JP2013199625A - 液晶ポリエステル樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高熱伝導を示し、かつ造粒性の問題が解消された液晶ポリエステル樹脂組成物、及び該液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体の提供。
【解決手段】成分(A)液晶ポリエステル、及び成分(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウム、を含むことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物;かかる液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性に優れた成形体、及び該成形体を得る際の造粒性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物に関する。
近年、電気機器や電子機器は、小型化・高性能化が加速度的に進行しており、使用される電気・電子部品の発熱が大きな問題となっている。かかる発熱に対して放熱対策が不十分であると、熱の蓄積により電気・電子部品の性能低下が生じる。このような性能低下を抑制することに加え、これら機器を使用する使用者の安全を確保する観点からも放熱対策は重要視されている。このため、電気・電子部品の構成材料は、高熱伝導性を有することが強く求められている。
ところで、電気・電子部品の構成材料には、軽量性や成形加工性の点から、従来使用されていた金属材料から、樹脂材料への代替が検討されている。そして、電子部品の製造用の樹脂材料としては、液晶ポリエステルと高熱伝導率フィラーとを用いてなる樹脂組成物が検討されている。例えば、特許文献1には液晶ポリエステルに高熱伝導率フィラーを充填せしめた熱伝導性組成物が開示されている。また、特許文献2では、樹脂添加用の熱伝導性フィラーとして、絶縁性でありながら比較的熱伝導率が高い酸化マグネシウムを採用している樹脂組成物が提案されている。
特開平3−7891号公報 特開2007−70608号公報
しかしながら、酸化マグネシウムフィラーは吸湿性があり、水と反応しアルカリ性を示す水酸化マグネシウムになる。このため、液晶ポリエステル樹脂組成物のフィラーとして酸化マグネシウムを使用した場合、液晶ポリエステルが分解してしまう結果、造粒できないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高熱伝導性を示し、かつ造粒性の問題が解消された液晶ポリエステル樹脂組成物、及び該液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<5>の液晶ポリエステル樹脂組成物、及び<6>〜<8>の成形体を提供するものである。
<1> 成分(A)液晶ポリエステル、及び成分(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウム、を含むことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
<2> 前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を100〜300質量部含むことを特徴とする前記<1>の液晶ポリエステル樹脂組成物。
<3> 前記成分(A)の流動開始温度が280℃以上であることを特徴とする前記<1>又は<2>の液晶ポリエステル樹脂組成物。
<4> 前記成分(B)が、体積平均粒径1〜70μm、最大粒径300μm以下の粒径分布を有することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物。
<5> さらに、成分(C)電気絶縁性材料からなる板状フィラー及び、成分(D)電気絶縁性材料からなる繊維状フィラーを含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物。
<6> 前記<1>〜<5>のいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
<7> 電気・電子部品として使用されることを特徴とする前記<6>の成形体。
<8> 前記電気・電子部品が、電子素子の封止材、インシュレータ、表示装置用反射板、電子素子収納用の筐体及び表面実装部品からなる群より選ばれる一種以上であることを特徴とする前記<7>の成形体。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、樹脂組成物のペレットを作製する際の造粒性が良好であり、かつ当該ペレットから得られた成形体は電気・電子部品の製造用部材として、良好な熱伝導性を発現することができる。熱伝導性が良好な成形体は電気・電子部品、特に電気絶縁性を必要とする電気・電子部品に好適であることから、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物、及び該液晶ポリエステル樹脂組成物から得られた成形体は、産業上極めて有用である。
板状フィラー1個を模式的に示す斜視図である。
<液晶ポリエステル樹脂組成物>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、下記成分(A)及び(B)を含むことを特徴とする。
(A)液晶ポリエステル
(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウム
以下、各成分の詳細、これらの成分を含む液晶ポリエステル樹脂組成物及び該液晶ポリエステル樹脂組成物を用いた成形体に関し、順次説明する。
[成分(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウム]
まず、成分(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウムについて説明する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分(B)として酸化マグネシウムを含むため、熱伝導性に優れている。特に、成分(B)の低水和性酸化マグネシウムは、水和率が5.0wt%以下であり、水酸化マグネシウムの混入量が非常に少ない。このため、該低水和性酸化マグネシウムを配合された液晶ポリエステルは分解され難く、ペレットを作製する際の造粒性に優れている。成分(B)の低水和性酸化マグネシウムの水和率は、2.0wt%以下であることが好ましく、1.0wt%以下であることがより好ましい。
本発明及び本願明細書において、酸化マグネシウムの水和率とは、以下の手順に従って測定された値である。
(水和率の測定)
試料粉末10gを、100mLの沸騰水に撹拌しながら10分間浸漬後、冷却のために冷水100mLを加えて直ちに粉末を濾過する。この粉末をアセトンで洗浄後、120℃で乾燥させたものを、測定用試料とする。
該測定用試料について、900℃、60分間の強熱処理の前後の重量を測定する。測定結果に基づき、次式により水和率が求められる。
水和率={(A−B)/B}×100%
A:強熱処理前重量
B:強熱処理後重量
酸化マグネシウムの水和率は、例えば、充分な高温による焼成処理(例えば、700℃〜1000℃)や、リン化合物等による被覆処理を行うことにより、低下させることができる。リン化合物による酸化マグネシウムの被覆処理は、例えば、酸化マグネシウムに、リン酸やリン酸塩等のリン化合物を添加して攪拌した後、300℃以上で焼成することにより行うことができる(例えば、特許第4744911号公報参照。)。本発明において用いられる成分(B)の低水和性酸化マグネシウムとしては、焼成処理によって5.0wt%以下の水和率が達成されている酸化マグネシウムを用いることが好ましい。
成分(B)として用いられる低水和性酸化マグネシウムの微粒子としては、大部分ペリクレース型であることが、化学的安定性などの点で好ましい。また、該微粒子の体積平均粒径は、1μm以上500μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましく、1μm以上70μm以下であることがさらに好ましい。該微粒子の体積平均粒径が小さすぎる場合には、比表面積が大きすぎ、仮に表面処理を施したとしても酸化マグネシウムが水和し易くなるおそれがあるが、該微粒子の体積平均粒径が1μm以上である場合には、比表面積の過剰な増大が抑制され、酸化マグネシウムの水和が充分に抑制される。また、該微粒子の体積平均粒径が大きすぎる場合には、粉体の充填性が悪化し、充填材としての実用性が低下するおそれがあるが、該微粒子の体積平均粒径が500μm以下であることにより、充填材として良好である。
なお、低水和性酸化マグネシウム微粒子の「体積平均粒径」とは、マイクロトラック粒度分析計(例えば、日機装社製「HRA」など)を用いて測定されたものであり、具体的には、低水和性酸化マグネシウム微粒子を2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に添加し、超音波洗浄装置を用いて十分に分散させた後、レーザー光線を照射して、その回折(散乱)を測定(レーザー回折散乱測定による粒径分布測定)して求めたものである。
成分(B)として用いられる低水和性酸化マグネシウム微粒子としては、粒径分布の分布幅が比較的狭いものが好ましい。例えば、体積平均粒径が1μm以上70μm以下である場合には、最大粒径が300μm以下の粒径分布を有するものが好ましい。
成分(B)の低水和性酸化マグネシウムとしては、市場から容易に入手できるものを用いることもできる。そのような市販低水和性酸化マグネシウム微粒子としては、例えば、協和化学工業(株)の低水和性酸化マグネシウム微粒子、宇部マテリアルズ(株)の低水和性酸化マグネシウム微粒子などが挙げられる。
[成分(A)液晶ポリエステル]
次に、成分(A)液晶ポリエステルについて説明する。
液晶ポリエステルとは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、光学的異方性を示す溶融体を450℃以下の温度で形成し得るものである。このような液晶ポリエステルとしては、具体的には、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの、
などを挙げることができる。
なお、液晶ポリエステルの製造において、原料モノマーとして使用する芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの一部又は全部を、予めエステル形成性誘導体にして重合に供することもできる。このようなエステル形成性誘導体を用いることにより、液晶ポリエステルをより容易に製造できるという利点がある。
エステル形成性誘導体としては次のようなものが例示される。
分子内にカルボキシル基を有する芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の例としては、当該カルボキシル基が、ハロホルミル基(酸ハロゲン化物)やアシルオキシカルボニル基(酸無水物)等の高反応性の基に転化したものや、当該カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、一価のアルコール類やエチレングリコール等の多価アルコール類、フェノール類などとエステルを形成したものが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのようなフェノール性水酸基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、該フェノール性水酸基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、低級カルボン酸類とエステルを形成したものが挙げられる。
さらに、エステル形成性を阻害しない程度であれば、上述の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジオールは、その芳香環に、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基などの炭素数6〜20のアリール基を置換基として有していてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸(後述の(A)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸)、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(後述の(A)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエーテルや、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。該芳香族ヒドロキシカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、イソフタル酸(後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジルボン酸(後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル−4,4’−ジカルボン酸や、これらの芳香族ジカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジカルボン酸が挙げられる。該芳香族ジカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(後述の(C)を誘導する芳香族ジオール)、ハイドロキノン(後述の(C)を誘導する芳香族ジオール)、レゾルシン(後述の(C)を誘導する芳香族ジオール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレンや、これらの芳香族ジオールの芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジオールが挙げられる。該芳香族ジオールは、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ジオールに由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
前記繰返し単位(芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジオールに由来する繰返し単位)が任意に有していてもよい置換基において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられ、アリール基の例としては、フェニル基が挙げられる。
特に好適な液晶ポリエステルに関し説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位((A1))及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰返し単位((A2))を有していると好ましく、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、テレフタル酸に由来する繰返し単位((B1))、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))及び2,6−ナフタレンジカルボン酸((B3))に由来する繰返し単位からなる群より選ばれるものを有していると好ましく、芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、ヒドロキノンに由来する繰返し単位((C2))及び/又は4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位((C1))を有していると好ましい。
そして、これらの組み合わせとしては、下記(a)〜(h)で表されるものが好ましい。これら(a)〜(h)の繰返し単位の組み合わせであれば、良好な電気絶縁性を有する液晶ポリエステルが得られる。
(a):(A1)、(B1)及び(C1)からなる組み合わせ、又は、(A1)、(B1)、(B2)及び(C1)からなる組み合わせ。
(b):(A2)、(B3)及び(C2)からなる組み合わせ、又は(A2)、(B1)、(B3)及び(C2)からなる組み合わせ。
(c):(A1)及び(A2)からなる組み合わせ。
(d):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(A1)の一部又は全部を(A2)で置きかえたもの。
(e):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(B1)の一部又は全部を(B3)で置きかえたもの。
(f):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(C1)の一部又は全部を(C3)で置きかえたもの。
(g):(b)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(A2)の一部又は全部を(A1)で置きかえたもの。
(h):(c)の繰返し単位の組み合わせに、(B1)と(C2)を加えたもの。
特に好ましい液晶ポリエステルとしては、全繰返し単位の合計に対して、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位((A1))及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰返し単位((A2))といった芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が30〜80モル%、
ヒドロキノンに由来する繰返し単位((C2))及び/又は4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位((C1))といった芳香族ジオールに由来する繰返し単位の合計が10〜35モル%、
テレフタル酸に由来する繰返し単位((B1))、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))及び2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位((B3))からなる群より選ばれる芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が10〜35モル%、
である液晶ポリエステルを挙げることができる。
前記液晶ポリエステルの製造方法としては、例えば、特開2002−146003号公報に記載の方法などの公知の方法が適用できる。すなわち、上述の原料モノマー(芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール又はこれらのエステル形成用誘導体)を溶融重合(重縮合)させて、比較的低分子量の芳香族ポリエステル(以下、「プレポリマー」と略記する。)を得、次いで、このプレポリマーを粉末とし、加熱することにより固相重合する方法が挙げられる。このように固相重合させることにより、重合がより進行して、より高分子量の液晶ポリエステルを得ることができる。
その他、最も基本的な構造となる前記(a)、(b)の繰返し単位の組み合わせを有する液晶ポリエステルの製造方法については、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報などにも記載されている。
溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
成分(A)に使用する液晶ポリエステルとしては、下記の方法で求められる流動開始温度が280℃以上の液晶ポリエステルであることが好ましい。上述のように、液晶ポリエステルの製造において固相重合を用いた場合には、液晶ポリエステルの流動開始温度を280℃以上にすることが比較的短時間で可能である。そして、このような流動開始温度の液晶ポリエステルを成分(A)として用いることにより、得られる成形体は高度の耐熱性を有するものとなる。一方、成形体を実用的な温度範囲で成形する面では、成分(A)に使用する液晶ポリエステルの流動開始温度は420℃以下が好ましく、390℃以下であればさらに好ましい。
ここで、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度である。流動開始温度は、当技術分野で周知の液晶ポリエステルの分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。流動開始温度を測定する装置としては、例えば、(株)島津製作所製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」を用いることができる。
[成分(C)電気絶縁性材料からなる板状フィラー]
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、前記成分(A)及び(B)に加えて、さらに成分(C)電気絶縁性材料からなる板状フィラー(以下、「成分(C)板状フィラー」ということがある。)を含むことができる。
成分(C)板状フィラーを配合することにより、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性を確保することができる。成分(C)板状フィラーとしては、得られる成形体の電気絶縁性をより向上させるために、体積固有抵抗値が1×1010Ωm以上であることが好ましい。ここで、「体積固有抵抗値」とは、ASTM D257に準拠して測定した値である。
また、本発明及び本願明細書においては、板状フィラーとは、アスペクト比が5以上であるフィラーをいう。ここで「アスペクト比」とは、フィラー研究会編、「フィラー活用辞典」の第10〜16頁及び第23〜30頁に記載されているとおりであり、板状フィラー1個を見たとき、その平面部の平均直径(D)と平均厚さ(T)との比(D/T)で求められるものである。本発明では、例えば、100個以上の板状フィラーの各々のD/Tを求め、それらを平均化することで求められる値を、前記アスペクト比とすることができる。図1は、板状フィラー1個を模式的に示す斜視図である。板状フィラーの平面部における平均直径(D)と平均厚さ(T)は、本図に示すとおりである(ただし、図1の寸法は見易さのために任意としている)。このアスペクト比は15以上の板状フィラーであると、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に添加される成分(C)には特に好適である。
成分(C)板状フィラーは、レーザー回折法により求められた長軸の体積平均粒径が、15μm以上であることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。体積平均粒径が小さ過ぎると、成分(C)板状フィラーが成分(A)と混合し難くなる傾向があり、液晶ポリエステル樹脂組成物の製造が困難となったり、得られた成形体中で成分(C)板状フィラーが不均一に存在して、熱伝導性が低下することがある。一方、体積平均粒径が大き過ぎると、得られた成形体の機械特性が低下し易い傾向がある。なお、ここで成分(C)板状フィラーの「体積平均粒径」とは、マイクロトラック粒度分析計(例えば、日機装社製「SRA」など)を用いて測定されたものであり、具体的には、成分(C)板状フィラーをエタノールに添加し、超音波洗浄装置を用いて十分に分散させた後、レーザー光線を照射して、その回折(散乱)を測定して求めたものである。
成分(C)板状フィラーの例としては、カオリナイト;タルク;マイカ、絹雲母(セリサイト)、白雲母(マスコバイト)、金雲母(フロゴパイト)等の雲母類;クロライト、モンモリロナイト、ハロサイト等の層状粘土鉱物;ガラスフレーク等が挙げられる。
成分(C)板状フィラー自体の電気絶縁性及び熱伝導性の点から、成分(C)板状フィラーは、タルクであることが好ましい。タルクは安価であるという利点も有する。
タルクは、一般に天然に産出された鉱石を粗粉砕した後、微粉砕し、分級して得られるものである。粗粉砕で用いる装置としては、例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー等が挙げられ、微粉砕で用いる装置としては、例えば、ジェットミル、スクリーンミル、ローラーミル、振動ミル等が挙げられ、分級で用いる装置としては、例えば、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、シャープカットセパレーター等が挙げられる。
タルクとしては、例えば、日本タルク社製及び浅田製粉社製のタルクなど、アスペクト比が5以上の市販品を用いてもよい。市販のタルクの中でも、BET比表面積が1.0〜5.0m/gのタルクを、好ましくはBET比表面積が1.0〜5.0m/gであり、且つ体積平均粒径が15〜50μmであるタルクを選択して用いることが好ましい。
成分(C)板状フィラーとしては、上記の市販品タルクをそのまま用いてもよいし、成分(A)に対する分散性や、成分(A)との密着性を向上させるために、市販品タルクの表面をカップリング剤(シランカップリング剤、チタンカップリング剤等)や界面活性剤等により表面処理したものを用いてもよい。
前記シランカップリング剤の例としては、メタクリルシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられ、チタンカップリング剤の例としては、チタン酸等が挙げられる。また、前記界面活性剤の例としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
成分(C)板状フィラーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分(A)と(B)と(C)のみを配合したものであってもよく、成分(A)と(B)と(C)と後記の成分(D)とを共に配合してもよい。
[成分(D)電気絶縁性材料からなる繊維状フィラー]
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、前記成分(A)及び(B)に加えて、さらに成分(D)電気絶縁性材料からなる繊維状フィラー(以下、「成分(D)繊維状フィラー」ということがある。)を含むことができる。
成分(D)繊維状フィラーを配合することにより、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性を確保することができる。成分(D)繊維状フィラーとしては、得られる成形体の電気絶縁性をより向上させるために、体積固有抵抗値が1×1010Ωm以上であることが好ましい。ここで、「体積固有抵抗値」とは、ASTM D257に準拠して測定した値である。
成分(D)繊維状フィラーとしては、無機フィラーであってもよいし、有機フィラーであってもよい。成分(D)繊維状フィラーの例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、得られる成形体の機械強度がより向上する点から、無機フィラーが好ましく、ガラス繊維がより好ましい。
成分(D)繊維状フィラーは、数平均繊維径が0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましい。数平均繊維径が0.1μm以上であることで、得られる成形体の反り量の低減と耐熱性の向上についての効果が高くなる。また、数平均繊維径が20μm以下であることで、液晶ポリエステル樹脂組成物の流動性の向上と、得られる成形体の反り量の低減についての効果が高くなる。
また、成分(D)繊維状フィラーは、数平均繊維長が1〜300μmであることが好ましく、2〜300μmであることがより好ましい。数平均繊維長が1μm以上であることで、得られる成形体の耐熱性及び力学強度の向上効果が高くなる。また、数平均繊維長が300μm以下であることで、液晶ポリエステル樹脂組成物の流動性向上の効果が高くなる。
成分(D)繊維状フィラーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分(A)と(B)と(D)のみを配合したものであってもよく、成分(A)と(B)と(C)と(D)とを共に配合してもよい。
[他の成分]
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、前記成分(A)〜(D)以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて他の成分を1種以上含んでいてもよい。
前記他の成分の例としては、フッ素樹脂等の離型改良剤;染料、顔料等の着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤等の通常の添加剤が挙げられる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、前記他の成分の含有量は5質量%以下であることが好ましく、前記成分(A)〜(D)のみからなるものがより好ましい。
[液晶ポリエステル樹脂組成物の調製方法]
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分(A)及び成分(B)をはじめとする各種成分を各種公知の手段で混合して得られる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を100〜300質量部含むことが好ましく、100〜200質量部含むことがより好ましく、100〜150質量部含むことがさらに好ましい。成分(A)に対して充分量の成分(B)を含有することにより、熱伝導性が非常に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が、成分(C)及び/又は成分(D)を含む場合には、成分(B)の含有質量を成分(C)及び成分(D)の合計含有質量より多くなるように、それぞれの配合量を決定することが好ましい。このように、成分(B)の含有質量が成分(C)と成分(D)の含有質量よりも多いことにより、得られる成形体において、高度の熱伝導性を発現することができる。より好ましくは、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の総質量に対する成分(B)の含有質量をWB(質量%)、成分(C)及び成分(D)の合計含有質量をWC(質量%)としたとき、WB/WCが2以上であると好ましく、3以上であるとより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が、成分(C)及び/又は成分(D)を含む場合には、成分(A)100質量部に対して、成分(B)と成分(C)と成分(D)との合計が150質量部以上とすることが好ましく、160質量部以上にすることがより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分(A)及び(B)、並びに必要に応じて成分(C)や(D)等の他の成分を、各種公知の方法で配合し、混合することにより製造できる。好ましい製造方法の例としては、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて、原料である各成分を全て混合した後、押出機を用いて、得られた混合物を溶融混練する方法が挙げられ、この溶融混練によって得られた混練物をペレット化してもよい。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、ペレットを作製する際の造粒性が良好である。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
かかる成形体は、前記液晶ポリエステル樹脂組成物を用いたことにより、熱伝導性及び成形性に優れる。
液晶ポリエステル樹脂組成物の成形方法は、目的とする成形体(部材)の形状によって好適なものを公知の方法から適宜選択でき、なかでも、溶融成形法が好ましく、射出成形法がより好ましい。射出成形法は、薄肉部を有するような複雑な形状の成形体を成形し易いという利点を有する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物より得られる成形体は、熱伝導性に優れ、例えば、熱伝導率を0.9W/m・K以上とすることができる。成形体の熱伝導率は、成形体の熱拡散率、比熱及び比重の積から求めることができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物より得られる成形体は、各種用途に適用できるが、特に熱伝導性に優れる点から、電気・電子部品等の、特に高熱伝導性が必要とされる部材として特に有用である。なかでも、電子素子の封止材、インシュレータ、表示装置用反射板、電子素子収納用の筐体及び表面実装部品からなる群より選ばれる一種以上として好適である。また、前記表面実装部品としては、コネクターが好適である。このような電気・電子部品においては、これら部品を備えた電気・電子機器の稼動によって発熱し、且つこれら部品の放熱性が不十分であると、誤作動等が生じて機器の信頼性が低下し易い。これに対して本発明に係る成形体は、上記のように、熱伝導性に優れるという有利な特性を有する。したがって、本発明に係る成形体は、前記電気・電子部品として使用したとき、効率よく放熱するため、これら部品を備えた電気・電子機器の安定的な稼動を実現する。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度は、以下の方法で測定した。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
フローテスター(島津製作所社製「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
本実施例で使用した成分(B)低水和性酸化マグネシウム微粒子、成分(C)板状フィラー及び成分(D)繊維状フィラーは、以下の通りである。
・成分(B)低水和性酸化マグネシウム微粒子;
低水和性酸化マグネシウム微粒子(パイロキスマ3320(協和化学工業社製):体積平均粒径:17μm、水和率0.93wt%)(以下「MgO(1)」と略記する。)
・成分(C)板状フィラー;
タルク(タルクX50(日本タルク社製):長軸の体積平均粒径17.4μm)
・成分(D)繊維状フィラー;
ガラス繊維(チョップドガラス繊維CS03JAPX−1(旭ファイバーガラス社製):数平均繊維径10μm、数平均繊維長3mm)
また、比較例で使用した水和性の高い酸化マグネシウム微粒子は、以下の通りである。
・水和性の高い酸化マグネシウム微粒子(パイロキスマ5301(協和化学工業社製):体積平均粒径:2μm、水和率7.2wt%)(以下「MgO(2)」と略記する。)
<液晶ポリエステルの製造>
[製造例1]
(液晶ポリエステル(1)の製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、テレフタル酸239.2g(1.44モル)、イソフタル酸159.5g(0.96モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込み、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で30分間かけて150℃まで昇温し、同温度を保持して1時間還流させた。
次いで、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分間かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行い、液晶ポリエステル(1)を得た。この液晶ポリエステル(1)をLCP1とする。LCP1の流動開始温度は327℃であった。
[製造例2]
(液晶ポリエステル(2)の製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル512.1g(2.75モル、0.25モル過剰に使用。)、2,6−ナフタレンジカルボン酸497.2g(2.3モル)、テレフタル酸33.2g(0.2モル)、無水酢酸1179.1(11.5モル)及び触媒として1−メチルイミダゾール0.198gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま1時間攪拌し、触媒である1−メチルイミダゾール5.94gをさらに添加した。
次いで、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら3時間30分間かけて310℃まで昇温し、この温度(310℃)を2時間10分保温してプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から325℃まで10時間かけて昇温し、この温度(325℃)で12時間保持することにより、固相重合を行い、液晶ポリエステル(2)を得た。この液晶ポリエステル(2)をLCP2とする。LCP2の流動開始温度は335℃であった。
[実施例1、2、比較例1、2]
製造例1で得られたLCP1、製造例2で得られたLCP2、成分(B)低水和性酸化マグネシウム微粒子、成分(C)板状フィラー及び成分(D)繊維状フィラーを、表1に示す割合で、同方向2軸押出機(池貝鉄工(株)製、製品名:PCM−30HS)に供給し、330℃で溶融混練してペレット化することで液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。ただし、水和性の高い酸化マグネシウムを使用した比較例1の場合、押出機内部で樹脂が分解し、造粒できなかった。
(成形体の製造)
射出成形機(日精樹脂工業株式会社UH−1000型)を用いて、得られた前記ペレットを、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出率100cm3/sで射出成形し、以下に示す形状の成形体(1)を得た。
また、上記ペレットを射出成形機(日精樹脂工業株式会社PS40E5ASE型)を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出率30cm3/sで射出成形し、以下に示す形状の成形体(2)を得た。
成形体(1):64mm×64mm×1mm
成形体(2):ASTM4号ダンベル
得られた上記成形体について、下記方法により、熱伝導率を測定し、熱伝導率から熱伝導性を評価した。結果を表1に示す。
(熱伝導率の測定)
成形体(1)の厚さ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製「TC−7000」)を用いて、熱拡散率を測定した。DSC(PERKIN ELMER製「DSC7」)を用いて、各サンプルのペレットの比熱を測定した。さらに、成形体(2)について、自動比重測定装置(関東メジャー株式会社「ASG−320K」)を用い、ASTM D792に準拠して、比重を測定した。そして、成形体の厚さ方向の熱伝導率を、熱拡散率と比熱と比重の積から求めた([熱伝導率]=[熱拡散率]×[比熱]×[比重])。
低水和性酸化マグネシウムを配合した実施例1及び2の液晶ポリエステル樹脂組成物の溶融混練を実施したところ、造粒性が良好であり、さらに、該液晶ポリエステル樹脂組成物から、熱伝導率が0.9W/m・K以上と高熱伝導の成形体が得られることが判明した。一方、水和性の高い酸化マグネシウムを配合した比較例1の液晶ポリエステル樹脂組成物では、溶融混練を実施したが、樹脂が分解し造粒することが出来なかった。また、低水和性酸化マグネシウムを含まない比較例2の液晶ポリエステル樹脂組成物では、熱伝導率0.32W/m・Kと低い熱伝導率であった。
本発明は、高い放熱性が求められる電気・電子部品の製造に利用可能である。

Claims (8)

  1. 成分(A)液晶ポリエステル、及び成分(B)水和率が5.0wt%以下の低水和性酸化マグネシウム、を含むことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を100〜300質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記成分(A)の流動開始温度が280℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記成分(B)が、平均粒径1〜70μm、最大粒径300μm以下の粒径分布を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  5. さらに、成分(C)電気絶縁性材料からなる板状フィラー及び、成分(D)電気絶縁性材料からなる繊維状フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  7. 電気・電子部品として使用されることを特徴とする請求項6に記載の成形体。
  8. 前記電気・電子部品が、電子素子の封止材、インシュレータ、表示装置用反射板、電子素子収納用の筐体及び表面実装部品からなる群より選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
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