JP2013193994A - 皮膚再生促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】真皮部分のみならず表皮部分の再生をも促進できる皮膚再生促進方法を提供すること。
【解決手段】4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)を含む皮膚再生促進剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚再生促進剤に関する。より詳細には、本発明は、4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)を含む皮膚再生促進剤に関する。
皮膚の創傷を治癒させるために、また、皮膚の抗老化のために、皮膚の再生を促進させることが重要である。皮膚が傷ついている場合には、皮膚再生促進により当該傷を回復させ得ることが期待できる。また、老化により皮膚に様々な症状(シワ、シミ、くすみ、乾燥、弾力性低下など)が出てくる場合には、皮膚の再生を促進することで、古い皮膚が新たな皮膚へと早期に置き代わり、このような老化による皮膚症状が改善されることが期待できる。
このため、これまでも、皮膚再生を促進する物質が種々探索されている。皮膚再生促進物質の探索においては、通常、コラーゲン産生能が指標として用いられている。コラーゲンの産生が高まることにより、皮膚の再生が促進されると期待されるからである。これまでに、コラーゲン産生能を向上させる様々な物質が見出されてきている。例えば、特許文献1(特開2006−151860号公報)には、1’−アセトキシチャビコールアセテート(ACA)が、特許文献2(特開2011−173803号公報)には、4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)が、それぞれ、コラーゲン産生能を向上させることが記載されている。
しかしながら、皮膚は、大まかには、表面側から「表皮」「真皮」「皮下脂肪」の各層からなっているところ、コラーゲン産生は真皮部分で行われており、真皮部分でコラーゲンがいくら産生されたとしても、表皮部分の再生には関係がない。皮膚再生促進のためには、真皮部分の再生促進のみならず、表皮部分の再生促進も重要である。ところが、表皮の再生に関しては、あまり注目されていないのが現状である。特に、肌のシミやそばかすは、メラノサイトにより産生されるメラニン色素が皮膚の内側に沈着して起こるところ、表皮の基底層における角化細胞のターンオーバーにより当該沈着が抑制されるため、角化細胞の再生は特に肌のシミやそばかすの防止(つまり、肌の美白)のために非常に重要である。
特開2006−151860号公報 特開2011−173803号公報
本発明は、真皮部分のみならず表皮部分の再生をも促進できる皮膚再生促進方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、驚くべき事に、4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)が、真皮部分のみならず表皮部分の再生をも促進できることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は例えば以下の項に係る皮膚再生促進剤を包含する。
項1.
4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)を含む皮膚再生促進剤。
項2.
さらに、1’−アセトキシチャビコールアセテート(ACA)を含む、項1に記載の皮膚再生促進剤。
項3.
表皮再生促進剤である、項1又は2に記載の皮膚再生促進剤。
項4.
外用剤である、項1〜3のいずれかに記載の皮膚再生促進剤。
項5.
外用医薬品又は外用化粧品である、項4に記載の皮膚再生促進剤。
本発明の皮膚再生促進剤によれば、真皮部分のみならず表皮部分の再生をも促進できる。このため、皮膚の創傷の治癒や、皮膚の抗老化のために、好ましく用いることができる。より詳細には、皮膚が傷ついている場合には、皮膚再生促進により当該傷を回復させ得ることが期待できる。また、老化により皮膚に様々な症状(シワ、くすみ、乾燥、弾力性低下など)が出てくる場合には、皮膚の再生を促進することで、古い皮膚が新たな皮膚へと早期に置き代わり、このような老化による皮膚症状が改善されることが期待できる。
またさらに、本発明の皮膚再生促進剤には、特に光による皮膚損傷を抑制又は回復する効果もあり、この点からも、皮膚の創傷の治癒や、皮膚の抗老化のために、好適である。
ヒトケラチノサイト培養時、培地に4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)を添加して培養し、ニュートラルレッド法により吸光度を測定し、コントロールを100%とした際の割合を算出して、細胞数を見積もった結果を示す。 ヒトケラチノサイト培養時、培地に1’−アセトキシチャビコールアセテート(ACA)を添加して培養し、ニュートラルレッド法により吸光度を測定し、コントロールを100%とした際の割合を算出して、細胞数を見積もった結果を示す。 ヒトケラチノサイト培養時、培地にHPA又はACAを添加し、さらに紫外線を照射した後、DCFH−DAを添加して発せられる蛍光を測定した結果を示す。なお、DCFH−DAを用いて測定する蛍光の強さは、活性酸素量を反映する。 ヒトケラチノサイト培養時、培地にHPAを添加し、さらに紫外線を照射した後、ニュートラルレッド法により吸光度を測定し、コントロールを100%とした際の割合を算出して、細胞数を見積もった結果を示す。 ヒト由来線維芽細胞培養時、培地にHPA又はACAを添加して培養した際の、I型コラーゲン染色像を示す。 ヒト由来線維芽細胞培養時、培地にHPAを添加して培養し、ニュートラルレッド法により吸光度を測定し、コントロールを100%とした際の割合を算出して、細胞数を見積もった結果を示す。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の皮膚再生促進剤は、4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテートを含む。4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテートは、以下の構造式で表される化合物であり、「HPA」又は「ACAi−OH」とも呼ばれる(以下、本明細書においても、4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテートを「HPA」又は「ACAi−OH」と標記することがある)。
Figure 2013193994
HPAは、公知の物質であり、また公知の方法により容易に製造することができる。例えば、HPAは、1’−アセトキシチャビコールアセテート(以下「ACA」ともいう)を高温且つ水存在下におくことにより、下記のような分子内転移反応が容易に起こることで生成され得る。
Figure 2013193994
また、ACAも公知の物質であり、また公知の方法により容易に製造することができる。例えば、ACAはナンキョウ(タイショウガ)の根茎に含まれることが知られており、ナンキョウの抽出物を生成して得ることができる。また、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
また、HPAの合成方法については、例えば特許文献2(特開2011−173803号公報)に詳述されているので、それに従って合成することができる。
本発明の皮膚再生促進剤は、HPAに加え、さらにACAを好ましく含む。ACAは、HPAと同様、コラーゲン産生能を向上させるのみならず、表皮部分の再生をも促進させるため、本発明の皮膚再生促進剤に好ましく用いることができる。
本発明の皮膚再生促進剤がHPA及びACAを含む場合、特に制限はされないが、HPA及びACA合計モル量を100モル部とした場合、好ましくは、HPAは50モル部以上であり、より好ましくは、55モル部以上、60モル部以上、65モル部以上、70モル部以上、75モル部以上、又は80モル部以上であり得る。
また、本発明の皮膚再生促進剤は、真皮の再生のみならず表皮の再生をも促進する。従って、本発明の皮膚再生促進剤は、真皮再生促進剤及び表皮再生促進剤を包含する。このうち、表皮再生促進剤として用いられるのが好ましい。特に、本発明の皮膚再生促進剤は、角化細胞の再生及びターンオーバーを促進できるため、肌美白剤として好適に用いることができる。真皮再生促進効果(例えばコラーゲン産生能向上効果)しか奏さない公知の皮膚再生促進剤と本発明の表皮再生促進剤とを組み合わせて用いることにより、より優れた皮膚再生促進効果を得ることができる。このように、本発明の表皮再生促進剤は、従来から知られた公知の真皮再生促進剤と組み合わせて用いるという、新たな用途を提供することができる。この観点から見れば、上述のHPA及びACAを含む皮膚再生促進剤とは、コラーゲン産生能向上効果(すなわち真皮再生促進効果)が知られていたACAと、本発明のHPAを含む表皮再生促進剤とを組み合わせた、皮膚再生促進剤であるということができる。
本発明の皮膚再生促進剤は、皮膚に直接適用して用いることが好ましい。すなわち、外用剤であることが好ましい。例えば、外用医薬品や外用化粧品として好ましく用いることができる。
当該外用医薬品は公知の方法により製造することができる。例えば、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤等)等を適宜HPA(場合によっては更にACA)と混合して常法に従って製造することができる。
また、当該化粧品は公知の方法により製造することができる。例えば、化粧品に添加することが許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤等)等を適宜HPA(場合によっては更にACA)と混合して常法に従って製造することができる。形態も特に制限されず、例えばローション、化粧水、乳液、クリーム、パック剤、美容液、洗顔料、メーキャップ剤、ヘアケア用品、ボディーソープ、入浴剤等が例示できる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
〔被験化合物の調製〕
HPAの調製
HPAを以下に示す方法に従って調製した。
Figure 2013193994
4-Iodophenol(Wako,3 g, 13.6 mmol) を乾燥CH2Cl2に溶解し、Et3N (Wako, 2.75 g, 2 equiv)、4-dimethylaminopyridine(Wako, 83 mg, 0.05 equiv)、Ac2O (Wako, 0.93 g, 2 equiv) を加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧留去し、クロロホルムに溶解した後、1 M HCl水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane : EtOAc = 10 : 1)にて精製を行い、4-Iodophenyl acetateを得た (3.3 g, 92.5%)。
Figure 2013193994
4-Iodophenyl acetate (500 mg, 1.91 mmol) をDMF(脱水,Wako)4 mLに溶解し、allyl alcohol (Wako, 260 mL, 3 equiv), AgOAc (Wako, 318 mg, 1 equiv), Ph3P(Wako, 50 mg, 0.1 equiv), Pd(OAc)2(Wako, 21.4 mg, 0.05 equiv) を加え、N2下、70℃で一晩撹拌した。セライトで沈殿物を除去し、EtOAcを加え、1 M HCl、続いて飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane : EtOAc = 2 : 1)にて精製を行い、得られた粗結晶をHexane-EtOAc (5:1) より再結晶して4-((E)-3-hydroxyprop-1-enyl)phenyl acetate(HPA)を得た (150 mg,41%)。当該HPAを以下の検討に用いた。
なお、例えば以下に示す方法によりHPAを調製することもできる。
ACA 200 mg (0.85mmol) を20%エタノール含有水溶液80 mLに溶解し、80℃で2日間撹拌した。溶媒を濃縮後、凍結乾燥を行い、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane : EtOAc = 2 : 1)にて分離精製を行った。わずかに赤みがかった結晶をHexane-EtOAc (5 : 1) より再結晶して無色の結晶を得た(収量 87 mg)。
この化合物のマススペクトル及び重メタノール中での1H NMRスペクトル結果を下記に示す。MSより分子式はC11H12O3、また1H NMRスペクトルの解析により得られた化合物がHPAであることが分かった。すなわち、ACAの熱分解より得られた化合物はHPAであることを確認できた。
MS: JMS-700T
(JEOL)
HRMS (CI, direct) calcd for C11H13O3,
[M+H]+ 193.0865; found, 193.0873.
NMR: AVANCE 300N
(BRUKER)
1H NMR (300 MHz, MeOD); d 2.26 (s, 3 H, a), 4.22 (dd, 2 H, J
= 1.5, 5.4 Hz, b), 6.34 (dt, 1 H, J = 15.9, 5.4 Hz, c), 6.61
(dd, 1 H, J = 1.5, 15.9 Hz, d), 7.04 (d, 2 H, J = 8.7 Hz, e),
7.43 (d, 2 H, J = 8.7 Hz, f).
ACAの調製
4-Hydroxybenzaldehyde (Wako, 12.5 g, 102.4 mmol), triethylamine (Wako, 15.5g, 1.5eq) 及び4-dimethylaminopyridine (Wako, 500mg, 0.04eq) を乾燥ジクロロメタン300mLに溶解し、0℃で撹拌しながら、tert-butyldimethylsilyl chloride (TCI, 18.5g, 1.2eq) を少しずつ加えた。室温で3時間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane:EtOAc =20:1)にて精製を行い、化合物1を得た(21.5g, 87%)。当該工程スキームを次に示す。
Figure 2013193994
次に、化合物1 (20 g, 84.6 mmol) を乾燥THF300mLに溶解し、窒素気流下、0℃でvinylmagnesium bromide (TCI, 1 mol/L in THF, 102 mL, 1.2 eq) を滴下した。室温で3時間撹拌後、0.5M HCl水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane:EtOAc =8:1)にて精製を行い、化合物2を得た(17.1 g, 76.4%)。当該工程スキームを次に示す。
Figure 2013193994
さらに、化合物2(12g, 45.4mmol)を乾燥THF(200mL)に溶解し、tetra-n-butylammonium Fluoride (TCI, 1 mol/L in THF, 54.5 mL, 1.2 eq)を0℃で滴下した。0℃で1時間撹拌後、飽和食塩水を加え、エーテル及びジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した後、ピリジン300mLに溶解し、無水酢酸(18.5 g, 4 eq)を加えて室温で一晩撹拌した。ピリジンを減圧留去した後、クロロホルムに溶解し、1M HCl水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:Hexane:EtOAc =4:1)にて精製を行った。ヘキサンを加えて結晶化させた後、ヘキサンにより再結晶を行い、ラセミACA(ラセミ混合物)を得た(7.01 g, 65.9%, mp. 68℃)。当該工程スキームを次に示す。
Figure 2013193994
また、ラセミACAのスペクトル解析結果を次に示す。
HRMS (FAB, direct) calcd for C13H14O4,
[M]+234.0892; found, 234.0916.
1H NMR (400 MHz, CDCl3); d 2.10 (s, 3 H), 2.29 (s, 3 H), 5.25 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 5.30 (d, 1 H, J = 17.1 Hz), 5.98 (ddd, 1 H, J = 5.9, 10.5, 17.1 Hz), 6.26 (d, 1 H, J = 5.9 Hz), 7.08 (d, 2 H, J = 8.5 Hz), 7.37 (d, 2 H, J = 8.5 Hz).
以下、得られたラセミACAを用いて検討を行った。
〔表皮に対する作用の検討〕
角化細胞増殖促進能の検討
10%牛胎児血清(FBS、株式会社ニチレイバイオサイエンス)、ペニシリン(50units/ml、明治製菓株式会社)およびストレプトマイシン(50mg/ml、明治製菓株式会社)を含むダルベッコ修正イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM))(日水製薬株式会社)に、ヒトケラチノサイト(HaCat細胞)を1.25×10個播き、サブコンフルエント(約80%密度)になるまで約1週間培養した。以下の培養にも当該培地を用いた。なお、当該培養は、TCフラスコ50mL(株式会社グライナー・ジャパン)内で行った。次いで、培地を除去し、細胞をPBS2mLで1回洗浄した後、0.01%EDTA/0.025%トリプシン溶液(和光純薬工業株式会社)3mLで細胞を処理して剥離させ、更にトリプシン中和液3mLを添加し、遠心分離(4℃、1,300rpm、5分)して上清を除き、細胞を回収した。回収した細胞を、直径35mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に1.3×10cellsずつ播種し、HPA又はACAを添加した培地、及びコントロールとしてHPAもACAも添加しない培地、を用いて24時間培養した後、培地を除去し、ニュートラルレッド試薬(0.25mg/ml、和光純薬工業株式会社)を最終濃度が50μg/mlになるように細胞に加えた。37℃で2時間インキュベーションした後、細胞を1% Formaldehyde/1% CaClの混合液で2回洗い、次に1% CHCOOH/50% ethanolを含む脱色抽出液を1mL細胞に加え、30分静置した。上清を吸光光度計(UV mini 1240)を用いて540nmで測定し、コントロールの吸光度を100%とした際の割合を算出した。
HPAを添加して培養した検討から得た結果を図1に、ACAを添加して培養した検討から得た結果を図2に、それぞれ示す。当該結果から、HPA及びACAは、ヒトケラチノサイトの増殖を促進する効果を有することが分かった。このことから、HPA及びACAは、表皮部分の再生を促進する効果を有することが分かった。
光(紫外線)による角化細胞損傷抑制能の検討
ヒトケラチノサイト(HaCaT細胞)数を1.0×10cells/mlに調整して、直径35mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に1.0×10cellsずつ播種し、被験化合物(HPA又はACA)を各種濃度となるように添加した培地中で、3時間培養を行った。被験化合物を添加した培地を用いて培養した細胞と、被験化合物を添加しない培地を用いて培養した細胞とに、それぞれ、UVを20μW、60秒間(120mJ)照射した。細胞損傷の測定方法として、(i)蛍光顕微鏡による観察法と(ii)上記「角化細胞増殖促進能の検討」で用いたように、ニュートラルレッド試薬を用いて吸光度を測定し、コントロールの吸光度を100%とした際の割合を算出する方法を用いた。当該(i)の方法では、上記UV照射後30分後に、各培地に細胞浸透性蛍光プローブ2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(2’,7’−Dichlorofluorescin diacetate(DCFH−DA))を加えてさらに30分間培養を続けた。培地を取り除き、PBSで2回洗浄後、カバーガラスをかけて蛍光顕微鏡下で観察し、写真撮影を行った。結果を図3に示す。なお、DCFH−DAを用いて測定する蛍光の強さは、活性酸素量を反映する。一方、当該(ii)の方法では、上記UV照射後、さらに1時間培養し、上記「角化細胞増殖促進能の検討」と同様にして吸光度を測定し、コントロールの吸光度を100%とした際の割合を算出した。結果を図4に示す。なお、何れの方法においても、被験化合物を添加せずに培養し、UVも照射していないものを、コントロールとして用いた。
これらの結果からHPA及びACAは、光(紫外線)による角化細胞の損傷を抑制又は回復させる効果を有することが分かった。
〔真皮に対する作用の検討〕
コラーゲン産生促進能の検討
ヒト正常皮膚由来線維芽細胞(CCD-1059SK、DSファーマバイオメディカル株式会社)を、10% FBS(fetal bovine serum)を含むDMEM培地で3〜6回継代培養した。次いで、細胞数が1 x 106個になるようにカルチャースライド(Culture slide: Falcon社製)に調整し、10% FBSを含むDMEM培地で24時間培養して、細胞をスライドに固定させ、更に、細胞周期を合わせるためにDMEM培地のみで24時間培養した。その後、10% FBSを含むDMEM培地に交換し、同時に被験化合物(HPA又はACA)を添加し、24時間培養して、以下に示す各サンプル群を調製した。なお、コントロールとして被験化合物を添加しない群も調製した。
〈サンプル群〉
サンプル1)コントロール(化合物無添加)
サンプル2)HPA0.1μM添加
サンプル3)HPA1.0μM添加
サンプル4)ACA0.1μM添加
サンプル5)ACA1.0μM添加
そして、次の手順により、コラーゲンの産生量を免疫組織化学的に解析した。
カルチャースライドをPBS溶液で5分間、3回洗浄した後、4% パラホルムアルデヒド溶液を添加して4℃で一晩静置し、サンプルを固定した。0.1%Triton-Xを含むPBS溶液で5分間、3回洗浄後、3% H2O2溶液で5分間、内因性peroxidaseのブロッキングを行った。次いで、10% 標準ヤギ血清(normal goat serum)を用いて5分間、非特異的反応のブロッキングを行った。その後、抗ラットI型コラーゲン抗体(Anti-rat type I collagen 抗体(LSL社製)200倍希釈液)を用いて一次抗体の反応を60分間行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、ビオチン標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(Biotinylated Goat anti-rabbit immunogloblins抗体(DAKO社製)400倍希釈液)を用いて二次抗体の反応を30分間行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、酵素溶液(Streptavidine/HRP (DAKO社製)400倍希釈液)による反応を30分間行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、DAB(3,3’-diaminobenzidin tetrahydrocheloride)溶液を5分間反応させ、peroxidase発色反応を行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、水溶性封入剤で封入して、標本を作製した。得られた標本における陽性反応(I型コラーゲンの発現)箇所における染色強度について画像解析を行った。
以上のようにして得られたヒト由来線維芽細胞のI型コラーゲン染色像を図5に示す。また、染色強度の解析結果を表1に示す。表中の強度の値は、コントロールを100としたときの各サンプルの染色強度(1スライドにつき細胞20個について測定し、平均した値)の割合として表したものである。
Figure 2013193994
図3及び表1より、HPA(サンプル2及び3)は、コントロール(サンプル1)と比較するとコラーゲンの産生量が顕著に向上していることが確認できた。また、ACA(サンプル4及び5)も同様にコラーゲンの産生量が顕著に向上していることが確認できた。これらの結果から、HPA及びACAは、いずれも、コラーゲン産生促進能を有することが分かった。
線維芽細胞増殖促進能の検討
上記「コラーゲン産生促進能の検討」と同様にしてヒト正常皮膚由来線維芽細胞を24時間培養した。そして、上記「角化細胞増殖促進能の検討」と同様に、ニュートラルレッド試薬を細胞に加え、吸光度を測定して、コントロールの吸光度を100%とした際の割合を算出した。HPAを添加して培養した場合の結果を図6に示す。当該結果から、HPAは線維芽細胞増殖促進作用も有することが分かった。

Claims (5)

  1. 4−((E)−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)フェニルアセテート(HPA)を含む皮膚再生促進剤。
  2. さらに、1’−アセトキシチャビコールアセテート(ACA)を含む、請求項1に記載の皮膚再生促進剤。
  3. 表皮再生促進剤である、請求項1又は2に記載の皮膚再生促進剤。
  4. 外用剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚再生促進剤。
  5. 外用医薬品又は外用化粧品である、請求項4に記載の皮膚再生促進剤。
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