JP2013190749A - 反射防止フィルムの製造方法及び賦型用金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムに関して、賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することを目的とする。
【解決手段】陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行して賦型用金型を作成し、この賦型用金型を使用した賦型により反射防止フィルムを作成する。陽極酸化処理に供する液槽の液温と、エッチング処理に供する液槽の液温とが同一の温度に設定される。
【選択図】図4

Description

本発明は、可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムに関するものである。
近年、フラットパネルディスプレイにおける反射防止技術の1つとして、可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を表面に形成することによって反射防止を図る技術が注目されている(特許文献1〜6参照)。このような方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止するものである。
このようなモスアイ構造は、その微細な凹凸形状を反転させた形状を有する賦型用金型を用いて、その凹凸形状を任意の樹脂層に転写することによって製造されるのが一般的である。従ってモスアイ構造の反射防止フィルムを作製する方法としては、基材上に紫外線硬化性樹脂等からなる樹脂層を形成した後、上記のような賦型用金型を用いて当該樹脂層の表面にモスアイ構造を賦型し、さらに当該樹脂層を硬化させることによって形成する方法を用いることができる。このような製造方法は、簡易な方法で、かつ高い製造効率で反射防止フィルムを連続的に製造することができる。
またこのようなモスアイ構造に係る賦型用金型としては、レーザー干渉法によって凹部が形成されたもの(例えば、特許文献1〜3)や、陽極酸化法によって凹部が形成されたもの(例えば、特許文献4〜6)が用いられている。なかでも陽極酸化法は、凹部が形成される位置をランダムにすることができること、大面積にわたって均一な形状を有する凹部を形成できること等において利点を有することから、反射防止フィルム製造用金型としては、陽極酸化法によって形成されたものが広く用いられるに到っている。
また陽極酸化法による賦型用金型の作製に関して、特許文献7では、陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行することにより、穴径を拡大しながら微細穴を掘り進め、これにより深さが深くなるに従って徐々に穴径が小さくなるいわゆる釣鐘形状に凹部を作製する方法が提案されている。
ところでこの種の反射防止フィルムは、実装対象によっては、極めて大きな賦型用金型を使用して作成することが必要になる。また大きな賦型用金型の使用は、大量生産に適しているとも言える。しかしながら賦型用金型が大型化すると、金型の各部で凹凸形状がばらつき、その結果、反射防止フィルムにおいても凹凸形状が各部でばらつく問題がある。また賦型用金型が大型化すると、テストピースを用いて事前に設定したエッチングの条件等をそのまま適用することが困難になり、改めて各工程の条件を設定することが必要になり、これにより生産性が低下する問題もある。
特表2001−517319号公報 特開2004−205990号公報 特開2004−287238号公報 特開2001−272505号公報 特開2002−286906号公報 国際公開第2006/059686号パンフレット 特許第4848161号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、繰り返し実行する陽極酸化処理とエッチング処理とにおいて、処理に供する液温を同一の温度に設定する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムの製造方法であって、
陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行して賦型用金型を作成する賦型用金型作成工程と、
前記賦型用金型を使用した賦型により前記反射防止フィルムを作成する賦型工程とを備え、
前記賦型用金型作成工程は、
前記陽極酸化処理に供する液槽の液温と、前記エッチング処理に供する液槽の液温とが同一の温度に設定される。
(1)によれば、賦型用金型の処理の切り替えに伴う温度変化を充分に低減することができ、この温度変化による金型の各部での凹凸形状のばらつきを低減することができ、これにより賦型用金型に由来する反射防止フィルムのばらつきを低減することができる。また処理の切り換えによる温度変化を充分に抑圧できることにより、金型が大型化してもテストピースを用いて事前に設定したエッチングの条件等をそのまま適用して高い再現性により凹凸形状を形成することができ、これにより生産性の低下を低減することができる。
(2) 可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムの製造に供する賦型用金型の製造方法であって、
陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行して前記賦型用金型を作成し、
前記陽極酸化処理に供する液槽の液温と、前記エッチング処理に供する液槽の液温とが同一の温度に設定される。
(2)によれば、賦型用金型の処理の切り替えに伴う温度変化を充分に低減することができ、この温度変化による金型の各部での凹凸形状のばらつきを低減することができ、これにより賦型用金型に由来する反射防止フィルムのばらつきを低減することができる。また処理の切り換えによる温度変化を充分に抑圧できることにより、金型が大型化してもテストピースを用いて事前に設定したエッチングの条件等をそのまま適用して高い再現性により凹凸形状を形成することができ、これにより生産性の低下を低減することができる。
(3) (2)において、前記同一の温度が、15℃以上、30℃以下の温度である。
(3)によれば、陽極酸化処理の一般的な温度(10℃)より高い温度15℃とエッチング処理の一般的な温度(40℃)より低い温度30℃との範囲でこの同一の温度を設定することにより、この2つの処理の液温を同一の温度に設定して発生する恐れのある陽極酸化処理及びエッチング処理における処理時間の低下、凹凸形状の劣化を有効に回避することができる。
(4) (2)又は(3)において、前記賦型用金型が、
直径200mm以上、長さ1000mm以上、肉厚10mm以上のパイプ材により作製される。
(4)によれば、顕著に賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することができる。
可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムに関して、賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することができる。
本発明の第1実施形態に係る反射防止フィルムを示す図である。 図1の反射防止フィルムの製造工程を示す図である。 図1の反射防止フィルムに係るロール版を示す図である。 図4のロール版の作製工程を示す図である。 各処理の処理時間の説明に供する図表である。 処理結果を比較例との対比により示す図表である。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る反射防止フィルムを示す図である。反射防止フィルム1は、透明フィルムによる基材2に凹凸膜3を配置して作製される。ここで基材2は、例えばTAC(Triacetylcellulose)、アクリル、PET(Polyethylene terephthalate)、PC(Polycarbonate)等の各種透明フィルムを適用することができる。反射防止フィルム1は、賦型用金型を使用して、微細な凹凸形状の賦型に供する賦型用樹脂である紫外線硬化性樹脂4により基材2の表面に微細な凹凸形状を作製して凹凸膜3が作製成される。反射防止フィルム1は、この凹凸膜3による微細な凹凸形状により厚み方向に徐々に屈折率が変化するように作製され、モスアイ構造の原理により広い波長範囲で入射光の反射を低減する。
図2は、この反射防止フィルム1の製造工程を示す図である。この製造工程10は、樹脂供給工程において、ダイ12により基材2に紫外線硬化性樹脂4を塗布する。なお紫外線硬化性樹脂4の塗布については、ダイ12による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いてこの製造工程10は、押圧ローラ14により、反射防止フィルムの賦型用金型であるロール版13の周側面に基材2を加圧押圧し、これにより基材2に紫外線硬化性樹脂4を密着させると共に、ロール版13の周側面に作製された微細な凹部に紫外線硬化性樹脂4を充分に充填させる。この製造工程10は、この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂4を硬化させ、これにより凹凸膜3を作製する。この製造工程は、続いて剥離ローラ15を介してロール版13から基材2を剥離する。製造工程10は、必要に応じてこの基材2に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止フィルム1が作製される。これにより反射防止フィルム1は、ロール材による長尺の基材2に、賦型用金型であるロール版13の周側面に作製された微細形状を順次賦型して、効率良く量産される。
図3は、ロール版13の構成を示す斜視図である。ロール版13は、円筒形状の金属材料である母材の周側面に、陽極酸化処理により、可視光の波長以下の繰り返し周期で微細な凹凸形状が作製され、この微細な凹凸形状が上述したように基材2に賦型される。このため母材は、少なくとも周側面に純度の高いアルミニウム層が設けられた円柱形状又は円筒形状の部材が適用される。より具体的に、この実施形態では、母材にステンレスパイプが適用される。なおこの母材には、ステンレスの他に銅やアルミニウム等により構成され、直接に又は各種の中間層を介して、純度の高いアルミニウム層が設けられる。ロール版13は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、母材の周側面に微細穴を密に作製し、この微細穴を掘り進めると共に、この微細穴の穴径を徐々に拡大して凹凸形状が作製される。これによりロール版13は、深さ方向に徐々に穴径が小さくなる微細穴が密に作製され、反射防止フィルム1には、この微細穴に対応する微細な凹凸形状が作製される。
〔ロール版製造工程〕
図4は、ロール版13の製造工程を示す図である、この製造工程は、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によってステンレスのロール表面を超鏡面化する(電解研磨)。続いてこの工程は、母材表面にアルミニウムをスパッタリングしてアルミニウム層を作製する。引き続いてこの工程は、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程B1、…、BNを交互に繰り返して金型作製用母材を処理し、ロール版13を作製する。
この製造工程において、陽極酸化工程A1、…、ANでは、陽極酸化法により金型作製用基板の表面に微細な穴を作製し、さらにこの作製した微細な穴を掘り進める。ここで陽極酸化工程では、例えば負極に炭素棒、ステンレス板材等を使用する場合のように、アルミニウムの陽極酸化に適用される各種の手法を広く適用することができる。また溶解液は、この実施形態ではシュウ酸水溶液を適用する。しかしながら溶解液は、これに限らず、中性、酸性の各種溶解液を使用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。この製造工程A1、…、ANは、母材の洗浄に供する洗浄槽、陽極酸化処理に供する陽極酸化槽、陽極酸化に供した薬液を除去する洗浄槽に順次母材を浸漬して陽極酸化の処理を実行する。
なおロール版が大型化すると、陽極酸化に供する対向電極(陰極電極)との間の静電容量も格段に増大し、その結果、陽極酸化に供する電圧の印加開始時、過大な突入電流が発生する。このような過大な突入電流は、電源に過大な負担をかけることになる。また安全性も損なわれることになる。そこでこの実施形態では、いわゆるプログラマブル電源により陽極酸化処理の開始時、徐々に印加電圧を立ち上げ、また陽極酸化処理の終了時、徐々に印加電圧を立ち下げる。より具体的に、5V/sec以下の速度で印加電圧を立ち上げ、また立ち下げる。なお実用上充分な場合には、陽極酸化処理の開始時のみ、印加電圧を徐々に可変するようにしてもよい。
続くエッチング工程E1、…、ENは、金型をエッチング液に浸漬し、陽極酸化工程A1、…、ANにより作製、掘り進めた微細な穴の穴径をエッチングにより拡大し、深さ方向に向かって滑らか、かつ徐々に穴径が小さくなるように、これら微細な穴を整形する。より具体的に、エッチング工程E1、…、ENは、母材の洗浄に供する洗浄槽、エッチング処理に供するエッチング槽、エッチングに供した薬液を除去する洗浄槽に順次母材を浸漬してエッチングの処理を実行する。
これらによりこの製造工程では、陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行することにより、穴径を拡大しながら微細穴を掘り進め、これにより深さが深くなるに従って徐々に穴径が小さくなるいわゆるテーパー形状に凹部を作製する。なおエッチング液は、この実施形態ではリン酸水溶液を適用する。しかしながらエッチング液は、これに限らず、この種の処理に適用される各種エッチング液を広く適用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ酸水溶液等を使用することができる。
この実施形態において、この一連のロール版13の製造に供する各種液槽は、液温が同一の温度に設定される。具体的に、陽極酸化処理における前後の洗浄槽、陽極酸化処理槽、エッチング処理における前後の洗浄槽、エッチング処理槽は、液温が同一の温度に設定される。これによりこの実施形態では、母材の浸漬による液温の変化、薬液等に浸漬した際の母材各部の温度変化を低減し、これにより賦型用金型が大型化した場合であっても、金型の各部での凹凸形状のばらつきを低減し、さらに各工程の条件設定作業を簡略化する。
すなわち一般に、陽極酸化処理は10℃程度の液温で実行され、エッチング処理は40℃程度の液温で実行される。これにより陽極酸化処理とエッチング処理とを繰り返す場合に、母材は、交互に異なる温度の液槽に浸漬されることになり、時間の経過により徐々に温度が変化し、液温と一致した温度になる。この場合に、母材では、各部で温度上昇が一様ではなく、これにより賦型用金型の各部で凹凸形状にばらつきが発生する。また賦型用金型が大型化すると、熱容量も大きくなることから、母材の投入により液温も急激に変化することになる。これにより小型のテストピースで条件出ししたにも係わらず、この条件をそのまま適用することが困難になり、結局、改めて条件出しすることが必要になり、生産性が劣化する。またこのような薬液の温度変化も液槽の各部で異なり、これによっても賦型用金型における凹凸形状にばらつきが発生する。
しかしながらこの実施形態のように、一連のロール版13の製造に供する各種液槽の液温を同一の温度に設定すれば、このような母材投入時における母材の温度変化、液温の変化を格段に低減することができ、これにより賦型用金型における凹凸形状のばらつきを低減し、この賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつきを低減することができる。またテストピースを使用した条件等をそのまま適用して、高い再現性により賦型用金型を生産できることにより、生産性の低下を低減することができる。
なおこのような凹凸形状のばらつき、生産性の低下は、賦型用金型が大型化すればする程著しくなり、特に直径200mm以上、長さ1000mm以上、肉厚10mm以上のパイプ材により賦型用金型を作製する場合、又は同等の円柱形状の金属材料により賦型用金型を作製する場合に顕著となる。しかしながらこの実施形態のように陽極酸化処理に供する液槽の液温と、エッチング処理に供する液槽の液温とを同一の温度に設定すれば、このような賦型用金型が大型の場合でも、充分に凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することができる。
さらにより具体的に、この実施形態では、陽極酸化処理の一般的な温度(10℃)とエッチング処理の一般的な温度(40℃)との間の温度20℃を、この同一の温度に設定し、各液槽の温度を20℃±2.5℃の温度範囲に温度管理した。なおこの±2.5℃の温度範囲は、誤差を含む温度管理上で発生する変動の範囲である。またこの温度の設定に伴い、陽極酸化処理、エッチング処理に供する薬液の濃度、時間を適切に設定し、これによりこのような同一の温度に設定して発生する恐れのある陽極酸化処理及びエッチング処理における処理時間の低下、凹凸形状の劣化を有効に回避する。
なおこの同一温度は、陽極酸化処理の一般的な温度10℃より高い温度15℃以上、エッチング処理の一般的な温度40℃より低い温度30℃以下の範囲で所望の温度に設定して、実用上充分に陽極酸化処理とエッチング処理との交互の処理における薬液の粘度上昇等の弊害を防止することができる。
図5は、実験に供した陽極酸化処理とエッチング処理との処理時間を示す図表である。この図5に示すように、この実施形態では徐々に処理時間を減少させてそれぞれ5回の処理を実行した。
図6は、図5の条件による処理結果を示す図表である。この図6において、陽極酸化掃引速度は、陽極酸化処理の開始時における印加電圧の上昇速度であり、単位はV/secである。実施例は、直径300mm、長さ1260mmm、肉厚(厚み)15mmのステンレス製パイプを母材に適用した場合であり、陽極酸化処理液は、濃度0.05mol/L(4.5wt%)のシュウ酸水溶液であり、エッチング液は濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液であり、陽極酸化処理時の印加電圧は45Vである。実施例は、各液槽の液温を上述した20℃±2.5に温度管理した場合であり、この例では反射防止フィルムの各部で計測した反射率の最大値(MAX)と最小値(MIN)との差異が0.22%であることが判る。またこの平均値も小さいことが判る。
これに対して比較例1は、実施例1と同一の母材を使用し、陽極酸化処理液及びエッチング処理液の液温をそれぞれ10℃及び40度に設定した場合である。なおエッチング処理液は、液温を増大させた分、濃度を低下させた。比較例1においてこれら以外の条件は、実施例と同一である。この比較例1によれば、反射率のばらつきが大きく、反射防止フィルムにおいて凹凸形状のばらつきが大きいことが判る。また反射率も大きいことにより、凹凸形状も充分に滑らかに作製されていないことが判る。
比較例2は、テストピースを使用して比較例1と同一の条件により賦型用金型を作製した測定結果である。なおこのテストピースは、50mm角のステンレス板材であり、片面はアルミニウムをスパッタリングし、他面は薬液に接触しないようにテープによりマスキングしたものである。比較例2においてこれら以外の条件は、比較例1と同一である。この比較例2では、比較例1と同一の条件により処理したにも係わらず、反射率のばらつきが小さく、また反射率も小さく、これにより上述したように、処理対象の大きさによって凹凸形状のばらつきが大きくなることが判る。
比較例3は、比較例2と同一のテストピースを使用して、陽極酸化処理液及びエッチング処理液の液温をそれぞれ40℃及び10℃に設定した場合である。比較例3においてこれら以外の条件は、実施例と同一である。この比較例3では、微細穴すら作製することが困難であり、これにより陽極酸化処理温度を極端に高くしたり、エッチング処理温度を極端に低くしたりできないことが判る。
なお比較例4は、実施例1と同一の条件において、陽極酸化処理の開始時における印加電圧の上昇速度を3倍に設定した場合である。この比較例4では、反射率のばらつきについては、実施例とほぼ同一であるものの、平均値が大きく、これにより陽極酸化処理の開始時における印加電圧の上昇速度を大きくした場合には、凹凸形状自体、損なわれることが判る。
以上の構成によれば、陽極酸化処理に供する液槽の液温と、エッチング処理に供する液槽の液温とを同一の温度に設定することにより、賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することができる。
特にこの同一の温度を、陽極酸化処理の一般的な温度(10℃)より高い15℃以上、エッチング処理の一般的な温度(40℃)より低い30℃以下に設定することにより、この2つの処理の液温を同一の温度に設定して発生する恐れのある陽極酸化処理及びエッチング処理における処理時間の低下、凹凸形状の劣化を有効に回避することができる。
また直径200mm以上、長さ1000mm以上、肉厚10mm以上のパイプ材である直径300mm、長さ1260mm以上、肉厚15mmのパイプ材により賦型用金型を作製する場合に適用して、顕著に賦型用金型に由来する凹凸形状のばらつき、生産性の低下を低減することができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらには従来構成と組み合わせることができる。
すなわち上述の実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返し回数をそれぞれ5回に設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、繰り返し回数を5回以外の回数に設定する場合、それぞれ1回の処理により賦型用金型を作製する場合にも広く適用することができる。また陽極酸化処理の回数をエッチング処理の回数より1回だけ増大させて、最後の処理を陽極酸化処理とする場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理とについて、それぞれ前後に洗浄槽を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、工程によっては、この実施形態に対して一部の洗浄槽を省略した構成となるものの、このような場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、賦型用樹脂に紫外線硬化性樹脂を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、紫外線硬化性樹脂以外の賦型用樹脂を使用する場合にも広く適用することができ、さらには例えば加熱した熱可塑性の樹脂を押圧して賦型する場合等にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、ロール版により反射防止フィルムを生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、いわゆる平版により生産する場合にも広く適用することができる。
1 反射防止フィルム
2 基材
3 凹凸膜
4 紫外線硬化性樹脂
10 製造工程
12 ダイ
13 ロール版
14、15 ローラ

Claims (4)

  1. 可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムの製造方法であって、
    陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行して賦型用金型を作成する賦型用金型作成工程と、
    前記賦型用金型を使用した賦型により前記反射防止フィルムを作成する賦型工程とを備え、
    前記賦型用金型作成工程は、
    前記陽極酸化処理に供する液槽の液温と、前記エッチング処理に供する液槽の液温とが同一の温度に設定された
    反射防止フィルムの製造方法。
  2. 可視光領域の光の波長よりも短い周期で配列された凸部によって形成された微細凹凸形状を有する反射防止フィルムの製造に供する賦型用金型の製造方法であって、
    陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行して前記賦型用金型を作成し、
    前記陽極酸化処理に供する液槽の液温と、前記エッチング処理に供する液槽の液温とが同一の温度に設定された
    賦型用金型の製造方法。
  3. 前記同一の温度が、15℃以上、30℃以下の温度である
    請求項2に記載の賦型用金型の製造方法。
  4. 前記賦型用金型が、
    直径200mm以上、長さ1000mm以上、肉厚10mm以上のパイプ材により作製される
    請求項2又は請求項3に記載の賦型用金型の製造方法。
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