JP2013194856A - 転がり軸受及びそれを用いたフィルムの搬送装置 - Google Patents

転がり軸受及びそれを用いたフィルムの搬送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発塵量を低く抑えると共に、強度を確保することができ、更に長期に亘って使用した際の耐久性を高めることができる、転がり軸受及びこれを用いたフィルムの搬送装置を提供する。
【解決手段】
この転がり軸受10A,10Bは、内輪20と、その外周に配置される外輪25と、内輪25及び外輪35の間に転動自在に配設された複数の転動体30と、該転動体30を回転可能に保持する保持器とを備え、一部の転動体30aが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されている。そして、この転がり軸受10A,10Bを用いたフィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱硬化する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を規制するためのテンター装置40として用いることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば、グリースや潤滑油等が使用できない高温環境下や真空環境下などにおいて用いられる転がり軸受、及び、この転がり軸受を用いたフィルムの搬送装置に関する。
内輪と、その外周に配置される外輪と、これらの間に配置される複数の転動体と、該転動体を保持する保持器とからなる転がり軸受は、各種機械に広く用いられており、上記転がり軸受には、転動体と内輪及び外輪との潤滑性を確保すべく、グリースや潤滑油等を用いることが一般的である。
例えば、フレキシブル配線基板材料およびCOF用基板材料等に用いられるポリイミドフィルムの製造工程において、ポリアミック酸溶液から形成された自己支持性フィルム(以下、単に「ポリイミドの自己支持性フィルム」ということがある)を加熱硬化する際に、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するための、フィルムの搬送装置としてのテンター装置が用いられている。このテンター装置として、転がり軸受を用いたものも知られているが、このような高温下で使用される転がり軸受では、グリースや潤滑油等が蒸発して回転性能が低下してしまうおそれがあった。そこで、そのような高温条件下では、フッ素系樹脂や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を有する転がり軸受が用いられている。
例えば、下記特許文献1には、内輪と、その外周に配置される外輪と、内輪及び外輪の間に転動自在に配設される複数の転動体と、固体潤滑剤を含有する材料からなるスペーサと、少なくとも1個のスペーサ及び1個の転動体を収納するポケットを備えた、固体潤滑転がり軸受が記載されている。前記スペーサは、二硫化モリブデン等の固体潤滑材料を、ガラス繊維等と混合してバインダーで固めて、円柱状に焼成されている。
再公表特許WO99/60281号公報
上記特許文献1記載の固体潤滑転がり軸受の場合、保持器のポケットに収納されたスペーサにより潤滑性が付与されるようになっている。しかしながら、上記固体潤滑転がり軸受を長期に亘って使用した場合、スペーサと共に保持器のポケット内に収納された転動体がスペーサを押圧するため、スペーサが徐々に摩耗し、磨耗量が多くなってくると、鳴き音やゴリ付き感が生じることがあった。また、スペーサが主に二硫化モリブデンから構成されているので、転動体に押されて摩耗したときの、発塵量が比較的多いという不都合もある。
したがって、本発明の目的は、高温条件下でも使用でき、発塵量を低く抑えると共に、強度を確保することができ、更に長期に亘って使用した際の耐久性を高めることができる、転がり軸受及びこの転がり軸受を用いたフィルムの搬送装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つは、内輪と、その外周に配置される外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を回転可能に保持する保持器とを備え、前記転動体の一部のものが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されていることを特徴とする転がり軸受を提供するものである。
本発明の転がり軸受によれば、転動体の一部のものが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されているので、該転動体と内輪及び外輪との摩擦抵抗がフッ素系樹脂によって低減され、回転をスムーズに行うことができる。また、該転動体の表面から摩擦により削られたフッ素系樹脂が、他の転動体や内輪及び外輪の転走面に移着し、他の転動体と内輪及び外輪との摩擦抵抗も低減される。更に、全ての転動体ではなく、一部の転動体の少なくとも外周がフッ素系樹脂で形成されているので、他の転動体は、その全体を金属、セラミック等の硬度並びに耐熱性に優れた材料で形成でき、転がり軸受の強度や耐久性も維持することができる。また、他の転動体と内輪及び外輪との摩擦抵抗を低くして、それらを摩耗しにくくさせると共に、比較的発塵量の多い二硫化モリブデンを用いずに、フッ素系樹脂によって摩擦軽減を図れる転動体を形成しているので、発塵量を低く抑えることができる。
本発明の転がり軸受においては、前記内輪の外周面に形成された前記転動体の転走送面、及び/又は、前記外輪の内周面に形成された前記転動体の転走面には、フッ素系樹脂により被膜が形成されていることが好ましい。この態様によれば、内輪及び/又は外輪の転走面にフッ素系樹脂により被膜が形成されているので、転動体と内輪及び外輪との摩擦抵抗をより低減することができる。
本発明の転がり軸受においては、前記転動体の一部のものが、全体をフッ素系樹脂で形成されていることが好ましい。この態様によれば、前記転動体の一部のものが、全体をフッ素系樹脂で形成されているので、フッ素系樹脂が削られても金属表面が露出することがなく、フッ素系樹脂による潤滑性付与効果を長期に亘って持続することができる。
本発明の転がり軸受においては、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成された転動体が、全体を金属又はセラミックで形成された転動体の間に、前記保持器を介して等間隔で配置されていることが好ましい。この態様によれば、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成された転動体が、全体を金属又はセラミックで形成された転動体の間に、前記保持器を介して等間隔で配置されているので、摩擦により削られたフッ素系樹脂が、全体を金属又はセラミックで形成された転動体の表面に付着しやすくなり、全体としての潤滑性をより向上できる。また、全体を金属又はセラミックで形成された剛性の高い転動体が均等配置されることになるので、転がり軸受の強度や耐久性も維持しやすくすることができる。
一方、本発明のもう一つは、上記発明に係る転がり軸受けを用いたフィルムの搬送装置を提供するものである。
本発明のフィルムの搬送装置によれば、上記発明に係る転がり軸受けを用いることにより、転がり軸受の耐久性を維持しつつ、その摩擦抵抗を低減して、その回転を長期に亘ってスムーズに維持することができると共に、転がり軸受の摩耗による粉塵の発生を抑制し、粉塵が付着することによるフィルムの不良品の発生を低減することができる。
本発明のフィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、該テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、前記テンターチェーンは、その走行方向と直交する支軸を介して回転可能に装着された上方転がり軸受を有し、該上方転がり軸受が、前記ガイド部材に当接して、前記チェーンを移動可能に支持しており、前記上方転がり軸受が、上記発明に係る転がり軸受で構成されていることが好ましい。
この態様によれば、上方転がり軸受を介してガイド部材に当接させたことにより、テンターチェーンをガイド部材に対してスムーズに移動させることができる。また、該転がり軸受の転動体の一部のものが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されているので、ポリイミドの自己支持性フィルムの加熱硬化工程の環境下においても、転がり軸受の耐久性を維持しつつ、その摩擦抵抗を低減して、その回転を長期に亘ってスムーズに維持することができると共に、粉塵の発生を抑制し、ポリイミドフィルムの不良品の発生を低減することができる。
本発明のフィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、該テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、前記テンターチェーンは、一対の外側プレートと、一対の内側プレートと、前記内側プレートの端部どうしを貫通して配置されたブッシュと、前記ブッシュ内に挿入されて、前記外側プレート及び前記内側プレートの端部どうしを連結するピンと、前記ブッシュの外周に装着されたローラ及び下方転がり軸受と、前記外側プレートにアームを介して連結された前記保持プレートとを有し、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたそれぞれのガイド部材は、前記ローラ及び前記下方転がり軸受を挟むように平行に立設された一対のガイドレールを有し、前記下方転がり軸受が、上記発明に係る転がり軸受で構成されていることが好ましい。
この態様によれば、下方転がり軸受が、フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたそれぞれのガイド部材の一対のガイドレールの間に挿入されているので、テンターチェーンがフィルムの収縮力によって搬送方向と直角方向に引っ張られたとき、下方転がり軸受の外周面が、フィルム搬送経路側に位置するガイドレールの内面に当接し、テンターチェーンのピンの軸心が、ガイドレールに対して傾きにくくなるのに加え、下方転がり軸受によって、テンターチェーンとガイド部材との摩擦力をより効果的に軽減することができる。また、下方転がり軸受の、転動体の一部のものが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されているので、ポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理工程の環境下において、転がり軸受の耐久性を維持しつつ、その摩擦抵抗を低減して、その回転を長期に亘ってスムーズに維持し、粉塵の発生を抑制して、ポリイミドフィルムの不良品の発生を低減することができる。
本発明のフィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、該前記テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、前記テンターチェーンは、一対の外側プレートと、一対の内側プレートと、前記内側プレートの端部どうしを貫通して配置されたブッシュと、前記ブッシュ内に挿入されて、前記外側プレート及び前記内側プレートの端部どうしを連結するピンと、前記ブッシュの外周に装着されたローラ及び下方転がり軸受と、前記外側プレートにアームを介して連結された前記保持プレートと、前記外側プレートの長手方向と直交する支軸を介して回転可能に装着された前記上方転がり軸受とを有し、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたそれぞれのガイド部材は、前記ローラ及び前記下方転がり軸受を挟むように平行に立設された一対のガイドレールを有し、前記上方転がり軸受が、前記ガイド部材のガイドレールに当接して前記テンターチェーンを移動可能に支持しており、前記上方転がり軸受及び前記下方転がり軸受が、上記発明に係る転がり軸受で構成されていることが好ましい。
この態様によれば、上方転がり軸受及び下方転がり軸受の両者について、ポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理工程の環境下での、耐久性を維持することができると共に、摩擦抵抗を低減して、その回転を長期に亘ってスムーズに維持することができ、その結果、粉塵の発生を効果的に抑制することができ、ポリイミドフィルムの不良品の発生をより確実に低減することができる。
本発明によれば、一部の転動体の少なくとも外周がフッ素系樹脂で形成されているので、他の転動体は、その全体を金属、セラミック等の硬度並びに耐熱性に優れた材料で形成でき、転がり軸受の強度や耐久性も維持することができると共に、他の転動体と内輪及び外輪との摩擦抵抗を低くして、それらを摩耗しにくくさせ、粉塵を発生しにくくさせ、フッ素系樹脂によって摩擦軽減を図れる転動体を形成しているので、発塵量を低く抑えることができる。
本発明に係る転がり軸受の一実施形態を示しており、一部を破断した斜視図である。 同転がり軸受の平面図である。 同転がり軸受の要部拡大断面図である。 本発明に係るフィルムの搬送装置としての、テンター装置の一実施形態を示しており、その平面図である。 同テンター装置の要部拡大平面図である。 同テンター装置の要部拡大断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る転がり軸受について説明する。また、この転がり軸受を適用した本発明に係る、フィルムの搬送装置としてのテンター装置の一実施形態について説明する。なお、本発明の転がり軸受を用いたフィルムの搬送装置は、テンター装置に限定されない。
図6に示すように、この実施形態に係るテンター装置40には、本発明に係る転がり軸受である下方転がり軸受10Aと上方転がり軸受10Bとが組み込まれている。図6は、下方転がり軸受10Aと上方転がり軸受10Bとが組み込まれている形態を示しているが、下方転がり軸受10Aまたは上方転がり軸受10Bのいずれか1つでも良い。まず、図1〜3を参照して、これらの転がり軸受10A,10Bについて説明する。
各転がり軸受10A,10Bは、円筒状の内輪20と、同じく円筒状をなし前記内輪20の外周に所定間隔を設けて同心状に配置される外輪25と、内輪20及び外輪25の間に転動自在に配設された複数の転動体30と、これらの転動体30を回転可能に保持する保持器35と、環状をなすと共に前記内輪20及び前記外輪25の隙間に装着された一対のシールド39,39(図3参照)とから構成されている。なお、図1及び図2においては、便宜上、シールド39を記載していない。
また、前記内輪20の外周面に、凹溝状をなした転走面21が形成されていると共に、前記外輪25の内周面にも、凹溝状をなした転走面26が形成されており、これらの転走面21,26により転動体30が転動自在に挟持されるようになっている。更にこの実施形態における保持器35は、周方向に複数の円弧状枠部36aが設けられた環状フレーム36,36どうしをピンやカシメ等により連結して、1個の転動体30を保持するポケット37が周方向に沿って均等な間隔で形成された構造をなしている。この実施形態の保持器35は、9個のポケット37を備えている。なお、保持器としては、例えば、ポケットを周方向に広く形成して、複数の転動体30を収納保持するようにしてもよく、その構造は特に限定されない。
上記の内輪20、外輪25、保持器35は、例えば、軸受鋼(SUJ)、ステンレス鋼(SUS)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等の金属や、セラミック、更にはポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の樹脂から形成することができる。
また、内輪20の転走面21や外輪25の転走面26に、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂による被膜を形成することが好ましく、特にPTFEが、ポリイミドフィルムを製造する際の耐熱性の観点から好ましい。
前記保持器35に保持される球状の転動体30のいくつかは、例えば、軸受鋼(SUJ)、ステンレス鋼(SUS)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等の金属や、セラミックで形成されている。
そして、複数の転動体30のうち、一部の転動体30aは、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されている。この転動体30aに用いられるフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等を用いることができるが、特にPTFEが、ポリイミドフィルムを製造する際の耐熱性の観点から好ましい。
また、上記転動体30aは、その全体が上記フッ素系樹脂で形成されていることが好ましいが、外周のみフッ素系樹脂で被覆されていてもよい。全体がフッ素系樹脂からなる転動体30aは、例えば、フッ素系樹脂粉末をバインダーを介して球状に成形したり、溶融したフッ素系樹脂を射出成形又はプレス成形したりする方法で形成でき、外周にフッ素系樹脂が被覆された転動体30aは、例えば、金属又はセラミックスからなる球体の外周に、フッ素系樹脂の分散液をコーティングして溶媒を乾燥したり、溶融したフッ素系樹脂をコーティングしたりして形成できる。
図2に示すように、この実施形態では、保持器35の9個のポケット37のうち、等間隔で配置された3個のポケット37に、少なくとも外周がフッ素系樹脂により形成された転動体30a(「フッ素系樹脂付き転動体30a」とする)が収納され、それらの間に配置された残りの6個のポケット37に、金属やセラミックからなる転動体30(以下「通常の転動体30」とする)が収納されている。
フッ素系樹脂付き転動体30aの数は、少なくとも1つ以上あって、かつ、全部でなければよい。また、フッ素系樹脂付き転動体30aが複数あって、それらが保持器35を介して、通常の転動体30を間にして、周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。更に、通常の転動体30とフッ素系樹脂付き転動体30aとの割合は、8:1〜5:4であることが好ましく、8:1〜6:3であることが更に好ましい。
次に、図4〜6を参照して、上記構造の転がり軸受10A,10Bを用いたテンター装置40について説明する。
図4に示すように、この実施形態におけるテンター装置40は、図示しないローラから引き出されて帯状をなして搬送されるフィルムFの、搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材45と、このガイド部材45に沿って移動する無端状のテンターチェーン50,50とを有している。なお、前記フィルムFは、ポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上に流延又は塗布してなる、ポリイミドの自己支持性フィルムとされている。また、各テンターチェーン50の一端部には、図示しない駆動手段により回動可能とされた駆動スプロケット47が歯合し、他端部には従動スプロケット48が歯合しており、図示しない駆動手段により駆動スプロケット47が回動すると、各テンターチェーン50が図4の矢印に示す方向に移動するようになっている。
この実施形態のテンター装置40は、フィルムFの両側部それぞれに、一対のガイド部材45,45が平行に配設されており、合計で4つのガイド部材45を備えている。各ガイド部材45は、レール状に伸びると共に所定間隔で互いに平行に配置された一対のガイドレール46,46からなり、これらのガイドレール46,46の間にテンターチェーン50が挟持され、その移動がガイドされるようになっている。
図5及び図6に示すように、無端状のテンターチェーン50は、互いに平行な一対の外側プレート51,52と、互いに平行な一対の内側プレート53,54とが、交互に連結された構造となっている。内側プレート53,54の両端部には、ローラ60を回動可能に外装したブッシュ55の上下両端部がそれぞれ圧入され、内側プレート53,54どうしが一体化されている。また、内側プレート53,54の端部外側に外側プレート51,52の端部が配置され、それらの端部どうしが、外側プレート51,52及びブッシュ55内に挿入されるピン56を介して、互いに回動可能となるように連結されている。このピン56の一端が外側プレート52に係合し、他端がワッシャ57を介してナット58により締付け固定され、両プレートが抜け止め保持されている。
そして、前記ブッシュ55の外周であって前記ローラ60の上方に、ガイド部材45のガイドレール46,46の間に挟み込まれるようにして、下方転がり軸受10Aが回動可能に配置されている。なお、この下方転がり軸受10Aは、外輪25の外径が前記ローラ60よりも大きく形成されている。
図5及び図6に示すように、上方の外側プレート51の中間部には、その長手方向及びテンターチェーン50の走行方向(図5の矢印A参照)に直交する支軸62が固設されている。そして、この支軸62の両端に上方転がり軸受10B,10Bが回動可能にそれぞれ取付けられている。これらの上方転がり軸受10B,10Bが、各ガイド部材45のガイドレール46,46上に当接配置され、テンターチェーン50がガイド部材45の長手方向に沿って移動可能に支持されるようになっている。
上記外側プレート51には、フィルムFの搬送経路内に向けて延出されたアーム75を介して、フィルムFの長辺側の一端部を保持する保持プレート70が取付けられている。この保持プレート70は長板状をなし、上面から複数の突き刺しピン70aが突設され、これがフィルムFに突き刺さって、フィルムFを保持するようになっている(図5及び図6参照)。
図5及び図6に示すように、この実施形態のアーム75は、略コ字状に屈曲形成された屈曲部77と、この屈曲部77の一側部77aに対して外方に曲げられ、前記保持プレート70に固定される先端部79と、前記屈曲部77の他側部77bに対して外方に曲げられ、前記外側プレート51に固定される基端部81,81とから構成されており、アーム75は、基端部81,81を介してテンターチェーン50の外側プレート51に取付けられるようになっている。
次に、上記構造からなるテンター装置40の使用方法、及び、同テンター装置40に適用した転がり軸受の作用効果について説明する。
そして、フィルムFの長辺側の両端部を、各テンターチェーン50にアーム75を介して取付けられた保持プレート70,70の間に配置し、それらの突き刺しピン70aをフィルムFに突き刺すことにより、フィルムFの両端部が保持プレート70,70に保持される。
この状態で図示しない駆動手段により駆動スプロケット47を回動させると、各テンターチェーン50が、一対のガイドレール46,46からなるガイド部材45によりガイドされつつ、ガイドレール46,46上を移動する上方転がり軸受10B,10Bに支持されながら図4の矢印方向に回動すると共に、このテンターチェーン50の回動に伴って、アーム75を介して保持プレート70,70がフィルムFの両端部を保持しながら移動して、フィルムFが図4,5の矢印Aに示す方向に走行するようになっている。
このテンター装置40においては、上方転がり軸受10B,10Bを、ガイド部材45のガイドレール46,46上に当接配置させた構造となっているので、テンターチェーン50をスムーズに移動させることができる。
また、ポリイミドの自己支持性フィルムの加熱硬化(キュア)工程時のように、フィルムFが搬送中に収縮すると、保持プレート70及びアーム75を介して、テンターチェーン50にフィルムFの走行方向と直角方向(図6の矢印B参照)に張力が作用する。すると、下方転がり軸受10Aの外周面が、フィルムFの搬送経路側のガイドレール46の内面に当接するので、テンターチェーン50のピン56の軸心C(図6参照)が、ガイドレール46に対して傾きにくくさせることができると共に、テンターチェーン50とガイドレール46との摩擦力を効果的に軽減することができる。
そして、各転がり軸受10A,10Bは、保持器35の複数のポケット37に保持された複数の転動体30のうち、3個の転動体30aが、その外周をフッ素系樹脂により形成されているので、内輪20及び外輪25が複数の転動体30を介して相対的に回転したとき、転動体30aと内輪20及び外輪25との摩擦抵抗を、フッ素系樹脂によって低減させることができ、その回転をスムーズにさせることができる。
また、内輪20及び外輪25の間を転動するフッ素系樹脂付き転動体30aは、摩擦によりその表面からフッ素系樹脂が徐々に削られていくが、この削られたフッ素系樹脂が、他の転動体30や、内輪20の転走面21、外輪25の転走面26に付着するので、他の転動体30と内輪20及び外輪25との摩擦抵抗も低減させることができる。
更に、全ての転動体30ではなく、一部の転動体30aの外周をフッ素系樹脂で形成したので、他の転動体30は、その全体を金属やセラミック等の硬度並びに耐熱性に優れた材料で形成でき、転がり軸受10A,10Bの強度や耐久性も維持することができる。 また、フッ素系樹脂付き転動体30aの効果により、他の転動体30と内輪20及び外輪25との摩擦抵抗を低減して、それらを摩耗しにくくさせることができると共に、比較的発塵量の多い二硫化モリブデンを用いずに、フッ素系樹脂によって摩擦軽減を図れる転動体30aを用いたので、粉塵の発生量を少なくして、粉塵がフィルムFに付着することを抑制することができる。
更にこの実施形態の場合、保持器35の複数のポケット37に、フッ素系樹脂付き転動導体30aが等間隔で配置され、それらの間に金属やセラミックからなる通常の転動体30が配置されているので(図2参照)、摩擦によって転動体30aから削られたフッ素系樹脂が、通常の転動体30の表面に付着しやすくなり、全体としての潤滑性をより向上させることができる。また、剛性の高い通常の転動体30が、内輪20及び外輪25の周方向に沿って均等に配置されることになるので、転がり軸受10の強度や耐久性を維持しやすくなる。
また、内輪20の転走面21や外輪25の転走面26にフッ素系樹脂による被膜を形成されている場合には、転動体30,30aと内輪20及び外輪25との摩擦抵抗をより低減することができる。
なお、転動体30aが、芯体が金属で外周がフッ素系樹脂でコーティングされて形成されている場合、外周のフッ素系樹脂が摩擦力により削られると、芯体の金属表面が露出することがある。これに対して、転動体30aの外周のみをフッ素系樹脂で形成したのではなく、転動体30aの全体をフッ素系樹脂で形成した場合には、フッ素系樹脂が削られてとしても金属表面が露出することがなく、フッ素系樹脂による潤滑性付与効果を長期に亘って持続することができる。
そして、このテンター装置40によれば、上記構造からなる転がり軸受を下方転がり軸受10Aや上方転がり軸受10Bとして用いたので、ポリイミドの自己支持性フィルムの加熱処理工程のように、グリースや潤滑油等が使用できない高温雰囲気の環境下であっても、各転がり軸受10a,10bの耐久性を維持しつつ、転動体30と内輪20及び外輪25との摩擦抵抗を低減して、その回転を長期に亘ってスムーズに維持することができ、また、粉塵の発生を抑制することができるので、ポリイミドフィルムの不良品の発生を低減することができる。
10A,10B 転がり軸受
20 内輪
21 転走面
25 外輪
26 転走面
30 転動体
30a 少なくとも外周がフッ素系樹脂からなる転動体
35 保持器
36 環状フレーム
36a 円弧状枠部
37 ポケット
39 シールド
40 テンター装置
45 ガイド部材
46 ガイドレール
47 駆動スプロケット
48 従動スプロケット
50 テンターチェーン
51,52 外側プレート
53,54 内側プレート
55 ブッシュ
56 ピン
57 ワッシャ
58 ナット
60 ローラ
62 支軸
70 保持プレート
70a 突き刺しピン
75 アーム
77 屈曲部
77a 一側部
77b 他側部
79 先端部
81 基端部
F フィルム

Claims (8)

  1. 内輪と、その外周に配置される外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を回転可能に保持する保持器とを備え、前記転動体の一部のものが、少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記内輪の外周面に形成された前記転動体の転走面、及び/又は、前記外輪の内周面に形成された前記転動体の転走面には、フッ素系樹脂による被膜が形成されている請求項1記載の転がり軸受。
  3. 前記転動体の一部のものが、全体をフッ素系樹脂で形成されている請求項1又は2記載の転がり軸受。
  4. 少なくともその外周をフッ素系樹脂により形成された転動体が、全体を金属又はセラミックで形成された転動体の間に、前記保持器を介して等間隔で配置されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の転がり軸受。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の転がり軸受を用いたフィルムの搬送装置。
  6. 前記フィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、
    前記テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、
    前記テンターチェーンは、その走行方向と直交する支軸を介して回転可能に装着された上方転がり軸受を有し、該上方転がり軸受が、前記ガイド部材に当接して、前記チェーンを移動可能に支持しており、
    前記上方転がり軸受が、請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受で構成されている請求項5記載のフィルムの搬送装置。
  7. 前記フィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、
    前記テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、
    前記テンターチェーンは、一対の外側プレートと、一対の内側プレートと、前記内側プレートの端部どうしを貫通して配置されたブッシュと、前記ブッシュ内に挿入されて、前記外側プレート及び前記内側プレートの端部どうしを連結するピンと、前記ブッシュの外周に装着されたローラ及び下方転がり軸受と、前記外側プレートにアームを介して連結された前記保持プレートとを有し、
    前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたそれぞれのガイド部材は、前記ローラ及び前記下方転がり軸受を挟むように平行に立設された一対のガイドレールを有し、
    前記下方転がり軸受が、請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受で構成されている請求項5記載のフィルムの搬送装置。
  8. 前記フィルムの搬送装置は、帯状をなして搬送されるポリイミドの自己支持性フィルムを加熱処理する際、その両端部を保持して加熱に伴う収縮を抑制しながら搬送するためのテンター装置であって、
    前記テンター装置は、前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたガイド部材と、このガイド部材に沿って移動するテンターチェーンと、該テンターチェーンに取付けられた、前記フィルムの両端部を保持する保持プレートとを備え、
    前記テンターチェーンは、一対の外側プレートと、一対の内側プレートと、前記内側プレートの端部どうしを貫通して配置されたブッシュと、前記ブッシュ内に挿入されて、前記外側プレート及び前記内側プレートの端部どうしを連結するピンと、前記ブッシュの外周に装着されたローラ及び下方転がり軸受と、前記外側プレートにアームを介して連結された前記保持プレートと、前記外側プレートの長手方向と直交する支軸を介して回転可能に装着された前記上方転がり軸受とを有し、
    前記フィルムの搬送経路の両側に沿って配置されたそれぞれのガイド部材は、前記ローラ及び前記下方転がり軸受を挟むように平行に立設された一対のガイドレールを有し、
    前記上方転がり軸受が、前記ガイド部材のガイドレールに当接して前記テンターチェーンを移動可能に支持しており、
    前記上方転がり軸受及び前記下方転がり軸受が、請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受で構成されている請求項5記載のフィルムの搬送装置。
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