末装置。
  5. 前記移動状態は、前記無線端末装置の移動速度であり、
    前記所定種別は、小型基地局である、請求項3または請求項4に記載の無線端末装置。
  6. 前記無線端末装置は、さらに、
    前記無線基地局装置の保持する周辺基地局リストを取得するための基地局リスト取得部を備え、
    前記設定部は、前記周辺基地局リストから前記周辺基地局の種別を判断する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線端末装置。
  7. ハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置であって、
    自己の無線端末装置の前記ハンドオーバ動作の実行回数をカウントするためのカウント部と、
    前記カウント部によってカウントされた前記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するための移動状態推定部と、
    前記移動状態推定部によって推定された前記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、TTT(Time to Trigger)の値を設定するための設定部と、
    前記無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定結果が前記TTTで示される時間継続して所定条件を満たす場合に、前記測定結果を示すメジャメントレポートを前記サービング基地局へ送信するための受信電力報告部とを備える、無線端末装置。
  8. 移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、前記周辺基地局リストを作成するための周辺基地局リスト作成部と、
    前記周辺基地局リスト作成部によって作成された前記周辺基地局リストを他の装置に通知するための周辺基地局リスト通知部とを備える、通信制御装置。
  9. 前記周辺基地局リスト通知部は、前記周辺基地局リストを各前記無線基地局装置に通知する、請求項8に記載の通信制御装置。
  10. 請求項8に記載の通信制御装置を備える無線基地局装置。
  11. 前記無線基地局装置を管理し、請求項8に記載の通信制御装置を備える管理装置。
  12. 移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置における通信制御方法であって、
    自己の無線端末装置の前記移動動作の実行回数をカウントするステップと、
    カウントした前記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、
    推定した前記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の前記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うステップとを含む、通信制御方法。
  13. ハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置における通信制御方法であって、
    自己の無線端末装置の前記ハンドオーバ動作の実行回数をカウントするステップと、
    カウントした前記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、
    推定した前記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、TTTの値を設定するステップと、
    前記無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定結果が前記TTTで示される時間継続して所定条件を満たす場合に、前記測定結果を示すメジャメントレポートを前記サービング基地局へ送信するステップとを含む、通信制御方法。
  14. 通信制御装置における通信制御方法であって、
    移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、前記周辺基地局リストを作成するステップと、
    作成した前記周辺基地局リストを他の装置に通知するステップとを含む、通信制御方法。
  15. 移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、
    自己の無線端末装置の前記移動動作の実行回数をカウントするステップと、
    カウントした前記実行回数に基づいて、自己の無線端末装置の移動状態を推定するステップと、
    推定した前記移動状態、および自己の無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別に基づいて、自己の無線端末装置の前記移動動作の実行判断に関わる自己の無線端末装置の設定を行うステップとを実行させるための、通信制御プログラム。
  16. 通信制御装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、
    移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能であり、かつ通信相手として選択している無線基地局装置であるサービング基地局以外の他の無線基地局装置である周辺基地局の種別を周辺基地局リストから判断する無線端末装置について、前記周辺基地局リストを作成するステップと、
    作成した前記周辺基地局リストを他の装置に通知するステップとを実行させるための、通信制御プログラム。
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