JP2013191498A - 直流遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電圧領域においても好適に用いることのできる直流遮断器を提案する。
【解決手段】本発明の直流遮断器は、固定端子5と、内部に封止空間Sを有しており固定端子5の端面9を封止空間Sに露出させて設ける金属ケース2と、封止空間S内に配されて固定端子5の端面9に対して接離する可動端子10とを備える。そして、この封止空間Sのうち固定端子5の端面9を囲む領域には、セラミックス製の側板3を配置する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の直流遮断器は、固定端子5と、内部に封止空間Sを有しており固定端子5の端面9を封止空間Sに露出させて設ける金属ケース2と、封止空間S内に配されて固定端子5の端面9に対して接離する可動端子10とを備える。そして、この封止空間Sのうち固定端子5の端面9を囲む領域には、セラミックス製の側板3を配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、封止空間内にて可動端子を固定端子に接離させる構造の直流遮断器に関する。
特許文献1には、直流遮断器が記載されている。この直流遮断器は、樹脂製の絶縁ケース内の空間にて、固定端子に対して可動端子を接触させることにより直流を通電させ、可動端子を離間させることにより直流を遮断させる構造である。
前述した構造の直流遮断器は、特に高電圧領域で使用するには好ましくない。というのも、高電圧領域では直流遮断時に発生するアーク容量も大きく、アーク衝突に伴って絶縁ケースに破損を生じるおそれがあるからである。
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、アーク衝突に伴って絶縁破壊を生じることが抑えられ、高電圧領域においても好適に用いることのできる直流遮断器を提案することを、課題とする。
前記課題を解決するために、本発明を、下記構成を具備した直流遮断器とする。
本発明は、固定端子と、内部に有する封止空間に前記固定端子の端面を露出させて設ける金属ケースと、前記封止空間内に配されて前記固定端子の前記端面に対して接離する可動端子と、前記封止空間のうち前記固定端子の前記端面を囲む領域に配置されるセラミックス製の側板と、を具備する直流遮断器である。
本発明は、前記固定端子が配置される貫通孔を有するセラミックス製の天板と、前記封止空間に不活性ガスが封入された状態で前記貫通孔を気密封止するように前記天板の外表面上に形成される樹脂封止部と、を更に具備することが好ましい。
前記樹脂封止部は、硬化性樹脂層と粘土層とが積層された積層構造から成り、前記粘土層は、鱗片形状を有する粘土粒子が一方向にむけて配向されたものであることが好ましい。
前記粘土層は、少なくとも前記天板の外表面から前記固定端子の外表面にかけての領域上に塗布され、前記硬化性樹脂層は、前記粘土層に積層されることも好ましい。
前記粘土層は、前記金属ケースから前記天板の外表面、前記固定端子の外表面にかけての領域上に形成され、前記金属ケースと前記固定端子の両方又は一方の外表面には、エッチング処理が施されることも好ましい。
前記金属ケースは、少なくとも前記硬化性樹脂層が形成される部分が、アルミニウム製であり且つその外表面にアルマイト処理が施されたものであることが好ましい。
前記固定端子は、銅の外表面にNiめっきを施したものであることが好ましい。
前記セラミックスは、酸化アルミニウムであることが好ましい。
本発明によれば、アーク衝突に伴って絶縁破壊を生じることが抑えられ、高電圧領域においても好適に用いることができるという効果を奏する。
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1には、本発明の第一実施形態の直流遮断器の構造を示し、図2(a)〜(g)には、この直流遮断器の組み立て工程を、順に示している。
図1に示すように、本実施形態では、一面側の開口した有底筒型の金属ケース2と、この金属ケース2の内周面に配置されるセラミックス製の側板3と、この金属ケース2の開口を塞ぐように配置されるセラミックス製の天板4とで、ケースブロックを形成している。このケースブロック内に、封止空間Sが形成される。
天板4には、固定端子5を配置するための貫通孔6が一対形成されている。固定端子5は、アルミナ分散銅等の金属からなり、貫通孔6に貫通配置された状態で、その一端側の端面9を封止空間S内に露出させる。
封止空間Sには、この固定端子5の端面9に対して接離するように、銅、銀等の金属からなる可動端子10を配している。可動端子10は、金属ケース2の外底面に配置される駆動機構11によって駆動され、所定の接離動作を行う。駆動機構11は、電磁石12と、この電磁石12によって進退駆動されるプランジャ13とを有する。
以下の本文中においては、可動端子10に対して固定端子5が配置される側を上側、その逆側を下側とする。
金属ケース2は、その底壁中央に貫通孔14を有しており、この貫通孔14を通じてプランジャ13の端部が金属ケース2内にまで挿入される。プランジャ13の端部には、金属ケース2内の封止空間Sにて可動端子10が固定される。
封止空間S内には、不活性ガスとして水素ガスが充填される。そして、天板4が有する全ての貫通孔6を封止して封止空間Sを気密封止する樹脂封止部30を、硬化性樹脂層31と粘土層32の積層構造によって形成している。
本実施形態では、硬化性樹脂層31として第一の硬化性樹脂層31aと第二の硬化性樹脂層31bを形成し、両樹脂層31a,31b間に粘土層32を介在させている。換言すれば、天板4、第一の硬化性樹脂層31a、粘土層32及び第二の硬化性樹脂層31bが、この順で積層される四層構造となっている。
以下、図2(a)〜(g)に基づいて、本実施形態での組み立て工程を順に説明する。
まず、図2(a)に示すように、アルミニウム、SUS、銅等の金属を用いて有底筒型に成型した金属ケース2の内周面に、全周にわたって、セラミックス製の側板3を配置固定する。セラミックスの材質としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム等が挙げられるが、特に純度92%の酸化アルミニウムが耐アーク性能に優れ且つ低コストであり、好適に用いられる。
次いで、図2(b)に示すように、この金属ケース2にプランジャ13や可動端子10を配置する。このとき、金属ケース2の貫通孔14にプランジャ13がスライド自在に挿通される。
次いで、図2(c)に示すように、側板3と同様のセラミックスを用いて成型した天板4を、金属ケース2の開口を塞ぐように上方から配置する。金属ケース2の内周面には、全周に亘る段部7を形成しており、この段部7上に天板4の周縁部を載置する。側板3は、金属ケース2の内周面のうち段部7よりも下側(即ち底壁側)の領域の全面に配置される。そのため、載置された天板4の下面と側板3の上端とが当接し、この天板4と側板3とで、一連のセラミックス構造が金属ケース2とは逆向きの有底筒状に形成される。
天板4が有する一対の貫通孔6には、上方から固定端子5が配置される。固定端子5は棒状であり、その外周面からフランジ部16を突設している。固定端子5は、フランジ部16が天板4の外表面に係止した状態において、端面9を有する一端部側が封止空間S内に突出し、他端部が封止空間S外に突出するように、位置決めされる。
次いで、図2(d)に示すように、金属ケース2の開口に蓋をするように嵌合配置される天板4の外表面に対して、ディスペンサ等の注入手段を用いてエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂を注入する。これにより、第一の硬化性樹脂層31aが形成される。
次いで、図2(e)に示すように、この第一の硬化性樹脂層31a上に、さらに粘土フィルム18を配置する。粘土フィルム18は、鱗片形状を有する粘土粒子19が一方向にむけて配向されたものであり(図3参照)、このように配向された粘土粒子19の層が、複数層重ねられている。
粘土フィルム18は、一対の固定端子5と対応する箇所に、それぞれ貫通孔を有している。各貫通孔に固定端子5が貫通するように粘土フィルム18を配置することで、この粘土フィルム18からなる粘土層32が、第一の硬化性樹脂層31a上に積層される。
粘土フィルム18を作成するには、以下の方法が用いられる。即ち、例えば天然モンモリロナイト、合成サポナイト等の粘土材料に蒸留水を加え、回転子とともにプラスチック容器に入れて攪拌し、均一な粘土分散液を得る。この粘土分散液を、底面が平坦なトレイ上に注いで水平に静置することで、粘土粒子を沈積させる。このトレイを水平に保った状態で、50℃の一定温度条件下で5時間熱風乾燥させることで、厚さ50μmの半透明な粘土薄膜を得る。得られた粘土薄膜を100℃に保ったオーブン中で乾燥させ、トレイから剥がすことにより、粘土フィルム18が得られる。
粘土フィルム18は、前記したような粘土結晶構造を有するので、ガスは図3中の矢印のように迂回をしないと透過することができない。そのため、ガス透過経路が長くなり、ガスバリア性能が非常に高いものとなる。
次いで、図2(f)に示すように、第一の硬化性樹脂層31aに積層された粘土フィルム18上に、ディスペンサ等の注入手段を用いてエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂を注入する。ここで注入された硬化性樹脂が、第二の硬化性樹脂層31bを形成する。
なお、硬化性樹脂層31(本実施形態では、第一及び第二の硬化性樹脂層31a,31b)を形成するための硬化性樹脂としては、エポキシ系接着剤を用いることが好ましい。エポキシ系接着剤は耐熱性に優れているため、高温環境下での気密性に優れるとともに、粘土層32との親和性も良好であるため、粘土層32との間において高い密着強度も得られる。
さらに、このエポキシ系接着剤の中に、酸化アルミニウムや酸化ケイ素からなる無機質フィラーを添加することも好ましい。無機質フィラーの添加によって、硬化性樹脂層31の耐熱性や気密性が一層向上する。また、これら無機質フィラーの粒径や添加量を調整することにより、エポキシ系接着剤の粘度や熱膨張係数を調整することや、樹脂内からのアウトガスの発生を抑制することもできる。
次いで、図2(g)に示すように、プランジャ13を往復摺動自在に収納するSUS製の金属キャップ8を、金属ケース2の底壁の外面に溶接する。溶接は、図示略のチャンバー内において、水素ガスからなる不活性ガスを加圧封入した状態で行われる。溶接工法としては、例えばプロジェクション溶接、TIG溶接、レーザー溶接等が挙げられる。これにより、不活性ガスが封入された封止空間Sは、第一の硬化性樹脂層31a、粘土層32及び第二の硬化性樹脂層31bからなる三層構造の樹脂封止部30によって、気密状態で封止される。金属キャップ8を囲む位置には、さらに電磁石12を配置する。
また、図示はしていないが、本実施形態の直流遮断器では、封止空間Sに所定の外部磁場を発生させるための永久磁石が、金属ケース2を囲む外部位置に配される。ここで発生される外部磁場は、固定端子5の端面9と可動端子10との間で遮断時に発生するアークを、ローレンツ力によって側方にむけて(即ち、固定端子5と可動端子10の間で電流が流れる方向と直交する方向にむけて)引き伸ばし、これによりアークを速やかに遮断するものである。
そして、本実施形態の直流遮断器では、封止空間Sのうちで固定端子5の端面9の側方を全周に亘って囲む領域に、セラミックス製の側板3が配されている。つまり、アークがローレンツ力によって引き伸ばされる方向に、強度や耐アーク性に優れたセラミックス製の側板3が配置されている。このように、封止空間S内でのアーク衝突部分にセラミック製の側板3が配置されるため、高容量のアークが衝突した際の破損が防止され、これにより絶縁破壊が防止される。
加えて、本実施形態の直流遮断器では、固定端子5を貫通配置する天板4をセラミック製の平板として設け、この天板4の外表面上に、粘土フィルム18を硬化性樹脂層31a,31bでサンドイッチした三層構造の樹脂封止部30を形成している。この樹脂封止部30は、封止空間Sに水素ガスが封入された状態で、天板4の固定端子5が配置される貫通孔6を気密封止し、封止空間Sを密閉状態に保つ。
ここで、天板4をなすセラミックスは、耐アーク性に優れるとともにガスバリア性が高いという性質を有する。したがって、150℃程度の高温環境下において樹脂封止部30の硬化性樹脂層31a,31bからアウトガスが発生しても、このセラミックス製の天板4が、封止空間Sへのアウトガスの侵入を防止するように機能する。
なお、樹脂部分からのアウトガスが封止空間S内に侵入すると、アウトガス中の有機成分が、常温冷却時に固定端子5や可動端子10の通電部分に付着する。ここで付着した有機成分は絶縁性物質であるため、通電時の接触抵抗が増大し、大電流での通電が困難になる。この問題が、セラミックス製の天板4の配置によって解決される。
また、天板4上に形成される樹脂封止部30は、鱗片形状を有する粘土粒子を一方向にむけて配向させることで高いガスバリア性を備えた粘土層32を、第一及び第二の硬化性樹脂層31a,31bで挟み込んで形成したものであり、粘土層32と硬化性樹脂層31a,32bの密着性も良好である。そのため、樹脂封止部30は全体の気密性が非常に高く、不活性ガスとして水素ガスを封入しても、これを気密性よく封止することができる。熱伝導率の高い水素ガスが用いられることで、アークの冷却性能が向上し、300V以上の高電圧領域であってもアークを瞬時に遮断させることが可能となる。
このように、本実施形態の直流遮断器では、熱伝導率の高い水素ガスを封止空間Sに封入し、この水素ガスを、ガスバリア性の高い粘土層32を有する樹脂封止部30で封止し、高容量のアークが衝突する箇所には耐アーク性の高いセラミックス製の側板3を配置している。そのため、300V以上の高電圧領域であってもアークを瞬時に遮断させ、且つ、高容量のアークの衝突により絶縁破壊が生じることも防止される。加えて、高温環境下において樹脂封止部30から有機成分を含むアウトガスが発生しても、このアウトガスが封止空間Sに侵入することは、セラミックス製の天板4により防止される。また、封止空間Sは、金属ケース2とセラミックス製の側板3及び天板4により囲まれるため、有機成分を含むアウトガスがこれら周囲部分から発生することもない。そのため、特に300V以上の高電圧領域で好適に用いられる直流遮断器となる。
なお、本実施形態の直流遮断器では、金属ケース2をアルミニウムで成型し、陽極酸化処理によって、その外表面にアルマイト処理を施しておくことが好ましい。アルマイト皮膜は多数の微細孔が形成された多孔質体となるので、この上から樹脂を封入することにより、アンカー効果によって樹脂との密着性が向上し、ひいてはガスバリア性が一層向上する。加えて、アルミニウムは加工性に優れるため、様々な構造を設計することも容易となる。
また、金属ケース2の外表面にエッチング処理を施すことや、固定端子5の外表面にエッチング処理を施すことも好適である。これらエッチング処理により予め外表面を粗面化しておくことで、アンカー効果によって硬化性樹脂層31や粘土層32との間で高い密着性が得られ、ガスバリア性が一層向上する。エッチング方法としては、例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング、フォトエッチング、化学エッチング等があるが、表面の粗化や凹凸形成という点では化学エッチングが好ましい。
また、固定端子5の材質として銅を用い、その表面にNiめっきを施すことも好ましい。電気抵抗の低い銅を用いることで、大電流での通電が可能となる。加えて、表面のNiめっきは特にエポキシ樹脂との間で密着性が高く、硬化性樹脂層31がエポキシ系接着剤からなる場合には、特に固定端子5との密着性が向上し、ひいてはガスバリア性が一層向上する。
次に、本発明の第二実施形態の直流遮断器について、図4に基づいて説明する。なお、本実施形態の構成のうち、前述した第一実施形態と同様の構成については詳しい説明を省略し、本実施形態の特有の構成についてのみ以下に詳述する。
図4(a)〜(c)には、本発明の第二実施形態の直流遮断器の組み立て工程のうち、樹脂封止部30を形成する工程を示している。図4(c)に示すように、本実施形態においても、封止空間Sを気密封止する樹脂封止部30を、硬化性樹脂層31と粘土層32の積層構造によって形成している。しかし、本実施形態では、ペースト状の粘土をまず天板4上に塗布して粘土層32を形成し、その上に硬化性樹脂層31を積層させる。
図4(a)、(b)に示すように、本実施形態では、金属ケースの段部7上に載置された天板4の外表面に対して、ペースト化された粘土材料40を、刷毛塗りによって所定方向に塗布圧を加えながら、均一に塗布する。ペースト化された粘土材料40は、天然モンモリロナイト、合成サポナイト等の粘土材料にバインダー及び溶剤を混ぜて攪拌することにより作製される。
この粘土材料40は、天板4の外表面のうち固定端子5のフランジ部16が載置される面を除く領域と、金属ケース2の内周面のうち天板4よりも上方の領域と、各固定端子5の外周面のうち天板4から外側に突出する部分(本実施形態ではフランジ部16及びその近傍部分の外周面)とに対して、一連に塗布される。ここでは、粘土材料40内の鱗片形状を有する粘土粒子が一方向にむけて配向されるように塗布圧を加える。
粘土材料40は、塗布後に100℃の温度条件下で30分乾燥させ、溶剤成分を蒸発させることにより、天板4から金属ケース2、固定端子5に至るまでの範囲で形成された粘土層32となる。得られた粘土層32は、鱗片状の粘土粒子が一方向に配向されているため、高いガスバリア性を有する。
次いで、図4(c)に示すように、この粘土層32を覆い隠すように硬化性樹脂を注入し、硬化性樹脂層31を形成する。硬化性樹脂層31は、その表面から一対の固定端子5の端部がそれぞれ突出するように、天板4上に充填される。
この樹脂封止部30も、ガスバリア性の高い粘土層32を有し、粘土層32と硬化性樹脂層31の密着性も良好であるため、封止空間Sに水素ガスを封入しても、これを気密性よく封止することができる。特に、本実施形態の粘土層32によれば、金属ケース2と天板4と固定端子5との界面領域におけるガスバリア性が向上される。
加えて、高温環境下において樹脂封止部30からアウトガスが発生しても、これが封止空間Sに侵入することが、ガスバリア性の高い粘土層32やセラミックス製の天板4により防止される。
本実施形態の直流遮断器においても、金属ケース2の外表面にエッチング処理を施すことや、固定端子5の外表面にエッチング処理を施すことが好ましい。エッチング処理により外表面を粗面化することで、アンカー効果により粘土層32や硬化性樹脂層31との密着性が向上し、ガスバリア性が一層向上する。
以上、説明したように、第一及び第二実施形態の直流遮断器は、固定端子5と、内部に有する封止空間Sに固定端子5の端面9を露出させて設ける金属ケース2と、封止空間S内に配されて固定端子5の端面9に対して接離する可動端子10と、封止空間Sのうち固定端子5の端面9を囲む領域に配置されるセラミックス製の側板3と、を具備する。
このように、第一及び第二実施形態の直流遮断器においては、高容量のアークが発生しても、固定端子5の端面9を囲む領域であるアーク衝突部分にはセラミック製の側板3を配しているので、アーク衝突に伴って破損を生じることが抑えられる。そのため、絶縁破壊を生じることが抑えられ、高電圧領域においても好適に用いることのできる直流遮断器となる。
加えて、第一及び第二実施形態の直流遮断器においては、固定端子5が配置される貫通孔6を有するセラミックス製の天板4と、封止空間Sに不活性ガスが封入された状態で貫通孔6を気密封止するように天板4の外表面上に形成される樹脂封止部30と、を具備する。
これにより、第一及び第二実施形態の直流遮断器では、高温環境下において樹脂封止部30から発生するアウトガスをセラミックス製の天板4で遮断し、このアウトガスが封止空間S内に侵入することを抑えることができる。
また、第一及び第二実施形態の直流遮断器において、樹脂封止部30は、硬化性樹脂層31と粘土層32とが積層された積層構造から成り、粘土層32は、鱗片形状を有する粘土粒子が一方向にむけて配向されたものである。これにより、不活性ガスとして分子サイズの小さいガスを用いても、ガスバリア性の高い粘土層32によってこの不活性ガスを気密封止することができる。そのため、アークの冷却性能を向上させることが可能となり、ひいては、高電圧領域においてもアークを瞬時に遮断させることが可能となる。
また、本発明の第二実施形態の直流遮断器において、粘土層32は、少なくとも天板4の外表面から固定端子5の外表面にかけての領域上に塗布され、硬化性樹脂層31は、粘土層32に積層される。このような積層構造にすることで、天板4とこれに貫通配置される固定端子5との界面領域でのガスバリア性が、一層向上する。
さらに、第二実施形態の直流遮断器において、粘土層32は、金属ケース2から天板4の外表面、固定端子5の外表面にかけての領域上に形成され、金属ケース2と固定端子5の外表面には、エッチング処理が施されていることが好ましい。これにより、金属ケース2や固定端子5の外表面を粗面化することができ、アンカー効果によって粘土層32との密着性を向上させ、樹脂封止部30全体のガスバリア性を一層向上させることができる。エッチング処理は、金属ケース2と固定端子5のうち一方にだけ施してもよい。
また、第一及び第二実施形態の直流遮断器において、金属ケース2は、少なくとも硬化性樹脂層31が形成される部分が、アルミニウム製であり且つその外表面にアルマイト処理が施されたものであることが好ましい。これにより、金属ケース2の外表面にアルマイト皮膜を形成し、このアルマイト皮膜と硬化性樹脂層31とをアンカー効果によって密着させることができる。そのため、樹脂封止部30全体のガスバリア性が一層向上する。加えて、アルミニウムは加工性に優れるため、様々な構造を設計することも容易となる。
また、第一及び第二実施形態の直流遮断器において、固定端子5は、銅の外表面にNiめっきを施したものであることが好ましい。固定端子5の材質として銅を用いることで、大電流での通電が可能となる。加えて、表面にNiめっきを施すことで、硬化性樹脂層31(特にエポキシ樹脂)との密着性が向上し、ひいては樹脂封止部30全体のガスバリア性が一層向上する。
また、側板3や天板4の材質として用いるセラミックスは、酸化アルミニウムであることが好ましい。酸化アルミニウムは、耐アーク性能やガスバリア性に優れ、且つ低コストの材質である。そのため、酸化アルミニウムを用いることで、側板3による絶縁破壊の防止や、天板4によるアウトガスの侵入防止を、より確実に且つ低コストで実現することができる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、例えば天板4をアルミニウム等の金属で形成することも可能である。その他の構成についても、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことが可能である。
2 金属ケース
3 側板
4 天板
5 固定端子
6 貫通孔
9 端面
10 可動端子
30 樹脂封止部
31 硬化性樹脂層
32 粘土層
S 封止空間
3 側板
4 天板
5 固定端子
6 貫通孔
9 端面
10 可動端子
30 樹脂封止部
31 硬化性樹脂層
32 粘土層
S 封止空間
Claims (8)
- 固定端子と、
内部に有する封止空間に前記固定端子の端面を露出させて設ける金属ケースと、
前記封止空間内に配されて前記固定端子の前記端面に対して接離する可動端子と、
前記封止空間のうち前記固定端子の前記端面を囲む領域に配置されるセラミックス製の側板と、を具備することを特徴とする直流遮断器。 - 前記固定端子が配置される貫通孔を有するセラミックス製の天板と、
前記封止空間に不活性ガスが封入された状態で前記貫通孔を気密封止するように前記天板の外表面上に形成される樹脂封止部と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。 - 前記樹脂封止部は、硬化性樹脂層と粘土層とが積層された積層構造から成り、
前記粘土層は、鱗片形状を有する粘土粒子が一方向にむけて配向されたものであることを特徴とする請求項2に記載の直流遮断器。 - 前記粘土層は、少なくとも前記天板の外表面から前記固定端子の外表面にかけての領域上に塗布され、
前記硬化性樹脂層は、前記粘土層に積層されることを特徴とする請求項3に記載の直流遮断器。 - 前記粘土層は、前記金属ケースから前記天板の外表面、前記固定端子の外表面にかけての領域上に形成され、
前記金属ケースと前記固定端子の両方又は一方の外表面には、エッチング処理が施されることを特徴とする請求項4に記載の直流遮断器。 - 前記金属ケースは、少なくとも前記硬化性樹脂層が形成される部分が、アルミニウム製であり且つその外表面にアルマイト処理が施されたものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の直流遮断器。
- 前記固定端子は、銅の外表面にNiめっきを施したものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の直流遮断器。
- 前記セラミックスは、酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の直流遮断器。
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2012
- 2012-03-15 JP JP2012058592A patent/JP2013191498A/ja active Pending
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