JP6111529B2 - 無線基地局装置、通信システム、通信制御方法および通信制御プログラム - Google Patents

無線基地局装置、通信システム、通信制御方法および通信制御プログラム Download PDF

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本発明は、無線基地局装置、通信システム、通信制御方法および通信制御プログラムに関し、特に、無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける無線基地局装置、通信システム、通信制御方法および通信制御プログラムに関する。
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセルすなわち無線端末装置が通信可能なエリアを形成する無線基地局装置(以下、マクロ基地局とも称する。)による通信サービスが提供されてきた。
近年、移動通信サービスの加入者数の劇的な増加およびデータ通信による通信トラヒック量の増大から、より半径の小さいセルを形成することによって加入者および通信トラヒックを分散し、また、一定レベルの通信速度をユーザへ安定して提供することが望まれている。また、ビルの超高層化に伴う不感地対策のため、企業フロア内および一般家庭内への無線基地局装置の設置も望まれている。
これらの要望と併せて、無線基地局装置で使用される種々のデバイスの処理能力が飛躍的に向上したことによって無線基地局装置の小型化が進み、このような小型化された基地局が注目を集めている。
この小型基地局(以下、フェムト基地局とも称する。)が形成するフェムトセル(Femto Cell)の半径は10メートル前後と小さいため、フェムト基地局は、マクロ基地局が形成するマクロセル(Macro Cell)の圏外となりマクロ基地局の設置が困難な屋内および地下街等の場所で使用されることが考えられる。
また、フェムト基地局は特定のエリアに多数設置されることから、フェムト基地局を直接コアネットワークに接続することは難しい。このため、特定のエリアに設置された多数のフェムト基地局を一旦、HeNB−GW等のゲートウェイ装置に接続し、フェムト基地局とコアネットワークとをHeNB−GW経由で接続することが考えられる。
また、フェムト基地局に加えて、マクロ基地局をベースに、たとえば半径100メートルから200メートルのピコセルを形成するピコ基地局も開発されている。
このようなフェムト基地局、ピコ基地局およびマクロ基地局が混在する通信システムであるヘテロジーニアスネットワークでは、たとえばマクロセル内に複数のフェムトセルまたはピコセルが形成される。このため、無線端末装置のハンドオーバが起こりやすくなり、また、ハンドオーバを行なう状況も複雑になることから、ハンドオーバのタイミングが早すぎたり、あるいは遅すぎたりするなど、不適切なハンドオーバ動作が行なわれる場合がある(たとえば、3GPP TR 36.902 V9.3.1 2011.3(非特許文献1)参照)。
3GPP TR 36.902 V9.3.1 2011.3
非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。このような不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築する技術が望まれる。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることが可能な無線基地局装置、通信システム、通信制御方法および通信制御プログラムを提供することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線基地局装置は、無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置であって、無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するための受信電力情報取得部と、上記受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するための受信品質情報取得部と、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するためのハンドオーバ動作判断部とを備える。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短い受信品質情報を用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”の発生を抑制することができる。すなわち、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(2)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報および上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報に基づいて、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このように、受信品質情報に加えて受信電力情報をハンドオーバ動作の実行判断に用いる構成により、無線端末装置の電波環境をより詳細に把握し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
(3)より好ましくは、上記無線基地局装置は、さらに、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報に基づいて、上記受信電力情報の作成条件を変更するための条件設定部を備える。
このような構成により、無線端末装置の受信品質に応じて受信電力情報の作成条件を迅速かつ適切に設定し、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報としてより適切な受信電力情報を取得することができる。
(4)より好ましくは、上記条件設定部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報から上記受信品質の劣化を検知すると、上記受信電力情報の更新周期を短くする。
このような構成により、無線端末装置の受信品質の劣化に応じて受信電力情報の更新タイミングを早めることができるため、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報を、急激な電波環境の変化に追従して迅速に取得することができる。
(5)より好ましくは、上記受信電力情報は、所定の開始条件が満たされるとその作成が開始され、上記条件設定部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報から上記受信品質の劣化を検知すると、上記受信電力情報の作成開始が早まるように上記開始条件を設定する。
このような構成により、無線端末装置の受信品質の劣化に応じて受信電力情報の作成を早期に開始することができるため、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報を、急激な電波環境の変化に追従して迅速に取得することができる。
(6)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報が所定条件を満たす場合には、上記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、上記無線端末装置による自己の無線基地局装置から所定の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行する。
このような構成により、受信品質情報によって無線端末装置の受信品質の劣化を検知した後、無線端末装置に対する受信電力情報の作成条件の変更要求等を行なうことなく、迅速にハンドオーバ動作を実行することができる。
(7)より好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、どの無線基地局装置への上記ハンドオーバ動作を実行するかを、上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報に基づいて決定する。
このような構成により、無線端末装置の電波環境に応じてハンドオーバ先の無線基地局装置を適切に選択することができる。
(8)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、所定条件を満たす場合に上記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報に基づいて上記所定条件を設定する。
このような構成により、無線端末装置の受信品質に応じてハンドオーバ動作の実行判断条件を迅速かつ適切に設定することができる。
(9)より好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報が所定条件を満たす場合に上記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報に基づいて上記所定条件を調整する。
このような構成により、ある受信電力情報の内容からハンドオーバ動作を実行しないと判断した後、次に受信電力情報が更新されるタイミングまでに無線端末装置の電波環境が急激に劣化した場合でも、上記タイミングを待つことなくハンドオーバ動作を迅速に実行することができる。
(10)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報と、上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報と、上記受信品質情報が更新されてから経過した時間および上記受信電力情報が更新されてから経過した時間の少なくとも一方とに基づいて、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このように、無線端末装置の電波環境を示す情報の更新経過時間をハンドオーバ動作の実行判断に用いる構成により、古い情報による誤判断を抑制し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
(11)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報および上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報に基づいて、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断し、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かの判断における上記受信品質情報の重みを、上記受信電力情報に基づいて調整する。
このような構成により、受信電力情報に基づいて受信品質情報の値を適切に評価することができるため、無線端末装置の電波環境をより正確に把握し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
(12)好ましくは、上記ハンドオーバ動作判断部は、複数回分の上記受信品質情報に基づいて、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このような構成により、電波環境の瞬間的な変化に起因する誤判断を抑制し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
(13)またこの発明の別の局面に係わる無線基地局装置は、無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信し、複数レイヤを有する通信プロトコルに従って動作する無線基地局装置であって、上記複数レイヤのうちの第1のレイヤに従い、無線端末装置における無線基地局装置からの無線信号の測定結果に基づく第1測定情報を取得するための第1測定情報取得部と、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤに従い、上記無線端末装置における無線基地局装置からの無線信号の測定結果に基づく第2測定情報を取得するための第2測定情報取得部と、上記第2測定情報取得部によって取得された上記第2測定情報に基づいて、上記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するためのハンドオーバ動作判断部とを備える。
このように、通信プロトコルにおいて、よりレイヤの低い情報を用いてハンドオーバ動作の実行判断を行なう構成により、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報の取得時間を短縮することができるため、ハンドオーバ動作の迅速かつ適切な実行判断が可能となる。すなわち、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”の発生を抑制することができる。これにより、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(14)好ましくは、上記第1のレイヤは、3GPP(Third Generation Partnership Project)で規定されたRRC(Radio Resource Control)レイヤであり、上記第2のレイヤは、3GPPで規定されたMAC(Media Access Control)レイヤおよびPHY(Physical)レイヤの少なくとも一方である。
このような構成により、3GPPで規定された通信プロトコルに従って動作する無線基地局装置において、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることが可能となる。
(15)好ましくは、上記無線基地局装置は、さらに、自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置のハンドオーバ動作を行なう要求を上記他の無線基地局装置に対して行なうためのハンドオーバ要求部と、上記要求に対する上記他の無線基地局装置からの応答を受けて、上記無線端末装置に対して自己の無線基地局装置から上記他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与えるためのハンドオーバ指示部とを備え、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置および上記無線端末装置間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作をさらに抑制し、良好な通信システムを構築することができる。
(16)好ましくは、上記ハンドオーバ要求部は、上記要求を複数の上記他の無線基地局装置に対して行う。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置と無線基地局装置との間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
(17)好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受信して、上記応答に対応する上記他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択し、上記無線端末装置に対して上記ハンドオーバ先の無線基地局装置への上記ハンドオーバ動作を行う指示を与える。
このように、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択したうえで無線端末装置に対してハンドオーバ動作の指示を与える構成により、当該指示内に複数の無線基地局装置を提示する場合と比べて情報量を少なくすることができ、当該指示内容を簡潔にすることができる。
また、好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受信した後、上記応答に対応する上記他の無線基地局装置から送信される無線信号の上記無線端末装置における受信電力の測定結果を取得して、上記測定結果に基づいて上記ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備完了後の無線端末装置における電波環境に応じて、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受信した後、所定期間取得できない上記測定結果に対応する上記他の無線基地局装置を上記ハンドオーバ先の候補から外す。
このような構成により、たとえば、無線端末装置が受信電力を測定できない程度に当該無線端末装置との距離が離れてしまった無線基地局装置をハンドオーバ先の候補から外すことができるため、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受信して、上記応答に対応する上記他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補として示す情報を上記無線端末装置へ送信する。
このように、無線端末装置にハンドオーバ先の無線基地局装置を選択させる構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が選択する場合に比べて、最新の電波環境に応じてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択することができる。
また、好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記無線端末装置によって選択された上記ハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報を受信して、受信した上記情報の示す上記ハンドオーバ先の無線基地局装置へ所定の情報を送信する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が、無線端末装置により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を把握したうえで、ハンドオーバ動作に必要な情報を当該ハンドオーバ先の無線基地局装置へ送信するので、無駄のない情報の送受信を行うことができる。
また、好ましくは、上記ハンドオーバ指示部は、上記ハンドオーバ動作が完了した後、上記応答に対応する上記他の無線基地局装置のうちハンドオーバ先の無線基地局装置以外の上記他の無線基地局装置へ上記ハンドオーバ動作の中止要求を送信する。
ここで、たとえば、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作がハンドオーバ動作の完了前に中止された後、無線端末装置が、当該中止対象の無線基地局装置に近づく方向に移動する場合、当該中止対象の無線基地局装置が最適なハンドオーバ先となることがある。この場合、当該中止対象の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を再び行う必要がある。
これに対して、本発明に係る無線基地局装置は、上記のように、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を無線端末装置のハンドオーバ動作の準備処理が完了した後に中止する。これにより、ハンドオーバ動作が完了するまでの間に無線端末装置が移動して電波状況が変わり、他の周辺基地局へのハンドオーバ動作が行われる場合であっても、再びハンドオーバ動作の準備処理を行う必要がない。
(18)好ましくは、上記無線基地局装置は、さらに、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するための受信品質情報取得部を備え、上記ハンドオーバ要求部は、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報から上記受信品質の劣化が検知された場合に、上記要求を複数の上記他の無線基地局装置に対して行うか否かを判断する。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短いCQIレポートを用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理を迅速に行い、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを一層防ぐことができる。
(19)好ましくは、上記無線基地局装置は、さらに、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するための受信品質情報取得部を備え、上記ハンドオーバ指示部は、上記応答を受信した後、上記受信品質情報取得部によって取得された上記受信品質情報から上記受信品質の劣化が検知された場合に、上記ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短いCQIレポートを用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを一層防ぐことができる。
(20)好ましくは、上記無線基地局装置は、さらに、上記受信電力情報を取得するための受信電力情報取得部を備え、上記ハンドオーバ指示部は、上記受信品質情報取得部によって上記受信品質情報が取得されるよりも前に上記受信電力情報取得部によって取得された上記受信電力情報のうち最新の受信電力情報に示される上記測定結果に基づいて上記ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このように、予め取得された受信電力情報が用いられる構成により、ハンドオーバ指示部が受信品質情報から受信品質の劣化を検知した場合には、迅速にハンドオーバ先の無線基地局装置を選択することができる。
(21)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信システムは、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための複数の通信制御装置とを備える通信システムであって、上記無線基地局装置は、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を対応の通信制御装置へ送信し、上記対応の通信制御装置は、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置が自己の管理対象でない場合には、上記他の無線基地局装置を管理する他の通信制御装置へ上記ハンドオーバ要求を送信し、上記他の通信制御装置は、受信した上記ハンドオーバ要求を上記他の無線基地局装置へ送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると上記対応の通信制御装置へ上記応答を送信し、上記対応の通信制御装置は、上記他の通信制御装置から上記応答を受信して、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信し、上記無線基地局装置は、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得し、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なう指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置を管理する通信制御装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置を管理する通信制御装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、好ましくは、上記通信システムにおいて、上記無線基地局装置は、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、上記ハンドオーバ要求を上記対応の通信制御装置へ送信し、上記準備条件の示す通信品質は、上記実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、通信制御装置の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、好ましくは、上記通信システムにおいて、上記対応の通信制御装置は、上記無線基地局装置からハンドオーバ先として複数の上記他の無線基地局装置を示す上記ハンドオーバ要求を受信し、上記ハンドオーバ要求の示す上記他の無線基地局装置ごとに自己の管理対象であるか否かを判断し、自己の管理対象でない場合には、上記他の無線基地局装置を管理する他の通信制御装置へ上記ハンドオーバ要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置と無線基地局装置との間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
(22)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信システムは、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための通信制御装置と、1または複数の上記無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続され、上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置から受信した通信データを上記上位ネットワークへ送信するとともに、上記上位ネットワークから受信した通信データを上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置へ送信するための複数のゲートウェイ装置とを備える通信システムであって、上記無線基地局装置は、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を上記通信制御装置へ送信し、上記通信制御装置は、上記無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合には、通信経路作成要求を上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されている上記ゲートウェイ装置へ送信し、上記ゲートウェイ装置は、上記通信経路作成要求を受信すると、上記上位ネットワークから送信される上記無線端末装置宛の通信データおよび上記無線端末装置から送信される上記上位ネットワークへの通信データを中継可能とする通信経路を作成し、上記通信経路作成要求に対する通信経路作成応答を上記通信制御装置へ送信し、上記通信制御装置は、上記通信経路作成応答を受信すると、上記他の無線基地局装置へ上記ハンドオーバ要求を送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信し、上記無線基地局装置は、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得し、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なう指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、好ましくは、上記通信システムにおいて、上記無線基地局装置は、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、上記ハンドオーバ要求を上記通信制御装置へ送信し、上記準備条件の示す通信品質は、上記実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、ゲートウェイ装置の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、好ましくは、上記通信システムにおいて、上記通信制御装置は、上記無線基地局装置からハンドオーバ先として複数の他の上記無線基地局装置を示す上記ハンドオーバ要求を受信し、上記ハンドオーバ要求の示す上記他の無線基地局装置ごとに、上記無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なるか否かを判断し、異なると判断した上記ゲートウェイ装置へ上記通信経路作成要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置と無線基地局装置との間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
(23)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置における通信制御方法であって、無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するステップと、上記受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するステップとを含む。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短い受信品質情報を用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”の発生を抑制することができる。すなわち、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(24)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための複数の通信制御装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、上記無線基地局装置が、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を対応の上記通信制御装置へ送信するステップと、上記対応の通信制御装置が、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置が自己の管理対象でない場合には、上記他の無線基地局装置を管理する他の通信制御装置へ上記ハンドオーバ要求を送信するステップと、上記他の通信制御装置が、受信した上記ハンドオーバ要求を上記他の無線基地局装置へ送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると上記対応の通信制御装置へ上記応答を送信するステップと、上記対応の通信制御装置が、上記他の通信制御装置から上記応答を受信して、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信するステップと、上記無線基地局装置が、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なうための指示の付与を中止するかまたは保留するステップとを含む。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置を管理する通信制御装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置を管理する通信制御装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(25)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための通信制御装置と、1または複数の上記無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続され、上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置から受信した通信データを上記上位ネットワークへ送信するとともに、上記上位ネットワークから受信した通信データを上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置へ送信するための複数のゲートウェイ装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、上記無線基地局装置が、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を上記通信制御装置へ送信するステップと、上記通信制御装置が、上記無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合には、通信経路作成要求を上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されている上記ゲートウェイ装置へ送信するステップと、上記ゲートウェイ装置が、上記通信経路作成要求を受信すると、上記上位ネットワークから送信される上記無線端末装置宛の通信データおよび上記無線端末装置から送信される上記上位ネットワークへの通信データを中継可能とする通信経路を作成し、上記通信経路作成要求に対する通信経路作成応答を上記通信制御装置へ送信するステップと、上記通信制御装置が、上記通信経路作成応答を受信すると、上記他の無線基地局装置へ上記ハンドオーバ要求を送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信するステップと、上記無線基地局装置が、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なうための指示の付与を中止するかまたは保留するステップとを含む。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(26)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するステップと、上記受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短い受信品質情報を用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”の発生を抑制することができる。すなわち、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(27)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための複数の通信制御装置とを備える通信システムにおいて用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、上記無線基地局装置が、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を対応の上記通信制御装置へ送信するステップと、上記対応の通信制御装置が、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置が自己の管理対象でない場合には、上記他の無線基地局装置を管理する他の通信制御装置へ上記ハンドオーバ要求を送信するステップと、上記他の通信制御装置が、受信した上記ハンドオーバ要求を上記他の無線基地局装置へ送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると上記対応の通信制御装置へ上記応答を送信するステップと、上記対応の通信制御装置が、上記他の通信制御装置から上記応答を受信して、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信するステップと、上記無線基地局装置が、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なうための指示の付与を中止するかまたは保留するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置を管理する通信制御装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置を管理する通信制御装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
(28)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための複数の無線基地局装置と、1または複数の上記無線基地局装置を管理するための通信制御装置と、1または複数の上記無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続され、上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置から受信した通信データを上記上位ネットワークへ送信するとともに、上記上位ネットワークから受信した通信データを上記無線基地局装置経由で上記無線端末装置へ送信するための複数のゲートウェイ装置とを備える通信システムにおいて用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、上記無線基地局装置が、自己から他の無線基地局装置への上記無線端末装置のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を上記通信制御装置へ送信するステップと、上記通信制御装置が、上記無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、上記ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合には、通信経路作成要求を上記他の無線基地局装置と上記上位ネットワークとの間に接続されている上記ゲートウェイ装置へ送信するステップと、上記ゲートウェイ装置が、上記通信経路作成要求を受信すると、上記上位ネットワークから送信される上記無線端末装置宛の通信データおよび上記無線端末装置から送信される上記上位ネットワークへの通信データを中継可能とする通信経路を作成し、上記通信経路作成要求に対する通信経路作成応答を上記通信制御装置へ送信するステップと、上記通信制御装置が、上記通信経路作成応答を受信すると、上記他の無線基地局装置へ上記ハンドオーバ要求を送信し、上記他の無線基地局装置から上記ハンドオーバ要求に対する応答を受信すると、上記ハンドオーバ要求の送信元の上記無線基地局装置へハンドオーバ指示を送信するステップと、上記無線基地局装置が、上記ハンドオーバ指示を受信して、上記無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、上記無線端末装置における自己からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、取得した上記受信品質情報に基づいて、上記無線端末装置との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、上記実行条件が満たされていない場合には、上記無線端末装置に対する上記ハンドオーバ動作を行なうための指示の付与を中止するかまたは保留するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置と、ハンドオーバ先の無線基地局装置と上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置とが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
本発明によれば、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA1を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA2を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA3を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA4を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA5を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ヒステリシスHSの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、オフセットOSTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が受信電力情報のみを用いてハンドオーバ動作の実行判断を行なうと仮定した場合におけるハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断による、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が一段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合における、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が二段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合における、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、受信電力情報およびCQIレポートと、通信プロトコルにおける各レイヤとの対応を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいてハンドオーバ動作に要する時間の内訳の一例を示す図である。 シミュレーション対象の無線通信システムにおける無線環境パラメータを示す図である。 シミュレーション対象の無線通信システムにおける電力測定処理のパラメータを示す図である。 ハンドオーバ失敗確率のシミュレーション結果を示す図である。 ”Ping Pong HO”の発生確率のシミュレーション結果を示す図である。 図48に示すハンドオーバ失敗確率、および図49に示す”Ping Pong HO”の発生確率の和を示す図である。 本発明の実施の形態に係る無線基地局装置による改善対象を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例を説明するための図である。 図61に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例における課題を説明するための図である。 図63に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 RRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の比較例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ要求部から送信されるRRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の一例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの無線端末装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第4の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。 本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられることを意味する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project) SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、無線通信システムは、たとえば3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。図1では、2つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。
無線基地局装置101A,101Bは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここで、無線端末装置からコアネットワークへの方向を上り方向と称し、コアネットワークから無線端末装置への方向を下り方向と称する。
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置および無線端末装置は、以下の各シーケンスおよび各フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
図2を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS1)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求(Measurement Configuration)を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS2)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理(Measurement)を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS3)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS4)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS5)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS6)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS7)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS8)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS9)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS10)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS11)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS12)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS13)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS14)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS15)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS16)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS17)。
[不適切なハンドオーバ動作の例]
以下、無線端末装置202と通信中の無線基地局装置またはハンドオーバ元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、ハンドオーバ先の無線基地局装置を周辺基地局とも称する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Late HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、ハンドオーバが始まる前、あるいはハンドオーバ処理の最中に、ハンドオーバ元の無線基地局装置について無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)が発生し、かつハンドオーバ元の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Late HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、無線端末装置202が無線基地局装置101AについてRLFを起こした後に無線基地局装置101Bに対して無線リンクを再確立した場合、無線基地局装置101Bが無線基地局装置101Aに対してRLF通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは”Too Late HO”を検出する。
ここでは、図3に示すように、無線端末装置202は、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である場合を想定する。
図3および図4を参照して、まず、無線端末装置202は、各無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS51)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS52)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS53)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS54)。
ここで、ネットワーク側のハンドオーバの準備中、すなわち無線基地局装置101Aおよび101Bが上記のようなハンドオーバのためのメッセージの送受信を行っている間に、無線端末装置202が、セルCAの圏外、かつセルCBの圏内に移動する(ステップS55)。
この無線端末装置202の移動により、無線基地局装置101Aから送信されるハンドオーバを指示するためのRRCコネクション再構成指示(ステップS56)が無線端末装置202に届かなくなり、RLFが発生してしまう(ステップS57)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Bに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS58)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再確立要求を受信して、RRCコネクション再確立応答を無線端末装置202へ送信する(ステップS59)。これにより、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立される。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再確立完了通知(RRC Connection Reestablishment Complete)を送信する(ステップS60)。
このRRCコネクション再確立完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション再確立完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Bは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Bは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS61)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS62)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI(Physical Cell ID)、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGI(E- UTRAN Cell Global Identifier)ならびに自己の無線端末装置202のC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)等を含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101AのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101BのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Aが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101AにおいてRLFが発生したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS63)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから受信したRLF通知のPCI、ECGIおよびC−RNTIを参照することにより、セルCBへの”Too Late HO”が発生したことを認識する(ステップS64)。
次に、無線基地局装置101Aは、セルCBへの”Too Late HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS65)。
図5および図6は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図5および図6を参照して、無線基地局装置101Bの形成するセルCBは、無線基地局装置101Bの設置エリアを含むセルCB1と、セルCA内に形成された、無線基地局装置101Bの設置エリアを含まないセルCB2とで構成される。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Early HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置に対する接続を成功した後、RLFが短時間で発生し、かつ、ハンドオーバ元の無線基地局装置に対して、当該無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Early HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101Aから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”Too Early HO”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”Too Early HO”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図5に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCB2内へ移動した場合(ステップS70)を想定する。
図5〜図7を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101A(Source eNB, Serving eNB)へ送信する(ステップS71)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS72)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS73)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS74)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS75)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS76)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS77)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS78)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS79)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS80)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外かつセルCAの圏内に移動する(ステップS81)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS83)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Aに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS84)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放済みであり、保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS85)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS86)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Aから受信すると、無線基地局装置101Aと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS87)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS88)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS89)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101AからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS90)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS91)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS92)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS93)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101A間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101AへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS94)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Aは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS95)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS96)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101AのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCAへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS97)。
次に、無線基地局装置101Aは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS98)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCAへの”Too Late HO”ではなく、セルCBへの”Too Early HO”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCAへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”Too Early HO”であると判断すると(ステップS99)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS100)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”Too Early HO”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”Too Early HO”が発生したことを認識し(ステップS101)、”Too Early HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS102)。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。
図8を参照して、無線通信システムは、図1に示す無線通信システムと比べて、さらに、無線基地局装置101Cを備える。無線基地局装置101Cは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”HO to Wrong Cell”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置との接続に成功した後、短時間でRLFが発生し、かつハンドオーバ元およびハンドオーバ先の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する、無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”HO to Wrong Cell”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101Cから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”HO to Wrong Cell”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”HO to Wrong Cell”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図8に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、仮想セルCBVおよびセルCAの重複領域へ移動した場合(ステップS110)を想定する。仮想セルCBVは、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバを促進するために、パラメータであるオフセットOSTに従ってセルCBから拡大された仮想的なセルである。この場合、オフセットOSTは、無線基地局装置101Aの保持するパラメータである。
図8および図9を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS111)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS112)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS113)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS114)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS115)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS116)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS117)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS118)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS119)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS120)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外、かつ仮想セルCBVおよびセルCCの圏内に移動する(ステップS121)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101C(Other eNB)から送信される無線信号の干渉が大きく、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS123)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行なう。この場合、無線基地局装置101Cからの無線信号の受信電力が最大となることから、無線端末装置202は、探索した無線基地局装置101Cに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS124)。
次に、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS125)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS126)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Cから受信して、無線基地局装置101Cと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS127)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS128)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS129)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101CからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS130)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS131)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS132)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS133)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101C間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101CへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS134)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Cは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS135)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS136)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101CのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCCへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS137)。
次に、無線基地局装置101Cは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS138)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCCへの”Too Late HO”ではないと判断し、さらに、無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101CからRLF通知を受信したことから、セルCBへの”Too Early HO”ではなく、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCCへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断すると(ステップS139)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS140)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”HO to Wrong Cell”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”HO to Wrong Cell”が発生したことを認識し(ステップS141)、”HO to Wrong Cell”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS142)。
以上のような”Too Late HO”、”Too Early HO”および”HO to Wrong Cell”の他に、不適切なハンドオーバ動作として”Ping Pong HO”がある。
これは、ある無線端末装置について、2つの無線基地局装置が互いに他の無線基地局装置へのハンドオーバを判断する場合である。この”Ping Pong HO”が発生すると、無線端末装置および無線基地局装置間の接続が切断されることはないが、当該無線端末装置についてはハンドオーバ動作のための処理が繰り返され、通話およびデータ通信を行なうことができなくなり、また、上位ネットワーク側の負荷が増大してしまう。
[ハンドオーバ動作の制御パラメータ]
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。
図10は、無線端末装置202が、時速30kmでピコ基地局付近を通過し、マクロ基地局付近を通過するまでの100秒間における無線端末装置202のRSSI(Received Signal Strength Indication)を示している。
図10において、グラフG1およびG3は、マクロ基地局から送信される無線信号のRSSIを示し、グラフG2およびG4は、ピコ基地局から送信される無線信号のRSSIを示している。また、グラフG1およびG2は、シャドウィング、すなわち無線端末装置202および他の物体間の相対的な位置変化に起因する、当該無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変化を考慮したシミュレーション結果であり、グラフG3およびG4は、シャドウィングを考慮しないシミュレーション結果である。
図10を参照して、無線端末装置202のピコ基地局からマクロ基地局へのハンドオーバの理想位置は、グラフの交点付近すなわち移動時間が約17秒となる位置である。しかしながら、実際には、無線端末装置202の未来の通信環境を無線通信システムにおいて把握することは困難であるため、各種測定結果等に基づいてハンドオーバ動作のタイミングを調整することにより、ハンドオーバ動作の最適化を図ることが重要である。
また、移動時間が15秒から20秒の期間では、各無線基地局装置からの無線信号の強弱が入り組んでいるため、たとえば”Too Early HO”または”Ping Pong HO”が発生しやすくなる。また、移動時間が20秒となるタイミング付近では、ピコ基地局からの無線信号の受信電力が急に小さくなり、マクロ基地局からの無線信号の受信電力が急に大きくなり、SINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)が急激に悪化するため、”Too Late HO”が発生しやすくなる。
ここで、3GPPで規定されたハンドオーバの最適化を図るMRO(Mobility Robustness Optimization)の評価関数をY=MRO(X)とすると、Yは、たとえば”Too Late HO”の発生頻度、”Too Early HO”の発生頻度、”HO to Wrong Cell”の発生頻度、”Ping Pong HO”等の不必要なハンドオーバの発生頻度、またはRRCコネクション情報を送信した直後すなわち無線端末装置202が無線基地局装置に接続された直後のハンドオーバの発生頻度である。
また、たとえば、Xは、電力測定処理(Measurement)用のパラメータであり、ヒステリシスHS:0dB〜+15dB、TTT(Time to Trigger):0ms〜5120ms、またはオフセットOST(Cell Individual Offset):−24dB〜+24dBである。あるいは、Xは、セル再選択処理用のパラメータである。
たとえば、ヒステリシスHSおよびTTTは後述するイベントごとに設定可能であり、オフセットOSTはサービング基地局の形成するサービングセル、および周辺セルごとに設定可能である。
ここでは、無線基地局装置は、無線端末装置202の上り送信負荷を軽減するために、測定結果通知(Measurement Report)を受信するとハンドオーバの判断を行なうものとする。すなわち、測定結果通知の送信タイミングとハンドオーバのタイミングとが対応するものとする。
以下、測定結果通知を送信する各種イベントと電力測定処理のパラメータとの関係について説明する。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA1を示す図である。図11において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRすなわちサービング基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図11を参照して、イベントA1では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT1)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT1からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT2)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT2からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT3)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT3からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT4)。
ここで、無線端末装置202は、レポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移とは無関係に、たとえば周期的に電力測定処理を行なっており、直近の測定結果を測定結果通知として送信する。また、たとえば、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの各々について独立にレポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移を行なう。すなわち、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの一方について条件を満たせば、測定結果通知を送信する。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA2を示す図である。図の見方は図11と同様である。
図12を参照して、イベントA2では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも小さくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT11)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも小さい、という条件が満たされた状態でタイミングT11からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT12)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT12からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT13)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT13からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT14)。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA3を示す図である。図13において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRであり、NBCは周辺セルの受信電力またはSINRすなわち周辺基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図13を参照して、イベントA3では、サービングセルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST1が正方向に設定されており、さらに、正負の方向にヒステリシスHSが設定される。また、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST2が正方向に設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1+HS}よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT21)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1−HS}よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT21からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT22)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT22からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT23)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT23からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT24)。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA4を示す図である。図の見方は図13と同様である。
図14を参照して、イベントA4では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT31)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT31からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT32)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT32からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT33)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT33からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT34)。
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA5を示す図である。図の見方は図13と同様である。
図15を参照して、イベントA5では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Th1に対して正負の方向にヒステリシスHS1が設定されており、閾値Th2に対して正負の方向にヒステリシスHS2が設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1−HS1)よりも小さくなり、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2+HS2)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT41)。
そして、無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1+HS1)よりも小さく、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2−HS2)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT41からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT42)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT42からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT43)。
以上のように、イベントA1〜A5で説明したパラメータ、すなわちヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整すれば、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングを制御することが可能である。
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ヒステリシスHSの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図16は、イベントA3の場合を示す。
図16を参照して、ヒステリシスHSをゼロに設定した場合には、タイミングT51においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53において測定結果通知が送信され、タイミングT55においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、ヒステリシスHSをゼロより大きく設定した場合には、タイミングT51より後のタイミングT52においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53より後のタイミングT54において測定結果通知が送信され、タイミングT55より後のタイミングT56においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、ヒステリシスHSを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図17は、イベントA3の場合を示す。
図17を参照して、TTTを小さく設定した場合には、タイミングT62において測定結果通知が送信される。
これに対して、TTTを大きく設定した場合には、タイミングT61より後のタイミングT63において測定結果通知が送信される。
すなわち、TTTを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、オフセットOSTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図18は、イベントA3の場合を示す。
図18を参照して、オフセットOSTをゼロに設定した場合には、タイミングT71においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73において測定結果通知が送信され、タイミングT76においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、オフセットOSTをゼロより小さく設定した場合には、タイミングT71より後のタイミングT72においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73より後のタイミングT74において測定結果通知が送信され、タイミングT76より前のタイミングT75においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、オフセットOSTを小さくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。また、レポートオフ状態からレポートオン状態への遷移が遅くなり、かつレポートオン状態からレポートオフ状態への遷移が早くなる。
以上のように、ヒステリシスHSを大きくするか、TTTを大きくするか、あるいはオフセットOSTを小さくすることにより、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。すなわち、無線端末装置202がサービング基地局に接続される時間が長くなることから、”Too Early HO”、”HO to Wrong Cell”および”Ping Pong HO”の発生頻度が減り、”Too Late HO”の発生頻度が増えることになる。
ここで、ヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整する効果の違いについて考察する。
いずれのパラメータを調整しても、ハンドオーバのタイミングを調整することができるが、これらの効果は、干渉を含む地形、および無線端末装置の移動速度等によって異なる。
ヒステリシスHSおよびオフセットOSTを調整することは、セルを仮想的に大きくしたり小さくしたりして、ハンドオーバの行なわれる位置を調整することに相当する。たとえば、サービングセルのヒステリシスHSを大きくすることにより、無線信号の受信電力を大きく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。また、周辺セルのオフセットOSTを負の値に設定することにより、周辺セルからの無線信号の受信電力を小さく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。
また、ヒステリシスHSおよびオフセットOSTは、無線端末装置の移動速度による影響を受けにくいパラメータである。
ここで、無線基地局装置から無線端末装置202へ送信される測定開始要求(Measurement Configuration)およびRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)には、たとえば、周辺セルごとにオフセットOSTが設定され、イベントA1〜A5のうちの少なくとも1つが設定され、設定イベントに対応するヒステリシスHSおよびTTTが設定される。
[無線基地局装置]
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図19を参照して、無線基地局装置101は、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを含む。信号処理部95および制御部98は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
送信信号処理部97は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、無線基地局装置101における各ユニットおよびコアネットワークとの間で各種情報をやり取りする。
[ハンドオーバ動作の実行判断]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置によるハンドオーバ動作の実行判断について詳細に説明する。
前述のように、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作の実行判断に電力測定処理(Measurement)を利用する。この電力測定処理は、たとえば3GPPでは、レイヤ3スタックのRRCに対応する。
電力測定処理には、たとえば、周期的電力測定処理(Periodic Measurement)およびイベント起動電力測定処理(Event Triggered Measurement)の2種類がある。イベント起動電力測定処理における測定結果通知の送信は、たとえば前述のイベントA1〜A5におけるレポートオン状態への遷移によって開始されるが、他の種類のイベントを利用してもよい。
たとえば3GPPでは、周期的電力測定処理の報告周期は120ミリ秒〜60分で設定可能あり、イベント起動電力測定処理の報告周期は0〜5120ミリ秒で設定可能であるが、”TS36.508”および”TS36.523”において推奨値として記載されているように、測定結果の報告周期の最短時間は、イベントA1の256ミリ秒であり、それほど短くない。
このため、次回の測定結果通知が無線端末装置から無線基地局装置に到着する前に電波環境が劣化し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されてしまう可能性がある。
図20は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が受信電力情報のみを用いてハンドオーバ動作の実行判断を行なうと仮定した場合におけるハンドオーバ動作の一例を示す図である。
図20において、横軸は時間であり、縦軸は電波強度である。SVCはサービングセルの電波強度すなわちサービング基地局が送信する無線信号の無線端末装置202における受信電力であり、NBCは周辺セルの電波強度すなわち周辺基地局が送信する無線信号の無線端末装置202における受信電力である。
また、図20において、無線基地局装置101は、タイミングT81〜T83,T86において、無線端末装置202から受信電力情報すなわち測定結果通知をそれぞれ受信する。
図20を参照して、サービングセルの電波強度および周辺セルの電波強度が実線で示すように推移する場合には、無線基地局装置101は、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなる状態を示す受信電力情報をタイミングT86において取得する。そして、無線基地局装置101は、取得した受信電力情報に基づいて、当該無線端末装置202による周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
サービングセルの電波強度および周辺セルの電波強度は、このように実線で示すように推移する場合が理想的である。しかしながら、破線で示すように、サービングセルおよび周辺セルの一方または両方における電波環境が急激に劣化し、ハンドオーバ動作が間に合わず、タイミングT86より前のタイミングT85において無線端末装置202および無線基地局装置101間の無線リンクが切断されてしまう場合がある。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、以下のような構成により、上記問題点を解決する。
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、受信電力情報よりも短い周期で更新される情報、たとえば3GPPにおいて、最短で5ミリ秒周期の報告が可能なCQI(Channel Quality Indication)レポートを併用することにより、無線リンクが切断される可能性を低減する。CQIレポートは、レイヤ2スタックのMAC(Medium Access Control)またはPHY(Physical Layer)に対応する。
CQIレポートは、直接現在の各セルにおける電波状況を通知するものではなく、SINRを用いた以下の式により0〜15の16段階で表現される値である。CQI=0の場合、無線端末装置202の受信品質が最も悪く、CQI=15の場合、無線端末装置202の受信品質が最も良い。
CQI=min(max(round((SINR[dB]+8)/1.892),0),15)
図21は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図21を参照して、制御部98は、受信電力情報取得部(第1測定情報取得部)11と、受信品質情報取得部(第2測定情報取得部)12と、ハンドオーバ動作判断部13と、条件設定部14とを含む。
受信電力情報取得部11は、無線端末装置202における各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報すなわち測定結果通知を取得する。
受信品質情報取得部12は、受信電力情報よりも短い周期で更新され、無線端末装置202における自己の無線基地局装置101からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報すなわちCQIレポートを取得する。
ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置101へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。たとえば、ハンドオーバ動作判断部13は、上記受信品質情報に加えて、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて、上記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
条件設定部14は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて、イベント起動電力測定処理の各種条件、すなわち上記受信電力情報の各種作成条件を変更する。
図22は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断による、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図22を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、CQIレポートによって電力測定処理を補完し、無線リンクが切断される前にハンドオーバ動作の実行を促す。
より詳細には、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、電力測定処理に併せて、電力測定処理よりも報告周期の短いCQIレポートの作成処理を行なわせる。たとえば、無線基地局装置101は、タイミングT83において無線端末装置202に対してCQIレポートの送信を指示し、無線端末装置202から受信したCQIレポートの内容に基づいて電波環境の劣化を検知する。すなわち、無線基地局装置101は、CQIレポートを参照して、サービングセルが周辺セルから受ける干渉により、どの程度無線端末装置202の受信品質が劣化しているかを把握する。
無線基地局装置101は、CQIレポートの値に基づいて、サービングセルにおける無線端末装置202の通信可否を判断し、これ以上通信を継続することは困難であると判断した場合、当該無線端末装置202による周辺セルへのハンドオーバ動作を実行する。
これにより、サービングセルおよび周辺セルの一方または両方における電波環境が破線で示すように急激に劣化しても、図20においてハンドオーバ動作が間に合わず無線端末装置202および無線基地局装置101間の無線リンクが切断されてしまったタイミングT85より前のタイミングT84においてハンドオーバ動作を実行することができる。
[受信電力情報およびCQIレポートの組み合わせ]
本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断における、受信電力情報およびCQIレポートの組み合わせは、種々考えられる。
まず、一段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合について説明する。
図23は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が一段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合における、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図23において、無線基地局装置101は、タイミングT102,T103,T105において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図23を参照して、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作の実行判断を行なうための電力測定処理として、イベント起動電力測定処理を用いる。
すなわち、無線基地局装置101は、イベント起動電力測定処理を無線端末装置202に開始させた段階で、無線端末装置202にCQIレポートの作成処理も開始させ、受信電力情報を監視するとともに、CQIレポートを監視する。
具体的には、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、タイミングT101においてイベント起動電力測定処理を開始するように指示するとともに、同じくタイミングT101においてCQIレポートの作成処理を開始するように指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
そして、タイミングT103の後の、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなり、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差が大きくなったタイミングT104において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
なお、無線基地局装置101は、イベント起動電力測定処理の開始タイミングT101においてCQIレポートの作成処理を開始させる構成に限らず、タイミングT103等、たとえば、ある程度サービングセルの電波環境が劣化してきた段階、もしくは周辺セルの電波環境が改善した段階、またはこれらの両方を満たした段階において、無線端末装置202に対してCQIレポートの作成開始を指示してもよい。
次に、二段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合について説明する。
図24は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置が二段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合における、ハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図24において、無線基地局装置101は、タイミングT112,T115において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図24を参照して、無線基地局装置101は、ある程度サービングセルの電波環境が劣化するまで第一の電力測定処理を用いて周期的な監視を行ない、その後、ハンドオーバ動作の実行判断を行なうための第二の電力測定処理に切り替える。
たとえば、無線基地局装置101は、第一の電力測定処理を周期的電力測定処理とし、第二の電力測定処理をイベント起動電力測定処理とする。このイベント起動電力測定処理に対応するイベントとしては、たとえばイベントA3またはA5が好ましい。
ここでは、無線基地局装置101は、周期的電力測定処理の実行中に、併せてCQIレポートを使用する。これにより、急激な電波環境の変化に応じてイベント起動電力測定処理の起動および条件設定を柔軟に実行する。
すなわち、無線基地局装置101は、周期的電力測定処理を無線端末装置202が開始した段階で、無線端末装置202にCQIレポートの作成処理も開始させ、受信電力情報を監視するとともに、CQIレポートを監視する。
具体的には、無線基地局装置101は、たとえば無線端末装置202との通信コネクションの確立に伴い、無線端末装置202に対して、タイミングT111において周期的測定処理を開始するように指示するとともに、同じくタイミングT111においてCQIレポートの作成処理を開始するように指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
そして、サービングセルの電波強度が徐々に小さくなるとともに周辺セルの電波強度が徐々に大きくなり、両者の差がある程度小さくなったタイミングT113において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、無線端末装置202に対してイベント起動電力測定処理による受信電力情報の送信を指示する。なお、無線基地局装置101は、さらに、タイミングT113において受信したCQIレポートに基づいて、イベント起動電力測定処理のレポートオン状態への遷移条件および報告周期等を設定してもよい。無線端末装置202は、タイミングT114においてイベント起動電力測定処理を開始する。
そして、無線基地局装置101は、タイミングT115において無線端末装置202から受信した受信電力情報に基づいて、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
なお、ここでは、第一の電力測定処理を周期的電力測定処理とし、第二の電力測定処理をイベント起動電力測定処理としたが、これに限定するものではなく、別の組み合わせであってもよい。たとえば、第一の電力測定処理および第二の電力測定処理をイベント起動電力測定処理としてもよいし、第一の電力測定処理を周期的電力測定処理とし、第二の電力測定処理をイベント起動電力測定処理としてもよいし、第一の電力測定処理および第二の電力測定処理を周期的電力測定処理としてもよい。また、イベント種別についても同様であり、使用するイベント種別は限定されない。
また、無線基地局装置101は、三段階以上の電力測定処理によってハンドオーバ動作を実行する構成であってもよい。
この場合、上記のような二段階の電力測定処理と同様の考え方に基づき、無線基地局装置101は、CQIレポートを利用して、次の段階の電力測定処理の起動および条件設定を柔軟に行なうことが可能である。
[CQIレポートの利用方法]
次に、上記のような受信電力情報およびCQIレポートの組み合わせによるハンドオーバ動作の実行判断における、CQIレポートの内容の具体的な利用方法について説明する。
図25は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図25において、無線基地局装置101は、タイミングT122,T123において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図25を参照して、無線基地局装置101は、タイミングT121においてイベント起動電力測定処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信される受信電力情報を監視する。
そして、サービングセルの電波強度が徐々に小さくなるとともに周辺セルの電波強度が徐々に大きくなり、両者の差が小さくなったタイミングT123において、無線基地局装置101は、CQIレポートの作成処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
そして、タイミングT123の後の、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなり、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差が大きくなったタイミングT124において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、無線端末装置および無線基地局装置101間の無線リンクが切断される前に、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
ここで、たとえば、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、イベント起動電力測定処理のイベント種別および条件等を変更する場合には、RRCコネクション再構成指示を利用して、無線基地局装置101から無線端末装置202に変更を通知する必要がある。
このため、無線基地局装置101がCQIレポートを受信した時点で既に電波環境が劣化してきていることから、上記変更が間に合わない可能性がある。
そこで、無線基地局装置101では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報が所定条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作を実行すると判断し、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から他の所定の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行する。
たとえば、無線基地局装置101は、3GPPで規定されているブラインドハンドオーバ(Blind Handover)を利用して、タイミングT124において、周辺セルのうち最も条件の良いセルへの強制的なハンドオーバ動作を実行する。
このブラインドハンドオーバでは、どの周辺セルをハンドオーバ先とするかが重要となる。しかしながら、CQIレポートでは、サービングセル以外の周辺セルについては、周辺セルがサービングセルに与える干渉強度しか分からない。このため、無線基地局装置101は、CQIレポートだけでは、どの周辺セルがハンドオーバ先として最良かを判断することができない。
そこで、無線基地局装置101では、ハンドオーバ動作判断部13は、どの無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するかを、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて決定する。
すなわち、無線基地局装置101は、電力測定処理において、サービングセルの測定だけでなく、周辺セルの測定も併せて実行するように無線端末装置202に対して指示する。具体的には、使用するイベント種別は、周辺セルの測定も必要となるイベントA3またはA5が好ましい。なお、サービングセルのみの測定でよいイベントA1およびA2を使用してもよいが、この場合、周期的電力測定処理においてサービングセルおよび周辺セルの測定を実行する必要がある。
図26は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図26を参照して、まず、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、イベント起動電力測定処理の開始を指示する(ステップS161)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、受信品質情報すなわちCQIレポートの作成開始を指示する(ステップS162)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202から受信品質情報を取得し、取得した受信品質情報に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する(ステップS163)。
次に、無線基地局装置101は、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すると判断した場合、過去に取得済みの受信電力情報に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバ先となる無線基地局装置を選択する(ステップS164)。
次に、CQIレポートの利用方法の他の例として、無線基地局装置101において、条件設定部14は、CQIレポートに基づいて、イベント起動電力測定処理の条件すなわち受信電力情報の作成条件を変更する。たとえば、無線基地局装置101は、実行中のイベント起動電力測定処理について、報告周期すなわちTTTの変更、および報告開始条件すなわちオフセットOSTまたはヒステリシスHSの変更等を行なうことにより、ハンドオーバ動作が実行されやすい状況を作る。
図27は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図27において、無線基地局装置101は、タイミングT132,T133,T136において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図27を参照して、無線基地局装置101は、タイミングT131においてイベント起動電力測定処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信される受信電力情報を監視する。
そして、サービングセルの電波強度が徐々に小さくなるとともに周辺セルの電波強度が徐々に大きくなり、両者の差が小さくなったタイミングT133において、無線基地局装置101は、CQIレポートの作成処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
そして、タイミングT133の後の、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなり、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差がある程度大きくなったタイミングT134において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、イベント起動電力測定処理の条件、たとえばTTTを1/4に短縮するよう、無線端末装置202に対して指示する。
そして、タイミングT134の後の、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差がさらに大きくなったタイミングT135において、無線基地局装置101は、受信電力情報から電波環境のさらなる劣化を検知し、無線端末装置および無線基地局装置101間の無線リンクが切断される前に、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
図28は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図28を参照して、まず、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、イベント起動電力測定処理の開始を指示する(ステップS171)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、受信品質情報すなわちCQIレポートの作成開始を指示する(ステップS172)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202から受信品質情報を取得し、取得した受信品質情報に基づいて、当該無線端末装置202による受信電力情報の作成条件を変更する、たとえば受信電力情報の更新周期を短くする(ステップS173)。
次に、無線基地局装置101は、取得した受信電力情報に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する(ステップS174)。
なお、条件設定部14は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化すなわち無線端末装置202における電波環境の劣化を検知すると、受信電力情報の作成開始が早まるように受信電力情報の作成開始条件を設定する構成であってもよい。
具体的には、タイミングT134において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、イベント起動電力測定処理の条件として、TTTを小さくする代わりに、ヒステリシスHSを小さくするか、オフセットOST1を小さくするか、またはオフセットOST2を大きくするよう、無線端末装置202に対して指示する。
次に、受信電力情報の作成条件を変更する他の例として、無線基地局装置101は、CQIレポートに基づいて、イベント起動電力測定処理の起動タイミングすなわちイベント起動電力測定処理への切り替えタイミングを早める。たとえば、二段階の電力測定処理によってハンドオーバ動作の実行を判断する場合、最終段階の電力測定処理を起動するタイミングを早めることにより、無線リンクが切断される前にハンドオーバ動作を実行することが可能となる。
すなわち、条件設定部14は、第1の周期で受信品質情報が作成される処理たとえば周期的電力測定処理が行なわれている状態において、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化を検知すると、受信電力情報の作成条件を以下のように変更する。すなわち、条件設定部14は、受信電力情報の作成条件を、所定の開始条件が満たされた場合に上記第1の周期より短い第2の周期で受信品質情報が作成される処理たとえばイベント起動電力測定処理の作成条件へ変更する。
この例において、電力測定処理の組み合わせは特に限定する必要はないが、ここでは、上記のように、より一般的に使用されると考えられる周期的電力測定処理およびイベント起動電力測定処理の二段階方式について説明する。
図29は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図29おいて、無線基地局装置101は、タイミングT142,T143において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図29を参照して、無線基地局装置101は、たとえば無線端末装置202との通信コネクションの確立に伴い、タイミングT141において周期的電力測定処理を開始するように、当該無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信される受信電力情報を監視する。
また、無線基地局装置101は、今後取得する周期的電力測定処理の受信電力情報において、サービングセルの電波強度よりも周辺セルの電波強度が所定の閾値より大きくなると、周期的電力測定処理からイベント起動電力測定処理への切り替えを無線端末装置202に対して指示する。
そして、サービングセルの電波強度が徐々に小さくなるとともに周辺セルの電波強度が徐々に大きくなり、両者の差が小さくなったタイミングT143において、無線基地局装置101は、CQIレポートの作成処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
そして、タイミングT143の後の、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなり、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差が大きくなったタイミングT144において、無線基地局装置101は、CQIレポートから電波環境の劣化を検知し、イベント起動電力測定処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信される受信電力情報を監視する。
そして、タイミングT144の後の、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差がさらに大きくなったタイミングT145において、無線基地局装置101は、受信電力情報から電波環境のさらなる劣化を検知し、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
これにより、周期的電力測定処理の受信電力情報によってイベント起動電力測定処理の開始が指示される予定のタイミングT146より前に、イベント起動電力測定処理の開始が早期に指示され、無線端末装置および無線基地局装置101間の無線リンクが切断される前に、周辺基地局へのハンドオーバ動作が実行される。
なお、無線基地局装置101は、タイミングT144において、イベント起動電力測定処理への切り替えを指示するだけでなく、電波環境に応じてイベント起動電力測定処理の条件、たとえばヒステリシスHSおよびオフセットOST等を通常とは異なる値に変更してもよい。
図30は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図30を参照して、まず、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、周期的電力測定処理の開始を指示する(ステップS191)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、受信品質情報すなわちCQIレポートの作成開始を指示する(ステップS192)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202から受信品質情報を取得し、取得した受信品質情報に基づいて、当該無線端末装置202に対して、イベント起動電力測定処理の開始を指示する、すなわち周期的電力測定処理からイベント起動電力測定処理への切り替えを指示する(ステップS193)。なお、無線端末装置202は、単にイベント起動電力測定処理を追加で開始する構成であってもよい。すなわち、無線端末装置202は、前述のように、周期的電力測定処理による測定結果をイベント起動電力測定処理において測定結果通知として送信する構成であってもよい。
次に、無線基地局装置101は、取得した受信電力情報に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する(ステップS194)。
次に、CQIレポートの利用方法の他の例として、ハンドオーバ動作判断部13は、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報が所定条件を満たす場合には、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置101へのハンドオーバ動作を実行すると判断する。そして、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて上記所定条件を調整する。
たとえば、無線基地局装置101は、イベント起動電力測定処理の測定結果にCQIレポートの内容を加味することにより、ハンドオーバ動作が実行されやすい状況を作る。
図31は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートの内容に基づくハンドオーバ動作の一例を示す図である。図の見方は図20と同様である。
図31において、無線基地局装置101は、タイミングT152,T153において、無線端末装置202から受信電力情報をそれぞれ受信する。
図31を参照して、無線基地局装置101は、タイミングT151においてイベント起動電力測定処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信される受信電力情報を監視する。
そして、サービングセルの電波強度が徐々に小さくなるとともに周辺セルの電波強度が徐々に大きくなり、両者の差が小さくなったタイミングT153において、無線基地局装置101は、受信電力情報から電波環境の劣化を検知し、CQIレポートの作成処理を開始するように、無線端末装置202に対して指示する。そして、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを、受信電力情報と併せて監視する。
タイミングT153の後、無線基地局装置101は、CQIレポートを受信するたびに、受信したCQIレポートに基づいて、ハンドオーバ動作の実行を判断するための条件式を演算する。すなわち、無線基地局装置101は、タイミングT153において取得した受信電力情報の内容に、タイミングT153以降において取得したCQIレポートの内容を加味した条件式を用いて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
そして、周辺セルの電波強度がサービングセルの電波強度よりも大きくなり、周辺セルの電波強度とサービングセルの電波強度との差が大きくなったタイミングT154において、無線基地局装置101は、条件式が満たされることから、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行する。
これにより、イベント起動電力測定処理の受信電力情報によってハンドオーバ動作の実行判断がなされる予定のタイミングT155より前に、周辺基地局へのハンドオーバ動作が実行され、無線端末装置および無線基地局装置101間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。
より詳細には、無線基地局装置101は、イベント起動電力測定処理の条件を変更せずに、たとえば以下のような条件式を利用して、CQIレポートの内容を加味する。これにより、ハンドオーバ動作の実行を促すことができる。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST+サービングセルのヒステリシスHS+α×(CQIレポートの値−β))<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST)
ここで、αおよびβは、たとえば正の整数である。すなわち、この条件式では、CQIレポートの値が大きくなるほどサービングセルの電波環境が良く評価される方向になり、ハンドオーバ動作が実行されにくくなる。無線基地局装置101は、このαおよびβを、たとえば自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への”Too Late HO”が生じた回数に基づいて調整してもよい。
すなわち、無線基地局装置101は、イベントA3におけるレポートオン状態への遷移の条件式に対して、CQIレポート値による補正を行っている。通常、この条件式は無線端末装置202において使用される式である。
なお、無線基地局装置101は、イベントごとに定義される条件式に対してCQIレポート値による補正を加える構成に限らず、CQIレポート値単独で条件判定を行ってもよいし、2回以上のCQIレポートの値の組み合わせによって条件判定を行ってもよい。すなわち、ハンドオーバ動作判断部13は、所定条件を満たす場合には、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置101へのハンドオーバ動作を実行すると判断し、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて上記所定条件を設定する。
また、無線基地局装置101は、2回以上のCQIレポートの値をイベントごとに定義される条件式に組み込んでもよい。
図32は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置のハンドオーバ動作の実行判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図32を参照して、まず、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、イベント起動電力測定処理の開始を指示する(ステップS181)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202に対して、受信品質情報すなわちCQIレポートの作成開始を指示する(ステップS182)。
次に、無線基地局装置101は、取得した受信品質情報、および取得済みの最新の受信電力情報すなわち最後に取得した受信電力情報に基づいて、ハンドオーバ動作の実行判断の条件式を求める(ステップS183)。
次に、無線基地局装置101は、求めた条件式からハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する(ステップS184)。
[CQIレポートおよび受信電力情報の評価方法の具体例]
次に、CQIレポートおよび受信電力情報から、電波環境の劣化の検知およびハンドオーバ動作の実行判断を行なう具体例について説明する。
たとえば、無線基地局装置101は、CQIレポートの値だけでハンドオーバ動作の実行判断を行なう。より詳細には、無線基地局装置101におけるハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートに基づいて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置101へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
図33は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図33を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを監視し、CQIレポートの値が所定の閾値以上の場合には(ステップS201でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートを監視する。
一方、無線基地局装置101は、CQIレポートの値が所定の閾値未満になると(ステップS201でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS202)。
また、たとえば、無線基地局装置101は、CQIレポートおよび受信電力情報に基づいて、ハンドオーバ動作の実行判断を行なう。より詳細には、無線基地局装置101におけるハンドオーバ動作判断部13は、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報からSIR(Signal to Interference Ratio)を算出する。SIRは、以下の式で表される。ただし、ターゲットセルは、周辺セルのうちの1つのセルである。
SIR=サービングセルの受信電力−ターゲットセルの受信電力
そして、ハンドオーバ動作判断部13は、SIRとCQIレポートの値との和を評価し、電波環境の劣化を判断する。
図34は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図34を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートおよび受信電力情報を監視し、以下の判定式に従い、SIRとCQIレポートの値との和を評価し、電波環境の劣化を判断する。
Α×SIR+B×CQI<閾値
ただし、AおよびBは任意の値である。上記判定式では、Aが小さいほど、また、Bの値が大きいほど、CQIレポートの値を重視することになる。上記判定式は、サービングセルの受信電力、ターゲットセルの受信電力およびCQIの関数となる。
無線基地局装置101は、上記判定式が満たされない場合には(ステップS211でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートおよび受信電力情報を監視する。
一方、無線基地局装置101は、上記判定式が満たされると(ステップS211でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS212)。
また、たとえば、無線基地局装置101は、CQIレポート、受信電力情報およびこれらの更新経過時間に基づいて、ハンドオーバ動作の実行判断を行なう。すなわち、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートと、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報と、CQIレポートが更新されてから経過した時間および受信電力情報が更新されてから経過した時間の少なくとも一方とに基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
図35は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図35を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートおよび受信電力情報を監視し、また、CQIレポートおよび受信電力情報の更新経過時間を計測し、以下の判定式に従い、SIRとCQIレポートの値との和を評価し、電波環境の劣化を判断する。
Α(T_MR)×SIR+B(T_CQI)×CQI<閾値
ただし、AおよびBは任意の値である。上記判定式では、Aが小さいほど、また、Bの値が大きいほど、CQIレポートの値を重視することになる。上記判定式は、サービングセルの受信電力、ターゲットセルの受信電力、CQI、および更新経過時間の関数となる。
すなわち、無線基地局装置101は、受信電力情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間T_MRに応じてAを調整し、また、CQIレポートが最後に更新されたタイミングからの経過時間T_CQIに応じてBを調整する。具体的には、無線基地局装置101は、上記判定式において、古い情報の重みを小さく設定する。すなわち、無線基地局装置101は、経過時間T_MRが大きいほどAを小さく設定し、経過時間T_CQIが大きいほどBを小さく設定する。
無線基地局装置101は、上記判定式が満たされない場合には(ステップS221でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートおよび受信電力情報を監視する。
一方、無線基地局装置101は、上記判定式が満たされると(ステップS221でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS222)。
また、たとえば、無線基地局装置101は、サービングセルの受信電力に基づいて、CQIレポートの重みを変える。すなわち、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートおよび受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断し、ハンドオーバ動作を実行するか否かの判断におけるCQIレポートの重みすなわち寄与度を、受信電力情報に基づいて調整する。
図36は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図36を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートおよび受信電力情報を監視し、以下の判定式に従い、SIRとCQIレポートの値との和を評価し、電波環境の劣化を判断する。
A(サービングセルの受信電力)×(サービングセルの受信電力−ターゲットセルの受信電力)+B(サービングセルの受信電力)×CQI<閾値
ただし、AおよびBは任意の値である。上記判定式では、Aが小さいほど、また、Bの値が大きいほど、CQIレポートの値を重視することになる。上記判定式は、サービングセルの受信電力、ターゲットセルの受信電力、およびCQIの関数となる。
すなわち、無線基地局装置101は、受信電力情報におけるサービングセルの受信電力に応じてAおよびBを調整する。
ここで、CQIレポートの示す受信品質が悪い原因としては、たとえば、周辺基地局からの干渉電力すなわち周辺セルの受信電力が大きい場合、およびサービング基地局からの信号電力すなわちサービングセルの受信電力が小さい場合の2つが考えられる。周辺基地局からの干渉電力が大きい場合には、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行することにより、無線端末装置202の電波環境を改善することができる。しかしながら、サービング基地局からの信号電力が小さい場合には、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行しても無線端末装置202の電波環境が改善されず、無駄なハンドオーバ動作になる可能性がある。
そこで、無線基地局装置101は、Aの関数において、サービングセルの受信電力が所定の閾値以上の場合にはAを大きくするか、あるいは、Bの関数において、サービングセルの受信電力が所定の閾値以上の場合にはBを小さくすることにより、上記判定式におけるCQIの重みを減らす。
無線基地局装置101は、上記判定式が満たされない場合には(ステップS231でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートおよび受信電力情報を監視する。
一方、無線基地局装置101は、上記判定式が満たされると(ステップS231でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS232)。
また、たとえば、無線基地局装置101は、サービングセルの受信電力に基づいて、CQIレポートの重みを変える。すなわち、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートおよび受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断し、ハンドオーバ動作を実行するか否かの判断におけるCQIレポートの重みすなわち寄与度を、受信電力情報に基づいて、たとえばハンドオーバ先の候補となる無線基地局装置の数に基づいて調整する。
図37は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図37を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートおよび受信電力情報を監視し、以下の判定式に従い、SIRとCQIレポートの値との和を評価し、電波環境の劣化を判断する。
A(測定された基地局数)×(サービングセルの受信電力−ターゲットセルの受信電力)+B(測定された基地局数)×CQI<閾値
ただし、AおよびBは任意の値である。上記判定式では、Aが小さいほど、また、Bの値が大きいほど、CQIレポートの値を重視することになる。上記判定式は、サービングセルの受信電力、ターゲットセルの受信電力、CQIの関数、および基地局数の関数となる。
すなわち、無線基地局装置101は、無線端末装置202における測定対象の周辺基地局数に応じてAおよびBを調整する。
ここで、受信電力情報において、測定対象となっている周辺基地局が、ターゲットセルを形成する周辺基地局であるターゲット基地局以外にも複数ある場合には、CQIレポートの示す受信品質が悪い場合にターゲット基地局へのハンドオーバ動作を実行しても、実はターゲット基地局以外の周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行すべきであったという可能性がある。すなわち、”HO to Wrong Cell”が発生する可能性がある。
そこで、無線基地局装置101は、サービングセルの受信電力およびターゲットセルの受信電力だけではなく、受信電力情報を全体的に活用して、ハンドオーバ先の候補の基地局数すなわち測定対象の周辺基地局数が多い場合には、上記判定式におけるCQIの重みを減らす。
すなわち、無線基地局装置101は、Aの関数において、測定対象の周辺基地局数が所定の閾値以上の場合にはAを大きくするか、あるいは、Bの関数において、測定対象の周辺基地局数が所定の閾値以上の場合にはBを小さくすることにより、上記判定式におけるCQIの重みを減らす。
なお、無線基地局装置101は、無線端末装置202における測定対象の周辺基地局数の代わりに、受信電力情報において受信電力が所定の閾値以上となる周辺基地局の数を用いてもよい。
無線基地局装置101は、上記判定式が満たされない場合には(ステップS241でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートおよび受信電力情報を監視する。
一方、無線基地局装置101は、上記判定式が満たされると(ステップS241でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS242)。
また、たとえば、無線基地局装置101は、複数回分のCQIレポートの統計データに基づいて、ハンドオーバ動作の実行判断を行なう。すなわち、ハンドオーバ動作判断部13は、複数回分のCQIレポートに基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
図38は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による電波環境の劣化判断の手順の一例を定めたフローチャートである。
図38を参照して、無線基地局装置101は、無線端末装置202から送信されるCQIレポートを監視し、複数回分のCQIレポ−トの値に対する統計処理たとえば平均処理を行ってCQIレポートの値を評価し、電波環境の劣化を判断する。無線基地局装置101は、たとえば以下の判定式に従い、電波環境の劣化を判断する。
ΣCQI(t)<閾値
なお、無線基地局装置101は、上記判定式に限らず、たとえば差分情報{CQI(t+1)−CQI(t)}を使用してもよい。
無線基地局装置101は、上記判定式が満たされない場合には(ステップS251でNO)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化していないと判断し、引き続きCQIレポートを監視する。
一方、無線基地局装置101は、上記判定式が満たされると(ステップS251でYES)、当該無線端末装置202の電波環境が劣化したと判断し、たとえば図22〜図32で説明したようにハンドオーバ動作の実行およびイベント起動電力測定処理の条件変更等を行なう。たとえば、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作を実行すると判断した場合には、受信電力情報において最も受信電力の大きい周辺基地局、またはマクロ基地局等の所定の無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する(ステップS252)。
ここで、フェージングおよび測定誤差によってたまたま瞬間的に伝送路特性が悪化し、無線端末装置202における電波環境が劣化したことにより、あるタイミングにおけるCQIレポートの値だけが極端に小さくなる可能性がある。
そこで、無線基地局装置101は、上記のように、異なる時間に取得された受信品質を示す複数回分のCQIレポートに基づいて、ハンドオーバ動作の実行判断を行なう。これにより、瞬間的な伝送路特性の悪化による誤判断を抑制することができる。
なお、無線基地局装置101は、図33〜図38を用いて説明した評価方法を組み合わせて電波環境の劣化判断を行なう構成であってもよい。たとえば、図38で説明したCQIレポートの統計処理後の値を図33〜図37に示す各判定式に用いることが可能である。
図39は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、受信電力情報およびCQIレポートと、通信プロトコルにおける各レイヤとの対応を示す図である。
図39を参照して、無線基地局装置101は、たとえば、RRCレイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤおよびRF(Radio Frequency)レイヤを有する通信プロトコルに従って動作する。ここでは、RRCレイヤが最上位レイヤであり、RFレイヤが最下位レイヤである。
すなわち、受信電力情報取得部11は、上記各レイヤのうちのRRCレイヤに従い、受信電力情報すなわち測定結果通知を取得する。
受信品質情報取得部12は、上記各レイヤのうち、RRCレイヤよりも下位のMACレイヤおよびPHYレイヤの少なくとも一方に従い、CQIレポートを取得する。
受信電力情報はRRCレイヤに対応するため、無線基地局装置101は、R1の矢印で示すようにRRCレイヤ、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤおよびRFレイヤにおいてそれぞれ無線端末装置202との間で要求および応答等のメッセージのやり取りを行なう。
また、CQIレポートはMACレイヤおよびPHYレイヤの少なくとも一方に対応する。このため、無線基地局装置101は、たとえばCQIレポートがMACレイヤに対応する場合、R2の矢印で示すようにMACレイヤ、PHYレイヤおよびRFレイヤにおいてそれぞれ無線端末装置202との間で要求および応答等のメッセージのやり取りを行なう。
このため、CQIレポートは、受信電力情報と比べて取得処理に時間を要さず、無線基地局装置101において短い周期での取得が可能となる。
このように、よりレイヤの低い情報を有効に活用することにより、ハンドオーバ動作の迅速かつ適切な判断が可能となる。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、受信電力情報取得部11は、無線端末装置202における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得する。受信品質情報取得部12は、受信電力情報よりも短い周期で更新され、無線端末装置202における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得する。そして、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短いCQIレポートを用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば”Too Late HO”の発生を抑制することができる。すなわち、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報および受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このように、CQIレポートに加えて受信電力情報をハンドオーバ動作の実行判断に用いる構成により、無線端末装置202の電波環境をより詳細に把握し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、条件設定部14は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて、受信電力情報の作成条件を変更する。
このような構成により、無線端末装置202の受信品質に応じて受信電力情報の作成条件を迅速かつ適切に設定し、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報としてより適切な受信電力情報を取得することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、条件設定部14は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化を検知すると、受信電力情報の更新周期を短くする。
このような構成により、無線端末装置202の受信品質の劣化に応じて受信電力情報の更新タイミングを早めることができるため、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報を、急激な電波環境の変化に追従して迅速に取得することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、受信電力情報は、所定の開始条件が満たされるとその作成が開始される。条件設定部14は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化を検知すると、上記受信電力情報の作成開始が早まるように上記開始条件を設定する。
このような構成により、無線端末装置202の受信品質の劣化に応じて受信電力情報の作成を早期に開始することができるため、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報を、急激な電波環境の変化に追従して迅速に取得することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報が所定条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作を実行すると判断し、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から所定の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行する。
このような構成により、CQIレポートによって無線端末装置202の受信品質の劣化を検知した後、無線端末装置202に対する受信電力情報の作成条件の変更要求等を行なうことなく、迅速にハンドオーバ動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、どの無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するかを、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて決定する。
このような構成により、無線端末装置202の電波環境に応じてハンドオーバ先の無線基地局装置を適切に選択することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、所定条件を満たす場合に、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行すると判断する。そして、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて上記所定条件を設定する。
このような構成により、無線端末装置202の受信品質に応じてハンドオーバ動作の実行判断条件を迅速かつ適切に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報が所定条件を満たす場合に、無線端末装置202による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行すると判断する。そして、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報に基づいて上記所定条件を調整する。
このような構成により、ある受信電力情報の内容からハンドオーバ動作を実行しないと判断した後、次に受信電力情報が更新されるタイミングまでに無線端末装置202の電波環境が急激に劣化した場合でも、上記タイミングを待つことなくハンドオーバ動作を迅速に実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートと、受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報と、CQIレポートが更新されてから経過した時間および受信電力情報が更新されてから経過した時間の少なくとも一方とに基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このように、無線端末装置202の電波環境を示す情報の更新経過時間をハンドオーバ動作の実行判断に用いる構成により、古い情報による誤判断を抑制し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、受信品質情報取得部12によって取得されたCQIレポートおよび受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報に基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断し、ハンドオーバ動作を実行するか否かの判断におけるCQIレポートの重みを、受信電力情報に基づいて調整する。
このような構成により、受信電力情報に基づいてCQIレポートの値を適切に評価することができるため、無線端末装置202の電波環境をより正確に把握し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作判断部13は、複数回分のCQIレポートに基づいて、ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する。
このような構成により、電波環境の瞬間的な変化に起因する誤判断を抑制し、ハンドオーバ動作の実行判断をより適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、受信電力情報取得部11は、通信プロトコルにおける複数レイヤのうちの第1のレイヤに従い、受信電力情報を取得する。受信品質情報取得部12は、上記複数レイヤのうち、第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤに従い、受信品質情報を取得する。
このように、通信プロトコルにおいて、よりレイヤの低い情報を用いてハンドオーバ動作の実行判断を行なう構成により、ハンドオーバ動作の実行判断のための情報の取得時間を短縮することができるため、ハンドオーバ動作の迅速かつ適切な実行判断が可能となる。すなわち、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、たとえば”Too Late HO”の発生を抑制することができる。これにより、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを防ぐことができる。したがって、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
なお、このレイヤの観点から、無線基地局装置は、受信品質情報および受信電力情報を取得する構成に限らず、無線端末装置における1または複数の無線基地局装置からの無線信号の測定結果を示す情報を取得する構成であればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、受信電力情報は3GPPで規定されたRRCレイヤに対応し、受信品質情報は3GPPで規定されたMACレイヤおよびPHYレイヤの少なくとも一方に対応する。
このような構成により、3GPPで規定された通信プロトコルに従って動作する無線基地局装置において、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることが可能となる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置は、無線端末装置202から受信品質情報および受信電力情報を受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線基地局装置は、他の装置を介して無線端末装置202から間接的に受信品質情報および受信電力情報を取得する構成であってもよいし、無線端末装置202以外の装置が作成した受信品質情報および受信電力情報を取得する構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る無線基地局装置と比べてハンドオーバ動作の所要時間を短縮するための制御を追加した無線基地局装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様である。
図3〜図9では、不適切なハンドオーバ動作およびその検出処理について説明した。不適切なハンドオーバ動作を検出した場合、前述のように無線基地局装置は、ヒステリシスHS、オフセットOSTおよびTTT等のパラメータを調整することにより、ハンドオーバ動作を最適化する。
しかしながら、たとえば”Too Late HO”と”Too Early HO”とは相反する事象であり、パラメータの調整についてトレードオフの関係にあるため、バランスよく調整することが困難な場合もある。このようなパラメータ調整の代わりに、あるいはパラメータ調整に加えて、不適切なハンドオーバ動作を抑制する手法が望まれる。
図2では、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を説明した。このシーケンスにおいて、無線基地局装置101Aがハンドオーバ動作を行なうべきであると判断する元となる測定結果通知を無線端末装置202が送信してから、コアネットワーク側の準備処理すなわち無線基地局装置101Aと上位装置および無線基地局装置101Bとの各種情報のやり取りが行なわれ、その後無線基地局装置101Aが無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する処理を行なうまでの準備期間T101を考える。図2に示すシーケンスでは、準備期間T101において無線端末装置202の電波環境が劣化すると、”Too Late HO”が発生する可能性がある。特に、コアネットワーク側の準備処理では、一般の通信回線を経由して情報が送受信される場合が多いことから、当該準備処理の完了までに長時間を要し、準備期間T101が大幅に長くなる可能性がある。
そこで、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムでは、以下のような構成により、”Too Late HO”を効果的に抑制する。
図40は、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図40を参照して、制御部98は、ハンドオーバ要求部21と、ハンドオーバ指示部22と、ハンドオーバ条件調整部23と、ハンドオーバ情報取得部24と、端末測定結果取得部25とを含む。
端末測定結果取得部25は、無線端末装置202からの測定結果通知を取得し、取得した測定結果通知から自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質を求め、当該通信品質をハンドオーバ要求部21およびハンドオーバ指示部22に通知する。
ハンドオーバ要求部21は、自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう、すなわちハンドオーバ要求を他の無線基地局装置へ送信する。たとえば、ハンドオーバ要求部21は、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ準備条件が満たされる場合に、上記要求を他の無線基地局装置に対して行なう。
ハンドオーバ指示部22は、上記要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える、すなわちRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。ここで、ハンドオーバ指示部22は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関するハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。たとえば、ハンドオーバ指示部22は、所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対して上記指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
図41は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
図41を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS301)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS302)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS303)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS304)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS305)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断し、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS306)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS307)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS308)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS309)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS310)。
以上のような準備処理が実行されている間に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS311)。
そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。このようにして、無線基地局装置101Aは、測定結果通知を受信するたびに上記通信品質を更新する(ステップS312)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS313)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS314)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS315)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS316)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS317)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS318)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS319)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS320)。
図42は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図42は、ハンドオーバ動作を中止するシーケンスの一例を示す。図42において想定するケースは図41と同様である。
図42を参照して、ステップS331〜S342の動作は、図41に示すステップS301〜S312の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、最後に取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行なわれたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS343)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS344)。
ここで、無線基地局装置101Aにおいて、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ動作の中止を無線基地局装置101Bに通知する際、自己の無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202間の通信品質が条件を満たしていない旨を上位装置および無線基地局装置101Bに通知する。
具体的には、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との通信品質が原因でハンドオーバ動作を中止する旨を示すフラグをハンドオーバ中止通知において設定し、上位装置および無線基地局装置101Bへ送信する。
これにより、上位装置および無線基地局装置101Bは、たとえばハンドオーバ動作に関するパラメータ設定の誤り等によってハンドオーバ動作が中止された事象との区別をつけることができる。このため、上位装置および無線基地局装置101Bにおいて、新たなパラメータ設定処理等の不要な処理の発生を防ぎ、かつハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、必要であれば当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なうとともに、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS345)。
次に、無線基地局装置101Bは、ハンドオーバ中止通知を受信して、当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なう(ステップS346)。
図41および図42に示すシーケンスにおける無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質の具体例として、たとえば、無線基地局装置101は、イベントA3の条件式を利用して、ハンドオーバ実行条件およびハンドオーバ準備条件を設定する。すなわち、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合にハンドオーバ動作の実行を判断する。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2)
また、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合に、ハンドオーバ動作の準備開始を判断する。ただし、制御値Pはゼロ以上の値である。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2+制御値P)
この式において、制御値Pを大きくすることにより、ハンドオーバ動作の準備開始タイミングが早くなる。これにより、ハンドオーバ動作の実行タイミングを早め、”Too Late HO”を抑制することができる。
ただし、制御値Pを大きくしすぎると、ハンドオーバ動作が実行されずに当該ハンドオーバ動作の準備処理が無駄になる場合が増える。このような場合には、制御値Pを小さくすることにより、ハンドオーバ動作の準備開始タイミングがハンドオーバ動作の実行タイミングに近づくことになり、無駄な準備処理が行なわれる可能性を低くすることができる。
また、制御値Pを正の値に設定すると、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて良い品質となる。すなわち、ハンドオーバ準備条件は、ハンドオーバ実行条件と比べて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう必要性の低い条件となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、上位装置からのハンドオーバ指示の受信時において把握している最新の通信品質が制御値P相当分以上劣化している場合に、ハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。すなわち、制御値Pを正の値に設定する場合、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができるため、無線端末装置202の電波環境の変化に対して迅速にハンドオーバ動作を実行することが可能となる。
また、制御値Pをゼロに設定すると、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と同等となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、上位装置からのハンドオーバ指示の受信時において把握している最新の通信品質が良好になっている場合に、ハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する。すなわち、制御値Pをゼロに設定する場合、無線端末装置202の電波環境の好転によって行なう必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することが可能となる。
また、無線基地局装置101において、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質およびハンドオーバ準備条件の示す通信品質の差を調整可能である。
たとえば、ハンドオーバ情報取得部24は、ハンドオーバ指示部22によってハンドオーバ動作の中止が他の無線基地局装置に通知された回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ情報取得部24によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
あるいは、ハンドオーバ情報取得部24は、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作が不適切であった回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ情報取得部24によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
具体的には、ハンドオーバ条件調整部23は、以下のような式に従って制御値Pを調整する。ただし、W1およびW2は重み付け係数であり、それぞれ正の値および負の値である。
P=W1×”Too Late HO”の回数+W2×無駄な準備処理が行なわれた回数(ハンドオーバ動作の中止回数)
なお、上記各回数は、ある無線基地局装置において、1つの他の無線基地局装置についての回数に限らず、複数の他の無線基地局装置についての合計回数とすることも可能である。
また、無線基地局装置101は、たとえばCQIレポートの値を通信品質として利用してもよい。
CQIレポートは、直接現在の各セルにおける電波状況を通知するものではなく、SINRを用いた以下の式により0〜15の16段階で表現される値である。CQI=0の場合、無線端末装置202の受信品質が最も悪く、CQI=15の場合、無線端末装置202の受信品質が最も良い。
CQI=min(max(round((SINR[dB]+8)/1.892),0),15)
また、無線基地局装置101は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けてから、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たすまで待機する構成であってもよい。すなわち、無線基地局装置101において、ハンドオーバ指示部22は、他の無線基地局装置からの応答を受けて、ハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機する。そして、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ実行条件が満たされると無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える。一方、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ実行条件が満たされる前に通信品質に関する所定のハンドオーバ中止条件が満たされた場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
すなわち、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作の準備処理の完了後、無線端末装置202からたとえば周期的に到着する測定結果通知に基づいて自己および当該無線端末装置202間の通信品質を監視し、当該通信品質がハンドオーバ実行条件を満たした時点で、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える。
これにより、ハンドオーバ動作の準備処理の開始タイミングを早めるほど、最適なタイミングでハンドオーバ動作を実行できる可能性が高まる。
図43は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図43において想定するケースは図41と同様である。
図43を参照して、ステップS361〜S370の動作は、図41に示すステップS301〜S310の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
ハンドオーバ動作の準備処理が実行されている間に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS371)。
そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。このようにして、無線基地局装置101Aは、測定結果通知を受信するたびに上記通信品質を更新する(ステップS372)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、通信品質が所定のハンドオーバ実行条件またはハンドオーバ中止条件を満たすまで待機する(ステップS373)。
次に、無線基地局装置101Aは、更新された通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS374)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS375)。
ステップS376〜S381の動作は、図41に示すステップS315〜S320の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図44は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図44は、ハンドオーバ動作を中止するシーケンスの一例を示す。図44において想定するケースは図41と同様である。
図44を参照して、ステップS401〜S413の動作は、図43に示すステップS361〜S373の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、更新された通信品質がハンドオーバ中止条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行なわれたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS414)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS415)。
ここで、図42に示すシーケンスと同様に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との通信品質が原因でハンドオーバ動作を中止する旨を示すフラグをハンドオーバ中止通知において設定し、上位装置へ送信する。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、必要であれば当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なうとともに、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS416)。
次に、無線基地局装置101Bは、ハンドオーバ中止通知を受信して、当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なう(ステップS417)。
図43および図44に示すシーケンスにおける無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質の具体例として、たとえば、無線基地局装置101は、イベントA3の条件式を利用して、ハンドオーバ中止条件を設定する。すなわち、図42および図43に示すシーケンスにおいて説明したハンドオーバ動作の実行判断および準備開始判断の条件式に加えて、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合にハンドオーバ動作の中止を判断する。ただし、制御値Qは正の値である。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS+制御値Q)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2)
この式において、制御値Qを正の値に設定すると、ハンドオーバ中止条件の示す通信品質は、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質と比べて良い品質となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、通信品質が制御値Q相当分以上良くなっている場合に、ハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する。すなわち、制御値Qを正の値に設定する場合、無線端末装置202の電波環境の好転に対して適切にハンドオーバ動作を中止することが可能となる。
また、制御値Qをゼロに設定すると、ハンドオーバ準備条件およびハンドオーバ中止条件が等しくなり、ハンドオーバの準備処理および中止処理が繰り返されてしまうが、制御値Qを正の値に設定することにより、このような事象の発生を防ぐことができる。
なお、ハンドオーバ中止条件は、通信品質に関する条件である場合に限らず、たとえば経過時間であってもよい。
具体的には、図44において、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS407)前後においてタイマをスタートさせ、タイマの満了をハンドオーバ中止条件とする。そして、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ実行条件を満たす前にスタートさせておいたタイマが満了すると、無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行なわれたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断し、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS414)。
図45は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいてハンドオーバ動作に要する時間の内訳の一例を示す図である。
図45を参照して、ハンドオーバ動作に要する時間は、たとえば無線端末装置202における電力測定処理の間隔に相当する時間T201と、TTTに相当する時間T202と、ハンドオーバ動作の準備処理時間T203と、ハンドオーバ動作の実行時間、すなわちRRCコネクション再構成指示が送信されてからハンドオーバ完了通知が送信されるまでの時間T204との和である。
なお、TTTは、前述のように、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が一定間隔で測定結果通知を送信するための周期である。このため、時間T201および時間T202は重複する場合がある。図45では、説明を簡単にするために、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が最初に送信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作が行なわれる場合を示している。
時間T201は、たとえば200msであり、CQIレポートを利用する場合には5msとなる。また、時間T202は、たとえば0ms〜2000msである。また、時間T203は、たとえば50ms〜150msである。また、時間T204は、たとえば40msである。
時間T201および時間T202については、ヒステリシスHS、オフセットOSTおよびTTT等のパラメータを調整することによって短縮することが可能である。
そして、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、前述のようにハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の実行判断処理を行なう構成により、時間T203を理想的には0msまで短縮することが可能である。
すなわち、”Too Late HO”の発生頻度が高く、かつハンドオーバ動作のタイミングを早めるためのパラメータ調整がこれ以上困難な場合に、たとえば前述の制御値Pを大きくする。これにより、ハンドオーバ動作の準備処理のタイミングを早め、適切なハンドオーバ動作を実現することができる。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ要求部21は、自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう。ハンドオーバ指示部22は、上記要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える。そして、ハンドオーバ指示部22は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部22は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の中止に伴い、たとえば他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部22は、他の無線基地局装置から上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機する。そして、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ実行条件が満たされると無線端末装置202に対してハンドオーバ指示を与える。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備処理が完了した後、無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質がハンドオーバ実行条件を満たした時点で、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えることができるため、最適なタイミングでハンドオーバ動作を実行することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機し、ハンドオーバ実行条件が満たされる前に通信品質に関するハンドオーバ中止条件が満たされた場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
このような構成により、タイマの満了等の適切なタイミング、または電波環境に応じた適切な条件でハンドオーバ動作を中止し、ハンドオーバ動作の待機時間の増大を防ぐことができる。また、ハンドオーバ動作の中止に伴い、たとえば他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ要求部21は、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ準備条件が満たされる場合に、ハンドオーバ要求を他の無線基地局装置に対して行なう。ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と同等である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備期間において無線端末装置の電波環境が好転し、実行する必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することができるため、不要となったハンドオーバ動作の実行を抑制することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて同等であるかまたは良い品質であり、ハンドオーバ中止条件の示す通信品質は、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備期間において無線端末装置の電波環境が好転し、実行する必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することができるため、不要となったハンドオーバ動作の実行を抑制することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ動作の中止を他の無線基地局装置に通知する際、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質が条件を満たしていない旨を他の無線基地局装置に通知する。
これにより、他の無線基地局装置は、たとえばハンドオーバ動作に関するパラメータ設定の誤り等によってハンドオーバ動作が中止された事象との区別をつけることができる。このため、他の無線基地局装置における新たなパラメータ設定処理等の余計な処理の発生を防ぎ、かつハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質およびハンドオーバ準備条件の示す通信品質の差を調整する。
このような構成により、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度、およびハンドオーバ動作の中止頻度の調整が可能となり、より適切なハンドオーバ動作を実現することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ指示部22によってハンドオーバ動作の中止が他の無線基地局装置に通知された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の中止頻度の観点から、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度、およびハンドオーバ動作の中止頻度を適切に調整することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ情報取得部24は、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作が不適切であった回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部23は、ハンドオーバ情報取得部24によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
このような構成により、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度の観点から、不適切なハンドオーバ動作の発生頻度およびハンドオーバ動作の中止頻度を適切に調整することができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質として、サービングセルの受信電力および周辺セルの受信電力の関係、あるいはCQIレポートの値を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置202の受信電力に限らず、パイロット信号の誤り率等、無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質を示す何らかの指標を用いる構成であればよい。また、イベントA3以外のイベントの条件式を利用する構成であってもよい。また、下り方向の通信品質に限らず、上り方向の通信品質を利用する構成であってもよい。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
<シミュレーション>
本願発明者らは、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る無線基地局装置の動作についてシミュレーションを行った。以下、本シミュレーションの内容および結果について詳細に説明する。
図46は、シミュレーション対象の無線通信システムにおける無線環境パラメータを示す図である。
図46を参照して、本シミュレーションの対象となる無線通信システムの無線環境パラメータは、「基地局数/セクタ数」、「基地局間距離」、「パスロス」すなわち無線基地局装置が送信する無線信号の送信電力と、無線端末装置における当該無線信号の受信電力との差、「基地局アンテナゲイン」すなわち無指向性を0dBとした場合の指向性によるゲイン、「端末アンテナゲイン」、「シャドウィング」すなわち無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変動量、「シャドウィングの相関距離」すなわちシャドウィングの2地点間の相関が0.5となるときの当該2地点間の距離、「シャドウィングの相関値」、「基地局アンテナ指向性パターン」、「キャリア周波数/帯域」、「基地局の総送信電力」、「アンテナ構成」および「基地局−端末間の最小距離」である。
具体的には、この無線通信システムにおけるマクロ基地局数は19であり、マクロ基地局が3つのセクタを有するものとして総セクタ数は57であり、ピコ基地局数は1であり、ピコ基地局が1つのセクタを有するものとして総セクタ数は1である。マクロ基地局間の距離は500mであり、マクロ基地局およびピコ基地局間の距離は250mである。マクロ基地局についてのパスロスは、マクロ基地局および無線端末装置間の距離をd[m]として15.3+37.6×log10(d)[dB]であり、ピコ基地局についてのパスロスは、ピコ基地局および無線端末装置間の距離をd[m]として30.6+36.7×log10(d)[dB]である。マクロ基地局のアンテナゲインは15dBiであり、ピコ基地局のアンテナゲインは5dBiである。無線端末装置202のアンテナゲインはマクロ基地局およびピコ基地局のいずれにおいても0dBiである。マクロ基地局についてのシャドウィングの標準偏差は8dBであり、ピコ基地局についてのシャドウィングの標準偏差は10dBである。マクロ基地局についてのシャドウィングの相間距離は25mであり、ピコ基地局についてのシャドウィングの相間距離は25mである。マクロ基地局についてのシャドウィングの相関値はセル間で0.5であり、セクタ間で1であり、ピコ基地局についてのシャドウィングの相関値はセル間で0.5である。マクロ基地局のアンテナの指向性パターンは3次元のパターンであり、ピコ基地局のアンテナは無指向性である。マクロ基地局の送信側のキャリア周波数および帯域はそれぞれ2.0GHzおよび10MHzであり、ピコ基地局の送信側のキャリア周波数および帯域はそれぞれ2.0GHzおよび10MHzである。マクロ基地局の総送信電力は46dBmであり、ピコ基地局の総送信電力は30dBmである。マクロ基地局の有する送信アンテナは1本であり、ピコ基地局の有する送信アンテナは1本であり、無線端末装置202の有する受信アンテナは2本である。その他、無線基地局装置および無線端末装置間の最小距離等のパラメータは、3GPP TR 36.814に従う。
図47は、シミュレーション対象の無線通信システムにおける電力測定処理(Measurement)のパラメータを示す図である。
図47を参照して、本シミュレーションでは、プロファイルとしてセット1〜セット5を設けている。セット1からセット5の順番で、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなり、セット5においてハンドオーバ動作のタイミングが最も早くなる。また、電力測定処理のパラメータは、端末移動速度、基地局負荷率、TTT、イベントA3のオフセットOST、電力測定間隔すなわち測定結果通知の更新周期、およびフィルタリング係数αである。
ここで、フィルタリング係数αについて説明する。無線端末装置202は、たとえば、時刻(t−1)において測定した受信電力M(t−1)、時刻(t−1)より後の時刻tにおいて測定した受信電力M(t)およびフィルタリング係数αから、以下の式で表される受信電力MR(t)を算出する。
MR(t)=(1−2−α/4)×MR(t−1)+2−α/4×M(t)
無線端末装置202は、受信電力MR(t)を示す測定結果通知を無線基地局装置へ送信する。
フィルタリング係数αを大きくする場合には、より過去の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。一方、フィルタリング係数αを小さくする場合には、より最近の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなる。
セット1〜セット5において、無線端末装置202の移動速度は時速3km,30km,60km,120kmであり、基地局負荷率は100%である。また、セット1において、TTTは480msであり、オフセットOSTは3dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは4である。セット2において、TTTは160msであり、オフセットOSTは3dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは4である。セット3において、TTTは160msであり、オフセットOSTは2dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは1である。セット4において、TTTは80msであり、オフセットOSTは1dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは1である。セット5において、TTTは40msであり、オフセットOSTは−1dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは0である。
ここでは、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による、CQIレポートを用いてハンドオーバ動作の実行判断を行なう動作を「CQIによるHO判断」と称し、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置における、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておく動作を「HO準備短縮」と称する。
本シミュレーションでは、無線基地局装置は、CQIレポートの値が所定値以下になると、ハンドオーバ動作の実行を判断する。具体的には、無線基地局装置は、CQIレポートの値が1以下になるとハンドオーバ動作を実行する。
また、無線基地局装置は、最も新しい測定結果通知において受信電力が最も大きい無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する。
また、無線基地局装置は、無線端末装置202から、CQIレポートを10msに1回受信し、測定結果通知を200msに1回受信する。
また、HO準備短縮を行なった場合におけるハンドオーバ動作の準備処理時間は10msであり、HO準備短縮を行なわない場合におけるハンドオーバ動作の準備処理時間は、図2に示すように、X2インタフェースを用いずにS1インタフェースを用いるハンドオーバ動作を想定し、100msである。
図48は、ハンドオーバ失敗確率のシミュレーション結果を示す図である。
図48を参照して、CQIによるHO判断は行なわず、HO準備短縮を行なう構成では、ハンドオーバ失敗(HOF)の発生確率を、CQIによるHO判断を行なわず、かつHO準備短縮を行なわない構成と比べてほとんどのケースで減少させることができる。
また、CQIによるHO判断を行ない、HO準備短縮を行なわない構成では、CQIによるHO判断は行なわず、HO準備短縮を行なう構成と比べて、ハンドオーバ失敗(HOF)の発生確率を大幅に減少させることができる。
また、CQIによるHO判断を行ない、かつHO準備短縮を行なう構成では、CQIによるHO判断を行ない、HO準備短縮を行なわない構成と比べて、ハンドオーバ失敗(HOF)の発生確率をさらに減少させることができる。
図49は、”Ping Pong HO”の発生確率のシミュレーション結果を示す図である。
図49を参照して、CQIによるHO判断は行なわず、HO準備短縮を行なう構成では、”Ping Pong HO”の発生確率は、CQIによるHO判断を行なわず、かつHO準備短縮を行なわない構成と比べて一部に若干の増加が見られる。これは、ハンドオーバ失敗(HOF)が回避されていることによるものである。
また、CQIによるHO判断を行ない、HO準備短縮を行なわない構成では、CQIによるHO判断を行なわず、かつHO準備短縮を行なわない構成と比べて、セット1およびセット2における”Ping Pong HO”の発生確率が増加している。これは、ハンドオーバ失敗(HOF)を回避することによるものである。一方、セット3〜5では、不要なハンドオーバ動作が回避されることにより、”Ping Pong HO”の発生確率が減少している。
また、CQIによるHO判断を行ない、かつHO準備短縮を行なう構成では、CQIによるHO判断を行ない、HO準備短縮を行なわない構成と比べて、”Ping Pong HO”の発生確率が増加している。これは、HO準備短縮により、ハンドオーバ失敗(HOF)がさらに回避されることによるものである。
図50は、図48に示すハンドオーバ失敗確率、および図49に示す”Ping Pong HO”の発生確率の和を示す図である。
図50を参照して、CQIによるHO判断は行なわず、HO準備短縮を行なう構成、CQIによるHO判断を行ない、HO準備短縮を行なわない構成およびCQIによるHO判断を行ない、かつHO準備短縮を行なう構成のいずれでも、CQIによるHO判断を行なわず、かつHO準備短縮を行なわない構成と比べて、ハンドオーバ失敗確率および”Ping Pong HO”の発生確率の和がほとんどのケースで減少している。
図51は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置による改善対象を示す図である。
図51は、サービングセルにおける電波環境よりもターゲットセルにおける電波環境の方が良くなってから、実際にハンドオーバ動作が完了するまでの経過時間の内訳を示している。
ハンドオーバ動作に要する時間は、たとえば無線端末装置202における電力測定処理の間隔に相当する時間T211と、TTTに相当する時間T212と、ハンドオーバ動作の準備処理時間T213と、ハンドオーバ動作の実行時間、すなわちRRCコネクション再構成指示が送信されてからハンドオーバ完了通知が送信されるまでの時間T214との和である。
なお、TTTは、前述のように、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が一定間隔で測定結果通知を送信するための周期である。このため、時間T211および時間T212は重複する場合がある。図51では、説明を簡単にするために、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が最初に送信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作が行なわれる場合を示している。
時間T211は、たとえば200msであり、CQIレポートを利用する場合には最短で5msとなる。また、時間T212は、たとえば40ms〜1000msである。また、時間T213は、たとえば40ms〜100msである。また、時間T214は、たとえば50msである。
本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における「CQIによるHO判断」による改善対象は、時間T211および時間T212であり、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置における「HO準備短縮」による改善対象は、時間T213である。
ハンドオーバ動作に要する時間のうち、ハンドオーバ動作の準備処理時間である時間T213が占める割合は、全体の10%〜20%程度である。しかしながら、CQIによるHO判断を行なう構成では、時間T211を短縮することができるため、時間T213の上記割合が高くなる。HO準備短縮を行なえば、時間T213を10msに短縮することができるため、特にCQIによるHO判断と組み合わせた構成において、ハンドオーバ失敗の発生確率を大きく改善することができる。
なお、ハンドオーバ動作の準備処理は、ハンドオーバ動作の実行判断の後に行なわれる。このため、HO準備短縮を行っても、”Ping Pong HO”の発生を減らす、すなわち不要なハンドオーバ動作の実行回数を減らす、という効果は直接的には得られない。
以上のように、本シミュレーションから、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置により、無線端末装置のハンドオーバ動作が適切に制御され、無線通信システムにおける通信の安定化が図られることが確認された。
<第3の実施の形態>
上述した第2の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第3の実施の形態では、無線基地局装置101A,101Bだけでなくコアネットワークにおける上位装置が切り替えられる場合について説明する。以下で説明する内容以外は第2の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。なお、上位装置としては、例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS−GW(Serving Gateway)が挙げられる。
以下、本発明の第3の実施の形態として、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてMMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合とに分けて説明する。
(a)MMEの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図52は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図52を参照して、無線通信システム401は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。ここでは、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101Bが周辺基地局(ターゲット基地局とも称する)に相当する場合を想定する。
図52では、2つの無線基地局装置101A,101Bを代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。無線通信システム401は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを備える。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B、S−GW161、および、P−GW163を介してIP網302(上位ネットワーク)におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162Aは、無線通信システム401における無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Aは、無線基地局装置101Aとの間で制御メッセージを送受信する。また、MME162Bは、無線通信システム401における無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Bは、無線基地局装置101Bとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101Bは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101A,101BおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびMME162Bも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,162BおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびMME162Bは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム401におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図53は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図53を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS421)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断し、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS422)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、対応する上位装置であるMME162Aへ送信する(ステップS423)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MMEの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Aは、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101Bが自己の管理対象であるか否かを判断する(ステップS424)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Bが自己の管理対象ではないことから、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへ無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS425)。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161と、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161とが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161と、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161とが同じであることから、MME162Bは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS426)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS427)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS428)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS429)。
ここで、無線端末装置202のハンドオーバ動作の準備期間中に無線基地局装置101Aに当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットが蓄積されている場合、または、S−GW161から対象パケットが新たに受信された場合、無線基地局装置101Aがこの対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送するデータフォワーディングが行われる。
このため、MME162Aは、MME162Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS430)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS431)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、以上のようなハンドオーバ動作の準備処理が実行されて、無線基地局装置101AがMME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS432)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS433)。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS434)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS435)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS436)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS437)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS438)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS439)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161へ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS440)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS441)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS442)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS443)。
そして、S−GW161は、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS444)。
そして、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS445)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS446)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、データフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS447)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、データフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS448)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図54は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図54を参照して、ステップS451からステップS462までの動作は、図53に示すステップS421からステップS432までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS463)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS464)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ中止通知をMME162Bへ転送する(ステップS465)。
次に、MME162Bは、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS466)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Bへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS467)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信すると、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS468)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS469)。
次に、MME162Aは、データフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS470)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、データフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS471)。
(b)S−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図55は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図55を参照して、無線通信システム402は、図52に示す無線通信システム401と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101Aと、無線基地局装置101Bとを備える。ここでは、図52に示す場合と同様に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるようにハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。
無線通信システム402は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B(ゲートウェイ装置)と、MME162(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
S−GW161Aは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されている。S−GW161Aは、無線基地局装置101A経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Bは、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161Bは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101B経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム402における無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101Bとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101Aは、S−GW161AおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101Bは、S−GW161BおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101BおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161A,161Bは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161BおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム402におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図56は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図56を参照して、ステップS481からステップS483までの動作は、図53に示すステップS421からステップS423までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MME162の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101Bが自己の管理対象であるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101BがMME162の管理対象であることから、MME162は、MMEの切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS484)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS485)。
次に、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、S−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS486)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS487)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS488)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS489)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS490)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS491)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS492)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS493)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する(ステップS494)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS495)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS496)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS497)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS498)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS499)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS500)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162は、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS501)。
そして、S−GW161Bは、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS502)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS503)。
次に、MME162は、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS504)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS505)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS506)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS507)。
次に、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS508)。
次に、MME162は、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS509)。
次に、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS510)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図57は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図57を参照して、ステップS511からステップS524までの動作は、図56に示すステップS481からステップS494までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS525)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS526)。
次に、MME162は、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS527)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS528)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS529)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS530)。
次に、MME162は、S−GW161Bから通信経路の削除応答を受信すると、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS531)。
そして、ステップS532からステップS535までの動作が実行される。これらステップS532からステップS535までの動作は、図56に示すステップS507からステップS510までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
(c)MMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図58は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図58を参照して、無線通信システム403は、図52に示す無線通信システム401と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101Aと、無線基地局装置101Bとを備える。ここでは、図52に示す場合と同様に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるようにハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。
無線通信システム403は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
無線基地局装置101Aは、S−GW161AおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101Bは、S−GW161BおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101BおよびMME162Bは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。MME162BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161BおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびMME162Bは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム403におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図59は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図59を参照して、ステップS541からステップS545までの動作は、図53に示すステップS421からステップS425までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS546)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットがS−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS547)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bから通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162Bへ送信する(ステップS548)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS549)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS550)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS551)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Bへ送信する(ステップS552)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS553)。
次に、MME162Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための論理的な通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS554)。
次に、S−GW161Aは、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS555)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する(ステップS556)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS557)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS558)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS559)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS560)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS561)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS562)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS563)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS564)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS565)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS566)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS567)。
そして、S−GW161Bは、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスすなわち論理的な通信経路の切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS568)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162Aは、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS569)。
次に、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS570)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS571)。
次に、S−GW161Aは、MME162Aから通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS572)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS573)。
次に、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS574)。
次に、MME162Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS575)。
次に、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Bへ送信する(ステップS576)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図60は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図60を参照して、ステップS581からステップS596までの動作は、図59に示すステップS541からステップS556までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS597)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS598)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ中止通知をMME162Bへ転送する(ステップS599)。
次に、MME162Bは、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS600)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Bへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS601)。
次に、MME162Bは、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS602)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bから通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162Bへ送信する(ステップS603)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信すると、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS604)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS605)。
そして、ステップS606からステップS609までの動作が実行される。これらステップS606からステップS609までの動作は、図59に示すステップS573からステップS576までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
なお、図53、図54、図56、図57、図59および図60に示すシーケンスにおける無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202間の通信品質として、CQIレポートの値を利用してもよい。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、無線通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム401では、無線基地局装置101Aは、自己から無線基地局装置101Bへの無線端末装置202のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を対応のMME162Aへ送信する。また、MME162Aは、ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の無線基地局装置101Bが自己の管理対象でない場合には、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへハンドオーバ要求を送信する。また、MME162Bは、受信したハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bへ送信し、無線基地局装置101Bからハンドオーバ要求に対する応答を受信するとMME162Aに応答を送信する。また、MME162Aは、MME162Bから応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対するハンドオーバ動作を行うための指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、無線基地局装置101Aを管理するMME162Aと、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bとが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な無線通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置202のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム401では、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、ハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bに対して送信し、準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、MME162の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム402では、無線基地局装置101Aは、自己から無線基地局装置101Bへの無線端末装置202のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求をMME162へ送信する。また、MME162は、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101Bと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Bとが異なる場合には、通信経路作成要求をS−GW161Bへ送信する。また、S−GW161Bは、通信経路作成要求を受信すると、上位ネットワークから送信される無線端末装置202宛の通信データおよび無線端末装置202から送信される上位ネットワークへの通信データを中継可能とする通信経路を作成し、通信経路作成要求に対する通信経路作成応答をMME162へ送信する。また、MME162は、通信経路作成応答を受信すると、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101Bからハンドオーバ要求に対する応答を受信すると無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。また、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対するハンドオーバ動作を行うための指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101Bと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Bとが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な無線通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置202のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム402では、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、前記ハンドオーバ要求をMME162へ送信し、準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、S−GW161の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
<第4の実施の形態>
上述した第2の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第4の実施の形態では、切り替え先すなわちハンドオーバ先の候補が無線基地局装置101Bだけでなく複数存在する場合について説明する。以下で説明する内容以外は第2の実施の形態に係る無線基地局装置と同様である。
(a)ハンドオーバ先の候補が複数存在する場合における課題
まず、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する場合における課題について説明する。図61は、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例を説明するための図であり、図62は、図61に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
図61を参照して、無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
図62を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。この測定結果には、周辺セルの無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の受信電力の測定結果および無線基地局装置101B,101CのセルIDが含まれている(ステップS611)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置101B,101Cのうち無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する(ステップS612)。
次に、ステップS612において例えば無線基地局装置101Bがハンドオーバ先として選択された場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置であるMME(Mobility Management Entity)162へ送信する(ステップS613)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS614)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MMEへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS615)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS616)。上記のようにして、ハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS617)。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS618)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS619)。
そして、ステップS620からステップS626までの動作が実行される。これらステップS620からステップS626までの動作は、図41に示すステップS314からステップS320までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図63は、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例における課題を説明するための図であり、図64は、図63に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
図63を参照して、無線端末装置202がセルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域内に位置し、無線端末装置202との間の通信品質が最も良い無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作の準備処理が完了した後に、無線端末装置202がセルCC内へ進入した場合を想定する。この場合、図64に示すような動作が実行される。
図64を参照して、まず、ステップS631からステップS638までの動作が実行される。これらステップS631からステップS638までの動作は、図62に示すステップS611からステップS618までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて通信品質を新たに取得する。このとき、無線端末装置202はセルCC内へ進入しており、無線基地局装置101Aにより新たに取得された無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202間の通信品質は、所定のハンドオーバ実行条件を満たしていないとする。この場合、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202の無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS639)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162に対して無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS640)。そして、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS641)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS642)。そして、MME162は、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS643)。
次に、無線基地局装置101Aは、新たに取得した測定結果に基づいて、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。このとき、無線端末装置202は、セルCC内へ進入しているため、無線基地局装置101Cが新たにハンドオーバ先の無線基地局装置として選択される(ステップS644)。そして、再びハンドオーバ動作の準備処理(ステップS645からステップS649)が行われる。これらステップS645からステップS649までの動作は、図62に示すステップS613からステップS617までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
このように、ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理が繰り返される。
(b)本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム
次に、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404について、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数あり、(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合と、(ii)無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合と、(iii)ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先を選択する場合であって、無線端末装置202とサービング基地局との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされているか否かを判断する準備判断、および、周辺基地局へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する実行判断においてCQIレポートおよび受信電力情報の両方を用いる場合とに分けて説明する。
再び図61を参照して、本発明の第4の実施の形態では、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した状況において、無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ動作の準備条件を満たしている場合を想定する。
(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合
[構成および基本動作]
図65は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図65を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。図65では、3つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。無線通信システム404は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW(Serving Gateway)161(ゲートウェイ装置)と、MME(Mobility Management Entity)162(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを含む。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B,101Cと、S−GW161と、P−GW163とを介してIP網302におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム401における無線基地局装置101A,101B,101C、および無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101B,101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101Cは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
(無線基地局装置の詳細な構成)
また、無線通信システム404の無線基地局装置101A,101B,101Cは、いずれも本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置101と同様である。すなわち、図19を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを含む。
また、無線通信システム404の無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、いずれも本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置の制御部98と同様である。すなわち、図40を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、ハンドオーバ要求部21と、ハンドオーバ指示部22と、ハンドオーバ条件調整部23と、ハンドオーバ情報取得部24と、端末測定結果取得部25とを有する。
ハンドオーバ要求部21は、ハンドオーバ要求を複数の他の無線基地局装置へ送信する。たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部21は、無線端末装置202と無線基地局装置101B,101Cとの間でハンドオーバの準備条件が満たされている場合、無線基地局装置101B,101Cの双方に対してハンドオーバ要求を送信する。
ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、この応答に対応する他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部21が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部22は、無線基地局装置101B,101Cをハンドオーバ先の候補として、これら無線基地局装置101B,101Cの中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
具体的には、ハンドオーバ指示部22は、無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいて、無線端末装置202との間の通信状態が良い方の無線基地局装置をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。
また、ハンドオーバ指示部22は、選択したハンドオーバ先の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を、無線端末装置202へ送信する。
また、ハンドオーバ指示部22は、本発明の第2の実施の形態と同様に、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101A,101B,101Cおよび無線端末装置202間の通信品質に関するハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。たとえば、ハンドオーバ指示部22は、所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対してRRCコネクション再構成指示を送信せず、ハンドオーバ中止通知を他の無線基地局装置へ送信する。
また、ハンドオーバ指示部22は、無線基地局装置101B,101Cから上記応答を受信した後、所定期間取得できない測定結果に対応する他の無線基地局装置を、ハンドオーバ先の候補から外すことが可能である。
すなわち、たとえば、無線端末装置202により受信電力の測定が行われ、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備が開始されてから、次に上記測定が行われるまでの間に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Cとの間の受信電力を測定することができない程度に無線基地局装置101Cから離れた位置へ移動する場合を想定する。この場合、無線基地局装置101Aが、上記応答を受信してから所定期間内に無線端末装置202から受信する測定結果通知には、無線基地局装置101Bと無線端末装置202との通信状態を示す受信電力の測定結果に関する情報が含まれているものの、無線基地局装置101Cと無線端末装置202との通信状態を示す受信電力の測定結果に関する情報が含まれていないということがある。このような場合、ハンドオーバ指示部22は、無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補から外すことができる。
また、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ動作が完了した後、上記応答に対応する他の無線基地局装置のうちハンドオーバ先の無線基地局装置以外の他の無線基地局装置へハンドオーバ動作の中止通知を送信する。
すなわち、たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部21が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合であって、ハンドオーバ指示部22が、ハンドオーバ先として無線基地局装置101Bを選択する場合を想定する。この場合、無線基地局装置101Aが、たとえば上位装置経由で無線基地局装置101Bからハンドオーバが完了したことを示す通知を受信すると、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ先ではない無線基地局装置101Cへハンドオーバ動作の中止通知を送信する。
[動作]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作の流れについて説明する。図66は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図66を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。この測定結果通知には、周辺セルの無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の受信電力の測定結果が含まれている(ステップS651)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bおよび無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補とする(ステップS652)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求をMME162へ送信する(ステップS653)。また、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求をMME162へ送信する(ステップS654)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS655)。また、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Cへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS656)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS657)。また、無線基地局装置101Cは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS658)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへ無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするハンドオーバ指示を送信する(ステップS659)。また、MME162は、無線基地局装置101Cからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへ無線基地局装置101Cをハンドオーバ先とするハンドオーバ指示を送信する(ステップS660)。上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS661)。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS662)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第4の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS663)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS664)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS665)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS666)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS667)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS668)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS669)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知をMME162へ送信する(ステップS670)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS671)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS672)。
そして、MME162は、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS673)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS674)。
なお、上述した動作の流れでは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了し(ステップS668)、無線基地局装置101AがMME162から端末情報解放指示を受信した(ステップS669)後に、無線基地局装置101AがMME162へハンドオーバ中止通知を送信している(ステップS670)。しかしながら、必ずしもこのような動作の流れに限定されず、例えば、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了する前に無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作中止通知をMME162へ送信してもよい。この場合、例えば、ステップS670からステップS673までの動作が、ステップS667の前に行われる。
このように、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、無線基地局装置101A,101B,101Cのハンドオーバ要求部21は、ハンドオーバ要求を複数の他の無線基地局装置に対して行う。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置との間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ応答を受信して、この応答に対応する他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択し、無線端末装置202に対してハンドオーバ先の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行う指示を与える。
このように、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択したうえで無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える構成により、当該指示内に複数の無線基地局装置を提示する場合と比べて情報量を少なくすることができ、当該指示内容を簡潔にすることができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ応答を受信した後、この応答に対応する他の無線基地局装置から送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備完了後の無線端末装置202における電波環境に応じて、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ応答を受信した後、所定期間取得できない測定結果に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補から外す。
このような構成により、たとえば、無線端末装置202が受信電力を測定できない程度に無線端末装置202との距離が離れてしまった無線基地局装置をハンドオーバ先の候補から外すことができるため、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ動作が完了した後、ハンドオーバ応答に対応する他の無線基地局装置のうちハンドオーバ先の無線基地局装置以外の他の無線基地局装置へハンドオーバ動作の中止要求を送信する。
ここで、たとえば、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作がハンドオーバ動作の完了前に中止された後、無線端末装置202が、当該中止対象の無線基地局装置に近づく方向に移動する場合、当該中止対象の無線基地局装置が最適なハンドオーバ先となることがある。この場合、当該中止対象の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を再び行う必要がある。
これに対して、無線通信システム404におけるハンドオーバ指示部22は、上記のように、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を無線端末装置202のハンドオーバ動作が完了した後に中止する。これにより、ハンドオーバ動作が完了するまでの間に無線端末装置202が移動して電波状況が変わり、他の周辺基地局へのハンドオーバ動作が行われる場合であっても、再びハンドオーバ動作の準備処理を行う必要がない。
(ii)無線端末装置がハンドオーバ先を選択する場合
[構成および基本動作]
次に、無線端末装置202が、複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する場合について説明する。ここでは、上述した「(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合」における無線通信システム404と異なる点について説明する。
(無線基地局装置の詳細な構成)
再び図19を参照して、第4の実施の形態に係る無線通信システム405の無線基地局装置101A,101B,101Cは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。
また、無線通信システム405の無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、いずれも本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置の制御部98と同様である。すなわち、図40を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、ハンドオーバ要求部21と、ハンドオーバ指示部22と、ハンドオーバ条件調整部23と、ハンドオーバ情報取得部24と、端末測定結果取得部25とを含む。
ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、この応答に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補とし、この候補である無線基地局装置を示す情報を無線端末装置202へ送信する。
たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部21が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部22は、無線基地局装置101B,101Cをハンドオーバ先の候補として、これら無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を、無線端末装置202へ送信する。
ここで、図67は、RRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の比較例を示す図であり、図68は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ要求部から送信されるRRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の一例を示す図である。
図67に示すように、たとえば、無線基地局装置101Aがハンドオーバ先として無線基地局装置101Bを選択して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する場合には、無線基地局装置101Aは、RRCコネクション再構成指示の「Mobility Control Info」に無線基地局装置101Bの情報のみを含める(図67の「Info1」参照)。
これに対して、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合には、たとえば図68に示すように、無線基地局装置101Aは、RRCコネクション再構成指示の「Mobility Control Info」に複数の無線基地局装置の情報(「Target Cell List」)を列挙して無線端末装置202へ送信する(図68の「Info2」参照)。これにより、無線端末装置202は、受信したRRCコネクション再構成指示から、ハンドオーバ先の候補である複数の無線基地局装置を把握することができる。
そして、無線端末装置202が、RRCコネクション再構成指示を受信してハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。ハンドオーバ指示部22は、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報を受信して、自己の無線基地局装置の通信状態を示す状態通知をハンドオーバ先の無線基地局装置へ送信する。
(無線端末装置の詳細な構成)
図69は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの無線端末装置の構成を示す図である。
図69を参照して、無線通信システム405の無線端末装置202は、アンテナ31と、サーキュレータ32と、受信部33と、送信部34と、信号処理部35とを備える。信号処理部35は、受信信号処理部36と、選択部37と、通信制御部38とを含む。
サーキュレータ32は、アンテナ31において受信された無線基地局装置101A,101B,101Cからの無線信号を受信部33へ出力し、また、送信部34から受けた無線信号をアンテナ31へ出力する。
受信部33は、サーキュレータ32から受けた無線信号を信号処理部35へ出力する。受信信号処理部36は、受信部33から出力される無線信号に対して、CDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の各種信号処理を行う。
選択部37は、たとえば、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101A,101B,101Cから受信したRRCコネクション再構成指示に基づいて、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
具体的には、無線端末装置202の選択部37は、無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいて、無線端末装置202との間の通信状態が良い方の無線基地局装置をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。
通信制御部38は、選択部37により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報または自ら生成した情報に対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の各種信号処理を行ない、この信号処理後の信号を送信部34へ出力する。
送信部34は、通信制御部38から受けた信号をサーキュレータ32へ出力する。たとえば、送信部34は、選択部37により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報、すなわちハンドオーバ先通知をサーキュレータ32およびアンテナ31を介して、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101Aへ送信する。
[動作]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム405において、無線端末装置202がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作の流れについて説明する。図70は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図70を参照して、ステップS681からステップS692までの動作が実行される。これらステップS681からステップS692までの動作は、図66に示すステップS651からステップS662までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS693)。
次に、無線基地局装置101Aは、測定結果通知に基づいてハンドオーバ先の候補として判断した無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を無線端末装置202へ指示するため、RRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する(ステップS694)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を受信して、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。第4の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS695)。
次に、無線端末装置202は、選択したハンドオーバ先の無線基地局装置101Bを示す情報、すなわちハンドオーバ先通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS696)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置101Bを示す情報を受信して、MME162へ無線基地局装置101Aの通信状態等を示す状態通知を送信する。この状態通知には、たとえばハンドオーバ先として選択された無線基地局装置101Bを示す情報が含まれる(ステップS697)。
そして、ステップS698からステップS706までの動作が実行される。これらステップS698からステップS706までの動作は、図66に示すステップS666からステップS674までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記のように、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム405において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ応答を受信して、この応答に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補として示す情報を無線端末装置202へ送信する。
このように、無線端末装置202にハンドオーバ先の無線基地局装置を選択させる構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が選択する場合に比べて、最新の電波環境に応じてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム405において、ハンドオーバ指示部22は、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報を受信して、受信した情報の示すハンドオーバ先の無線基地局装置へ所定の情報を送信する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が、無線端末装置202により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を把握したうえで、ハンドオーバ動作に必要な情報を当該ハンドオーバ先の無線基地局装置へ送信するので、無駄のない情報の送受信を行うことができる。
(iii)ハンドオーバ動作の準備判断および実行判断においてCQIレポートおよび受信電力情報の両方を用いる場合
[構成および基本動作]
次に、ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aが複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する場合であって、ハンドオーバ動作の準備判断および実行判断においてCQIレポートおよび受信電力情報の両方を用いる場合について説明する。
ここでは、上述した「(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合」における無線通信システム404と異なる点について説明する。
(無線基地局装置の詳細な構成)
本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406の無線基地局装置101A,101B,101Cは、いずれも本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置101と同様である。すなわち、図19を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを含む。
また、図71は、本発明の第4の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図71を参照して、無線通信システム404の無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、受信電力情報取得部(第1測定情報取得部)11と、受信品質情報取得部(第2測定情報取得部)12と、ハンドオーバ動作判断部13と、条件設定部14と、ハンドオーバ要求部21と、ハンドオーバ指示部22と、ハンドオーバ条件調整部23と、ハンドオーバ情報取得部24と、端末測定結果取得部25とを有する。
受信電力情報取得部11は、無線端末装置202における各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報すなわち測定結果通知を取得する。
受信品質情報取得部12は、受信電力情報よりも短い周期で更新され、無線端末装置202における自己の無線基地局装置101からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報すなわちCQIレポートを取得する。
ハンドオーバ要求部21は、自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう、すなわちハンドオーバ要求を他の無線基地局装置へ送信する。
たとえば、ハンドオーバ要求部21は、受信品質情報取得部12からCQIレポートを取得し、このCQIレポートの値が所定の閾値より低い場合に、自己が形成するセルCAが周辺セルから受ける干渉により無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断する。そして、ハンドオーバ要求部21は、無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断した場合に、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ準備条件が満たされるか否かを判断し、このハンドオーバ準備条件が満たされる場合には、ハンドオーバ要求を他の無線基地局装置に対して行う。
ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える、すなわちRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。
たとえば、ハンドオーバ指示部22は、受信品質情報取得部12からCQIレポートを取得し、このCQIレポートの値が所定の閾値より低い場合には、無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断する。そして、ハンドオーバ指示部22は、無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断した場合に、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされるか否かを判断し、このハンドオーバ実行条件が満たされる場合には、上記指示を他の無線基地局装置に対して与える。
また、ハンドオーバ指示部22は、このハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。たとえば、ハンドオーバ指示部22は、所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対して上記指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
[動作]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406において、ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作の流れについて説明する。
図72は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図72を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知すなわち受信電力情報を、無線基地局装置101Aへ送信する。この測定結果通知には、周辺セルの無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の受信電力の測定結果が含まれている(ステップS721)。
次に、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す受信を示す受信電力情報よりも短い周期で更新され、自己における無線基地局装置101Aからの無線信号の受信品質を示す受信品質情報すなわちCQIレポートを、無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS722)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信したCQIレポートの値に基づいて、無線端末装置202の電波環境の劣化を検知する(ステップS723)。そして、無線基地局装置101Aは、受信したCQIレポートの値が所定の閾値以上である場合には、無線端末装置202の受信品質は劣化していないと判断し、測定結果通知の受信(ステップS721)およびCQIレポートの受信(ステップS722)を繰り返す。
一方、無線基地局装置101Aは、受信したCQIレポートの値が所定の閾値より低い場合には、無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断して、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであるか否かを判断する(ステップS724)。
すなわち、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、ステップS721において無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bおよび無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補とする。
そして、ステップS725からステップS733までの動作が実行される。このステップS725からステップS733までの動作は、図66に示すステップS653からステップS661までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS734)。また、無線端末装置202は、新たなCQIレポートを、無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS735)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から新たに受信したCQIレポートの値に基づいて、無線端末装置202の電波環境の劣化を検知する(ステップS736)。そして、無線基地局装置101Aは、新たに受信したCQIレポートの値が所定の閾値より低い場合には、無線端末装置202の受信品質が劣化していると判断して、ハンドオーバ動作を実行すべきであるか否かを判断する(ステップS737)。
すなわち、無線基地局装置101Aは、ステップS734において無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。
なお、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備完了後にCQIレポートを受信(ステップS735)した後、ハンドオーバ動作の実行判断を行う前に、さらに、無線端末装置202から測定結果通知を新たに受信した場合には、新たに受信した最新の測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作の実行判断を行うことができる。
また、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備判断(ステップS724)を行う前に受信した測定結果通知(ステップS721)に基づいてハンドオーバ動作の実行判断を行ってもよい。
そして、ステップS738からステップS748までの動作が実行される。このステップS738からステップS748までの動作は、図66に示すステップS664からステップS674までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
なお、上述した本発明の第4の実施の形態では、無線基地局装置101Aが無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作の準備判断および実行判断を行う場合について説明した。しかしながら、必ずしもこのような形態に限定されず、たとえば、無線基地局装置101Aは、CQIレポートの値単独で上記準備判断および実行判断を行ってもよいし、2回以上のCQIレポートの値の組み合わせによって上記準備判断および実行判断を行ってもよい。
具体的には、無線基地局装置101Aは、CQIレポートの値に基づいて、自己により形成されるサービングセルにおける無線端末装置202の通信可否を判断し、これ以上通信を継続することは困難であると判断した場合、当該無線端末装置202による周辺セルへのハンドオーバ動作を実行すべきであると判断することができる。
上記のように、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406において、ハンドオーバ要求部21は、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化が検知された場合に、ハンドオーバ動作の要求を複数の他の無線基地局装置に対して行うか否かを判断する。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短いCQIレポートを用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理を迅速に行い、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを一層防ぐことができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406において、ハンドオーバ指示部22は、ハンドオーバ要求に対する応答を受信した後、受信品質情報取得部12によって取得された受信品質情報から受信品質の劣化が検知された場合に、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このように、受信電力情報よりも更新周期の短いCQIレポートを用いる構成により、急激な電波環境の変化に追従することが可能となるため、周辺基地局へのハンドオーバ動作を迅速に実行し、無線端末装置および無線基地局装置間の無線リンクが切断されることを一層防ぐことができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406において、ハンドオーバ指示部22は、受信品質情報取得部12によって受信品質情報が取得されるよりも前に受信電力情報取得部11によって取得された受信電力情報のうち最新の受信電力情報に示される測定結果に基づいてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このように、予め取得された受信電力情報が用いられる構成により、ハンドオーバ指示部22が受信品質情報から受信品質の劣化を検知した場合に、迅速にハンドオーバ先の無線基地局装置を選択することができる。
<第5の実施の形態>
上述した第2の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第5の実施の形態では、切り替え先すなわちハンドオーバ先の候補が複数あり、かつ、コアネットワークにおける上位装置も切り替えられる場合について説明する。以下で説明する内容以外は第2の実施の形態に係る無線基地局装置と同様である。なお、上位装置としては、第2の実施の形態と同様に、例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS−GW(Serving Gateway)が挙げられる。
以下、本発明の第5の実施の形態として、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合とに分けて説明する。
(a)MMEの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図73は、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図73を参照して、第5の実施の形態に係る無線通信システム407は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。
図61および図63を参照して、図61に示すように、無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
再び図73を参照して、無線通信システム407は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B,162C(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを備える。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B,101Cと、S−GW161と、P−GW163とを介してIP網302(上位ネットワーク)におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162Aは、無線通信システム407における無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Aは、無線基地局装置101Aとの間で制御メッセージを送受信する。また、MME162Bは、無線通信システム407における無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Bは、無線基地局装置101Bとの間で制御メッセージを送受信する。MME162Cは、無線通信システム407における無線基地局装置101Cおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Cは、無線基地局装置101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびMME162Bも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101CおよびMME162Cも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,162B,162CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,MME162BおよびMME162Cは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
図74は、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図74を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS811)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bおよび無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補とする(ステップS812)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求をMME162Aへ送信する(ステップS813)。また、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求をMME162Aへ送信する(ステップS814)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MMEの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Aは、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101B,101Cが自己の管理対象であるか否かを判断する(ステップS815)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Bが自己の管理対象ではないことから、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへ無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS816)。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWと同じであることから、MME162Bは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS817)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS818)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS819)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS820)。
ここで、無線端末装置202のハンドオーバ動作の準備期間中に無線基地局装置101Aに無線端末装置202宛のパケットである対象パケットが蓄積されている場合、または、S−GW161から対象パケットが新たに受信された場合、無線基地局装置101Aがこの対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送するデータフォワーディングが行われる。
このため、MME162Aは、MME162Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS821)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS822)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、以上のようなハンドオーバ動作の準備処理が実行されて、無線基地局装置101AがMME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS823)。
また、MME162Aは、無線基地局装置101Cが自己の管理対象ではないことにより、無線基地局装置101Cを管理するMME162Cへ無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS824)。
次に、MME162Cは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Cは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWと同じであることから、MME162Cは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS825)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cへハンドオーバ要求を送信する(ステップS826)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162Cからハンドオーバ要求を受信して、MME162Cへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS827)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS828)。
次に、MME162Aは、MME162Cからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS829)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS830)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Cへ転送する(ステップS831)。
上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS832)。なお、上記のようなステップS816からステップS823までの動作と、ステップS824からステップS831までの動作は並行して行われるものとする。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS833)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第5の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS834)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS835)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS836)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS837)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS838)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS839)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS840)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161へ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる(ステップS841)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS842)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS843)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS844)。
次に、S−GW161は、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。そして、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS845)。
そして、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、上記のようなデータフォワーディングが完了すると、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS846)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択されて無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162Aへ送信する(ステップS847)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162Cへ転送する(ステップS848)。
次に、MME162Cは、MME162Aからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS849)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162Cから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Cへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS850)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS851)。
次に、MME162Aは、MME162Cから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS852)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS853)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間のデータフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS854)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間のデータフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS855)。
また、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間のデータフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS856)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間のデータフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS857)。
なお、上述した動作の流れでは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了し、無線基地局装置101AがMME162から端末情報解放指示を受信した(ステップS846)後に、無線基地局装置101AがMME162へハンドオーバ中止通知を送信している(ステップS847)。しかしながら、必ずしもこのような動作の流れに限定されず、例えば、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了する前に無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作中止通知をMME162へ送信してもよい。この場合、たとえば、ステップS847からステップS852までの動作が、ステップS840の前に行われる。
このように、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システム407において、MME162Aは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ先として無線基地局装置101B,101Cを示すハンドオーバ要求を受信し、ハンドオーバ要求の示す無線基地局装置101B,101Cごとに自己の管理対象であるか否かを判断し、自己の管理対象でない場合には、無線基地局装置101B,101Cを管理するMME162B,162Cへハンドオーバ要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置101A,101B,101Cとの間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
(b)S−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図75は、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図75を参照して、第5の実施の形態に係る無線通信システム408は、図73に示す無線通信システム407と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
再び図75を参照して、無線通信システム408は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B,161C(ゲートウェイ装置)と、MME162(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
S−GW161Aは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されている。S−GW161Aは、無線基地局装置101A経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Bは、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161Bは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101B経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Cは、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161Cは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム402における無線基地局装置101A,101B,101Cおよび無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101B,101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101CおよびS−GW161Cは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161A,161B,161Cは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161B,161CおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
図76は、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図76を参照して、ステップS861からステップS864までの動作は、図74に示すステップS811からステップS814までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MME162の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101B,101Cが自己の管理対象であるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101B,101CがMME162の管理対象であることから、MME162は、MMEの切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS865)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。また、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS866)。
次に、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS867)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS868)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS869)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS870)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS871)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS872)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS873)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS874)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS875)。
また、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GW161Cを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路の作成をS−GW161Cへ要求する(ステップS876)。
次に、S−GW161Cは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS877)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Cへハンドオーバ要求を送信する(ステップS878)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS879)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161Cへ送信する(ステップS880)。
次に、S−GW161Cは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Cは、S−GW161AとS−GW161Cとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Cは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS881)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS882)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS874)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Cへ転送する(ステップS884)。
上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS885)。なお、上記のようなステップS867からステップS875までの動作と、ステップS876からステップS884までの動作は並行して行われるものとする。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS886)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第5の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS887)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS888)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS889)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS890)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS891)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる(ステップS892)。
次に、MME162は、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS893)。
そして、S−GW161Bは、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。そして、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS894)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS895)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS896)。
次に、MME162は、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS897)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択されて無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162へ送信する(ステップS898)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路の削除をS−GW161Cへ要求する(ステップS899)。
次に、S−GW161Cは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS900)。
次に、MME162は、S−GW161Cから通信経路の削除応答を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS901)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS902)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS903)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS904)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS905)。
次に、MME162は、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS906)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS907)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS908)。
また、MME162は、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS909)。
また、MME162は、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Cへ要求する(ステップS910)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS911)。
また、S−GW161Cは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS912)。
なお、図74および図76に示すシーケンスにおける無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202間の通信品質として、CQIレポートの値を利用してもよい。
このように、本発明の第5の実施の形態に係る無線通信システム408において、MME162Aは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ先として無線基地局装置101B,101Cを示すハンドオーバ要求を受信し、ハンドオーバ要求の示す無線基地局装置101B,101Cごとに、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置161Aと、無線基地局装置101B,101Cと上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置161B,161Cとが異なるか否かを判断し、異なると判断したゲートウェイ装置161B,161Cへ通信経路作成要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置101A,101B,101Cとの間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
なお、本発明の第5の実施の形態では、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合とを説明したが、本発明に係る無線通信システムは、ハンドオーバ動作においてMMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合であっても対応することができる。
また、本発明の第5の実施の形態では、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101Aが、複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する場合について説明したが、無線端末装置202が無線基地局装置101Aから複数のハンドオーバ先の候補を示す情報を受信して、無線端末装置202が複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 受信電力情報取得部(第1測定情報取得部)
12 受信品質情報取得部(第2測定情報取得部)
13 ハンドオーバ動作判断部
14 条件設定部
21 ハンドオーバ要求部
22 ハンドオーバ指示部
23 ハンドオーバ条件調整部
24 ハンドオーバ情報取得部
25 端末測定結果取得部
31 アンテナ
32 サーキュレータ
33 受信部
34 送信部
35 信号処理部
36 受信信号処理部
37 選択部
38 通信制御部
91 アンテナ
92 サーキュレータ
93 無線受信部
94 無線送信部
95 信号処理部
96 受信信号処理部
97 送信信号処理部
98 制御部
101A,101B,101C 無線基地局装置
161 S−GW(ゲートウェイ装置)
161A S−GW(ゲートウェイ装置)
161B S−GW(ゲートウェイ装置)
161C S−GW(ゲートウェイ装置)
162 MME(通信制御装置)
162A MME(通信制御装置)
162B MME(通信制御装置)
162C MME(通信制御装置)
163 P−GW
202 無線端末装置
301 コアネットワーク
302 IP網(上位ネットワーク)
401,402,403 無線通信システム
404,405,406,407,408 無線通信システム

Claims (16)

  1. 無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置であって、
    無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するための受信電力情報取得部と、
    前記受信電力情報よりも短い周期で更新され、前記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するための受信品質情報取得部と、
    前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報に基づいて、前記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するためのハンドオーバ動作判断部とを備え
    前記無線基地局装置は、さらに、
    自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置のハンドオーバ動作を行なう要求を前記他の無線基地局装置に対して行なうためのハンドオーバ要求部と、
    前記要求に対する前記他の無線基地局装置からの応答を受けて、前記無線端末装置に対して自己の無線基地局装置から前記他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与えるためのハンドオーバ指示部とを備え、
    前記ハンドオーバ指示部は、前記応答を受けて、自己の無線基地局装置および前記無線端末装置間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされていない場合には、前記無線端末装置に対する前記指示の付与を中止するかまたは保留し、
    前記ハンドオーバ要求部は、前記要求を複数の前記他の無線基地局装置に対して行う、無線基地局装置。
  2. 前記無線基地局装置は、さらに、
    前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報に基づいて、前記受信電力情報の作成条件を変更するための条件設定部を備える、請求項1に記載の無線基地局装置。
  3. 前記条件設定部は、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報から前記受信品質の劣化を検知すると、前記受信電力情報の更新周期を短くする、請求項2に記載の無線基地局装置。
  4. 前記受信電力情報は、所定の開始条件が満たされるとその作成が開始され、
    前記条件設定部は、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報から前記受信品質の劣化を検知すると、前記受信電力情報の作成開始が早まるように前記開始条件を設定する、請求項2または請求項3に記載の無線基地局装置。
  5. 前記ハンドオーバ動作判断部は、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報が所定条件を満たす場合には、前記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、前記無線端末装置による自己の無線基地局装置から所定の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行する、請求項1に記載の無線基地局装置。
  6. 前記ハンドオーバ動作判断部は、どの無線基地局装置への前記ハンドオーバ動作を実行するかを、前記受信電力情報取得部によって取得された前記受信電力情報に基づいて決定する、請求項5に記載の無線基地局装置。
  7. 前記ハンドオーバ動作判断部は、所定条件を満たす場合に前記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報に基づいて前記所定条件を設定する、請求項1に記載の無線基地局装置。
  8. 前記ハンドオーバ動作判断部は、前記受信電力情報取得部によって取得された前記受信電力情報が所定条件を満たす場合に前記ハンドオーバ動作を実行すると判断し、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報に基づいて前記所定条件を調整する、請求項7に記載の無線基地局装置。
  9. 前記ハンドオーバ動作判断部は、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報および前記受信電力情報取得部によって取得された前記受信電力情報に基づいて、前記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断し、前記ハンドオーバ動作を実行するか否かの判断における前記受信品質情報の重みを、前記受信電力情報に基づいて調整する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の無線基地局装置。
  10. 前記ハンドオーバ動作判断部は、複数回分の前記受信品質情報に基づいて、前記ハンドオーバ動作を実行するか否かを判断する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の無線基地局装置。
  11. 前記ハンドオーバ指示部は、前記応答を受信して、前記応答に対応する前記他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択し、前記無線端末装置に対して前記ハンドオーバ先の無線基地局装置への前記ハンドオーバ動作を行う指示を与える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の無線基地局装置。
  12. 記ハンドオーバ要求部は、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報から前記受信品質の劣化が検知された場合に、前記要求を複数の前記他の無線基地局装置に対して行うか否かを判断する、請求項または請求項11に記載の無線基地局装置。
  13. 記ハンドオーバ指示部は、前記応答を受信した後、前記受信品質情報取得部によって取得された前記受信品質情報から前記受信品質の劣化が検知された場合に、前記ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する、請求項11に記載の無線基地局装置。
  14. 記ハンドオーバ指示部は、前記受信品質情報取得部によって前記受信品質情報が取得されるよりも前に前記受信電力情報取得部によって取得された前記受信電力情報のうち最新の受信電力情報に示される前記測定結果に基づいて前記ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する、請求項13に記載の無線基地局装置。
  15. 無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置における通信制御方法であって、
    無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するステップと、
    前記受信電力情報よりも短い周期で更新され、前記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、
    取得した前記受信品質情報に基づいて、前記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するステップとを含み
    前記通信制御方法は、さらに、
    自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置のハンドオーバ動作を行なう要求を前記他の無線基地局装置に対して行なうステップと、
    前記要求に対する前記他の無線基地局装置からの応答を受けて、前記無線端末装置に対して自己の無線基地局装置から前記他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与えるステップとを含み、
    前記指示を与えるステップにおいては、前記応答を受けて、自己の無線基地局装置および前記無線端末装置間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされていない場合には、前記無線端末装置に対する前記指示の付与を中止するかまたは保留し、
    前記要求を行うステップにおいては、前記要求を複数の前記他の無線基地局装置に対して行う、通信制御方法。
  16. 無線端末装置がハンドオーバ動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおいて、無線端末装置との間で無線信号を送受信するための無線基地局装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、
    無線端末装置における各無線基地局装置からの無線信号の受信電力の測定結果を示す受信電力情報を取得するステップと、
    前記受信電力情報よりも短い周期で更新され、前記無線端末装置における自己の無線基地局装置からの無線信号の受信品質を示す受信品質情報を取得するステップと、
    取得した前記受信品質情報に基づいて、前記無線端末装置による自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を実行するか否かを判断するステップとを実行させるためのプログラムであり
    前記通信制御プログラムは、さらに、コンピュータに、
    自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置のハンドオーバ動作を行なう要求を前記他の無線基地局装置に対して行なうステップと、
    前記要求に対する前記他の無線基地局装置からの応答を受けて、前記無線端末装置に対して自己の無線基地局装置から前記他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与えるステップとを実行させるためのプログラムであり、
    前記指示を与えるステップにおいては、前記応答を受けて、自己の無線基地局装置および前記無線端末装置間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされていない場合には、前記無線端末装置に対する前記指示の付与を中止するかまたは保留し、
    前記要求を行うステップにおいては、前記要求を複数の前記他の無線基地局装置に対して行う、通信制御プログラム。
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