JP2013191297A - 蓄電デバイス用正極材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下においても、サイクル特性に優れた蓄電デバイス用正極材料を提供する。
【解決手段】一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質と、水溶性高分子または熱硬化性樹脂を含む結着剤を含有することを特徴とする蓄電デバイス用正極材料。
【選択図】なし
【解決手段】一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質と、水溶性高分子または熱硬化性樹脂を含む結着剤を含有することを特徴とする蓄電デバイス用正極材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、携帯型電子機器や電気自動車等に用いられるリチウムイオン非水二次電池等の蓄電デバイス用正極材料に関する。
近年、携帯電子機器の普及に伴い、リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスには高エネルギー密度化に対する要望が高まっている。さらに、ハイブリッドを含む電気自動車等の車載用蓄電デバイスには優れた急速充放電特性や、低温または高温環境下において安定したサイクル特性が望まれている。
一般に、リチウムイオン二次電池用の正極材料にはリチウム−遷移金属複合酸化物結晶が用いられ、負極材料には炭素材料が用いられている。これらの材料は、充放電によってリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する電極活物質として機能し、非水電解液または固体電解質によって電気化学的に連結された、いわゆるロッキングチェア型の二次電池を構成する。
正極活物質に用いられるリチウム−遷移金属複合酸化物結晶としては、4V級のLiCoO2、LiNiO2やLiCo1-xNixO2(0<x<1)等が広く用いられている。ここで、Coを含有するリチウム−遷移金属複合酸化物結晶は高価であり、資源面でも制約がある。また、Niを含有するリチウム−遷移金属複合酸化物結晶は容量面では優れるが、熱的に不安定であるため十分な安全性を確保しにくい。
これに対し、近年、コストおよび資源などの面で有利なことから、鉄を含有するリチウム化合物の中でリチウム吸蔵および放出電位が3.4Vである一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)で表されるオリビン型結晶が注目されており、種々の研究および開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
ところで、上記正極活物質には、例えば結着剤や導電助剤を添加してスラリー化され、当該スラリーを集電体としての役割を果たす金属箔等の表面に塗布することで正極として使用される。ここで、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの熱可塑性直鎖状高分子が一般に使用されている。
熱可塑性直鎖状高分子は結着性が比較的弱く、しかも電解液を吸収して膨張しやすいという傾向がある。そのため、結着剤として熱可塑性直鎖状高分子を用いた正極材料は、高温下で充放電した場合、集電体から容易に剥離してしまうという問題がある。
したがって、本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、高温環境下においても、サイクル特性に優れた蓄電デバイス用正極材料を提供することを目的とする。
本発明は、一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質と、水溶性高分子または熱硬化性樹脂を含む結着剤を含有することを特徴とする蓄電デバイス用正極材料に関する。
当該構成によれば、高温環境下における繰り返し充放電の際にも、正極活物質が正極材料中から剥離することを防止できる。結果として、サイクル特性に優れた蓄電デバイスを得ることが可能となる。そのメカニズムは次のように考えられる。
まず、一般式LiMxFe1-xPO4で表されるオリビン型結晶を含有する正極活物質は、結晶構造中にリン酸構造を有しているのに対し、水溶性高分子は水酸基を有している。これにより、正極活物質最表面のリン酸構造ユニットと水溶性高分子における水酸基とが水素結合を形成し、正極材料中において正極活物質同士を強固に結着させることができると考えられる。
なお、水溶性高分子は水に対する溶解性が高いため、既述の熱可塑性直鎖状高分子と異なり、非極性有機溶媒を使用しなくても溶媒中に均一に分散させることが可能である。よって、環境負荷が少なく、低コストであり、かつ安全性に優れた正極材料を作製することが可能である。
一方、熱硬化性樹脂は直鎖状高分子の主鎖から枝状に分岐した側鎖を有する構造を有しているため、熱処理を施すと、当該側鎖同士の架橋反応が進み、強固な3次元網目構造を形成して硬化する。そのため、結着剤として熱硬化性樹脂を用いた正極材料は、集電体と強固に結着し、繰り返し充放電による剥離を抑制することができる。また、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂に比べて耐薬品性や耐熱性に優れているというメリットもある。
なお、本発明では、正極活物質が結晶化ガラスからなるため、以下のような効果も享受できる。
オリビン型LiMxFe1-xPO4結晶を含有する正極活物質は通常、炭酸リチウムなどのリチウム原料、シュウ酸鉄や金属鉄などの鉄原料、リン酸水素アンモニウムなどのリン酸原料などを混合し、不活性または還元性雰囲気下500〜900℃程度で焼成を行う固相反応法によって製造される。その製造工程と同時または後に、カーボンまたは有機化合物を混合して焼成を行うことにより、正極活物質に電子伝導性を付与する。ところが、固相反応法による製造時に未反応の鉄原料が残留すると、カーボンまたは有機化合物を混合して焼成を行った際に、当該鉄原料が還元され、金属鉄やリン化鉄などの磁性粒子が生成する。磁性粒子が正極材料中に存在すると、当該正極活物質を用いて作製した電池を充放電した際に、磁性粒子中の鉄イオンが電解液中に溶出する。その結果、既述の通り、負極活物質表面で鉄イオンが還元されて金属鉄が析出し、負極活物質へのリチウムイオンの吸蔵および放出が妨げられ、サイクル特性が低下しやすくなる。
一方、従来の固相反応品と異なり、LiMxFe1-xPO4結晶を含有する結晶化ガラスは、ガラス溶融プロセスを経て製造されるため、磁性粒子発生の原因となる未反応の鉄原料が残存しにくい。また、結晶化ガラスに含まれる非晶質相が、鉄イオンの溶出を抑制する役割を果たすため、既述のメカニズムによるサイクル特性の低下が生じにくい。
第二に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、結着剤が、セルロース誘導体およびポリビニルアルコールから選択される水溶性高分子であることが好ましい。
第三に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、結着剤が、カルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
第四に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が、0.8〜1.7であることが好ましい。
第五に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の粘度が、1000〜5000mpa・sであることが好ましい。
第六に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、正極活物質に含まれる磁性粒子の含有量が1000ppm以下であることが好ましい。
一般式LiMxFe1-xPO4で表されるオリビン型結晶を含有する正極活物質の還元により生成されたFe2PやFe75P15C10などの磁性粒子が正極材料中に残留していると、当該磁性粒子から鉄イオンが溶出し、負極活物質表面で鉄イオンが還元されて金属鉄が析出するという問題が発生するおそれがある。その結果、負極活物質へのリチウムイオンの吸蔵および放出が妨げられ、サイクル特性が低下しやすくなる。そこで、正極活物質に含まれる磁性粒子の含有量を1000ppm以下に厳しく規制することにより、上記問題を抑制することが可能となる。
第七に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、正極活物質が、組成としてモル%表示で、Li2O 20〜50%、Fe2O3 5〜40%およびP2O5 20〜50%を含有することが好ましい。
当該構成によれば、一般式LiMxFe1-xPO4で表されるオリビン型結晶が得られやすくなる。
第八に、本発明の蓄電デバイス用正極材料において、正極活物質が、組成としてモル%表示で、Nb2O5+TiO2+V2O5+Cr2O3+MnO2+CoO+NiO+SiO2+B2O3+GeO2+Al2O3+Ga2O3+Sb2O3+Bi2O3 0.1〜25%を含有することが好ましい。
当該構成によれば、磁性粒子の少ない均質なオリビン型LiMxFe1-xPO4結晶を含有する正極活物質が得られやすくなる。
本発明によれば、高温環境下においても、サイクル特性に優れた蓄電デバイス用正極材料を提供するができる。
本発明の蓄電デバイス用正極材料は、一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質と、水溶性高分子または熱硬化性樹脂を含む結着剤を含有することを特徴とする。
本発明において、正極活物質としては、一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスが用いられる。具体的には、組成としてモル%表示で、Li2O 20〜50%、Fe2O3 5〜40%およびP2O5 20〜50%を含有するものであることが好ましい。組成を上記のように限定した理由を以下に説明する。
Li2OはLiMxFe1-xPO4結晶の主成分である。Li2Oの含有量は20〜50%、好ましくは25〜45%である。Li2Oの含有量が少なすぎる、あるいは多すぎると、LiMxFe1-xPO4結晶が析出しにくくなる。
Fe2O3もLiMxFe1-xPO4結晶の主成分である。Fe2O3の含有量は10〜40%、15〜35%、25〜35%、特に31.6〜34%であることが好ましい。Fe2O3の含有量が少なすぎると、LiMxFe1-xPO4結晶が析出しにくくなる。Fe2O3の含有量が多すぎると、LiMxFe1-xPO4結晶が析出しにくくなるとともに、望まないFe2O3結晶が析出しやすくなる。Fe2O3結晶は後の工程で還元されて磁性粒子発生の原因となる。
P2O5もLiMxFe1-xPO4結晶の主成分である。P2O5の含有量は20〜50%、好ましくは25〜45%である。P2O5の含有量が少なすぎる、あるいは多すぎると、LiMxFe1-xPO4結晶が析出しにくくなる。
また上記成分以外に、ガラス形成能を向上させる成分、あるいは、LiMxFe1-xPO4結晶の構成成分として、例えばNb2O5、TiO2、V2O5、Cr2O3、MnO2、CoO、NiO、SiO2、B2O3、GeO2、Al2O3、Ga2O3、Sb2O3またはBi2O3を添加してもよい。上記成分の含有量は合量で0.1〜25%が好ましい。上記成分の含有量が少なすぎると、ガラス化が困難となって、磁性粒子が析出しやすくなる。一方、上記成分の含有量が多すぎると、LiMxFe1-xPO4結晶の割合が低下するおそれがある。
なかでも、Nb2O5は均質な結晶化ガラスを得るために有効な成分である。Nb2O5の含有量は0.1〜20%、0.3〜10%、特に0.5〜5%が好ましい。Nb2O5の含有量が少なすぎると、均質なガラスが得られにくい。一方、Nb2O5の含有量が多すぎると、結晶化の際にニオブ酸鉄等の異種結晶が析出して、電池の充放電特性が低下する傾向にある。
正極活物質中の磁性粒子の含有量は1000ppm以下、700ppm以下、特に500ppm以下であることが好ましい。磁性粒子の含有量が多すぎると、既述の理由からサイクル特性が低下しやすくなる。
なお、磁性粒子としては、金属鉄、リン化鉄などが挙げられる。磁性粒子の平均粒子径は、一般的には10〜500μm、特に20〜300μm程度である。
正極活物質の平均粒子径は1.8μm以下、1.6μm以下、特に1.4μm以下であることが好ましい。正極活物質の平均粒子径が大きすぎると、比表面積が小さくなってリチウムイオンが拡散しにくくなるとともに、内部抵抗が大きくなる傾向にある。結果として、正極活物質と電解質との界面におけるリチウムイオン伝導性が低下して、放電容量が低下する傾向にある。一方、下限は特に限定されないが、正極活物質の平均粒子径が小さすぎると、正極活物質粒子同士の凝集力が強くなり、ペースト化した際に分散しにくく、また凝集して粗大粒子化しやすくなる。その結果、電極の内部抵抗が高くなり出力電圧が低下しやすくなる。また、正極活物質の比表面積が大きくなりすぎて、ペースト化するために多量の分散媒が必要となり、結果として、電極密度が低下して電極の単位体積あたりの放電容量が低下する傾向にある。また、電極乾燥時にひび割れが生じたり、電解質中に正極活物質の金属成分が溶出し、電池の寿命が短くなる等の問題がある。したがって、正極活物質の平均粒子径は0.05μm以上、0.1μm以上、特に0.2μm以上であることが好ましい。
なお、本発明において、正極活物質の平均粒子径はD50(体積基準の平均粒子径)を意味し、レーザー回折散乱法により測定された値をいう。
正極活物質おけるLiMxFe1-xPO4結晶の含有量(炭素質皮膜を除く正極活物質粒子における含有量)は、20質量%以上、50質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましい。LiMxFe1-xPO4結晶の含有量が少なすぎると、放電容量が不十分となる傾向にある。なお、上限については特に限定されないが、現実的には99.9質量%以下、99質量%以下、さらには95質量%以下である。
結晶化度は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定によって得られる2θ値で10〜60°の回折線プロファイルにおいて、結晶性回折線と非晶質ハローにピーク分離することで求められる。具体的には、回折線プロファイルからバックグラウンドを差し引いて得られた全散乱曲線から、10〜45°におけるブロードな回折線(非晶質ハロー)をピーク分離して求めた積分強度をIa、10〜60°において検出される各結晶性回折線をピーク分離して求めた積分強度の総和をIcとした場合、結晶化度Xcは次式から求められる。
Xc=[Ic/(Ic+Ia)]×100(%)
Xc=[Ic/(Ic+Ia)]×100(%)
なお、LiMxFe1-xPO4結晶の結晶子サイズが小さいほど、正極活物質粒子の平均粒子径を小さくすることが可能となり、電気伝導性を向上させることができる。具体的には、LiMxFe1-xPO4結晶の結晶子サイズは100nm以下、特に80nm以下であることが好ましい。下限については特に限定されないが、現実的には1nm以上、さらには10nm以上である。なお、結晶子サイズは、粉末X線回折の解析結果からシェラーの式に従って求められる。
本発明の正極材料において、正極活物質の含有量は、質量%で、55〜95%、60〜92%、70〜90%であることが好ましい。正極活物質の含有量が少なすぎると、正極材料の単位質量当たりの充放電容量が小さくなり、高容量化の達成が困難となる傾向にある。一方、正極活物質の含有量が多すぎると、正極材料中に正極活物質が密に詰まった状態となり、結着剤との接触面積が低減するため、結着性が低下し、サイクル特性が低下する傾向にある。
次に、LiMxFe1-xPO4結晶を含む結晶化ガラスの製造方法について説明する。
まず、上記ガラス組成となるように原料粉末を調合し、得られた原料粉末に対し、溶融急冷プロセス、ゾル−ゲルプロセス、溶液ミストの火炎中への噴霧などの化学気相合成プロセス、メカノケミカルプロセス等により前駆体である結晶性ガラスを得る。これらのプロセスによると、ガラス化が促進されやすくなり、結果として、未反応の原料や磁性粒子の生成が起こりにくくなる。
得られた結晶性ガラスに対して熱処理を施すことにより結晶化ガラスを得る。結晶性ガラスの熱処理は、例えば温度および雰囲気の制御が可能な電気炉中で行われる。
熱処理温度は結晶性ガラスの組成や、所望とする結晶の含有量によって異なるため特に限定されるものではないが、少なくともガラス転移温度、さらには結晶化温度以上(具体的には、500℃以上、好ましくは550℃以上)で熱処理を行うことが適当である。熱処理温度がガラス転移温度未満であると、結晶の析出が不十分になり放電容量が低下するおそれがある。一方、熱処理温度の上限は900℃、特に850℃であることが好ましい。熱処理温度が高すぎると、異種結晶が析出しやすくなり、充放電容量が低下するおそれがある。
熱処理時間は、結晶性ガラスの結晶化が十分に進行するよう適宜調整される。具体的には、10〜180分間、特に20〜120分間であることが好ましい。
熱処理の際、結晶性ガラスにカーボンまたは有機化合物等の導電性炭素を添加し、不活性または還元雰囲気にて焼成を行うことが好ましい。当該方法によれば、結晶化ガラス表面に電子伝導性の非晶質被覆層を形成することができ、正極活物質表面における電子伝導性が向上し、良好な急速充放電特性を得ることが可能となる。また、当該非晶質被覆層は、遷移金属イオンの溶出を抑制する役割も果たす。なお、カーボンまたは有機化合物等は焼成することで還元作用を示すため、結晶化する際にガラス中の鉄の価数が2価に変化しやすく、LiMxFe1-xPO4結晶を高い割合で選択的に得ることができる。
結着剤としては、水溶性高分子または熱硬化性樹脂が使用される。
水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;デンプン、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプン、カチオンデンプンなどのデンプン誘導体;キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸ソーダ、ヒアルロン酸ソーダ、キトサン、ゼラチンなどの天然植物性高分子;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリエチレングリコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリイソプロピルアクリルアミドなどの非イオン性合成高分子;ポリアクリル酸ナトリウムおよびその共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウム共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリエチレンイミンザンテート塩などのアニオン性合成高分子;ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの単独重合体およびその共重合体、ポリアミジンおよびその共重合体、ポリビニルイミダゾリン、ポリエチレンイミンなどのカチオン性合成高分子;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩−アクリル酸共重合物、ポリアクリアミドのホフマン分解物などの両親媒性合成高分子等が挙げられる。
なかでも、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体またはポリビニルアルコールが好ましく、最も好ましくは、工業的に広範囲に用いられ安価であるカルボキメチルセルロースまたはポリビニルアルコールである。
なお、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリムなどのカルボキシメチルセルロース塩も含むものとする。
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、0.8〜1.7、0.9〜1.6、特に1.0〜1.5であることが好ましい。エーテル化度は、カルボキシメチルセルロースの構造中の無水グルコース1単位当りに含まれるカルボキシメチル基の平均個数に相当する。エーテル化度が小さすぎると結着性に劣るため、正極活物質が正極材料から剥離しやすくなる。一方、エーテル化度が大きすぎると、正極材料を作製する際に水などの溶媒に分散しにくくなるため、均質な正極材料が得られにくくなる。
カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の粘度は、1000〜5000mpa・s、特に1200〜4000mpa・sであることが好ましい。粘度が小さすぎると、均質な厚みの正極材料が作製しにくくなる。一方、粘度が大きすぎると、正極材料を作製する際に水などの溶媒に分散しにくくなるため、均質な正極材料が得られにくくなる。
なお、結着剤として水溶性高分子を使用した場合、正極材料と集電体との密着性に劣る場合がある。その場合、結着剤として、水溶性高分子に対し、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の高分子を添加することにより、集電体との密着性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、イミド化されたポリイミド樹脂、イミド化されたポリアミドイミド樹脂が好ましい。特に、耐薬品性、耐熱性、耐クラック性に対して優れる熱硬化性ポリイミド樹脂が好ましい。
上記結着剤は一種類のみを使用してもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
正極材料における結着剤の含有量は、2〜30質量%、3〜28質量%、特に4〜25質量%であることが好ましい。結着剤の含有量が少なすぎると、結着性に劣るため、繰り返し充放電した際に、正極活物質が正極材料から剥離しやすくなり、サイクル特性が低下する傾向にある。一方、結着剤の含有量が多すぎると、正極材料中の各正極活物質(または導電助剤)の間に介在する結着剤の量が多くなることにより、電子伝導網が分断され、結果的に高容量化が達成できずハイレート特性が著しく低下する傾向にある。
本発明の正極材料は、導電助剤を含有することが好ましい。導電助剤は、正極材料のハイレート化を達成するために添加される成分である。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラックやNi粉末、Cu粉末、Ag粉末等の金属粉末などが挙げられる。なかでも、極少量の添加で優れた導電性を発揮する高導電性カーボンブラック、Ni粉末、Cu粉末のいずれかを用いることが好ましい。
正極材料における導電助剤の含有量は、3〜20質量%、4〜15質量%、特に5〜13質量%であることが好ましい。導電助剤の含有量が3質量%より少ないと、正極活物質を包括するだけの電子伝導網が形成できず、容量が低下し、ハイレート特性も著しく低下する。一方、導電助剤の含有量が20質量%より多いと、正極材料の嵩密度が低下し、結果的に、正極材料の単位体積当たりの充放電容量が低下する傾向にある。また、正極材料の強度も低下しやすくなる。
正極材料は、例えば正極活物質および結着剤、さらに必要に応じて導電助剤を含む材料を水やN−メチルピロリドン等の溶媒に分散させ、均一混合されたペースト状態でもあってもよい。
蓄電デバイス用正極材料を、集電体としての役割を果たす金属箔等の表面に塗布することで蓄電デバイス用正極として用いることができる。
蓄電デバイス用正極における正極材料の厚みは、目的とする容量に応じて適宜調整すればよく、例えば1〜250μm、2〜200μm、特に3〜150μmであることが好ましい。正極材料の厚みが1μmより小さいと、結着剤により正極活物質を包括できない箇所が部分的に生じ、結果的にサイクル特性が低下する傾向にある。一方、負極材料の厚みが250μmより大きいと、正極を折り曲げた状態で電池として用いる場合、正極材料の表面に引張り応力が生じやすくなる。そのため、繰り返し充放電した際に正極活物質の体積変化により亀裂が生じやすくなり、サイクル特性が著しく低下する傾向にある。
正極材料を集電体表面に塗布した後の乾燥方法は特に限定されるものではないが、減圧下または不活性雰囲気下もしくは還元雰囲気下にて100〜400℃、120〜380℃、特に140〜360℃で熱処理することが好ましい。熱処理温度が100℃より低いと、正極材料に吸着した水分の除去が不十分となるため、蓄電デバイス内部で水分が分解し、酸素の放出によって破裂したり、リチウムと水との反応による発熱が原因で発火したりするため、安全性を欠く。一方、熱処理温度が400℃より高いと、結着剤が分解されやすくなる。結果として、結着性が低下したり、結着剤により正極活物質が包括されない箇所が部分的に生じたりして、サイクル特性が低下しやすくなる。
以下、本発明の蓄電デバイス用正極材料の一例として、非水二次電池用正極材料を、実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
(1)正極活物質の作製
メタリン酸リチウム(LiPO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化第二鉄(Fe2O3)および酸化ニオブ(Nb2O5)を原料とし、モル%で、Li2O 35.1%、Fe2O3 32.2%、P2O5 32.2%、Nb2O5 0.5%の組成となるように原料粉末を調合し、1250℃にて1時間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対のロールに溶融ガラスを流し込み、急冷しながらフィルム状に成形することにより、結晶性ガラスを作製した。
(1)正極活物質の作製
メタリン酸リチウム(LiPO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化第二鉄(Fe2O3)および酸化ニオブ(Nb2O5)を原料とし、モル%で、Li2O 35.1%、Fe2O3 32.2%、P2O5 32.2%、Nb2O5 0.5%の組成となるように原料粉末を調合し、1250℃にて1時間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対のロールに溶融ガラスを流し込み、急冷しながらフィルム状に成形することにより、結晶性ガラスを作製した。
得られた結晶性ガラスを800℃で30分熱処理して結晶化させた後、φ20mmのAl2O3玉石を使用したボールミル粉砕を5時間、次にφ5mmのZrO2玉石を使用したエタノール中でのボールミル粉砕を40時間、さらにφ0.3mmのZrO2ビーズを使用したエタノール中でのビーズミル粉砕を8時間行い、平均粒子径0.4μmの結晶化ガラス粉末を得た。
結晶化ガラス粉末100質量部に対して、カーボン源として非イオン性界面活性剤であるポリエチレンオキシドノニルフェニルエーテル(HLB値:13.3 重量平均分子量:660)11.8質量部(グラファイト換算7質量部に相当)および純水60質量部を十分に混合した後、100℃で約1時間乾燥させた。その後、800℃にて30分間熱処理を行うことにより、結晶化ガラス粉末表面にカーボン含有層が形成されてなる正極活物質を得た。得られたLiFePO4結晶化ガラスについて粉末X線回折パターンを確認したところ、LiFePO4由来の回折線が確認された。
得られた正極活物質について磁性粒子の含有量を測定した。結果を表1に示す。なお、磁性粒子の含有量は、正極活物質粉末100gに対して、磁束密度300mTを有する磁石を接触させた際に、磁石に付着した磁性粒子の量により評価した。
(2)正極の作製
上記で得られた正極活物質と、導電助剤としてケッチェンブラック、さらに結着剤としてカルボキシメチルセルロース(エーテル化度:1.3、1%水溶液粘度:1700mPa・s)をそれぞれ90:5:5(質量比)の割合になるように秤量し、純水中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化することにより正極材料を得た。
上記で得られた正極活物質と、導電助剤としてケッチェンブラック、さらに結着剤としてカルボキシメチルセルロース(エーテル化度:1.3、1%水溶液粘度:1700mPa・s)をそれぞれ90:5:5(質量比)の割合になるように秤量し、純水中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化することにより正極材料を得た。
次に、得られたスラリーを隙間250μmのドクターブレードを用いて、正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔上にコートし、40〜70℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通してプレスすることにより電極シートを得た。この電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、温度140℃にて6時間、減圧下で乾燥させて円形の非水二次電池用正極を得た。
(3)負極活物質の作製
主原料としてピロリン酸第一錫(Sn2P2O7)、さらにその他の各種酸化物等を用いて、SnO 72モル%およびP2O5 28モル%の組成となるように原料を調製した。原料を石英ルツボに投入し、電気炉を用いて窒素雰囲気にて950℃、40分間の溶融を行い、ガラス化した。
主原料としてピロリン酸第一錫(Sn2P2O7)、さらにその他の各種酸化物等を用いて、SnO 72モル%およびP2O5 28モル%の組成となるように原料を調製した。原料を石英ルツボに投入し、電気炉を用いて窒素雰囲気にて950℃、40分間の溶融を行い、ガラス化した。
次いで、溶融ガラスを一対の回転ローラー間に流し出すことにより、急冷しながら成形してフィルム状ガラスを得た。このフィルム状ガラスをボールミルにより粉砕した後、平均粒子径3〜15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、ガラス粗粉末を空気分級することで、平均粒子径2μmかつ最大粒子径28μmの負極活物質粉末を得た。
(4)負極の作製
上記で得られた負極活物質粉末と、導電助剤としてケッチェンブラック、さらに結着剤としてカルボキシメチルセルロース(エーテル化度:1.3、1%水溶液粘度:1700mPa・s)をそれぞれ83:5:12(質量比)の割合になるように秤量し、純水中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化することにより負極材料を得た。
上記で得られた負極活物質粉末と、導電助剤としてケッチェンブラック、さらに結着剤としてカルボキシメチルセルロース(エーテル化度:1.3、1%水溶液粘度:1700mPa・s)をそれぞれ83:5:12(質量比)の割合になるように秤量し、純水中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化することにより負極材料を得た。
次に、得られたスラリーを隙間100〜200μmのドクターブレードを用いて、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上にコートし、40〜70℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通してプレスすることにより電極シートを得た。この電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、温度140℃にて6時間、減圧下で乾燥させて円形の非水二次電池用負極を得た。
なお、上記負極については、下記の条件下で金属リチウムと張り合わせることでリチウムプリドープを行なった。具体的には、金属リチウムを負極表面に張り合わせ、1M LiPF6溶液/EC:DMC=1:1(EC=エチレンカーボネート、DMC=ジメチルカーボネート)中に24時間浸漬し、エージングさせることによりリチウムプリドープを行った。金属リチウムは純度99.5%のものを、負極活物質1g当たり0.139g(負極活物質の不可逆容量分)になるように厚みを調整して用いた。
(5)試験電池の作製
コインセルの下蓋(正極容器)に、上記正極をアルミ箔面を下に向けて載置し、その上にセパレータとして200℃で8時間減圧乾燥した直径16mmのガラス不織布、さらに上記負極材料を積層し、上蓋(負極蓋)を被せてCR2032型試験電池を作製した。電解液としては、1M LiPF6溶液/EC:DMC=1:1(EC=エチレンカーボネート、DMC=ジメチルカーボネート)を用いた。試験電池の組み立ては露点温度−40℃以下の環境で行った。
コインセルの下蓋(正極容器)に、上記正極をアルミ箔面を下に向けて載置し、その上にセパレータとして200℃で8時間減圧乾燥した直径16mmのガラス不織布、さらに上記負極材料を積層し、上蓋(負極蓋)を被せてCR2032型試験電池を作製した。電解液としては、1M LiPF6溶液/EC:DMC=1:1(EC=エチレンカーボネート、DMC=ジメチルカーボネート)を用いた。試験電池の組み立ては露点温度−40℃以下の環境で行った。
(6)充放電試験
80℃で開回路電圧(OCV)から4VまでCC(定電流)充電(負極活物質へのリチウムイオン吸蔵/正極活物質からのリチウムイオン放出)を行い、正極活物質の単位重量中に充電された電気量(充電容量)を求めた。次に、4Vから2VまでCC放電(負極活物質からのリチウムイオン放出/正極活物質へのリチウムイオン吸蔵)させ、正極活物質の単位重量中に放電された電気量(放電容量)を求めた。以降は2V−4Vで繰り返しCC充放電させて充放電容量を求めた。なお、Cレートは1Cとした。放電容量維持率は、初回放電容量に対する200サイクル後の放電容量の割合で評価した。結果を表1に示す。
80℃で開回路電圧(OCV)から4VまでCC(定電流)充電(負極活物質へのリチウムイオン吸蔵/正極活物質からのリチウムイオン放出)を行い、正極活物質の単位重量中に充電された電気量(充電容量)を求めた。次に、4Vから2VまでCC放電(負極活物質からのリチウムイオン放出/正極活物質へのリチウムイオン吸蔵)させ、正極活物質の単位重量中に放電された電気量(放電容量)を求めた。以降は2V−4Vで繰り返しCC充放電させて充放電容量を求めた。なお、Cレートは1Cとした。放電容量維持率は、初回放電容量に対する200サイクル後の放電容量の割合で評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で得られた正極活物質に対し、導電助材としてケッチェンブラック、結着剤としてフッ化ポリビニリデンを、正極材料:導電助材:結着剤=85:5:10(質量比)となるように秤量し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)に分散した後、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。次に、隙間250μmのドクターブレードを用いて、正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔上に、得られたスラリーをコートし、乾燥機にて80℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通し、1t/cm2でプレスすることにより電極シートを得た。電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、140℃で6時間乾燥させ、円形の正極を得た。
実施例1で得られた正極活物質に対し、導電助材としてケッチェンブラック、結着剤としてフッ化ポリビニリデンを、正極材料:導電助材:結着剤=85:5:10(質量比)となるように秤量し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)に分散した後、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。次に、隙間250μmのドクターブレードを用いて、正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔上に、得られたスラリーをコートし、乾燥機にて80℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通し、1t/cm2でプレスすることにより電極シートを得た。電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、140℃で6時間乾燥させ、円形の正極を得た。
このようにして得られた正極を用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O)、リン酸水素水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)を原料とし、モル%でLi2O 25%、FeO 50%、P2O5 25%の組成となるように原料を調合し、平均粒子径0.4μmとなるようにボールミルで粉砕混合した後、窒素雰囲気中675℃で24時間固相反応させてLiFePO4結晶粉末からなる正極活物質を得た。得られた正極活物質について、実施例1と同様にして磁性粒子の含有量を測定した。
水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O)、リン酸水素水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)を原料とし、モル%でLi2O 25%、FeO 50%、P2O5 25%の組成となるように原料を調合し、平均粒子径0.4μmとなるようにボールミルで粉砕混合した後、窒素雰囲気中675℃で24時間固相反応させてLiFePO4結晶粉末からなる正極活物質を得た。得られた正極活物質について、実施例1と同様にして磁性粒子の含有量を測定した。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして正極を作製した。さらに、当該正極を用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、正極活物質としてLiFePO4結晶化ガラス、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを使用した実施例1の電池は、80℃の高温条件下において、初回放電容量が155mAh/gと高く、放電容量維持率は98%でありサイクル特性に優れていた。
一方、結着剤にフッ化ポリビニリデンを用いた比較例1の電池は、80℃の高温条件下において、初回放電容量が155mAh/gと高かったが、放電容量維持率が40%と著しく低下した。また、正極活物質にLiFePO4結晶を用いた比較例2の電池も、80℃の高温条件下において、初回放電容量が153mAh/gと高かったが、放電容量維持率が52%と著しく低下した。
Claims (8)
- 一般式LiMxFe1-xPO4(0≦x<1、MはNb、Ti、V、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類)で表されるオリビン型結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質と、水溶性高分子または熱硬化性樹脂を含む結着剤を含有することを特徴とする蓄電デバイス用正極材料。
- 結着剤が、セルロース誘導体およびポリビニルアルコールから選択される水溶性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- 結着剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が、0.8〜1.7であることを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の粘度が、1000〜5000mpa・sであることを特徴とする請求項3または4に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- 正極活物質に含まれる磁性粒子の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- 正極活物質が、組成としてモル%表示で、Li2O 20〜50%、Fe2O3 5〜40%およびP2O5 20〜50%を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用正極材料。
- 正極活物質が、さらに組成としてモル%表示で、Nb2O5+TiO2+V2O5+Cr2O3+MnO2+CoO+NiO+SiO2+B2O3+GeO2+Al2O3+Ga2O3+Sb2O3+Bi2O3 0.1〜25%を含有することを特徴とする請求項7に記載の蓄電デバイス用正極材料。
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-
2012
- 2012-03-12 JP JP2012054757A patent/JP2013191297A/ja active Pending
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