JP2013195679A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立し、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性の良い画像を出力するトナーを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくともポリエステル樹脂を含むトナーコア粒子と、前記トナーコア粒子表面に形成されたスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在する前記アクリル樹脂微粒子Bとを備え、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)、前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式を満たすトナー。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500 ・・・式(1)
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成技術分野では、高速の画像形成が可能で、しかも画像品位の高いカラー画像形成装置の開発競争が激化している。このため、フルカラー画像を高速で得るために、画像形成方法において複数の電子写真感光体を直列に並べ、それぞれの電子写真感光体において色成分ごとの画像を形成し、中間転写体上で重ね合わせ記録材上へ一括転写するいわゆるタンデム方式が多く採用されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2など参照)。中間転写体を用いた場合には、現像時に電子写真感光体上に地肌汚れが発生したときには、直接紙などの記録材に地肌汚れが転移することを防止する効果はあるが、中間転写体を用いる方式は、電子写真感光体から中間転写体への転写工程(一次転写)と、中間転写体から最終画像を得る記録材上への転写工程(二次転写)という2回にわたる転写工程を経るため転写効率が低下するという問題がある。
一方、上記のような問題に加え、より高画質のフルカラー画像形成が要求されており、高画質化への現像剤設計がなされてきている。高画質化、特にフルカラー画質への要求に対応するために、トナーとしてはますます小粒径化が進み、潜像を忠実に再現することが検討されている。この小粒径化に対しては、トナーを所望のトナー形状及び表面構造に制御することを可能とする手段として、重合法によるトナー製造方法が提案されている。(例えば、特許文献3、特許文献4など参照)。重合法トナーでは、トナー粒子の粒径制御に加えて形状制御も可能である。また、これと併せて粒径を小さくすることにより、ドットや細線の再現性が良くなり、パイルハイト(画像層厚)も低くすることが可能となり、より高画質化が期待できる。
しかしながら、小粒径トナーを用いた場合には、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力が増加するため、転写効率がさらに低下し易い。このため、高速のフルカラー画像形成装置において小粒径トナーを使用した場合には、特に二次転写での転写効率の低下が顕著となるという問題がある。その理由は、トナー小粒径化によりトナー1粒子あたりの中間転写体との非静電的付着力が増加している上に、二次転写では複数色のトナーが重ねあった状態で存在していることと、高速化に伴い二次転写のニップ部においてトナー粒子が転写電界を受ける時間が短くなるため、より転写されにくい条件となるためである。
上記問題点に対処するためには、二次転写の転写電界をさらに強くすることが考えられるが、転写電界を強くしすぎるとかえって転写効率が低下してしまい限界がある。また、二次転写のニップ部の幅を広くすることでトナー粒子が転写電界を受ける時間を長くすることが考えられるが、バイアスローラ等による接触式の電圧印加方式の場合は、ニップ幅を広くするにはバイアスローラの当接圧力を高くするか、或いは、バイアスローラのローラ径を大きくするかの何れかの方法しかない。当接圧力を高くするのは画像品質との関係から、ローラ径を大きくするのは装置の小型化との関係から、それぞれ限界がある。また、チャージャ等による非接触式の電圧印加方式の場合は、チャージャの数を増やすなどして二次転写のニップ幅を稼がなければならないため、やはり限界がある。そのため、特に高速機では、これ以上の転写効率を得るまでニップ幅を拡げることは実質的には不可能であると言える。
これに対し、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力を低減する手段として、添加剤の種類や添加量を調整する(特に粒径の大きい添加剤を添加する)方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6など参照)。この方法により、トナー粒子は非静電的付着力低減効果を得て転写効率を向上させることが可能となるとともに、現像の安定性、クリーニングの向上といった効果も得ることが可能となる。
上述のトナー粒子は、初期的には、画像形成装置の転写効率を向上させることが可能となる。しかしながら、画像形成装置の現像装置内でトナーが長期間攪拌等の機械的ストレスを受けていると、添加剤がトナー母体中に埋没してしまい、添加剤による付着力低減効果が発揮されなくなり、画像形成装置の転写効率が低下してしまう。特に、高速機の場合、現像装置内での攪拌が激しいため、この機械的ストレスが大きく、添加剤のトナー母体中への埋没が加速され易い。このため、比較的早い段階で転写効率の低下に繋がることが想定される。
このため、高速機において長期に渡り安定して高い転写効率を維持するためには、機械的ストレスを受けても添加剤がトナー母体中に埋没することなく表面に存在できるようにトナーの表面性(機械強度)を制御する必要がある。さらに、トナーの表面性(機械強度)を強く(硬く)しすぎると、定着時にトナーの溶融を阻害したり、ワックス等の離型剤が含有されたトナーの場合には、定着時の定着ローラに対する離型剤の染み出しが不十分となり、定着性が悪化してしまうという副作用にも注意が必要である。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立し、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性の良い画像を出力するトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>少なくともポリエステル樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子表面に形成されたスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在するアクリル樹脂微粒子Bとを備え、
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たし、
前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たすことを特徴とするトナー。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500 ・・・式(1)
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
<2>前記ポリエステル樹脂のTgが10〜80℃の範囲内であることを特徴とする<1>に記載のトナー。
<3>前記スチレン−アクリル樹脂微粒子のTgが40〜100℃の範囲内であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のトナー。
<4>前記アクリル樹脂微粒子のTgが40〜100℃の範囲内であることを特徴とする<1>から<3>のいずれか一項に記載のトナー。
<5>前記ポリエステル樹脂の酸価が、10mgKOH/g〜50mgKOH/gであり、前記ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする<1>から<4>のいずれか一項に記載のトナー。
アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
<6>前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの酸価が、150mgKOH/g〜250mgKOH/gであり、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする<1>から<5>のいずれか一項に記載のトナー。
アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
<7>前記アクリル樹脂微粒子Bの酸価が、0mgKOH/g〜20mgKOH/gであり、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする<1>から<6>のいずれか一項に記載のトナー。
アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
<8>スチレン−アクリル樹脂微粒子Aが、スチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることを特徴とする<1>から<7>のいずれか一項に記載のトナー。
<9>アクリル樹脂微粒子Bが、アクリル酸エステル重合体、若しくはメタクリル酸エステル重合体を含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることを特徴とする<1>から<8>のいずれか一項に記載のトナー。
<10>スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの粒径が5nm〜50nmであることを特徴とする<1>から<9>のいずれか一項に記載のトナー。
<11>アクリル樹脂微粒子Bの粒径が、10nm〜500nmであることを特徴とする<1>から<10>のいずれか一項に記載のトナー。
<12>前記ポリエステル樹脂の分子量Mwが1,000〜200,000の範囲内であることを特徴とする<1>から<11>のいずれか一項に記載のトナー。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立し、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性の良い画像を出力するトナーを提供することができる。従って、電子写真感光体から中間転写体への転写工程(一次転写)及び中間転写体から最終画像を得る記録材上への転写工程(二次転写)という2回にわたる転写工程を経る電子写真装置においても好適に使用できる。
図1は、本発明のトナーの構造を示す模式図である。 図2Aは、実施例1のトナーの切片のTEM像である。 図2Bは、図2Aの部分拡大図である。 図3は、接触式のローラ式帯電装置の一例の概略構成図である。 図4は、接触式のブラシ式帯電装置の一例の概略構成図である。 図5は、現像器の一例の概略構成図である。 図6は、定着装置の一例の概略構成図である。 図7は、定着ベルトの層構成の一例を示す図である。 図8は、本発明のプロセスかとリッジの一例の概略構成図である。 図9は、本発明の画像形成装置の一例の概略構成図である。 図10は、本発明の画像形成装置の他の例の概略構成図である。 図11は、貯蔵弾性率を測定するためのレオメーターの測定装置を示した図である。
(トナー)
本発明のトナーは、トナーコア粒子と、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aと、アクリル樹脂微粒子Bとを含有し、更に必要に応じて、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の外添剤などのその他の成分を含む。本発明のトナーは、前記トナーコア粒子表面に形成されたスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在する前記樹脂微粒子Bとを備える。
ここで、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たし、
前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たすことを必要とする。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500 ・・・式(1)
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
以下、本発明のトナーについて詳細に説明する。
本発明のトナーは、図1に示すように、結着樹脂であるポリエステル樹脂及び着色剤を中心としたトナー材料を核としたトナーコア粒子(1)の表面に、アクリル樹脂微粒子B(3)が付着し、更にその外側にスチレン−アクリル樹脂微粒子A(2)が層を形成している。しかし、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、平均粒子径が小さいのでトナー母体粒子の中に埋没したり、トナー母体粒子とアクリル樹脂微粒子Bとの間に付着したりしている。このため、あまり微細に観察しなければ、このトナーは、トナー母体粒子の表面にアクリル樹脂微粒子Bが付着しているように見える。なお、トナーの体積平均粒径は、乳化工程における水系媒体の攪拌等の乳化乃至分散条件により調整される。
尚、トナーが上記の構造を有しているかどうかは、作製したトナー母体粒子を、エポキシ樹脂に包埋して終夜静置したのち、ウルトラミクロトームにて切片を切り取り、その切片をTEM観察することで、確認することができる。
また、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たし、
前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たす必要がある。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500 ・・・式(1)
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
通常、電子写真式の画像形成装置において、小粒径トナーを用いた場合には、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力が増加するため、より転写効率が低下する。特に、高速機において小粒径トナーを使用した場合には、トナーの小粒径化により中間転写体との非静電的付着力が増加した上に、高速化に伴い転写のニップ部、特に二次転写のニップ部においてトナー粒子が転写電界を受ける時間が短くなるため、二次転写での転写効率の低下が顕著となることが知られている。
しかし、本発明のトナーにおいては、トナー表面に大粒径の微粒子(アクリル樹脂微粒子B)が付着していることと、この大粒径の微粒子がある程度の硬さを有することで、トナー粒子の非静電的付着力が低減され、高速機のように転写時間が短くなった場合においても、定着性を阻害することなく十分な転写効率を得ることができる。さらに、アクリル樹脂微粒子Bが十分な硬さを有しているため、高速機のように経時での機械的ストレスの大きい場合においても、トナー表面に付着したアクリル樹脂微粒子Bがトナー中に埋没することなく存在し続けることができるため、長期的にも十分な転写効率を維持することが可能である。同時にトナー表面に付着させる外添剤の埋没も防止することができる。
<スチレン−アクリル樹脂微粒子A>
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂としては、スチレンと、アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくともいずれかとを含む共重合体であれば、特に制限はなく、目的に応じて公知の樹脂を適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよい。また、水系媒体中で水性分散液を形成し得る樹脂であることが好ましい。そのような前記スチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル樹脂としては、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル重合体が好ましい。
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、スチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることが好ましい。
また、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、前記ポリエステル樹脂と非相溶であり、かつ酢酸エチルに対して膨潤することが好ましい。
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たすことが重要である。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500・・・式(1)
前記A1が1×104未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、1×106を超えると低温定着性能が低下することがある。また、前記A2が10未満であると、耐ホットオフセット性能が低下することがあり、500を超えると耐スミア着性能が低下することがある。
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150mgKOH/g〜250mgKOH/gが好ましく、170mgKOH/g〜190mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が、150mgKOH/g未満であると、製造時の分散安定効果が得られないことがあり、250mgKOH/gを超えると、トナー帯電能力の環境安定性が悪化することがある。一方、前記酸価が、前記特に好ましい範囲であると、トナーの製造性及びトナーの帯電性能の点で有利である。
また、前記ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことが好ましい。
アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの重量平均分子量(Mw)としては、10,000〜2,000,000が好ましく、200,000〜600,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が10,000未満であると、有機溶媒や水系媒体中で膨潤しやすくなることから、トナーコア粒子表面に固定化する際に凝集体が形成され、トナーコア粒子表面のスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層の形成が阻害され、アクリル樹脂微粒子Bが機械的ストレスによる埋没や移動を防止する効果が十分に得られないことがある。また、前記重量平均分子量が2,000,000を超えると、トナー表面が硬くなりすぎるため、加熱定着時にトナーが十分に溶融しないことから定着性が悪化することがある。一方、前記重量平均分子量が、前記より好ましい範囲であると、トナー母体表面の層形成及び低温定着性能の点で有利である。
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの体積平均粒径としては、乳化粒子の粒子径と粒子径分布を制御する点から、5nm〜50nmが好ましく、10nm〜25nmがより好ましい。
前記体積平均粒径及び粒度分布は、例えば、SEM、TEM、光散乱法などによって測定できる。これらの中でも、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いたレーザ散乱測定法によって測定することが好ましく、測定レンジに入るように適切な濃度に試料を希釈して測定すればよい。
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aのガラス転移温度(Tg)としては、40℃〜100℃が好ましく、45℃〜80℃がより好ましい。
前記Tgが40℃未満であると、トナーの保存温度域でトナー表面のスチレン−アクリル樹脂微粒子Aが軟化しトナー同士の融着による凝集体が形成される恐れがある。また、前記Tgが100℃を超えると、トナー表面が硬くなりすぎるため、加熱定着時にトナーが十分に溶融しないことから定着性が悪化することがある。
ここで、本発明におけるガラス転移点(Tg)とは、具体的に次のような手順で決定される。測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
〔温度条件〕
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は、前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。解析方法は、2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。次に、DSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能を用いてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度が測定試料の樹脂のTgに相当する。
本発明のトナーの製造工程において、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、前記トナーコア粒子表面に付着した前記アクリル樹脂微粒子Bの外側に付着して融着、融合し、トナー母体粒子表面層として前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる、比較的硬い層を形成する。
前記トナー母体粒子表面層として前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層が形成されたことにより、該層の内部側に、前記トナーコア粒子表面に固定化され存在する前記アクリル樹脂微粒子Bが機械的ストレスにより埋没することや移動することを防止する効果がある。
尚、本発明において、トナー母体粒子とは、トナーコア粒子と、トナーコア粒子表面に形成されたスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在するアクリル樹脂微粒子Bを含み、外添剤を添加する前の状態の粒子を言う。
本発明のトナーは、少なくともポリエステル樹脂及を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散してトナー材料の溶解乃至分散液を作製する工程aと、前記トナー材料の溶解乃至分散液を、少なくともスチレン−アクリル樹脂微粒子Aを含む水系媒体中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作製する工程bと、前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去してトナー粒子を作製する工程cとを含み、アクリル樹脂微粒子Bが前記水系媒体及び前記乳化乃至分散液のいずれかに添加され、製造されることが好ましい、
前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、前記製造方法における前記水系媒体がアニオン性界面活性剤を含む場合に、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aを凝集させないため、アニオン性を有することが好ましい。これにより、トナー材料を含む液滴の最外殻に吸着し、液滴同士の合一を抑える効果があり、トナーの粒度分布を制御することができる。さらに、トナーの負帯電性を与えることもできる。これらの効果を発揮するために、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、アクリル樹脂微粒子Bより小さくし、体積平均粒径5nm〜50nmとすることが好ましい。
アニオン性を有するスチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、後に述べるスチレン−アクリル樹脂微粒子Aの調製方法においてアニオン性界面活性剤を用いたり、樹脂中にカルボン酸基、スルホン酸基などのアニオン性基を導入することによって作製することができる。
−アニオン性界面活性剤−
スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの調製に用いるアニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセリールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。
[スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの調製方法]
スチレン−アクリル樹脂微粒子Aは、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って、スチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂を構成するモノマー、オリゴマーなどの前駆体を重合させることにより得ることができるが、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの水性分散液として得ることが好ましい。スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの水性分散液の調製方法としては、例えば、以下の方法が好適に挙げられる。
(1)ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法
(2)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加ないし縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法
(3)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加ないし縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式、ジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによってスチレン−アクリル樹脂微粒子Aを得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させる方法
(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することによりスチレン−アクリル樹脂微粒子Aを得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させる方法
(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することによりスチレン−アクリル樹脂微粒子Aを析出させ、次に溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aを適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法
(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法
(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
<アクリル樹脂微粒子B>
前記アクリル樹脂微粒子B用の樹脂としては、スチレンを含まず、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのいずれかを含む重合体であれば特に制限はなく、目的に応じて公知の樹脂を適宜選択することができるが、前記トナー母体粒子を形成する前記ポリエステル樹脂と非相溶性であり、酢酸エチルに対して膨潤することが好ましい。また、水系媒体中で水性分散液を形成し得る樹脂であることが好ましい。そのような前記アクリル樹脂微粒子B用の樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、などが挙げられる
前記アクリル樹脂微粒子Bとしては、アクリル酸エステル重合体、及びメタクリル酸エステル重合体の少なくともいずれかを含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることが好ましい。
また、前記アクリル樹脂微粒子Bは、前記ポリエステル樹脂と非相溶であり、かつ酢酸エチルに対して膨潤することが好ましい。
このアクリル樹脂微粒子Bは、前記ポリエステル樹脂と非相溶性を示す白色エマルションであり、架橋密度の違いにより有機溶媒に対する膨潤性の程度が異なる。膨潤性の制御方法として、架橋密度や構成モノマーがあるが、構成モノマーは、アクリル樹脂微粒子の膨潤性以外の物性をコントロールするために変更する場合があるため、架橋密度で制御することが好ましい。
後述するトナー材料の乳化液滴に付着した際に溶解せず、トナー液滴表面に固定化されるためには、アクリル樹脂微粒子Bは、架橋重合体であることが好ましく、少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体と共重合させたものが好ましい。少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物、1,6−ヘキサンジオールアクリレート等のジアクリレート化合物などが挙げられる。
前記アクリル樹脂微粒子Bが有機溶媒に対する膨潤性を有していれば、安定した転写率及び目的の定着上下限温度が期待できるのみならず、0.950〜0.975の円形度を有し、且つ、BET比表面積0.5m2/g〜4.0m2/g程度の滑らかな表面性状を有するクリーニング性に優れた異形化トナーが作製できる。しかし、膨潤性の程度が大きすぎると、円形度が低くなり過ぎる傾向があり、また、膨潤性の程度が小さすぎると、BET比表面積が大きく転写率の劣るトナーが作製される傾向がある。
前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たすことが重要である。
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
前記B1が1×106未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、1×108を超えると低温定着性能が低下することがある。また、前記B2が100未満であると、耐ホットオフセット性能が低下することがあり、1000を超えるとトナーの転写性能が低下することがある。
前記トナーの貯蔵弾性率は、図11のように、前記トナー0.8g(3)を冶具(2)に入れて、錠剤成型機(1)により28Paの圧力をかけて、直径20mm、高さ2mmのペレットにして、レオメーターで測定する。
レオメーターの測定装置及び解析ソフトは下記の通りである。
測定装置: Rheometric Scientific社製ARES
解析ソフト: TA Orchestrator
測定条件は下記の通りである。
プレート: 直径20mm平行プレート
Geometry
Diameter: 20.0mm
Gap: 2.0mm
Test setup
Frequency: 1Hz
Initial: 40℃
Final Temp: 250℃
Ramp rate: 2℃/min
Soak Time After Ramp: 0
Time Per Measure: 12s
Strain: 0.1%
前記アクリル樹脂微粒子Bの酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0mgKOH/g〜20mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜15mgKOH/gが好ましい。前記酸価が20mgKOH/gを超えると、前記スチレン-アクリル樹脂A層がトナー母体表面に良好に形成されないために、トナー製造時の分散安定性が得られないことや、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがある。一方、前記酸価が、前記特に好ましい範囲であると、トナーの製造性及びトナーの耐ホットオフセット性の点で有利である。
前記アクリル樹脂微粒子Bの体積平均粒径としては、乳化粒子の粒子径と粒子径分布を制御する点で、10nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記体積平均粒径が10nm未満であると、スペーサ効果が十分に得られないためトナー粒子の非静電的付着力を低減することができず、さらに、高速機のように経時での機械的ストレスの大きい場合には、トナーの表面にアクリル樹脂微粒子Bや外添剤が埋没しやすくなり、長期に渡り十分な転写効率を維持することができない恐れがある。前記体積平均粒径が500nmを超えると、トナーの流動性が悪くなり、均一転写性を阻害する場合がある。
一方、前記体積平均粒径が前記より好ましい範囲であると、スペーサ効果によりトナー粒子の非静電的付着力を低減することができるとともに、高速機のように経時での機械的ストレスの大きい場合においても微粒子がトナーの表面に埋没することによる非静電的付着力の増加を抑制することが可能となり、長期に渡り十分な転写効率を維持することができる。特に、中間転写方式での一次転写工程と二次転写工程と二度の転写工程を有す場合に、本発明のトナーは非常に有効である。比較的高速の画像形成プロセス(転写線速100mm/sec〜1,000mm/sec、二次ニップ部での転写時間が0.5msec〜60msec)において特にその効果が大きく発揮できる。これよりも低速の線速や二次転写時間が短いプロセスでは本発明のトナーとアクリル樹脂微粒子を配置しないトナーとの差は大きくはない。前記の転写線速及び転写時間を有する画像プロセスにおいて用いることにより転写効率が低下するおそれがなく良好な画像形成が可能となる。
なお、アクリル樹脂微粒子Bの体積平均粒径及び粒子径分布は、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの場合と同様の方法で測定できる。
一般に、現像機に充填されたトナーは、主に現像機内部での機械的ストレスによってトナー表面の樹脂微粒子がトナーの内部に埋め込まれたり、トナー粒子本体の表面の凹部に移動したりして、付着力の低減効果が失われる。また、外添剤が同様のストレスにさらされることによってトナー内部に埋没し、トナーの付着力が増大する。
しかし、本発明のトナーは、アクリル樹脂微粒子Bが比較的大きくトナー粒子本体に埋没しにくく、また、架橋され比較的硬いため、現像器内での機械的ストレスによってトナー粒子表面で変形することなく、スペーサ効果も保つため外添剤の埋没も防止し、上述の付着力維持に適している。
前記アクリル樹脂微粒子Bの重量平均分子量(Mw)としては、10,000〜2,000,000が好ましく、300,000〜450,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、10,000未満であると、膨潤しやすくなり、円形度が低くなりすぎる傾向があり、2,000,000を超えると、膨潤しにくくなり、比表面積が大きくなって、転写の劣るトナーができることがある。一方、前記重量平均分子量が、前記より好ましい範囲であると、トナー円形度及び転写性の点で有利である。
前記アクリル樹脂微粒子Bのガラス転移温度(Tg)としては、40℃〜100℃が好ましく、45℃〜80℃がより好ましい。
前記Tgが、40℃未満であると、トナーの保存温度帯での十分な耐熱保存性が得られず、トナー粒子同士の凝集が発生してしまうことがあり、100℃を超えると、耐熱保存性が発現できるもののトナーの低温定着性を阻害する場合がある。
アクリル樹脂微粒子Bの添加量としては、トナー母体粒子に対して、0.5質量%〜5質量%が好ましく、1質量%〜4質量%がより好ましい。前記添加量が、0.5質量%未満であると、スペーサ効果が十分に得られないためトナー粒子の非静電的付着力を低減することができないことがあり、5質量%を超えると、トナーの流動性が悪くなり、均一転写性を阻害したり、微粒子がトナーに充分固定化できずに離脱しやすくなり、キャリアや感光体などに付着し、感光体などを汚染してしまう恐れがある。
また、前記アクリル樹脂微粒子Bは、前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中で凝集体を生成する性質を有すことが好ましい。本発明のトナーの製造方法において、乳化工程で乳化前の水系媒体、又は乳化後の乳化乃至分散液に前記アクリル樹脂微粒子Bが添加された時に、前記アクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴に付着せずに独立して安定に存在することは好ましくない。前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中でアクリル樹脂微粒子Bが凝集体を作る性質を有すことによって、乳化時又は乳化後に水相側に存在していたアクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴表面に移動し、容易にトナー材料の液滴表面に付着することができる。すなわち、前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中では、前記アクリル樹脂微粒子Bが不安定で、通常であれば凝集してしまうところ、トナー材料の液滴があるとトナー材料の液滴との引力が強い場合、異種粒子の複合体が形成される。
−アニオン性界面活性剤−
アクリル樹脂微粒子Bの調製に用いるアニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセリールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。
[アクリル樹脂微粒子Bの調製方法]
アクリル樹脂微粒子Bの調整方法としては、前述した樹脂微粒子Aの調整方法と同様の方法を用いることができる。
前述の通り、前記アクリル樹脂微粒子Bは、アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中で凝集体を生成する性質を有すことが、トナー材料の液滴表面に付着しやすくなる点で好ましい。そのような性質を有するアクリル樹脂微粒子Bは、ノニオン界面活性剤や両性界面活性剤、カチオン界面活性剤の存在下で、アクリル樹脂微粒子Bの調整を行ったり、アクリル樹脂微粒子B用の樹脂として、アミン基、アンモニウム塩基などのカチオン性基を導入した樹脂を用いることによって調製できる。
−カチオン界面活性剤−
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤などが挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどが挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが好ましい。
前記カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ株式会社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ株式会社製);フタージェントF−300(ネオス株式会社製)などが挙げられる。
−ノニオン界面活性剤−
前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などが挙げられる。
−両性界面活性剤−
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどが挙げられる。
<トナーコア粒子>
前記トナーコア粒子は、少なくとも結着樹脂としてポリエステル樹脂を含んでなり、更に必要に応じて、着色剤、他の結着樹脂、接着性基材(他の結着樹脂)、離型剤、帯電制御剤、磁性材料などのその他の成分を含む。
<<ポリエステル樹脂>>
前記ポリエステル系樹脂とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とをポリエステル化したものである。
A−(OH)m ・・・一般式(1)
[式中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
B−(COOH)n ・・・一般式(2)
[式中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
−ポリオール−
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。
−ポリカルボン酸−
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、15mgKOH/g〜40mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が、10mgKOH/g未満であると、製造時の分散安定効果が得られないことがあり、50mgKOH/gを超えると、トナー帯電能力の環境安定性が悪化することがある。一方、前記酸価が、前記特に好ましい範囲であると、トナーの製造性及びトナーの帯電能力の点で有利である。
トナー酸価が50mgKOH/g以下であることにより、変性ポリエステルの伸長または架橋反応が十分に行われ、耐高温オフセット性に影響を及ぼすことがない。また、10mgKOH/g以上であることにより、製造時の塩基化合物による分散安定効果が得られ、変性ポリエステルの伸長または架橋反応が過度に進むことがなく、製造安定性に問題が生じることがない。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜200,000が好ましく、4000〜6000がより好ましい。前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性能が低下することがあり、200,000を超えると、低温定着性能が低下することがある。一方、前記重量平均分子量が、前記より好ましい範囲であると、低温定着及び耐ホットオフセット性能の点で有利である。
前記結着樹脂は、前記アクリル樹脂微粒子Bと非相溶であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂は、特に、アクリル樹脂微粒子Bが、アクリル酸エステル重合体、及びメタクリル酸エステル重合体の少なくともいずれかを含む架橋樹脂の微粒子の場合、ほとんど相溶性がない。トナー製造の1工程である乳化工程において、乳化前又は乳化後にアクリル樹脂微粒子Bが添加された時にトナー材料の液滴に有機溶媒が存在しているため、アクリル樹脂微粒子Bが液滴表面に付着した後に溶解してしまう場合がある。トナーを構成する前記結着樹脂がポリエステル樹脂であり、アクリル樹脂微粒子Bが、アクリル酸エステル重合体、及びメタクリル酸エステル重合体の少なくともいずれかを含む架橋樹脂の微粒子である場合、樹脂同士の相溶性が低いため、アクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴と相溶せずに付着した状態で存在する。したがって、液滴表面からある程度進入し、有機溶媒が除去された後にトナー表面に付着固定化されるといった望ましい形態を実現することができる。
前記ポリエステル樹脂が、前記アクリル樹脂微粒子Bと非相溶であることは、以下の方法により判断される。即ち、前記ポリエステル樹脂を有機溶媒に対して50質量%の比率で溶解させ、その溶液に各種溶液を加えたときに、二層に分離した場合を非相溶、分離しない場合を相溶であると目視で判断して行う。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましく、40〜65℃が特に好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が10℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、80℃以上を超えると、低温定着性が十分でないことがある。なお、本発明のトナーでは、前記トナー母体粒子表面の最表層として形成された前記樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在する前記樹脂微粒子Bとを備えているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な耐熱保存性を示す。
<<その他の成分>>
前記トナー母体粒子に含まれるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、他の結着樹脂、接着性基材(他の結着樹脂)、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、マスターバッチ用樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。前記マスターバッチ用樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練して製造することができる。この際、前記着色剤と前記マスターバッチ用樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も前記着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、前記着色剤の水を含んだ水性ペーストを前記マスターバッチ用樹脂と前記有機溶媒とともに混合乃至混練し、前記着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶媒成分を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。前記着色剤は、トナー母体粒子を形成するポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂微粒子Bを形成する樹脂の2樹脂に対する親和性の差を利用することで、前記トナー母体粒子、前記アクリル樹脂微粒子Bのいずれにも任意に含有させることができる。前記着色剤は、トナー表面に存在した際にトナーの帯電性能を悪化させることがよく知られている。そのため、内層に存在する前記トナー母体粒子に選択的に前記着色剤を含有させることで、トナーの帯電性能(環境安定性、電荷保持能、帯電量等)を向上させることができる。
−他の結着樹脂−
本発明に用いられる結着樹脂としては、前記ポリエステル樹脂と他の結着樹脂を組み合せて用いてもよい。
前記ポリエステル樹脂と組み合わせる他の結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の結着樹脂を適宜選択することができ、例えば、シリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
−接着性基材(他の結着樹脂)−
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを少なくとも含む。
前記接着性基材の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000以上が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましく、7,000〜500,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、3,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05質量%〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50μl〜200μl注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の、分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、及び4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能なプレポリマーが架橋乃至伸長反応する際の架橋剤乃至伸長剤として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能なプレポリマーがイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基乃至フェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナー材料中に前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂が含まれることにより、得られるトナーの機械的強度が高まり、アクリル樹脂微粒子Bや外添剤の埋没を抑制することができる。前記活性水素基含有化合物が、カチオン性の極性を有す場合には、前記アクリル樹脂微粒子Bを静電的に引き寄せることもできる。また、トナーの加熱定着時の流動性を調節でき、定着温度幅を広げることもできる。なお、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体は、結着樹脂前駆体(プレポリマー)であると言える。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)単独、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記B1〜B5のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などが挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に、定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が特に好ましい。
ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基などが挙げられる。ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)が特に好適である。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるものなどが挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、乃至前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物が好ましい。
前記ジオール(DIO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したものなどが挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したものなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などがより好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3価〜8価乃至それ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したものなどが挙げられる。
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、乃至DICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸(DIC)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3価〜8価乃至それ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物乃至低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])として、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が特に好ましい。
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプローラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、3/1〜1.5/1が特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4が特に好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
なお、必要により反応停止剤を用いて、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との架橋乃至伸長反応を停止させることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。
前記反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、乃至これらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])として、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましく、1/1.5〜1.5/1が特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50℃〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記結着樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルのような離型剤を塗布しない状態)でもホットオフセット性が良好である。
前記離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類などが好適に挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、例えば、天然ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。前記天然ワックスとしては、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックスなどが挙げられる。前記合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスなどが挙げられる。また、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体乃至共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、前記離型剤が耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。前記離型剤の溶融粘度としては、前記離型剤の融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。前記離型剤の前記トナー母体粒子における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記離型剤は、前記トナー母体粒子中の前記ポリエステル樹脂、前記アクリル樹脂微粒子B用の樹脂、及びスチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂の3樹脂に対する親和性の差を利用することで、トナーコア粒子中のポリエステル樹脂(第一の樹脂相)、アクリル樹脂微粒子B用の樹脂(第二の樹脂相)、及びスチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂(第三の樹脂相)のいずれにも任意に含有させることができる。トナーコア粒子表面に存在する前記アクリル樹脂微粒子Bの樹脂相に選択的に含有させることで、離型剤の染み出しが定着時の短い加熱時間でも充分生じるため、充分な離型性を得ることができる。また、前記離型剤を前記トナーコア粒子中の第一の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への離型剤のスペントを抑制させることができる。本発明では、前記離型剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記トナー母体粒子中の前記ポリエステル樹脂、前記アクリル樹脂微粒子B用の樹脂又はスチレン−アクリル樹脂微粒子A用の樹脂に対する親和性の差を利用することで、前記トナー母体粒子中の樹脂相、前記アクリル樹脂微粒子Bの樹脂相、及び前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの樹脂相のいずれにも任意に含有させることができる。トナーコア粒子表面に存在する前記アクリル樹脂微粒子Bの樹脂相に選択的に含有させることで、より少量の前記帯電制御剤によって停電に対する効果を得やすくなる。また、前記帯電制御剤をトナーコア粒子中の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への帯電制御剤のスペントを抑制させることができる。本発明のトナーの製造方法では、前記帯電制御剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
前記帯電制御剤の含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記ポリエステル樹脂に対し、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.2質量%〜5質量%がより好ましい。前記帯電制御剤の含有量が、0.1質量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−磁性材料−
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
<その他の成分>
本発明のトナーに含まれるその他の成分としては、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の外添剤などが挙げられる。
−無機微粒子−
前記無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用する。前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で得られたトナー母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための無機微粒子としては、80nm〜500nmの一次体積平均粒径を有する大粒径の無機微粒子の他にも、小粒径の無機微粒子を好ましく用いることができる。特に、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンなどが好ましい。この無機微粒子の一次体積平均粒径としては、5nm〜50nmが好ましく、10nm〜30nmがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20m2/g〜500m2/gが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、大粒径のもの及び小粒径のものそれぞれがトナーの0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。前記シリカ及び前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤のことであり、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、その体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmが好適である。
本発明のトナーの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜6μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。前記重量平均粒径が、1μm未満であると、一次転写及び二次転写においてトナーチリが発生しやすく、逆に6μmを超えると、ドット再現性が不十分になり、ハーフトーン部分の粒状性も悪化して高精細な画像が得られなくなってしまう。
本発明のトナーの平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.950〜0.990が好ましい。前記平均円形度が、0.950未満であると、現像時の画像均一性が悪化したり、電子写真感光体から中間転写体へのトナー転写効率、又は中間転写体から記録材へのトナー転写効率が低下し、均一転写が得られなくなることがある。また、本発明のトナーは、水系媒体中で乳化処理をして作製されたものであるため、特に、カラートナーにおける小粒径化や、上記範囲の平均円形度を得るために効果的である。
<平均円形度>
トナーの平均円形度は、下記式(3)で定義される。
平均円形度SR=
(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%
・・・式(3)
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−3000」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−3000 FLOW PARTICLE IMAGE ANALYZER version00−11)を用いて解析を行なうことができる。
具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1ml〜0.5ml添加し、各トナー0.1g〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mlを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理する。前記分散液を前記FPIA−2100を用いて濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定する。本測定法は、平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5,000個/μl〜15,000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分に濡らすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3μm〜7μmの場合、トナー量を0.1g〜0.5g添加することにより分散液濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlにあわせることが可能となる。
本発明のトナーにおける重量平均粒径(Dw)と個数平均粒径(Dn)との比(Dw/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.30以下が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(Dw/Dn)が、1.00未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下や、クリーニング性の悪化につながり易い。一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。また、前記比(Dw/Dn)が、1.30を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
一方、前記比(Dw/Dn)が、1.00〜1.30であると、耐熱安定性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性のいずれにも優れたトナーとなりやすい。特に、フルカラー複写機に使用した場合に画像の光沢性に優れる。二成分現像剤として用いる場合では、長期にわたる現像剤の稼動が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても良好で安定した現像性が得られ、一成分現像剤として用いる場合では、現像剤の稼動が行われてもトナーの粒子径の変動が少なくなるとともに、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等への部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期使用(攪拌)においても良好で安定した現像性が得られ、高画質の画像を得ることが可能となる。
<重量平均粒径(Dw)、体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)>
トナーの重量平均粒径(Dw)、体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行なうことにより測定することができる。
具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mlを添加する。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理する。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用いて、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行なう。測定は、装置が示す濃度が8±2%になるように前記トナーサンプル分散液を滴下する。本測定法は、粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
本発明トナーのBET比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5m2/g〜4.0m2/gが好ましく、0.5m2/g〜2.0m2/gがより好ましい。前記BET比表面積が、0.5m2/g未満であると、トナー表面全体を密に覆う状態となり、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aがトナーコア粒子のポリエステル樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度が上昇することがあり、また、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aがワックスの染み出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットが発生することがある。前記BET比表面積が、4.0m2/gを超えると、トナー表面上に残存する有機微粒子が凸部として大きく突出したり、粗状態の多重層としてスチレン−アクリル樹脂微粒子Aが残存し、やはりスチレン−アクリル樹脂微粒子Aがトナーコア粒子のポリエステル樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られる。また、スチレン−アクリル樹脂微粒子Aがワックスの染み出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られる。また、添加剤が浮出し、表面の凹凸により画質に影響が現れやすい。
<トナーのBET比表面積>
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、トナー1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セル内の脱気処理を行う。脱気処理は室温下で行い、少なくとも13.33Pa(100mtorr)以下の減圧条件下で20時間行う。脱気処理を行った専用セルは、TriStar3000を用いて自動でBET比表面積を得ることができる。なお、吸着ガスとしてはチッソガスを用いることができる。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、下記工程a〜cを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、洗浄工程、加熱工程、乾燥分級工程などのその他の工程を含む。
工程a:前記ポリエステル樹脂を少なくとも含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散してトナー材料の溶解乃至分散液を作製する工程
工程b:前記トナー材料の溶解乃至分散液を、少なくとも前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aを含む水系媒体中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作製する工程
工程c:前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去してトナー粒子を作製する工程
ここで、前記アクリル樹脂微粒子Bが前記水系媒体及び前記乳化乃至分散液のいずれかに添加される。
また、前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たし、
前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たすことを必要とする。
1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500・・・式(1)
1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
以下、本発明のトナーの製造方法について具体的に説明する。
<工程a>
前記工程aは、前記ポリエステル樹脂を少なくとも含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散してトナー材料の溶解乃至分散液を作製する工程である。
<<トナー材料の溶解乃至分散液>>
前記トナー材料の溶解乃至分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製する。
前記トナー材料は、前記ポリエステル樹脂を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて前記着色剤、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記磁性材料などのその他の成分を含む。前記工程aにおいてトナー材料として用いるポリエステル樹脂、及びその他の成分としては、トナーを形成可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前述のトナー母体粒子において説明した前記ポリエステル樹脂、及び前記その他の成分に挙げたものを使用することができる。
前記トナー材料の溶解乃至分散液の調製は、有機溶媒中に、前記ポリエステル樹脂、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記離型剤、前記着色剤、前記帯電制御剤などのトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
また、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、後述する工程bにおける水系媒体の調製において、水系媒体中に添加混合してもよく、或いは、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、該トナー材料の溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。
前記トナー材料は、結着樹脂前駆体として前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を含むことが好ましく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が、変性ポリエステル樹脂であることがより好ましい。前記トナー材料の液滴中に前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が含まれることにより、得られるトナーの機械的強度が高まり、樹脂微粒子Bや外添剤の埋没を抑制することができる。前記活性水素基含有化合物がカチオン性の極性を有す場合には、樹脂微粒子Bを静電的に引き寄せることができる。また、トナーの加熱定着時の流動性を調節でき、定着温度幅を広げることができる。
−有機溶媒−
前記有機溶媒としては、トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの造粒時乃至造粒後の除去の容易性の点で、沸点が150℃未満のものが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対し、40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
<工程b>
前記工程bは、前記トナー材料の溶解乃至分散液を、少なくとも前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aを含む水系媒体中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作製する工程である。
前記工程bにおいて用いるスチレン−アクリル樹脂微粒子Aとしては、本発明のトナーにおいて説明した上述のスチレン−アクリル樹脂微粒子Aを使用することができる。
−水系媒体−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などを用いることができる。これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類などを用いることができる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水系媒体の調製は、アニオン性界面活性剤の存在下で前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aを水系媒体に分散させることにより行うことが好ましい。前記アニオン性界面活性剤及び前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの水系媒体中への添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記アクリル樹脂微粒子Bは、その後水系媒体に加えてもよく、また、後述する乳化後の乳化乃至分散液に加えてもよい。前記アクリル樹脂微粒子Bが、前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体において凝集性を有する場合は、前記アクリル樹脂微粒子Bを加えた水系媒体を乳化前に高速せん断分散機にて分散させておくことが好ましい。
−アニオン性界面活性剤−
前記水系媒体の調製に用いるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
−乳化乃至分散液−
トナー材料の溶解乃至分散液の水系媒体中に乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作製する方法としては、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体中で攪拌しながら分散させることが好ましい。分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機などを用いて行うことができる。前記分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機などが挙げられる。前記トナー材料が、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む場合、乳化乃至分散の際、これらを伸長反応ないし架橋反応させることにより、接着性基材が生成する。
前記工程bにおける前記水系媒体の使用量としては、前記トナー材料100質量部に対し、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前述の通り、前記アクリル樹脂微粒子Bは、前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中で凝集体を生成する性質を有すことが好ましい。前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中でアクリル樹脂微粒子Bが凝集体を作る性質を有すことによって、乳化時又は乳化後に水相側に存在していたアクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴表面に移動し、容易にトナー材料の液滴表面に付着することができる。すなわち、前記アニオン性界面活性剤を含む水系媒体中では、前記アクリル樹脂微粒子Bが不安定で、通常であれば凝集してしまうところ、トナー材料の液滴があるとトナー材料の液滴との引力が強い場合、異種粒子の複合体が形成される。
得られたトナー材料の液滴とアクリル樹脂微粒子Bとの複合体は、そのままでも強固な接着力を示すが、乳化後、アクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴表面に移動し、トナー材料の液滴表面に付着した後に、後述する加熱処理を経ることによって、より強固にトナー表面に固定化できる。
前記乳化乃至分散液は、該乳化乃至分散液において、油滴を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、必要に応じて分散剤を含むことが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な分散剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。該アニオン性界面活性剤としては、前記水系媒体に含まれる前記アニオン性界面活性剤を用いることができる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。また、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
また、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物などが挙げられる。
前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどが挙げられる。
前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどが挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどが挙げられる。
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
前記リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な分散剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することが可能である。
<工程c>
前記工程cは、前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去してトナー粒子を作製する工程である。
前記有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、液滴中の前記有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)前記乳化乃至分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の前記有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法などが挙げられる。有機溶媒の除去が行われるとトナー粒子が形成される。
<樹脂微粒子Bの添加>
前記樹脂微粒子Bは、乳化前の水系媒体、又は乳化後の乳化乃至分散液に添加される。このタイミングでは前記トナー材料の液滴に有機溶媒が存在しているため、前記アクリル樹脂微粒子Bが液滴表面に付着した後に液滴表面からある程度進入し、有機溶媒が除去された後にトナーコア粒子表面に付着固定化されるといった望ましい形態を実現することができる。
前記樹脂微粒子Bの添加は、高速せん断分散機にて分散させながら行ってもよく、乳化後低速攪拌に切り替えて添加してもよく、適宜トナーへの樹脂微粒子Bの付着性、固定化状況を見ながら行われる。
<その他の工程>
<<洗浄工程>>
前記洗浄工程は、有機溶媒を除去しトナー粒子を形成した後、形成されたトナー粒子に対しイオン交換水で洗浄を行い、所望の伝導度を有する分散液を作製する工程である。
<<加熱工程>>
前記加熱工程は、トナー粒子の分散液を加熱処理する工程である。加熱処理は、(1)静止状態で加熱処理する方法、(2)攪拌下で加熱処理する方法などが挙げられ、加熱処理が行われると表面が平滑なトナー粒子が形成される。また、加熱処理は、トナー粒子がイオン交換水で分散されている場合は、洗浄前に実施しても洗浄後に実施してもよい。
得られた複合体(トナー粒子)は、そのままでも強固な接着力を示すが、乳化後、アクリル樹脂微粒子Bがトナー材料の液滴表面に移動し、トナー材料の液滴表面に付着した後に加熱工程を経ることによって、より強固にトナーコア粒子表面に固定化できる。固定化させる温度は、トナー母体粒子に用いたポリエステル樹脂のガラス転移点よりも高い温度が好ましい。
<<乾燥分級工程>>
形成されたトナー粒子に対し乾燥等を行い、さらにその後、所望により分級等を行う。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行う。なお、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
こうして得られたトナー粒子を、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、さらに機械的衝撃力を印加したりすることにより、トナー粒子の表面から離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック株式会社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所株式会社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
(現像剤)
本発明に係る現像剤は、上述の本発明のトナーを含んでなる。本発明のトナーは、一成分現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
前記キャリアの重量平均粒径としては、15μm〜40μmが好ましい。前記重量平均粒径が15μm未満であると、転写工程においてキャリアも一緒に転写されてしまうキャリア付着が起こりやすくなり。また、前記重量平均粒径が40μmを超えると、キャリア付着は起りにくいものの、高画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなる恐れがあり、潜像のドット径が小さい場合、ドット再現性のバラツキが大きくなり、ハイライト部の粒状性が悪くなる恐れもある。
(トナー入り容器)
本発明に係るトナー入り容器は、本発明のトナーを容器中に収容してなる。
前記トナー入り容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、現像剤容器本体とキャップとを有してなるものなどが好適に挙げられる。前記現像剤容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などにつき、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記現像剤容器本体の形状としては、例えば、前記円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部乃至全部が蛇腹機能を有しているものなどが特に好ましい。前記現像剤容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂などが好適に挙げられる。前記現像剤入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述するプロセスカートリッジに着脱可能に取り付けて現像剤の補給に好適に使用することができる。
(フルカラー画像形成方法及び画像形成装置)
本発明に係るフルカラー画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、一次転写工程と、二次転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。そして、現像工程において使用するトナーが、上述の本発明のトナーであることを必要とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、一次転写手段と、二次転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を含む。そして、現像手段において使用するトナーが、上述の本発明のトナーであることを必要とする。
前記フルカラー画像形成方法は、二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度が100mm/sec〜1000mm/secであり、かつ二次転写手段のニップ部での転写時間が0.5msec〜60msecであることが好ましい。
さらに、前記フルカラー画像形成方法は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、一次転写手段、及びクリーニング手段のセットを複数有するタンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用することが好ましい。電子写真感光体を複数個配備して、各々の回転時に1色ずつ現像する、いわゆるタンデム型では、潜像形成工程と現像工程と転写工程とが色毎に行なわれて各色のトナー像が形成されるため、単色の画像形成速度とフルカラーの画像形成速度との差が小さく、高速印字に対応できる利点を有している。しかし、各色のトナー像を別々の電子写真感光体に形成し、各色トナー層の積層(色重ね)を行なうことによりフルカラー画像を形成するため、各色のトナー粒子間での帯電性等が異なるなど、特性にばらつきがあると各色のトナー粒子による現像トナー量に差が生じ、色重ねによる二次色の色相の変化が大きくなり、色再現性が低下する。
タンデム型による画像形成方法に使用されるトナーにおいては、各色のバランスを制御するための現像トナー量を安定化すること(各色のトナー粒子間でばらつきがないこと)、各色のトナー粒子間で電子写真感光体及び記録材に対する付着性が均一であることが必要である。この点に関しては、本発明のトナーは好適である。
<帯電工程>
前記帯電工程は、電子写真感光体を帯電手段により帯電させる工程である。
前記帯電手段としては、例えば、図3及び図4に示した接触式の帯電装置を用いることができる。
また、前記帯電手段は、少なくとも交番電圧を重畳した直流電圧を印加するのが好ましい。交番電圧を重畳した直流電圧を印加することにより、直流電圧のみを印加する場合に比べて電子写真感光体の表面電圧を所望の値に安定化させることができるため、より均一帯電させることが可能となる。さらに、前記帯電手段は、電子写真感光体に帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行なうのが好ましい。電子写真感光体に帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加して帯電を行なうことによって、特に交番電圧を重畳した直流電圧を印加することで得られる均一帯電性の効果をさらに向上させることが可能となる。
<<ローラ式帯電装置>>
図3に接触式帯電装置の一種であるローラ式帯電装置(500)の一例の概略構成を示した。被帯電体である像担持体としての感光体(505)は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(505)に接触させた帯電部材である帯電ローラ(501)は、芯金(502)とこの芯金(502)の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層(503)とを基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、本図の場合は、この帯電ローラ(501)が感光体(505)の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ(501)は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層(503)を被膜して直径16mmに形成されている。帯電ローラ(501)の芯金(502)と図示の電源(504)とは、電気的に接続されており、電源(504)により帯電ローラ(501)に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体(505)の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
<<ファーブラシ式帯電装置>>
本発明で使われる帯電装置の形状としてはローラ式帯電装置の他にも、磁気ブラシ式帯電装置、ファーブラシ式帯電装置など、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシ式帯電装置を用いる場合、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライトなどの各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールを含む。また、ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、金属酸化物などにより導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
図4に接触式のブラシ式帯電装置(510)の一例の概略構成を示した。被帯電体としての像担持体としての感光体(515)は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、ファーブラシによって構成されるファーブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
本例における接触式帯電装置としてのファーブラシローラ(511)は、電極を兼ねる直径6mmの金属製の芯金(512)に、ブラシ部(513)としてユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−Bをパイル地にしたテープをスパイラル状に巻き付けて、外径14mm、長手方向長さ250mmのロールブラシとしたものである。ブラシ部(513)のブラシは300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当たり155本の密度である。このロールブラシを内径が12mmのパイプ内に一方向に回転させながらさし込み、ブラシと、パイプが同心となるように設定し、高温多湿雰囲気中に放置してクセ付けで斜毛させた。
ファーブラシローラ(511)の抵抗値は、印加電圧100Vにおいて1×105Ωである。この抵抗値は、金属製の直径φ30mmのドラムにファーブラシローラをニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流から換算した。このブラシ式帯電装置(510)の抵抗値は、被帯電体である感光体(515)上にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合にもこの部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップ部が帯電不良になる画像不良を防止するために104Ω以上必要であり、感光体(515)表面に十分に電荷を注入させるために107Ω以下である必要がある。
ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製のREC−B以外にも、REC−C、REC−M1、REC−M10、東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等が考えられる。ブラシは、一本が3デニール〜10デニールで、10フィラメント/束〜100フィラメント/束、80本/mm〜600本/mmの密度が好ましい。毛足は1mm〜10mmが好ましい。
このファーブラシローラ(511)は、感光体(515)の回転方向と逆方向(カウンター)に所定の周速度(表面の速度)をもって回転駆動され、感光体面に対して速度差を持って接触する。そしてこのブラシローラ(511)に電源(514)から所定の帯電電圧が印加されることで、回転感光体面が所定の極性及び電位に一様に接触帯電処理される。
本例では該ファーブラシローラ(511)による感光体(515)の接触帯電は、直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面はファーブラシローラ(511)に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
本発明で使われる帯電部材の形状としては、ファーブラシローラ(511)の他にも、帯電ローラ、ファーブラシなど、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。帯電ローラを用いる場合、芯金上に100000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
本例における接触帯電部材としての磁気ブラシとしては、体積平均粒径:25μmのZn−Cuフェライト粒子と、体積平均粒径10μmのZn−Cuフェライト粒子を、質量比1:0.05で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、体積平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子を用いた。接触帯電部材は、上述で作成された被覆磁性粒子、及びこれを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成され、上記被覆磁性粒子をスリーブ上に、厚さ1mmでコートして、感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成した。また、該磁性粒子保持スリーブと感光体との間隙は、約500μmとした。さらに、マグネットロールは、スリーブ表面が、感光体表面の周速に対して、その2倍の速さで逆方向に摺擦するように、回転され、感光体と磁気ブラシとが均一に接触するようにした。
<露光工程>
前記露光工程は、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する工程である。
<現像工程>
前記現像工程は、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する工程である。
本発明において感光体の潜像を現像するに際しては、交互電界を印加することが好ましい。図5に示した現像器(600)において、現像時、現像スリーブ(601)には、電源(602)により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部(603)に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー(605)が現像スリーブ(601)およびキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体(604)に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー(605)は、上述の本発明のトナーである。
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は、0.5kV〜5kVが好ましく、周波数は1kHz〜10kHzが好ましい。振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波等が使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、上記したように背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
<一次転写工程>
前記一次転写工程は、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する工程である。
<二次転写工程>
前記二次転写工程は、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する工程である。
<定着工程>
前記定着工程は、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる工程である。
前記定着手段は、例えば磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、加熱ローラと定着ローラとに張り渡され、加熱ローラにより加熱されるとともにこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体(加熱ベルト)と、加熱ベルトを介して定着ローラに圧接されるとともに、加熱ベルトに対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有することにより、定着ベルトの温度が短時間で上昇し、かつ安定した温度制御が可能となる。また、表面の粗い記録材を使用した場合にも、定着時にある程度転写紙の表面に応じた状態で定着ベルトが作用するため、十分な定着性が得られるようになる。
定着手段は、オイルレス、又はオイル微量塗布タイプであることが好ましい。これを達成するために、トナー母体粒子中に離型剤(WAX)を含有し、さらにそれがトナー母体粒子中に微分散しているものを定着することが好ましい。離型剤がトナー母体粒子中に微量分散しているトナーにより、定着時に離型剤が浸み出しやすく、オイルレス定着装置において、あるいは微量オイル塗布定着装置でオイル塗布効果が少なくなってきた場合においても、トナーのベルト側への転移を抑制することができる。離型剤がトナー母体粒子中に分散した状態で存在するためには、離型剤と結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。また、離型剤がトナー母体粒子中に微分散するためには、例えばトナー製造時の混練の剪断力を利用する方法がある。離型剤の分散状態は、トナー母体粒子の薄膜切片をTEMで観察することにより判断できる。離型剤の分散径は小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。したがって、倍率1万倍で離型剤が確認できれば、離型剤が分散した状態で存在していると判断する。1万倍で離型剤が確認できない大きさでは、微分散していたとしても、定着時の染み出しが不十分な場合がある。
本発明の画像形成方法において使用される定着装置としては、例えば、図6に示した定着装置を用いることができる。図6に示す定着装置は、誘導加熱手段(760)の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(710)と、加熱ローラ(710)と平行に配置された定着ローラ(720)(対向回転体)と、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡され、加熱ローラ(710)により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)(730)と、定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)に圧接されるとともに定着ベルト(730)に対して順方向に回転する加圧ローラ(740)(加圧回転体)とから構成されている。
加熱ローラ(710)は、例えば、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなり、外径を例えば、20mm〜40mm、肉厚を例えば、0.3mm〜1.0mmとして、低熱容量で昇温の早い構成となっている。
定着ローラ(720)(対向回転体)は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金(721)と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金(721)を被覆した弾性部材(722)とからなる。そして、加圧ローラ(740)からの押圧力でこの加圧ローラ(740)と定着ローラ(720)との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20mm〜40mm程度として加熱ローラ(710)より大きくしている。弾性部材(722)は、その肉厚を4mm〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ(710)の熱容量は定着ローラ(720)の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ(710)が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡された定着ベルト(730)は、誘導加熱手段(760)により加熱される加熱ローラ(710)との接触部位(W1)で加熱される。そして、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)の回転によって定着ベルト(730)の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。
図7に定着ベルト(730)の層構成の一例を示す。ベルト(730)の構成は、内層から表層に向かって下記4層であり、以下のようにすることができる。
・基体(731):ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層
・発熱層(732):Ni,Ag,SUS等の導電材料層
・中間層(733):均一定着のための弾性層
・離型層(734):離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
離型層(734)の厚さとしては、10μmから300μm程度が望ましく、特に200μm程度が望ましい。このようにすれば、図6に示すような定着装置(700)において、記録材(770)上に形成されたトナー像(T)を定着ベルト(730)の表層部が十分に包み込むため、トナー像(T)を均一に加熱溶融することが可能になる。離型層(734)の厚み、即ち、表面離型層は経時耐磨耗性を確保するためには、最低10μmは必要である。また、離型層(734)の厚みが300μmよりも大きい場合には、定着ベルト(730)の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。さらに、トナー像定着工程において定着ベルト(730)の表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、定着ベルト(730)の離型性が低下してトナー像(T)のトナーが定着ベルト(730)に付着し、いわゆるホットオフセットが発生する。なお、定着ベルト(730)の基体として、上記金属からなる発熱層(732)としてもよいが、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
加圧ローラ(740)は、例えば、銅、アルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金(741)と、この芯金(741)の表面に設けられた耐熱性及びトナー離型性の高い弾性部材(742)とから構成されている。芯金(741)には上記金属以外にSUSを使用しても良い。加圧ローラ(740)は、定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)を押圧して定着ニップ部(N)を形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ(740)の硬度を定着ローラ(720)に比べて硬くすることによって、加圧ローラ(740)が定着ローラ(720)(及び定着ベルト(730))へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録材(770)は加圧ローラ(740)表面の円周形状に沿うため、記録材(770)が定着ベルト(730)表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ(740)の外径は定着ローラ(720)と同じ20mm〜40mm程度であるが、肉圧は0.5mm〜2.0mm程度で定着ローラ(720)より薄く構成されている。
電磁誘導により加熱ローラ(710)を加熱する誘導加熱手段(760)は、図6に示すように、磁界発生手段である励磁コイル(761)と、この励磁コイル(761)が巻き回されたコイルガイド板(762)とを有している。コイルガイド板(762)は、加熱ローラ(710)の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル(761)は、長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板(762)に沿って加熱ローラ(710)の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル(761)は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル(761)の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア(763)が、励磁コイルコア支持部材(764)に固定されて励磁コイル(761)に近接配置されている。
<クリーニング工程>
前記クリーニング工程は、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングする工程である。
(プロセスカートリッジ)
本発明に係るプロセスカートリッジは、少なくとも電子写真感光体と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段とを一体に具備して画像形成装置本体に着脱自在としたものである。そして、現像手段には、上述の本発明のトナーを備えている。
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記帯電手段、前記転写手段、及び前記クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段を更に含むことが好ましい。
現像手段及び帯電手段としては、上述の現像装置及び帯電装置が好適に使用できる。
本発明に係るプロセスカートリッジの例を図8に示す。図8に示したプロセスカートリッジ(800)は、感光体(801)、帯電手段(802)、現像手段(803)、クリーニング手段(806)を備えている。このプロセスカートリッジ(800)の動作を説明すると、感光体(801)が所定の周速度で回転駆動される。感光体(801)は、回転過程において、帯電手段(802)によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の不図示の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体(801)の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段(802)によりトナー像化され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体(801)と不図示の転写手段との間に感光体(801)の回転と同期されて給送された記録材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた記録材は感光体面から分離されて不図示の像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体(801)の表面は、クリーニング手段(806)によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
本発明に係るフルカラー画像形成方法において使用されるフルカラー画像形成装置としては、例えば、図9、図10に示したタンデム方式の画像形成装置(100)を用いることができる。図9において、画像形成装置(100)は、電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)、給紙部(140)から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行ない、画像形成用の黒(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)に送信する。画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)は、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)に各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)は、黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)を備え、これらの各色用の感光体(210Bk,210C,210M,210Y)には通常OPC感光体が用いられる。各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)の周囲には、帯電装置(215Bk,215C,215M,215Y)、上記画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)からのレーザ光の露光部、各色用の現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)、一次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)、クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)、除電装置(図示せず)等が配設されている。なお、上記現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。また、中間転写ベルト(220)が各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)と一次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)との間に介在し、この中間転写ベルト(220)に各感光体から各色のトナー像が順次重ね合わせて転写され、各感光体上のトナー像を担持する。
場合によっては、この中間転写ベルト(220)の外側で、最終色の一次転写位置通過後で二次転写位置通過前の位置に転写前帯電手段としてのプレ転写チャージャ(502)が配設されるのが好ましい。このプレ転写チャージャ(502)は、上記1次転写部で感光体(210)に転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像を記録材としての転写紙に転写する前に、トナー像をトナー像と同極性に均一に帯電するものである。
各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)から転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像は、ハーフトーン部及びベタ部を含んでいたりトナーの重ね合せ量が異なる部分を含んでいたりするため、帯電量がばらついている場合がある。また、中間転写ベルト移動方向における一次転写部の隣接下流側の空隙に発生する剥離放電により、一次転写後の中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきが発生する場合もある。このような同一トナー像内の帯電量のばらつきは、中間転写ベルト(220)上のトナー像を転写紙に転写する2次転写部における転写余裕度を低下させてしまう。そこで、プレ転写チャージャで転写紙へ転写する前のトナー像をトナー像と同極性に均一に帯電することにより、同一トナー像内の帯電量のばらつきを解消し、二次転写部における転写余裕度を向上させている。
以上、この画像形成方法によれば、各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)から転写した中間転写ベルト(220)上のトナー像をプレ転写チャージャ(502)で均一に帯電することにより、中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきがあっても、2次転写部における転写特性を、中間転写ベルト(220)上のトナー像の各部に渡ってほぼ一定にすることができる。したがって、転写紙へ転写する時の転写余裕度の低下を抑え、トナー像を安定して転写できる。
なお、この画像形成方法において、プレ転写チャージャで帯電される帯電量は、帯電対象物である中間転写ベルト(220)の移動速度に依存して変化する。例えば、中間転写ベルト(220)の移動速度が遅ければ、中間転写ベルト(220)上のトナー像の同一部分がプレ転写チャージャによる帯電領域を通過する時間が長くなるので、帯電量が大きくなる。逆に、中間転写ベルト(220)の移動速度が速いと、中間転写ベルト(220)上のトナー像の帯電量が小さくなる。したがって、中間転写ベルト(220)上のトナー像がプレ転写チャージャによる帯電位置を通過している途中に中間転写ベルト(220)の移動速度が変化するような場合には、その中間転写ベルト(220)の移動速度に応じて、トナー像に対する帯電量が途中で変化しないようにプレ転写チャージャを制御することが望ましい。
一次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)の間に導電性ローラ(241)、(242)、(243)が設けられている。そして、転写紙は給紙部(140)から給紙された後、レジストローラ対(160)を介して転写ベルト(500)に担持され、中間転写ベルト(220)と転写ベルト(500)が接触するところで二次転写ローラ(170)により中間転写ベルト(220)上のトナー像が転写紙に転写され、カラー画像形成が行なわれる。
そして、画像形成後の転写紙は二次転写ベルト(180)で定着装置(150)に搬送され、画像が定着されてカラー画像が得られる。転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(260)によってベルトから除去される。
転写紙への転写前の中間転写ベルト(220)上のトナー極性は、現像時と同じマイナス極性であるため、二次転写ローラ(170)にはプラスの転写バイアス電圧が印加され、トナーは転写紙上に転写される。この部分でのニップ圧が転写性に影響し、定着性に大きく影響する。また、転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、転写紙と中間転写ベルト(220)とが離れる瞬間にプラス極性側に放電帯電され、0〜プラス側に帯電される。なお、転写紙のジャム時や非画像域に形成されたトナー像は、二次転写の影響を受けないため、もちろんマイナス極性のままである。
感光体層の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。感光体(黒)(210Bk)の帯電(露光側)電位V0を−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行なわれるものである。感光体(黒)(210Bk)上に形成されたトナー(黒)の顕像はその後、転写(中間転写ベルト及び転写紙)、定着工程を経て画像として完成される。転写は最初、1次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)から中間転写ベルト(220)へ全色転写された後、更に別の2次転写ローラ(170)へのバイアス印加により転写紙へ転写される。
次に、感光体クリーニング装置について詳細に説明する。図9において、各現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)と各クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)とは、各々トナー移送管(250Bk,250C,250M,250Y)で接続されている(図9中の破線)。そして、各トナー移送管(250Bk,250C,250M,250Y)の内部には、スクリュー(図示せず)が入っており、各クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)で回収されたトナーが、各現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)へ移送されるようになっている。
従来の4つの感光体ドラムとベルト搬送との組合せによる直接転写方式では、感光体と転写紙が当接することにより紙粉が付着しトナーを回収すると紙粉が含有しているので、画像形成時にトナー抜け等の画像劣化をきたし使用することができなかった。更に、従来の一つの感光体ドラムと中間転写とを組合せたシステムでは、中間転写体の採用で転写紙転写時の感光体への紙粉付着はなくなったが、感光体への残トナーのリサイクルを行おうした場合、混色したトナーを分離することは実用上不可能である。また、混色トナーを黒トナーとして使用する提案があるが、全色混合しても黒にならず、プリントモードにより色が変化するため1つの感光体の構成ではトナーリサイクルは不可能であった。
これに対して、このフルカラー画像形成装置では、中間転写ベルト(220)を使用するので紙粉の混入が少なく、かつ、紙転写時の中間転写ベルト(220)への紙粉の付着も防止される。各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)が独立した色のトナーを使用するので各感光体クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)を接離する必要もなく、確実にトナーのみを回収することができる。
上記中間転写ベルト(220)上に残ったプラス帯電されたトナーは、マイナス電圧が印加された導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされる。導電性ファーブラシ(262)への電圧印加方法は、導電性ファーブラシ(261)と極性が異なるだけで全く同一である。転写されずに残ったトナーも2つの導電性ファーブラシ(261)、(262)でほとんどクリーニングされる。ここで、導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされずに残ったトナー、紙粉、タルク等は、導電性ファーブラシ(262)のマイナス電圧により、マイナス帯電される。次の黒色の一次転写は、プラス電圧による転写であり、マイナス帯電したトナー等は中間転写ベルト(220)側に引き寄せられるため、感光体(黒)(210Bk)側への移行は防止できる。
次に、この画像形成装置に使用される中間転写ベルト(220)について説明する。中間転写ベルトは前述のとおり、単層の樹脂層であることが好ましいが、必要に応じて、弾性層や、表層を保有してもよい。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン若しくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記弾性層を構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記表層の材料は特に制限は無いが、中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして二次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えば、フッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類若しくは2種類以上又は粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
上記樹脂層や弾性層には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。
図10は、本発明の画像形成方法において使用される画像形成装置の他の例を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置を備えた複写装置(100)である。図10中、(110)は複写装置本体、(200)はそれを載せる給紙テーブル、(300)は、複写装置本体(110)上に取り付けるスキャナ、(400)はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体(110)には、中央に、無端ベルト状の中間転写体(50)を設ける。
そして、図10に示すとおり、この例では、3つの支持ローラ(14)、(15)、(16)に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ(15)の左に、画像転写後に中間転写体(50)上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置(17)を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ(14)と第2の支持ローラ(15)間に張り渡した中間転写体(50)上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段(18)を横に並べて配置してタンデム画像形成装置(120)を構成する。
このタンデム画像形成装置(120)の上には、図10に示すように、さらに露光装置(21)を設ける。一方、中間転写体(50)を挟んでタンデム画像形成装置(120)と反対の側には、二次転写装置(22)を備える。二次転写装置(22)は、図示例では、2つのローラ(23)間に、無端ベルトである2次転写ベルト(24)を掛け渡して構成し、中間転写体(50)を介して第3の支持ローラ(16)に押し当てて配置し、中間転写体(50)上の画像をシートに転写する。二次転写装置(22)の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置(25)を設ける。定着装置(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)に加圧ローラ(27)を押し当てて構成する。上述した二次転写装置(22)には、画像転写後のシートをこの定着装置(25)へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、二次転写装置(22)として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合はこのシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような二次転写装置(22)及び定着装置(25)の下に、上述したタンデム画像形成装置(120)と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置(28)を備える。
このタンデム画像形成装置を用いてコピーをとる場合には、原稿自動搬送装置(400)の原稿台(130)上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス(32)上へと移動して後、他方、コンタクトガラス(32)上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ(300)を駆動し、第1走行体(33)及び第2走行体(34)を走行する。そして、第1走行体(33)で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体(34)に向け、第2走行体(34)のミラーで反射して結像レンズ(35)を通して読取りセンサ(36)に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ(14)、(15)、(16)の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体(50)を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段(18)でその感光体(10)を回転して各感光体(10)上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体(50)の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体(50)上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル(200)の給紙ローラ(142)の1つを選択回転し、ペーパーバンク(143)に多段に備える給紙カセット(144)の1つからシートを繰り出し、分離ローラ(145)で1枚ずつ分離して給紙路(146)に入れ、搬送ローラ(147)で搬送して複写機本体(100)内の給紙路(148)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。
または、給紙ローラを回転して手差しトレイ(51)上のシートを繰り出し、分離ローラ(58)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。
そして、中間転写体(50)上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転し、中間転写体(50)と二次転写装置(22)との間にシートを送り込み、2次転写装置(22)で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、二次転写装置(22)で搬送して定着装置(25)へと送り込み、定着装置(25)で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)で排出し、排紙トレイ(57)上にスタックする。または、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ(56)で排紙トレイ(57)上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体(50)は、中間転写体クリーニング装置(17)で、画像転写後に中間転写体(50)上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置(120)による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ(49)は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
<未変性ポリエステル樹脂(低分子量ポリエステル)Cの合成>
(合成例1)
−未変性ポリエステル樹脂C1の合成−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物67質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物84質量部、テレフタル酸274質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次いで、該反応液を10mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、[未変性ポリエステル樹脂C1]を合成した。
得られた[未変性ポリエステル樹脂C1]は、酸価が18mgKOH/g、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が5,500、ガラス転移点(Tg)が50℃であった。
[酸価の測定]
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠し、以下の条件で測定を行った。ただし、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、テトラヒドロフラン等を用いた。
酸価は具体的に次のような手順で決定される。
測定装置:電位差自動滴定装置DL−53 Titrator
(メトラー・トレド社製)
使用電極:DG113−SC(メトラー・トレド社製)
解析ソフト:LabX Light Version 1.00.000
装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用した。
測定温度:23℃
測定は上記記載の装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算した。
予め標定されたN/10水酸化カリウムのアルコール溶液で滴定し、アルコール水酸化カリウム溶液の消費量から次の計算で酸価を求めた。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料重量
(ただし、NはN/10KOHのファクター)
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により次のように測定した。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05質量%〜0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50μl〜200μl注入して測定した。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の重量平均分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器には、RI(屈折率)検出器を用いた。
[ガラス転移点Tg(℃)]
ガラス転移点(Tg)の測定は、理学電機社製のRigaku THRMOFLEX TG8110により、昇温速度10℃/minの条件にて測定した。
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず、試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットした。次いで、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置し、続いて、室温まで試料を冷却して10分間放置し、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(合成例2〜7)
−未変性ポリエステル樹脂C2〜C7の合成−
合成例1において、下記表1に示す通り、ポリエステル樹脂材料の配合量を変更した以外は、合成例1と同様にして、[ポリエステル樹脂C2]〜[ポリエステル樹脂C7]をそれぞれ合成した。
得られた[ポリエステル樹脂C2]〜[ポリエステル樹脂C7]について、[ポリエステル樹脂C1]と同様にして、酸価、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びガラス転移点について測定した。結果を表2に示す。
<プレポリマーの合成>
(合成例8)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10mHg〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、[プレポリマー](前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。得られた[プレポリマー]は、遊離イソシアネート含有量が1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)が50質量%であった。
<スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの調製>
(合成例9)
−スチレン−アクリル樹脂微粒子A1の合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)16質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液35質量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)である[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]の水性分散液を得た。[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]は、体積平均粒径(堀場製作所製 LA−920で測定)が40nm、酸価が180mgKOH/g、重量平均分子量が350,000、Tgが65℃であった。また、下記の方法に従い、膨潤性及びポリエステル樹脂との相溶性について測定した結果、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]は、結着樹脂であるポリエステル樹脂と相溶せず、且つ、架橋構造が少ないため高い膨潤性を示すものであることが分かった。
[樹脂微粒子の粒径評価]
分散粒径分布の測定に「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定し、解析ソフト「マイクロトラック パーティクルサイズ アナライザ−Ver.10.1.2−016EE」(日機装社製)を用いて解析を行った。具体的にはガラス製30mlサンプル瓶にトナー材料液、次いでトナー材料液作製に用いた溶媒を添加し、10質量%の分散液を調製した。得られた分散液を「超音波分散器W−113MK−II」(本多電子社製)で2分間分散処理した。
測定するトナー材料液に用いた溶媒でバックグラウンドを測定した後、前記分散液を滴下し、測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で分散粒子径を測定した。本測定法は分散粒子径の測定再現性の点から測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で測定することが重要である。前記サンプルローディングの値を得るために前記分散液の滴下量を調節する必要がある。
測定及び解析条件は、以下のように設定した。
分布表示:体積、粒径区分選択:標準、チャンネル数:44、測定時間:60秒間、測定回数:1回、粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.5、粒子形状:非球形、密度:1g/cm
溶媒屈折率の値は、日機装社発行の「測定時の入力条件に関するガイドライン」に記載されている値のうちトナー材料液に用いた溶媒の値を用いた。
[樹脂微粒子の膨潤性評価]
膨潤性に差がある種々の樹脂微粒子を、30mlのアズワン社製スクリューバイヤルにメスピペットでそれぞれ底から20mmになるように添加し、酢酸エチルをメスピペットで10ml入れた後、24時間静置したところ、白色を有する樹脂微粒子のエマルションが下側に、酢酸エチルが上側に相分離した。そして、スクリューバイヤルの底からの、白色を有する樹脂微粒子エマルションの高さを観察することで膨潤性の違いを評価した。高い膨潤性を有するものは前記高さが高くなる。膨潤性の程度は、下記のように判断した。本発明において「膨潤する」とは◎、○、△と評価されるものをいう。
〔評価基準〕
◎:25mm以上 十分に膨潤する
○:21mm以上、25mm未満 膨潤する
△:20mm以上、21mm未満 不十分に膨潤する
×:20mm未満 膨潤しない
[樹脂微粒子のポリエステル樹脂との相溶性]
ポリエステル樹脂と樹脂微粒子(スチレン−アクリル樹脂微粒子又はアクリル樹脂微粒子)とをトナー配合比率で混合したもの50部を酢酸エチル50部中に添加して、溶解状態を観察し下記のように相溶性を判断した。
〔評価基準〕
相溶:混合液が透明になる。
非相溶:混合液中に膨潤している樹脂微粒子が確認できる。
(合成例10〜24)
−スチレン−アクリル樹脂微粒子A2〜A16の合成−
合成例9において、下記表3に示す通り、スチレン−アクリル樹脂微粒子A1材料の配合量を変更した以外は、合成例9と同様にして、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A2]〜[スチレン−アクリル樹脂微粒子A16]の水性分散液を得た。
得られた[スチレン−アクリル樹脂微粒子A2]〜[スチレン−アクリル樹脂微粒子A16]について、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]と同様にして、体積平均粒径、酸価、重量平均分子量及びガラス転移点について測定した。結果を表4に示す。また、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]と同様にして、膨潤性及びポリエステル樹脂との相溶性について測定した。結果を表5に示す。
<アクリル樹脂微粒子Bの調製>
(合成例25)
−アクリル樹脂微粒子B1の合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(カチオンDS、花王製)10質量部、メタクリル酸メチル144質量部、アクリル酸ブチル46質量部、メタクリル酸4質量部、エチレングリコールジメタクリレート2質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度65℃まで昇温し10時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸−エチレングリコールジメタクリレートの共重合体)である[アクリル樹脂微粒子B1]の水性分散液を得た。[アクリル樹脂微粒子B1]は、体積平均粒径(堀場製作所製 LA−920で測定)が50nm、酸価が10mgKOH/g、質量平均分子量Mwが400,000、Tgが60℃であった。また、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]と同様に、膨潤性及びポリエステル樹脂との相溶性について測定した結果、[アクリル樹脂微粒子B1]は、結着樹脂であるポリエステル樹脂と相溶せず、且つ、架橋構造が少ないため高い膨潤性を示すものであることが分かった。
(合成例26〜39)
−アクリル樹脂微粒子B2〜B15の合成−
合成例25において、下記表6に示す通り、アクリル樹脂微粒子の配合量を変更した以外は、合成例25と同様にして、[アクリル樹脂微粒子B2]〜[アクリル樹脂微粒子B15]をそれぞれ合成した。
得られた[アクリル樹脂微粒子B2]〜[アクリル樹脂微粒子B15]について、[アクリル樹脂微粒子B1]と同様にして、体積平均粒径、酸価、質量平均分子量及びガラス転移点について測定した。結果を表7に示す。また、[アクリル樹脂微粒子B1]と同様にして、膨潤性及びポリエステル樹脂との相溶性について測定した。結果を表8に示す。
(実施例1)
<トナー1の製造>
−マスターバッチ(MB)の調製−
水1000質量部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100g、pH=9.5)540質量部、及び[未変性ポリエステルC1]1200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、[マスターバッチ]を調製した。
−トナー材料の溶解液乃至分散液の調製−
ビーカー内に[未変性ポリエステルC1]100質量部、酢酸エチル130質量部を、攪拌し溶解させた。次いで、カルナウバワックス(分子量=1,800、酸価=2.5、針入度=1.5mm(40℃))10質量部、及び[マスターバッチ]10質量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして原料溶解液を調製し、[プレポリマー]を40質量部添加し、攪拌した後、[トナー材料の溶解乃至分散液]を調製した。
−水系媒体相の調製−
水660質量部、前記[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]の水性分散液25質量部、48.5質量%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)25質量部、及び酢酸エチル60質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。さらに[アクリル樹脂微粒子B1]を50質量部加えて[水系媒体相]を得た。[水系媒体相]を光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。[水系媒体相]を、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B1]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。このように、アクリル樹脂微粒子は、凝集を生じるがせん断によってほぐれることがトナー表面に均一に付着させる上で重要である。
−乳化乃至分散液の調製−
[水系媒体相]150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに[トナー材料の溶解乃至分散液]100質量部を添加し、10分間混合して[乳化乃至分散液](乳化スラリー)を調製した。
−有機溶媒の除去−
脱気用配管、攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、[乳化乃至分散液]100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し[脱溶剤スラリー]とした。
−洗浄−
[脱溶剤スラリー]全量を減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。更に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する操作を3回行い、再分散したスラリーの伝導度が0.1μS/cm以上且つ10μS/cm以下になったところで[洗浄スラリー]とした。
−加熱処理−
攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、得られた[洗浄スラリー]を攪拌周速20m/分で60分間攪拌しながら50℃で加熱処理し、[未変性ポリエステル樹脂C1]の粒子表面に付着した[アクリル樹脂微粒子B1]を固定化処理した後、濾過して[濾過ケーキ]を得た。
−乾燥−
得られた[濾過ケーキ]を順風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を得た。
[トナー母体粒子1]を、エポキシ樹脂に包埋して終夜静置したのち、ウルトラミクロトームにて切片を切り取り、その切片をTEM観察した。TEM像を図2に、図2における破線部分の拡大図を図3に示す。トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していることが確認できた。
−外添処理−
[トナー母体粒子1]100質量部に対して、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、体積平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、体積平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体0.8質量部とをヘンシェルミキサーにて混合し、[トナー1]を得た。
(実施例2)
<トナー2の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC2]を用い、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A2]を用い、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B2]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の[トナー2]を作製した。
なお、[トナー2]に用いた[アクリル樹脂微粒子B2]は、結着樹脂である[未変性ポリエステルC2]と相溶せず、且つ、架橋構造が少ないため高い膨潤性を示すものである。
また、[アクリル樹脂微粒子B2]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B2]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子2]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子2]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A2からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B2が存在していた。
(実施例3)
<トナー3の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC3]を用い、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A3]を用い、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B3]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の[トナー3]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B3]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B3]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子3]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子3]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A3からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B3が存在していた。
(実施例4)
<トナー4の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A4]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の[トナー4]を作製した。
得られた[トナー母体粒子4]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子4]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A4からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例5)
<トナー5の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A5]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の[トナー5]を作製した。
得られた[トナー母体粒子5]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子5]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A5からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例6)
<トナー6の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B4]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の[トナー6]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B4]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B4]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子6]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子6]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B4が存在していた。
(実施例7)
<トナー7の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B5]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の[トナー7]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B5]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B5]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子7]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子7]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B5が存在していた。
(実施例8)
<トナー8の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC4]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の[トナー8]を作製した。
得られた[トナー母体粒子8]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子8]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例9)
<トナー9の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC5]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の[トナー9]を作製した。
得られた[トナー母体粒子9]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子9]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例10)
<トナー10の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC6]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の[トナー10]を作製した。
得られた[トナー母体粒子10]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子10]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例11)
<トナー11の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[未変性ポリエステルC1]に代えて[未変性ポリエステルC7]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例11の[トナー11]を作製した。
得られた[トナー母体粒子11]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子11]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例12)
<トナー12の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A6]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例12の[トナー12]を作製した。
得られた[トナー母体粒子12]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子12]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A6からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例13)
<トナー13の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B6]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例13の[トナー13]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B6]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B6]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子13]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子13]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B6が存在していた。
(実施例14)
<トナー14の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A6]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B6]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例14の[トナー14]を作製した。
得られた[トナー母体粒子14]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子14]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A6からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B6が存在していた。
(実施例15)
<トナー15の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A7]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例15の[トナー15]を作製した。
得られた[トナー母体粒子15]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子15]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A7からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(実施例16)
<トナー16の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B7]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例16の[トナー16]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B7]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B7]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子16]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子16]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A1からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B7が存在していた。
(実施例17)
<トナー17の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A7]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B7]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例17の[トナー17]を作製した。
得られた[トナー母体粒子17]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子17]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A7からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B7が存在していた。
(実施例18)
<トナー18の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A8]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B8]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例18の[トナー18]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B8]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B8]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子18]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子18]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A8からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B8が存在していた。
(実施例19)
<トナー19の製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A9]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B9]を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例19の[トナー19]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B9]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B9]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
得られた[トナー母体粒子19]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子19]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A9からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B9が存在していた。
(実施例20)
<トナー20の製造>
実施例1において、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A10]を用いた以外は、実施例20の[トナー20]を作製した。
得られた[トナー母体粒子20]について実施例1と同様にTEM観察を行った結果、[トナー母体粒子20]は[トナー母体粒子1]と同様に、トナーコア粒子表面にスチレン−アクリル樹脂微粒子A10からなる層が形成され、該層の内部側にアクリル樹脂微粒子B1が存在していた。
(比較例1)
<トナーAの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B10]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の[トナーA]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B10]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B10]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例2)
<トナーBの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B11]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の[トナーB]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B11]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B11]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例3)
<トナーCの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B12]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の[トナーC]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B12]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B12]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例4)
<トナーDの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B13]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の[トナーD]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B13]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B13]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例5)
<トナーEの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B14]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の[トナーE]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B14]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B14]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例6)
<トナーFの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B15]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6の[トナーF]を作製した。
なお、[アクリル樹脂微粒子B15]を水系媒体相に加え、光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。この水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8,000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがって、この後行われるトナー材料の乳化工程においても[アクリル樹脂微粒子B15]は、分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。
(比較例7)
<トナーGの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A11]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の[トナーG]を作製した。
(比較例8)
<トナーHの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A12]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例8の[トナーH]を作製した。
(比較例9)
<トナーIの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A13]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例9の[トナーI]を作製した。
(比較例10)
<トナーJの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A14]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例10の[トナーJ]を作製した。
(比較例11)
<トナーKの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A15]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例11の[トナーK]を作製した。
(比較例12)
<トナーLの製造>
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A16]を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例12の[トナーL]を作製した。
(比較例13)
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A11]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B10]用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例13の[トナーM]を作製した。
(比較例14)
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A14]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B13]用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例14の[トナーN]を作製した。
(比較例15)
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A14]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B10]用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例15の[トナーO]を作製した。
(比較例16)
実施例1において、下記表9に示す通り、[スチレン−アクリル樹脂微粒子A1]に代えて[スチレン−アクリル樹脂微粒子A11]を用いて、[アクリル樹脂微粒子B1]に代えて[アクリル樹脂微粒子B13]用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例16の[トナーP]を作製した。
<キャリアの作製>
次に、トナーの実機評価に用いたキャリアの具体的な作製例について説明する。本発明で用いるキャリアは、これらの例に限定されるものではない。
キャリア原料の組成:
アクリル樹脂溶液(固形分50質量%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70質量%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコーン樹脂溶液 65.0部
[固形分23質量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
ミノシラン 1.0部
[固形分100質量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
上記キャリア原料をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2348.0;体積平均粒径:25μm]に上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥し被覆フェライト粉を得た。得られた被覆フェライト粉を電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、[キャリア]を得た。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35μmの[キャリア]を作製した。
<2成分系現像剤の作製>
実施例1〜20の[トナー1]〜[トナー20]及び比較例1〜16の[トナーA]〜[トナーP]と[キャリア]とを用い、[キャリア]100質量部に対し、各[トナー]7質量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラミキサーを用いて均一混合し帯電させて2成分系現像剤1〜20及びA〜Pを作製した。
<トナーの評価>
次に、作製した各[トナー]及び各[2成分系現像剤]を用いて、以下のようにして諸特性の評価を行った。結果を表9及び10に示す。
<<トナー材料液の分散質粒子の体積平均粒径及び分散粒子径の測定方法>>
トナー材料液の分散質粒径、分散粒径分布は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定し、解析ソフト「マイクロトラック パーティクルサイズ アナライザ−Ver.10.1.2−016EE」(日機装社製)を用いて解析を行った。具体的には、ガラス製30mlサンプル瓶にトナー材料液、次いでトナー材料液作製に用いた溶媒を添加し、10質量%の分散液を調製した。得られた分散液を「超音波分散器W−113MK−II」(本多電子社製)で2分間分散処理した。
測定するトナー材料液に用いた溶媒でバックグラウンドを測定した後、前記分散液を滴下し、測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で分散粒子径を測定した。本測定法は分散粒子径の測定再現性の点から測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で測定することが重要である。前記サンプルローディングの値を得るために前記分散液の滴下量を調節する必要がある。
測定及び解析条件は以下のように設定した。
分布表示:体積、粒径区分選択:標準、チャンネル数:44、測定時間:60秒間、測定回数:1回、粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.5、粒子形状:非球形、密度:1g/cm
溶媒屈折率の値は、日機装社発行の「測定時の入力条件に関するガイドライン」に記載されている値のうちトナー材料液に用いた溶媒の値を用いた。結果を表9に示す。
<<トナーの平均円形度>>
トナーの平均円形度は、下記式(3)で定義される。
平均円形度SR=
(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%
・・・式(3)
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−3000」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−3000 FLOW PARTICLE IMAGE ANALYZER version00−11)を用いて解析を行なった。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1ml〜0.5ml添加し、各トナー0.1g〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−3000を用いて、濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlに調整して、トナーの平均円形度を測定した。結果を表9に示す。
<<トナーのBET比表面積>>
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(島津製作所製)を用いて測定した。トナー1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セル内の脱気処理を行った。脱気処理は室温下で行い、少なくとも13.33Pa(100mtorr)以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルは、TriStar3000を用いて自動でBET比表面積を得ることができる。なお、吸着ガスとしてはチッソガスを用いた。結果を表9に示す。
<<転写効率(%)>>
富士ゼロックス社製のDocuColor 8000 Digital Pressを改造して、線速162mm/sec及び転写時間を40msecにチューニングした評価機を用い、各[2成分系現像剤]について、A4サイズ、トナー付着量0.6mg/cmのベタパターンをテスト画像として出力するランニング試験を行った。テスト画像の初期、及び100K出力後、一次転写における転写効率を下記式(4)により、二次転写における転写効率を下記式(5)により、それぞれ求めた。なお、評価基準は下記のとおりである。
一次転写効率(%)=(中間転写体上に転写されたトナー量/電子写真感光体上に現像されたトナー量)×100 ・・・ 式(4)
二次転写効率(%)=(中間転写体上に転写されたトナー量−中間転写体上の転写残トナー量/中間転写体上に転写されたトナー量)×100 ・・・ 式(5)
評価基準は、一次転写率と二次転写率の平均値を算出し以下の基準で評価した。結果を表10に示す。
〔評価基準〕
◎:90%以上
○:85%以上90%未満
△:80%以上85%未満
×:80%未満
<<定着下限温度>>
株式会社リコー製フルカラー複合機Imagio NeoC600Proの定着部を改造し、温度及び線速を調整可能にした定着装置を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(株式会社リコー製のタイプ6000<70W>及び複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、0.85±0.1mg/cmのトナー付着量で定着評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。結果を表10に示す。
〔評価基準〕
◎:120℃未満
○:140℃未満120℃以上
△:160℃未満140℃以上
×:160℃以上
<<定着上限温度>>
−ホットオフセット発生温度−
株式会社リコー製フルカラー複合機Imagio NeoC600Proの定着部を改造し、温度及び線速を調整可能にした定着装置を用いて、前記普通紙に、ベタ画像で、0.85±0.3mg/cmのトナーが現像されるように調整した。得られた画像を加熱ローラの温度を変えて定着し、ホットオフセットの発生する定着温度(オフセット発生温度)を測定した。結果を表10に示す。
〔評価基準〕
◎:210℃以上
○:210℃未満190℃以上
△:190℃未満170℃以上
×:170℃未満
(図1について)
1 トナーコア粒子
2 スチレン−アクリル樹脂微粒子A
3 アクリル樹脂微粒子B
(図3〜図8について)
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
505 感光体
510 ブラシ式帯電装置
511 ファーブラシローラ
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
600 現像器
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
760 誘導加熱手段
710 加熱ローラ
720 定着ローラ
721 芯金
722 弾性部材
730 無端帯状の定着ベルト
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ
741 芯金
742 弾性部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録材
800プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 現像剤
805 現像手段
806 クリーニング手段
(図9について)
100 画像形成装置
120Bk,120C,120M,120Y 画像書込部
130Bk,130C,130M,130Y 画像形成部
140 給紙部
170 二次転写ローラ
210Bk,210C,210M,210Y 感光体
215Bk,215C,215M,215Y 帯電装置
200Bk,200C,200M,200Y 現像装置
220 中間転写ベルト
230Bk,230C,230M,230Y 1次転写装置
241、242、243 導電性ローラ
250Bk,250C,250M,250Y トナー移送管
300Bk,300C,300M,300Y クリーニング装置
261 中間転写ベルトクリーニング装置
502 プレ転写チャージャ
(図10について)
14,15,16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 二次転写装置
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 手差しトレイ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 給紙ローラ
100 複写装置
120 タンデム型画像形成装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
110 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
特開平07−209952号公報 特開2000−075551号公報 特許第3640918号公報 特開平06−250439号公報 特開2001−066820号公報 特許第3692829号公報

Claims (12)

  1. 少なくともポリエステル樹脂を含むトナーコア粒子と、
    前記トナーコア粒子表面に形成されたスチレン−アクリル樹脂微粒子Aからなる層と、該層の内部側に存在するアクリル樹脂微粒子Bとを備え、
    前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの100℃の貯蔵弾性率A1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率A2(Pa)が、下記関係式(1)を満たし、
    前記アクリル樹脂微粒子Bの100℃の貯蔵弾性率B1(Pa)及び200℃の貯蔵弾性率B2(Pa)が、下記関係式(2)を満たすことを特徴とするトナー。
    1×104≦A1≦1×106、10≦A2≦500 ・・・式(1)
    1×106≦B1≦1×108、100≦B2≦1000・・・式(2)
  2. 前記ポリエステル樹脂のTgが10〜80℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記スチレン−アクリル樹脂微粒子のTgが40〜100℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記アクリル樹脂微粒子のTgが40〜100℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記ポリエステル樹脂の酸価が、10mgKOH/g〜50mgKOH/gであり、前記ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のトナー。
    アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
  6. 前記スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの酸価が、150mgKOH/g〜250mgKOH/gであり、前記ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のトナー。
    アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
  7. 前記アクリル樹脂微粒子Bの酸価が、0mgKOH/g〜20mgKOH/gであり、前記ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂の酸価が以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のトナー。
    アクリル樹脂の酸価<ポリエステル樹脂の酸価<スチレン−アクリル樹脂の酸価
  8. スチレン−アクリル樹脂微粒子Aが、スチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. アクリル樹脂微粒子Bが、アクリル酸エステル重合体、若しくはメタクリル酸エステル重合体を含む架橋樹脂、又は未架橋樹脂の微粒子であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. スチレン−アクリル樹脂微粒子Aの粒径が5nm〜50nmであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. アクリル樹脂微粒子Bの粒径が、10nm〜500nmであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のトナー。
  12. 前記ポリエステル樹脂の分子量Mwが1,000〜200,000の範囲内であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のトナー。
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