JP2013200144A - 異常音診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】音データ取得手段で検査対象機器の動作と同期して取得した当該機器の音データから、分析手段で各時間の強度からなる標本系列を求め、学習時の標本系列を基準標本系列とし、診断時の対象標本系列と基準標本系列に基づき推定される補正量または補正量系列により、対象標本系列か基準標本系列の少なくとも一方を補正手段で補正し、補正後の対象標本系列または基準標本系列と対応する基準標本系列または対象標本系列とを比較して異常度を算出し、算出された異常度を閾値と比較して判定異常度を出力する判定手段を備える。
【選択図】図1
Description
検査対象とする機器から発生する音を学習時と診断時とで取得し、学習時と診断時との音を比較し、音の異常を診断する異常音診断装置であって、
上記検査対象機器の動作と同期して検査対象機器から発生する音データを取得する音データ取得手段と、
上記音データから、各時間の強度からなる標本系列を求める分析手段と、
学習時の標本系列を基準標本系列として記憶する記憶手段と、
診断時の標本系列である対象標本系列と上記基準標本系列に基づいて推定される補正量または補正量系列に基づいて、対象標本系列または基準標本系列の少なくとも何れか一方を補正する補正手段と、
上記補正後の対象標本系列または基準標本系列と対応する基準標本系列または対象標本系列とを比較し異常度を算出するとともに算出された異常度を所定の閾値と比較して判定異常度を出力する判定手段とを備える。
本実施の形態は、検査対象機器の発する異常な音を診断する装置として、パーソナルコンピュータ(以下PCと称す)上のソフトウェアとして実装され、正常時の波形を取込む学習モードと試験時の波形を取込む診断モードを有する。測定者はマイク、音響センサー、加速度センサー等の集音器を検査対象機器に設置し、集音器をPCのUSB(Universal Serial Bus)インタフェースの入力端子に接続して、学習モード時と診断モード時の操作を行う。
図1において、1はマイクや音響センサーや振動センサーなどの集音器、2は集音器1からの信号をサンプリングしデジタル信号に変換して波形データ3を出力する波形取得部、4は波形データ3に時間窓を掛け時間窓を時間方向にずらしながら高速フーリエ変換(以下FFTと称す)演算により波形データ3を時間周波数分析し時間と周波数に対する強度を示すスペクトル値からなる時間周波数分布5を出力する時間周波数分析部、501は時間周波数分布5から所定の各周波数の強度を示すスペクトル値を各時間でサンプリングして得られる時系列である各周波数の標本系列502を出力する標本化部である。標本系列502は、所定の各周波数についての各時間の標本値からなる時系列である。
なお、以下の実施の形態の説明では、時間周波数分析部4が出力する時間周波数分布5を音データとする場合について説明する。音データとしては波形データや、波形データを解析して得られるその他の特徴量であってもよい。
学習モードまたは診断モードにおいて、波形取得部2は、集音器1から出力される測定信号を取得して増幅しAD変換することにより、サンプリングされてサンプリング周波数48kHzの16ビットリニアPCM(pulse code modulation)のデジタル信号の波形データ3に測定信号を変換する(図8のステップS1)。
時間周波数分析部4は、波形取得部2が出力する波形データ3に対して、1024点の時間窓を16ミリ秒の間隔で時間方向にずらしながらフレームを切出し、各フレームに対してFFT演算により周波数スペクトルの系列y(t,f)を求め、時間周波数分布5として出力する(図8のステップS2)。ここで、tは分析窓をずらすシフト間隔に対応する時刻のインデックス、fはFFT演算の結果の周波数を示すインデックスである。なお、時間tおよび周波数fは、それぞれ、0≦t≦T,0≦f≦Fなる関係を満たす。ここで、Tは時間周波数分布5の時間方向のフレーム数、Fは波形データ3のサンプリング周波数fsの1/2であるナイキスト周波数に対応する周波数を示すインデックスである(F=fs/2)。
診断モード時であると、各周波数について(図10のステップS301)、標本系列502を診断の対象標本系列507とする(図10のステップS302)。
《A1−1》周波数bの対象標本系列Y1(n,b)と周波数bの基準標本系列Y0(n,b)の差の標本系列D(n,b)を求める。(式(2−1))
《A1−2》差の標本系列D(n,b)の時間nに関する平均を求め、補正量H1(b)として出力する。(式(2−2))
(A)は、補正前の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。この場合、温度が上昇したため、対象標本系列の標本値が全時間にわたってほぼ一様に基準標本系列に対して小さくなっている。矢印は補正量による補正方向を示している。
(B)は、補正後の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。補正後は基準標本系列と対象標本系列の差系列の平均が0に近づくように補正されることがわかる。
さらに、基準標本系列と対象標本系列の差系列の平均をもとに、基準標本系列と対象標本系列のそれぞれを差系列の平均の半分の量づつ、あるいは所定の比率に基づいた量により両者の差の平均が0に近づくように補正するようにしても同様の効果を奏することは言うまでもない。
本実施の形態において、対象標本系列は、診断時の検査対象機器の音が正常であれば、正常時の基準標本系列と同じ標本値をとり、一方、診断時の検査対象機器の音に異常があれば、異常音による成分により、標本値が上昇すると考えられることから、対象標本系列は基準標本系列よりも、上にくるという、制約をつけた補正を行うものである。
相違点は、補正量算出部601、及び、補正量602、補正部603の動作が異なる。
以下、動作を、図1、図3、図10を用いて説明する。
《A2−1》周波数bの対象標本系列Y1(n,b)と周波数bの基準標本系列Y0(n,b)の差の標本系列D(n,b)を求める。(式(4−1))
《A2−2》差の標本系列D(n,b)の時間nに関する最小値を求め、補正量H2(b)として出力する。(式(4−2))
(A)は、補正前の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。この場合、温度が上昇したため、対象標本系列の標本値が全時間にわたってほぼ一様に基準標本系列に対して小さくなるとともに、時間の後半部分に、異常音が発生しているため、標本値が大きくなっている。矢印は補正量H2(b)による補正の方向を示している。この矢印の時刻付近で、対象標本系列と基準標本系列の標本値の差が最小値となっているため、ちょうど、矢印の方向に補正が行われる。
(B)は、基準標本系列と補正後の対象標本系列の関係を示す。補正は基準標本系列と補正後の対象標本系列の差系列の最小値が0に近づくように補正される。この補正の結果、異常音の成分が過剰に補正され基準標本系列に埋もれることなく、基準標本系列に対して異常音の成分の相対的関係が維持されていることがわかる。
本実施の形態において、対象標本系列は、正常時に採取された基準標本系列と同じか、異常音成分による分だけ、パワーが上昇すると仮定できるが、実際には、検査対象機器の運転音が雑音であることから、帯域パワーの瞬時値は絶えず揺らいでいる。このため、標本値も測定回毎の揺らぎを有しており、この標本値の測定回毎の揺らぎを考慮するため、最小値の代わりに、標本系列間の差の分布から得られるq分位数を用いることで、揺らぎの影響を緩和した制約付きの標本系列の補正を行った後、標本列間の異常を判定するものである。
以下、動作を、図1、図4、図10を用いて説明する。
《A3−1》周波数bの対象標本系列Y1(n,b)と周波数bの基準標本系列Y0(n,b)の差の標本系列D(n,b)を求める。(式(5−1))
《A3−2》差の標本系列D(n,b)の分布を求め、分布のq分位数を求め、補正量H3(b)として出力する。(式(5−2))
q分位数のqとしては、例えば、q=0.25とすることができる。また、q=0とすれば、実施の形態2と同じ、最小値を用いることに相当する。q=0.5とすれば、分布の中央値となり、分布の形状が平均を中心に対象であれば、ほぼ平均に近い値が得られ、実施の形態1と同じ、効果を得ることができる。
(A)は、補正前の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。この場合、温度が上昇したため、対象標本系列の標本値が全時間にわたってほぼ一様に基準標本系列に対して小さくなるとともに、時間の後半部分に、異常音が発生しているため、標本値が大きくなっている。また、図の標本値CやDは、測定毎の揺らぎにより、一部がところどころ極端に小さくなっていることを示す。これらの標本値CやDと対応する位置の基準標本系列の標本値との差は、その分布で下側の外れ値となるため、最小値の代わりにq分位数を用いる結果、矢印に示される適正な補正量H3(b)が得られる。
(B)は、補正後の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。補正後は基準標本系列と対象標本系列の差系列のq分位数が0に近づくように補正される。この補正の結果、異常音の成分が過剰に補正され基準標本系列に埋もれることなく、また、測定毎の揺らぎによる差系列の外れ値を除外した補正が行われ、基準標本系列に対して異常音の成分の相対的関係が適正に維持されることがわかる。
本実施の形態は、測定毎の揺らぎの影響を緩和するため、少なくとも何れか一方の標本系列を平滑化してから、差系列を求め、差系列の最小値または差系列の標本値の分布のq分位数により、補正量を決定するものである。
以下、動作を、図1、図5、図10を用いて説明する。
《A4−1》周波数bの対象標本系列Y1(n,b)を平滑化して平滑化された対象標本系列Y1〜(n,b)を求める(式(6−1)))。
《A4−2》周波数bの基準標本系列Y0(n,b)を平滑化して平滑化された基準標本系列Y0〜(n,b)を求める(式(6−2)))。
《A4−3》周波数bの平滑化された対象標本系列Y1〜(n,b)と周波数bの平滑化された基準標本系列Y0〜(n,b)の差の標本系列D〜(n,b)を求める(式(6−3))。
《A4−4》差の標本系列D〜(n,b)から、補正量H4(b)を求め(式(6−4))、出力する。
《A4−5》差の標本系列D〜(n,b)の分布を求め、分布のq分位数を求め(式(6−5))、補正量H5(b)として出力する。
q分位数のqとしては、例えば、q=0.25とすることができる。また、q=0とすれば、実施の形態2と同じ、最小値を用いることに相当する。q=0.5とすれば、分布の中央値となり、分布の形状が平均を中心に対象であれば、ほぼ平均に近い値が得られ、実施の形態1と同じ、効果を得ることができる。
(A)は、補正前の対象標本系列と基準標本系列の関係を示す。この場合、温度が上昇したため、対象標本系列の標本値が全時間にわたってほぼ一様に基準標本系列に対して小さくなるとともに、時間の後半部分に、異常音が発生しているため、標本値が大きくなっている。ただし、測定毎の揺らぎのため、時間的に小さくたえず揺らいでいる。
(B)は、両者を平滑化した後の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。平滑化により、小刻みな揺らぎは除去されて、時間的に大局的な変化を表すようになる。ここで、矢印は平滑化後の対象標本系列と基準標本系列の差系列の最小値を示す時間に補正量と補正の大きさを示している。
(C)は、補正後の対象標本系列と基準標本系列の関係を示す。補正後は(B)における平滑化後の対象標本系列と基準標本系列の差系列の最小値が0に近づくように補正されている。この補正の結果、異常音の成分が過剰に補正されることなく、また、測定毎の揺らぎによる差系列の外れ値を除外した補正が行われ、基準標本系列に対して異常音の成分の相対的関係が適正に維持されることがわかる。
本実施の形態は、上記検査対象機器の動作と同期して音データの強度をサンプルする際の各時間における上記検査対象機器の作動状態を取得ないしは推定または学習する手段を設け、対象標本系列または基準標本系列の補正量系列を各時間における上記検査対象機器の作動状態に応じて変化させるものである。
また、601は、基準標本系列506と対象標本系列507と推定動作速度系列704を入力し、補正量系列602を出力する補正量算出部である。
《A6−1》周波数bの対象標本系列Y1(n,b)と周波数bの基準標本系列Y0(n,b)の差の標本系列D(n,b)を求める(式(7−1))。
《A6−2》推定動作速度系列V(n)をnに関する最大値で正規化することにより荷重係数系列W(n)を求める(式(7−2))。
《A6−3》差の標本系列D(n,b)に対して、荷重係数系列W(n)を掛け、荷重差系列DW(n,b)を求める(式(7−3))。
《A6−3》荷重差系列DW(n,b)の平均を求め仮の補正量H6(b)を求める(式(7−4))。
《A6−4》仮の補正量H6(b)に対して荷重係数系列W(n)をかけることにより補正量系列H7(n,b)を求める(式(7−5))。
(A)は、補正前の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。また、下部に機器の動作速度を示す。この場合、温度が上昇したため、対象標本系列の標本値が全時間にわたって、基準標本系列に対して小さくなっている。また、小さくなり方は、動作速度とほぼ比例する関係にあり、動作速度が小さいT1及びT3の区間では温度による変化は小さい。また、動作速度が最大となるT2の区間では、温度による変化が大きくなっている。3つの矢印は各区間T1,T2,T3における補正量系列の平均的な大きさと補正方向を示している。
(B)は、補正後の基準標本系列と対象標本系列の関係を示す。補正後は基準標本系列と対象標本系列の差系列の平均が0に近づくように補正されることがわかる。
Claims (7)
- 検査対象とする機器から発生する音を学習時と診断時とで取得し、学習時と診断時との音を比較し、音の異常を診断する異常音診断装置であって、
上記検査対象機器の動作と同期して検査対象機器から発生する音データを取得する音データ取得手段と、
上記音データから、各時間の強度からなる標本系列を求める分析手段と、
学習時の標本系列を基準標本系列として記憶する記憶手段と、
診断時の標本系列である対象標本系列と上記基準標本系列に基づいて推定される補正量または補正量系列に基づいて、対象標本系列または基準標本系列の少なくとも何れか一方を補正する補正手段と、
上記補正後の対象標本系列または基準標本系列と対応する基準標本系列または対象標本系列とを比較し異常度を算出するとともに算出された異常度を所定の閾値と比較して判定異常度を出力する判定手段と
を備えることを特徴とする異常音診断装置。 - 上記補正手段は、
対象標本系列と基準標本系列の各時間における差異を求め、両者の差異の平均が0に近づくように対象標本系列または基準標本系列を補正する構成にされたことを特徴とする請求項1記載の異常音診断装置。 - 上記補正手段は、
対象標本系列と基準標本系列の各時間における差異を求め、両者の差異の最小値が0に近づくように対象標本系列または基準標本系列を補正する構成にされたことを特徴とする請求項1記載の異常音診断装置。 - 上記補正手段は、
対象標本系列と基準標本系列の各時間における差異を求め、両者の差異の分布のq分位数が0に近づくように対象標本系列または基準標本系列を補正する構成にされたことを特徴とする請求項1記載の異常音診断装置。 - 上記補正手段は、
対象標本系列または基準標本系列の何れか一方を平滑化し、平滑化された標本系列と他方の標本系列の差異を求め、両者の差異の平均値または最小値またはq分位数が0に近づく方向に対象標本系列または基準標本系列を補正する構成にされたことを特徴とする請求項1記載の異常音診断装置。 - 上記補正手段は、
上記検査対象機器の動作と同期して音データの強度をサンプルする際の各時間における上記機器の作動状態を取得または推定または学習する手段を設け、対象標本系列または基準標本系列の補正量系列を各時間における上記機器の作動状態に応じて変化させる構成にされたことを特徴とする請求項1記載の異常音診断装置。 - 上記判定手段は、
判定異常度を算出する際に上記補正後の対象標本系列また基準標本系列と対応する基準標本系列または対象標本系列とから異常度を求め、この異常度の分散で正規化された異常度を用いる構成にされたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の異常音診断装置。
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