JP2013189586A - カルボキシル基含有共重合体およびその製造方法 - Google Patents

カルボキシル基含有共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカスケールのスケール防止能の良好な水処理用重合体の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体とカルボキシル基含有単量体共重合体。
Figure 2013189586

式中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボキシル基含有共重合体、及びその製造方法に関するものである。
冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置、パルプ溶解釜、黒液濃縮釜などでは、水中に含まれる硬度成分等がシリカ成分等と結合してスケールが生じる。スケールがその内壁に沈着していくと、熱効率の低下や局部腐食など、運転上種々の障害を生じることがある。
そこで従来より、ポリアクリル酸ナトリウム等を用いたスケール防止剤が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1には、上記スケール防止剤のスケール生成に対する抑制効果は、主として分散作用に起因するものと推測されることが開示されている。
例えば、引用文献1には、下記式(R−1)で表される(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)と、下記式(R−2)で表されるスルホン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)と、下記式(R−3)で表される(メタ)アクリル酸系単量体(C)由来の構成単位(c)とを有する(メタ)アクリル酸系重合体を含む、スケール防止剤が開示されている。
Figure 2013189586

(式(R−1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミノ基を表す。)
Figure 2013189586

(式(R−2)中、R、R、Rは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、pは0または1を表し、Rは、−CH−、−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CO−O−CH−CH−、または−CO−NH−C(CH−を表し、Yは−SOXまたは−CHR−CHを表し、R、Rは、同一または異なって、−OHまたは−SOXを表し、RとRの少なくとも一方は−SOXであり、Xは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミノ基を表す。)
Figure 2013189586

(式(R−3)中、Rは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、またはヒドロキシエチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rが水素原子またはメチル基の場合にはRは水素原子ではない。)
引用文献1には、上記スケール防止剤が優れたリン酸カルシウムに対するスケール防止能を有すること、上記(メタ)アクリル酸系重合体がそのようなスケール防止剤に有用であることが開示されている。
特開2009−28618号公報
上述したように、従来、様々な重合体が報告されているものの、スケールの防止効果、とりわけシリカスケールについてのスケール防止効果を改良する余地があった。
そこで、本発明は、水処理に用いられた場合に従来より一層、シリカスケールの分散性が良好であることにより、シリカスケールのスケール防止剤として好ましく使用することができる重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために様々な重合体(共重合体を含む)について鋭意検討を行なった結果、特定のエーテル結合含有単量体に由来する構成単位と、カルボキシル基含有単量体に由来する構成単位とを特定の割合で導入した共重合体が、優れたシリカスケールの分散能を有することから、シリカスケールのスケール防止剤として有用に使用できることを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、1質量%以上、49質量%以下の下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)に由来する構造単位(a)、51質量%以上、99質量%以下のカルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)必須構成単位として有するカルボキシル基含有共重合体である。
Figure 2013189586

一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、優れたシリカスケールの分散能を有する。従って、例えばシリカスケールのスケール防止剤として有用に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔本発明のカルボキシル基含有共重合体〕
<単量体(A)としてのエーテル結合含有単量体>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)に由来する構造単位(a)を特定の割合で有することを必須としている。
Figure 2013189586

一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
一般式(1)において、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わすが、これらの基であることにより、シリカスケールの分散能が向上する傾向にある。また、例えばカルボニル基やアミド基の場合等と比較して耐加水分解性が優れる為、重合時や、重合体を含む各種用途製品の製造時等の加熱条件下においても分解が抑制されるため、用途製品の品質が向上する(ばらつきが少なくなる)。
得られる共重合体のシリカスケールの分散能の向上効果がより高いことから、RはCH基、CHCH基であることが好ましい。
一般式(1)において、得られる共重合体のシリカスケールの分散能の向上効果が高くなる傾向にあることから、RはCH基であることが好ましい。
は、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表すが、炭素数3〜6のアルキレン基としては、具体的には−CH(CH)CH−基、−CH(C)CH−基、−CH(C)CH−基、−CH(C)CH−基、シクロヘキセン基等が例示される。
は、同一若しくは異なって、炭素数4〜6のアルキレン基を表わすものであることが好ましい。
nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表わすが、得られる共重合体のシリカスケールの分散能の向上効果がより高いことから、nは1〜3の数であることが好ましく、1または2であることが特に好ましい。
は、上述の通り、水素原子または炭素数1〜7の有機基であるが、Rが炭素数1〜7の有機基である場合、Rは、アミノ基、アミド基、水酸基、アルコキシド基、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基を含んでいても良く、エーテル結合やスルフィド結合、エステル結合、アミド結合を含んでいても良い。但し、得られる共重合体のシリカスケールの分散能の向上効果が高くなる傾向にあることから、Rは、ヘテロ原子を含まないことが好ましい。上記有機基としては、置換または無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基が例示される。上記置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基とは、アルキル基、アリール基、アルケニル基の有する水素原子の一部または全部が、例えば上記の官能基等の官能基で置換されている基を表す。
上記Rが炭素数1〜7の有機基である場合のRとしては、具体的にはメチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ブチレン基、フェニル基、メチルフェニル基等が挙げられる。
は好ましくは水素原子または炭素数1〜4の有機基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜2の有機基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)は、例えば、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプレノール、ビニルヒドロキシブチルエーテル等の不飽和アルコール1モルに対して、1〜5モルの炭素数3〜6のアルキレンオキシドを付加することにより製造することができる。
上記炭素数3〜6のアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、シクロヘキセンオキシド等が例示される。2種以上のアルキレンオキシドを付加する場合には、ブロックに付加しても、ランダムに付加しても良い。
不飽和アルコールにアルキレンオキシドを付加する方法としては、特に制限はなく、(i)アルカリ金属の水酸化物、アルコラート等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、(ii)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、(iii)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合等を用いることができる。
不飽和アルコールにアルキレンオキシドを付加した後に、末端水酸基にハロゲン化アルキル等を反応させることにより、末端にアルキル基を導入しても良い。
上記構成単位(a)は、単量体(A)、すなわち上記式(1)において、重合性の不飽和二重結合(CH=C(R)−)が単結合(−CH−C(R)−)になった構造であり、下記一般式(2)で表される。
Figure 2013189586

一般式(2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、構造単位(a)を1種のみ含んでいても良いが、2種類以上含んでいても良い。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、上記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)に由来する構造単位(a)を全単量体(エーテル結合含有単量体(A)、カルボキシル基含有単量体(B)、後述するその他の単量体(E))に由来する構造単位の合計(すなわち、構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(e)の合計)100質量%に対して、1質量%以上、49質量%以下の割合で有することを必須としている。構造単位(a)が上記範囲内であれば、共重合体のシリカスケールの分散能が向上する傾向にある。全単量体に由来する構造単位の合計100質量%に対する構造単位(a)の割合は、好ましくは1質量%以上、39質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上、29質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上、25質量%以下であり、特に好ましくは4質量%以上、19質量%以下である。
<カルボキシル基含有単量体(B)>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)を特定の割合で有することを必須としている。
本発明において、カルボキシル基含有単量体(B)とは、1)炭素炭素不飽和二重結合と2)カルボキシル基および/またはその塩を必須として含有する単量体である(但し単量体(A)に属する単量体は、単量体(B)から除くものとする)。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、αーヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等の、不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
上記塩とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩である。金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、等のアルカリ土類金属の塩;アルミニウム、鉄等の塩等が挙げられる。また、有機アミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;モノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;エチレンジアミン塩、トリエチレンジアミン塩等のポリアミン等の有機アミンの塩が挙げられる。共重合体のシリカスケールの分散能が向上する傾向にあることから、塩の中でも、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩である。
カルボキシル基含有単量体(B)の中でも、共重合体のシリカスケールの分散能の向上効果が高いことから、アクリル酸、アクリル酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩が好ましく、アクリル酸および/またはアクリル酸塩を必須とすることがより好ましい。
本発明の共重合体は、構造単位(b)を1種のみで含んでいても良いが、2種類以上含んでいても良い。
上記構成単位(b)は、単量体(B)の炭素炭素不飽和二重結合が単結合になった構造である。例えば、単量体(B)がCH=C(COOH)−で表わされる場合、構成単位(b)は、−CH−C(COOH)−で表わされる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)を全単量体に由来する構造単位の合計100質量%に対して、51質量%以上、99質量%以下の割合で有することを必須としている。構造単位(b)が上記範囲内であれば、シリカスケールの分散能が向上する傾向にある。全単量体に由来する構造単位の合計100質量%に対する構造単位(b)の割合は、好ましくは61質量%以上、99質量%以下であり、より好ましくは71質量%以上、98質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以上、97質量%以下であり、特に好ましくは81質量%以上、96質量%以下である。
なお、本発明において、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)の全単量体に由来する構造単位の合計に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、対応する酸換算として計算するものとする。酸換算として計算するとは、例えば、アクリル酸ナトリウムに由来の構造単位−CH−CH(COONa)−であれば、対応する酸であるアクリル酸由来の構造単位−CH−CH(COOH)−として、質量割合(質量%)の計算をする。同様に、カルボキシル基含有単量体(B)の全単量体に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算として計算するものとする。例えば、アクリル酸ナトリウムであれば、対応する酸であるアクリル酸として質量割合(質量%)の計算をする。
更に、カルボキシル基含有単量体(B)以外の酸基含有単量体由来の構造単位(例えばスルホン酸基含有単量体)の全単量体に由来する構造単位に対する質量割合(質量%)を計算する場合においても、対応する酸換算として計算するものとし、カルボキシル基含有単量体(B)以外の酸基含有単量体の全単量体に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算として計算するものとする。また、アミノ基含有単量体由来の構造単位、アミノ基含有単量体は対応する未中和アミン由来の構造単位、未中和アミンとして質量計算するものとする。例えば、ビニルアミン塩酸塩の場合、対応する未中和アミンであるビニルアミンとして質量割合(質量%)を計算する。
<その他の単量体>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、その他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していても構わない。
本発明のカルボキシル基含有共重合体が他の単量体(E)を含む際の他の単量体(E)としては、上記単量体(A)、(B)のいずれか1種以上と共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、所望の効果によって適宜選択される。具体的には、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基と重合性基を有するビニル芳香族系アミノ基含有単量体およびこれらの4級化物や塩;ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン等のアリルアミン類およびこれらの4級化物や塩;(i)(メタ)アリルグリシジルエーテル、イソプレニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルのエポキシ環に、(ii)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン等のアルキルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、ピロール等の環状アミン類等のアミンを反応させることにより得られる単量体およびこれらの4級化物や塩等;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体、イソブチレン、酢酸ビニル;等が挙げられる。
また、上記他の単量体(E)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、任意であるが、上記構造単位(e)を全単量体に由来する構造単位の合計100質量%に対して、0質量%以上40質量%以下の割合で有していても良い。全単量体に由来する構造単位の合計100質量%に対する構造単位(e)の割合は、好ましくは0質量%以上、20質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%以上、10質量%以下である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、上記構成単位(a)、(b)ならびに必要であれば構造単位(e)が、上記したような特定の割合で導入されていればよく、各構成単位は、ブロック状あるいはランダム状のいずれで存在していてもよい。また、本発明のカルボキシル基含有共重合体の重量平均分子量は、適宜設定できるものであり、特に限定されない。具体的には、カルボキシル基含有共重合体の重量平均分子量は、2,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜60,000、最も好ましくは4,000〜30,000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、シリカスケールの分散能が向上する傾向にある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値であり、実施例に記載される方法に従って測定されたものである。
〔本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物(単に、重合体組成物ともいう)〕
本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物は、本発明のカルボキシル基含有共重合体を必須として含有し、カルボキシル基含有共重合体以外の成分は任意であるが、通常はその他に、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分から選ばれる1以上を含有する。好ましいカルボキシル基含有共重合体組成物の形態は、カルボキシル基含有共重合体を20〜80質量%含有し、水を20〜80質量%含有する形態である。
本発明の重合体組成物は、残存単量体の合計が重合体組成物の固形分換算で、0〜15000ppmであることが好ましく、0〜10000ppmであることがより好ましい。
〔本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法〕
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法は、特に断りの無い限りは、公知の重合方法を同様にしてあるいは修飾した方法が使用できる。本発明のカルボキシル基含有共重合体を製造する方法としては、エーテル結合含有単量体(A)、カルボキシル基含有単量体(B)を必須として含む単量体(単量体成分)を共重合する工程(重合工程)を必須に含むことにより製造することができる。また、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記その他の単量体(E)を更に共重合させてもよい。
このような製造方法においては、重合開始剤を用いて単量体成分を共重合すればよい。なお、カルボキシル基含有共重合体を構成する構成単位が上述したようになるように、単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量を適宜設定することになる。すなわち、上記カルボキシル基含有共重合体を形成する各単量体の組成比は、全単量体(すなわち、エーテル結合含有単量体(A)、カルボキシル基含有単量体(B)その他の単量体(E)に対して、エーテル結合含有単量体(A)が1質量%以上、49質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が51質量%、以上99質量%以下である。上述したように、さらにこれらと共重合可能な上記その他の単量体(E)を、全単量体の合計を100質量%とした場合に、0質量%以上、40質量%以下の量で使用してもよい。好ましくは、エーテル結合含有単量体(A)が1質量%以上、39質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が61質量%以上、99質量%以下、その他の単量体(E)が0質量%以上、20質量%以下であり、より好ましくは、エーテル結合含有単量体(A)が2質量%以上、29質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が71質量%以上、98質量%以下、その他の単量体(E)が0質量%以上、15質量%以下であり、さらに好ましくは、エーテル結合含有単量体(A)が3質量%以上、25質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が75質量%以上、97質量%以下、その他の単量体(E)が0質量%以上、10質量%以下であり、特に好ましくは、エーテル結合含有単量体(A)が4質量%以上、19質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が81質量%以上、96質量%以下、その他の単量体(E)が0質量%以上、8質量%以下である。なお、上記単量体(A)、(B)、(E)の合計量は100質量%としている。
本発明において、単量体(A)、(B)、さらに必要であれば他の単量体(E)の共重合は、使用する溶媒の50質量%以上に水を用いる方法および/または連鎖移動剤の存在下で行なう方法が好ましく、使用する溶媒の50質量%以上に水を用い、かつ連鎖移動剤の存在下で行なうことがより好ましい。この際、使用する溶媒の50質量%以上に水を用いることによって、重合に使用される有機溶剤の量を抑制できるため、重合終了後の有機溶剤の留去が容易であるという利点がある。また、連鎖移動剤を使用すると、製造されるカルボキシル基含有共重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量のカルボキシル基含有共重合体を効率よく製造することができるという利点がある。特に連鎖移動剤として重亜硫酸(塩)を使用すると、得られるカルボキシル基含有共重合体の主鎖末端にスルホン酸基を導入することができ、また、シリカスケールの分散能を向上することができる為に好ましい。
本発明の製造方法で使用される溶媒としては、特に制限されないが、上記の通り、使用する溶媒全量に対して50質量%の割合で水を含むものが好ましい。重合に使用される単量体の溶媒への溶解性向上という観点から、必要に応じて、有機溶媒を添加してもよい。この際使用できる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で試用されてもよい。本発明では、水の量は、使用する溶媒全量に対して、好ましくは80質量%以上であることが好ましく、最も好ましくは水単独(即ち、100質量%)である。
上記溶媒の使用量としては、全単量体の合計100質量%に対して40〜200質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、180質量%以下であり、更に好ましくは、150質量%以下である。溶媒の使用量が40質量%以下であると、得られる共重合体の分子量が高くなるおそれがあり、200質量%を超えると、得られる共重合体の濃度が低くなり、溶媒除去が必要となるおそれがある。
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法で使用される開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩が好ましく、残存単量体を低減できることから、過硫酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記開始剤の使用量は、単量体(A)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、単量体(A)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、10g以下、より好ましくは1〜5gであることが好ましい。
本発明の製造方法において、共重合を連鎖移動剤の存在下で行なうことが好ましい要件である。この際使用できる連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、重亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、メタ重亜硫酸塩、亜流酸塩、チオ硫酸塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
これらのうち、本発明に係る共重合反応においては、重亜硫酸(塩)(メタ重亜硫酸塩のように加水分解により亜流酸塩を生成する化合物を含む)を用いることが好適である。これにより、得られるカルボキシル基含有共重合体の主鎖末端にスルホン酸基を導入することができるととなり、耐ゲル性を向上することが可能となる。また、得られる共重合体が必要以上に高分子量化することが抑制されることとなる。
上記重亜硫酸(塩)における塩とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩である。重亜硫酸(塩)のなかでも、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムが好ましい。重亜硫酸(塩)は、1種類のみを使用しても良く、2種以上を使用しても良い。
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法において、連鎖移動剤の使用量は好ましくは単量体(A)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体の使用量1モルに対して、1〜20g、より好ましくは2〜15gである。1g以下であると、分子量の制御ができないおそれがあり、逆に、20gを超えると、不純物が多量に生成し、重合体純分が低下するおそれがあり、特に重亜硫酸(塩)を使用する場合には、余剰の重亜硫酸(塩)が反応系中で分解され、亜硫酸ガスが発生するおそれがある。しかも、経済的にも不利となるおそれがある。
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法において、反応促進剤として重金属イオンを使用しても良い。本発明において重金属とは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。上記金属イオンとしては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
上記重金属イオンは、イオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。その際に用いる重金属化合物は、開始剤に含有することを所望する重金属イオンを含むものであればよく、用いる開始剤に応じて決定することができる。上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらの重金属化合物を用いる場合においては、いずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れることになる。なお、上記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
上記重金属イオンを使用する場合の重金属イオン量、本発明における重合工程において、触媒量含まれていることが好ましい。本明細書でいう触媒量とは、触媒として、最終目的物に取り込まれるものでなく作用するものであり、具体的には、100ppm以下であり、好ましくは、10ppm以下であり、より好ましくは5ppm以下である。
上記重金属イオンの含有量は、また、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm以下であると、重金属イオンによる効果が十分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる重合体の色調の悪化を来たすおそれがある。
なお、上記重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体がアルカリ成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
上記開始剤と連鎖移動剤との組み合わせとしては、上記の通り、過硫酸塩と重亜硫酸(塩)とをそれぞれ1種以上用いることが最も好ましい。この場合、過硫酸塩と重亜硫酸(塩)との混合比は、特に制限されないが、過硫酸塩1質量部に対して、重亜硫酸(塩)0.5〜5質量部を用いることが好ましい。より好ましくは、過硫酸塩1質量部に対して、重亜硫酸(塩)の下限は、1質量部であり、最も好ましくは2質量部である。また、重亜硫酸(塩)の上限は、過硫酸塩1質量部に対して、より好ましくは4質量部であり、最も好ましくは3質量部である。ここで、重亜硫酸(塩)が0.5質量部以下であると、低分子量化する際に開始剤総量が増加するおそれがあり、逆に5質量部を超えると、副反応が増加し、それによる不純物が増加するおそれがある。
上記連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせは、特に制限されず、上記各例示の中から適宜選択できる。例えば、連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせとしては、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム、過酸化水素/過硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム/Fe(鉄イオン)、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(鉄イオン)、亜硫酸水素ナトリウム/酸素/Fe(鉄イオン)、次亜リン酸ナトリウム/過硫酸ナトリウム等の形態が好ましい。より好ましくは、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(鉄イオン)であり、最も好ましくは亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(鉄イオン)である。
上記連鎖移動剤、開始剤、及び反応促進剤の総使用量は、単量体(A)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、2〜20gであることが好ましい。このような範囲とすることで、本発明のカルボキシル基含有共重合体を効率よく生産することができ、また、カルボキシル基含有共重合体の分子量分布を所望のものとすることができる。より好ましくは、4〜18gであり、更に好ましくは、6〜15gである。
上記重合工程において、単量体や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体(A)、(B)のうちの1種または2種以上の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が例示される。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、スケール防止剤として用いる場合のシリカスケールの分散能を向上することができる傾向にあることから、重合開始剤の一部または全部と、単量体の一部または全部とを反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
なお、溶媒は、重合初期に一部又は全量を反応容器内に仕込んでおけばよいが、溶媒の一部を重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよいし、単量体成分や開始剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよい。
上記重合工程における重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合等の通常用いられる方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、上述したように、全溶媒に対して50質量%が水である混合溶媒または水であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
上記重合工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記重合工程において、重合温度としては、通常、0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、60℃以上であり、特に好ましくは、80℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、110℃以下である。特に、重亜硫酸(塩)を用いる場合には、共重合温度は、通常、60℃〜95℃、好ましくは70℃〜95℃、さらに好ましくは、80℃〜95℃である。この際、60℃以下では、重亜硫酸(塩)由来の不純物が多量に生成するおそれがある。逆に、95℃を越えると、有毒な亜硫酸ガスが放出されるおそれがある。
上記重合工程において、重合温度は常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法において、重合時間としては、30〜300分であることが好ましい。より好ましくは、60〜240分であり、更に好ましくは、120〜180分である。
なお、本発明において「重合時間」とは、回分式(バッチ式)重合方法において、単量体の一部または全部を反応器(反応釜)に添加しながら重合する場合には、最初に重合開始剤の一部または全部と、単量体の一部または全部が反応器に添加された時点(重合開始時点という)から、単量体の全量が反応器に添加された時点(重合終了時点という)までをいう。また、回分式(バッチ式)重合方法において、単量体の全量を予め反応器に添加して(初期仕込みという)、重合開始剤の一部または全部を反応器(反応釜)に添加しながら重合する場合には、最初に重合開始剤の一部または全部と、単量体の全部が反応器に添加された時点から、重合開始剤の全量が反応器に添加された時点までである。また、回分式(バッチ式)重合方法において、単量体の全量と、重合開始剤の全量とを予め反応器に添加して、加熱等の手段により重合を行なう場合には、発熱(重合熱の発生)が見られる時間をいう。また、連続式で重合する場合には、反応器に滞留している時間をいう。
上記重合工程における反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れであってもよいが、得られる共重合体の分子量の点で、常圧下、又は、反応系内を密閉し、加圧下で行うのが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点で、常圧(大気圧)下で行うのが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
上記重合工程における重合中のpHは、酸性が好ましい。特に、上記開始剤として、過硫酸塩と重亜硫酸(塩)とを併用する場合は、酸性条件下で行うことが好ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、共重合体を良好に製造することができる。また、高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるので、製造効率を大幅に上昇することができ、最終固形分濃度が40%以上の高濃度重合とすることができ、含まれる残存モノマーの総濃度が15000ppm以下のものを得ることができる。更に、エーテル結合含有単量体の重合性を向上することができる。
上記酸性条件としては、重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6であることが好ましい。より好ましくは、5以下であり、更に好ましくは、3以下である。上記共重合方法により得られる共重合体は、重合終了時のpHに応じた中和状態で使用しても良いが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和してから(中和工程とも言う)用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アンモニウム(有機アミン)等を用いることが好ましい。
上記重合工程において、共重合を行う際の単量体の中和率は、開始剤によって適宜変更できる。例えば、過硫酸塩と重亜硫酸(塩)とを併用する場合は、単量体の中和率を0〜60モル%として単量体成分の共重合を行うことが好ましい。上記単量体の中和率は、反応液に含まれる単量体と単量体に由来する構造単位のカルボキシル基の全モル数を100モル%としたときに、塩を形成している単量体と塩を形成している単量体に由来する構造単位のカルボキシル基の割合(モル%)で表される。単量体の中和率が60モル%を超えると、共重合工程における重合率が上がらず、得られる共重合体の分子量が低下したり、製造効率が低下したりするおそれがある。より好ましくは、50モル%以下であり、更に好ましくは、40モル%以下、特に好ましくは、30モル%以下であり、より特に好ましくは、20モル%以下であり、最も好ましくは、10モル%以下である。
本発明の製造方法は、通常重合工程を必須として含むことになる。その他、中和工程、精製工程等を含んでいても良い。
上記カルボキシル基含有共重合体(または重合体組成物)は、スケール防止剤等の水処理剤として好適に使用される他、繊維処理剤、分散剤、脱墨剤、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤等として用いられうる。
<水処理剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体(または重合体組成物)は、単独またはその他の配合剤と共にスケール防止剤等の水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。上記水処理剤における本発明のカルボキシル基含有共重合体の含有量は、水処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
<脱墨剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体(または重合体組成物)は、脱墨剤として使用できる。本発明にかかる脱墨剤は、必要に応じて、一般的に用いられている各種薬剤、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤;過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の漂白剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等のキレート剤;過酸化水素安定剤、発泡剤、ピッチコントロール剤、解離促進剤、或いは、公知の脱墨剤と併用することができるが、特に限定されるものではない。尚、本発明にかかる脱墨剤と併用することができる公知の脱墨剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸系や陰イオン性界面活性剤系、各種非イオン性界面活性剤系の脱墨剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、非イオン性界面活性剤とカチオン性化合物等とを併用する公知の脱墨処理工程においても、該脱墨処理工程を行うのに特に支障が無ければ、本発明にかかる脱墨剤を併用することができる。
本発明にかかる脱墨剤における本発明のカルボキシル基含有共重合体の含有量は、特に限定されるものではないが、1重量%〜100重量%の範囲内がより好ましく、2重量%〜100重量%の範囲内がさらに好ましく、10重量%〜100重量%の範囲内が特に好ましく、20重量%〜100重量%の範囲内が最も好ましい。また、本発明にかかる脱墨剤と併用することができる上記各種薬剤や公知の脱墨剤等の添加量は、本発明にかかる脱墨剤が備える効果を阻害しない範囲内であればよく、特に限定されるものではない。
本発明にかかる脱墨剤を用いた脱墨処理方法は、特に限定されるものではなく、公知の一般的な方法、例えば、洗浄法やフローテーション法、或いは洗浄法とフローテーション法との折衷法等を採用することができる。より具体的には、例えば、脱墨処理工程は、一般的に、水中で古紙(印刷古紙)を解砕してパルプスラリーを得る解砕工程、解砕工程後にパルプスラリーを所定時間放置して熟成させる熟成工程、パルプ(繊維)からインクを脱離させて除去する除去工程、および、インクを除去した該パルプスラリーを濾過・洗浄する洗浄工程から少なくとも成り立っている。これら各工程は、印刷の技法、インク(油性インク)の組成や量、古紙の性状等に応じて、必要であれば2回以上繰り返して行われる。また、上記工程に加えて、脱墨処理において通常実施されている脱水工程やスクリーン工程、分散工程等を行うこともできる。
尚、古紙を形成しているパルプとしては、具体的には、例えば、機械パルプ(MP)や化学的機械パルプ(CGP)等の高収率パルプ;脱墨パルプ(DIP);ソーダパルプ(AP)やクラフトパルプ(KP)等の化学パルプ;等の木材パルプ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
解砕工程において用いられる解砕機(離解機)としては、例えば、パルパーやリファイナー、ニーダー等が挙げられる。パルプスラリーにおけるパルプ濃度は、特に限定されるものではないが、3重量%〜25重量%の範囲内が好適である。パルプスラリーの温度は、20℃〜70℃の範囲内が好適である。パルプスラリーのpHは、7.5〜11.5の範囲内が好適であり、8.0〜11.5の範囲内が最適である。
熟成工程におけるパルプ濃度は、特に限定されるものではないが、10重量%〜30重量%の範囲内が好適である。パルプスラリーの温度は、30℃〜80℃の範囲内が好適である。パルプスラリーの熟成時間は、特に限定されるものではないが、1時間以上が好適である。
除去工程におけるパルプ濃度は、特に限定されるものではないが、0.5重量%〜1.5重量%の範囲内が好適である。パルプスラリーの温度は、20℃〜50℃の範囲内が好適である。上記除去工程としては、フローテーション工程が好適である。尚、フローテーション工程において泡を形成する方法は、特に限定されるものではない。
脱墨処理において使用する水のカルシウムイオン濃度は、特に限定されるものではなく、一般的に工業用水や水道水が示す濃度である10ppm〜400ppmの範囲内、より好ましくは100ppm〜250ppmの範囲内であれば充分である。水のカルシウムイオン濃度が上記範囲内であれば、微細なパルプがより大きなパルプに吸着されるので、再生パルプを歩留り良く得ることができる。また、インクのパルプへの再付着を抑制することができる。該水のアルミニウムイオン濃度は、特に限定されるものではなく、40ppm以下、より好ましくは25ppm以下であれば充分である。本発明にかかる脱墨剤は、カルボキシル基が多数導入されたポリアニオン構造を備えているので、パルプスラリーにおけるカルシウムイオン濃度並びにアルミニウムイオン濃度を適度な値に保つことができ、その結果、脱墨処理工程を、より一層容易に行うことができるようになっている。
脱墨処理において使用する水のpHは、特に限定されるものではない。該水のpHは、一般的な酸・塩基を用いて調整することができる。本発明にかかる脱墨剤は、パルプスラリーへの分散性が良好であるので、操作性に優れている。
脱墨剤の使用量は、印刷の技法、インクの組成や量、古紙の性状等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、脱墨すべき古紙の乾燥重量(絶乾重量)に対して、0.05重量%〜10重量%の範囲内がより好ましく、0.1重量%〜5重量%の範囲内がさらに好ましい。使用量が0.05重量%よりも少ない場合には、インクを充分に除去することができない場合がある。一方、使用量を10重量%より多くしても、更なる効果は期待できず、過剰の脱墨剤が無駄になる。
<繊維処理剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明のカルボキシル基含有共重合体を含む。
上記繊維処理剤における本発明のカルボキシル基含有共重合体の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
以下に、より実施形態に近い、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明のカルボキシル基含有共重合体1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部の割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
上記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明のカルボキシル基含有共重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明のカルボキシル基含有共重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
<無機顔料分散剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体(または重合体組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
上記無機顔料分散剤中における、本発明のカルボキシル基含有共重合体の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100重量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、本発明のカルボキシル基含有共重合体の重量平均分子量、シリカスケールの分散能等は、下記方法に従って測定した。
<重量平均分子量の測定条件>
装置:日立社製L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min.
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<シリカスケール分散能>
グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加え、600gとした(これをバッファー(1)とする)。バッファー(1)60gに塩化カルシウム二水和物0.3268gを加え、さらに純水を加え、1000gとした(これをバッファー(2)とする)。測定対象の共重合体の0.1質量%水溶液4gに、バッファー(2)を36g加え、攪拌し分散液とした。試験管(IWAKI GLASS製、直径18mm、高さ180mm)にシリカスケールとしてタルク(和光純薬製)0.9gを入れた後、上記の分散液を30g加え、密封する。
試験管を振り、タルクを均一に分散させた。その後、試験管を暗所に3時間静置した。1時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所、UV−1200;内寸が、底面積1cm×高さ4.5cmのセル、波長380nm)で吸光度を測定した。この値が大きいほどシリカスケール分散能が高いことを示す。
<重合体組成物の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
<合成例1>
攪拌機(パドル翼)、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコに、イソプレノール43.0gと、水酸化カリウム(以下、「KOH」とも称する。)0.93gを仕込み、窒素導入、攪拌しながら、60℃まで昇温し、この状態を30分間維持することにより、KOHを溶解させた。次に、へキセンオキシド(以下、「HxO」とも称する。)50.0gを30分かけて添加し、その後、72時間、60℃を維持して反応させた。室温まで冷却後、この溶液を500mlの分液ロートへ移し、20%塩化ナトリウム水溶液(以下、「20%NaCl」とも称する。)100.0gを加え、よく攪拌し、分層するまで静置し、下層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、残った上層を300mlのナスフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターで脱溶媒した。析出してきた塩を濾過により取り除き、単量体(1)を得た。
<合成例2>
攪拌機(パドル翼)、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコに、アリルアルコール29.0gと、KOH0.79gを仕込み、窒素導入、攪拌しながら、60℃まで昇温し、この状態を30分間維持することにより、KOHを溶解させた。次に、HxO50.0gを30分かけて添加し、その後、5時間、60℃を維持して反応させた。室温まで冷却後、この溶液を500mlの分液ロートへ移し、20%NaCl100.0gを加え、よく攪拌し、分層するまで静置し、下層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、残った上層を300mlのナスフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターで脱溶媒した。析出してきた塩を濾過により取り除き、単量体(2)を得た。
<合成例3>
合成例1において、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコにかえてSUS製のオートクレーブを使用し、へキセンオキシド50.0gにかえて、プロピレンオキシド87.0gを使用し、KOH0.93gにかえて、KOH0.65gを使用するほかは、合成例1と同様にしてイソプレノールへのプロピレンオキシド3モル付加物(単量体(3))を得た。
<合成例4>
合成例2において、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコにかえてSUS製のオートクレーブを使用し、へキセンオキシド50.0gにかえて、プロピレンオキシド87.0gを使用し、KOH0.79gにかえて、KOH0.58gを使用するほかは、合成例2と同様にしてアリルアルコールへのプロピレンオキシド3モル付加物(単量体(4))を得た。
<合成例5>
合成例1において、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコにかえてSUS製のオートクレーブを使用し、へキセンオキシド50.0gにかえて、ブチレンオキシド72.0gを使用し、KOH0.93gにかえて、KOH0.58gを使用するほかは、合成例1と同様にしてイソプレノールへのブチレンオキシド2モル付加物(単量体(5))を得た。
<合成例6>
合成例2において、還流冷却器を備えた容量200mLのガラス製4つ口フラスコにかえてSUS製のオートクレーブを使用し、へキセンオキシド50.0gにかえて、ブチレンオキシド72.0gを使用し、KOH0.79gにかえて、KOH0.51gを使用するほかは、合成例2と同様にしてアリルアルコールへのブチレンオキシド2モル付加物(単量体(6))を得た。
<実施例1>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水99.7g、およびモール塩0.0110gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する。)180.0g、単量体(1)25.4g、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する。)42.7g、および、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、「35%SBS」とも称する。)30.5gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体(1)については90分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」とも称する。)141.7gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、固形分濃度45%の重合体水溶液(重合体水溶液(1))を得た。重合体水溶液(1)に含まれる残存単量体の合計は1000ppm未満であり、重合体水溶液(1)に含まれる重合体(重合体(1))の重量平均分子量は12,500であった。
<実施例2>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水113.1g、およびモール塩0.0129gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA225.0g、単量体(1)20.0g、15%NaPS52.2g、および、35%SBS22.4gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体(1)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH177.1gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、固形分濃度45%の重合体水溶液(重合体水溶液(2))を得た。重合体水溶液(2)に含まれる残存単量体の合計は1000ppm未満であり、重合体水溶液(2)に含まれる重合体(重合体(2))の重量平均分子量は20,700であった。
<実施例3>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水120.5g、およびモール塩0.0148gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA270.0g、単量体(2)11.4g、15%NaPS61.4g、および、35%SBS26.3gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体(2)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH212.5gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、固形分濃度45%の重合体水溶液(重合体水溶液(3))を得た。重合体水溶液(3)に含まれる残存単量体の合計は1000ppm未満であり、重合体水溶液(3)に含まれる重合体(重合体(3))の重量平均分子量は18,700であった。
<比較例1>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水106.4g、およびモール塩0.0142gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA270.0g、15%NaPS60.0g、および、35%SBS25.7gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH212.5gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、固形分濃度45%の比較重合体水溶液(比較重合体水溶液(1))を得た。比較重合体水溶液(1)に含まれる比較重合体(比較重合体(1))の重量平均分子量は14,600であった。
<実施例4>
実施例1〜3で得られた重合体について、上記方法に従ってシリカスケールの分散能を評価した。比較例として上記比較例1で得られた重合体、および重量平均分子量5,500のポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒製「アクアリックYS100」、比較重合体(1)と言う。)について、シリカスケールの分散能を評価した。結果を表1にまとめた。
Figure 2013189586
表1から明らかなように、本発明の重合体は、従来の重合体に比して、優れたシリカスケールの分散能を有していることが明らかとなった。よって、本発明の重合体は水処理剤として好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 1質量%以上、49質量%以下の下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)に由来する構造単位(a)、51質量%以上、99質量%以下のカルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)を必須構成単位として有するカルボキシル基含有共重合体。
    Figure 2013189586

    式中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
  2. 1質量%以上、49質量%以下の下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有単量体(A)、51質量%以上、99質量%以下のカルボキシル基含有単量体(B)を必須として重合する工程を含む、カルボキシル基含有共重合体の製造方法。
    Figure 2013189586

    式中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、同一若しくは異なって、炭素数3〜6のアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−R−O−)の平均付加モル数であって、1〜5の数を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜7の有機基を表す。
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