JP5996153B1 - 劣化個所推定装置、劣化個所推定方法および移動体の診断システム - Google Patents
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Abstract
Description
実施の形態1.
実施の形態1に係る劣化個所推定装置100は、検査対象機器から発生する音を診断し、診断音から検査対象機器の劣化個所を推定する。劣化個所推定装置100は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)上のソフトウェアとして実装される。PCは、USB端子とLAN端子を備え、USB端子にはマイクがオーディオインタフェース回路を介して接続され、LAN端子には検査対象機器がLANケーブルを介して接続される。検査対象機器は、PCから入力される指示に基づいて所定の運転動作を行うように構成さている。検査対象機器は、例えば、エレベータおよび車両などの複数の稼働部品からなる機器である。
図1の例では、劣化個所推定装置100は、検査対象機器であるエレベータAの乗車カゴBの外部且つ上部に搭載されている。また、図1の例では音センサ200がエレベータAの乗車カゴBの外部且つ上部に搭載され、乗車カゴBが往復運転する際にエレベータAの各稼働部品から発生する音を、当該音センサ200が集音する。
劣化個所推定装置100は、観測データ入力部101、時間周波数分析部102、劣化度分布推定部103、強度分布パラメータ記憶部104および劣化個所判定部105で構成されている。
観測データ入力部101は、音センサ200が集音した集音データとしての音信号の波形をサンプリングし、デジタル化して観測データとして出力する。時間周波数分析部102は、観測データを分析し、強度の時間周波数分布を求める。劣化度分布推定部103は、強度分布パラメータ記憶部104に記憶された強度の時間周波数分布のパラメータ(以下、強度分布パラメータと称する)を参照し、強度の時間周波数分布から劣化度の時間周波数分布を推定する。強度分布パラメータ記憶部104は、検査対象機器が正常に動作している際に取得された正常観測データから推定された強度分布パラメータを記憶する。劣化個所判定部105は、推定された劣化度の時間周波数分布をニューラルネットワーク(以下、NNと称する)へ入力し、NNからの出力を用いて検査対象機器が劣化しているかの推定および劣化個所の判定を行う。なお、劣化個所の判定では、劣化個所に加えて、当該劣化個所の劣化の度合を示す劣化度合または当該劣化個所が故障する割合を示す故障率を合わせて判定し、判定結果として出力するように構成してもよい。
劣化個所推定装置100のハードウェアは、プロセッサ110a、メモリ110bおよび入出力インタフェース110cで構成される。観測データ入力部101、時間周波数分析部102、劣化度分布推定部103、劣化個所判定部105は、プロセッサ110aがメモリ110bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、強度分布パラメータ記憶部104は、メモリ110b内に記憶されているものとする。上述のように劣化個所推定装置100をソフトウェアとして実装したPCからの指示は、入出力インタフェース110cを介してエレベータAに入力される。
強度分布パラメータ推定装置300は、劣化個所推定装置100が劣化個所推定処理を開始する前に、検査対象機器が正常に動作している際に取得した正常観測データを用いて強度分布パラメータを推定する。
強度分布パラメータ推定装置300は、正常観測データ蓄積部301、正常観測データ時間周波数分析部302および強度分布パラメータ推定部303を備える。正常観測データ蓄積部301は、検査対象機器が正常に動作している際に取得された正常観測データを蓄積する格納領域である。正常観測データ蓄積部301に蓄積される正常観測データの一例を図4に示す。
個体名は、観測データを取得したエレベータの個体を表す識別名である。観測データファイル名は、観測データ入力部101が取得した観測データを特定するためのファイル名称であり、観測した観測データである音信号を格納したファイルが特定される。故障種別C(v)は、検査対象機器が正常に動作しているか、故障しているかの種別を示す情報である。なお、図4に示した正常観測データは、検査対象機器が正常に動作している際の観測データであることから、全て「正常」を示す情報が書き込まれている。
まず、事前に強度分布パラメータ推定装置300が強度分布パラメータを推定する処理について説明する。以下の説明では、時間長を正規化された強度x(t,f)の時間周波数分布のパターンを「強度分布」、強度分布x(t,f)のインデックスtを単に「時間」、強度分布x(t,f)のインデックスfを単に「周波数」と称する。
図5は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100が参照する強度分布パラメータを推定する強度分布パラメータ推定装置300の処理動作を示すフローチャートである。 正常観測データ時間周波数分析部302は、正常観測データ蓄積部301から検査対象機器である個体名に関するN個の観測データを読み出す(ステップST1)。なお、ステップST1において読み出す観測データの個数N(例えば、N=5)は予め決められているものとする。以下では、N個の観測データを観測データn(n=0,1,2,・・・N−1)と表す。
図6Aは、強度分布パラメータ推定装置300の正常観測データ時間周波数分析部302がステップST1として、3個の観測データを読み出した場合を示している。正常観測データ時間周波数分析部302は、ステップST2として、読み出した3個の観測データそれぞれに対応する強度の時間周波数領域X1,X2,X3(図6Aでは、X2,X3は不図示)において、強度の時間周波数分析を行い、強度の時間周波数分布x1(t,f),x2(t,f),x3(t,f)を取得する。
まず、図7は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100全体の動作を示すフローチャートである。
検査対象機器の運転が開始されると(ステップST11)、観測データ入力部101は音センサ200が集音した集音データである音信号の波形データから観測データを取得する(ステップST12)。時間周波数分析部102は、ステップST12で取得された観測データから、固定長の強度の時間周波数分布x(t,f)を取得する(ステップST13)。劣化度分布推定部103は、強度分布パラメータ記憶部104に記憶された強度分布パラメータと、ステップST13で取得された強度の時間周波数分布x(t,f)とに基づいて、劣化度の時間周波数分布を推定する(ステップST14)。劣化個所判定部105は、ステップST14で取得された劣化度の時間周波数分布をNNへの入力とし、NNの出力から検査対象機器が劣化しているか否かの推定および劣化個所の判定を行い、判定結果を出力する(ステップST15)。以上で、劣化個所推定装置100の処理動作が終了する。
図8は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100の観測データ入力部101の動作を示すフローチャートである。
音センサ200が集音した集音データである音信号が入力されると(ステップST21)、観測データ入力部101は入力された集音データである音信号のA/D変換を行い(ステップST22)、集音データである音信号の波形データのブロックを取得する(ステップST23)。観測データ入力部101は、検査対象機器の運転が終了したか否か判定を行う(ステップST24)。検査対象機器の運転が終了していない場合(ステップST24;NO)、ステップST21の処理に戻る。一方、検査対象機器の運転が終了した場合(ステップST24;YES)、観測データ入力部101はステップST23で取得した波形データのブロックを連結し、観測データとして時間周波数分析部102に出力する(ステップST25)。以上で、観測データ入力部101の処理動作が終了する。
なお、ステップST25で得られる観測データは、検査対象機器の動作と同期して検査対象機器から発生する音であって、例えばサンプリング周波数48kHzの16ビットリニアPCM(pulse code modulation)のデジタル信号で構成される。
図9は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100の時間周波数分析部102の動作を示すフローチャートである。
時間周波数分析部102は、観測データ入力部101から観測データが入力されると(ステップST31)、入力された観測データからフレームの切り出しを行い、切り出した各フレームに対してFFT演算を行い、周波数スペクトルの時系列y(i,j)を算出する(ステップST32)。
時間周波数分析部102は、ステップST32で得られた周波数スペクトルの時系列y(i,j)から、0.5kHz,1kHz,2kHz,4kHz,8kHzを中心周波数として、それぞれ1オクターブ幅の帯域からなる各周波数帯域fについて、各周波数帯域に含まれる周波数成分の和としてパワーを求め、パワーの常用対数の10倍を強度として算出し、強度の時系列s(i,j)を算出する(ステップST33)。なお、時間周波数分析部102が算出する強度は対数強度であり、単位はデシベルdBである。ステップST33において、各周波数帯域fは、0≦f<Fを満たす整数である。Fは帯域数であり、この実施の形態ではF=5とする。
τ(t)=(I−1)t/(T−1) (1)
また、実数τ(t)における線形補間で補間した値x(t,f)は以下の式(2)で与えられる。
x(t,f)=s(trunc(τ(t)),f)(1−w(t))+
s(trunc(τ(t))+1,f)w(t) (2)
上述した式(2)において、w(t)は、w(t)=τ(t)−trunc(τ(t))なる荷重であり、trunc(r)は実数rの整数部分を返す打切り関数である。
図10は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100の劣化度分布推定部103の動作を示すフローチャートである。
劣化度分布推定部103は、時間周波数分析部102から強度の時間周波数分布x(t,f)が入力されると(ステップST41)、強度分布パラメータ記憶部104に記憶された強度分布パラメータを参照し、時間t、周波数fの時間周波数領域における劣化度を推定する(ステップST42)。ステップST42で推定した劣化度を、劣化度の時間周波数分布として出力し(ステップST43)、処理を終了する。
a(t,f)=[x(t,f)−μ(t,f)]/σ(t,f) (3)
このように、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100は、劣化度a(t,f)を推定する際に、分散σ(t,f)を用いるので、環境の変化を考慮して劣化箇所を推定することができる。
図11において、強度x(t,f)は、時間周波数分析部102から入力される強度の時間周波数分布である。また、強度分布Yは、強度分布パラメータ記憶部104に記憶された時間周波数領域の強度分布を示している。強度分布Yの強度分布パラメータは、平均μ(t,f)および分散σ(t,f)である。劣化度分布推定部103は、時間周波数分析部102から時間t、周波数fの時間周波数領域における強度x(t,f)が入力されると、強度分布Yの強度分布パラメータから上述した式(3)に基づいて劣化度の分布a(t,f)が算出される。すなわち、劣化度の分布a(t,f)を算出するための強度x(t,f)は、観測データ入力部101が取得した診断時のデータから取得され、強度分布の平均μ(t,f)および分散σ(t,f)は正常観測データから推定されるデータである。
図12は、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100の劣化個所判定部105の動作を示すフローチャートである。
劣化個所判定部105は、劣化度分布推定部103から劣化度の時間周波数分布が入力されると(ステップST51)、入力された劣化度の時間周波数分布を行ベクトルに変換する(ステップST52)。さらに劣化個所判定部105は、ステップST52で変換した行ベクトルを1行L列の入力データ行列に変換する(ステップST53)。劣化個所判定部105は、ステップST53で変換された入力データ行列をNNの入力データとして与える(ステップST54)。劣化個所判定部105は、NNが出力する出力行列を、所定の形式に変換し、判定結果として出力し(ステップST55)、処理を終了する。
U(0,l)=a(t,f) (4)
l=t+f*T
(t=0,1,2,…,T−1,
f=0,1,2,…,F−1)
上述した式(4)において、a(t,f)は劣化度の時間周波数分布であり、入力データ行列U(0,l)は1行L列のデータである。
kmax=argmax_k{V(0,k)} (5)
(k=0,1,2,…,K)
式(5)においてargmax_k{f(k)}は{ }中のインデックスkに関する値f(k)を最大にするインデックスkを返す演算子である。
例えば、劣化個所判定部105として、サポートベクターマシン(以下、SVMと称する)を用いてもよい。SVMを用いる場合、NNを用いる場合と同様に、学習セットから入力データ行列X(m,l)と出力データ行列Y(m,k)を作成し、X(m,l)とY(m,k)の関係を学習する。診断時も、NNを用いる場合と同様に、入力データ行列U(0,l)を作成してSVMに入力し、SVMからの出力行列V(0,k)を取得し、取得した出力行列を判定結果に変換すればよい。
図13A、図13B、図13Cおよび図13Dを参照しながら、劣化個所判定部105に参照ベクトルとの照合技術を適用した場合について説明する。図13Aは、劣化度の時間周波数分布全体を示す図である。図13Bは、時間周波数領域のベクトルへの変換を示す説明図である。図13Cは、変換されたベクトルを示す図である。図13Dは、入力ベクトルと参照ベクトルとを用いた劣化判定を示す説明図である。
以下では、入力された観測データの劣化度分布を表すベクトルを入力ベクトルと称し、劣化判定を行うために参照する、予め設定された劣化度分布を表すベクトルを参照ベクトルと称する。参照ベクトルは、検査対象機器のある箇所が劣化した場合に得られる劣化度分布を表すベクトルであり、記憶領域(不図示)などに予め蓄積しておく。
U(l)=a(t,f) (6)
l=t+f*T
(t=0,1,2,…,T−1,
f=0,1,2,…,F−1)
また、検査対象機器周辺の温度および検査対象機器の運転回数などの動作時の環境により変動する動作音などの観測データから、各時間周波数領域ごとの変動成分を除去した劣化度の時間周波数分布を得ることができる。
この実施の形態2では、劣化個所判定部が劣化個所に加え、劣化度合または故障率を含む判定結果を出力する構成を示す。
図14は、実施の形態2に係る劣化個所推定装置100aおよび劣化判定器パラメータ推定装置400の構成を示すブロック図である。
劣化個所推定装置100aは、実施の形態1の劣化個所推定装置100に劣化判定器パラメータ記憶部106を追加して設け、劣化個所判定部105に替えて劣化個所判定部105aを設けて構成している。
以下では、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100の構成要素と同一または相当する部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
劣化判定器パラメータ推定装置400は、劣化個所推定装置100aが劣化個所推定処理を開始する前に、観測データを用いて劣化判定器パラメータを推定する。劣化判定器パラメータ推定装置400は、観測データ蓄積部401、劣化度分布推定部402および劣化判定器パラメータ推定部403を備える。
観測データ蓄積部401は、観測データと音属性データとを蓄積する格納領域である。観測データ蓄積部401に蓄積される観測データの一例を図15に示す。
個体名は、観測データを取得したエレベータの個体を表す識別名である。観測データファイル名は、観測データ入力部101が取得した観測データを特定するためのファイル名称であり、観測した観測データである音信号を格納したファイルが特定される。故障種別C(v)は、検査対象機器が正常に動作しているか、故障しているかの種別を示す情報である。なお、図15に示した観測データは、検査対象機器が正常に動作している場合と検査対象機器に異常が発生している場合の動作とを示した観測データであることから、「正常」を示す情報と、「頂部異常」および「中間階異常」など異常を示す情報とが書き込まれている。異常を示す情報である場合、異常の種別と異常発生個所を示す情報とが合わせて書き込まれている。
まず、劣化個所推定装置100aが劣化個所推定処理を行う前に、劣化判定器パラメータ推定装置400が劣化判定器パラメータを推定する処理について説明する。以下の説明では、観測データ蓄積部401は、観測データファイル名と当該ファイルの音データとから構成される観測データと、故障種別C(v)、劣化S/Nおよび故障率で構成される音属性データとを学習セットとして蓄積しているものとする。
図17は、実施の形態2に係る劣化個所推定装置100aが参照する劣化判定器パラメータを推定する劣化判定器パラメータ推定装置400の処理動作を示すフローチャートである。
X(m,l)=a(t,f,m) (7)
ただし、 l=t+f*T
(m=0,1,2,…,M−1,
t=0,1,2,…,T−1,
f=0,1,2,…,F−1)
Y(m,k)=δ(C(m,0),k) (8)
(k=0,1,2,…,K−1)
式(8)において、C(m,0)は学習セット中のm番目のデータ(以下、「データm」と称する)の故障種別である。また式(8)において、δ(x,y)は引数xと引数yが同じとき1を返し、それ以外で0を返すクロネッカーのデルタ関数である。
Y(m,k)=δ(C(m,0),k)*C(m,1) (9)
(k=0,1,2,…,K−1)
式(9)において、C(m,1)はデータmの劣化S/Nである。
また、上述した説明では、劣化個所ごとに劣化S/Nを出力するようにしたが、故障種別によらず、劣化S/Nだけを出力するように構成してもよい。故障種別によらずに劣化S/Nを出力する場合、NNの訓練に用いる出力データ行列Y(m,k)はm行1列の行列となり、各要素は以下の式(10)で与えられる。
Y(m,0)=C(m,1) (10)
式(10)において、C(m,1)はデータmの劣化S/Nである。
Y(m,k)=δ(C(m,0),k)*C(m,2) (11)
(k=0,1,2,…,K−1)
式(11)において、C(m,2)はデータmの故障率である。
また、上述した説明では、劣化個所ごとに故障率を出力するようにしたが、劣化個所によらず、故障率だけを出力するように構成してもよい。故障種別によらずに故障率を出力する場合、NNの訓練に用いる出力データ行列Y(m,k)はm行1列の行列となり、各要素は、以下の式(12)で与えられる。
Y(m,0)=C(m,2) (12)
式(12)において、C(m,2)はデータmの故障率である。
同様に、そのほかの公知のパターン認識技術、例えば、混合正規分布モデル、参照ベクトルとの照合技術などを用いて構成してもよい。
まず、実施の形態2に係る劣化個所推定装置100a全体の動作を示すフローチャートは実施の形態1で示した図7の処理動作と同一であることから、説明を省略する。
図7のフローチャートのステップST15で示した処理を、図18のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。なお、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100と同一のステップには、図12で使用した符号と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
なお、判定結果は、少なくとも劣化個所が含まれていればよく、当該劣化個所、劣化度合または故障率を適宜組み合わせて判定結果を出力する。
また、判定結果として、劣化個所および劣化度合または故障率と、当該劣化度合または故障率の尤度、即ち推定した劣化度合または故障率の正しさの程度を示す確率、信頼度を合わせて出力するように構成してもよい。
上述した実施の形態1および実施の形態2では、劣化個所推定装置100,100aの観測データ入力部101に集音データを入力させる構成を示したが、この実施の形態3では、検査対象機器の振動データを用いて劣化個所を推定する構成を示す。
図19は、実施の形態3に係る劣化個所推定装置100bの構成を示すブロック図である。図19では、実施の形態1に係る劣化個所推定装置100に振動データを適用した場合を示している。
劣化個所推定装置100bには、音センサ200から集音データが入力されると共に、振動センサ500から振動データが入力される。振動センサ500は、図1で示した検査対象機器であるエレベータAの乗車カゴBに、音センサ200と共に搭載される。エレベータAの乗車用の乗車カゴBが往復運転する際にエレベータAの各稼働部品から発生する振動を検知し、振動データを収集する。
観測データ入力部101aは、音センサ200が集音した集音データである音信号の波形をサンプリングし、デジタル化して観測データとして出力する。さらに、観測データ入力部101aは、振動センサ500が収集した振動データをサンプリングし、デジタル化して観測データとして出力する。時間周波数分析部102aは、音センサ200の観測データおよび振動センサ500の振動データを分析し、強度の時間周波数分布を求める。劣化度分布推定部103および劣化個所判定部105は実施の形態1および実施の形態2と同一の処理動作を行う。
音センサ200が集音した集音データである音信号、および振動センサ500が収集した振動データである振動信号が入力されると(ステップST81)、観測データ入力部101aは入力された集音データである音信号および振動データである振動信号のA/D変換を行い(ステップST82)、集音データである音信号および振動データである振動信号の波形データのブロックを取得する(ステップST83)。観測データ入力部101aは、検査対象機器の運転が終了したか否か判定を行う(ステップST84)。検査対象機器の運転が終了していない場合(ステップST84;NO)、ステップST81の処理に戻る。一方、検査対象機器の運転が終了した場合(ステップST84;YES)、観測データ入力部101はステップST83で取得した波形データのブロックを連結し、観測データとして時間周波数分析部102aに出力する(ステップST85)。
なお、劣化個所推定装置100bのその他の動作は実施の形態1と同一であることから、説明を省略する。
Claims (18)
- 検査対象機器から収集した音または振動からなる収集データの周波数分析を行い、強度の時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、
前記時間周波数分析部が求めた前記強度の時間周波数分布と、予め蓄積した検査対象機器が正常動作している際の強度の時間周波数分布の各時間周波数領域ごとに独立したパラメータとに基づいて、各時間周波数領域ごとの変動成分を除去した劣化度からなる劣化度の時間周波数分布を推定する劣化度分布推定部と、
前記劣化度分布推定部が推定した劣化度の時間周波数分布に基づいて、少なくとも前記検査対象機器の劣化個所を判定する劣化個所判定部とを備えた劣化個所推定装置。 - 前記劣化個所判定部は、予め蓄積した機器が正常動作および劣化度合の異なる異常状態で動作している際のパターン認識のパラメータである劣化判定器パラメータに基づいて、少なくとも前記検査対象機器の劣化個所を判定することを特徴とする請求項1記載の劣化個所推定装置。
- 前記検査対象機器が正常動作している際の観測データの周波数分析を行って得られた強度の時間周波数分布から推定された、前記強度の時間周波数分布の各時間周波数領域ごとに独立したパラメータを蓄積する強度分布パラメータ記憶部を備えたことを特徴とする請求項1記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記検査対象機器の劣化個所に加えて、前記劣化個所の連続量である劣化度合または前記劣化個所の連続量である故障率を判定することを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記強度の時間周波数分布のパラメータは、各時間周波数領域において、強度の分布が各時間周波数領域ごとに独立した固有の正規分布に従うと推定される確率分布の平均および分散であり、
前記劣化度の時間周波数分布は、前記各時間周波数領域の強度から、前記分散を考慮して算出されることを特徴とする請求項1記載の劣化個所推定装置。 - 前記検査対象機器が正常動作している際の観測データの周波数分析を行って得られた強度の時間周波数分布から推定された、前記強度の時間周波数分布の各時間周波数領域ごとに独立したパラメータを蓄積する強度分布パラメータ記憶部と、
前記機器が正常動作および劣化度合の異なる異常状態で動作している際の観測データの劣化度の時間周波数分布と、前記機器の前記観測データの音属性データとを用いて訓練して得られる前記劣化判定器パラメータを蓄積する劣化判定器パラメータ記憶部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。 - 前記劣化個所判定部は、前記パターン認識として、前記検査対象機器の劣化個所および前記劣化個所の連続量である劣化度合または前記劣化個所の連続量である故障率を出力するニューラルネットワークを適用したことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記パターン認識として、前記検査対象機器の劣化個所および前記劣化個所の連続量である劣化度合または前記劣化個所の連続量である故障率を出力するサポートベクターマシンを適用したことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記パターン認識として、前記検査対象機器の劣化個所および前記劣化個所の連続量である劣化度合または前記劣化個所の連続量である故障率を出力する、混合正規分布モデルに基づく照合手段を適用したことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記パターン認識として、前記検査対象機器の劣化個所および前記劣化個所の連続量である劣化度合または前記劣化個所の連続量である故障率を出力する、多次元空間上の参照ベクトルとの照合手段を適用したことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記強度の時間周波数分布のパラメータは、1つの前記検査対象機器から収集した複数の観測データを用いて推定されたことを特徴とする請求項1記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化判定器パラメータは、複数の前記機器から収集した観測データを用いたパターン認識により得られたことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化判定器パラメータは、前記検査対象機器と同一機種または類似機種の異なる前記機器から収集した複数の観測データを用いたパターン認識により得られたことを特徴とする請求項2記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記機器の前記観測データの音属性データとして、前記観測データの音信号の連続量であるS/N比を示す情報を用いて、前記検査対象機器の連続量である劣化度合を判定することを特徴とする請求項6記載の劣化個所推定装置。
- 前記劣化個所判定部は、前記機器の前記観測データの音属性データとして、前記観測データの前記機器の故障する割合を示す故障率を示す情報を用いて、前記検査対象機器の故障する割合を示す故障率を判定することを特徴とする請求項6記載の劣化個所推定装置。
- 前記時間周波数分析部は、前記検査対象機器から集音した集音データ、または前記検査対象機器から収集した振動データ、または前記検査対象機器から集音した集音データおよび収集した振動データの周波数分析を行うことを特徴とする請求項1記載の劣化個所推定装置。
- 時間周波数分析部が、検査対象機器から収集した音または振動からなる収集データの周波数分析を行い、強度の時間周波数分布を求めるステップと、
劣化度分布推定部が、前記強度の時間周波数分布と、予め蓄積した前記検査対象機器が正常動作している際の強度の時間周波数分布の各時間周波数領域ごとに独立したパラメータとに基づいて、各時間周波数領域ごとの変動成分を除去した劣化度からなる劣化度の時間周波数分布を推定するステップと、
劣化個所判定部が、前記劣化度の時間周波数分布に基づいて、少なくとも前記検査対象機器の劣化個所を判定するステップとを備えた劣化個所推定方法。 - 移動体である検査対象機器から収集データを収集するセンサと、
請求項1記載の劣化個所推定装置とを備えた移動体の診断システム。
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