JP2013198870A - 蒸発濃縮装置および蒸発濃縮装置の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝熱管表面へのスケールの付着状態を的確に把握することで洗浄液の使用量と洗浄後の廃液量を必要以上に発生することを抑制することのできる蒸発濃縮装置を提供する。
【解決手段】原液を保持する蒸発缶12と、蒸発缶12の内部に配置され蒸気を生成する伝熱管16と、蒸気より生成した凝縮水を蒸発缶12より排出させる凝縮水排出ライン28と、伝熱管16を洗浄する洗浄液を蒸発缶12に供給する洗浄液供給ライン44とを備え、蒸発缶内部の原液の液面レベルを計測する液面計36と、蒸発缶12に供給される原液または凝縮水の流量を計測する流量計48と、液面レベルが予め設定された範囲内に維持されるよう原液供給量を制御し、流量計48の流量が予め設定された閾値以下となった場合に原液の供給を停止し、洗浄液供給ライン44から洗浄液を供給して、伝熱管16の洗浄を開始するよう制御する。
【選択図】図1
【解決手段】原液を保持する蒸発缶12と、蒸発缶12の内部に配置され蒸気を生成する伝熱管16と、蒸気より生成した凝縮水を蒸発缶12より排出させる凝縮水排出ライン28と、伝熱管16を洗浄する洗浄液を蒸発缶12に供給する洗浄液供給ライン44とを備え、蒸発缶内部の原液の液面レベルを計測する液面計36と、蒸発缶12に供給される原液または凝縮水の流量を計測する流量計48と、液面レベルが予め設定された範囲内に維持されるよう原液供給量を制御し、流量計48の流量が予め設定された閾値以下となった場合に原液の供給を停止し、洗浄液供給ライン44から洗浄液を供給して、伝熱管16の洗浄を開始するよう制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、工場から排出される洗浄廃液や石炭火力発電所から排出される排煙脱硫排水などに含まれる塩類等の各種成分が溶解している原液を加熱濃縮し、水分を蒸発させることで原液を減容化させる蒸発濃縮装置および蒸発濃縮装置の洗浄方法に関するものである。
塩類等の各種成分が溶解している原液を減容化するためには、蒸発濃縮装置に備えられた伝熱管にて原液を加熱濃縮し原液中の水分を蒸発させる方法が用いられることが多く、例えば工場から機械洗浄等で排出される各種の塩類を含む原液や、石炭火力発電所から排出される硫酸カルシウムを含む原液を減容化させ、原液の処理効率を向上するために利用されている。
一般に蒸発濃縮装置では、原液に溶解している各種成分がスケールとして析出し伝熱管の表面に付着しやすい。この伝熱管へのスケール付着によって伝熱管から原液への伝熱量が徐々に低下し、蒸発缶内部での単位時間当たりの蒸発量が減少するため蒸発濃縮装置の運転効率が徐々に低下することなる。
伝熱管に付着したスケール除去のための洗浄には酸性洗浄液等を使用した化学洗浄が用いられることが多い。しかしながら伝熱管にスケールが付着したままの状態で蒸発濃縮装置の運転を継続するとスケールが硬化し化学洗浄によるスケール除去が困難になるなどの問題が発生する。そのため伝熱管へのスケール付着状況を的確に把握し、スケール除去が比較的容易な状態で伝熱管の洗浄開始時期を決定する必要がある。
従来から伝熱管の洗浄開始時期は、あらかじめ設定された所定期間毎や、運転員の覗き窓からの目視による状態監視などにより決定されてきた。また特許文献1にあるように伝熱管を監視可能なように蒸発濃縮装置の蒸発缶に覗き窓とスケール検知器を備えることで伝熱管へのスケールの付着状態を把握し、スケール付着状態に応じて洗浄を開始する技術が提案されている。
しかし伝熱管の洗浄開始時期をあらかじめ設定された所定期間毎に行う場合、通常はある程度の余裕を持たせるためスケールが伝熱管に充分に付着することが予測される期間よりも短い間隔で洗浄されることになり、蒸発濃縮装置の運転時間が短くなる上に多量の洗浄液を使用し、結果として必要以上の洗浄廃液を発生させるという課題がある。
また運転員による目視では、絶えず人が監視する必要があるため人的な負担が大きいことに加え、覗き窓から見える範囲しか伝熱管の状態が確認できず、更に人による確認であるため定性的な判断になってしまうという課題がある。
また覗き窓とスケール検知器を備えた場合であってもスケール検知のための装置が大掛かりになる上に、覗き窓から検知できる範囲しか伝熱管の状態を把握できないという課題がある。
本発明はこのような課題に鑑み、比較的簡単な構成により伝熱管へのスケール付着状態を的確かつ定量的に把握し、好適な時期に伝熱管の洗浄を開始することが可能な蒸発濃縮装置および蒸発濃縮装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明にかかる蒸発濃縮装置は、原液供給ラインによって内部に原液が供給される蒸発缶と、前記蒸発缶の内部に配置され、前記原液を加熱濃縮することで前記原液から蒸気を生成させる伝熱管と、前記蒸気より生成した凝縮水を前記蒸発缶より排出させる凝縮水排出ラインと、前記伝熱管を洗浄する洗浄液を前記蒸発缶に供給する洗浄液供給ラインとを備える蒸発濃縮装置において、前記蒸発缶内部の前記原液の液面レベルを計測する液面計と、前記蒸発缶に供給される前記原液の流量または前記蒸発缶から排出される前記凝縮水の流量を計測する流量計と、前記流量計の計測値に基づき単位時間当たりの流量を演算する演算部と、前記液面レベルが予め設定された一定の範囲内に維持されるよう前記原液供給ラインの原液供給量を制御し、前記演算部で演算された単位時間当たりの流量が予め設定された閾値以下となった場合に前記原液供給ラインからの前記原液の供給を停止するとともに前記洗浄液供給ラインから前記洗浄液を供給して、前記伝熱管の洗浄を開始するよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
(1)に記載の蒸発濃縮装置によれば、原液または凝縮水の単位時間あたりの流量を計測・演算することで蒸発濃縮装置の原液の蒸発効率を把握することが可能となり、原液の蒸発効率を決定する伝熱管へのスケール付着状況を把握することができる。これにより簡単な構成で伝熱管へのスケール付着状況を定量的に把握することが可能となるため、好適な時期に伝熱管の洗浄を開始することが可能となる。この結果、伝熱管の洗浄頻度が適正化され、伝熱管洗浄に必要な洗浄液の使用量および洗浄後に発生する洗浄廃液量を必要以上に発生させることを抑制することができるという効果を有する。
(2) また本発明にかかる蒸発濃縮装置は、(1)に記載の蒸発濃縮装置において、前記流量計は、前記原液供給ライン上に配置されていることを特徴とする。
(2)に記載の蒸発濃縮装置によれば、流量計を原液供給ライン上に配置するという簡単な構成により蒸発濃縮装置の原液の蒸発効率、つまり伝熱管へのスケールの付着状況を把握することができるという効果を有する。
(3) また本発明にかかる蒸発濃縮装置は、(1)に記載の蒸発濃縮装置において、前記伝熱管による加熱で生成された前記蒸気を圧縮するヒートポンプと、を備え、前記流量計は、前記凝縮水排出ライン上に配置されていることを特徴とする。
(3)に記載の蒸発濃縮装置によれば、伝熱管により蒸発缶で生成された蒸気を圧縮するヒートポンプを備えることで蒸発濃縮装置の起動時に必要な蒸気以外、外部からの蒸気供給はほぼ不要になる。そのため原液の単位時間当たりの流量と凝縮水の単位時間当たりの流量はほぼ一致することになり、凝縮水の単位時間当たりの流量を計測することでも原液の単位時間当たりの流量を計測した場合とほぼ同じ結果が得られることになる。また凝縮水は原液に比べて塩類等の溶解量が少なく、凝縮水を計測する流量計は流体の汚れに起因するトラブルを起こしにくいため、蒸発濃縮装置としての装置の安定性が向上するという効果を有する。
(4) また本発明にかかる蒸発濃縮装置は、(1)〜(3)に記載のいずれかの蒸発濃縮装置において、前記洗浄液供給ラインは、酸性洗浄液を供給する酸性洗浄液供給ラインと、アルカリ性洗浄液を供給するアルカリ性洗浄液供給ラインと、を備え、前記制御部は、前記酸性洗浄液供給ラインを前記蒸発缶に接続し前記酸性洗浄液により前記伝熱管が洗浄された後、前記酸性洗浄液供給ラインを前記アルカリ性洗浄液供給ラインに切り換え、前記酸性洗浄液を前記アルカリ性洗浄液に置換して更に前記伝熱管を洗浄させる制御を行うことを特徴とする。
(4)に記載の蒸発濃縮装置によれば、酸性洗浄液により伝熱管を洗浄した後、アルカリ性洗浄液に置換して更に伝熱管を洗浄することで、酸性洗浄液だけでは洗浄することができない有機成分を含むスケールの場合であっても伝熱管を洗浄することができるという効果を有する。
(5) 本発明にかかる蒸発濃縮装置の洗浄方法は、原液供給ラインにより蒸発缶に供給された原液を前記蒸発缶内に配置された伝熱管により加熱濃縮することで蒸気を生成し、前記蒸気より生成した凝縮水を凝縮水排水ラインより排出させる蒸発濃縮装置の洗浄方法において、前記蒸発缶に供給された前記原液の液面レベルを予め設定された一定の範囲内に維持しながら前記蒸発缶に供給される前記原液の単位時間当たりの流量、または前記凝縮水排出ラインより排出される前記凝縮水の単位時間当たりの流量を計測・演算する工程と、前記流量が予め設定された閾値以下となったとき、前記蒸発缶に前記原液を供給する前記原液供給ラインから、洗浄液を供給する洗浄液供給ラインに切り換えて前記蒸発缶に前記洗浄液を供給する工程と、前記洗浄液により前記伝熱管を洗浄する工程と、を備えることを特徴とする。
(5)に記載の蒸発濃縮装置の洗浄方法によれば、原液または凝縮水の単位時間あたりの流量を計測するという簡単な工程により蒸発濃縮装置の原液の蒸発効率を把握することが可能となり、原液の蒸発効率を決定する伝熱管へのスケール付着状況を把握することができる。これにより伝熱管へのスケール付着状況を定量的に把握することが可能となるため、好適な時期に伝熱管の洗浄を開始することが可能となる。この結果、伝熱管の洗浄頻度が適正化され、伝熱管洗浄に必要な洗浄液の使用量および洗浄後に発生する洗浄廃液量を必要以上に発生させることを抑制することができるという効果を有する。
以上説明したように、本発明によれば蒸発濃縮装置に配置された伝熱管の洗浄を好適な時期に開始することが可能となる。この結果、伝熱管の洗浄頻度が適正化され、伝熱管洗浄に必要な洗浄液の使用量および洗浄後に発生する洗浄廃液量を必要以上に発生させることを抑制することができるという効果を有する。
以下に添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。かかる実施形態は発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる蒸発濃縮装置10の概略構成を示す図である。蒸発濃縮装置10は、全体として円筒形状を有し底部が円錐形状を成しており内部に原液14を保持する蒸発缶12を備えている。
蒸発缶12には原液14を供給する原液供給ライン40が接続されており、原液供給ライン上には流量計48および原液供給バルブ42が配置されている。また原液供給バルブ42と蒸発缶12の間には洗浄液供給バルブ46を有する洗浄液供給ライン44が接続されている。流量計48は演算部49に計測結果を送信可能なように接続されている。
また蒸発缶12には真空ポンプ34を備えた脱圧ライン32が接続されており、また蒸発缶12の内部に伝熱管16と、一端部が蒸発缶12の底部に接続され他端部が伝熱管16よりも上部でかつ伝熱管16上に散水可能なように接続され、一端部と他端部との間に循環液バルブ19と循環ポンプ20を有している循環液ライン18を備えている。循環液バルブ19と循環ポンプ20の間には濃縮液排出バルブ24が配置された濃縮液排出ライン22が接続されている。
伝熱管16には蒸気が供給可能なように蒸気供給ライン50が接続され、蒸気が潜熱を放出し生成された凝縮水を排出する凝縮水排出ライン28と凝縮水ポンプ30が接続されている。伝熱管16で生成された蒸気は蒸発缶12の外部に排出可能なように蒸発缶12は蒸気排出ライン51を備えている。
蒸発缶12は、蒸発缶内部に保有された原液14の液面を計測する液面計36と、原液14の比重を計測する比重計26を備え、液面計36と比重計26と演算部49とはそれぞれ制御部38に計測および演算結果を送信可能なように接続されている。制御部38は、循環液バルブ19と濃縮液排出バルブ24と原液供給バルブ42と洗浄液供給バルブ46のそれぞれの開閉を制御する。
蒸発濃縮装置の運転開始が開始されると、蒸発缶12の内部の空気は真空ポンプ34を用いて脱圧ライン32から排出され、蒸発缶12内部は減圧状態(例えば30kPaA程度)に保たれる。蒸発缶12の内部が減圧状態となった後、蒸発缶12に接続された原液供給ライン40によって蒸発缶12に原液14が供給され、原液14は循環ポンプ20により循環液ライン18を経由して伝熱管16上に散水される。
蒸発缶12の内部は減圧状態(例えば30kPaA程度)に保たれているので100℃以下(例えば70℃程度)で原液14を蒸発させることができ、そのため原液に溶解している各種成分よりも相対的に蒸気圧が低い水分を蒸発しやすくすることができる。
伝熱管16には蒸気供給ライン50により外部から蒸気が供給される。原液14は伝熱管16上に散水され、伝熱管16の表面で伝熱管16内部の蒸気から潜熱を伝熱されることで蒸気が生成され、蒸気排出ライン51を通りコンデンサー(バロメトリックコンデンサー等)で凝縮される。一方、伝熱管16内部の蒸気は潜熱を失い、凝縮水となって凝縮水排出ライン28を経由して凝縮水ポンプ30により外部に排出される。
このように原液14は内部の水分が蒸気となって徐々に減容する、つまり蒸発濃縮されるが、蒸発濃縮が進むと蒸発缶12に保有されている原液14の液面レベルが低下する。原液14の液面レベルが予め設定された規定値以下となると液面計36からの信号により制御部38は原液供給バルブ42を開け、原液14の液面が規定値以上になるまで原液14を補充するよう制御する。
蒸発濃縮が進み、原液14の比重が予め設定された規定値以上になると比重計26からの信号により、制御部38は原液供給バルブ42と循環液バルブ19を閉め、濃縮液排出バルブ24を開けることで濃縮された原液14を濃縮液排出ライン22から排出するよう制御する。
原液14の蒸発濃縮を行っている間、蒸発缶12に供給される原液14の流量は原液供給ライン上に配置された流量計48で計測されるとともにその計測値に基づき、単位時間当たりの原液の流量が演算部49で演算される。そして演算部49で演算された原液14の単位時間当たりの流量が制御部38に送信され、予め設定された閾値と比較される。
原液14の蒸発濃縮を行うと原液14中の各種成分が徐々にスケールとなって析出し、伝熱管16の表面に付着する。この伝熱管16の表面へのスケール付着の進行により伝熱管16から原液14への伝熱量は徐々に低下する。この伝熱管16の伝熱量の低下は原液14の蒸発効率の低下となって現れるので、液面計36で計測された蒸発缶12内の原液14の液面の低下速度が減少する。その結果、原液14の供給量、すなわち原液供給ライン40を流れる原液14の単位時間当たりの流量が低下する。
流量計48および演算部49により計測・演算された原液14の単位時間当たりの流量が閾値を下回った場合、制御部38は濃縮された原液14を蒸発缶12から排出した後、濃縮液排出バルブ24と原液供給バルブ42を閉め、洗浄液供給バルブ46を開けて洗浄液供給ライン44から蒸発缶12に洗浄液を供給する。その後、循環液バルブ19を開けて洗浄液を循環させ、伝熱管16を洗浄する。
制御部38は、所定時間、洗浄液を循環させ伝熱管16を洗浄した後、濃縮液排出バルブ24を開け蒸発缶12内の洗浄液を排出し、次の蒸発濃縮工程のための待機状態となる。蒸発濃縮装置10は上述の工程を繰り返すことで原液14の蒸発濃縮を行う。
このように第1実施形態では、伝熱管の洗浄開始時期を、原液供給ライン40を流れる原液14の単位時間当たりの流量で決定するため伝熱管16へのスケール付着状況を定量的に把握することが可能となり、好適な時期に伝熱管16の洗浄を開始することが可能となるという効果を得ることができる。
(第2実施形態)
図2は第2実施形態にかかる蒸発濃縮装置11の概略構成を示す図である。図1との差異は蒸気排出ライン51に代えて、蒸気循環ライン52およびヒートポンプ54を有することと、流量計48が凝縮水排出ライン28上に配置されている点である。なおここでいうヒートポンプ54とは蒸気圧縮機のことである。
第2実施形態にかかる蒸発濃縮装置11は上述のようにヒートポンプ54を有しており、ヒートポンプ54は伝熱管16で加熱され生成された蒸気を圧縮することで蒸気の凝縮温度を高める。圧縮された蒸気は凝縮温度が蒸発缶12内の原液14の温度よりも圧縮された分だけ高くなるため、圧縮後の蒸気を蒸気循環ライン52を経由して伝熱管16に供給することで蒸気の潜熱を原液14に伝熱することができる。そのため蒸発缶12内で生成した蒸気の潜熱はヒートポンプ54によりほぼ回収されることになり、その結果、蒸発濃縮装置11は運転中、外部からの蒸気をほぼ必要としない。そのため単位時間当たりの原液14の流量と凝縮水の流量がほぼ等しくなり、流量計48で凝縮水の流量を計測しても原液14の供給量を計測した場合と同様の効果を得ることができる。
また凝縮水は原液14に比べて各種成分の溶解量が低く、ほぼ水分のみとなるので原液供給ライン40に流量計48を配置した場合に比べ流体の汚れに起因する流量計48のトラブルを起こしにくい。そのため第2実施形態では第1実施形態と同様の効果を得ながら、更に流量計48のメンテナンス頻度を減らすことが可能になるという効果を得ることができる。
次に第1実施形態および第2実施形態に共通する部分について説明する。図3は単位時間当たりの原液14または凝縮水の流量と時間の関係を示した模式図である。上述のように単位時間当たりの原液14または凝縮水の流量は伝熱管16の表面のスケール付着に従い、徐々に低下する。
制御部38は原液14の液面レベルを予め一定の範囲内に維持するよう、原液供給バルブ42を制御し蒸発缶12に原液14を供給しながら、単位時間当たりの原液14または凝縮水の流量を閾値と比較する。制御部38は流量が予め設定された閾値を下回った場合、蒸発缶12への原液供給を停止し、洗浄工程を開始する。洗浄工程が完了した後は、蒸発濃縮間装置10(11)は次の蒸発濃縮工程を開始する。
図4は洗浄液供給ライン44から供給する洗浄液について、酸性洗浄液およびアルカリ性洗浄液の両方を使用する場合の洗浄液切換手段の概略構成を示した図である。蒸発濃縮装置10(11)の伝熱管16の洗浄には一般的に酸性洗浄液が使用されるが、原液14に有機成分等が含まれている場合には酸性洗浄液だけではスケールが残ってしまう場合がある。その場合には酸性洗浄液を用いて洗浄した後、アルカリ系洗浄液に置換して洗浄することが有効である。
伝熱管16の洗浄のため蒸発缶12内で濃縮された原液14が濃縮液排出ライン22から排出された後、制御部38は洗浄液供給バルブ46と酸性洗浄液供給バルブ58を開いて酸性洗浄液供給ライン56から酸性洗浄液を蒸発缶12に供給し伝熱管16を循環液ライン18により循環洗浄した後、酸性洗浄液を濃縮液排出ライン22から排出する。その後、脱塩水供給ライン(図示せず。)から脱塩水を供給し、循環洗浄する。この脱塩水による循環洗浄をリンスといい、すすぎ洗いの意味である。その後、蒸発缶12内の脱塩水を排出し、酸性洗浄液供給バルブ58を閉めアルカリ性洗浄液供給バルブ62を開け、アルカリ性洗浄液供給ライン60からアルカリ性洗浄液を蒸発缶12内に供給し循環液ライン18により循環洗浄をする。循環洗浄の後、脱塩水によりリンスした後、蒸発缶12内の脱塩水を排出することで洗浄終了となる。これにより酸性洗浄液だけでは洗浄しきれないスケールであっても洗浄を可能とする。伝熱管のスケール付着が著しい場合などでは、上述の酸性洗浄液およびアルカリ性洗浄液での洗浄が繰り返される。
上記の実施形態は蒸発濃縮装置として説明したが、本発明は蒸発濃縮装置の洗浄方法としても好適である。
すなわち、原液供給ライン40により蒸発缶12に供給された原液14を伝熱管16により加熱濃縮することで蒸気を生成し、蒸気より生成した凝縮水を凝縮水排水ライン28より排出させる蒸発濃縮装置10(11)の洗浄方法であって、蒸発缶12に供給された原液14の液面レベルを液面計36で計測し、制御部38で予め設定された一定の範囲内に維持するよう原液供給バルブ42を制御しながら蒸発缶12に供給される原液14の単位時間当たりの流量、または凝縮水排出ライン28より排出される凝縮水の単位時間当たりの流量を流量計48および演算部49で計測・演算する工程と、この単位時間当たりの流量が予め設定された閾値以下となったとき、制御部38にて蒸発缶12に原液14を供給する原液供給ライン40から、洗浄液を供給する洗浄液供給ライン44に切り換える制御を行うことで蒸発缶12に洗浄液を供給する工程と、を備えることにより洗浄液によって伝熱管16を洗浄することができる。
このように原液14または凝縮水の単位時間当たりの流量を計測・演算するという簡単な方法で伝熱管16へのスケール付着状況を定量的に把握することができ、伝熱管16の好適な洗浄開始時期を決定することが可能な蒸発濃縮装置の洗浄方法を提供することが可能である。
なお、上記の実施形態では、制御部38によって自動で洗浄に移行するよう制御されているが、例えば、単位時間当たりの流量をモニターに表示させ、単位時間当たりの流量が予め設定された閾値以下となったことを運転員が察知した際に、手動で洗浄に移行するようにしても良い。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明した。上述の実施形態は循環液ラインを備える強制循環式の蒸発濃装置となっているが本発明はかかる実施形態に限定されず、循環液ラインを必要としない自然循環式の蒸発濃縮装置においても適用することが可能である。また上述の実施形態では減圧状態での蒸発濃縮としているが、正圧状態での蒸発濃縮においても適用することが可能である。
また当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、各種の成分が溶解している原液を蒸発濃縮により減容化する蒸発濃縮装置に配置されている伝熱管表面に付着するスケールの洗浄開始時期を最適化するためのものとして利用することができる。
10:蒸発濃縮装置、11:蒸発濃縮装置、12:蒸発缶、14:原液、16伝熱管、18:循環液ライン、19:循環液バルブ、20:循環ポンプ、22:濃縮液排出ライン、24:濃縮液排出バルブ、26:比重計、28:凝縮水排出ライン、30:凝縮水ポンプ、32:脱圧ライン、34、真空ポンプ、36:液面計、38:制御部、40:原液供給ライン、42:原液供給バルブ、44:洗浄液供給ライン、46:洗浄液供給バルブ、48:流量計、49:演算部、50:蒸気供給ライン、51:蒸気排出ライン、52:蒸気循環ライン、54:ヒートポンプ、56:酸性洗浄液供給ライン、58:酸性洗浄液供給バルブ、60:アルカリ性洗浄液供給ライン、62:アルカリ性洗浄液供給バルブ
Claims (5)
- 原液供給ラインによって内部に原液が供給される蒸発缶と、前記蒸発缶の内部に配置され、前記原液を加熱濃縮することで前記原液から蒸気を生成させる伝熱管と、前記蒸気より生成した凝縮水を前記蒸発缶より排出させる凝縮水排出ラインと、前記伝熱管を洗浄する洗浄液を前記蒸発缶に供給する洗浄液供給ラインとを備える蒸発濃縮装置において、
前記蒸発缶内部の前記原液の液面レベルを計測する液面計と、
前記蒸発缶に供給される前記原液の流量または前記蒸発缶から排出される前記凝縮水の流量を計測する流量計と、
前記流量計の計測値に基づき単位時間当たりの流量を演算する演算部と、
前記液面レベルが予め設定された一定の範囲内に維持されるよう前記原液供給ラインの原液供給量を制御し、前記演算部で演算された単位時間当たりの流量が予め設定された閾値以下となった場合に前記原液供給ラインからの前記原液の供給を停止するとともに前記洗浄液供給ラインから前記洗浄液を供給して、前記伝熱管の洗浄を開始するよう制御する制御部と、
を備えることを特徴とする蒸発濃縮装置。 - 前記流量計は、前記原液供給ライン上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発濃縮装置。
- 前記伝熱管による加熱で生成された前記蒸気を圧縮するヒートポンプと、
を備え、
前記流量計は、前記凝縮水排出ライン上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発濃縮装置。 - 前記洗浄液供給ラインは、酸性洗浄液を供給する酸性洗浄液供給ラインと、
アルカリ性洗浄液を供給するアルカリ性洗浄液供給ラインと、
を備え、
前記制御部は、前記酸性洗浄液供給ラインを前記蒸発缶に接続し前記酸性洗浄液により前記伝熱管が洗浄された後、前記酸性洗浄液供給ラインを前記アルカリ性洗浄液供給ラインに切り換え、前記酸性洗浄液を前記アルカリ性洗浄液に置換して更に前記伝熱管を洗浄させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸発濃縮装置。 - 原液供給ラインにより蒸発缶に供給された原液を前記蒸発缶内に配置された伝熱管により加熱濃縮することで蒸気を生成し、前記蒸気より生成した凝縮水を凝縮水排水ラインより排出させる蒸発濃縮装置の洗浄方法において、
前記蒸発缶に供給された前記原液の液面レベルを予め設定された一定の範囲内に維持しながら前記蒸発缶に供給される前記原液の単位時間当たりの流量、または前記凝縮水排出ラインより排出される前記凝縮水の単位時間当たりの流量を計測・演算する工程と、
前記流量が予め設定された閾値以下となったとき、前記蒸発缶に前記原液を供給する前記原液供給ラインから、洗浄液を供給する洗浄液供給ラインに切り換えて前記蒸発缶に前記洗浄液を供給する工程と、
前記洗浄液により前記伝熱管を洗浄する工程と、
を備えることを特徴とする蒸発濃縮装置の洗浄方法。
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JP2012068929A Pending JP2013198870A (ja) | 2012-03-26 | 2012-03-26 | 蒸発濃縮装置および蒸発濃縮装置の洗浄方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108114493A (zh) * | 2018-01-22 | 2018-06-05 | 南京工程学院 | 一种热源塔溶液浓缩装置及其浓缩方法 |
EP4234259A1 (en) * | 2022-02-28 | 2023-08-30 | Seiko Epson Corporation | Conveying apparatus and printing apparatus |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10118405A (ja) * | 1996-10-22 | 1998-05-12 | Osaka Gas Co Ltd | 液体濃縮方法 |
JP2002263635A (ja) * | 2001-03-05 | 2002-09-17 | Sasakura Engineering Co Ltd | シリカの懸濁物を含むcmp廃水の処理方法 |
JP2003010837A (ja) * | 2001-07-03 | 2003-01-14 | Matsushita Environment Airconditioning Eng Co Ltd | 現像廃液の濃縮装置及び濃縮方法 |
-
2012
- 2012-03-26 JP JP2012068929A patent/JP2013198870A/ja active Pending
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