JP2013198215A - 回転子、及び当該回転子を備えた電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転時に生じるコギングやトルクリプルをより効果的に抑制し、電動機の騒音抑制、振動抑制が可能な回転子、及び当該回転子を備えた磁石埋込型の電動機を提供することを目的とする。
【解決手段】ロータ4の内部に設けられた複数の挿入孔に複数の永久磁石10がロータ4の軸方向に埋設され、挿入孔が永久磁石10の側面、磁極面の端部側、及び、側面と磁極面の端部側との間のコーナー部を囲む中空部30を有しており、永久磁石10の磁極面と面する中空部30における永久磁石10の磁極面に垂直な方向のギャップgが、永久磁石10の中央部側からコーナー部方向にかけて拡大した後、縮小する構成とした。
【選択図】図2
【解決手段】ロータ4の内部に設けられた複数の挿入孔に複数の永久磁石10がロータ4の軸方向に埋設され、挿入孔が永久磁石10の側面、磁極面の端部側、及び、側面と磁極面の端部側との間のコーナー部を囲む中空部30を有しており、永久磁石10の磁極面と面する中空部30における永久磁石10の磁極面に垂直な方向のギャップgが、永久磁石10の中央部側からコーナー部方向にかけて拡大した後、縮小する構成とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転子に関し、特に、回転子に形成した挿入孔内に嵌着された永久磁石の磁束密度の分布及び変化を最適化することが可能な回転子、及び当該回転子を備えた電動機に関する。
特許文献1に示すように、従来の埋込磁石型同期電動機(IPMモータ)は、ロータコアの挿入孔を介して埋設された互いに隣り合う磁石の側面に空隙を形成し、互いに隣り合う磁石間の異なる磁極間において磁束が短絡することを抑制するものが知られている。しかし、同文献に示す電動機においては、異なる磁極間において磁束が短絡することは抑制できるものの、ロータ外周面からステータ側に流れる磁束の密度が、磁石がロータコアと接触する部分では高く、空隙が形成された部分では急激に低くなるため、ロータの円周方向の磁束密度に急激な差が生じる結果、ロータ回転の駆動力となる磁気トルクとリラクタンストルクとの関係に大きな山や谷が生じ、コギングやトルクリプルの発生を助長してしまう虞がある。
また、特許文献2には、永久磁石の側面に形成した空隙に加え、さらに磁石の外周側に面する空隙を形成した埋込磁石型同期電動機が提案されている。
本構成によれば、磁石中央部から磁石の端部の角部に向かう空隙のうち、一部の範囲においては、ロータ表面からヨーク方向への磁束密度が低く、磁石の角部近傍では磁束密度が高くなるため、ロータ表面からヨーク方向へ流れる磁束密度をロータの円周方向に分散させる効果を奏し、ロータ回転時に生じるコギングトルクやトルクリプルの発生が抑制される。
また、特許文献2には、永久磁石の側面に形成した空隙に加え、さらに磁石の外周側に面する空隙を形成した埋込磁石型同期電動機が提案されている。
本構成によれば、磁石中央部から磁石の端部の角部に向かう空隙のうち、一部の範囲においては、ロータ表面からヨーク方向への磁束密度が低く、磁石の角部近傍では磁束密度が高くなるため、ロータ表面からヨーク方向へ流れる磁束密度をロータの円周方向に分散させる効果を奏し、ロータ回転時に生じるコギングトルクやトルクリプルの発生が抑制される。
しかしながら、特許文献2に開示された構成は、ロータに最も近接する磁石の角部が、ロータに直接接触しているため、当該接触部分においてロータ表面からヨーク方向への磁束密度が急激に高くなり、ロータとヨーク間の磁束密度の高低の変化が過渡的なものとなり、特許文献1と同様コギングトルクやトルクリプルを十分に抑制するには至っていない。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、ロータの回転時に生じるコギングやトルクリプルをより効果的に抑制し、電動機の騒音抑制、振動抑制が可能な磁石埋込型の電動機に好適な回転子、及び、磁石埋込型の電動機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための回転子の構成として、内部に設けられた複数の挿入孔に複数の永久磁石が軸方向に埋設され、挿入孔が永久磁石の側面、磁極面の端部側、及び、側面と磁極面の端部側との間のコーナー部を囲む中空部を有しており、永久磁石の磁極面と面する中空部における永久磁石の磁極面に垂直な方向のギャップが、永久磁石の中央部側からコーナー部方向にかけて拡大した後、縮小する構成とした。
本構成からなる回転子によれば、永久磁石の磁極面と面する中空部における永久磁石の磁極面に垂直な方向のギャップが、永久磁石の中央部側からコーナー部方向にかけて拡大した後、縮小するため、回転子の外周面とヨーク間の磁束密度が永久磁石の中央部側から磁石端部のコーナー部方向にかけて次第に低くなり、その後高くなるため、回転子の円周方向において磁束密度が高い部分を分散できると共に、円周方向における磁束密度の変化の度合いを段階的に緩やかなものとすることができる。よって、コギングトルク、トルクリプルを効果的、かつ効率的に抑制できる。
また、上記構成を前提として、拡大後の中空部のギャップがコーナー部方向にかけて徐々に小さくなるようにした。本構成からなる回転子によれば、拡大後のギャップが、コーナー部方向にかけて徐々に小さくなるため、コーナー部方向に向かって次第に高くなる磁束密度の変化の度合いを徐々に緩やかなものとすることができ、コギングトルク及びトルクリプルの発生をより一層抑制できる。
また、上記構成を前提として、中空部のギャップが永久磁石のコーナー部の位置において最も小さくなるようにした。
本構成からなる回転子によれば、中空部の形状を単純化しながら回転子の円周方向において磁束密度が高い部分を分散できる。
本構成からなる回転子によれば、中空部の形状を単純化しながら回転子の円周方向において磁束密度が高い部分を分散できる。
また、上記構成を前提として、中空部における永久磁石の中央部側の端部と永久磁石の磁極面との間が、突部により隔てられた構成とした。
本構成によれば、永久磁石の磁極面からの磁束が突部を経由して回転子の外周面及びヨーク側に流れるため、当該突部を経由する磁束を磁石トルクに有効に寄与させることが可能となる。
また、上記各構成を備えた回転子を電動機に適用すれば、騒音及び振動が抑制された電動機を得ることができる。
本構成によれば、永久磁石の磁極面からの磁束が突部を経由して回転子の外周面及びヨーク側に流れるため、当該突部を経由する磁束を磁石トルクに有効に寄与させることが可能となる。
また、上記各構成を備えた回転子を電動機に適用すれば、騒音及び振動が抑制された電動機を得ることができる。
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
図1,図2は、実施形態に係る電動機1の一例を示す図である。
同期電動機型の電動機1(以下モータという)は、モータケース2内に取り付けられる筒状のステータ3と、モータケース2に対して回転自在に支承されたシャフトとしての回転軸5と、当該回転軸5を回転中心として回転するロータ4と、ロータ4の回転位置を検出する図外のレゾルバ、ホール素子等のセンサ等を備える。
同期電動機型の電動機1(以下モータという)は、モータケース2内に取り付けられる筒状のステータ3と、モータケース2に対して回転自在に支承されたシャフトとしての回転軸5と、当該回転軸5を回転中心として回転するロータ4と、ロータ4の回転位置を検出する図外のレゾルバ、ホール素子等のセンサ等を備える。
図1,図2に示すように、ステータ3は、モータケース2の内周面に沿って配設される円環状のヨーク本体31と、当該ヨーク本体31の内周面側からロータ4方向に向けて突出する複数のヨーク32と、ヨーク32の外周に巻回されるステータコイル33とを備え、複数のステータコイル33を選択的に通電,励磁することで、ロータ4に所定方向の回転力を付与することができる。
モータ1における回転子としてのロータ4は、例えば、軟鉄等の磁性材より成り、回転軸5が貫通する貫通孔5Aと、六極の永久磁石(以下磁石という)10が埋設可能な6個の挿入孔20と、磁束調整部16A;16Bによってそれぞれ区画される中空部30;30とを備える。
ロータ4の円周方向に沿って形成された正六角形配置の複数の挿入孔20は、回転軸5を中心として等ピッチで形成される。各挿入孔20の深さ方向は、回転軸5の延長方向と同方向となっている。また、当該挿入孔20には、磁石10が嵌挿され、磁石10はロータ4内に埋設される。また、ロータ4内に埋設された磁石10からの磁束は、ロータ4の外周面6を介してヨーク32方向に向かう。
各磁石10は、図2に示すように、隣接する磁石10,10の側面10A,10B同士は外周面6側より回転軸5側が狭くなるように対向し、ほぼV字状を成す。
また、平板状、即ち、断面矩形状の磁石10は、それぞれの端部四隅にコーナー部としての直角な角部11A,11B,12A,12Bを有する。角部12Aより側面10Aの領域D1及び磁極面M2の領域D2の範囲は、角部12Aと共に後述の中空部30に臨む。
また、角部12Bより側面10Bの領域D3及び磁極面M2の領域D4の範囲は角部12Bと共に中空部30に臨む。なお、矩形状の磁石10のコーナー部としての角部11A;11B,12A;12Bには、所定の曲率によって面取り加工を施してもよい。
また、平板状、即ち、断面矩形状の磁石10は、それぞれの端部四隅にコーナー部としての直角な角部11A,11B,12A,12Bを有する。角部12Aより側面10Aの領域D1及び磁極面M2の領域D2の範囲は、角部12Aと共に後述の中空部30に臨む。
また、角部12Bより側面10Bの領域D3及び磁極面M2の領域D4の範囲は角部12Bと共に中空部30に臨む。なお、矩形状の磁石10のコーナー部としての角部11A;11B,12A;12Bには、所定の曲率によって面取り加工を施してもよい。
図1に示すように、挿入孔20内に埋設された状態の磁石10は、回転軸5と対向する裏面側の磁極面M1と、ヨーク32側と対向する表面側の磁極面M2のそれぞれの磁極が異なるように磁化されている。また、ロータ4の円周方向に沿って互いに隣接する磁石10の磁極面M1,M2同士は、互いに磁極が反対となるように磁化される。
各挿入孔20は、図2に示すように、磁石10の回転軸5側の磁極面M1を支持する裏面支持部13と、裏面支持部13と連続し、磁石10の側面10A;10Bの領域D1,D3以外をそれぞれ支持する側面支持部14A;14Bと、磁石10のヨーク32側の磁極面M2の領域D2,D4以外を支持する表面支持部15と、本実施形態の主要部を構成する上述の磁束調整部16A;16Bとによって形成される。ロータ4回転時における磁石10のロータ4に対する動きは、裏面支持部13、側面支持部14A;14B及び表面支持部15の接触によって拘束される。
次に、磁束調整部16A;16Bについて説明する。
磁束調整部16A;16Bはそれぞれ、磁石10の角部12A;12Bの周囲に中空部30;30を形成する。なお、以下の説明においては磁束調整部16Aのみについて説明する。図2の部分拡大図に示すように、磁束調整部16Aは、側面支持部14Aの先端に相当する端点Aからやや傾斜して立ち上がる辺部Pと、当該辺部Pよりも急な傾斜を有する傾斜辺部Qと、この傾斜辺部Qの端点Cより、外周面6に沿って延長する辺部Rと、辺部Rと連続して外周面6に沿って延長する辺部Sと、折り返し辺部Tと、折り返し辺部Tの端点Hより磁石10の磁極面M2の方向に傾斜する辺部Uと、辺部Uの端点Iより磁極面M2側に立ち下がる立下り辺部Vを有し、各辺部P,Q,R,S,T,U,Vと、磁石10との間に中空部30が形成される。
磁束調整部16A;16Bはそれぞれ、磁石10の角部12A;12Bの周囲に中空部30;30を形成する。なお、以下の説明においては磁束調整部16Aのみについて説明する。図2の部分拡大図に示すように、磁束調整部16Aは、側面支持部14Aの先端に相当する端点Aからやや傾斜して立ち上がる辺部Pと、当該辺部Pよりも急な傾斜を有する傾斜辺部Qと、この傾斜辺部Qの端点Cより、外周面6に沿って延長する辺部Rと、辺部Rと連続して外周面6に沿って延長する辺部Sと、折り返し辺部Tと、折り返し辺部Tの端点Hより磁石10の磁極面M2の方向に傾斜する辺部Uと、辺部Uの端点Iより磁極面M2側に立ち下がる立下り辺部Vを有し、各辺部P,Q,R,S,T,U,Vと、磁石10との間に中空部30が形成される。
磁束調整部16Aによって形成される中空部30は、磁石10の角部12Aを含み、側面10Aの領域D1及び磁極面M2の領域D2に渡って磁石10の周囲を包囲する。
角部12Aを含んで形成された中空部30は、磁石10の側面10A側の領域D1に対応するほぼ台形状の側面側中空部30Aと、磁石10の磁極面M2の端部側の領域D2に対応するほぼU字状の外周側中空部30Bとに区画され、両中空部は、角部12Aに対応して設けられた中空部30内における最小ギャップgminを介して連通する。
角部12Aを含んで形成された中空部30は、磁石10の側面10A側の領域D1に対応するほぼ台形状の側面側中空部30Aと、磁石10の磁極面M2の端部側の領域D2に対応するほぼU字状の外周側中空部30Bとに区画され、両中空部は、角部12Aに対応して設けられた中空部30内における最小ギャップgminを介して連通する。
外周側中空部30Bには、辺部S,T,U,Vにより、磁石10の長手方向外側に開口したU字部30Cが形成される。当該U字部30Cは、辺部T,辺部U,辺部Vによって区画された突部35によって磁石10の磁極面M2と隔てられている。
また、外周側中空部30Bにおける磁石10の磁極方向(磁極面M2に対して垂直な方向)のギャップgは、仮想線L3に対応するU字部30Cの底部の点G(磁石10の中央部に最も近い端部)から角部12A方向に向かって大きくなり、仮想線L2に対応するE−J間の位置において最大となり(gmax)、当該gmaxを経た後、再び角部12A方向に向かって徐々に小さくなり、仮想線L1と対応する点D−角部12Aの位置において最小となる(gmin)。
なお、磁束調整部16Bの形状は、上記磁束調整部16Aの形状と磁石10の両端部において対称であるため、角部12Bを含んで形成された他方の中空部30も一方の中空部30に対して対称の形態である。よって、以下の説明においては、磁束調整部16Aによって形成される一方の中空部30のみについて詳細に説明する。
また、外周側中空部30Bにおける磁石10の磁極方向(磁極面M2に対して垂直な方向)のギャップgは、仮想線L3に対応するU字部30Cの底部の点G(磁石10の中央部に最も近い端部)から角部12A方向に向かって大きくなり、仮想線L2に対応するE−J間の位置において最大となり(gmax)、当該gmaxを経た後、再び角部12A方向に向かって徐々に小さくなり、仮想線L1と対応する点D−角部12Aの位置において最小となる(gmin)。
なお、磁束調整部16Bの形状は、上記磁束調整部16Aの形状と磁石10の両端部において対称であるため、角部12Bを含んで形成された他方の中空部30も一方の中空部30に対して対称の形態である。よって、以下の説明においては、磁束調整部16Aによって形成される一方の中空部30のみについて詳細に説明する。
図2の部分拡大図に示すように、磁束調整部16Aの各辺部P;Q;R;S;T;U;Vは、側面支持部14Aの端点Aを起点として、磁石10の側面10Aにおける側面支持部14Aと当接していない領域D1、一方の角部12A、及び、磁極面M2における表面支持部15と当接していない領域D2の周囲から離間して、その周囲を取り囲むように延在し、表面支持部15の先端に相当する端点Jで終端する。
上記磁束調整部16Aによって形成される中空部30のうち、側面10Aの一部の領域D1に面する側面側中空部30Aは、端点Aを起点として端点Jで終端する磁束調整部16Aのうち、端点Aから端点Bに向かって延出するA−B間の辺部P、端点Bから端点Cに向かって延出するB−C間の辺部Q、及び、端点Cから点Dに向かって延在するC−D間の辺部Rの3つの辺部P,Q,Rによって形成される。
辺部Pは、端点Aから、磁極面M2に対して垂直な磁極方向外側(ステータ3側)に向かうに従って磁石10の長手方向外側に傾斜して延出し、端点Bに至る。また、辺部Qは、辺部Pよりも急な傾斜を持って端点Bから磁極方向外側に向かうに従って長手方向外側に延出し、端点Cに至る。また、辺部Rは、円筒状のロータ4の外周面6に沿うように長手方向内側に向かうに従って磁石10の磁極方向外側に向かって延出し、点Dに至る。図2の部分拡大図に示すように、辺部Rは、ロータ4の回転中心を中心とする半径R2により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
ここで、点Dは、角部12Aから磁極方向外側に延在する仮想線L1と、磁束調整部16Aとの交点であり、側面側中空部30Aと外周側中空部30Bとの境界となる点である。
ここで、点Dは、角部12Aから磁極方向外側に延在する仮想線L1と、磁束調整部16Aとの交点であり、側面側中空部30Aと外周側中空部30Bとの境界となる点である。
上述の3つの辺部P;Q;Rにより形成される側面側中空部30Aは、端点Cの位置において、磁石10の側面10Aから長手方向へのギャップgが最も大きい。当該側面側中空部30Aは、主として磁石10から放出される磁束が、当該磁石10に隣接する他の磁石10の磁束と短絡することを抑制する。
磁束調整部16Aによって形成される中空部30のうち、磁石10の領域D2に面する外周側中空部30Bは、端点Aを起点として端点Jで終端する磁束調整部16Aのうち、点Dから端点Fに向かって延出するD−F間の辺部S、端点Fから端点Hに向かって延出するF−H間の辺部T、端点Hから端点Iに向かって延出するH−I間の辺部U、及び、端点Iから端点Jに向かって延出するI−J間の辺部Vの4つの辺部S;T;U;Vによって形成される。
辺部Sは、前述の辺部Rと連続し、円筒状のロータ4の外周面6に沿うように長手方向内側に向かうに従って磁石10の磁極方向外側に向かって延出し、端点Fに至る。また、辺部Sは、前述の辺部Rと同様に、ロータ4の回転中心を中心とする半径R2により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。つまり、辺部S及び辺部Rは、同一の半径R2により形成され、ロータ4の外周面6に沿って一定の曲率により延在する。
ここで辺部S中の点Eは、端点Jから磁極方向外側に延在する仮想線L2と磁束調整部16Aとの交点であり、磁極方向における磁石10の磁極面M2とのギャップgが最も大きい地点である。
辺部Tは、前述の辺部Sと連続し、磁石の長手方向外側に折り返して延在し、端点Hに至る。また、辺部Tは、半径r1により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
ここで辺部T中の点Gは、他の点D;E、端点F;H;I;Jのうち、磁石10の磁極面M2の中央側に位置する点である。換言すれば、点Gは、磁石10の長手方向中央部に最も近い点である。
ここで辺部S中の点Eは、端点Jから磁極方向外側に延在する仮想線L2と磁束調整部16Aとの交点であり、磁極方向における磁石10の磁極面M2とのギャップgが最も大きい地点である。
辺部Tは、前述の辺部Sと連続し、磁石の長手方向外側に折り返して延在し、端点Hに至る。また、辺部Tは、半径r1により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
ここで辺部T中の点Gは、他の点D;E、端点F;H;I;Jのうち、磁石10の磁極面M2の中央側に位置する点である。換言すれば、点Gは、磁石10の長手方向中央部に最も近い点である。
辺部Tと連続する辺部Uは、長手方向外側に向かうに従って磁石10の磁極方向内側に向かって延出し、端点Iに至る。また、辺部Uは、ロータ4の回転中心を中心とする半径R2よりも小径な半径R1により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
辺部Uと連続する辺部Vは、長手方向外側に向かうに従って磁石10の磁極方向内側に向かって延出し、端点Jに至る。また、辺部Vは、半径r2により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
そして、上記辺部S(E−F間)、辺部T、辺部U及び辺部Vにより上述したU字部30Cが形成され、辺部T(G−H間)、辺部U及び辺部VによってU字部30Cに隣接する突部35が形成される。
当該突部35の磁極方向の幅は、辺部T(G−H間)、辺部U及び辺部Vが、点Gから磁石10の磁極面M2側に徐々に近づくことに起因して、磁石10の長手方向外側に向かって漸減する。
つまり、辺部T(G−H間)、辺部U、辺部V及び磁石10の磁極面M2によって区画される突部35は、磁石10の中央部側から長手方向外側に向かって磁極方向の幅が漸減すると共に、外周側中空部30Bの一部であるU字部30Cと磁石10の磁極面M2とを隔てる部分である。
辺部Uと連続する辺部Vは、長手方向外側に向かうに従って磁石10の磁極方向内側に向かって延出し、端点Jに至る。また、辺部Vは、半径r2により形成され、一定の曲率を持って延在する円弧である。
そして、上記辺部S(E−F間)、辺部T、辺部U及び辺部Vにより上述したU字部30Cが形成され、辺部T(G−H間)、辺部U及び辺部VによってU字部30Cに隣接する突部35が形成される。
当該突部35の磁極方向の幅は、辺部T(G−H間)、辺部U及び辺部Vが、点Gから磁石10の磁極面M2側に徐々に近づくことに起因して、磁石10の長手方向外側に向かって漸減する。
つまり、辺部T(G−H間)、辺部U、辺部V及び磁石10の磁極面M2によって区画される突部35は、磁石10の中央部側から長手方向外側に向かって磁極方向の幅が漸減すると共に、外周側中空部30Bの一部であるU字部30Cと磁石10の磁極面M2とを隔てる部分である。
以上のとおり、外周側中空部30Bは4つの辺部S,T,U,Vにより形成され、各点において、磁極方向のギャップgが詳細に設定されている。なお、以下の説明においては各点のうち、磁石10の中央部に最も近い点Gを基準として各点における磁極方向のギャップgを順に説明する。
図2の部分拡大図に示すように、外周側中空部30Bにおける磁石10の長手方向と直交する磁極方向のギャップgは、辺部Tが一定の曲率を有する円弧として形成されたことに起因して、点Gから長手方向外側(角部12A方向)に向かって端点Fまで徐々に拡大し、端点Fから端点Iまで一定を保った後、辺部Vが所定の曲率を有する円弧として形成されたことに起因して、再び徐々に拡大し、仮想線L2と対応するE−J間の位置において最も広くなる(gmax)。
また、外周側中空部30Bにおいてギャップgが最も広いE−J間における磁石10と、ヨーク32間の磁束密度は、点G側における磁束密度よりも低くなる。
また、外周側中空部30Bにおいてギャップgが最も広いE−J間における磁石10と、ヨーク32間の磁束密度は、点G側における磁束密度よりも低くなる。
即ち、点G近傍における磁束密度は、磁石10の磁極面M2と直接接触する突部35の存在により高くなり、当該点Gから磁石10の角部12A方向に向かって低下して行き、仮想線L2に対応するE−J間において最も低くなる。
また、突部35に対面する磁極面M2からの磁束は、矢印φで示すように突部35を介してヨーク32側に流れ込み易いため、当該突部35を介して流れる磁束を磁石トルクに有効に寄与させることが可能となる。
また、突部35に対面する磁極面M2からの磁束は、矢印φで示すように突部35を介してヨーク32側に流れ込み易いため、当該突部35を介して流れる磁束を磁石トルクに有効に寄与させることが可能となる。
また、E−J間の位置において最も広くなる磁極方向のギャップgは、辺部S(D−E間)と、当該辺部Sと向かい合う磁石10の磁極面M2の領域D2とが長手方向外側に向かって互いに磁極方向に近づくように延在することに起因して、E−J間から磁石10の角部12A方向にかけて徐々に縮小し、仮想線L1に対応する点D−角部12A間において最も狭くなる(gmin)。なお、厳密な意味においては、点D−角部12A間のギャップgは、点として存在する点Gを除いて最も狭い。
外周側中空部30Bにおいてギャップが最も狭い点D−角部12A間における磁石10と、ヨーク32との間の磁束密度は、そのギャップ差によってE−J間における磁束密度よりも高くなる。このように、磁石10の角部12Aに対応する位置における外周側中空部30Bのギャップgを最も狭くすることにより、中空部の形状を単純化しながら円周方向において磁束密度が高い部分を分散できる。
以上のとおり、磁石10の領域D2に面する外周側中空部30Bの形状は、磁極方向のギャップgが、磁石10の中央部側から磁石10の外側端部に相当する角部12Aの方向にかけて、拡大した後に縮小する形状である。そして、外周側中空部30Bの形状をこのような形状とすることにより、ロータ4の外周面6とヨーク32との間の磁束密度は、磁石10の中央部側に位置する点Gの近傍から、ギャップgが最も広いE−J間にかけて低くなり、当該ギャップgが最も広いE−J間からギャップが最も狭い仮想線L1に対応する点D−角部12A間にかけて徐々に高くなる。
つまり、本実施形態に係る外周側中空部30Bの形状によれば、ロータ4の円周方向、換言すれば、磁石10の長手方向に沿って磁束密度が高い部分と低い部分とを分散して設けることができる。さらには、外周側中空部30Bにおける磁極方向のギャップgが、各辺部S;T;U;V、及び、磁石10の領域D2によってU字部30Cにおいて段階的に拡大した後に、再び縮小するため、ロータ4の円周方向における磁束密度の変化の度合いを段階的に緩やかなものとすることができる。
なお、上述の実施形態においては、磁束調整部16Aの各辺部S;T;U;Vを滑らかな曲線としたが、これに限られるものではなく、辺部S;T;U;Vを直線とすることや、直線と曲線とを交えて構成してもよい。また、上述の実施形態においては、点G近傍の形状を半径r1の円弧状としたが、直線によって形成される鋭角状、鈍角状、多角形状等の形状とすることも可能である。
また、上述の実施形態においては、各辺部S;T;U;Vを滑らかな曲線として、磁石10の磁極面M2と直交する磁極方向のギャップgを磁石10の長手方向外側に向けて段階的に拡大させた後に縮小するものとしたが、例えば、辺部S;T;U;Vを直線又は曲線によってテーパ状とし、磁石10の長手方向に沿って連続的に拡大及び縮小するものとしてもよい。そしてこの場合、突部35の磁極方向の幅も磁石10の長手方向外側に向かって漸減するテーパ状となる。
さらには、辺部S;T;U;Vを直線によって階段状として、磁極方向のギャップgを長手方向外側に向けて段階的に拡大及び縮小するようにしてもよい。これらの如何なる形状を採用した場合であっても、円周方向における磁束密度の変化の度合いを緩やかなものとすることができるため、モータ回転時のコギングやトルクリプルを抑制することができ、回転子としてのロータ4の回転効率を飛躍的に向上させることができる。
なお、上述の実施形態においては、磁石10の極数を六極としたがこれに限られるものではなく、磁石10の極数やコイルの相数を増減することが可能である。
さらには、辺部S;T;U;Vを直線によって階段状として、磁極方向のギャップgを長手方向外側に向けて段階的に拡大及び縮小するようにしてもよい。これらの如何なる形状を採用した場合であっても、円周方向における磁束密度の変化の度合いを緩やかなものとすることができるため、モータ回転時のコギングやトルクリプルを抑制することができ、回転子としてのロータ4の回転効率を飛躍的に向上させることができる。
なお、上述の実施形態においては、磁石10の極数を六極としたがこれに限られるものではなく、磁石10の極数やコイルの相数を増減することが可能である。
図3は、上述の実施形態に係る側面側中空部30A及び外周側中空部30Bを備えた電動機1と、図4に示すような磁石10の側面側にのみ中空部40を設けた比較例に係る電動機1Aそれぞれのロータ4を回転させたときのトルクリプルを測定したグラフである。なお、比較例に係る電動機1Aについては、実施形態に係る電動機1と同様の構成については同一の符号を付している。
同グラフに示された結果から明らかなように、側面側中空部30A及び外周側中空部30Bを備えた電動機1は、側面側にのみ中空部40を備えた電動機に比べ、トルクリプルが大幅に低下することが確認された。具体的には、鎖線で示す側面側にのみ中空部40を形成した比較例に係る電動機1Aのトルクリプルのピーク値は0.248[Nm・p.p]であるのに対し、実線で示す実施形態に係る電動機1のトルクリプルのピーク値は、0.058[Nm・p.p]である。即ち、本実施形態に係る電動機1によれば、トルクリプルのピーク値が大幅に小さくなり、ロータ4回転時の騒音及び振動を抑制可能であることが確認された。
1 電動機,3 ステータ,4 ロータ,6 外周面,10 永久磁石,
10A;10B 側面,11A;11B;12A;12B 角部,
16A;16B 磁束調整部,20 挿入孔,30 中空部,30A 側面側中空部,
30B 外周側中空部,30C U字部,35 突部,
A:B:C;F;H;I;J 端点,D;E;G 点,P〜V 辺部,
M1;M2 磁極面。
10A;10B 側面,11A;11B;12A;12B 角部,
16A;16B 磁束調整部,20 挿入孔,30 中空部,30A 側面側中空部,
30B 外周側中空部,30C U字部,35 突部,
A:B:C;F;H;I;J 端点,D;E;G 点,P〜V 辺部,
M1;M2 磁極面。
Claims (5)
- 内部に設けられた複数の挿入孔に複数の永久磁石が軸方向に埋設された電動機の回転子であって、
前記挿入孔は、前記永久磁石の側面、磁極面の端部側、及び、前記側面と磁極面の端部側との間に形成されるコーナー部を囲む中空部を有し、
前記永久磁石の磁極面と面する中空部における前記永久磁石の磁極面に垂直な方向のギャップが、前記永久磁石の中央部側から前記コーナー部方向にかけて拡大した後、縮小することを特徴とする回転子。 - 前記拡大後の中空部のギャップは、前記コーナー部方向にかけて徐々に小さくなることを特徴とする請求項1記載の回転子。
- 前記中空部のギャップは、前記コーナー部の位置において最も小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転子。
電動機。 - 前記永久磁石の磁極面と面する中空部における前記永久磁石の中央部側の端部と前記永久磁石の磁極面との間は、突部により隔てられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の回転子。
- 請求項1乃至請求項4いずれかに記載の回転子を備えたことを特徴とする磁石埋込型の電動機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012060723A JP2013198215A (ja) | 2012-03-16 | 2012-03-16 | 回転子、及び当該回転子を備えた電動機 |
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Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015116112A (ja) * | 2013-12-16 | 2015-06-22 | 株式会社ケーヒン | 電動機用ロータ |
JP2016052196A (ja) * | 2014-09-01 | 2016-04-11 | 多摩川精機株式会社 | Ipmモータ及びそのコギングトルクの抑制方法 |
WO2019029108A1 (zh) * | 2017-08-09 | 2019-02-14 | 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 | 切向电机、切向电机转子及其转子铁芯 |
-
2012
- 2012-03-16 JP JP2012060723A patent/JP2013198215A/ja active Pending
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US11387696B2 (en) | 2017-08-09 | 2022-07-12 | Gree Green Refrigeration Technology Center Co., Ltd. Of Zhuhai | Tangential motor, tangential motor rotor and rotor core of tangential motor rotor |
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