JP2013194311A - 連続式加熱炉の炉温制御方法および鋼材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱しつつ、加熱に係わる品質改善をすることができる連続式加熱炉の炉温制御方法を提供する。
【解決手段】連続式加熱炉中の被加熱材を目標抽出温度まで加熱する炉温制御方法であって、被加熱材毎に付与された目標抽出温度、抽出時の目標均熱度、および、加熱昇温過程における被加熱材の表面の上限温度である表面温度制約をもとに、排ガス熱損失が小さくなるように各燃焼帯の炉温設定値を求める際に、被加熱材の表面温度制約を制約条件として数理計画手法にて各燃焼帯の最適炉温を被加熱材毎に求め、これらの最適炉温から各燃焼帯の設定炉温を決定することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】連続式加熱炉中の被加熱材を目標抽出温度まで加熱する炉温制御方法であって、被加熱材毎に付与された目標抽出温度、抽出時の目標均熱度、および、加熱昇温過程における被加熱材の表面の上限温度である表面温度制約をもとに、排ガス熱損失が小さくなるように各燃焼帯の炉温設定値を求める際に、被加熱材の表面温度制約を制約条件として数理計画手法にて各燃焼帯の最適炉温を被加熱材毎に求め、これらの最適炉温から各燃焼帯の設定炉温を決定することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、鋼材などの被加熱材を加熱する連続式加熱炉の各燃焼帯の炉温の制御方法、およびその制御方法を用いた鋼材の製造方法に関する。
連続式加熱炉内において、炉内を搬送される鋼材などの被加熱材の温度として、指定点の温度や断面平均温度などが用いられる。また、被加熱材の均熱度としては、同一被加熱材内における最高温度と最低温度との温度差、表面と裏面との温度差、中心と表面との温度差(内外温度差)、スキッドマーク量(スキッド部の鋼材温度と非スキッド部の鋼材温度との差)、またはこれらの併用などが用いられる。
加熱炉による被加熱材の加熱は、最終的に被加熱材を目標とする抽出温度、均熱度とすることが重要である。特許文献1には、目標とする温度および目標とする均熱度を満たす方法として、連続式加熱炉の各燃焼帯の炉温と、予想抽出温度、予想内外温度差、予想表裏温度差、予想スキッドマーク量との関係を線形式により求めるとともに、排ガスによる炉体熱損失を最小とする評価関数を設定し、線形計画法により被加熱材毎に各燃焼帯設定炉温を求めて平滑処理することで、各燃焼帯の炉温を設定する連続式加熱炉の炉温制御方法が開示されている。この発明によれば、被加熱材(鋼材)の平均温度を目標温度以上に確保でき、且つ、内外温度差、表裏温度差、予想スキッドマーク量を所定の値以下に維持できる効果がある、とされている。
また、特許文献2には、鋼材毎に抽出位置と抽出位置以外の中間位置に目標温度および目標均熱度を設けて、鋼材が中間位置および抽出位置において目標温度および目標均熱度となるように、各燃焼帯の設定炉温を決定する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に記載の発明では、鋼材温度(通常、鋼材の平均温度)や均熱度を目標値に温度管理することは可能ではあるが、加熱途中における鋼材の表面温度に関しては温度管理できない。このため、ヒートパターンによっては、鋼材の表面温度が高くなりすぎ、熱間圧延したコイルの表面に表面疵が出る問題があった。この表面疵は、特に自動車用の外装材に使用される薄鋼板では非常に大きな問題となる。
そこで本発明は、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱しつつ、加熱に係わる品質改善をすることができる連続式加熱炉の炉温制御方法を提供することを課題とする。また、当該炉温制御方法を用いた鋼材の製造方法を提供する。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、連続式加熱炉中の被加熱材を目標抽出温度まで加熱する炉温制御方法であって、被加熱材毎に付与された目標抽出温度、抽出時の目標均熱度、および、加熱昇温過程における被加熱材の表面の上限温度である表面温度制約をもとに、排ガス熱損失が小さくなるように各燃焼帯の炉温設定値を求める際に、被加熱材の表面温度制約を制約条件として数理計画手法にて各燃焼帯の最適炉温を被加熱材毎に求め、これらの最適炉温から各燃焼帯の設定炉温を決定することを特徴とする炉温制御方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の炉温制御方法において、連続式加熱炉中に含まれる被加熱材のそれぞれに対して求められた最適炉温について、その最高温度および平均温度を算出し、各燃焼帯の設定炉温は、燃焼帯毎に最高温度および平均温度のいずれかが適用されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の炉温制御方法において、設定炉温は、被加熱材が他の燃焼帯に移動する毎、被加熱材が抽出される毎、又は一定周期毎に算出することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法において、目標抽出温度および抽出時の目標均熱度以外に、炉内での中間目標温度および中間目標均熱度を設定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法において、目標均熱度として、被加熱材の内外温度差をとることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法において、目標均熱度として、被加熱材のスキッドマーク量をとることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法において、目標均熱度として、被加熱材の内外温度差および被加熱材のスキッドマーク量をとることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、被加熱材が鋼材とされ、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炉温制御方法により、各燃焼帯の炉温を設定する工程を有することを特徴とする鋼材の製造方法である。
請求項1に記載の発明によれば、各燃焼帯からの抽出位置および均熱帯からの抽出位置以外の位置に、上限表面温度を設定するための目標位置を設定する。そのため、被加熱材の表面温度の昇温パターンが厳しく制限される場合など、燃焼帯の途中であっても必要とされる位置に上限表面温度を設定することができる。これにより、鋼材を目標抽出温度、目標均熱度に対して精度良く加熱し、できるだけ排ガス熱損失が小さくなるようにしながら、鋼材の表面温度が高くなりすぎることを防ぐことができる。その結果として表面疵の抑制が可能である。
請求項2に記載の発明によれば、確実に必要な温度を確保する必要がある燃焼帯に対しては最適炉温のうちの最高温度を設定炉温にし、他の燃焼帯には最適炉温の平均温度を設定炉温にすることができ、さらに燃費の向上が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、高い設定炉温が必要であった被加熱材について、加熱終了後に速やかに対象から除外できるのでさらなる燃費の向上ができる。
請求項4に記載の発明によれば、抽出側での目標抽出温度、目標均熱度以外に、炉内での中間目標温度、中間目標均熱度を有するので、鋼材を目標昇温パターンに対して中間位置も含めて精度良く加熱しながら、鋼材の表面温度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
請求項5に記載の発明によれば、目標均熱度として、被加熱材の内外温度差をとるので、被加熱材の内外温度差を精度良く管理しながら、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱し、鋼材の表面温度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
請求項6に記載の発明によれば、目標均熱度として、被加熱材のスキッドマーク量をとるので、被加熱材のスキッドマーク量を精度良く管理しながら、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱し、鋼材の表面温度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
請求項7に記載の発明によれば、目標均熱度として、被加熱材の内外温度差および被加熱材のスキッドマーク量をとるので、被加熱材の内外温度差およびスキッドマーク量を精度良く管理しながら、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱し、鋼材の表面温度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7に記載の連続式加熱炉の炉温制御方法を用いて鋼材を製造することで、できるだけ排ガス熱損失が小さくなるようにしつつ、表面品質が優れた高品質の鋼材を提供することが可能である。
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、1つの実施形態にかかる鋼材の製造方法に用いる連続式加熱炉1の炉長方向の内部を模式図に示した図である。ここで、炉長方向とは、被加熱材としての鋼材が搬送される方向で、紙面左から右の方向である。また、紙面法線方向を炉幅方向、紙面上下方向を炉高方向とする。
連続式加熱炉1は、鋼材2a〜2jを搬送する炉内搬送装置3を含み、その両端に、装入口4および抽出口5を備えている。炉内には、独立して炉温設定が可能な複数の燃焼帯が設けられる。本実施形態の連続式加熱炉1では、装入口4側から予熱帯6、第1加熱帯7、第2加熱帯8、および均熱帯9の4つの燃焼帯が設けられている。予熱帯6、第1加熱帯7、第2加熱帯8および均熱帯9には、それぞれ不図示のバーナが備えられている。また、連続式加熱炉1には、4箇所の目標位置Xk(k=1〜4。特にX4は抽出位置とする。)が定められている。
それぞれの目標位置Xkで、鋼材毎に目標温度Tmk aimおよび目標均熱度Tsck aimが設定されている。ここで、目標温度および目標均熱度は、添字kにより各目標位置Xkにおける値を表している。この目標温度Tmk aimおよび目標均熱度Tsck aimは、鋼材2a〜2j毎に定められ、鋼材2a〜2j毎の目標昇温パターンから設定される。なお、装入口4の上部には煙道10が設けられ、炉内の排ガスを排出している。
かかる構成により、鋼材2a〜2jは、装入口4から装入され、炉内搬送装置3により予熱帯6、第1加熱帯7、第2加熱帯8および均熱帯9を順に搬送されて抽出口5から抽出される。各燃焼帯(6、7、8、9)は、独立してバーナの燃焼調整が可能であるため、独立して炉温Tf,iの設定が可能である。ここで、i=1〜4であり、Tf,1は予熱帯における値、Tf,2は第1加熱帯における値、Tf,3は第2加熱帯における値、Tf,4は均熱帯における値を表す。鋼材2a〜2jは、この炉温Tf,iの輻射熱により加熱され、各目標位置Xkで、目標温度Tmk aimおよび目標均熱度Tsck aimとなるように加熱される。
炉温の設定については後で説明する。
炉温の設定については後で説明する。
図2は、各燃焼帯の炉温と、目標とする鋼材の昇温パターンとの関係の一例を示す図である。図2の横軸は連続式加熱炉1内での滞在時間に対応しており、左端が装入口4への装入時であり、予熱帯6、第1加熱帯7、第2加熱帯8および均熱帯9を経て右端が抽出口5からの抽出時となっている。縦軸は、炉温、鋼材表面温度、断面平均温度、および均熱度を表している。「断面平均温度」は鋼材断面における平均の温度である。なお、図2からわかるように、本実施形態では炉温をステップ状に変更している。
図2では表面温度制約(表面温度の上限の制約)が1240℃の場合を破線で示し、表面温度制約が1280℃である場合を実線で示した。ここで、表面温度制約は、鋼材の表面温度が高くなりすぎると表面疵の発生等、表面における品質上の問題が発生する可能性が高くなることから、表面温度を制限するために設けられる制約である。表面温度制約の具体的な温度は、表面疵が発生した炉況での鋼材の計算表面温度と、表面疵の発生が無かった場合の炉況における鋼材の計算表面温度とに基づき、別途、統計解析などを行った上で決定しておく。本実施形態でもこのようにして表面温度制約を決定し、1240℃および1280℃とした。これにより表面疵などの品質不良の低減が可能となる。
図3は、連続式加熱炉1における各燃焼帯での目標温度Tmk aim(○で表示)および目標均熱度Tsck aim(□で表示)を設定する目標位置を示す図である。図の横軸は、炉内位置に対応している。また、抽出点を含む4箇所の目標位置X1〜X4が定められている。縦軸は、鋼材温度Tmおよび均熱度Tscを表している。
目標温度Tmk aimおよび目標均熱度Tsck aimは、X4以外は設定する目標位置が各燃焼帯6〜9の出口位置に制限されないため、ここでは、X1〜X3は、予熱帯6、第1加熱帯7および第2加熱帯8の中途位置に設定されている(もちろん、予熱帯6、第1加熱帯7および第2加熱帯8の出口位置に設定してもよい。)。そのため、連続式加熱炉1では、鋼材表面温度Tskの表面温度制約(図3には記載していない)を守りながら、鋼材が4箇所の目標位置Xkで目標温度Tmk aimおよび目標均熱度Tsck aimになるように炉温Tf,iの設定および調整がなされる。これにより、鋼材の表面温度が高くなりすぎることなく、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱することができる。
次に、具体的に炉温の設定および調整の流れについて説明する。ここでは、数理計画手法の一例として、代表的な手法である線形計画法を用いて説明を行う。図4には炉温設定の方法を説明するための図で、図3に相当する図を示した。
計算は鋼材2a〜2j毎に行うため、炉内の鋼材から一の鋼材を選択する。ここでは例えば鋼材2jを選択する。また、現時点において鋼材2jは第2加熱帯8に存在するものとする。
はじめに、鋼材2jの現在の鋼材温度Tm 0を計算する。
次に、鋼材2jについて、現在位置から目標位置Xkまでの移動に要する予測滞在時間tkを算出する。この予測滞在時間tkを用いて、各燃焼帯6〜9の現在炉温Tf,i 0(図4ではTf,1 0〜Tf,4 0)を維持した場合における鋼材2jの目標位置Xk(図4ではX3、X4)における予測鋼材温度Tmk 0(図4のTm3 0、Tm4 0)、予測均熱度Tsck 0(図4のTsc3 0、Tsc4 0)および予測表面温度Tsk 0(不図示)を計算する。
次に、鋼材2jについて、現在位置から目標位置Xkまでの移動に要する予測滞在時間tkを算出する。この予測滞在時間tkを用いて、各燃焼帯6〜9の現在炉温Tf,i 0(図4ではTf,1 0〜Tf,4 0)を維持した場合における鋼材2jの目標位置Xk(図4ではX3、X4)における予測鋼材温度Tmk 0(図4のTm3 0、Tm4 0)、予測均熱度Tsck 0(図4のTsc3 0、Tsc4 0)および予測表面温度Tsk 0(不図示)を計算する。
また、滞在時間tkを用いて、各燃焼帯6〜9の現在炉温Tf,i 0(図4のTf,1 0〜Tf,4 0)を個別に△Tf,iだけ変更した場合における鋼材2jの目標位置Xkにおける予測鋼材温度Tmk y(i)、予測均熱度Tsck y(i)および予測表面温度Tsk y(i)を計算する。ここで、Tmk y(i)は、燃焼帯iの炉温を△Tf,i変更した場合の目標位置Xkにおける予測鋼材温度を表している。同様に、Tsck y(i)は燃焼帯iの炉温を△Tf,i変更した場合の目標位置Xkにおける予測均熱度を表し、Tsk y(i)は燃焼帯iの炉温を△Tf,i変更した場合の目標位置Xkにおける予測表面温度を表す。
次に、Tmk 0およびTmk y(i)から、炉温変化の鋼材温度Tmkへの影響係数αk,iを計算する。また、Tsck 0およびTsck y(i)から、炉温変化の均熱度Tsckへの影響係数βk,iを計算する。さらに、Tsk 0およびTsk y(i)から、炉温変化の表面温度Tskへの影響係数γk,iをそれぞれ計算する。式(1)〜式(3)にはそれぞれの影響係数を算出する式を示した。
この影響係数αk,i、βk,i、γk,iを用いた予測鋼材温度、予測均熱度、予測表面温度の制約式、および連続式加熱炉1の制約式より、線形計画法で鋼材2jについて各燃焼帯6〜9の炉温の最適変更量を求めて最適炉温Tf,i optを計算する。下記式(4)には予測鋼材温度の制約式、式(5)には予測均熱度の制約式、式(6)には予測表面温度の制約式、式(7)には隣接する燃焼帯の炉温差制約式(連続加熱炉の制約式)、式(8)には各燃焼帯の炉温の上下限制約式、式(9)には線形計画法で用いる評価関数(ここにWiは燃焼帯i(i=1〜4)の重み)、および式(10)には線形計画法における最適炉温Tf,i optの計算式をそれぞれ示した。
ここでisは該当の鋼材が現在の時点で在帯している燃焼帯の番号(図4ではis=3である)を表し、Umkは、中間目標の許容温度である。
ここでTsk maxは、表面温度制約である。
ここでτi,i+1は燃焼帯iと燃焼帯i+1との間で許容される炉温差を表す。
ここでTf,i minは各燃焼帯の炉温下限を表し、Tf,i maxは各燃焼帯の炉温上限を表す。
ここで、Wiは燃焼帯i(i=1〜4)の重みを表し、W1>>W2>>W3>>W4(>0)である。
そして、炉内の全鋼材2a〜2jについて、最適炉温Tf,i optの計算が終了しているかが判断される。
炉内の全鋼材2a〜2jについて、最適炉温Tf,i optの計算が終了している場合には、鋼材2a〜2j毎に計算された各燃焼帯6〜9の最適炉温Tf,i optから、下記式(11)により各燃焼帯6〜9の設定炉温TFset(i)を決定する。
炉内の全鋼材2a〜2jについて、最適炉温Tf,i optの計算が終了している場合には、鋼材2a〜2j毎に計算された各燃焼帯6〜9の最適炉温Tf,i optから、下記式(11)により各燃焼帯6〜9の設定炉温TFset(i)を決定する。
ここでjは対象とする範囲を意味する。なお、式(11)では設定炉温TFsetを最適炉温Tf,i optのうち最高温度(max)とするようにしているが、その代わりに設定炉温として、最適炉温の算術平均温度や重み付き平均温度等による平均値を用いてもよい。
その後、決定された設定炉温に基づき、炉温が変更され、目標温度Tmk aimを得る。
その後、決定された設定炉温に基づき、炉温が変更され、目標温度Tmk aimを得る。
式(11)は全ての燃焼帯に適用する必要はない。例えば、予熱帯および加熱帯は設定炉温を最適炉温の平均値とし、均熱帯のみは必要な温度を確保するために式(11)のような最高温度(max)をとるようにすれば、予熱帯と加熱帯での燃費を向上させることができる。
また、設定炉温の見直しは、被加熱材の移動又は被加熱材の抽出毎、あるいは一定周期毎に行うことが望ましい。ここで、一定周期毎とは例えば1〜2分毎等のような時間的な周期を挙げることができる。また、設備トラブル等で熱間圧延ラインが停止し、加熱炉からの抽出が行われない場合にも一定周期毎に設定炉温を見直すことが望ましい。
より具体的には次のような設定炉温の見直し例を挙げることができる。
・被加熱材の移動又は抽出時に設定炉温を見直し、更にその後一定周期毎に設定炉温を見直す。
・一定周期毎に設定炉温を見直しつつ、被加熱材の移動又抽出時にも設定炉温を見直す。
特に、均熱帯は必要な温度を確保するため、TFset(i)を最高温度(max)とするため、被加熱材の抽出毎の設定炉温の見直しが、燃費改善に有効である。
より具体的には次のような設定炉温の見直し例を挙げることができる。
・被加熱材の移動又は抽出時に設定炉温を見直し、更にその後一定周期毎に設定炉温を見直す。
・一定周期毎に設定炉温を見直しつつ、被加熱材の移動又抽出時にも設定炉温を見直す。
特に、均熱帯は必要な温度を確保するため、TFset(i)を最高温度(max)とするため、被加熱材の抽出毎の設定炉温の見直しが、燃費改善に有効である。
上記実施形態では、抽出位置以外の位置に設定される目標位置は3箇所であるが、複数箇所備えることが好ましい。これによれば、鋼材を目標昇温パターンに対して精度良く加熱することができる。そのため、鋼材の品質および性能の低下を防ぐことができる。また、目標位置X1〜X4において、鋼材の目標温度および目標均熱度を設定したが、どちらか一方のみを設定することも可能である。また、燃焼帯を予熱帯6、第1加熱帯7、第2加熱帯8、および均熱帯9の4つとして説明したが、例えば加熱帯が1つの場合や、炉幅方向または炉高方向で燃焼帯が分かれたりする場合においても、本発明を適用することが可能である。また、上記実施形態では数理計画手法として、線形計画法を用いる場合について説明したが、2次計画法やその他の数理計画手法を用いることも可能である。
2a〜2j 鋼材(被加熱材)
3 炉内搬送装置
4 装入口
5 抽出口
6 予熱帯(燃焼帯)
7 第1加熱帯(燃焼帯)
8 第2加熱帯(燃焼帯)
9 均熱帯(燃焼帯)
10 煙道
3 炉内搬送装置
4 装入口
5 抽出口
6 予熱帯(燃焼帯)
7 第1加熱帯(燃焼帯)
8 第2加熱帯(燃焼帯)
9 均熱帯(燃焼帯)
10 煙道
Claims (8)
- 連続式加熱炉中の被加熱材を目標抽出温度まで加熱する炉温制御方法であって、
前記被加熱材毎に付与された目標抽出温度、抽出時の目標均熱度、および、加熱昇温過程における前記被加熱材の表面の上限温度である表面温度制約をもとに、排ガス熱損失が小さくなるように各燃焼帯の炉温設定値を求める際に、
前記被加熱材の前記表面温度制約を制約条件として数理計画手法にて前記各燃焼帯の最適炉温を前記被加熱材毎に求め、これらの前記最適炉温から前記各燃焼帯の前記設定炉温を決定することを特徴とする炉温制御方法。 - 前記連続式加熱炉中に含まれる前記被加熱材のそれぞれに対して求められた前記最適炉温について、その最高温度および平均温度を算出し、前記各燃焼帯の前記設定炉温は、前記燃焼帯毎に前記最高温度および前記平均温度のいずれかが適用されることを特徴とする請求項1に記載の炉温制御方法。
- 前記設定炉温は、前記被加熱材が他の燃焼帯に移動する毎、前記被加熱材が抽出される毎、又は一定周期毎に算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の炉温制御方法。
- 前記目標抽出温度および前記抽出時の目標均熱度以外に、炉内での中間目標温度および中間目標均熱度を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法。
- 前記目標均熱度として、前記被加熱材の内外温度差をとることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法。
- 前記目標均熱度として、前記被加熱材のスキッドマーク量をとることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法。
- 前記目標均熱度として、前記被加熱材の内外温度差および前記被加熱材のスキッドマーク量をとることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炉温制御方法。
- 前記被加熱材が鋼材とされ、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炉温制御方法により、前記各燃焼帯の炉温を設定する工程を有することを特徴とする鋼材の製造方法。
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