JP2015231254A - 回転子及びこれを備えた回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転子に関する。マグネット32は、磁極中心線上であって、回転子3の径方向外側に設定された任意の集向点Oに磁束が集束するように配向されており、このマグネット32の回転子3との固着面であるマグネット側固着面32bは、軸方向と垂直な面での断面形状が、円弧形状の凸縁であるとともに、回転子コア31のマグネット32との固着面である回転子コア側固着面31aは、同断面形状が、円弧形状の凹溝であり、マグネット側固着面32bと回転子コア側固着面31aとは整合する形状であるとともに、マグネット32の配向方向は、マグネット側固着面32b及び前記回転子コア側31aの接線Tに対し、接点Pを通る法線となるように設定されている。
【選択図】図1
Description
このような回転電機では、回転子に永久磁石が配設され、この回転子を囲むように設置される固定子に配設された磁界との相互作用により回転子が回転するように構成されている。
回転子に永久磁石を組み込む方法としては、表面磁石型(SPM)及び埋込磁石型(IPM)等の形式が知られている。
このように永久磁石を使用したモータにおいては、コスト低減のために磁石使用量等を低減させる必要があり、このため効率的に磁石に磁束を発生させる必要があった。
例えば、図5(c)に示すように、磁石にパラレル配向をもたせる技術や、永久磁石から、より有効に磁力を取り出すために、その他の様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
当該技術における複数の磁石は、ロータコアの外周面に、N極とS極とが交互となるように固定されている。
そして、各磁石は、回転軸の軸線と直交する断面において、径方向外側ほどその磁極中心線に近づくように傾斜する磁束が生じる構成とされている。
つまり、各磁石は、その外側に配置された磁極中心線上の一点を通る放射状の磁束が生じる構成とされている。
よって、特性の良い回転電機のロータを提供することが可能となる。
しかし、より、効率良く磁石磁束を集めるためには、磁極幅に対して任意の一点に磁束配向を集中させるほうが効率がよく、このような方法もまた提案されている。
例えば、SPMロータにおいて、磁極幅に対して任意の一点に磁束配向を集中させて、有効磁束を多くし、発生トルクを増大させる方法が様々に知られており、これらの方法としては、例えば、極異方配向(図5(a)参照)、ハルバッハ配向(図5(b)参照)、逆ラジアル配向(図5(d)、特許文献1参照)等がある。
例えば、極異方配向においては、磁石厚さに下限があり、ハルバッハ配向においては、使用する永久磁石の個数が多くなり組付けコストが増大するという問題がある。
一方、通常のSPM型ロータに使用される永久磁石の形状は、弓状若しくは瓦状が一般的であるが、当該形状の永久磁石に対して、特許文献1の技術のように逆ラジアル配向を持たせる場合には、永久磁石の素材粒子の機械的な配列(ラジアル状)に対し、磁極の配向(逆ラジアル)が反発し合うように作用するため、着磁時において、特に中央部内径側にクラックが生じやすいという問題があった。
つまり、当該形状の永久磁石においては、磁石組成向きに対して目標配向の傾き差が大きく、磁束配向により反りを加える向きに力が作用するため、中央部がクラックに対して弱くなるという懸念があった。
つまり、通常のマグネットに比して、その回転子周方向中央部分が中央側に張り出しており、この張り出し分、通常のマグネットに比して回転子径方向厚みが大きくなる。
また、この張り出し分、マグネットの回転子周方向中央部分が、周方向両端部に比して厚みが大きくなる。
このため、従来のマグネットに比して、反りによる中央部クラックが発生することを有効に防止できる。
つまり、水平断面(軸方向と垂直な面での断面)において、マグネット側固着面及び前記回転子コア側固着面は、集向点を中心とした円弧形状となるように構成されているため、配向方向を集向点に集めることができるとともに、磁石組成が回転子径方向内外側にて対称に近くなるため、目標配向との傾き差を抑制でき、反りを小さくすることができる。
また更に、回転子コアの水平方向(軸方向と垂直な方向)断面輪郭形状が、回転子の中心点を中心とする円周形状ではなく、回転子側固着面(凹溝である)が形成されているため、周方向のマグネット空転防止が不要となり、回転子コアの形状製造が容易となる。
また、固定子コアにおいて、隣接する回転子側固着面の間には、円弧と円弧との境界に、水平断面(軸方向と垂直な面での断面)において略三角形状の突起ができることとなる。
つまり、隣接するマグネットの極間に略三角形状の突起が介在することとなるため、N極とS極間の磁路長が短縮し有効磁束が増え、その分、回転子径方向のマグネット厚を削減することができるとともに、慣性を低減することができる。
なお、固定子に対向するマグネット外側面が外側に凸となって(盛り上がるよう湾曲して)いると、コギングや磁束の歪みを低減しやすくなり、更に好適となる。
また、図4に示すように、集向点Oを通るマグネット幅中心線N1を対称とした(集向点Oを中心として同中心角分離隔した)2直線N2,N3を想定すると、マグネット固着面の集向点Oを中心とした円弧形状は、これらマグネット幅中心線N1、2直線N2,N3の3直線から形成されるため、マグネットを頂上から押圧するのみで、容易に周方向の調芯を行うことができる。
更に具体的には、前記マグネットは、コンシクエントポール型ロータに使用され、一方の磁極を形成するものであってもよい。
また、本発明に係る回転電機は、回転中心軸となるシャフトと、該シャフトに固定されて共に回転可能に支持される前記回転子コアと、前記マグネットと、を備えた請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の回転子と、該回転子の外側面を覆うように配設され、電源装置より電源が供給されることにより、回転磁界を発生させる固定子と、を少なくとも備える。
よって、円弧状に張り出した分、マグネットの周方向中央部が厚くなるとともに、周方向中央部を両端に比して厚くすることができるため、クラック発生を有効に防止することができる。
また、マグネット側固着面及び回転子コア側固着面は、集向点を中心とした円弧形状となるため、配向方向を集向点に効率的に集めることができるとともに、磁石組成が回転子径方向内外側にて対称に近くなるため、目標配向との傾き差を抑制でき、反りを小さくすることができる。
また、回転子側固着面の形状(凹溝)により、周方向のマグネット空転防止が不要となり、回転子コアの形状製造が容易となるとともに、隣接する回転子側固着面の形状(略三角形状の突起)により、N極とS極間の磁路長が短絡し、その分、回転子径方向のマグネット厚を削減することができる。また、これにより、慣性を低減することができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、表面永久磁石界磁式モータ(SPM)において、逆ラジアル配向を採用するにあたり、効率良く磁束を収束させ、減磁耐力を向上させることが可能なマグネットと、当該マグネットが採用されたモータに関するものである。
また、図3は改変例に係る相当箇所を示す図であり、図4はマグネットの調芯についての説明図である。
なお、図5は従来例を示す説明図である。
このモータMは、表面永久磁石界磁式モータ(SPMモータ)であり、マグネット32はロータ3の側面に複数配設されている。
モータMは、出力軸となるシャフト1と、ステータ2と、ロータ3と、を備えて構成されている。
このステータ2を構成する巻線には、図示しない電源装置より電源が供給され、これによりステータ2には回転磁界が発生することとなり、この回転磁界によりロータ3が回転する。
ロータ3は、略円筒状(正確には、後述する円弧状凹溝31aが複数周方向に並んだ断面を有する筒状である)のロータコア31と、ロータコア31の外周側面に固定された複数のマグネット32と、を有して構成されている。
本実施形態においては、N極が5個、S極が5個の10個のマグネット32が使用されており、ロータコア31の外周側面周方向に沿って、N極とS極が交互となるよう等間隔に配置(突設)されている。
このように、本実施形態においては、表面磁石型(SPM)のロータ3が使用されている。
図1は、軸方向と水平な方向で切った断面図であるが、ここに示すように、ロータコア31の側面は、内側に凸となった断面円弧状の円弧状凹溝31a(軸方向に沿って延びる溝である)が複数周方向に並んだ形状をとっている。
この円弧状凹溝31aが「回転子コア側固着面」に相当する。
本実施形態においては、10個の円弧状凹溝31aが周方向に沿って形成されている。
後に詳述するが、この円弧状凹溝31aには、マグネット32が配設されるよう構成されており、この円弧状凹溝31aは、配設されたマグネット32の集向点Oを中心とした円弧形状に穿たれる(特に、図2参照)。
また、隣接する円弧状凹溝31a,31a間は、径方向外側方向へ略三角形状に盛り上がっており、当該部分を「突起部31b」と記す。
以下、このマグネット32の内側面(ロータコア31に形成された円弧状凹溝31aに取付けられる面)を「マグネット内側面32b」と記す。
更に、マグネット32は、逆ラジアル配向となるように形成されている。
なお、このマグネット内側面32bが、「マグネット側固着面」に相当する。
この回転力はシャフト1により出力される。
図2に示す通り、ロータ3の側面には、内側に凸となった断面円弧状の円弧状凹溝31a(軸方向に沿って延びる溝である)が形成されており、マグネット32の内側面は、この円弧状凹溝31aの円弧形状に沿うように湾曲した形状に形成されている。
そして、この円弧状凹溝31aには、マグネット32が配設されるが、上記のように構成されているため、マグネット32は、円弧状凹溝31aに整合して嵌まり込む。
そして、この円弧状凹溝31a及びマグネット内側面32bとの円弧形状は、この集向点Oを中心とする円弧形状となるように構成されている。
換言すれば、図2の断面形状において、円弧状凹溝31aに対して複数の接線Tを引いた場合、接点Pを通る接線Tの法線が、互いに交わる位置が集向点Oである。
つまり、マグネット32のロータ3周方向中央部分が両端部に比して厚みが大きくなるように構成されているため、反りによる中央部クラックが発生することを有効に防止することができる。
更に、ステータ2に対向するマグネット32外側面が外側に凸となって(盛り上がるよう湾曲して)いるため、コギングや磁束の歪みを低減しやすくなる。
また更に、ロータコア31の水平方向(軸方向と垂直な方向)断面輪郭形状が、ロータ3の中心点を中心とする円周形状ではなく、円弧状凹溝31aが形成されているため、周方向の磁石空転防止が不要となり、ロータ3の形状製造が容易となる。
なお、マグネット32の種類としては、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのようなものが使用されていてもよいが、フェライトマグネット、ネオジマグネットが好適に使用される。
図3に例示するロータ3においては、N極又はS極のマグネット32が複数使用されており、マグネット32,32間には突極33が配置される。
このように、ロータ3として、図3に示すように、コンシクエントポール型のロータ3を採用した場合であっても、一方磁極のマグネット32に上記構成は、有効に適用される。
この構成により、マグネット32の周方向中央側を厚くなり、クラックが発生することを有効に防止することが可能となった。
また、これに伴い上記のような様々な効果を共に奏することができる。
31・・ロータコア(回転子コア)、31a・・円弧状凹溝(回転子コア側固着面)、
31b・・突起部、
32・・マグネット、32b・・マグネット内側面(マグネット側固着面)、
33・・突極、
L・・磁極中心線、N1・・マグネット幅中心線、N2,N3・・直線、O・・集向点、P・・接点、T・・接線、M・・モータ(回転電機)
Claims (4)
- 回転子コアの周方向にマグネットが配設されている回転子であって、
前記マグネットは、磁極中心線上であって、前記回転子の径方向外側に設定された任意の集向点に磁束が集束するように配向されており、
前記マグネットの前記回転子との固着面であるマグネット側固着面は、軸方向と垂直な面での断面形状が、前記回転子の径方向中心側に凸となる円弧形状の凸縁であるとともに、前記回転子コアの前記マグネットとの固着面である回転子コア側固着面は、軸方向と垂直な面での断面形状が、前記回転子の径方向中心側に凸となる円弧形状の凹溝であり、
前記マグネット側固着面と前記回転子コア側固着面とは整合する形状であるとともに、前記マグネットの配向方向は、前記マグネット側固着面及び前記回転子コア側固着面の接線に対し、接点を通る法線となるように設定されていることを特徴とする回転子。 - 前記マグネットは、フェライトマグネット又はネオジオマグネットであることを特徴とする請求項1に記載の回転子。
- 前記マグネットは、コンシクエントポール型ロータに使用され、一方の磁極を形成するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転子。
- 回転中心軸となるシャフトと、
該シャフトに固定されて共に回転可能に支持される前記回転子コアと、前記マグネットと、を備えた請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の回転子と、
該回転子の外側面を覆うように配設され、電源装置より電源が供給されることにより、回転磁界を発生させる固定子と、を少なくとも備えたことを特徴とする回転電機。
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