以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。下記の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズユニット200およびカメラボディ300を備える。カメラボディ300には、焦点距離、開放F値等の異なる複数のレンズユニット200が交換可能に装着される。レンズユニット200は、その鏡筒内に、光軸110に沿って配列された光学系を備え、光軸110に沿って入射する被写体光束をカメラボディ300の撮像素子330へ導く。図1に示すように、光軸110に平行な方向である前後方向をz軸方向とする。また、撮像素子330の長手方向と平行な方向である左右方向をx軸方向とし、z軸およびx軸に直交する方向である上下方向をy軸方向とする。
なお、説明を簡潔にする目的で、以降の説明においては、カメラボディ300に装着したレンズユニット200に対して物体側を、一眼レフカメラ100における前側または先側と記載する。また、レンズユニット200に対して物体から遠い側を、一眼レフカメラ100における後側または背面側と記載する。
レンズユニット200は、固定筒210と、固定筒210の内側に形成された光学系と、固定筒210の後端近傍に配されたレンズ側制御部214とを有する。固定筒210は、後端に設けられたレンズ側マウント部212により、カメラボディ300のボディ側マウント部360に結合される。レンズ側マウント部212およびボディ側マウント部360の結合は、予め定められた操作により解除できる。レンズ側制御部214は、レンズユニット200における合焦、変倍、防振等の動作を制御する。また、レンズ側制御部214は、カメラボディ300のボディ側制御部322と接続され、相互に通信を実行しつつ協働してレンズユニット200とカメラボディ300を制御する。
固定筒210の内側には、物体側から順に、第一レンズ群220、第二レンズ群230、第三レンズ群240、第四レンズ群250が光軸110に沿って配され、光学系を形成する。第三レンズ群240および第四レンズ群250の間には補正レンズ群260が配される。
第一レンズ群220、第二レンズ群230、第三レンズ群240および第四レンズ群250のうちのひとつまたはいくつかは、アクチュエータの駆動力または操作環の操作により生じた駆動力により光軸110方向に移動して光学系を変倍させる。第三レンズ群240は、アクチュエータの駆動力または操作環の操作により光軸110方向に移動して光学系の焦点位置を変化させる。補正レンズ群260は、後述するボイスコイルモータにより駆動されて、光軸110に対して直交する方向に変位する。これにより、撮影中に一眼レフカメラ100がぶれた場合に生じる像ぶれを補正する。なお、以降の説明において、光軸110に対して直交する方向を「シフト方向」と記載する。
ジャイロセンサ216は、一眼レフカメラ100に加えられる角速度を検出する。レンズ側制御部214は、ジャイロセンサ216の出力に応じて補正レンズ群260をシフト方向に移動させ、撮影中に一眼レフカメラ100がぶれた場合に生じる像ぶれを補正する。なお、本実施形態において、ジャイロセンサ216はレンズユニット200内に搭載されているが、カメラボディ300の内部に搭載されてもよい。
カメラボディ300は、レンズ側マウント部212に結合されるボディ側マウント部360の後方にミラーユニット370を備える。ミラーユニット370の下方には合焦光学系380が、ミラーユニット370の上方にはピント板352が、それぞれ配される。ピント板352の更に上方にはペンタプリズム354が配され、ペンタプリズム354の後方にはファインダ光学系356が配される。ファインダ光学系356の後端は、ファインダ350としてカメラボディ300の背面に露出する。また、ファインダ光学系356の近傍に測光センサ390が配される。
ミラーユニット370の後方には、シャッタ310、光学フィルタ332、撮像素子330、ボディ基板320および背面表示部340が順次配される。液晶表示板等により形成される背面表示部340は、カメラボディ300の背面に現れる。ボディ基板320には、ボディ側制御部322、画像処理部324等の電子回路が実装される。
ミラーユニット370は、メインミラー371およびサブミラー374を含む。メインミラー371は、メインミラー回動軸373により軸支されたメインミラー保持枠372に支持される。サブミラー374は、サブミラー回動軸376によりメインミラー保持枠372から軸支されたサブミラー保持枠375に支持される。よって、サブミラー保持枠375は、メインミラー保持枠372に対して回動する。また、メインミラー保持枠372が回動した場合、サブミラー保持枠375もメインミラー保持枠372と共に変位する。
ミラーユニット370が降下した場合、メインミラー371は、レンズユニット200から入射した入射光束を斜めに横切る斜設位置に停止する。一方、ミラーユニット370が上昇した場合、メインミラー371は略水平になり、入射光束を避けた退避位置に停止する。メインミラー371が斜設位置にある場合、レンズユニット200を通じて入射した入射光束の多くはメインミラー371に反射されてピント板352に導かれる。ピント板352は、撮像素子330の撮像面と共役な位置に配されて、レンズユニット200の光学系が形成した像を可視化する。
ピント板352に形成された像は、ペンタプリズム354およびファインダ光学系356を通じてファインダ350から観察される。ファインダ350から観察される像は、ペンタプリズム354を通したことにより正立正像として観察される。また、ピント板352からファインダ350に向かう光束の一部は、測光センサ390に向かって分岐される。測光センサ390は、受光した光束から被写体輝度を検出し、検出結果をボディ側制御部322へ出力する。これにより、ボディ側制御部322は、撮影する場合の露出条件を算出する。
メインミラー371は、入射光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。よって、斜設位置になるメインミラー371に入射した光束の一部は、ハーフミラー領域を透過ししサブミラー374に入射する。サブミラー374は、ハーフミラー領域から入射した入射光束の一部を、合焦光学系380に向かって反射する。合焦光学系380は、入射した入射光束の一部を焦点検出センサ382に導く。焦点検出センサ382は、検出結果をボディ側制御部322へ出力する。これにより、ボディ側制御部322は、レンズユニット200の光学系を合焦させる場合に移動するレンズの目標位置を決定する。
上記のような一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しされると、焦点検出センサ382および測光センサ390が有効になり、被写体像を適切な撮影条件で撮影できる状態になる。次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー371およびサブミラー374が退避位置に移動して、シャッタ310が開く。本実施形態において、シャッタ310は、先幕および後幕を有するフォーカルプレーンシャッタである。また、先幕および後幕の走行方向は、ミラーユニット370の上昇方向と反対方向のy軸負方向、すなわち下方向である。そして、レンズユニット200から入射した入射光束は、光学フィルタ332を通過して、撮像素子330の受光面上に結像する。
撮像素子330は、光学系を透過して入射する被写体像である光学像を光電変換する素子であり、例えば、CCD、CMOSセンサが用いられる。撮像素子330で光電変換された被写体像は、画像処理部324でアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。画像処理部324は、ユーザが選択した撮影モード等に従って、画像データをJPEGファイル等の規格化された画像フォーマットの画像データに変換する。画像処理部324によって処理された画像データは、フラッシュメモリ等のカメラボディ300に対して着脱可能な記録媒体に記録される。
一眼レフカメラ100は、上述の画像処理における各々の要素も含めて、ボディ側制御部322により直接的または間接的に制御される。ボディ側制御部322内のシステムメモリは、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリは、一眼レフカメラ100の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、一眼レフカメラ100の非動作時にも失われないように記録している。
三脚検出部392は、接点部を有する接点センサ等からなり、カメラボディ300の底面 に三脚 が取り付けられているか否かを電気的に検出する。そして、三脚検出部392は、検出結果をボディ側制御部322へ出力する。
図2は、防振装置400の前面斜視図である。防振装置400は、補正レンズ群260を備える保持ユニット410、センタリングユニット420およびモータ450を備える。保持ユニット410は、センタリングユニット420の内側に配される。センタリングユニット420は、レンズユニット200の固定筒210において、光軸110回りに回転可能に設けられている。センタリングユニット420の外周にはセクタギア421が形成されている。
モータ450は、レンズユニットの固定筒210に固定されている。モータ450の回転軸に固定されているピニオンギア451は、セクタギア421と噛み合っている。モータ450は、レンズ側制御部214の制御に従って、ピニオンギア451を駆動してセンタリングユニット420を光軸110回りに回転させる。
図3は、保持ユニット410の前面斜視図である。保持ユニット410は、補正レンズ群260を保持する保持体としてのレンズホルダ500、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を備える。レンズホルダ500は、第1マグネットホルダ510と第2マグネットホルダ520との間に配される。レンズホルダ500は、後述する転動球を介して第1マグネットホルダ510と隣接する。同様に、レンズホルダ500は、転動球を介して第2マグネットホルダ520と隣接する。
図3に示すように、3つのコイルばね531、532、533の一端が第1マグネットホルダ510に、他端が第2マグネットホルダ520に係合されている。第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、これらコイルばね531、532、533の付勢力によって互いに引き付けられている。したがって、レンズホルダ500は、第1マグネットホルダ510と第2マグネットホルダ520に弾性的に挟持されている。
本実施形態において、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、レンズユニット200の固定筒210において、y軸方向すなわち上下方向のみに移動可能な状態で配される。例えば、第1マグネットホルダ510に上下方向に延びた長孔が形成され、固定筒210に固定されているガイドバーが当該長孔に挿入される。また、第1マグネットホルダ510から延びたバーが、固定筒210に形成された、上下方向に延びた長孔に挿入されてもよい。
図4は、レンズホルダ500の斜視図である。図4(a)は、レンズホルダ500の前面斜視図である。補正レンズ群260は、レンズホルダ500の中央部で保持されている。レンズホルダ500の外周には、センタリングユニット420と接触可能な3つのカム部501、502、503が形成されている。また、レンズホルダ500の前面には、第1マグネットホルダ510との間に介在する3つの転動球601、602、603をそれぞれ収納するための3つの凹部504、505、506が形成されている。
図4(b)は、レンズホルダ500の背面斜視図である。レンズホルダ500の背面には、第2マグネットホルダ520との間に介在する3つの転動球611、612、613をそれぞれ収納するための3つの凹部507、508、509が形成されている。また、図4に示すように、レンズホルダ500には、2つのコイル710、720が設けられている。
図5は、第1マグネットホルダ510の斜視図である。図5(a)は、第1マグネットホルダ510の前面斜視図である。第1マグネットホルダ510の中央部には、レンズユニット200に入射した被写体光束を通過させる孔部511が形成されている。孔部511の内部は素通しの空間であるので、被写体光束を屈折させることがない。また、第1マグネットホルダ510の前面には、センタリングユニット420と接触可能な3つのカム部512、513、514が形成されている。
図5(b)は、第1マグネットホルダ510の背面斜視図である。第1マグネットホルダ510の背面には、レンズホルダ500との間に介在する3つの転動球601、602、603をそれぞれ収納するための3つの凹部515、516、517が形成されている。また、図5に示すように、第1マグネットホルダ510には、2つのマグネット810、820が設けられている。マグネット810は、レンズホルダ500のコイル710と対向する位置に配される。同様に、マグネット820は、レンズホルダ500のコイル720と対向する位置に配される。
図6は、第2マグネットホルダ520の斜視図である。図6(a)は、第2マグネットホルダ520の前面斜視図である。第2マグネットホルダ520の中央部には、レンズユニット200に入射した被写体光束を通過させる孔部521が形成されている。孔部521の内部は素通しの空間であるので、被写体光束を屈折させることがない。また、第2マグネットホルダ520の前面には、レンズホルダ500との間に介在する3つの転動球611、612、613をそれぞれ収納するための3つの凹部522、523、524が形成されている。
図6(b)は、第2マグネットホルダ520の背面斜視図である。第2マグネットホルダ520の背面には、センタリングユニット420と接触可能な3つのカム部525、526、527が形成されている。また、図6に示すように、第2マグネットホルダ520には、2つのマグネット830、840が設けられている。マグネット830は、レンズホルダ500のコイル710と対向する位置に配される。同様に、マグネット840は、レンズホルダ500のコイル720と対向する位置に配置される。
上述したレンズホルダ500のコイル710、第1マグネットホルダのマグネット810および第2マグネットホルダ520のマグネット830は、駆動部としての第1ボイスコイルモータを構成する。同様に、レンズホルダ500のコイル720、第1マグネットホルダのマグネット820および第2マグネットホルダ520のマグネット840は、駆動部としての第2ボイスコイルモータを構成する。レンズ側制御部214は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータを駆動する。
本実施形態において、センタリングユニット420は、モータ450の駆動により、光軸110の回りを回転して第1位置と第2位置との間で変位する。一方、上述ししたように、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、レンズユニット200の固定筒210において上下方向のみに移動可能な状態で配される。そのため、センタリングユニット420が光軸回りに回転変位しても第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、光軸回りに回転しない。また、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520に挟持されているレンズホルダ500も回転しない。
したがって、センタリングユニット420が第1位置と第2位置との間で変位すると、保持ユニット410とセンタリングユニット420との相対的な位置関係も変更する。そこで、センタリングユニット420が第1位置にある場合の防振装置400の状態および第2位置にある場合の防振装置400の状態について以下説明する。
図7は、センタリングユニット420が第1位置にある場合の防振装置400の斜視図である。図7(a)は、センタリングユニット420が第1位置にある場合の防振装置400の前面斜視図である。センタリングユニット420の前面側には、第1マグネットホルダ510を固定するための3つの突起部422、423、424が形成されている。図7(a)に示すとおり、センタリングユニット420が第1位置にある場合、3つの突起部422、423、424は、第1マグネットホルダ510のカム部512、513、514とそれぞれ接触する。この接触により、第1マグネットホルダ510は、光軸110の中心に位置決めされた状態で、センタリングユニット420に固定される。
図7(b)は、センタリングユニット420が第1位置にある場合の防振装置400の背面斜視図である。センタリングユニット420の背面側には、第2マグネットホルダ520を固定するための3つの突起部425、426、427が形成されている。図7(b)に示すとおり、センタリングユニット420が第1位置にある場合、3つの突起部425、426、427は、第2マグネットホルダ520のカム部525、526、527とそれぞれ接触する。この接触により、第2マグネットホルダ520は、光軸110の中心に位置決めされた状態で、センタリングユニット420に固定される。
図7(c)は、センタリングユニット420が第1位置にある場合の防振装置400の前面斜視図において、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を省略した図である。センタリングユニット420の内側には、レンズホルダ500を固定するための3つの突起部428、429、430が形成されている。図7(c)に示すとおり、センタリングユニット420が第1位置にある場合、3つの突起部428、429、430は、レンズホルダ500のカム部501、502、503とは接触していない。
上述したように、レンズホルダ500は、転動球を介して第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520と弾性的に挟持されている。そのため、センタリングユニット420が第1位置にあって第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520がセンタリングユニット420に固定された場合、レンズホルダ500は、光軸110に直交する方向に移動可能な状態となる。この状態では、レンズホルダ500は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータの駆動力に応じて移動する。なお、レンズホルダ500は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータが駆動していないときには、コイルばね等の付勢部により、基準位置、例えば光軸110の中心に位置決めされる。
本実施形態において、センタリングユニット420が第1位置にある場合に、レンズ側制御部214およびボディ側制御部322は、ジャイロセンサ216の出力に応じて、レンズホルダ500に保持されている補正レンズ群260をシフト方向に移動させ、手ぶれ補正動作を実行する。なお、手ぶれ補正動作は周知であることから説明を省略する。
図8は、センタリングユニット420が第2位置にある場合の防振装置400の斜視図である。図8(a)は、センタリングユニット420が第2位置にある場合の防振装置400の前面斜視図である。図8(a)に示すとおり、センタリングユニット420が第2位置にある場合、センタリングユニット420の突起部422、423、424は、第1マグネットホルダ510のカム部512、513、514と接触していない。
図8(b)は、センタリングユニット420が第2位置にある場合の防振装置400の背面斜視図である。図8(b)に示すとおり、センタリングユニット420が第2位置にある場合、センタリングユニット420の突起部425、426、427は、第2マグネットホルダ520のカム部525、526、527と接触していない。
図8(c)は、センタリングユニット420が第2位置にある場合の防振装置400の前面斜視図において、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を省略した図である。図8(c)に示すとおり、センタリングユニット420が第2位置にある場合、センタリングユニット420の突起部428、429、430は、レンズホルダ500のカム部501、502、503とそれぞれ接触する。この接触により、レンズホルダ500は、光軸110の中心に位置決めされた状態で、センタリングユニット420に固定される。
上述したように、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、レンズユニット200の固定筒210において、y軸方向すなわち上下方向のみに移動可能な状態で配される。また、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、転動球を介してレンズホルダ500を弾性的に挟持している。そのため、センタリングユニット420が第2位置にあってレンズホルダ500がセンタリングユニット420に固定された場合、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、y軸負方向すなわち上下方向に移動可能な状態となる。この状態では、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータの駆動力に応じて移動する。なお、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータが駆動していないときには、コイルばね等の付勢部により、基準位置、例えば光軸110の中心に位置決めされる。
本実施形態において、センタリングユニット420が第2位置にある場合に、レンズ側制御部214およびボディ側制御部322は、撮影動作に応じて、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる。具体的には、ボディ側制御部322は、ミラーユニット370を斜設位置から退避位置へ上昇させるミラーアップ動作に同期して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を下方へ移動させる制御信号をレンズ側制御部214へ送信する。レンズ側制御部214は、制御信号に応じて、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータを駆動して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を下方へ移動させる。このようにミラーアップ動作による一眼レフカメラ100の重心移動を緩和する方向に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させることにより、ミラーアップ動作による一眼レフカメラ100の揺れを低減することができる。
なお、ボディ側制御部322内のシステムメモリには、ミラーアップ動作時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる変位量および移動時間をレンズユニットの種類ごとに規定するテーブルが予め記録されている。変位量および移動時間は、実験的またはシミュレーション的に予め算出される。ボディ側制御部322は、レンズ側制御部214からレンズ情報を取得して、カメラボディ300に装着されているレンズユニット200の種類を認識する。
そして、ボディ側制御部322は、システムメモリに記録されているテーブルを参照してミラーアップ動作時における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量および移動時間を決定する。その後、ボディ側制御部322は、ミラーアップ動作に同期して、決定した変位量および移動時間を示す制御信号をレンズ側制御部214へ送信する。なお、上述の変位量、移動時間に加え、若しくは代わりに、ミラーアップ動作時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる移動速度が用いられてもよい。
また、ボディ側制御部322は、シャッタ310の先幕を下方へ走行させる先幕駆動に同期して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を上方へ移動させる制御信号をレンズ側制御部214へ送信する。レンズ側制御部214は、制御信号に応じて、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータを駆動して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を上方へ移動させる。このように先幕駆動による一眼レフカメラ100の重心移動を緩和する方向に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させることにより、先幕駆動による一眼レフカメラ100の揺れを低減することができる。
なお、ボディ側制御部322内のシステムメモリには、先幕駆動時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる変位量および移動時間をレンズユニットの種類ごとに規定するテーブルが予め記録されている。変位量および移動時間は、実験的またはシミュレーション的に予め算出される。ボディ側制御部322は、レンズ側制御部214からレンズ情報を取得して、カメラボディ300に装着されているレンズユニット200の種類を認識する。
そして、ボディ側制御部322は、システムメモリに記録されているテーブルを参照して先幕駆動時における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量および移動時間を決定する。その後、ボディ側制御部322は、先幕駆動に同期して決定した変位量および移動時間を示す制御信号をレンズ側制御部214へ送信する。なお、上述の変位量、移動時間に加え、若しくは代わりに、先幕駆動時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる移動速度が用いられてもよい。
上述したように、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520は、被写体光束を屈折させることなく通過させる孔部を有する移動体としての役割を担う。また、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータは、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を、被写体光束の入射方向と直交する方向に移動させる駆動部としての役割を担う。そして、レンズユニット200は、移動体である第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520と、駆動部である第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータとを備える。このように被写体像に影響を与えない移動体をレンズユニット内に設けて駆動することにより、被写体光束の撮像処理に影響を与えることなく、ミラー、シャッタ等の駆動部材の変動動作に起因する一眼レフカメラ100の揺れを低減することができる。
また、移動体である第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520には、マグネットが配設されている。そのため、移動体は、ミラーユニット370、シャッタ310と比べ相対的に重くなる。したがって、移動体をミラーユニット370、シャッタ310よりゆっくり動かしても、一眼レフカメラ100の重量バランスを保つことができる。
また、センタリングユニット420は、レンズを保持する保持体であるレンズホルダ500を移動可能にして第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を固定する第1位置と、レンズホルダ500を固定して第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動可能とする第2位置との間で変位する固定体としての役割を担う。また、モータ450は、センタリングユニット420を、第1位置および第2位置を含むいずれかの変位位置に切り替える切替部としての役割を担う。したがって、手ぶれ補正動作と、ミラー、シャッタ等の駆動部材の変動動作に起因する一眼レフカメラ100の揺れを低減する動作とを1つの防振装置で選択的に実行することができる。
本実施形態において、ボディ側制御部322は、三脚検出部392の出力を参照して、カメラボディ300に三脚が固定されているか否かを判断する。カメラボディ300に三脚が固定されていない場合、ユーザが一眼レフカメラ100を保持しているので、一眼レフカメラ100には手ぶれによるぶれが発生し易い。そこで、ボディ側制御部322は、センタリングユニット420を第1位置へ変位させる制御信号をレンズ側制御部214に送信する。レンズ側制御部214は、ボディ側制御部322からの制御信号に応じて、モータ450を駆動してセンタリングユニット420を第1位置に変位させる。そして、レンズ側制御部214は、ジャイロセンサ216の出力に応じてレンズホルダ500を駆動して、手ぶれ補正動作を実行する。
一方、カメラボディ300に三脚が固定されている場合、ミラー、シャッタの移動に伴う振動がカメラボディ300に返ってきやすい。そこで、ボディ側制御部322は、センタリングユニット420を第2位置へ変位させる制御信号をレンズ側制御部214に送信する。レンズ側制御部214は、ボディ側制御部322からの制御信号に応じて、モータ450を駆動してセンタリングユニット420を第2位置に変位させる。そして、ボディ側制御部322およびレンズ側制御部214は、ミラー、シャッタの変動動作に応じて第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる。したがって、カメラボディ300を三脚に固定して撮影するようなわずかな揺れも発生させたくない状況において、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させてミラー、シャッタの変動動作に起因する揺れを低減することができる。
図9は、一眼レフカメラ100の撮影動作処理を示すフロー図である。本実施形態において、ボディ側制御部322は、レンズ側制御部214と協働して本フローを実行する。本フローは、ボディ側制御部322がレリーズボタンの半押し操作を検知した時点から開始される。
ステップS101では、ボディ側制御部322は、AF、AE等の撮影準備動作を実行する。ステップS102では、ボディ側制御部322は、三脚検出部392の出力に応じて、一眼レフカメラ100が三脚に固定されているか否かを判断する。ボディ側制御部322は、一眼レフカメラ100が三脚に固定されていると判断した場合にはステップS103へ移行し、一眼レフカメラ100が三脚に固定されていないと判断した場合にはステップS116へ移行する。
ステップS103では、ボディ側制御部322は、レンズ側制御部214と協働して、センタリングユニット420が第1位置にあるか否かを判断する。ボディ側制御部322は、センタリングユニット420が第1位置にある場合にはステップS104へ移行する。一方、センタリングユニット420が第1位置にない、すなわち第2位置にある場合にはステップS105へ移行する。ステップS104では、レンズ側制御部214は、モータ450を駆動してセンタリングユニット420を第2位置へ変位させる。ステップS105では、レンズ側制御部214は、第1ボイスコイルモータおよび第2ボイスコイルモータを駆動して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を上方へ移動させる。
ステップS106では、ボディ側制御部322は、レリーズボタンの全押し操作を検知する。ボディ側制御部322は、レリーズボタンの半押しの検知から予め定められた時間内、例えば5秒以内にレリーズボタンの全押し操作を検知しない場合には、ステップS107へ移行してコイル710、720への通電をオフにし、本フローを終了する。一方、ボディ側制御部322は、レリーズボタンの全押し操作を検知するとステップS108へ移行する。
ステップS108では、ボディ側制御部322は、ミラーユニット370を斜設位置から退避位置へ上昇させるミラーアップ動作を実行する。ステップS109では、ボディ側制御部322は、図8を用いて説明したように、レンズ側制御部214と協働して、ミラーアップ動作と同期して第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を下方へ移動させる。
ステップS110では、ボディ側制御部322は、シャッタ310の先幕を下方へ駆動して露光を開始する。ステップS111では、ボディ側制御部322は、図8を用いて説明したように、レンズ側制御部214と協働して、先幕の駆動と同期して第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を上方へ移動させる。なお、本実施形態において、シャッタ310の先幕の走行方向は、ミラーの上昇方向とは反対方向に規定されている。そのため、ステップS111における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の移動方向は、ステップS110における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の移動方向と反対方向となる。そのため、ステップS110からS111の間に、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の位置を戻す必要はない。
ステップS112では、ボディ側制御部322は、シャッタ310の後幕を下方へ駆動して露光を終了する。なお、ステップS110、111の処理が完了していない場合であっても、シャッタ速度によっては、ステップS112の処理が開始される場合がある。
ステップS113では、ボディ側制御部322は、コイル710、720の通電をオフにする。ステップS114では、ボディ側制御部322は、ミラーユニット370を退避位置から斜設位置へ下降させるミラーダウン動作を実行する。ステップS115では、ボディ側制御部322は、ミラーユニット370、シャッタ310の駆動ばねをチャージする。
ステップS116では、ボディ側制御部322は、レンズ側制御部214と協働して、センタリングユニット420が第2位置にあるか否かを判断する。ボディ側制御部322は、センタリングユニット420が第2位置にあると判断した場合にはステップS117へ移行する。一方、ボディ側制御部322は、センタリングユニット420が第2位置にない、すなわち第1位置にあると判断した場合にはステップS118へ移行する。ステップS117では、レンズ側制御部214は、モータ450を駆動してセンタリングユニット420を第1位置へ変位させる。ステップS118では、レンズ側制御部214は、レンズホルダ500の駆動を開始して手ぶれ補正を実行する。
ステップS119では、ボディ側制御部322は、レリーズボタンの全押し操作を検知する。ボディ側制御部322は、レリーズボタンの半押しの検知から予め定められた時間内、例えば5秒以内にレリーズボタンの全押し操作を検知しない場合には、本フローを終了する。一方、ボディ側制御部322は、レリーズボタンの全押し操作を検知するとステップS120へ移行する。
ステップS120では、ボディ側制御部322は、ミラーユニット370を斜設位置から退避位置へ上昇させるミラーアップ動作を実行する。ステップS121では、ボディ側制御部322は、シャッタ310の先幕を下方へ駆動して露光を開始する。ステップS122では、ボディ側制御部322は、シャッタ310の後幕を下方へ駆動して露光を終了し、ステップS113へ移行する。ステップS123では、レンズ側制御部214は、レンズホルダ500の駆動を終了する。なお、レンズ側制御部214は、ステップS118からステップS123までの間、手ぶれ補正を継続して実行する。
上述の実施形態では、ボディ側制御部322がミラーまたはシャッタの変位動作に同期して第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量、移動時間を決定したが、レンズ側制御部214が第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量、移動時間を決定するようにしてもよい。具体例について以下説明する。
レンズ側制御部214内のシステムメモリには、カメラボディの種類ごとにミラーアップ動作に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる変位量および移動時間を規定するテーブルが予め記録されている。同様に、レンズ側制御部214内のシステムメモリには、カメラボディの種類ごとに先幕駆動時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させる変位量および移動時間を規定するテーブルが予め記録されている。なお、変位量および移動時間は、実験的またはシミュレーション的に予め算出される。
レンズ側制御部214は、ボディ側制御部322からカメラボディ情報を取得して、レンズユニット200に装着されているカメラボディ300の種類を認識する。そして、レンズ側制御部214は、自身のシステムメモリに記録されているテーブルを参照してミラーアップ動作時における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量および移動時間を決定する。同様に、そして、レンズ側制御部214は、自身のシステムメモリに記録されているテーブルを参照して先幕駆動時における第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の変位量および移動時間を決定する。
そして、図9のステップS102において、レンズ側制御部214は、カメラボディ300に三脚が固定されている旨を示す三脚固定信号を受信した場合にはステップS103へ移行し、受信していない場合にはステップS116へ移行する。三脚固定信号を受信した場合、ステップS108において、ボディ側制御部322は、出力部として、ミラーアップ動作に同期するミラーアップ同期信号をレンズ側制御部214へ出力する。そして、ステップS109において、レンズ側制御部214は、ミラーアップ同期信号の受信に同期して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を、決定した変位量および移動時間に従って移動させる。
ステップS110において、ボディ側制御部322は、出力部として、先幕駆動に同期する先幕駆動同期信号をレンズ側制御部214へ出力する。そして、ステップS111において、レンズ側制御部214は、先幕駆動同期信号の受信に同期して、第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を、決定した変位量および移動時間に従って移動させる。
上述の実施形態では、ミラーアップ動作時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させたが、ミラーダウン動作時においても第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させてもよい。また、先幕および後幕を有するフォーカルプレーンシャッタの先幕駆動時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させたが、後幕駆動時においても第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させてもよい。また、シャッタが撮像素子の電子シャッタおよび後幕で構成される場合、ボディ側制御部322およびレンズ側制御部214は、後幕駆動時に第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を移動させるようにしてもよい。
上述の実施形態では、移動体としての第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520の孔部511、521の内部は、素通しの空間で構成されたが、板ガラス等の被写体光束を屈折させることのない光学部材で構成されてもよい。そして、孔部511、521に構成された光学部材に、光学特性を改善させるコーティングが施されてもよい。
上述の実施形態では、防振装置400の構成要素である第1マグネットホルダ510および第2マグネットホルダ520を、手ぶれ補正動作が必要のない三脚固定時にミラー/シャッタの変動動作に起因する揺れを低減するための移動体として用いたがこれに限らない。防振装置とは別のレンズユニット内の箇所に、被写体光束を屈折すること無く通過させる孔部を有する移動体と、被写体光束の入射方向と直交する方向の成分を少なくとも含むように移動体を移動させる駆動部とを設けてよい。この構成によれば、三脚固定時だけでなくユーザが保持している場合においても、移動体を用いてミラー、シャッタ等の駆動部材の変動動作に起因する揺れを低減させることができる。
上述の実施形態では、カメラボディ300に三脚が固定されているか否かを検出する三脚検出部392が用いられたが、三脚が固定されているか否かの検知はこれに限らない。カメラボディ300に三脚を固定したか否かを選択するためのスイッチを設け、ボディ側制御部322は、カメラボディ300に三脚が固定されているか否かのユーザの選択を当該スイッチで受け付けてもよい。また、ボディ側制御部322は、設定画面で三脚固定の有無を設定する項目を背面表示部340に表示させ、カメラボディ300に三脚が固定されているか否かのユーザの選択を受け付けてもよい。
上述の実施形態では、交換式のレンズユニットに設けられた防振装置を例にあげて説明したが、これに限らない。レンズユニットとカメラボディとが一体に形成されたカメラに上述の防振装置を適用してもよい。ミラーユニットを備えていないミラーレスカメラのレンズユニットにおいても上述の防振装置を適用してもよい。この場合、ボディ側制御部は、シャッタ等の駆動部材に応じてマグネットホルダを移動させる。さらに、望遠鏡、測量器、顕微鏡等の光学機器においても、上述の防振装置を適用してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。