JP2013187809A - 通話信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】音量制御部によるエコーの増幅を抑制することができる通話信号処理装置を提供する。
【解決手段】受話信号を伝送する受話側信号経路と、送話信号を伝送する送話側信号経路と、送話側信号経路の信号レベルを算出する第1のレベル算出部3と、受話信号の信号レベルに応じた利得を算出し、当該利得を受話信号に乗ずることで受話信号の信号レベルを制御する音量制御部1と、音量制御部1の動作を制御する動作制御部2とを備え、音量制御部1は、受話信号に乗ずる利得を更新し、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、通話信号処理装置に関するものである。
従来、各住戸に設置される住戸機と、共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)と、管理室に設置される管理室通話装置との間で通話音声を伝送させる集合住宅用インターホンシステムが提供されている。そして、このような集合住宅用インターホンシステムにおいて、システム内の通話装置(住戸機や管理室通話装置など)と、公衆電話網に接続される外部の通話装置(固定電話機や携帯電話機など)との間で音声を転送する外線転送装置(通話信号処理装置)を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、管理人の不在中に住戸機から管理室通話装置が呼び出された場合、外線転送装置が住戸機からの呼び出しを管理人の携帯電話機に転送し、住戸機と携帯電話機との間で外線転送装置が通話音声を相互に転送する。これにより、住戸の住人と管理人とが住戸機と携帯電話機を用いて通話することができる。
ところで、外部通話装置から伝送されてくる音声の音量レベルは、外部通話装置の種類(固定電話機や携帯電話機)や製造元(メーカ)あるいは機種によって大きくばらついている。そこで、受話信号の音量レベルを増減させる音量制御部を備えた外線転送装置(通話信号処理装置)が提供されている。図9に、従来の外線転送装置のブロック構成図を示す。
この外線転送装置は、音量制御部101と、A/D変換器102と、D/A変換器103と、2線4線変換部104と、伝送部105とを備えている。伝送部105は、信号線Lを介して通話装置(住戸機や管理室通話装置など)に接続されており、この通話信号処理装置との間でパケット伝送を行う。
伝送部105は、音量制御部101から出力される受話信号(受話音声データ)を分割してパケットを作成し、当該パケット(音声パケット)を符号化するとともに符号化されたビット列を電気信号に変換(変調)して信号線Lに送出する。また、伝送部105は、信号線Lから伝送される電気信号をビット列に変換(変調)し、復調されたビット列から音声パケットを復号化すると共に復号化された送話信号(送話音声データ)をD/A変換器103に出力する。そして、D/A変換器103でアナログ信号に変調された送話信号が2線4線変換部104に出力される。2線4線変換部104は、局線(電話線)Lxによって公衆電話網に接続されており、送話信号を電話線Lxに送出すると共に、電話線Lxで伝送されてくる受話信号をA/D変換器102へ出力する。そして、受話信号は、A/D変換器102でディジタル信号(受話音声データ)に変換されて音量制御部101に入力される。
そして、音量制御部101は、受話信号の音量レベルが所定レベルとなるように増減して、伝送部105に出力する。これにより、通話音声のばらつきを抑えることができる。
特開平2002−125059号公報
しかし、外部通話装置のスピーカとマイクロホンによる音響結合によって、送話信号が受話信号経路に回り込むエコーが発生する場合がある。この場合、受話信号に含まれるエコー成分も音量制御部101によって増幅され、受話信号の音声レベルを最適な所定レベルに調整することができなくなり、通話品質の低下を招くおそれがあった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、音量制御部によるエコーの増幅を抑制することができる通話信号処理装置を提供することにある。
本発明の通話信号処理装置は、通話端末からの受話信号を伝送する受話側信号経路と、前記通話端末に送話信号を伝送する送話側信号経路と、前記送話側信号経路の信号レベルを算出する第1のレベル算出部と、前記受話信号の信号レベルに応じた利得を算出し、当該利得を前記受話信号に乗ずることで前記受話信号の信号レベルを制御する音量制御部と、前記音量制御部の動作を制御する動作制御部とを備え、前記音量制御部は、前記受話信号に乗ずる前記利得を更新し、前記動作制御部は、前記第1のレベル算出部の算出結果が第1の閾値以上である場合、前記音量制御部による前記利得の更新を停止させることを特徴とする。
この通話信号処理装置において、前記受話側信号経路の信号レベルを算出する第2のレベル算出部を備え、前記動作制御部は、前記第1のレベル算出部の算出結果に対する前記第2のレベル算出部の算出結果の比が第2の閾値以上である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記第2のレベル算出部の前段に設けられ、前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラを備えることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記第2のレベル算出部の後段に設けられ、前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラを備えることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記受話信号と前記送話信号との相関値を算出する相関値算出部を備え、前記動作制御部は、前記相関値算出部の算出結果が第3の閾値以下である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記受話信号と前記送話信号との異符号率を算出する異符号率算出部を備え、前記動作制御部は、前記異符号率算出部の算出結果が第4の閾値以上である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラと、前記受話側信号経路および前記送話側信号経路に同時に信号が伝送されるダブルトーク状態を検出するダブルトーク検出部とを備え、前記動作制御部は、前記ダブルトーク検出部がダブルトークを検出している場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記第2のレベル算出部は、前記受話信号の絶対値の平均から信号レベルを算出することが好ましい。
この通話信号処理装置において、前記第1のレベル算出部は、前記送話信号の絶対値の平均から信号レベルを算出することが好ましい。
以上説明したように、本発明では、音量制御部によるエコーの増幅を抑制することができるという効果がある。
本発明の実施形態1の外線転送装置の構成を示すブロック図である。 同上の外線転送装置を含む集合住宅用インターホンシステムのシステム構成図である。 実施形態2の外線転送装置の構成を示すブロック図である。 同上の別構成を示すブロック図である。 同上の別構成を示すブロック図である。 実施形態3の外線転送装置の構成を示すブロック図である。 実施形態4の外線転送装置の構成を示すブロック図である。 実施形態5の外線転送装置の構成を示すブロック図である。 従来の外線転送装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図2は、本実施形態の外線転送装置E(本願発明の通話信号処理装置に相当)を含む集合住宅用インターホンシステムのシステム構成例を示している。この集合住宅用インターホンシステムは、集合住宅の各住戸に設置される複数台(図示は1台のみ)の住戸通話装置A、集合住宅の共用玄関に設置される共用部通話装置(図示せず)、幹線制御装置B、管理室通話装置Cなどで構成されている。
各住戸通話装置Aは、住戸別線L2並びに分岐器Dを介して幹線L1に分岐接続されている。幹線L1は幹線制御装置Bに接続され、この幹線L1に複数(図示は1つのみ)の分岐器Dが設けられている。また、幹線制御装置Bには信号線L3を介して管理室通話装置Cが接続されている。管理室通話装置Cは集合住宅の管理室に設置されており、管理人が各住戸の住人と通話する際に使用される。
本実施形態における集合住宅用インターホンシステムでは、ディジタル変調された音声情報(音声データ)、映像情報(映像データ)、制御情報(制御データ)が伝送路(幹線L1,住戸別線L2,信号線L3,L4)を介してパケット伝送される。例えば、共用部通話装置(ロビーインターホン)では、来訪者がテンキースイッチ又はタッチパネルを操作して何れかの住戸の住戸番号の操作入力を受け付けると、データフィールドに当該住戸番号を格納したパケット、並びに撮像装置で撮像した来訪者の映像(映像データ)をデータフィールドに格納したパケットを信号線を介して幹線制御装置Bのアドレス宛に送信(パケット伝送)する。幹線制御装置Bは、ロビーインターホンからの呼出を通知するための呼出コマンドをデータフィールドに格納した制御パケット並びに前記映像データをデータフィールドに格納した映像パケットを幹線L1に送出する。前記住戸番号の住戸に設置されている住戸通話装置Aでは、幹線L1及び住戸別線L2を介して制御パケット及び映像パケットを受信すると、制御パケットのデータフィールドに格納されている呼出コマンド(制御信号)に応じてスピーカから呼出音を鳴動させる。また、映像パケットのデータフィールドに格納されている映像データを処理して液晶ディスプレイなどの表示デバイスに来訪者の映像を表示させる。そして、呼出音を聞いた住人が住戸通話装置Aの応答釦(図示せず)を操作すると、マイクロホンから出力される音声信号(送話信号)が住戸別線L2を介してパケット伝送される。同様に、ロビーインターホンにおいてもマイクロホンから出力される音声信号(送話信号)が幹線制御装置Bを経由して住戸通話装置Aにパケット伝送される。その結果、住戸の住人と来訪者が住戸通話装置A及びロビーインターホンを用いてインターホン通話することができる。
また、住戸通話装置Aから管理室通話装置Cを呼び出し、住人と管理人が住戸通話装置A及び管理室通話装置Cを用いて通話することもできる。この場合、住戸通話装置Aから管理室通話装置Cを呼び出すための制御データを含むパケットが送信され、当該パケットが幹線制御装置Bを経由して管理室通話装置Cに伝送される。そして、管理室通話装置Cの送受話器(ハンドセット)がオフフック(あるいは通話釦が操作)されると、ロビーインターホンの場合と同様に住戸通話装置Aと管理室通話装置Cとの間で音声データが相互にパケット伝送される。但し、上述した住戸通話装置A、幹線制御装置B、ロビーインターホン、管理室通話装置Cは従来周知の技術を利用して実現可能であるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
ここで、管理人の留守中に住戸通話装置Aから管理室通話装置Cに呼出があった場合、管理人が所持する携帯電話機や管理会社の受付センターに住戸通話装置Aの呼出が転送される。そして、転送先の携帯電話機や受付センターの電話機などの通話端末(以下、これらを外部通話装置Fと呼ぶ。)と住戸通話装置Aとの間で音声を伝送して通話可能とすることが望ましい。そのために本実施形態における集合住宅用インターホンシステムでは、住戸通話装置Aと外部通話装置Fとの間で音声を相互に転送する外線転送装置Eを備えている。
外線転送装置Eは、図1に示すように音量制御部1と、動作制御部2と、第1のレベル算出部3と、A/D変換器4と、D/A変換器5と、2線4線変換部6と、伝送部7とを備えている。伝送部7は、信号線L4を介して幹線制御装置Bに接続されており、幹線制御装置Bを経由して住戸通話装置Aとの間でパケット伝送を行う。
伝送部7は、音量制御部1から出力される受話信号(受話音声データ)を分割してパケットを作成し、当該パケット(音声パケット)を符号化するとともに符号化されたビット列を電気信号に変換(変調)して信号線L4に送出する。また、伝送部7は、信号線L4から伝送される電気信号をビット列に変換(変調)し、復調されたビット列から音声パケットを復号化した送話信号(送話音声データ)を送話側信号経路(図1における下側の信号経路)を介してD/A変換器5に出力する。そして、D/A変換器5でアナログ信号に変調された送話信号が2線4線変換部6に出力される。2線4線変換部6は、局線(電話線)Lxによって公衆電話網Nに接続されており、送話信号を電話線Lxに送出すると共に、電話線Lxで伝送されてくる受話信号をA/D変換器4へ出力する。そして、受話信号は、A/D変換器4でディジタル信号(受話音声データ)に変換され受話側信号経路(図1における上側の信号経路)を介して音量制御部1に入力される。
音量制御部1は、入力される受話信号の信号レベル(音声レベル)が所定レベルとなるように増減させて伝送部7に出力する。具体的には、音量制御部1は、入力される受話信号の信号レベルに応じて利得を算出し、算出した利得を受話信号に乗ずることで受話信号の信号レベルを所定レベルに変動させ、伝送部7に出力する。また、音量制御部1は、入力される受話信号の信号レベルが変動した場合であっても所定レベルに制御するために、受話信号に乗ずる利得を更新している。
第1のレベル算出部3は、送話信号(送話音声データ)の音声レベル(信号レベル)を算出する。そして、第1のレベル算出部3は、送話信号の信号レベルの算出結果を動作制御部2に出力する。具体的には、第1のレベル算出部3は、比較的短い時間における送話信号の絶対値の平均値(短時間平均値)を算出し、動作制御部2に出力している。
一般に、短時間平均値は、主に入力信号(送話信号)に含まれる音声成分によってそのレベルが決まると考えられている。一方、比較的長い時間における入力信号の絶対値の平均値(長時間平均値)は、主に入力信号(送話信号)に含まれる雑音成分(音声以外の音成分)によってそのレベルが決まると考えられている。
そこで、第1のレベル算出部3は、送話信号に含まれる音声成分のレベルを算出するために、下記式(1)または式(2)の演算処理を行い、送話信号の絶対値の短時間平均値L(n)を算出する。なお、送話信号の絶対値をx(n),平均サンプル数をMとする。
Figure 2013187809
Figure 2013187809
そして、第1のレベル算出部3は、算出した送話信号の絶対値の短時間平均値L(n)を、送話信号の信号レベル算出結果として動作制御部2に出力している。このように、第1のレベル算出部3は、簡易な演算で送話信号の信号レベルを算出することができる。
動作制御部2は、音量制御部1の動作、具体的には音量制御部1による利得の更新の実行・停止を制御している。本実施形態の動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果に基づいて、音量制御部1による利得の更新の実行(継続)または停止を決定している。具体的には、動作制御部2には、予め第1の閾値が設定されており、この第1の閾値と第1のレベル算出部3の算出結果とを比較する。
動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値未満である場合、送話信号の信号レベルが低く、外部通話装置F(相手側の通話端末)の音響結合によって送話信号が受話側信号経路に回り込んだエコーがない、または小さいと判断する。したがって、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値未満である場合、音量制御部1による利得の更新を継続させる。これにより、受話信号の信号レベルが所定レベルに調整され、受話音量のばらつきを抑制することができる。
一方、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、送話信号の信号レベルが高く、外部通話装置F(相手側の通話端末)の音響結合によって送話信号が受話側信号経路に回り込んだエコーが生じていると判断する。したがって、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、動作制御部2は、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
このように本実施形態では、送話信号の信号レベルが高く、送話信号が受話側信号経路に回り込むエコーが生じた場合であっても、音量制御部1は利得の更新を停止しているのでエコー成分の増幅が抑制され、快適な通話環境を提供することができる。
なお、本実施形態では、集合住宅用インターホンシステムの外線転送装置Eに本願発明の通話信号処理装置を適用しているが、これに限定するものではない。例えば、インターホンの親機・子機や電話機などの通話装置(通話端末)に、本願発明の通話信号処理装置を適用してもよい。
(実施形態2)
本実施形態の外線転送装置Eのブロック構成図を図3に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の外線転送装置Eは、実施形態1の構成に対して、受話信号の信号レベルを算出する第2のレベル算出部8を備えていることに特徴を有する。
第2のレベル算出部8は、受話信号の信号レベルを算出しており、算出結果を動作制御部2に出力している。なお、第2のレベル算出部8は、第1のレベル算出部3と同様の構成であり、受話信号の絶対値の短時間平均値を算出している(式(1)(2)参照)。そして、第2のレベル算出部8は、算出した受話信号の絶対値の短時間平均値を、受話信号の信号レベル算出結果として動作制御部2に出力している。
そして、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と、第2のレベル算出部8の算出結果との両方に基づいて、音量制御部1による利得の更新の実行(継続)・停止を決定する。実施形態1と同様に、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と第1の閾値とを比較しており、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
また、本実施形態では、第1のレベル算出部3の算出結果に対する第2のレベル算出部8の算出結果の比が第2の閾値以上である場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。すなわち、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上であっても、(第2のレベル算出8の算出結果)/(第1のレベル算出部3の算出結果)≧第2の閾値である場合、動作制御部2は、音量制御部1による利得の更新を継続させる。この場合、動作制御部2は、受話信号が送話信号に対して十分大きく、外部通話装置Fを使用している発話者の音声が受話信号に含まれていると判断する。したがって、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果に対する第2のレベル算出部8の算出結果が第2の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を継続させる。これにより、外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれる受話信号の信号レベルが所定レベルに調整され、受話音量のばらつきを抑制することができる。
このように本実施形態では、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、受話信号に外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれていると判断した場合には、音量制御部1による利得の更新を継続させることで、通話環境を向上させることができる。
また、図4,5に示すように、外部通話装置Fの音響結合によるエコーを抑圧するエコーキャンセラ9を備えた構成であってもよい。
エコーキャンセラ9は、図示しない適応フィルタおよび減算器からなる従来周知の構成を有しており、外部通話装置Fの音響結合により形成される帰還経路のインパルス応答を適応フィルタにより適応的に同定する。そして、D/A変換器5に入力される送話信号から推定したエコー成分を減算器によりA/D変換器4から出力される受話信号から減算することでエコーを抑制するものである。
このようなエコーキャンセラ9を備えることによって、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、エコーが抑圧された受話信号が音量制御部1に入力されるので、音量制御部1によるエコーの増幅を抑制することができる。
また、図4に示すように、エコーキャンセラ9を第2のレベル算出部8の前段に設けることによって、第2のレベル算出部8は、エコーキャンセラ9によってエコーが抑圧された受話信号の信号レベルを算出することができる。これにより、受話信号に外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれているか否かの検出精度を向上させることができる。
しかし、エコーキャンセラ9を第2のレベル算出部8の前段に設ける場合、第1のレベル算出部3の算出結果に対する第2のレベル算出部8の算出結果の比と比較する第2の閾値を、適応フィルタの収束状況を考慮して設定する必要がある。そこで、図5に示すように、第2のレベル算出部8の後段にエコーキャンセラ9を設けることによって、第2の閾値を適応フィルタの収束状況によらず設定することができる。
(実施形態3)
本実施形態の外線転送装置Eのブロック構成図を図6に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の外線転送装置Eは、実施形態1の構成に対して、相関値算出部10を備えていることに特徴を有する。相関値算出部10は、受話信号および送話信号を検出しており、受話信号と送話信号との相関値を算出して動作制御部2に出力する。
動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と相関値算出部10の算出結果とに基づいて、音量制御部1による利得の更新の実行(継続)・停止を決定する。実施形態1と同様に、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と第1の閾値とを比較しており、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
また、本実施形態では、動作制御部2は、相関値算出部10の算出結果が第3の閾値以下である場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。すなわち、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上であっても、相関値算出部10の算出結果が第3の閾値以下である場合、動作制御部2は、音量制御部1による利得の更新を継続させる。この場合、動作制御部2は、外部通話装置Fによるエコーがない、または小さく、受話信号は外部通話装置Fを使用している発話者の音声が支配的であると判断する。したがって、動作制御部2は、相関値算出部10の算出結果が第3の閾値以下である場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。これにより、外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれる受話信号の信号レベルが所定レベルに調整され、受話音量のばらつきを抑制することができる。
一方、動作制御部2は、相関値算出部10の算出結果が第3の閾値よりも大きい場合、受話信号に外部通話装置Fによるエコー成分が含まれていると判断し、音量制御部1による利得の更新を停止することで、エコー成分の増幅を抑制する。
このように、本実施形態では、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、受話信号に外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれていると判断した場合には、音量制御部1による利得の更新を継続させることで、通話環境を向上させることができる。
(実施形態4)
本実施形態の外線転送装置Eのブロック構成図を図7に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の外線転送装置Eは、実施形態1の構成に対して、異符号率算出部11を備えていることに特徴を有する。異符号率算出部11は、受話信号および送話信号を検出しており、受話信号と送話信号との異符号率(送話信号,受話信号の符号が異なる割合)を算出して動作制御部2に出力する。
動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と異符号率算出部11の算出結果とに基づいて、音量制御部1による利得の更新の実行(継続)・停止を決定する。実施形態1と同様に、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と第1の閾値とを比較しており、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
また、本実施形態では、動作制御部2は、異符号率算出部11の算出結果が第4の閾値以上である場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。すなわち、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上であっても、異符号率算出部11の算出結果が第4の閾値以上である場合、動作制御部2は、音量制御部1による利得の更新を継続させる。この場合、動作制御部2は、外部通話装置Fによるエコーがない、または小さく、受話信号は外部通話装置Fを使用している発話者の音声が支配的であると判断する。したがって、動作制御部2は、異符号率算出部11の算出結果が第4の閾値以上である場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。これにより、外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれる受話信号の信号レベルが所定レベルに調整され、受話音量のばらつきを抑制することができる。
一方、動作制御部2は、異符号率算出部11の算出結果が第4の閾値未満である場合、受話信号に外部通話装置Fによるエコー成分が含まれていると判断し、音量制御部1による利得の更新を停止することで、エコー成分の増幅を抑制する。
このように、本実施形態では、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、受話信号に外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれていると判断した場合には、音量制御部1による利得の更新を継続させることで、通話環境を向上させることができる。
(実施形態5)
本実施形態の外線転送装置Eのブロック構成図を図8に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の外線転送装置Eは、実施形態1の構成に対して、ダブルトーク検出部91を有するエコーキャンセラ9を備えることに特徴を有する。
エコーキャンセラ9は、図示しない適応フィルタおよび減算器からなる従来周知の構成を有しており、外部通話装置Fの音響結合により形成される帰還経路のインパルス応答を適応フィルタにより適応的に同定する。そして、D/A変換器5に入力される送話信号から推定したエコー成分を減算器によりA/D変換器4から出力される受話信号から減算することでエコーを抑制するものである。
このようなエコーキャンセラ9を備えることによって、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、エコーが抑圧された受話信号が音量制御部1に入力されるので、音量制御部1によるエコーの増幅を抑制することができる。
また、エコーキャンセラ9は、ダブルトーク検出部91を有している。ダブルトーク検出部91は、受話側信号経路および送話側信号経路に同時に信号が伝送されるダブルトーク状態を検出するものである。そして、ダブルトーク検出部91は、検出結果を動作制御部2に出力する。
動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果とダブルトーク検出部91の検出結果とに基づいて、音量制御部1による利得の更新の実行(継続)・停止を決定する。実施形態1と同様に、動作制御部2は、第1のレベル算出部3の算出結果と第1の閾値とを比較しており、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上である場合、音量制御部1による利得の更新を停止させる。
また、本実施形態では、動作制御部2は、ダブルトーク検出部91がダブルトークを検出している場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。すなわち、第1のレベル算出部3の算出結果が第1の閾値以上であっても、ダブルトーク検出部91がダブルトークを検出している場合、動作制御部2は、音量制御部1による利得の更新を継続させる。この場合、動作制御部2は、外部通話装置Fによるエコーはエコーキャンセラ9によって抑圧されており、音量制御部1に入力される受話信号に含まれるエコーはない、または小さいと判断する。したがって、動作制御部2は、ダブルトーク検出部91がダブルトークを検出している場合、第1のレベル算出部3の算出結果に関わらず、音量制御部1による利得の更新を継続させる。これにより、外部通話装置Fを使用している発話者の音声が含まれる受話信号の信号レベルが所定レベルに調整され、受話音量のばらつきを抑制することができる。
このように、本実施形態では、送話信号の信号レベルが高い場合であっても、エコーが抑圧されるので、音量制御部1による利得の更新を継続させることで、通話環境を向上させることができる。
なお、本実施形態では、エコーキャンセラ9とダブルトーク検出部91とが一体に構成されているが、エコーキャンセラ9とダブルトーク検出部91とが別体に構成されていてもよい。
1 音量制御部
2 動作制御部
3 第1のレベル算出部
4 A/D変換器
5 D/A変換器
6 2線4線変換部
7 伝送部

Claims (9)

  1. 通話端末からの受話信号を伝送する受話側信号経路と、
    前記通話端末に送話信号を伝送する送話側信号経路と、
    前記送話側信号経路の信号レベルを算出する第1のレベル算出部と、
    前記受話信号の信号レベルに応じた利得を算出し、当該利得を前記受話信号に乗ずることで前記受話信号の信号レベルを制御する音量制御部と、
    前記音量制御部の動作を制御する動作制御部とを備え、
    前記音量制御部は、前記受話信号に乗ずる前記利得を更新し、
    前記動作制御部は、前記第1のレベル算出部の算出結果が第1の閾値以上である場合、前記音量制御部による前記利得の更新を停止させることを特徴とする通話信号処理装置。
  2. 前記受話側信号経路の信号レベルを算出する第2のレベル算出部を備え、
    前記動作制御部は、前記第1のレベル算出部の算出結果に対する前記第2のレベル算出部の算出結果の比が第2の閾値以上である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることを特徴とする請求項1記載の通話信号処理装置。
  3. 前記第2のレベル算出部の前段に設けられ、前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラを備えることを特徴とする請求項2記載の通話信号処理装置。
  4. 前記第2のレベル算出部の後段に設けられ、前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラを備えることを特徴とする請求項2記載の通話信号処理装置。
  5. 前記受話信号と前記送話信号との相関値を算出する相関値算出部を備え、
    前記動作制御部は、前記相関値算出部の算出結果が第3の閾値以下である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることを特徴とする請求項1記載の通話信号処理装置。
  6. 前記受話信号と前記送話信号との異符号率を算出する異符号率算出部を備え、
    前記動作制御部は、前記異符号率算出部の算出結果が第4の閾値以上である場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることを特徴とする請求項1記載の通話信号処理装置。
  7. 前記通話端末の音響結合によって前記送話信号が前記受話側信号経路に回り込んで生じるエコーを抑圧するエコーキャンセラと、
    前記受話側信号経路および前記送話側信号経路に同時に信号が伝送されるダブルトーク状態を検出するダブルトーク検出部とを備え、
    前記動作制御部は、前記ダブルトーク検出部がダブルトークを検出している場合、前記第1のレベル算出部の算出結果に関わらず、前記音量制御部による前記利得の更新を継続させることを特徴とする請求項1記載の通話信号処理装置。
  8. 前記第2のレベル算出部は、前記受話信号の絶対値の平均から信号レベルを算出することを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の通話信号処理装置。
  9. 前記第1のレベル算出部は、前記送話信号の絶対値の平均から信号レベルを算出することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の通話信号処理装置。
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