JP2013184976A - 貼付剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】皮膚に貼付した際に、十分な粘着性を有しながら風合いが良く低皮膚刺激性であり、かつビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性が良好で、十分な経皮吸収性を示す貼付剤を提供すること。
【解決手段】支持体上に薬物を保持する粘着層が形成された貼付剤において、前記粘着層を、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含む場合は、粘着層におけるその含有量が10重量%以下であるものとする。
【選択図】図1
【解決手段】支持体上に薬物を保持する粘着層が形成された貼付剤において、前記粘着層を、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含む場合は、粘着層におけるその含有量が10重量%以下であるものとする。
【選択図】図1
Description
本発明はビソプロロールまたはその塩を含有する貼付剤に関するものである。さらに詳しくは、ビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性が高く、経皮吸収性の良好な貼付剤に関する。
薬物の経皮吸収を図る場合、薬物を粘着基剤等に配合して貼付剤とすることが行なわれている。近年では、貼付剤中に多量の水を構成成分として含有するパップ剤よりも、より粘着性に優れたテープ剤が使用されることが多い。このテープ剤の粘着基剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の親油性粘着基剤が使用される。中でもゴム系の粘着基剤は、他の粘着基剤に比較して添加剤の配合が容易であるため、広く用いられている(特許文献1〜3)。
しかし、ゴム系の粘着基剤を用いた貼付剤においても、充分な薬物の放出性が確保できない、あるいは貼付剤に通常添加されている粘着付与剤に起因する皮膚刺激が発生する等の問題が指摘されていた。
しかし、ゴム系の粘着基剤を用いた貼付剤においても、充分な薬物の放出性が確保できない、あるいは貼付剤に通常添加されている粘着付与剤に起因する皮膚刺激が発生する等の問題が指摘されていた。
ビソプロロールはβ1受容体の高選択性拮抗薬であり、高血圧症、狭心症、不整脈の改善に広く使用されている。
このビソプロロールは、従来、フマル酸塩が錠剤として経口的に投与されている。しかしながら、経口投与の場合、効果の持続性に欠けることや、投与後一時的に必要以上の血中濃度が認められ、副作用が起こりやすい等の欠点があった。このような経口投与の欠点を解消するため、経皮吸収製剤の開発が盛んに試みられている(特許文献5、6)。
特許文献5には、アクリル系粘着剤を粘着基材とした貼付剤が開示されているが、製剤からのビソプロロールの放出、皮膚透過性等が十分ではない。
また、特許文献6には、カルボキシル基を含有するアクリル系粘着剤に加え、ゴム系粘着剤、エステル系化合物、有機酸塩、可塑剤および粘着付与樹脂からなる貼付剤が開示されている。しかしながら、粘着付与樹脂を使用しているため、貼付剤の皮膚刺激性が高くなる可能性がある。
本発明の目的は、十分な粘着性を有しながら低皮膚刺激性であり、かつビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性が良好で、十分な経皮吸収性を示す貼付剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、粘着基剤として、熱可塑性エラストマーと該エラストマーに対して多量の液状成分を用いることで、粘着付与剤を含有させなくても、十分な粘着性を有しつつ皮膚刺激性を低減することができ、かつビソプロロールまたはその塩を含有させた場合に、良好な皮膚透過性が見られ、十分な経皮吸収性を示すビソプロロールまたはその塩の貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)に関する。
(1)支持体上に薬物を保持する粘着層が形成された貼付剤であって、前記粘着層は、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含んでいてもよく、その粘着層中における含有量が10重量%以下である、貼付剤。
(2)液状成分として、不揮発性炭化水素油、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(1)に記載の貼付剤。
(3)液状成分として、不揮発性炭化水素油と、不揮発性炭化水素油以外の液状成分とを含有する、上記(1)に記載の貼付剤。
(4)不揮発性炭化水素油が流動パラフィンである、上記(2)または(3)に記載の貼付剤。
(5)不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(3)に記載の貼付剤。
(6)不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤の1種又は2種以上と、エステル系溶媒の1種または2種以上と、アルコール系溶媒の1種又は2種以上とを含有する、上記(5)に記載の貼付剤。
(7)液状成分として、さらに、アミノ基を有する液状の有機化合物を含有する、上記(6)に記載の貼付剤。
(8)粘着層中の液状成分含有量が60重量%以上である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の貼付剤。
(9)熱可塑性エラストマーがスチレン系ブロック共重合体である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の貼付剤。
(10)スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソプレンブロック共重合体よりなる群から選択される1種又は2種以上である、上記(9)に記載の貼付剤。
(11)粘着層中に粘着付与剤を含まない、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の貼付剤。
(12)粘着層中にさらに、アミノ基を有する高分子化合物を含有する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の貼付剤。
(1)支持体上に薬物を保持する粘着層が形成された貼付剤であって、前記粘着層は、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含んでいてもよく、その粘着層中における含有量が10重量%以下である、貼付剤。
(2)液状成分として、不揮発性炭化水素油、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(1)に記載の貼付剤。
(3)液状成分として、不揮発性炭化水素油と、不揮発性炭化水素油以外の液状成分とを含有する、上記(1)に記載の貼付剤。
(4)不揮発性炭化水素油が流動パラフィンである、上記(2)または(3)に記載の貼付剤。
(5)不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(3)に記載の貼付剤。
(6)不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤の1種又は2種以上と、エステル系溶媒の1種または2種以上と、アルコール系溶媒の1種又は2種以上とを含有する、上記(5)に記載の貼付剤。
(7)液状成分として、さらに、アミノ基を有する液状の有機化合物を含有する、上記(6)に記載の貼付剤。
(8)粘着層中の液状成分含有量が60重量%以上である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の貼付剤。
(9)熱可塑性エラストマーがスチレン系ブロック共重合体である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の貼付剤。
(10)スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソプレンブロック共重合体よりなる群から選択される1種又は2種以上である、上記(9)に記載の貼付剤。
(11)粘着層中に粘着付与剤を含まない、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の貼付剤。
(12)粘着層中にさらに、アミノ基を有する高分子化合物を含有する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の貼付剤。
本発明の貼付剤は、皮膚に貼付した際に十分な粘着性を有しながら、皮膚刺激性が低減され、ビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性も良好で、経皮吸収性に優れる。
本発明の貼付剤は、支持体上に薬物を保持する粘着層が形成されてなり、前記粘着層は、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含んでいてもよく、その粘着層中における含有量が10重量%以下であることを特徴とする。
本発明において用いる「熱可塑性エラストマー」とは、熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状弾性体に戻る熱可塑性を示すエラストマーであり、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系、シリコーン系など、各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。このうち、本発明の目的である十分な粘着性付与と皮膚刺激性の低減を両立させる観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー、特に、スチレン系ブロック共重合体が好ましく用いられる。
スチレン系ブロック共重体として、具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。なお、前記において、「エチレン/ブチレン」はエチレンおよびブチレンの共重合体ブロックを示し、「エチレン/プロピレン」はエチレンおよびプロピレンの共重合体ブロックを示す。これら、スチレン系ブロック共重合体は、1種のみを用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
上記スチレン系ブロック共重合体のうち、粘着性および低皮膚刺激性の両立のほか、貼付剤用製品の入手性や取り扱い性の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソプレンブロック共重合体よりなる群から選択される1種または2種以上が特に好ましく用いられる。
本発明の目的には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、共重合体におけるスチレン含有量が5重量%〜60重量%であるものが好ましく、10重量%〜50重量%であるものがより好ましい。また、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が20,000〜500,000であるものが好ましく、30,000〜300,000であるものがより好ましい。また、スチレン−イソプレンブロック共重合体としては、共重合体におけるスチレン含有量が5重量%〜50重量%であるものが好ましく、10重量%〜40重量%であるものがより好ましい。また、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が10,000〜500,000であるものが好ましく、20,000〜300,000であるものがより好ましい。
かかるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレンブロック共重合体としては、自体公知の方法により製造した共重合体を用いることもできるが、上記の特性を満たす市販の製品、たとえば「KRATON D」(KRATON POLYMERS社製)、「JSR SIS」(JSR社製)等を用いることもできる。
本発明の目的には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、共重合体におけるスチレン含有量が5重量%〜60重量%であるものが好ましく、10重量%〜50重量%であるものがより好ましい。また、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が20,000〜500,000であるものが好ましく、30,000〜300,000であるものがより好ましい。また、スチレン−イソプレンブロック共重合体としては、共重合体におけるスチレン含有量が5重量%〜50重量%であるものが好ましく、10重量%〜40重量%であるものがより好ましい。また、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が10,000〜500,000であるものが好ましく、20,000〜300,000であるものがより好ましい。
かかるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレンブロック共重合体としては、自体公知の方法により製造した共重合体を用いることもできるが、上記の特性を満たす市販の製品、たとえば「KRATON D」(KRATON POLYMERS社製)、「JSR SIS」(JSR社製)等を用いることもできる。
本発明において「液状成分」とは、常温で液体であり、かつ、製造および保存時ならびに貼付時には揮発せず、粘着層中に残留するものであって、貼付剤に可塑剤もしくは軟化剤、ビソプロロールまたはその塩の分散剤および/または経皮吸収促進剤として添加されるものをいう。従って、前記液状成分は、常温より低い温度において融点を有し、沸点が好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上の物質である。また、本発明においては、ある程度の粘性を有するものも使用することができる。本発明の「液状成分」は、25℃における粘度が0.01mPa・s〜1,000,000mPa・sのものをいう。
本発明において「液状成分」としては、不揮発性の炭化水素類、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、アミノ基を有する液状の有機化合物等が挙げられる。
不揮発性の炭化水素類としては、炭素数20〜40程度の鎖式飽和炭化水素または炭素数20〜40程度の鎖式不飽和炭化水素が好ましく、たとえば流動パラフィン、スクアレン、スクアラン、プリスタン等が挙げられる。なかでも流動パラフィンがより好ましい。流動パラフィンは、無色無臭の液状の炭素数20以上のアルカンの混合物であるが、本発明においては、日本薬局方、米国薬局方等に規定する規格に適合するもの等を好ましく用いることができる。
「液状の界面活性剤」とは、常温で液状の界面活性剤をいう。
かかる界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(10)モノラウレート等の常温で液状のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(6〜60)ソルビットテトラオレエート等の常温で液状のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート等の常温で液状のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等の常温で液状のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレン(3〜10)ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン(5〜20)硬化ヒマシ油等の常温で液状のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(2〜9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜7)オレイルエーテル等の常温で液状のポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレン(2〜15)ノニルフェニルエーテル等の常温で液状のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プルロニックL−31、プルロニックL−44等の常温で液状のポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体などの常温で液状のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
かかる界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(10)モノラウレート等の常温で液状のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(6〜60)ソルビットテトラオレエート等の常温で液状のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート等の常温で液状のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等の常温で液状のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレン(3〜10)ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン(5〜20)硬化ヒマシ油等の常温で液状のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(2〜9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜7)オレイルエーテル等の常温で液状のポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレン(2〜15)ノニルフェニルエーテル等の常温で液状のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プルロニックL−31、プルロニックL−44等の常温で液状のポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体などの常温で液状のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらのうち、経皮吸収性を高める上で、常温で液状のソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、ソルビタンモノラウレートが特に好ましい。
本発明において、粘着層における界面活性剤の含有量としては、粘着層の総重量に対し好ましくは0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
エステル系溶媒としては、たとえば長鎖脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、多価カルボン酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル、炭酸エステル等が挙げられる。
長鎖脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステルとしては、炭素数12〜20の長鎖飽和脂肪酸と炭素数1〜20の一価の脂肪族アルコールとの常温で液状のエステルが好ましく、たとえばミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の常温で液状のミリスチン酸エステル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル等の常温で液状のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソプロピル等の常温で液状のステアリン酸エステルなどが挙げられる。また、炭素数12〜20の長鎖不飽和脂肪酸と炭素数1〜20の一価の脂肪族アルコールとのエステルも好ましく用いることができ、たとえばオレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル等の常温で液状のオレイン酸エステル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル等の常温で液状のリノール酸エステルなどを挙げることができる。
中鎖脂肪酸トリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等の炭素数6〜12程度の脂肪酸と、グリセリンよりなるトリグリセリドであり、本発明においては、常温で液状のカプリル酸トリグリセリド、カプリル酸およびカプリン酸のトリグリセリド混合物、カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸のトリグリセリド混合物等を用いることができる。また、これらを多く含む常温で液状の油脂を用いることもできる。かかる油脂としては、落花生油、オリーブ油、ヒマシ油等を挙げることができる。
なお、本発明においては、常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセリド、または常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセリド含有油脂として、医薬品用として市販されている製品を用いることもできる。
なお、本発明においては、常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセリド、または常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセリド含有油脂として、医薬品用として市販されている製品を用いることもできる。
多価カルボン酸と一価の脂肪族アルコールとのエステルとしては、たとえば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の常温で液状のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチルドデシル等の常温で液状のセバシン酸ジエステルなど、炭素数2〜12のジカルボン酸と、炭素数1〜20の一価の脂肪族アルコールとの常温で液状のジエステルを挙げることができる。
炭酸エステルとしては、炭酸と炭素数2〜10のジオールとの環状炭酸エステル、たとえば炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン等が挙げられ、炭酸プロピレンが好ましい。
上記のエステル系溶媒のなかでも、ミリスチン酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド混合物、セバシン酸エステル、炭酸エステルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸およびカプリン酸のトリグリセリド混合物、セバシン酸ジエチル、炭酸プロピレンがより好ましい。
アルコール系溶媒としては、たとえば、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等の炭素数12〜20程度の常温で液状の高級飽和脂肪族アルコール;オレイルアルコール等の炭素数12〜20程度の常温で液状の高級不飽和脂肪族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、分子量100〜600程度のポリエチレングリコール等の常温で液状の多価アルコールなどが挙げられる。
なかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の常温で液状の多価アルコールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、分子量100〜600程度のポリエチレングリコール等の常温で液状のジオールがより好ましい。
なかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の常温で液状の多価アルコールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、分子量100〜600程度のポリエチレングリコール等の常温で液状のジオールがより好ましい。
アミド系溶媒としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン;ε−カプロラクタム等のカプロラクタム;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド等のアルカンアミド;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のホスホルアミド、クロタミトンなどが挙げられる。
上記アミド系溶媒のうち、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、クロタミトンが好ましく、クロタミトンがより好ましい。
上記アミド系溶媒のうち、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、クロタミトンが好ましく、クロタミトンがより好ましい。
アミノ基を有する液状の有機化合物としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、液状のポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
上記アミノ基を有する液状の有機化合物のうち、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンが好ましく、ジイソプロパノールアミンがより好ましい。
上記アミノ基を有する液状の有機化合物のうち、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンが好ましく、ジイソプロパノールアミンがより好ましい。
本発明の貼付剤においては、液状成分として不揮発性炭化水素油、特に流動パラフィンを含むことが好ましいが、ビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性を考慮すると、不揮発性炭化水素油は他の液状成分とともに含有されることが好ましい。流動パラフィン等不揮発性炭化水素油の粘着層中の含有量としては、通常12重量%〜92.5重量%、好ましくは15重量%〜90重量%、より好ましくは20重量%〜80重量%である。また、液状成分の総重量中の不揮発性炭化水素油の含有量は、好ましくは20重量%〜97重量%、より好ましくは30重量%〜90重量%である。
ビソプロロールまたはその塩の粘着層中の分散性や経皮吸収性を高める観点からは、液状成分として、好ましくは流動パラフィン等の不揮発性炭化水素油とともに、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、およびアルコール系溶媒よりなる群から選択される1種または2種以上を含有させることが好ましい。なかでも、液状の界面活性剤の1種または2種以上と、エステル系溶媒の1種または2種以上と、アルコール系溶媒の1種または2種以上とを併用して含有させることが、経皮吸収性を向上させる点から好ましく、さらに、これらに加えてアミノ基を有する液状の有機化合物を含有させることが、その経皮吸収性向上効果を高める上で好ましい。
ビソプロロールまたはその塩の粘着層中の分散性や経皮吸収性を高める観点からは、液状成分として、好ましくは流動パラフィン等の不揮発性炭化水素油とともに、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、およびアルコール系溶媒よりなる群から選択される1種または2種以上を含有させることが好ましい。なかでも、液状の界面活性剤の1種または2種以上と、エステル系溶媒の1種または2種以上と、アルコール系溶媒の1種または2種以上とを併用して含有させることが、経皮吸収性を向上させる点から好ましく、さらに、これらに加えてアミノ基を有する液状の有機化合物を含有させることが、その経皮吸収性向上効果を高める上で好ましい。
液状の界面活性剤、エステル系溶媒、およびアルコール系溶媒よりなる群から選択される1種または2種以上の含有量としては、これらの総量で、液状成分の総重量に対し、好ましくは3重量%〜80重量%、より好ましくは10重量%〜70重量%であり、粘着層の総重量に対し好ましくは2重量%〜75重量%、より好ましくは7重量%〜65重量%である。
上記の通り、本発明の貼付剤は、上記した液状成分を、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、総量で300重量部を超えて含有する。熱可塑性エラストマー100重量部に対する液状成分の含有量が300重量部以下であると十分な粘着性が得られないが、熱可塑性エラストマーに対する液状成分の含有量が多くなり過ぎると、一般的に粘着層の形状維持が困難となる。従って、液状成分の含有量の上限は、熱可塑性エラストマー100重量部に対し、通常1500重量部を超えることはない。なお、熱可塑性エラストマー100重量部に対する液状成分の含有量は、好ましくは、320重量部〜1000重量部、より好ましくは340重量部〜700重量部である。
一方、粘着層における熱可塑性エラストマーの含有量が少な過ぎると、粘着層の形状の維持が困難となり、多過ぎると粘着性が不十分となる。従って、本発明の貼付剤の粘着層中における熱可塑性エラストマー含有量は、通常5重量%〜30重量%であり、好ましくは8重量%〜28重量%、より好ましくは10重量%〜25重量%である。また、粘着層中における上記液状成分の含有量としては、通常60重量%〜95重量%、好ましくは65重量%〜92重量%、より好ましくは70重量%〜90重量%、特に好ましくは75重量%〜85重量%である。
一方、粘着層における熱可塑性エラストマーの含有量が少な過ぎると、粘着層の形状の維持が困難となり、多過ぎると粘着性が不十分となる。従って、本発明の貼付剤の粘着層中における熱可塑性エラストマー含有量は、通常5重量%〜30重量%であり、好ましくは8重量%〜28重量%、より好ましくは10重量%〜25重量%である。また、粘着層中における上記液状成分の含有量としては、通常60重量%〜95重量%、好ましくは65重量%〜92重量%、より好ましくは70重量%〜90重量%、特に好ましくは75重量%〜85重量%である。
本発明の貼付剤においては、上記のような含有量および含有量比にて熱可塑性エラストマーと液状成分を含有させて粘着層とすることにより、良好な粘着性を発揮させることができるが、粘着層には、必要に応じて粘着付与剤を含有させてもよい。
ここで粘着付与剤は、通常貼付剤の分野で粘着性を付与するために汎用される樹脂であって、たとえばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
しかし、皮膚刺激性を低減する等の観点から、本発明では、粘着層における粘着付与剤の含有量は、粘着層の総重量に対し10重量%以下とする。該含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下であり、粘着付与剤を含まないことが最も好ましい。なお、粘着付与剤の含有量は、熱可塑性エラストマーおよび液状成分の種類、含有量、およびその含有量比に応じて調整される。
ここで粘着付与剤は、通常貼付剤の分野で粘着性を付与するために汎用される樹脂であって、たとえばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
しかし、皮膚刺激性を低減する等の観点から、本発明では、粘着層における粘着付与剤の含有量は、粘着層の総重量に対し10重量%以下とする。該含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下であり、粘着付与剤を含まないことが最も好ましい。なお、粘着付与剤の含有量は、熱可塑性エラストマーおよび液状成分の種類、含有量、およびその含有量比に応じて調整される。
本発明の貼付剤においては、更なる経皮吸収性の向上や、粘着性の改善、薬剤安定性の改善の観点から、さらに、アミノ基を有する高分子化合物を含有させてもよい。
アミノ基を有する高分子化合物の例としては、例えば、ポリアミノスチレン、ポリビニルアミン、キトサン等の1級アミノ基を有する高分子化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルを含む重合体;ポリビニルアセタールジメチルアミノアセテート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアセタールジブチルアミノアセテート等のポリビニルアセタールジアルキルアミノアセテート;ポリビニルピリジン等の3級アミノ基を有する高分子化合物などが挙げられる。
なかでも、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(「オイドラギットE」:EVONIK社製)が好ましい。
アミノ基を有する高分子化合物の例としては、例えば、ポリアミノスチレン、ポリビニルアミン、キトサン等の1級アミノ基を有する高分子化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルを含む重合体;ポリビニルアセタールジメチルアミノアセテート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアセタールジブチルアミノアセテート等のポリビニルアセタールジアルキルアミノアセテート;ポリビニルピリジン等の3級アミノ基を有する高分子化合物などが挙げられる。
なかでも、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(「オイドラギットE」:EVONIK社製)が好ましい。
本発明の貼付剤において、ビソプロロールは、経皮吸収可能な塩の形態で用いることもできる。かかるビソプロロールの塩としては、酸付加塩が挙げられ、塩化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸の付加塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸;ヒドロキシ酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸;ピルビン酸等のオキソカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸といった有機酸の付加塩などが挙げられる。本発明においては、前記の塩より1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明の貼付剤においては、入手のしやすさおよび粘着層における分散性等の観点から、特に好ましくはフマル酸塩が用いられる。
貼付剤中のビソプロロールまたはその塩の含有量は、特に限定されないが、粘着層における分散性および経皮吸収性を考慮すれば、粘着層の総重量に対し、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
本発明の貼付剤においては、入手のしやすさおよび粘着層における分散性等の観点から、特に好ましくはフマル酸塩が用いられる。
貼付剤中のビソプロロールまたはその塩の含有量は、特に限定されないが、粘着層における分散性および経皮吸収性を考慮すれば、粘着層の総重量に対し、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
本発明の貼付剤を形成する粘着層においては、任意成分として、賦形剤、抗酸化剤、軟化剤、着香剤、着色剤、常温で固形の界面活性剤等の一般的な添加剤を含有させてもよい。
本発明において用いられる賦形剤としては、たとえば、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸等のケイ素化合物;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール等の合成水溶性高分子;乾燥水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物;カオリン、酸化チタン等の顔料などが挙げられる。
本発明において用いられる抗酸化剤としては、たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
本発明において用いられる着香剤としては、d−カンフル、dl−カンフル、シンナムアルデヒド、ハッカ油、dl−メントール、l−メントール等が挙げられる。
本発明において用いられる着色剤としては、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明において用いられる常温で固形の界面活性剤としては、コレステロール、グリセリンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル等が挙げられる。
本発明において用いられる賦形剤としては、たとえば、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸等のケイ素化合物;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール等の合成水溶性高分子;乾燥水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物;カオリン、酸化チタン等の顔料などが挙げられる。
本発明において用いられる抗酸化剤としては、たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
本発明において用いられる着香剤としては、d−カンフル、dl−カンフル、シンナムアルデヒド、ハッカ油、dl−メントール、l−メントール等が挙げられる。
本発明において用いられる着色剤としては、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明において用いられる常温で固形の界面活性剤としては、コレステロール、グリセリンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル等が挙げられる。
本発明の貼付剤は、上記の構成からなる粘着層を支持体上に展延して調製される。
本発明において「支持体」としては、特に限定されず、汎用のものが使用できる。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の伸縮性又は非伸縮性の織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等のフィルム、あるいはウレタン、ポリウレタン等の発泡性支持体が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数種が積層されたものを使用してもよい。さらに、支持体に静電気が蓄積することを防止するため、支持体を構成する前記織布、不織布、フィルム等に帯電防止剤を含有させてもよい。また、粘着層との良好な投錨性を得るため、支持体として不織布もしくは織布、またはこれらとフィルムの積層体を用いることができる。支持体の厚さは、フィルムについては通常10μm〜100μm、好ましくは15μm〜50μmであり、織布、不織布、発泡性支持体等の多孔性シートについては通常50μm〜2,000μm、好ましくは100μm〜1,000μmである。
本発明において「支持体」としては、特に限定されず、汎用のものが使用できる。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の伸縮性又は非伸縮性の織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等のフィルム、あるいはウレタン、ポリウレタン等の発泡性支持体が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数種が積層されたものを使用してもよい。さらに、支持体に静電気が蓄積することを防止するため、支持体を構成する前記織布、不織布、フィルム等に帯電防止剤を含有させてもよい。また、粘着層との良好な投錨性を得るため、支持体として不織布もしくは織布、またはこれらとフィルムの積層体を用いることができる。支持体の厚さは、フィルムについては通常10μm〜100μm、好ましくは15μm〜50μmであり、織布、不織布、発泡性支持体等の多孔性シートについては通常50μm〜2,000μm、好ましくは100μm〜1,000μmである。
また、本発明の貼付剤は、貼付剤の分野において一般的な剥離ライナーを備えることもできる。剥離ライナーとしては、グラシン紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アルミフィルム、発泡ポリエチレンフィルム又は発泡ポリプロピレンフィルム等、もしくは前記のうち2種以上の積層物を用いることができ、さらにこれらにシリコーン加工したものやフッ素樹脂加工したもの、エンボス加工を施したものなどを用いることもできる。該剥離ライナーの厚さは、通常10μm〜200μm、好ましくは15μm〜150μmである。
本発明の貼付剤は、たとえば、熱可塑性エラストマーおよびビソプロロールまたはその塩をそれぞれ液状成分に溶解して、トルエン等の溶媒に溶解または分散させて、粘着層形成用の塗液を調製し、得られた塗液を支持体に塗布し、次いで乾燥させることによって製造することができる。剥離ライナーを用いる場合には、粘着層に剥離ライナーを圧着して、積層することができる。あるいは、前記塗液を剥離ライナー上に塗布し、乾燥して剥離ライナーの表面に粘着層を形成させ、その後支持体を粘着層上に圧着して貼り合わせてもよい。粘着層形成用の塗液の塗布は、たとえば、ロールコーター、ダイコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて行うことができる。また、前記塗液の乾燥は加熱下、たとえば40〜150℃程度の温度で行うことが好ましい。乾燥後のビソプロロールまたはその塩を含有する粘着層は、好ましくは10g/m2〜1000g/m2であり、より好ましくは20g/m2〜800g/m2である。
以下実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜5]ビソプロロールを含有する貼付剤の調製
表1に示す処方に従って、粘着層を構成する各成分を秤取した。まず、流動パラフィン(「KAYDOL」、Sonneborn社製)にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(KRATON D1119(KRATON POLYMERS社製))を加え、粘着層成分の全含有量100重量部に対し、60.0重量部のトルエンに溶解する。前記溶解液に対し、ビソプロロールフマル酸塩をその他の液状成分に溶解して加えて混合攪拌し、粘着層形成用の塗液を調製した。
上記塗液を、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(剥離ライナー)に塗布し、乾燥後の粘着層重量が100g/m2となるように調整した。80℃のオーブンにて30分乾燥後、該粘着層の表面に、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(支持体)をラミネートし、15cm×30cmの大きさに裁断して、目的の貼付剤を得た。
表1に示す処方に従って、粘着層を構成する各成分を秤取した。まず、流動パラフィン(「KAYDOL」、Sonneborn社製)にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(KRATON D1119(KRATON POLYMERS社製))を加え、粘着層成分の全含有量100重量部に対し、60.0重量部のトルエンに溶解する。前記溶解液に対し、ビソプロロールフマル酸塩をその他の液状成分に溶解して加えて混合攪拌し、粘着層形成用の塗液を調製した。
上記塗液を、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(剥離ライナー)に塗布し、乾燥後の粘着層重量が100g/m2となるように調整した。80℃のオーブンにて30分乾燥後、該粘着層の表面に、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(支持体)をラミネートし、15cm×30cmの大きさに裁断して、目的の貼付剤を得た。
[比較例1]
表1の実施例1の処方において、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体に替えて、市販の架橋カルボキシル官能性アクリル系粘着剤(「Durotak 87−2194」、ヘンケル社製、固形分含有量=40重量%)を、固形分含有量が表1の熱可塑性エラストマー含有量と同じになるように秤取して流動パラフィンを添加し、ビソプロロールフマル酸塩をその他の液状成分に溶解して加えて混合攪拌し、粘着層形成用の塗液を調製した。
該塗液をシリコーン処理したPET製フィルム(剥離ライナー)に塗布し、乾燥後の粘着層重量が100g/m2となるように調整し、80℃のオーブンにて60分乾燥したが、硬化せず、貼付剤は得られなかった。
表1の実施例1の処方において、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体に替えて、市販の架橋カルボキシル官能性アクリル系粘着剤(「Durotak 87−2194」、ヘンケル社製、固形分含有量=40重量%)を、固形分含有量が表1の熱可塑性エラストマー含有量と同じになるように秤取して流動パラフィンを添加し、ビソプロロールフマル酸塩をその他の液状成分に溶解して加えて混合攪拌し、粘着層形成用の塗液を調製した。
該塗液をシリコーン処理したPET製フィルム(剥離ライナー)に塗布し、乾燥後の粘着層重量が100g/m2となるように調整し、80℃のオーブンにて60分乾燥したが、硬化せず、貼付剤は得られなかった。
[試験例1]in vitro皮膚透過性試験
Wister系雄性ラット(5週齢)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着した。実施例1〜5の各貼付剤をそれぞれ直径1.0cmの円形に打ち抜いて試料とし、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター層には10容量%エタノール生理食塩水を用いて、経時的にレセプター溶液中のビソプロロール含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。HPLCの定量条件を以下に示す。
<HPLC条件>
HPLCシステム:高速液体クロマトグラム(LC2010C)株式会社島津製作所製
カラム:ODS、4.6mmφ×15cm、5μm
カラム温度:40℃、
移動層:0.1重量%リン酸水溶液/メタノール/アセトニトリル/SDS=4/1/5/0.01、
検出波長:254nm、
流量:0.7mL/min.
Wister系雄性ラット(5週齢)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着した。実施例1〜5の各貼付剤をそれぞれ直径1.0cmの円形に打ち抜いて試料とし、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター層には10容量%エタノール生理食塩水を用いて、経時的にレセプター溶液中のビソプロロール含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。HPLCの定量条件を以下に示す。
<HPLC条件>
HPLCシステム:高速液体クロマトグラム(LC2010C)株式会社島津製作所製
カラム:ODS、4.6mmφ×15cm、5μm
カラム温度:40℃、
移動層:0.1重量%リン酸水溶液/メタノール/アセトニトリル/SDS=4/1/5/0.01、
検出波長:254nm、
流量:0.7mL/min.
上記皮膚透過性試験において、貼付24時間後のビソプロロールの透過量を求め、図1に示した。また、透過量の経時変化から、貼付後24時間までの最大透過速度を求め、図2に示した。図1および図2より、本発明の実施例1〜5の各貼付剤は、ビソプロロールの皮膚透過性に優れることが示された。
本発明によれば、皮膚に貼付した際に十分な粘着性を有しながら風合いが良く、ビソプロロールまたはその塩の皮膚透過性も良好で、経皮吸収性に優れる貼付剤を提供することができる。従って、経口以外の経路で投与される新たな製剤として、高血圧症、狭心症、不整脈の改善に利用し得るビソプロロールまたはその塩含有製剤を提供することができる。
Claims (12)
- 支持体上に薬物を保持する粘着層が形成された貼付剤であって、前記粘着層は、熱可塑性エラストマー、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える液状成分、およびビソプロロールまたはその塩を含み、かつ、粘着付与剤を含んでいてもよく、その粘着層中における含有量が10重量%以下である、貼付剤。
- 液状成分として、不揮発性炭化水素油、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、アルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1に記載の貼付剤。
- 液状成分として、不揮発性炭化水素油と、不揮発性炭化水素油以外の液状成分とを含有する、請求項1に記載の貼付剤。
- 不揮発性炭化水素油が流動パラフィンである、請求項2または3に記載の貼付剤。
- 不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤、エステル系溶媒、およびアルコール系溶媒よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項3または4に記載の貼付剤。
- 不揮発性炭化水素油以外の液状成分として、液状の界面活性剤の1種又は2種以上と、エステル系溶媒の1種または2種以上と、アルコール系溶媒の1種又は2種以上とを含有する、請求項5に記載の貼付剤。
- 液状成分として、さらに、アミノ基を有する液状の有機化合物を含有する、請求項6に記載の貼付剤。
- 粘着層中の液状成分含有量が60重量%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の貼付剤。
- 熱可塑性エラストマーがスチレン系ブロック共重合体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の貼付剤。
- スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソプレンブロック共重合体よりなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項9に記載の貼付剤。
- 粘着層中に粘着付与剤を含まない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の貼付剤。
- 粘着層中にさらに、アミノ基を有する高分子化合物を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の貼付剤。
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Cited By (3)
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WO2015034054A1 (ja) * | 2013-09-06 | 2015-03-12 | 日東電工株式会社 | ビソプロロール含有貼付製剤 |
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- 2012-03-07 JP JP2012072355A patent/JP2013184976A/ja active Pending
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JP2015071591A (ja) * | 2013-09-06 | 2015-04-16 | 日東電工株式会社 | ビソプロロール含有貼付製剤 |
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