JP2013193209A - メンテナンスユニットおよび液体噴射装置 - Google Patents

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聖也 佐藤
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【課題】衝突音の発生を抑制しながら、払拭終了位置から払拭開始位置へ素早く戻る払拭部を備えたメンテナンスユニット、および液体噴射装置を提供する。
【解決手段】移動体71を往移動させることにより、当該移動体と連動するワイパーホルダー62を払拭開始位置から払拭終了位置までコイルばね63の付勢力に抗して往移動させたのち、移動体との当接を解除して移動体の復移動を許容し、当該移動体と連動するワイパーホルダーを付勢力によって払拭終了位置から払拭開始位置へ向かって復移動させる第1カム部51と、復移動するワイパーホルダーが払拭開始位置に到達する手前位置から払拭開始位置に到達するまでの区間において、移動体と当接した状態で回転しながら移動体を復移動させることにより、ワイパーホルダーを手前位置から払拭開始位置まで付勢力による移動速度よりも遅い移動速度で復移動させる第2カム部52と、が設けられている。
【選択図】図7

Description

本発明は、液体噴射ヘッドのメンテナンスユニット、およびこのメンテナンスユニットを備えた液体噴射装置に関する。
例えば媒体の一例としての用紙に、液体の一例としてのインクを噴射して画像等を形成(印刷)する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置が知られている。この液体噴射装置においては、液体噴射ヘッドのノズル面に列状に設けられたノズルからインクを適正に噴射させる噴射特性を維持するため、液体噴射ヘッドに対して種々のメンテナンスを行うメンテナンスユニットが備えられている。
このメンテナンスの一つとして、例えば、液体噴射ヘッドのノズル面に残るインクを除去するために、ゴム等の弾性体からなる払拭部材によって、ノズル面を払拭するワイピング動作が行われる。そして、このワイピング動作を行う場合、複数のノズル列間のインクが混色しないように、払拭部材は払拭開始位置と払拭終了位置との間でノズル列と平行に往復移動するように駆動される。
このような払拭部材を駆動するワイピング動作のための駆動源は、一般的にメンテナンスユニットに備えられた種々のメンテナンス動作のための駆動源が共通に用いられる。例えば、駆動源は、ノズルからインクを吸引するための吸引キャップをノズル面に接離する方向に移動(上昇)させるキャップ昇降動作、さらに吸引ポンプを回転させてノズルから不要なインクを吸引するインク吸引動作などに用いられる。このために、ワイピング動作を行う際の駆動源の駆動時間をできるだけ短くすれば、他のメンテナンス動作に対する駆動源の使用時間を長くすることができる。
また、面積の大きい用紙に短時間で印刷を行うために、液体噴射ヘッドから噴射される液体の噴射領域を大きくするべく、ノズル面に長いノズル列が形成された液体噴射ヘッドが用いられる場合がある。このような場合、ワイピング動作における払拭部材の移動距離は、長いノズル列が設けられたノズル面に応じて長くなる。この結果、ノズル面を払拭するために移動する払拭部材の移動距離が増えてしまうために、ワイピング動作に対する駆動源の使用時間が長くなってしまう。
そこで、払拭部材の移動距離が長くなる場合に対応する技術として、例えば特許文献1に示すように、歯車機構によって払拭部材(ブレード)を増速して往復移動させるインクジェット記録装置(液体噴射装置)が提案されている。すなわち、メインカムの回転によってスライダーを平行移動させ、スライダーに軸支された複合歯車の小径のピニオンがスライダーの平行移動時に第2ラックと噛み合って回転し、この小径のピニオンと一緒に回転する大径のピニオンが、ブレードを保持するブレードホルダーに形成された第1ラックとかみ合う構成とされる。これにより、スライダーの移動に対してブレードホルダーを増速移動させる技術である。
特開2002−36572号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、ブレードホルダー(払拭部)を、払拭終了位置から初期位置に向かって戻り始める所定の距離分はカムによってゆっくり移動させ、そのカムとの係合が外れた位置から初期位置までは戻しバネ(付勢体)によって一気に復帰移動させる構成とされている。このため、払拭が終了した払拭部(ブレードホルダー)の移動速度がカムとの係合が外れた位置から初期位置まで復帰移動する途中で増速されてしまい、払拭部が払拭開始位置に戻った時点での衝突音の発生を抑制することが困難となっていた。従って、メンテナンスユニットにて行われるワイピング動作において、衝突音の発生を抑制しながら払拭部を素早く払拭終了位置から払拭開始位置へ戻すことが希求されていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、衝突音の発生を抑制しながら、払拭終了位置から払拭開始位置へ素早く戻る払拭部を備えたメンテナンスユニット、およびこのメンテナンスユニットを備えた液体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のメンテナンスユニットは、液体を噴射する液体噴射ヘッドに付着した前記液体の払拭を開始する払拭開始位置と払拭を終了する払拭終了位置との間で往復移動する払拭部と、前記払拭部の往復移動と連動して往復移動する移動体と、前記払拭終了位置側から前記払拭開始位置側へ前記払拭部を付勢する付勢体と、前記移動体と当接した状態で回転することにより当該移動体を移動させる回転カムと、を備え、前記回転カムには、前記移動体を往移動させることにより、当該移動体と連動する前記払拭部を前記払拭開始位置から前記払拭終了位置まで前記付勢体の付勢力に抗して往移動させたのち、前記移動体との当接を解除して前記移動体の復移動を許容し、当該移動体と連動する前記払拭部を前記付勢力によって前記払拭終了位置から前記払拭開始位置へ向かって復移動させる第1カム部と、前記復移動する前記払拭部が前記払拭開始位置に到達する手前位置から前記払拭開始位置に到達するまでの区間において、前記移動体と当接した状態で回転しながら前記移動体を復移動させることにより、前記払拭部を前記手前位置から前記払拭開始位置まで前記付勢力による移動速度よりも遅い移動速度で復移動させる第2カム部と、が設けられている。
この構成によれば、回転する第1カム部によって移動体を往移動させると、これに連動して払拭部が払拭開始位置から払拭終了位置に向けて往移動することにより払拭を行うとともに、払拭が終了した後には付勢体の付勢力で払拭部は払拭開始位置に向けて素早く復移動させられる。そして、この付勢体の付勢力によって素早く戻る払拭部が払拭開始位置へ到達する手前位置において、第2カム部が回転しながら移動体と当接することによって、この移動体と連動する払拭部は払拭終了位置までの移動速度を付勢体の付勢力による場合よりも低減される。そのため、払拭部は、払拭開始位置へ到達する手前位置から払拭開始位置までの区間を付勢体の付勢力による場合よりも相対的に遅い移動速度で移動し、払拭開始位置に対して緩やかに衝突する。従って、付勢体の付勢によって移動する払拭部が払拭開始位置に到達する際に生ずる衝撃(衝突音)を抑制しつつ、払拭部を払拭開始位置へ素早く戻すことができる。
本発明のメンテナンスユニットにおいて、前記移動体と前記払拭部との間に、前記移動体の往復移動に連動して前記払拭部を前記移動体が移動した距離よりも長い距離だけ移動させる移動距離増幅機構が設けられている。
この構成によれば、払拭部の移動距離が長い場合であっても移動体の移動距離を短くすることができるので、メンテナンスユニットの大型化を抑制できる。
本発明のメンテナンスユニットにおいて、前記第1カム部と前記第2カム部とは同時に同一方向に回転するとともに、前記回転カムには、前記第2カム部が、前記第1カム部よりも前記同一方向へ先に回転した位置に設けられている。
この構成によれば、一方向に回転する第1カム部によって移動体を往移動させるとともに、移動体を往移動させる第1カム部よりも先に一方向に回転している第2カム部によって移動体との当接後移動体を素早く復移動させることができる。従って、回転機構が複雑化することなく移動体を素早く往復移動させることによって払拭部を払拭開始位置と払拭終了位置との間で素早く移動させることができる。
本発明のメンテナンスユニットにおいて、前記払拭部が往復移動する際に、当該払拭部の移動を案内する移動案内部を、前記メンテナンスユニットの筐体の一部に備える。
この構成によれば、メンテナンスユニットの筐体一部を払拭部の移動案内部として利用するので、別途移動案内部を必要とせず、メンテナンスユニットの小型化および低コスト化が可能である。
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記構成のメンテナンスユニットと、を備える。
この構成によれば、付勢体の付勢によって移動する払拭部が払拭開始位置に到達する際に生ずる衝撃(衝突音)を抑制しつつ、払拭部を払拭開始位置へ素早く戻すことができるメンテナンスユニットを備えた液体噴射装置が得られる。
本発明に係る一実施形態としてのメンテナンスユニットを備えるプリンターの概略構成を示す斜視図。 実施形態のメンテナンスユニットを一方向から見た斜視図。 実施形態のメンテナンスユニットを別方向から見た斜視図。 ユニットフレームの一部を取り除いた状態のメンテナンスユニットを示す斜視図。 メンテナンスユニットのワイパーを含む動作機構の構成を示す斜視図。 ワイパーが払拭を開始する払拭開始位置に位置する状態を示す側面図。 ワイパーが払拭開始位置から払拭を終了する払拭終了位置へ往移動した状態を示す側面図。 ワイパーが払拭終了位置から払拭開始位置へ復移動する移動途中の状態を示す側面図。 ワイパーが払拭開始位置へ復移動する移動途中の状態から払拭開始位置へ移動した状態を示す側面図。
以下、本発明を、液体噴射ヘッドから液体を噴射対象物に噴射する液体噴射装置に備えられ、液体噴射ヘッドの噴射特性を維持するメンテナンスユニットにおいて具体化した一実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態のメンテナンスユニットを備える液体噴射装置は、噴射対象物の一例としての用紙に液体の一例としてのインクを噴射して画像等を印刷するインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンター11における略矩形箱状をなすフレーム12内には、その長手方向に沿って用紙Pを印刷時に支持するための支持部材13が延設されている。そして、この支持部材13上において、フレーム12に設けられた紙送りモーター14の駆動に基づき、図示しない紙送り機構により、用紙Pが、支持部材13の短手方向に搬送されることによって支持部材13上から搬送され、印刷終了後にプリンター11から排出される。この排出される用紙Pが支持部材13上を搬送される際の搬送方向を副走査方向Yともいう。
また、フレーム12内には、この支持部材13の長手方向に沿ってガイド軸15が架設されている。ガイド軸15には、該ガイド軸15の軸線方向に沿って往復移動可能にキャリッジ16が支持されている。すなわち、キャリッジ16にはガイド軸15の軸線方向に貫通するように支持孔16aが形成されるとともに、該支持孔16aにガイド軸15が挿通される。従って、キャリッジ16はガイド軸15の軸線方向に沿って往復移動可能に支持される。
フレーム12にはガイド軸15に沿って壁面が設けられるとともに、この壁面には略ガイド軸15の両端部と対応する位置に、駆動プーリー17a及び従動プーリー17bが回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジ16を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター18の出力軸が連結されるとともに、駆動プーリー17aと従動プーリー17bとの間には一部がキャリッジ16に連結された無端状のタイミングベルト17が掛け渡されている。従って、キャリッジ16は、ガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモーター18の駆動力により無端状のタイミングベルト17を介してガイド軸15の軸線方向に往復移動する。なお、このキャリッジ16の移動方向を主走査方向Xともいう。
キャリッジ16には支持部材13と所定の隙間を開けて対向するように液体噴射ヘッド19が備えられるとともに、この液体噴射ヘッド19の支持部材13と対向する面側は、インクを噴射する複数のノズルが形成されたノズル形成面19aとなっている。そして、複数のノズルは、ノズル形成面19aにおいて副走査方向Yに一列に並んだノズル列とされるとともに、このノズル列が主走査方向Xにおいて複数列設けられている。
また、キャリッジ16には液体噴射ヘッド19に対してインクを供給するための液体収容体としてのインクカートリッジ20が着脱可能に装着されている。本実施形態のプリンター11では、インクカートリッジ20は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色インクを収容する。各色インクはインクカートリッジ20から液体噴射ヘッド19へと供給され、液体噴射ヘッド19に備えられた不図示の加圧部(たとえば圧電素子)により、ノズル形成面19aに設けられたノズルからノズル列ごとに噴射され、支持部材13上を搬送される用紙Pに噴射されて印刷が行われる。
さらに、フレーム12内には、キャリッジ16の主走査方向Xへの移動領域のうち、液体噴射ヘッド19が搬送される用紙Pと対峙しない非印刷領域(ホームポジション領域)において、液体噴射ヘッド19の噴射特性を維持するためのメンテナンスユニット100が設けられている。なお、本実施形態では、メンテナンスユニット100は副走査方向Yに沿う方向を長手方向とする略箱形状を有し、副走査方向Yの前方側から見て主走査方向Xにおける支持部材13の右側に配設されている。
メンテナンスユニット100には、液体噴射ヘッド19に対してノズルを囲むように当接するキャップ31や、液体噴射ヘッド19(ノズル形成面19a)に付着した不要なインクを拭き取る払拭部としてのワイパー61などが備えられている。なお、メンテナンスユニット100には、必要に応じて液体噴射ヘッド19のノズルから強制的に噴射されることによって排出されるインクを受容するフラッシングボックスが備えられる。
次に、メンテナンスユニット100について、図2および図3を参照して詳しく説明する。なお、図2は、プリンター11から取り外されたメンテナンスユニット100を、図1と同じ方向から見た斜視図であり、キャップ31は上昇した状態で図示されている。図3は、図2とは逆の方向から見たメンテナンスユニット100の全体の斜視図である。
図2および図3に示すように、本実施形態のメンテナンスユニット100は、略箱形状を有する筐体としてのユニットフレーム91に対して、液体噴射ヘッド19にキャップ31を当接させるキャッピング機構と、液体噴射ヘッド19(ノズル形成面19a)をワイパー61で払拭するワイピング機構とが組み込まれて備えられている。また、キャップ31が液体噴射ヘッド19にノズル列を囲うように当接することによって形成される閉空間を、吸引ポンプ25によって吸引する吸引機構が備えられている。
キャッピング機構は、キャップ31が圧縮ばねを介して支持されたキャップホルダー32を、ホームポジション領域に移動することによってキャップ31と対向する位置に移動した液体噴射ヘッド19に対して、接近したり離れたりするように上下移動させる。なお、このキャップホルダー32の上下移動に連動して、キャリッジロック体28がキャリッジ16に対して上下移動する。キャリッジロック体28は、キャリッジ16に設けられた図示しない係合部と、上昇したキャリッジロック体28とが係合することによって、キャップ31が液体噴射ヘッド19と当接した状態においてキャリッジ16が主走査方向Xに移動しないようにロックする。
吸引機構は、キャップ31が液体噴射ヘッド19と当接して形成された閉空間に対して、キャップ31に接続された吸引チューブ26を介して、ローラーが可撓性チューブを押しつぶしながら回転する所謂チューブポンプを内装する吸引ポンプ25の回転動作によって生ずる負圧を付与し、この閉空間を減圧する。この結果、例えば増粘した不要なインクをノズルから吸引することによってインクの噴射特性を回復させる。なお、吸引した不要なインクは、排出チューブ27を介してプリンター11のフレーム12に設けられた図示しない廃インクタンクに排出される。
ワイピング機構は、筐体の一部すなわち箱形状のユニットフレーム91の一部を移動案内部として使用し、副走査方向Yに沿ってワイパー61を往復移動させる。すなわち、ユニットフレーム91が有する副走査方向Yに略平行に延設された両側壁のうち、支持部材13に近い側壁91Hにおける反重力方向側の上端部に、副走査方向Yに直線状に延びる所定幅のレール部91Aが形成されている。このレール部91Aを移動案内部として、副走査方向Yに沿って摺動可能なワイパーホルダー62が、レール部91Aを主走査方向Xの両側から挟んだ状態で装着されている。このワイパーホルダー62に、ワイパー61が、その払拭面を副走査方向Y側に向けて保持される。本実施形態では、ワイパー61およびワイパーホルダー62が払拭部として機能する。
またワイパーホルダー62は、副走査方向Yとは反対側において、ユニットフレーム91との間に付勢体としてのコイルばね63が取り付けられている。コイルばね63は、常に引っ張りばねとして機能し、レール部91Aに沿ってワイパーホルダー62を副走査方向Y側とは反対方向(以降、「反副走査方向Yr」とも呼称する)側に付勢する。
図3に示すように、コイルばね63に付勢されるワイパーホルダー62は、ホルダー端部62eがユニットフレーム91のレール部91Aの端に設けられた係止部92に当接して、レール部91Aにおける反副走査方向Yr側への移動が規制される。本実施形態では、このように反副走査方向Yr側への移動が規制されたワイパーホルダー62の位置が、ワイパー61が液体噴射ヘッド19を払拭するワイピング動作を開始する払拭開始位置である。
なお、ワイパー61は、液体噴射ヘッド19におけるノズル形成面19aに付着した不要なインクを払拭する可撓性のワイパーブレード61aを有するとともに、このワイパーブレード61aをノズル列に沿って移動させることで、不要なインクをノズル列ごとにワイパーブレード61aで捕捉して払拭する。
さらに、メンテナンスユニット100は、ワイパーブレード61aに捕捉されたインクを吸収可能なインク吸収体(不図示)を内装したワイパークリーナー68が、レール部91Aに沿って副走査方向Yへ移動するワイパーホルダー62の移動方向先に配設されている。このワイパークリーナー68は、ワイパーホルダー62が払拭終了位置へ移動した際、その一部にワイパーブレード61aを当接させることによって、ワイパーブレード61aに捕捉されたインクをインク吸収体に移行させて吸収する。
これらのキャッピング機構、ワイピング機構、および吸引機構を駆動させる駆動源としてのモーター21と、配線21aによって供給される電気信号によって駆動するモーター21の回転に伴って回転する複数の歯車とを備えたユニット駆動機構が備えられている。また、ユニット駆動機構には、モーター21以外に、工具KG(例えばプラスドライバー)によって回転可能な手回し歯車46が備えられ、この手回し歯車46が所定方向に回転させられて複数の歯車のうち一部の歯車が回転されることによって、キャッピング機構およびワイピング機構が駆動される。
ユニット駆動機構が備える複数の歯車は、ユニットフレーム91と駆動部カバー94とによって覆われるとともに、これらのユニットフレーム91および駆動部カバー94において各歯車の軸部が回転自在に軸支されている。また、ユニットフレーム91には、手回し歯車46を回転させる際に使用する工具KGが主走査方向Xに挿通可能な貫通孔を有し、その一部が切りかかれた略円筒形状の工具挿入部93が設けられている。
この工具挿入部93が設けられた位置は、ユニットフレーム91において手回し歯車46が備えられた位置から搬送方向に所定の長さ分ずれた位置とされている。すなわち、液体噴射ヘッド19が主走査方向Xにおいて複数備えられる際に、副走査方向Yに沿って所定の長さ分(例えば凡そノズル列の長さ分)互いにずらして配置される場合がある。このような場合、工具挿入部93は、主走査方向Xにおいて隣接するように備えられるメンテナンスユニット100(図中二点鎖線)の手回し歯車46の位置に対して主走査方向X方向視で重なる位置になる。従って、使用される工具KGが工具挿入部93に挿入されることで、隣接するメンテナンスユニット100に備えられた手回し歯車46に対して工具KGの先端が容易に位置決めされるとともに、工具KGによって手回し歯車46を容易に回転させることができる。
さて、メンテナンスユニット100には、一方の軸部50aが、レール部91Aが形成された側壁91Hに固定されたフレーム板95において回転自在に軸支され、他方の軸部50b(図5参照)が駆動部カバー94に回転自在に軸支された回転カム50が備えられている。この回転カム50がユニット駆動機構によって駆動されることによって、キャッピング機構およびワイピング機構が駆動される。
本実施形態のワイピング機構は、ユニットフレーム91においてレール部91Aが形成された側壁91Hの壁面を、副走査方向Yに沿って移動する移動体71が備えられている。そして、回転カム50が、一定の方向に回転することによって、移動体71が側壁91Hの壁面を副走査方向Yおよび反副走査方向Yrに沿って往復移動する。また、この移動体71の移動に連動してワイパーホルダー62をコイルばね63の付勢力に抗して移動させる移動機構が設けられている。本実施形態のワイピング機構に設けられた移動機構は、この移動体71と連動して移動するワイパーホルダー62を、移動体71の移動距離よりも長い距離移動させる移動距離増幅機構ZMである。
次に、この移動距離増幅機構ZMが設けられたワイピング機構について、同じく回転カム50の回転によって駆動されるキャッピング機構と、他の吸引機構とを含めて、図4および図5を参照して説明する。なお、図4は、図3においてユニットフレーム91、駆動部カバー94、フレーム板95を除去した状態で図示されている。また、図5は、図4において吸引機構およびキャッピング機構の一部の機構部品を省略した状態で図示されている。
図4に示すように、本実施形態のメンテナンスユニット100は、駆動源としてのモーター21を1つ有し、配線21aを介して供給される電気信号に応じて回転する。モーター21には、ロータリーエンコーダー23が設けられ、回転数に応じて出力されるパルス信号によってモーター21の回転が制御される。そして、この1つのモーター21の回転駆動によって、上述した各機構がそれぞれ適切に動作するように、モーター21の正転および逆転のそれぞれの回転駆動を複数の歯車によって伝達するユニット駆動機構が構成されている。なお、前述するように、ユニット駆動機構には、モーター21の回転駆動による動作以外に、ワイピング機構とキャッピング機構とを動作させるための手回し歯車46が設けられている。
図4および図5に示すように、ユニット駆動機構は、それぞれの軸部がユニットフレーム91あるいは駆動部カバー94に回転自在に軸支された第1歯車41、第2歯車42、第3歯車43、第4歯車44を備えて構成される。そして、モーター21の回転を伝達して、吸引ポンプ25を回転させる。すなわち、モーターピニオン22の回転は第1歯車41に伝達され、第1歯車41の回転が第2歯車42へ伝達される。吸引ポンプ25は第2歯車42の回転に伴って回転し、所定の方向に回転することによって吸引動作を行う。さらに、ユニット駆動機構は、モーター21の回転を伝達して、回転カム50を回転させる。すなわち、モーターピニオン22の回転は第1歯車41に伝達されたのち、第3歯車43、第4歯車44へ順次伝達され、第4歯車44の回転によって回転カム50の軸端部に形成されたカム歯車45が回転される。なお、手回し歯車46は第4歯車44と噛み合っている。
本実施形態では、第3歯車43には不図示のクラッチ機構KTが組み込まれ、吸引ポンプ25が吸引動作を行う際に所定の方向(図5において破線矢印で示す方向)へ回転する場合、第3歯車43の回転が第4歯車44へ伝達されない構成とされている。従って、回転カム50は、吸引ポンプ25において吸引動作が行われる際は回転しない構成とされる。そして、第3歯車43が所定の方向への回転と反対方向となる一定の方向へ回転する場合は、クラッチ機構KTによって第4歯車44を回転させ、カム歯車45を一定の方向へ回転させる。
本実施形態では、吸引ポンプ25が吸引動作を行う際の第3歯車43における所定の方向への回転をCW回転と呼び、所定の方向の回転とは反対方向の回転をCCW回転と呼ぶ。従って、カム歯車45はモーター21(モーターピニオン22)のCCW回転に伴って一定の方向への回転、すなわちCCW回転をする。また、モーター21の回転を用いることなく、第4歯車44と噛み合う手回し歯車46をCCW回転させることによっても、第4歯車44を回転させてカム歯車45をCCW回転させることが可能である。
カム歯車45のCCW回転に伴ってCCW回転する回転カム50には、複数のカム部(第1カム部51、第2カム部52など)が設けられ、この複数のカム部が回転カム50と一緒にCCW回転することにより、キャッピング機構およびワイピング機構が駆動される。また、本実施形態では、キャッピング機構が駆動されることによってキャップ31が液体噴射ヘッド19と当接して形成される閉空間を、大気開放する大気開放機構の駆動も行われる。なお、回転カム50の回転状態は、特定のカム部の回転位置を検出基板59によって検出することによって行われ、回転カム50のCCW回転の回転状態(回転位置)を制御することによって、キャッピング機構やワイピング機構、および大気開放機構の駆動がそれぞれ行われる。
キャッピング機構は、キャップホルダー32を主走査方向Xの両側から挟む2つの側壁部及び両側壁部の下端間を繋ぐ底壁部を有する断面略U字状のスライダー33と、このスライダー33を副走査方向Yに沿って往復移動させるスライダー移動機構とを備えている。スライダー33の側壁部には、貫通孔で形成された溝カム33aが設けられ、この溝カム33aを、キャップホルダー32に設けられた突起部32aが係合しつつ摺動することによって、スライダー33の往復移動に応じてキャップホルダー32が上下に移動する。
図5に示すように、スライダー移動機構は、大径歯車35がスライダー33の一方の側壁部内面に形成された副走査方向Yに沿うラック(不図示)と噛み合う複合歯車34における大径歯車35の下側に設けられた小径歯車(不図示)と噛み合う一対の上昇用ラック37と下降用ラック38を備えている。これらの上昇用ラック37と下降用ラック38は、回転軸線が鉛直方向に沿う複合歯車34の小径歯車に対して主走査方向Xの反対側から噛み合っており、互いに反対方向に連動して移動することによって複合歯車34の小径歯車を回転させる。そして、上昇用ラック37及び下降用ラック38が、回転カム50に各ラック37,38と個別対応するように軸方向に位置をずらせて設けられた上昇用及び下降用の係止カム部55との係合により、それぞれ反副走査方向Yrに交互に移動させられることによって、スライダー33が往復移動させられる。すなわち、回転カム50がCCW回転することによって、上昇用ラック37が上昇用の係止カム部55により反副走査方向Yrに移動させられると、これと連動して回転する複合歯車34における大径歯車35が、スライダー33を反副走査方向Yrへ往移動させる。この結果、スライダー33の溝カム33aを突起部32aが相対的に摺動することによってキャップホルダー32が上昇し、キャップホルダー32に保持されたキャップ31が対向する液体噴射ヘッド19に当接する。
このとき、下降用ラック38は逆に副走査方向Yへ連動して移動して、回転カム50に設けられた下降用の係止カム部55と係合可能な位置に移動させられる。従って、回転カム50がCCW回転することによって、今度は、下降用ラック38が下降用の係止カム部55により反副走査方向Yrに移動させられる。すると、これと連動して回転する複合歯車34における大径歯車35がスライダー33を副走査方向Yへ往移動させる。この結果、スライダー33の溝カム33aを突起部32aが相対的に摺動することによって、キャップホルダー32が液体噴射ヘッド19から離れるように下降する。
なお、メンテナンスユニット100では、スライダー33の往移動の終了後、モーター21がCW回転して吸引ポンプ25が駆動され、液体噴射ヘッド19にキャップ31が当接することによって形成された閉空間を負圧にして液体噴射ヘッド19からインクを吸引する吸引動作が行われる。また、吸引動作の終了後、モーター21がCCW回転して回転カム50が再びCCW回転すると、スライダー33が復移動を開始するまでの間に、大気開放用カム部58がレバー80を回転させ、吸引されて負圧状態となっている閉空間を大気開放する大気開放機構の駆動も行われる。
さて、本実施形態のメンテナンスユニット100では、キャッピング機構の駆動終了後、次にキャッピング機構の駆動が開始されるまでの間に行われる回転カム50のCCW回転において、ワイパー61が液体噴射ヘッド19を払拭するワイピング動作を行うワイピング機構を備えている。次に、このワイピング機構について詳しく説明する。
図6に示すように、本実施形態のワイピング機構には、前述した板状の移動体71と連動して移動するワイパーホルダー62を、移動体71の移動距離よりも長い距離移動させる移動距離増幅機構ZMが設けられている。また、レール部91Aに沿って往復移動するワイパーホルダー62を、液体噴射ヘッド19の払拭が終了した払拭終了位置側から液体噴射ヘッド19の払拭を開始する払拭開始位置側へ戻す付勢力を付与する付勢体としてのコイルばね63を備えている。ワイパーホルダー62は、移動距離増幅機構ZMを介して移動体71と連動して移動することによって、短い移動体71の移動距離に対して、払拭開始位置と払拭終了位置との間の長い移動距離間を移動する。
移動距離増幅機構ZMは、移動体71に形成された軸部71aに回転自在に軸支された増速歯車72と、ユニットフレーム91の側壁91Hに設けられラック歯を有するラック部位97と、ワイパーホルダー62において増速歯車72と対向する下面側に設けられたラック歯62aと、で構成されている。すなわち、増速歯車72は、ピッチ径の大きい大歯車72aとこの大歯車72aよりもピッチ径が小さい小歯車72bとを備え、移動体71が副走査方向Yへ移動すると、小歯車72bは、ラック部位97のラック歯との噛み合いによって回転しながら移動する。この結果、小歯車72bの回転に伴って一緒に回転する大歯車72aと噛み合うラック歯62aが設けられたワイパーホルダー62は、小歯車72bの移動量に比べて、大歯車72aの外周に設けられた歯車の移動量分、移動距離が多くなるように増幅される。なお、この移動体71の移動に際して、移動を案内する案内孔98がユニットフレーム91の側壁91Hに設けられている。この案内孔98に対して、移動体71に設けられた軸部71aと、軸部71aよりも副走査方向Y側に離れた位置に設けられた案内突起部71bとが摺動可能に挿入され、移動体71は、側壁91Hの壁面部において副走査方向Yに沿って移動可能とされている。
さて、本実施形態のワイピング機構は、回転カム50に設けられた第1カム部51がCCW回転することによって移動体71を副走査方向Yへ向かって往移動させ、この移動体71と連動するワイパーホルダー62(ワイパー61)を副走査方向Yへ向かって払拭開始位置から払拭終了位置まで素早く移動させる。また、払拭終了位置に移動したワイパーホルダー62を、コイルばね63の反副走査方向Yrへの付勢力によって、払拭終了位置から払拭開始位置に向かって素早く復移動させる。そして、その復移動の途中において、ワイパーホルダー62が払拭開始位置へ到達する手前位置で、回転カム50に設けられた第2カム部52が、ワイパーホルダー62と連動して復移動する移動体71と回転しながら当接して移動体71の復移動を規制し、ワイパーホルダー62を緩やかに払拭開始位置へ移動させるように構成される。
第1カム部は、回転カム50の軸線方向に沿って所定の厚さを有し、回転カム50の軸線方向矢視でカム部先端が略三角形状でCCW回転方向側に突出した鉤型形状を呈して設けられている。また、第2カム部52は、第1カム部51に対して回転カム50の軸線方向に沿って軸部50a側にずれた位置に、所定の厚さを有し、回転カム50の軸線方向矢視でカム部先端が丸められた略三角形を呈して設けられている。本実施形態では、第1カム部51と第2カム部52とは、回転カム50と一体で形成されるとともに、回転カム50の軸線方向矢視で、第2カム部52が第1カム部51よりもCCW回転方向へ先に回転した位置に設けられている。また、第2カム部52のカム部先端が第1カム部51のカム部先端に対して所定の角度(ここでは約90度)CCW回転方向に回転した位置に形成されている(図6参照)。
次に、本実施形態のワイピング機構におけるワイパーホルダー62(ワイパー61)の作用(動作)について、図6〜図9を参照して説明する。なお、図6では、吸引ポンプ25による吸引動作が終了し、その後回転カム50がCCW回転して、大気開放動作が終了した状態で図示されている。したがって、図6において実線で示された第1カム部51および第2カム部52の位置は、大気開放動作終了時点における位置を示す。
図6に示すように、メンテナンスユニット100において、大気開放動作が終了した状態から、第1カム部51のカム部先端が図中二点鎖線で示すように移動体71と当接するまで回転カム50がCCW回転する間に、キャッピング機構においてキャップ31の下降動作が行われる。従って、キャップ31が下降して離れた状態となった液体噴射ヘッド19は、図6において実線で示すように、ワイパー61によってノズル形成面19aが払拭される位置へ、主走査方向Xに沿って移動される。
なお、本実施形態では、第1カム部51は、回転カム50の軸部50aに対してほぼ鉛直方向上側の位置で、移動体71の上側において反副走査方向Yr側の移動体後端部73と、そのカム部先端が当接する。こうすることで、第1カム部51は、回転カム50のCCW回転に伴って移動体71が副走査方向Yに移動する移動量を多くすることができる。また、このとき第1カム部51と同時にCCW回転する第2カム部52と移動体71が当接しないように、移動体71には回転カム50の軸部50aを中心とした円弧形状で切り取られた逃げ形状部位74が形成されている。
次に、図7に示すように、回転カム50のCCW回転によって第1カム部51が当接した状態から、回転カム50がさらにCCW回転することによって第1カム部51は移動体71を副走査方向Yへ所定の移動量M1で移動させる。すると、この移動体71と連動して移動するワイパーホルダー62は、コイルばね63の付勢力に抗してコイルばね63を引き伸ばしながら副走査方向Yへ向かって移動し、払拭開始位置から払拭終了位置までの間、移動体71の移動量M1よりも大きな移動量W1で移動する。
すなわち、増速歯車72が移動体71とともに移動量M1で移動する間、この移動に際して増速歯車72の小歯車72bがラック部位97に噛み合っているので、増速歯車72は回転する。従って、回転しながら移動する増速歯車72の大歯車72aと噛み合うラック歯62aを有するワイパーホルダー62の移動量W1は、大歯車72aの半径を長さRdとし小歯車72bの半径を長さRsとすると、W1=M1×(Rd+Rs)÷Rsとなり、(Rd+Rs)÷Rs倍に増幅される。ちなみに、本実施形態では、長さRdは長さRsの約5倍とされ、この結果ワイパーホルダー62は移動体71に対して約6倍に移動量が増幅される。
本実施形態では、ワイパーホルダー62の払拭終了位置は、ワイパー61が液体噴射ヘッド19を移動途中で払拭した後さらに移動して、ユニットフレーム91に取り付けられたワイパークリーナー68と当接した状態となる位置である。そして、このワイパーホルダー62の払拭終了位置において、第1カム部51のカム部先端には、回転カム50が所定の角度範囲分CCW回転する間、移動体71の位置が移動しないように、回転カム50の軸部50aを中心とする半径R1の円弧形状部位51aが移動体71(移動体後端部73)と当接する当接部位として形成されている。したがって、回転カム50がこの所定の角度範囲分CCW回転しても、移動体71は移動量M1を移動した状態が維持されるので、ワイパー61(ワイパーブレード61a)はワイパークリーナー68と暫時当接した状態が維持される。
次に、図8に示すように、第1カム部51が移動体71(移動体後端部73)と当接した状態から、回転カム50がさらにCCW回転することによって、第1カム部51の円弧形状部位51aは移動体71との当接状態が解除される。この結果、移動体71は副走査方向Yとは反対方向への移動が許容されて、副走査方向Yとは反対方向へ自由に移動できる状態となる。このため、移動距離増幅機構ZMを介して移動体71と連動して移動するワイパーホルダー62も、副走査方向Yと反対方向へ自由に移動できる状態となる。
従って、副走査方向Yと反対方向への移動が自由にできる状態となったワイパーホルダー62は、引き伸ばされたコイルばね63の付勢力によってレール部91Aに沿って反副走査方向Yrに引き戻され、払拭開始位置へ向かって素早く復移動する。もとより、このワイパーホルダー62の復移動に連動して、移動体71も反副走査方向Yrへ減幅された移動量で復移動する。なお、このワイパーホルダー62の復移動に際して、液体噴射ヘッド19は移動するワイパー61とは接触しない位置へ移動されることが好ましい。
本実施形態では、この復移動するワイパーホルダー62が払拭開始位置へ戻りきる手前位置で、ワイパーホルダー62と連動して復移動している移動体71に対して、回転カム50に設けられた第2カム部52が回転しながら当接する。ちなみに、ワイパーホルダー62は、ワイパーブレード61aが液体噴射ヘッド19を通過した位置まで移動量W2で移動し、これに連動する移動体71は、移動量W2の約6分の1に減幅された移動量M2で移動する。なお、このワイパーホルダー62の移動量W2は、少なくとも移動量W1の半分以上の移動量とされている。もとより、ワイパーホルダー62の移動量W2は、できるだけ移動量W1に近い移動量であることが好ましい。
このように移動量が減幅された移動体71に第2カム部52が回転しながら当接することによって、移動体71に連動するワイパーホルダー62はユニットフレーム91における係止部92へのホルダー端部62eの強い衝撃を伴った衝突が回避される。なお、移動体71は第2カム部52に対して当接部位75が衝突する状態となるが、移動量が減幅されているため移動速度もワイパーホルダー62に比べて遅く、ワイパーホルダー62(ホルダー端部62e)が当接する際の衝撃に比べて、その衝撃力が緩和される。また、第2カム部52と当接する移動体71の当接部位75は、その中心が回転カム50の軸方向に位置する円弧形状とされ、第2カム部52と当接したときの衝撃力が、図8中白抜き矢印で示すように当接位置75aにおいて回転カム50の軸中心に向かうようにされている。これにより、回転カム50をCCW回転させる大きな回転モーメントが生じないようにしている。
次に、図9に示すように、第2カム部52が移動体71の円弧形状の当接部位75と当接した状態から、回転カム50がさらにCCW回転することによって、第2カム部52は移動体71における当接部位75の円弧形状に沿って、その当接状態が維持されながら回転移動する。換言すれば、当接部位75は、第2カム部52の回転とともに移動体71を反副走査方向Yrへ移動させることが可能な円弧形状で形成されている。
ちなみに、本実施形態では、第2カム部52に当接する移動体71の当接部位75は、移動体71が往移動を開始する払拭開始位置において、回転カム50の軸部50aの中心に対して副走査方向Yとは反対方向に所定長さずれた位置を中心とする半径R2円弧形状で形成されている。なお、半径R2は、少なくとも第2カム部52がCCW回転する際にカム部先端が当接部位75と干渉することなく円滑に回転することが可能な長さで設定される。
さて、移動体71(当接部位75)が当接した状態において、第2カム部52は第1カム部51よりも先にCCW回転した位置にあるので、第2カム部52はそのカム部先端がCCW回転によって反副走査方向Yrへの移動量が比較的多くなる位置にCCW回転した状態になっている。したがって、第2カム部52のCCW回転に伴って、移動体71が反副走査方向Yrへ移動量M3、すなわち移動量M1−移動量M2を早く移動して払拭開始位置へ戻る。この結果、移動距離増幅機構ZMを介して移動体71と連動して移動するワイパーホルダー62も、コイルばね63の付勢力によることなく、ラック歯62aが増速歯車72と噛み合うことによって反副走査方向Yrへ移動量W3、すなわち移動量W1−移動量W2を移動して払拭開始位置まで素早く戻り、ワイピング機構の駆動が終了する。
その後、回転カム50は、第1カム部51および第2カム部52が移動体71とは当接しない状態でCCW回転することによって、キャッピング機構を駆動してキャップホルダー32を上昇させる。このとき回転カム50の第1カム部51および第2カム部52は、図9において実線で示した位置から図中矢印示すようにCCW回転して、図中二点鎖線で示した位置へ移動する。なお、この二点鎖線で示した第1カム部51および第2カム部52の位置は、図6において実線で示した位置と同じ位置である。したがって、本実施形態におけるメンテナンスユニット100では、図6から図9に示した作用(動作)が繰り返し行われることで、キャッピング機構および大気開放動作の間に、ワイピング機構の駆動が素早く行われる。
上記説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)回転する第1カム部51によって移動体71を往移動させると、これに連動してワイパーホルダー62(ワイパー61)が払拭開始位置から払拭終了位置に向けて往移動することにより払拭を行うとともに、払拭が終了した後にはコイルばね63の付勢力でワイパーホルダー62は払拭開始位置に向けて素早く復移動させられる。そして、このコイルばね63の付勢力によって素早く戻るワイパーホルダー62が払拭開始位置へ到達する手前位置において、第2カム部52が回転しながら移動体71と当接することによって、この移動体71と連動するワイパーホルダー62は払拭開始位置までの移動速度をコイルばね63の付勢力による場合よりも低減される。そのため、ワイパーホルダー62は、払拭開始位置へ到達する手前位置から払拭開始位置までの区間をコイルばね63の付勢力による場合よりも相対的に遅い移動速度で移動し、払拭開始位置に対して緩やかに衝突する。従って、コイルばね63の付勢によって移動するワイパーホルダー62が払拭開始位置に到達する際に生ずる衝撃(衝突音)を抑制しつつ、ワイパーホルダー62を払拭開始位置へ素早く戻すことができる。
(2)ワイパーホルダー62を移動体71が移動した距離よりも長い距離だけ移動させる移動距離増幅機構ZMを有するので、ワイパーホルダー62の移動距離が長い場合であっても移動体71の移動距離を短くすることができる。従って、第1カム部51の形状を大きくしなくても済むので、メンテナンスユニット100の大型化を抑制できる。
(3)回転カム50には、第2カム部52が第1カム部51よりもCCW回転方向へ先に回転した位置に設けられているので、CCW回転する第1カム部51によって移動体71を往移動させるとともに、第1カム部51よりも先にCCW回転している第2カム部52によって、移動体71との当接後に移動体71を素早く復移動させることができる。従って、回転機構が複雑化することなく移動体71を素早く往復移動させることによってワイパーホルダー62を払拭開始位置と払拭終了位置との間で素早く移動させることができる。また、第1カム部51と第2カム部52とを一体で形成できるので、回転カム50の低コスト化が可能である。
(4)メンテナンスユニット100のユニットフレーム91の一部であるレール部91Aをワイパーホルダー62の移動案内部として利用するので、別途移動案内部を必要とせず、メンテナンスユニット100の小型化および低コスト化が可能である。
(5)コイルばね63の付勢によって移動するワイパーホルダー62が払拭開始位置に到達する際に生ずる衝撃(衝突音)を抑制しつつ、ワイパーホルダー62を払拭開始位置へ素早く戻すことができるメンテナンスユニット100を備えた液体噴射装置が得られる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態のメンテナンスユニットにおいて、移動体71と、当該移動体71の往復移動と連動して往復移動するワイパーホルダー62との間に、ワイパーホルダー62を移動体71が移動した距離よりも長い距離だけ移動させる移動距離増幅機構ZMを必ずしも備えなくてもよい。ワイパー61の移動距離が短い場合は増幅させなくてもよい。またこの場合、移動体71とワイパーホルダー62とを一体で形成してもよい。
・上記実施形態のメンテナンスユニットに100おいて、第2カム部52は必ずしも第1カム部51よりも先にCCW回転した位置に設けられなくてもよい。例えば、第1カム部51と第2カム部52とが回転カム50の軸線方向視で重なる位置であってもよい。もとよりこの場合は、移動体71において形成される第1カム部51および第2カム部52との当接部位の形状を上記実施形態の形状とは異なる形状に変更すればよい。
・上記実形態において、回転カム50は一方向への回転がCCW回転であることとしたが、これとは逆のCW回転されることとしてもよい。もとよりこの場合は、吸引ポンプ25が吸引動作を行うときの回転方向をCW回転でなくCCW回転とすればよい。また、移動体71に形成される当接部位および第1カム部51と第2カム部52についても、それぞれ上下が逆になるように裏返した反転形状で設けられる。
・上記実施形態のメンテナンスユニットにおいて、ワイパーホルダー62が往復移動する際に、当該ワイパーホルダー62の移動を案内する移動案内部を、必ずしもメンテナンスユニットの筐体の一部に備えなくてもよい。例えば、メンテナンスユニット100のユニットフレーム91とは異なる別部材でレール部91Aが備えられていてもよい。
・上記実施形態において、付勢体はコイルばね63に限らず、ねじりばねや伸縮ゴムなどの弾性部材であってもよい。
・上記実施形態において、ワイパー61はワイパーホルダー62と一体で形成されていてもよい。
・上記実施形態において、移動距離増幅機構ZMは歯車に限らず、例えばリンク機構で構成されていてもよい。
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。あるいは、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
11…プリンター(液体噴射装置)、19…液体噴射ヘッド、50…回転カム、51…第1カム部、52…第2カム部、61…ワイパー(払拭部)、62…ワイパーホルダー(払拭部)、63…コイルばね(付勢体)、71…移動体、100…メンテナンスユニット、ZM…移動距離増幅機構。

Claims (5)

  1. 液体を噴射する液体噴射ヘッドに付着した前記液体の払拭を開始する払拭開始位置と払拭を終了する払拭終了位置との間で往復移動する払拭部と、
    前記払拭部の往復移動と連動して往復移動する移動体と、
    前記払拭終了位置側から前記払拭開始位置側へ前記払拭部を付勢する付勢体と、
    前記移動体と当接した状態で回転することにより当該移動体を移動させる回転カムと、
    を備え、
    前記回転カムには、
    前記移動体を往移動させることにより、当該移動体と連動する前記払拭部を前記払拭開始位置から前記払拭終了位置まで前記付勢体の付勢力に抗して往移動させたのち、前記移動体との当接を解除して前記移動体の復移動を許容し、当該移動体と連動する前記払拭部を前記付勢力によって前記払拭終了位置から前記払拭開始位置へ向かって復移動させる第1カム部と、
    前記復移動する前記払拭部が前記払拭開始位置に到達する手前位置から前記払拭開始位置に到達するまでの区間において、前記移動体と当接した状態で回転しながら前記移動体を復移動させることにより、前記払拭部を前記手前位置から前記払拭開始位置まで前記付勢力による移動速度よりも遅い移動速度で復移動させる第2カム部と、
    が設けられていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  2. 請求項1に記載のメンテナンスユニットにおいて、
    前記移動体と前記払拭部との間に、前記移動体の往復移動に連動して前記払拭部を前記移動体が移動した距離よりも長い距離だけ移動させる移動距離増幅機構が設けられていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  3. 請求項1または2に記載のメンテナンスユニットにおいて、
    前記第1カム部と前記第2カム部とは同時に同一方向に回転するとともに、
    前記回転カムには、前記第2カム部が、前記第1カム部よりも前記同一方向へ先に回転した位置に設けられていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のメンテナンスユニットにおいて、
    前記払拭部が往復移動する際に、当該払拭部の移動を案内する移動案内部を、前記メンテナンスユニットの筐体の一部に備えることを特徴とするメンテナンスユニット。
  5. 液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
    請求項1ないし4のいずれか一項に記載のメンテナンスユニットと、
    を備える液体噴射装置。
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