JP2013193915A - Iii族窒化物半導体単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 成長基板であるGaN基板G10の上に、マスク層140を形成する。次に、フォトリソグラフィーにより、マスク層140からGaN基板G10までに達する凹部X11を複数形成して、種結晶T10とする。種結晶T10を単結晶の原材料とともに、坩堝内に入れて、昇圧および昇温する。凹部X11で露出しているGaN基板G10は、フラックスによりメルトバックを起こす。GaN基板G10の溶解により、凹部X11は広がり、凹部X12となる。GaN層150は、マスク層140の表面144を基点として、成長する。転位は、凹部X12の斜面から延びて互いに合流する。
【選択図】図7
Description
第1の実施形態について説明する。本実施の形態では、フラックス法を用いて、GaN基板の上にIII 族窒化物半導体単結晶を製造する方法である。
本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(C)マスク層形成工程
(D)凹部形成工程
(E)半導体単結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
まず、GaN基板G10を用意する。GaN基板G10は、GaN自立基板である。その転位密度は、5×106 /cm2 程度である。また、GaN基板G10は、マスク層を形成するための下地層でもある。そして、GaN基板G10の上に、マスク層140を形成する。このマスク層140は、この後の半導体単結晶形成工程で供給されるフラックスにより、メルトバックをほとんど受けないか、または、下地層に比べ大幅にエッチング速度が遅い層である。これにより、図1に示すような積層体B11が得られる。
マスク層のAl組成比 0.03以上 0.50以下
マスク層の厚み 2nm以上 2μm以下
1−2−1.凹部を形成する手順
次に、積層体B11に複数の凹部を形成する。図2に示すように、マスク層140の厚みの全部およびGaN基板G10の厚みの一部を除去するとともに、GaN基板G10の露出している凹部X11を、複数箇所に形成するのである。これにより、図2に示すように、複数の凹部X11を形成された種結晶T10を製造する。この凹部X11の形成には、例えば、フォトリソグラフィーを用いればよい。まず、レジストのパターニングを行う。次に、ドライエッチングにより、マスク層140の厚みの全部およびGaN基板G10の厚みの一部を除去することにより、複数の凹部X11を形成する。このとき、凹部X11を形成後のマスク層140は、下地層を覆うマスク部である。そして、レジストマスクを除去する。これにより、図2に示す種結晶T10が得られる。その後、複数の凹部X11の形成された種結晶T10を洗浄する。
図2に示すように、凹部X11は、マスク層140面上に格子状に等間隔で配置されている。ただし、必ずしも等間隔である必要は無い。図2では、種結晶T10をマスク層140の側から見た場合に、凹部X11の形状は正方形である。しかし、この凹部X11の平面形状は正方形に限らない。六角形等の多角形であってもよい。また、円形であってもよい。また、中心点に対称な形状に限らず、非対称な形状であってもよい。
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法を用いて、種結晶T10上に半導体単結晶の層を成長させる。ここで用いる原材料を表2に示す。ここで、Ga比は30%以下であるとよい。また、炭素比を、0mol%以上2.0mol%以下の範囲内で変えてもよい。つまり、フラックスは、炭素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、より望ましくは、0.01mol%以上2.0mol%以下の範囲内である。なお、表2の値は、あくまで例示であり、これ以外の値であってもよい。
Ga 20g〜80g
Na 20g〜80g
C 0.1mol%〜2.0mol%(Naに対して)
温度 850℃〜900℃
圧力 3MPa〜10MPa
攪拌条件 0rpm〜100rpm
育成時間 20〜200時間
2−1.GaN単結晶
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法により、図6に示すように、GaN単結晶B12が得られる。GaN単結晶B12は、GaN基板G10と、マスク層140と、GaN層150とを有している。下地層であるGaN基板G10の断面は、凹面と凸面とが交互に繰り返す凹凸形状となっている。その凹凸の凹部には、c面(底面G14)が露出している。一方、凹凸の凸部にも、c面(凸面G15)が露出している。そして、凹部と凸部との間には、(1,0,−1,1)面(斜面G13)、または(1,1,−2,2)面が露出している。マスク層140は、下地層であるGaN基板G10の凸面G15の上に配置されている。なお、凸部X13については、GaN基板G10を研磨することとしてもよい。
図7に、GaN層150において、凹部X12から延びる転位の形状を示す。図7に示すように、凹部X12からの転位は、(1,0,−1,1)面および(1,1,−2,2)面から図7の横方向に延びる。凹部X12は四角錘形状の凹面である。そのため、各転位は、図7に示すように、四角錘形状の中心に向って延びることとなる。そして、各転位は、互いに合流して結合する。そして、合流後の転位の一部は消滅し、残部は半導体層の上方に向って延びる。この転位の合流および結合を繰り返すことにより、転位は減少する。したがって、GaN層150の結晶性はよい。
ここで、比較のために、従来のフラックス法により製造された単結晶の転位について説明する。図8に示すように、従来のフラックス法では、下地層に凹部もしくは凸部がまばらに形成されることとなる。この場合には本実施形態のように、転位が合流することがある。しかし、その転位の合流の度合いは不十分である。本実施形態のように、転位の合流を意図して製造されているわけではないからである。
メルトバックは、フラックス中の窒素濃度が飽和するまで、継続する。したがって、メルトバックの程度については、表4に示す条件を変えてやることにより制御することができる。なお、これらの条件は、後述する他の実施形態でも同様である。
温度
窒素濃度
窒素圧力
時間(昇温時間)
炭素濃度
フラックス組成比(Ga/Na)
4−1.III 族窒化物半導体単結晶
本実施形態では、GaN層150を形成することとした。しかし、他のIII 族窒化物半導体単結晶を製造する際にも適用することができる。つまり、AlX InY Ga(1-X-Y) N(0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を製造することができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T10として、凹部X11が形成されているものを用いることとした。このように、主にメルトバックを受けるGaN基板G10と、ほとんどメルトバックを受けないマスク層140とを形成する。そのため、GaN基板G10の凹部X12から延びる転位が互いに合流する。これにより、形成されるGaN層150には転位がほとんど引き継がれない。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体単結晶を形成することができる。
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、成長基板として、サファイア基板上に形成したGaNテンプレートを用いる。それ以外の点は、第1の実施形態と同じである。したがって、第1の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)低温バッファ層形成工程
(B)下地層形成工程
(C)マスク層形成工程
(D)凹部形成工程
(E)半導体単結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
まず、成長基板であるサファイア基板S30に、低温バッファ層320を形成する(図9参照)。サファイア基板S30は、c面サファイアである。そして、サファイア基板S30上に低温バッファ層320をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法として、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法等がある。これらのいずれを用いてもよい。低温バッファ層320は、GaNから成る層である。または、AlNから成る層であってもよい。
次に、低温バッファ層320の上に、GaN層330を形成する(図9参照)。このGaN層330は、下地層である。ここで、GaN層330の厚みは、1μm以上30μm以下の範囲内であるとよい。なお、この下地層形成工程では、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法とのうち、いずれを用いてもよい。
そして、GaN層330の上に、マスク層340を形成する(図9参照)。ここで形成するマスク層340のAl組成比および厚みは、表1に示したものと同じでよい。
次に、フォトリソグラフィーにより、凹部X31を形成する。これにより、図9に示すような種結晶T30が製造される。凹部X31は、第1の実施形態の凹部X11と同様である(図3参照)。ここで、凹部X31は、マスク層340を貫通するとともに、GaN層330の厚みの一部を抉る非貫通孔である。この凹部X31の開口部の開口幅W7は、第1の実施形態の幅W1と同じである(図3参照)。凹部X31の深さD4は、第1の実施形態の深さD1と同じである(図3参照)。凹部X31と、それと隣り合う凹部X31との間の間隔W8は、第1の実施形態の間隔W2と同じである(図3参照)。もちろん、これらは、異なる値を用いてもよい。
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法により、種結晶T30上に半導体単結晶の層を成長させる。ここで用いる原材料は、表2に示したものでよい。また、フラックス法で用いる条件は、表3に示したものでよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法により製造されたIII 族窒化物半導体単結晶では、図11に示すように、凸部X33が形成されている。凸部X33は、底面334と、斜面333、側面343とに囲まれている。
3−1.III 族窒化物半導体単結晶
本実施形態では、GaN層350を形成することとした。しかし、他のIII 族窒化物半導体単結晶を製造する際にも適用することができる。つまり、AlX InY Ga(1-X-Y) N(0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を製造することができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T30として、凹部X31が形成されているものを用いることとした。このように、主にメルトバックを受けるGaN層330と、ほとんどメルトバックを受けないマスク層340とを形成する。そのため、GaN層330の凹部X32から延びる転位が互いに合流する。これにより、形成されるGaN層350には転位がほとんど引き継がれない。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体単結晶を形成することができる。
第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、図12に示すように、凹部X41がストライプ状に配置されている。凹部X41の側面430は、GaN層のa面である。つまり、凹部X41の内側面には、GaN層のa面が露出している。この場合、a面のGaNの成長速度が速いため、容易に平坦化する。図12において開口幅をW9で示す。間隔をW10で示す。
実施例1について説明する。本実施例では、第1の実施形態のように、下地層として、直径2インチ(50.8mm)のGaN基板G10を用いた。
まず、GaN基板G10の上にAlGaN層を形成した。AlGaN層におけるAlの組成比は、0.1であった。AlGaN層の厚みを、100nmとした。
続いて、フォトリソグラフィーにより、凹部X11を形成した。凹部X11の深さD1を1μmとした。凹部X11の幅W1を50μmとした。隣り合う凹部X11間の間隔W2を30μmとした。これにより、種結晶T10を作成した。
次に、種結晶10を原材料とともに、坩堝の内部に入れた。材料は、Gaを30g、Naを30g、Cを80mgとした。このときのフラックスにおける炭素比は、0.5mol%である。そして、坩堝内部の温度を、870℃とした。坩堝内部の圧力を3MPaとした。結晶を成長させるために、原材料を適宜反転しつつ、20rpmで攪拌部材を攪拌することとした。そして、育成時間を100時間とした。
実施例2について説明する。本実施例では、第3の実施形態のように、サファイア基板S30を用いた。このサファイア基板S30として、直径2インチ(50.8mm)のものを用いた。そして、種結晶T30を作成するために、MOCVD法を用いた。
まず、低温バッファ層320として、GaNから成る層を形成した。
次に、低温バッファ層320の上にGaN層330を形成した。このGaN層330の厚みは、10μmである。
次に、GaN層330の上にAlGaN層340を形成した。AlGaN層340におけるAlの組成比は、0.2であった。AlGaN層340の厚みは、50nmである。
続いて、フォトリソグラフィーにより、凹部X31を形成した。凹部X31の深さD4を1μmとした。凹部X31の開口幅W7を100μmとした。隣り合う凹部X31間の間隔W8を30μmとした。これにより、種結晶T10を作成した。
次に、種結晶30を原材料とともに、坩堝の内部に入れた。材料は、Gaを30g、Naを30g、Cを80mgとした。このときのフラックスにおける炭素比は、0.5mol%である。そして、坩堝内部の温度を、870℃とした。坩堝内部の圧力を3MPaとした。結晶を成長させるために、原材料を適宜反転しつつ、20rpmで攪拌部材を攪拌することとした。そして、育成時間を100時間とした。
330…GaN層(下地層)
140、340…マスク層
141、143、331、341、343…側面
142、144、342、344…表面
332、334…底面
333…斜面
150、350…GaN層
G10…GaN基板
G11…側面
G12…底面
G13…斜面
G14…底面
S30…サファイア基板
T10、T11、T30、T31…種結晶
W1、W3、W7、W9…開口幅
W2、W4、W8、W10…間隔
D1、D2、D4…深さ
X11、X12、X31、X32、X41…凹部
X13、X33…凸部
Claims (14)
- フラックスを使用してIII 族窒化物半導体単結晶を成長させるIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記マスク層の厚みの全部および前記下地層の厚みの一部を除去することにより前記下地層の露出している凹部を複数箇所に形成する凹部形成工程と、
フラックスにより、前記凹部に露出している前記下地層をメルトバックさせるとともに、前記凹部を覆うようにIII 族窒化物半導体単結晶を成長させる半導体単結晶形成工程と、
を有すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記マスク層形成工程では、
前記マスク層としてAlGaN層を形成すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記マスク層形成工程では、
前記マスク層におけるAl組成比Xを0.02以上1.00以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項3に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記マスク層形成工程では、
前記マスク層におけるAl組成比Xを0.03以上0.50以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記半導体単結晶形成工程では、
メルトバックにより、前記下地層の(1,0,−1,1)面を露出させた後に、前記III 族窒化物半導体単結晶を成長させること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記半導体単結晶形成工程では、
メルトバックにより、前記下地層のc面を露出させた後に、前記III 族窒化物半導体単結晶を成長させること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記マスク層の厚みを、2nm以上2μm以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記フラックスとして、炭素(C)の濃度が0mol/l以上2mol/l以下の範囲内のものを用いること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記凹部形成工程では、
開口幅が1μm以上1000μm以下の範囲内の凹部を形成すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
複数の前記凹部は、
前記マスク層の表面上に格子状に配置されていること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
複数の前記凹部は、
ストライプ状に配置されていること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記マスク層形成工程の前に、
前記下地層として、GaN層を形成する下地層形成工程を有すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記下地層が、
GaN基板であること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法において、
前記下地層が、
サファイア基板上に形成されたGaN層であること
を特徴とするIII 族窒化物半導体単結晶の製造方法。
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