JP2013193438A - 液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム - Google Patents

液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜であっても強度を有する液晶ポリエステルフィルムを安定的に成膜する方法の提供。
【解決手段】液晶ポリエステルを使用してインフレーション製膜法により液晶ポリエステルフィルムを得る方法において、
液晶ポリエステルを溶融押出した後、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを用いて溶融ろ過し、スリット間隔0.30mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を3.5以上とすることを特徴とする、液晶ポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム
に関する。
液晶ポリエステルは、優れた低吸湿性、耐熱性及び薄肉形成性等を有することにより、電子部品等の材料として広く用いられている。例えば、電子部品用途に好適な液晶ポリエステルの形態として、フィルム状の芳香族ポリエステルが知られている。
近年、液晶ポリエステルフィルムのみが適用可能な用途として、電子回路基板、包装材料、ガスバリヤ材料など、可撓性、低吸湿性、高ガスバリヤ性などの特徴に着目した開発も活発に進められている。そして、これらの用途向けには、第一に、厚み均一性に優れたフィルムが望まれる。さらに、引き取り方向(以下、MDと略す)とこれに直角な方向、すなわち膨張方向(以下、TDと略す)の強度および弾性率が比較的均等化したフィルム(以下、等方化フィルムと略す)が望まれる場合が多い。
液晶ポリエステルフィルムはTダイ押し出し法によってフィルム形状に成形できるが、液晶ポリエステルは溶融状態で流動方向に分子が配向し易いという性質があるために、引き取り方向の強度と弾性率が大きくなり、等方化フィルムを得ることは困難である。
これに対してインフレーション製膜法では、環状ダイから押し出された液晶ポリエステルを溶融状態でMDとTDの2方向に延伸することが可能であり、等方化フィルムが得られ易い。装置が簡易で安価であることもあって、インフレーション製膜法は低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン又は液晶ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムの製造に広く利用されている。
また液晶ポリエステルフィルムのインフレーション製膜法は、膜厚精度向上に向けてこれまでに様々な技術(例えば特許文献1〜3)が報告されている。
特開2000−43119号公報 特開2004−106533号公報 特開2000−326405号公報
本発明者らの検討により、平均膜厚が20μm以下の薄膜の液晶ポリエステルフィルムをインフレーション製膜法により作製する際、得られる液晶ポリエステルフィルムの強度が極端に低いという問題が判明した。
また、平均膜厚が20μm以下の薄膜の液晶ポリエステルフィルムを作製する場合は、インフレーションダイのスリット間隔が小さいものを使用することが必要である。ところが、スリット間隔の小さいインフレーションダイは、スリット間に液晶ポリエステル中に存在する未溶融遺物が短時間のうちに蓄積し、閉塞してしまうことで、液晶ポリエステルフィルムが得られないという問題があった。液晶ポリエステル中に存在する未溶融物は、薄膜液晶ポリエステルフィルムの均一性を阻害し、強度を低下させる原因にもなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄膜であっても強度を有する液晶ポリエステルフィルムを安定的に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、係る課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、液晶ポリエステルを使用してインフレーション製膜法により液晶ポリエステルフィルムを得る方法において、
液晶ポリエステルを溶融押出した後、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを用いて溶融ろ過し、スリット間隔0.30mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を3.5以上とすることを特徴とする、液晶ポリエステルフィルムの製造方法である。
本発明の第二の態様は、スリット間隔が0.20mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を4.1以上とすることを特徴とする、液晶ポリエステルフィルムの製造方法である。
本発明の第三の態様は、上記の方法によって得られる、液晶ポリエステルフィルムである。
本発明に係る液晶ポリエステルフィルムの製造方法により、薄膜であっても強度を有する液晶ポリエステルフィルムを安定的に成膜することができる。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法に好適に用いることが可能なインフレーション成形装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明の液晶ポリエステルの製造方法に好適に用いることが可能なろ過装置の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明の液晶ポリエステルフィルムの製造方法は、液晶ポリエステルを溶融押出した後、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを用いて溶融ろ過し、スリット間隔0.30mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を3.5以上とすることを特徴とする。
本発明における液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融することが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
Figure 2013193438
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar及びAr中の1つ以上の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
Figure 2013193438
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、通常30モル%以上、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%、さらに好ましくは45〜65モル%である。繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常35モル%以下、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%である。繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常35モル%以下、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%である。繰返し単位(1)の含有量が多いほど、溶融流動性や耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、通常0.9/1〜1/0.9、好ましくは0.95/1〜1/0.95、より好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが、溶融粘度が低くなり易いので、好ましく、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することが、より好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位、及びArが1,4−フェニレン基であるもの、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの、すなわち4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位が好ましい。
液晶ポリエステル中、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量、すなわち、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、及びArが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(3)の合計含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、10モル%以上である。かかる所定の繰返し単位組成を有する液晶ポリエステルをフィルム化することにより、水蒸気バリア性に優れる液晶ポリエステルフィルムを得ることができる。この2,6−ナフチレン基の含有量は、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
耐熱性や溶融張力が高い液晶ポリエステルの典型的な例は、全繰返し単位の合計量に対して、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位を、好ましくは40〜74.8モル%、より好ましくは40〜64.5モル%、さらに好ましくは50〜58モル%有し、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位を、好ましくは0.2〜15モル%、より好ましくは0.5〜12モル%、さらに好ましくは2〜10モル%有し、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、かつ、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)の含有量が、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)及びArが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)の合計含有量に対して、好ましくは0.5モル倍以上、より好ましくは0.6モル倍以上のものである。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、繰返し単位(2)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジカルボン酸と、繰返し単位(3)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジオールとを、2,6−ナフチレン基を有するモノマーの合計量、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジオールの合計量が、全モノマーの合計量に対して、40モル%以上になるようにして、重合(重縮合)させることにより、製造することができる。その際、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。
液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(以下、「プレポリマー」ということがある。)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、通常200℃以上、好ましくは240〜400℃、より好ましくは280〜360℃である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度高くなり液晶ポリエステルが分解し易くなる傾向がある。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルを、押出機を用いて溶融混練し、ペレット状に押し出すことにより調製することが好ましい。溶融混練における温度条件は、使用している液晶ポリエステルの流動開始温度Tp[℃]を基点にして適宜最適化できる。好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+100[℃]以下の範囲であり、より好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+70[℃]以下の範囲であり、特に好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+50[℃]以下の範囲である。
押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。また供給口の上流側と下流側にはそれぞれニーディング部を備えた造粒機を用いることが好ましい。ニーディング部とは、スクリュウの一部に設けられて溶融混練を効率的に行うための部分をいう。該ニーディング部としては、ニーディングディスク(右ニーディングディスク、ニュートラルニーディングディスク、右ニーディングディスク)、ミキシングスクリュウ等を挙げることができる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、インフレーションダイの加工温度において、せん断速度1000(s−1)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長10mmのダイスを用いて流れ特性試験機により測定した溶融粘度が好ましくは40Pa・s以上、より好ましくは60Pa・s以上である。
(インフレーション製膜法)
本発明の液晶ポリエステルの製造方法の一実施形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、インフレーション製膜法に用いられるインフレーション成形装置50の模式図である。インフレーション成形装置50は、押出機31と、環状のインフレーションダイ30と、安定板32と、ピンチロール33と、巻取機34と、ろ過装置1と、を備えている。
原料樹脂としての液晶ポリエステルを、インフレーションダイ本体10と該インフレーションダイ本体10の上面部に取り付けられた調整リング2を備えた環状のインフレーションダイ30の環状のスリット4から溶融押出しして円筒状フィルム22を得る。
次いで、前記円筒状フィルム22を安定板32を通過させた後、ピンチロール33で折り畳み、折り畳まれた前記円筒状フィルム22の片端又は両端をスリットに接触させることにより一部除去して液晶ポリエステルフィルムを得る。
押出機31としては、シリンダー31aと、シリンダー31a内に配置された1本以上のスクリュウ31bと、シリンダー31aに設けられた1箇所以上の供給口31cと、図示略の温度調整設備と、を有するものが好ましく用いられ、さらにシリンダー31aに設けられた1箇所以上のベント部を有するものがより好ましく用いられる。
また供給口31cの上流側と下流側にはそれぞれニーディング部を備えた造粒機を用いることが好ましい。ここでニーディング部とは、スクリュウ31bの一部に設けられて溶融混練を効率的に行うための部分をいう。該ニーディング部としては、ニーディングディスク(右ニーディングディスク、ニュートラルニーディングディスク、右ニーディングディスク)、ミキシングスクリュウ等を挙げることができる。
押出機31において、供給口31cに貯えられた上述の液晶ポリエステルを、温度調整設備により加熱して均一に溶融混練し、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを備えたろ過装置1により液晶ポリエステルをろ過する工程を経たのち、ペレット状に押出して環状のインフレーションダイ30に送り込む。
溶融混練された液晶ポリエステルは、流れ特性試験機を用いてノズルの孔径0.5mm、せん断速度1000(s−1)の条件でインフレーションダイ30の加工温度において測定した溶融温度が、20Pa・s以上であることが好ましく、40Pa・s以上であることがより好ましく、60Pa・s以上であることが特に好ましい。
押出機31から送り込まれた液晶ポリエステル(以下、バブルと略す)は、環状のインフレーションダイ30の、スリット間隔が0.30mm以下である環状のスリット4から、円筒状フィルム22として溶融押出される。その円筒状フィルム22の中へ一定量の空気を送り込み、引き取りと、膨張によって、円筒状フィルム22がMD及びTDに機械的に延伸される。これにより溶融状態で円筒状フィルム22のMD及びTDの両方に分子を配向させることができる。
また、バブルは冷却により、溶融した無定形状態から固体状態に移行するが、インフレーション製膜法においては、この際に液晶ポリエステルの分子の配向を固定することができる。特に液晶ポリエステルにおいては、インフレーション製膜法の条件がフィルムの物性に影響を与える。かかる製膜法の条件については、例えば、特開平2−3430号公報に記載が好ましい。
環状インフレーションダイの環状スリットは、スリット間隔が0.3mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましく、0.15mm以下であることが特に好ましい。
液晶ポリエステルフィルム物性の等方性を決定する重要な要因としては、MDの延伸倍率に対するTDの延伸倍率の比を挙げることができる。すなわち、下記のとおり定義されるMDの延伸倍率(以下、ドロー比と称し、Drと略す)とTDの延伸倍率(以下、ブロー比と称し、Blと略す)の比(Bl/Dr)が重要な要因となる。
ブロー比=(折り幅×2)/(ダイ直径×π)
ドロー比=(ダイスリット間隔)/(ブロー比×フィルムの厚み)
本発明において、引き取り方向の延伸倍率(以下、Dr)に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率(以下、Bl)を3.5〜6.0倍(Bl/Dr=3.5〜6.5倍)とすることにより、フィルム物性を等方化することができる。特にフィルム物性をMDおよびTDで同等とするためには、Bl/Drを4.1〜6.0倍の範囲から選択することにより、平均膜厚が20μm以下の薄膜フィルムを作製することが可能である。Bl/Drは、4.1〜5.5が好ましく、4.1〜5.0がさらに好ましく、4.1〜4.5が特に好ましい。
溶融押出後の液晶ポリエステル中には、未溶融物等の異物が存在し、該異物はフィルムの均一性を低下させ、さらに強度も低下させる。また、後に狭間隔のスリットを用いて押し出す工程を経る際、該異物はスリットを詰まらせる原因ともなる。本発明に係る薄膜液晶ポリエステルフィルムの製造方法においては、液晶ポリエステルフィルムを溶融押出した後、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを用いて溶融ろ過することにより、液晶ポリエステルフィルム中の異物を除去する。
前記フィルタのろ材で好ましい材質としては、ステンレス、ブロンズ、銅、鉄等の金属が例示できる。なかでも、液晶ポリエステルとの反応性や耐腐食性、耐熱性の観点からステンレスがより好ましい。そして、ステンレスの中でもSUS304、SUS316、SUS316L、SUS430等が特に好ましい。
支持体、溶接部等、前記フィルタのろ材以外の構造の材質も、ろ材と同様であることが好ましい。
本発明において好ましいろ材としては、多孔質体のように、ろ液の通過経路がろ材の厚さ方向において無秩序に入り組んだ構成のものが例示できる。
そして、前記ろ材の好ましい例としては、直径が数μm〜数10μmの繊維を重ね合わせて焼結した金属繊維焼結体;粒径が数10μm〜数100μmの金属粉末を焼結した金属粉末焼結体が挙げられる。これらのなかでも、機械的強度や耐熱性に優れ、より優れた溶融ろ過の効果が得られる点から、金属繊維焼結体がより好ましい。
前記ろ材の厚さは特に限定されないが、機械的強度に優れ、より優れた溶融ろ過の効果が得られる点から、5mm以上であることが好ましい。
前記フィルタのろ過精度は、1〜50μmであり、好ましくは5〜25μmである。1μm未満であると、液晶ポリエステルのフィルタ通過時のろ圧が大き過ぎて押出が困難になる傾向があり、50μmを超えると、溶融ろ過の効果が不十分になる可能性がある。
ろ過精度は、以下の方法で求められる。すなわち、コンタミナントを含み、その粒子径が互いに異なる複数のスラリーを、それぞれフィルタでろ過し、フィルタのスラリー通過前後の粒子数をパーティクルカウンターでカウントして、捕集効率を算出する。そして、グラフ上に各粒子径に対する捕集効率をプロットして、捕集効率曲線を作成し、捕集効率が95%の粒子径をろ過精度とする。
前記フィルタの例としては、金属製の網等の支持体を上下からろ材で挟み込んだリーフディスク型フィルタ;ろ材にヒダ付き加工を施したプリーツ円筒型フィルタ;ろ材を円筒状に加工したフラット円筒型フィルタ;ろ材を打ち抜き等で加工したディスク型フィルタが挙げられる。これらのなかでも、ろ過装置の設計自由度が高く、耐熱性、耐圧性及びろ過面積に優れる点から、リーフディスク型フィルタ又はプリーツ円筒型フィルタが好ましく、リーフディスク型フィルタが特に好ましい。
リーフディスク型フィルタの内部空間の体積に占める支持体の体積の割合は、20〜50%であることが好ましい。下限値以上とすることで、ろ材を支持する支持体の能力が向上し、ろ圧によるフィルタの変形又は破損がより抑制される。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステルのフィルタ通過時におけるろ圧の上昇が抑制され、押出がより容易となる。
前記フィルタにおいて、樹脂流れ方向の最下流側のろ材は、支持体と直接接触していることが好ましい。ろ材が支持体と直接接触せず、例えば、ろ材と支持体との間に金属多孔板などが用いられていると、その部分が液晶ポリエステルの滞留箇所となることがあるが、上記のように直接接触していることで滞留が抑制され、物性がより良好なろ液が得られる。
図2は、本発明で用いるのに好適なろ過装置を例示する概略断面図である。
ここに示すろ過装置1は、略円筒状で、内部の空間に複数のリーフディスク型フィルタ11,11・・を内蔵したものであり、公知の構成のものである。これら複数のリーフディスク型フィルタ11,11・・は、ろ過装置1内部の空間に同軸状に積層されると共に、その中心部を貫通するように、ろ液のための二次流路14が挿通されている。リーフディスク型フィルタ11及び二次流路14は、組み立て式となっているので分解可能であり、使用後はろ過装置1の内部から取り出し、洗浄することにより、複数回繰り返して使用可能となっている。リーフディスク型フィルタ11,11・・の数は、目的に応じて任意に設定できる。
ろ過装置の入り口13から導入されたろ過対象物は、一時流路12内を移動し、複数のリーフディスク型フィルタ11,11・・にその表面から取り込まれ、ろ材(図示略)で固形物が除去されて、ろ液が二次流路14内に導入される。そして、すべてのろ液が二次流路14内で集められ、最終的には出口15からろ過装置1の外部へ取り出される。図1中、矢印はろ過対象物又はろ液の動きを示す。このようにして、複数のリーフディスク型フィルタ11,11・・で同時にろ過対象物がろ過されるため、ろ過装置1はろ過効率が非常に高い。
なお、ここに示すろ過装置は一例に過ぎず、本発明においては目的に応じて種々のろ過装置が使用可能である。
本発明は、さらに、フィルタを用いたろ過工程を有した後、スリット間隔0.30mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、Bl/Dr=3.5以上の条件で薄膜液晶ポリエステルフィルムを作製する。スリット間隔は、0.05〜0.25mmが好ましく、0.08〜0.2mmがより好ましく、0.1〜0.15mmが特に好ましい。
本発明は、平均膜厚が20μm超の液晶ポリエステルフィルムにも適用できるが、特に、20μm以下の液晶ポリエステルフィルムに対して有用である。
本発明により得られる液晶ポリエステルフィルムは、20μm以下と薄膜でありながら、高い引張強度を有する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(溶融粘度の測定)
得られたペレットについて、(株)東洋機械製作所製の流れ特性試験機(キャピログラフ)1Bを用いて、各測定温度に対して、ノズルの孔径0.5mm、ノズル長10mm、せん断速度1000s-1の条件で測定した。
(流動開始温度の測定)
粉末状の試料を、(株)島津製作所製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500型」を用いて、試料約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度を流動開始温度として測定した。
(樹脂フィルムの強度測定)
JIS K 7127「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して、得られた樹脂フィルムの引張強度(最大点応力)を室温23℃、試験速度5mm/分の条件で測定した。
〈合成例1〉
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、ハイドロキノン272.52g(2.475モル、0.225モル過剰仕込み)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、無水酢酸1226.87g(12モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを添加し、室温で15分間にわたって攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度(145℃)を保持したまま1時間にわたって攪拌した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温した。同温度(310℃)で3時間保温して液晶ポリエステルを得た。こうして得られた液晶ポリエステルを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの粉末状の液晶ポリエステル(プレポリマー)を得た。これを合成例1とする。
このプレポリマーにおいて、実質的な共重合モル分率は、前記の式(1)で示される構造単位:前記の式(2)で示される構造単位:前記の式(3)で示される構造単位で表して、55モル%:22.5モル%:22.5モル%である。また、この合成例1の液晶ポリエステルにおいて、これらの構造単位に含まれる芳香族基の合計含有量に対する2,6−ナフタレンジイル基の共重合モル分率は72.5モル%である。
このプレポリマーを25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から310℃まで10時間かけて昇温し、次いで、同温度(310℃)で5時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、粉末状の液晶ポリエステルを得た。液晶ポリエステルの流動開始温度を測定したところ、333℃であった。
粉末状の液晶ポリエステルを用いて、二軸押出機((株)池貝製の「PCM−30」)によって液晶ポリエステルの粉末の流動開始温度〜流動開始温度+10℃高い温度で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットについて測定温度340℃の溶融粘度を測定したところ、101Pa・sであった。
<実施例1>
合成例1で得られたペレットを単軸押出し機で溶融押出した後、ダイ径30mm、スリット間隔0.13mmの環状インフレーションダイの入口に接続したろ過装置(リーフディスク型フィルタ、日本精線社製)を用いてろ過し、340℃に加熱された環状インフレーションダイから、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を4.3の条件下で押出し、液晶ポリエステルフィルムを得た。得られた液晶ポリエステルフィルムの膜厚を測定したところ、12μmで推移した。
前記ろ過装置には、ナスロンフィルタLF4−0 NF2M−05D2(日本精線社製、ろ過精度5.0μm、リーフディスク型)を16枚積層して用いた。
得られた液晶ポリエステルフィルムは、外観上異物は散見されず、フィルムの引き取り方向について引張強度を測定したところ194MPaであった。またフィルムの垂直方向について引張強度を測定したところ148MPaであった。
<比較例1>
ろ過装置を接続しない以外は、実施例1と同様の方法により液晶ポリエステルフィルムの製造を試みた。しかしながら、フィルム製造中に短時間でスリット間が液晶ポリエステル中に存在する未溶融異物が蓄積し閉塞したためそれ以降は液晶ポリエステルフィルムを得ることができなかった。そこで短時間で得られた液晶ポリエステルフィルムの膜厚を測定したところ、12μmで推移した。また外観上異物は多く散見された。そこで異物が散見される箇所についてフィルムの引き取り方向について引張強度を測定したところ79MPaであった。またフィルムの垂直方向について引張強度を測定したところ68MPaであった。
上記の実施例1と比較例1の結果から明らかなように、液晶ポリエステルをろ過する工程を経ることにより、狭間隔のスリットが閉塞することなく製造でき、特定の延伸倍率で液晶ポリエステルフィルムを得たところ、外観上異物が散見されない、かつ強度を有する薄膜液晶ポリエステルフィルムを得ることができた。
1…ろ過装置、2…調整リング、3…マンドレル、4…スリット、10…インフレーションダイ本体、11…リーフディスク型フィルタ、13…入り口、14…二次流路、15…出口、22…円筒状フィルム、30…インフレーションダイ、31…押出機、32…安定板、33…ピンチロール、34…巻取機、50…インフレーション成形装置。

Claims (3)

  1. 液晶ポリエステルを使用してインフレーション製膜法により液晶ポリエステルフィルムを得る方法において、
    液晶ポリエステルを溶融押出した後、ろ過精度が1〜50μmのフィルタを用いて溶融ろ過し、スリット間隔0.30mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を3.5以上とすることを特徴とする、液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. スリット間隔が0.20mm以下の環状インフレーションダイを用いて押出し、引き取り方向の延伸倍率に対して引き取り方向に直角な方向の延伸倍率を4.1以上とすることを特徴とする、液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法により得られる液晶ポリエステルフィルム。
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