JP2013199861A - 軸流ファン - Google Patents

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Abstract

【課題】軸流ファンの吐出口に形成したスポークの形状を改良することにより、スポーク上に配置するリード線の引き出し作業を容易に行うことができ、かつ低騒音化できる軸流ファンを提供する。
【解決手段】ケーシング15が、円筒状のハウジング19と、モータ14を装着するモータベース21と、ハウジング19とモータベース21の間を連結している複数のスポーク22aと、22b、22c、22dとで形成される軸流ファン10であって、複数のスポークが、リード線30を配置する直線形状に形成されているスポーク22dと、インペラ13の回転方向に凸状に湾曲して形成されているスポーク22a、22b、22cを備える、構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は軸流ファンに関するものであり、特に、電子機器などの冷却用に用いられる軸流ファンに関するものである。
例えば、パーソナルコンピュータやコピー機などの電子機器においては、多数の電子部品を比較的狭い筐体内に収容している。このため、電子部品から発生する熱が筐体内にこもり、電子部品を熱破壊させる虞があり、大きな問題を引き起こす。そこで、電子機器の筐体の壁面や天井面に通気口を設け、その通気口から筐体内部の熱を外部に排出している。また、筐体内部の熱を外部に積極的に排出し冷却する手段として、軸流ファンを通気口の近傍に配設することが一般に知られている。このような電子機器を冷却するための軸流ファンはできる限り騒音を低減させ、また風量性能の向上が求められている。
軸流ファンは、吸込口と吐出口を有するケーシングを有し、ケーシングの内部に、複数の羽根を有するインペラと、このインペラを回転させるためのモータが配置された構造になっている。そのモータは、ケーシングと一体形成された直線形状からなる複数のスポークで連結されたベース部に配設されている。
また、従来、複数のスポークをケーシングの吐出口側に設け、スポークの断面形状を翼形や三角形などに形成して静翼として機能させることが知られている。静翼として機能させたスポークがケーシングの吐出し側に配置された場合、吐出口から吐き出される空気の静圧を増加させ、吐き出される空気の流れを整えることができる。このスポークの形状をすべて直線形状に形成したものや、すべて湾曲形状に形成したものが知られている。スポークの形状をすべて湾曲形状に形成したものとして、インペラの回転方向に向けて凸状に湾曲させてなる形状とした軸流ファンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に記載の軸流ファンの正面図である。図6に示すように、軸流送風機100の吐出口101内には、5枚の静止ブレード102A〜102Eが配置されている。この静止ブレード102A〜102Eはすべてインペラ110の回転方向Rに向けて凸状に湾曲させた形状を有しており、また静止ブレード102Eはモータに電力を供給するリード線103を内部に収納して引き出す溝部104を有している。
前記静止ブレード102Eの吐出口側端縁部105は、溝部104の両側に位置する2つの分割端縁105aと105bによって構成されている。また、2つの分割端縁105aと105bの内側端部106近傍における各形状は、モータケース107における底壁部108の平坦な底面109と2つの分割端縁105aと105bとがそれぞれ面一になるように傾斜している。これによって、リード線103の溝部104への挿入作業が容易になることが特許文献1に記載されている。
特許第4808482号公報。
しかしながら、特許文献1に記載の軸流送風機では、2つの分割端縁105aと105bの内側端部106近傍における形状を、モータケース107における底壁部108の平坦な底面109と2つの分割端縁105aと105bとがそれぞれ面一になるように傾斜させてリード線103の溝部104への挿入作業を容易にしているが、静止ブレード102Eは湾曲形状を有しているため、湾曲形状に沿ってリード線103を配置する必要がある。このため、静止ブレード102Eにリード線103を配置する作業が必ずしも容易に行えるとは限らず、作業性が悪いという問題点があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、軸流ファンの吐出口に形成したスポークの形状を改良することにより、スポーク上に配置するリード線の引き出し作業を容易に行うことができ、かつ低騒音化できる軸流ファンを提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、本発明の軸流ファンは、複数の羽根を有するインペラと、前記インペラを回転させるモータと、前記インペラと前記モータを収容するケーシングと、前記モータに電力を供給するリード線とを備えるとともに、前記ケーシングは円筒状のハウジングと、前記モータを装着するモータベースと、前記ハウジングと前記モータベースの間を連結している複数のスポークとで形成してなる軸流ファンにおいて、前記複数のスポークは、前記リード線を配置する直線形状に形成されているスポークと、前記インペラの回転方向に凸状に湾曲して形成されているスポークを備える、構成である。
この構成によれば、モータに電力を供給するリード線を引き出すために使用するスポークは直線形状に形成されているので、リード線を配置する際は、リード線を直線状に延ばし、スポークに対して容易に位置決めすることができる。
また、直線形状をした前記スポークの半径方向の寸法をL、湾曲形状をしたスポークの湾曲量をXとした場合、湾曲形状の変位(X/L)が0.2より小さくなるように設定してなる、構成が好ましい。
この構成によれば、スポークがすべて直線形状で形成された従来の軸流ファンに比べて風量特性を低下させることなく、騒音を低減することができる。
本発明によれば、リード線を引き出すためのスポークを直線形状に形成したので、スポーク上にリード線を配置する作業をより容易に行うことができるとともに、騒音を低減した軸流ファンを提供できる。
本発明の一実施形態における軸流ファンの断面図である。 図1に示す軸流ファンの底面図である。 本発明の一実施形態おける軸流ファンと従来の軸流ファンにおける静圧−風量特性を示す図である。 スポークの湾曲形状の変位を説明した図である。 スポークの湾曲形状の変位と騒音の関係を示した図である。 従来の軸流ファンの正面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、上下や左右などの方向を示す表現は、絶対的なものではなく相対的なものであり、本発明の軸流ファンの各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る軸流ファンを示すもので、図1はその断面図、図2は図1に示す軸流ファンの底面図である。
図1及び図2において、軸流ファン10は、下側に開口するカップ形のハブ11の外周に複数枚の羽根12を等間隔で設けてなるインペラ13と、インペラ13を取り付けたモータ14と、インペラ13とモータ14を収納するケーシング15などにより構成されている。
モータ14は、ロータ14aとステータ14bにより構成されている。ロータ14aは、ハブ11の内周面に固定された磁性材料からなる円筒状のロータヨーク16と、ロータヨーク16の内周面に取り付けられた回転駆動用のマグネット17と、ハブ11の中心に設けられたシャフト18などを備えている。金属材料によって形成されたシャフト18は樹脂製のインペラ13にインサート成形されて、インペラ13と一体化されている。
ケーシング15は、筒状のハウジング19と、このハウジング19の上下両端において、それぞれ四方に広がるようにしてハウジング19と一体に形成したフランジ20と、モータ14と対向してハウジング19の下端側に配設された円板状に拡がるモータベース21と、ハウジング19の下端側開口縁部とモータベース21を連結している4本のスポーク22a、22b、22c、22dを設けて、熱可塑性樹脂により一体に成形されている。また、フランジ20の各コーナ部近傍には、軸流ファン10を電子機器に取り付けるねじなどを挿通させるための孔20aが形成されている。
モータベース21の中心部には、上下方向に開口するボス部21aが設けられている。このボス部21aには、上方に向かって延びる円筒形状をした軸受ハウジング23の下端部が嵌合されて、モータベース21に軸受ハウジング23が取り付けられている。
そして、軸受ハウジング23の内周面には、シャフト18を回転自在に支持する一対の軸受24が、上下に位置決め固定した状態にして取り付けられている。一方、軸受ハウジング23の外周には、モータ14のステータ14bが配設されている。ステータ14bは、珪素鋼板などを複数枚積層してなるステータコア25と、ステータコア25に装着されたインシュレータ26に巻回されたコイル27と、インシュレータ26の下端に配置された回路基板28とから構成され、ステータコア25は軸受ハウジング23の外周面に嵌着されている。なお、コイル27は、回路基板28に導通ピン29を介して電気的に接続され、回路基板28には外部電源に接続するためのリード線30の一端が取り付けられている。
モータベース21のスポーク22a、22b、22c、22dは、図2に示すように、円周方向に等間隔で設けられている。この4本のスポーク22a、22b、22c、22dの内、3本のスポーク22a、22b、22cはインペラ13の羽根12の回転方向(図2中に符号Rで示す矢印方向)に向かって凸状に湾曲した形状に形成され、スポーク22dのみ直線形状に形成されている。そして、この直線形状に形成されたスポーク22dには、回路基板28に接続された前記リード線30が、回路基板28から引き出された状態で取り付けられている。
また、湾曲形状のスポーク22a、22b、22c及び直線形状のスポーク22dは、すべて断面形状が翼形状に形成されている。さらに、翼の傾斜角はすべて同じ角度(本実施の形態では54°)にて形成されており、またスポーク22a、22b、22c、22dの半径方向における内側及び外側共、同じ傾斜角で形成されている。なお、直線形状のスポーク22dには、保持片31が一体成形にて形成されている。そして、回路基板28に一端が取り付けられたリード線30は、保持片31上に載置され、さらにフランジ20に形成した保持溝32に挿入位置決めされてハウジング19の外方に引き出される。その保持溝32には図示しない固定栓が嵌合されてリード線30を固定する。
そして、このように構成された軸流ファン10では、リード線30を介して回路基板28に外部から電力が供給されると、回路基板28に配線された制御回路からの信号に基づき、モータ14に励磁電流が供給されてロータ14aがインペラ13と共に回転する。
インペラ13が回転すると、ケーシング15の吸込口33からケーシング15の内部に空気が流入する。そして、ケーシング15の内部に流入した空気は、羽根12によってケーシング15の内部を案内されて通過する。ケーシング15の内部を通過した空気は、断面形状が翼形状に形成されたスポーク22a、22b、22c、22dにより吐出口34側において圧力が増加され、この空気がケーシング15の外部に吐き出される。
図3は本発明の軸流ファン10と従来の軸流ファンにおける静圧−風量特性を示した図である。図3では、縦軸に静圧P[Pa]、横軸に風量Q[m3/min]をとっている。なお、図3に示す特性試験で使用した本発明の軸流ファン10と従来の軸流ファンにおけるハウジング、インペラは共に同一構造であり、スポークの形状のみ、相違している。すなわち、本発明の軸流ファン10は図1及び図2に示す構成で、4本のスポーク22a〜22dのうち、3本のスポーク22a、22b、22cは羽根12の回転方向に向かって凸状に湾曲した形状に形成されている。そして、スポーク22dのみ直線形状に形成され、そのスポーク22dにリード線30が配置されている。一方、従来の軸流ファンは、4本のスポークがすべて直線形状に形成された構成であり、また、リード線を取り付けたスポークは図1及び図2に示す本発明の軸流ファン10のスポーク22dと同一の直線形状を有している。
図3に示すように、破線で示す本発明の軸流ファン10は、低域では静圧が僅かに低下するが、中域から高域では、実線で示す従来の軸流ファンよりも静圧が僅かに高い傾向を示す。しかし、この図3に示す静圧−風量特性では、両者の風量特性に違いはほとんどない。
図4は、羽根12の回転方向に凸状に湾曲した形状をした3本のスポーク22a、22b、22cにおける湾曲形状の変位を説明する図である。図4のおけるスポーク22Aは直線形状をしたスポークの状態を示しており、スポークの湾曲量=0である。一方、スポーク22Bは湾曲形状をしたスポークを示しており、そのときの湾曲量はX、すなわち図4中における一対の白抜き矢印の先端と先端の間の距離Xである。そして、スポーク22Aの半径方向の寸法Lに対する湾曲量Xの比率を、スポーク22Bの湾曲形状の変位(X/L)として表すことができる。
図5は3本のスポーク22a、22b、22cにおける湾曲形状の変位(X/L)と騒音[dB(A)]の関係を示した図である。なお、いずれもスポーク22dは直線形状で形成したものであり、インペラ13はすべて同じ形状である。したがって、湾曲形状の変位(X/L)=0の場合、スポーク22a、22b、22c、22dはすべて直線形状に形成される。
そして、図5に示すように、3本のスポーク22aと22b、22cを回転方向に向けて凸状に湾曲させていくと、軸流ファンの騒音が低下していくが、湾曲形状の変位が大きくなると、逆に騒音が増加する傾向を示す。したがって、湾曲形状の変位(X/L)は約0.2より小さく設定するとよい。このように湾曲形状の変位(X/L)を約0.2以下にすると、スポークがすべて直線形状で形成された従来の軸流ファンに比べて、本実施形態の場合では、風量特性を低下させることなく、騒音を低減することができる。
したがって、上記実施形態で示す軸流ファン10によれば、ケーシング15の吐出口34側に設けた複数のスポーク22a、22b、22c、22dの内、リード線30が配置されるスポーク22dのみ直線形状に形成し、他のスポーク22a、22b、22cは湾曲形状に形成している。このため、従来のようなスポークのすべてが湾曲形状を有する軸流ファンに比べて、リード線30の引き出し作業を行う際、リード線30を曲げたり、湾曲形状に沿わせて作業をすることがなくなるので、リード線30の引き出し作業を容易に行うことができる。
また、スポークがすべて直線形状を有する従来の軸流ファンに比べて、風量特性を低下させることなく、騒音を低減することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれものである。例えば、本実施の形態では、ケーシング15の吐出口34側に4本のスポーク22aと22b、22c、22dを設けた構成であるが、この構成に限定されるものではなく、スポークは3本以上の複数で構成され、その内、リード線30を取り付けるためのスポークのみ、直線形状に形成すればよい。
10 軸流ファン
11 ハブ
12 羽根
13 インペラ
14 モータ
14a ロータ
14b ステータ
15 ケーシング
16 ロータヨーク
17 回転駆動用のマグネット
18 シャフト
19 ハウジング
20 フランジ
20a 孔
21 モータベース
21a ボス部
22a〜22c 湾曲形状のスポーク
22d 直線形状のスポーク
22A,22B スポーク
23 軸受ハウジング
24 軸受
25 ステータコア
26 インシュレータ
27 コイル
28 回路基板
29 導通ピン
30 リード線
31 保持片
32 保持溝
33 吸込口
34 吐出口
R 回転方向

Claims (2)

  1. 複数の羽根を有するインペラと、前記インペラを回転させるモータと、前記インペラと前記モータを収容するケーシングと、前記モータに電力を供給するリード線とを備えるとともに、前記ケーシングは円筒状のハウジングと、前記モータを装着するモータベースと、前記ハウジングと前記モータベースの間を連結している複数のスポークとで形成してなる軸流ファンにおいて、
    前記複数のスポークは、前記リード線を配置する直線形状に形成されているスポークと、前記インペラの回転方向に凸状に湾曲して形成されているスポークを備えることを特徴とする軸流ファン。
  2. 直線形状をした前記スポークの半径方向の寸法をL、湾曲形状をしたスポークの湾曲量をXとした場合、湾曲形状の変位(X/L)が0.2より小さくなるように設定してなることを特徴とする請求項1記載の軸流ファン。
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