JP2013184108A - ゼオライト触媒の製造方法、並びに芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを兼ね備えたゼオライト触媒の製造を可能とするための技術を提供する。
【解決手段】ゼオライト触媒の製造方法は、下記工程(1)及び下記工程(2)を含む。
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
【選択図】なし
【解決手段】ゼオライト触媒の製造方法は、下記工程(1)及び下記工程(2)を含む。
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
【選択図】なし
Description
本発明は、ゼオライト触媒の製造方法、並びに芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法に関するものである。
エチレン、プロピレン、ブテン等の炭素数4以下のオレフィン(以下、適宜このオレフィンを「軽質オレフィン」と称する)、およびBTX(ベンゼン、トルエン、およびキシレン)等の芳香族炭化水素は、ポリマーや様々な化学品の原料となる重要な化学品である。これらの製造方法の1つとしては、ナフサの熱分解プロセスが挙げられる。しかしながら、この熱分解プロセスは、800℃以上という高温を必要とし、また吸熱反応である熱分解を行うために多大なエネルギーを消費する。また、軽質オレフィンのうち、プロピレンの需要増加、供給不足が見込まれているが、この熱分解プロセスではエチレン選択率が高く、プロピレン増産への対応は困難であった。
そのため、触媒を用いたナフサの接触分解の実現が期待されていた。接触分解は、500〜700℃程度の比較的低い温度での反応が可能であるため、省エネルギー化が可能であるとともに、一般に熱分解より高いプロピレン選択性を示す。また、触媒の制御によって各生成物の需給バランスに応じた選択率の制御、および全有効成分選択率の向上が期待される。
一方、ゼオライトは、固体酸触媒として働き、炭化水素の接触分解、異性化、水素化分解、芳香族化、水素化など様々な反応に用いられる。このようなゼオライトの用途の1つとして、ナフサの接触分解が挙げられる。これまで、ナフサの接触分解用触媒としてのゼオライトについて様々な検討が行われてきた。しかしながら、ゼオライト触媒には、生成物の逐次反応によって触媒のコーキングが起き、その結果、触媒が失活するという問題があった。また、コークを燃焼させて除去する際に生成するスチーム(水蒸気)や、反応中に希釈、コーキング抑制を目的として共存させるスチームによりゼオライト骨格からの脱アルミニウムが起き、その結果、触媒が失活するという問題もあった。
コーキングによる触媒の失活は、燃焼により付着物を除去することで再生させることができる。しかしながら、失活が早いと再生サイクルが短くなり、その分必要とする反応器の数が多くなる、生産量が低下する、反応と再生の切り替え操作が頻繁になるなどの問題が生じる。また、脱アルミニウムによる触媒の失活は、容易に再生することができず、特に長期の運転において問題となる。
そのため、ゼオライトをナフサの接触分解に用いるためには、高い触媒活性を備えることはもとより、ゼオライト触媒がスチームに対する高い耐性をもち、且つ、コーキングによる、又はコーキング及びスチームによる反応中の経時的なゼオライト触媒の活性低下を抑制できることが必要である。すなわち、ゼオライトには、高い触媒活性を備えることと、スチームに対する耐性(耐スチーム性)及びコーキングに対する耐性(耐コーキング性)が良好であることとの両立が求められる。
これまで、触媒の活性低下を抑制する方法として、以下に示すものが報告されている。例えば、特開平11−180902号公報(特許文献1)には、ゼオライトを用いた接触分解において、ゼオライトに希土類元素およびリンを担持させることで、スチームを共存させた反応における活性低下が抑制されることが開示されている。
特開2010−42344号公報(特許文献2)には、アルカリ土類金属、希土類元素およびリンを担持したゼオライトを用いた接触分解において、ゼオライトにリンとリン以外の成分を別工程で担持させた触媒を用いた場合、これらを同時に担持させた触媒を用いた場合よりも活性低下が抑制されることが開示されている。
特開2010−104909号公報(特許文献3)には、アルカリ土類金属およびリンを担持したゼオライトを用いる接触分解において、アルカリ土類金属とリンを含む水溶性の塩を用いてゼオライトにアルカリ土類金属およびリンを担持させることにより、スチーム処理による触媒の活性低下と、スチームを共存させた反応における触媒の活性低下とが抑制されることが開示されている。
特許第4112943号公報(特許文献4)には、希土類元素を含有し、さらにマンガン及び/又はジルコニウムを含有するペンタシル型ゼオライトを用いて接触分解を行い、スチーム処理による触媒の活性低下およびスチームを共存させた反応における触媒の活性低下を抑制することが開示されている。
特表2002−505944号公報(特許文献5)には、ゼオライトをリンで処理した後に、リン酸アルミニウムと混合した触媒が、スチームで処理した後に高い転化率を示すことが開示されている。なお、コーキングによる活性低下については記載されていない。
特開平11−192431号公報(特許文献6)には、クレー、無機酸化物、Y型ゼオライト、ペンタシルゼオライトを含有する触媒であって、ペンタシルゼオライトがリンとアルミニウム、リンとマグネシウム、あるいはリンとカルシウムを含有する触媒を用いて接触分解を行うことで、スチーム処理による触媒の活性低下を抑制することが開示されている。なお、触媒に用いるペンタシルゼオライトの修飾には、リンおよびアルミニウム、リンおよびマグネシウム、またはリンおよびカルシウムを含有する水溶液が用いられ、2成分が同時にゼオライトに担持されている。なお、コーキングによる活性低下については記載されていない。
上述のように、従来様々なゼオライト触媒が提案されているが、これらの触媒には高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性との両立という点で、改善の余地があることを本発明者らは見出した。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを兼ね備えたゼオライト触媒の製造を可能とするための技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、ゼオライト触媒の製造方法である。この製造方法は、下記工程(1)及び下記工程(2)を含むことを特徴とする。
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
本発明によれば、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを兼ね備えたゼオライト触媒の製造を可能とするための技術を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ゼオライトにアルミニウムおよびリンを担持させることにより、触媒の耐スチーム性が向上し、長期間スチームに曝されても高い活性を示し、さらにコーキング、又はコーキング及びスチームによる反応中の活性低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本実施の形態に係るゼオライト触媒は、アルミニウムとリンを担持したゼオライトで構成される。ゼオライトは、8、10または12員環の細孔構造を有するゼオライトであることが好ましく、MFI、MEL、MWW、TON、BEA、MSE、MOR、MTW、FAU型ゼオライトの中から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましく、そのうち10員環の細孔構造を有するゼオライトであるMFI、MEL、MWW、TON型ゼオライトの中から選ばれる少なくとも1つであることがさらに好ましく、その中でも特に接触分解活性、安定性が高いMFI型が最も好ましい。後述するZSM−5は、MFI型ゼオライトの1種である。ゼオライトのSi/Al2比は、5〜2000が好ましく、5〜400がより好ましく、10〜100がさらに好ましく、20〜50が最も好ましい。
続いて、本実施の形態に係るゼオライト触媒の製造方法について説明する。この製造方法は、下記工程(1)及び下記工程(2)を含む。
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程
本実施の形態に係る製造方法では、工程(1)で、水に不溶性もしくは難溶性のゼオライトと、水に不溶性もしくは難溶性のアルミニウム含有化合物と、ゼオライト及びアルミニウム含有化合物が不溶もしくは難溶である所定の液体とを混合して、ゼオライトとアルミニウム含有化合物とを接触させ、これにより、ゼオライトにアルミニウムを担持させる。そして、続く工程(2)で、ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合して、触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物とを接触させることにより、触媒前駆体にリンを担持させる。これにより、アルミニウムとリンを担持したゼオライト触媒が得られる。
工程(1)でゼオライトに担持されるアルミニウムの供給源としては、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物が用いられる。このうち、アルミニウム含有量の多いベーマイト、擬ベーマイト、およびγ−アルミナがより好ましく、ベーマイトおよび擬ベーマイトが最も好ましい。なお、擬ベーマイトとは、例えばアルミナ水和物(Al2O3・nH2O(n=1〜3))の一形態であり、nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。
アルミニウムの担持量は、ゼオライトに対しアルミニウム原子換算で0.05〜30質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、最も好ましくは2〜5質量%である。また、得られたゼオライト触媒のアルミニウムの担持量を、ゼオライト中に含まれるアルミニウム(ゼオライトの骨格中のアルミニウム)及びゼオライトに担持されたアルミニウムの合計のモル数に対する、Siのモル数の比(Si/全Al比)で規定した場合、当該比は1〜1000が好ましく、2〜200がより好ましく、2.5〜50がさらに好ましく、3〜14が最も好ましい。なお、ゼオライトの平均粒径は、例えば0.01μm〜100μmであり、ベーマイトの平均粒径は、例えば1nm〜1μmである。
工程(1)で用いられる液体は、水、有機溶媒あるいはその混合物である。ゼオライト及びアルミニウム含有化合物は、当該液体に不溶もしくは難溶である。ここで、「不溶もしくは難溶である」とは、25℃で測定した際に不溶もしくは難溶であることを意味する。好ましくは、当該液体は、25℃で液体100mlに対してゼオライト及びアルミニウム含有化合物が0.1g以上溶解しない液体である。このような有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどの炭素数1〜6のアルコール、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの炭素数3〜6のケトン溶媒、例えばアセトニトルなどのニトリル溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、ポリプロピレングリコールジアセテートなどのエステル溶媒、及びそれらの混合物が挙げられる。このうち、水又は炭素数1〜3の有機溶媒あるいはそれらの混合物が好ましく、廃液の処理の容易さから、水が最も好ましい。
ゼオライトとアルミニウム含有化合物と液体との混合は、担体となるゼオライトと担持されるアルミニウム含有化合物とを、前記液体に分散させることが好ましい。これにより、各成分を十分に混合することができる。なお、ゼオライトとアルミニウム含有化合物とに少量の前記液体を添加し、混錬して、ペースト状にすることで混合してもよい。また、ゼオライトとアルミニウム含有化合物を液体に分散させる場合、分散剤を添加したり、超音波を用いたりして、ゼオライト及びアルミニウム含有化合物の分散性を向上させてもよい。ゼオライトとアルミニウム含有化合物と液体とを混合した後、混合液を常圧又は減圧下で加熱乾燥させてゼオライトにアルミニウムを担持させ、触媒前駆体を形成する。なお、通常はゼオライトにアルミニウムを担持させた後に焼成を行う。焼成温度は、200℃以上が好ましく、400〜800℃がより好ましく、500〜700℃が最も好ましい。焼成の雰囲気は、通常は空気であるが、窒素などの不活性ガスでもよく、またスチームでもよい。また、これらの混合雰囲気中で混合物を焼成してもよい。
工程(2)では、水溶性のリン含有化合物を用いることが好ましい。水溶性のリン含有化合物を用いることで、不溶性のリン含有化合物を用いる場合に比べ、リンがゼオライト及びゼオライトに担持されたアルミニウムと十分に接触した状態で、リンを触媒前駆体に担持させることができると考えられる。水溶性のリン含有化合物としては、例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸二水素カリウム等のリン酸二水素塩、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸水素塩、リン酸三ナトリウム・12水等のリン酸塩、ホスホン酸二カリウム等のホスホン酸塩、亜リン酸水素ナトリウム・2・5水等の亜リン酸水素塩、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスフィン酸アンモニウム等のホスフィン酸塩、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸等が挙げられる。このうち、触媒の酸量の低下が起こり難い観点から、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸、ホスフィン酸またはホスホン酸が好ましく、リン酸二水素塩またはリン酸水素塩がより好ましい。その中でも特に、リン酸二水素アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウムの少なくとも一方が、リン酸およびホスフィン酸等と比較して乾燥が容易である点から好ましい。
リンの担持量は、ゼオライトに対しリン原子換算で0.1〜10質量%であり、好ましくは1〜7質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。また、リンの担持量を、ゼオライト中に含まれるアルミニウム及び工程(1)でゼオライトに担持されたアルミニウムの合計のモル数に対するリンのモル数の比(P/全Al比)で規定した場合、当該比は0.1〜10であり、好ましくは0.2〜2であり、より好ましくは0.3〜1であり、さらに好ましくは0.4〜0.8である。
工程(2)において、触媒前駆体とリン含有化合物と水とを混合した後、混合液を乾燥させてゼオライト触媒を形成する。工程(2)における触媒前駆体とリン含有化合物と水との混合によるゼオライト触媒の形成は、含浸法により行われることが好ましい。含浸法としては、蒸発乾固法、インシピエントウェットネス法、平衡吸着法などを挙げることができる。例えば蒸発乾固法では、アルミニウムを担持したゼオライトからなる触媒前駆体をリン含有化合物の溶液に浸漬し、常圧または減圧下で混合液を加熱乾燥させて触媒前駆体にリンを担持させる。その後、通常は焼成を行ってアルミニウム及びリンを担持したゼオライト触媒を得る。焼成温度は200℃以上が好ましく、400〜700℃がより好ましい。焼成の雰囲気は通常は空気であるが、窒素などの不活性ガスでもよく、スチームでもよく、これらの混合雰囲気中で焼成してもよい。
このように、本実施の形態に係るゼオライト触媒の製造方法では、ゼオライトと水に不溶性のアルミニウム含有化合物とを混合することでゼオライトにアルミニウムを担持させ、その後にリンを担持させている。これにより、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを付与することができるゼオライト触媒を製造することができる。
本実施の形態の製造方法によって製造されたゼオライト触媒には、アルミニウム及びリン以外に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、および元素の周期律表第4〜12族の遷移金属からなる群から選ばれる1つ以上の成分が含まれてもよい。
また、本実施の形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、上記工程(2)の後に、下記工程(3)を更に含むことが好ましい。
工程(3):前記ゼオライト触媒を500℃以上でスチーム処理する工程
工程(3):前記ゼオライト触媒を500℃以上でスチーム処理する工程
工程(3)は、反応に用いる前にゼオライト触媒を予めスチームに曝す工程であり、これにより、ゼオライト触媒の活性を安定化させておくことができる。その結果、反応初期において、反応中あるいはコーク燃焼中に存在するスチームにより触媒特性が急激に変化することを抑制することができる。また、本実施の形態に係る製造方法で製造されたゼオライト触媒には、スチーム処理によって、高い触媒活性と高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを付与することができる。したがって、ゼオライト触媒の製造方法に工程(3)を含めることで、触媒反応初期から、高い活性と高い耐スチーム性及び耐コーキング性を有するゼオライト触媒を用いて反応を進行させることができる。そのため、このようなゼオライト触媒を用いて炭化水素を接触分解した場合には、芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの収率を高めることができる。
スチーム処理の温度は、好ましくは500〜900℃であり、より好ましくは550〜850℃であり、さらに好ましくは600〜800℃である。スチームの分圧は、好ましくは0.001〜5MPaであり、より好ましくは0.01〜1MPaであり、さらに好ましくは0.01〜0.1MPaである。なお、スチーム処理において、窒素等の不活性ガス、空気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、又はその混合ガス等でスチームを希釈してもよい。工程(3)は、ゼオライト触媒を反応器に充填する前に実施してもよいし、ゼオライト触媒の反応器への充填後且つ反応前に、反応器にスチームを供給することで実施してもよい。
本実施の形態の製造方法によって製造されたゼオライト触媒は、粉体、成型体のいずれの形であってもよい。ゼオライト触媒を成型触媒として用いる場合、この成型触媒にはカオリン、ベントナイト、モンモリロナイト等の粘土鉱物及び/又はシリカ、ジルコニア等の無機酸化物が結合剤等として1つ以上含有されてもよい。ゼオライト触媒が十分に高い活性を示すために、触媒中のゼオライトの含有量は、60〜99質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%がさらに好ましい。一方、活性への寄与の小さい粘土鉱物の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、含まないことが最も好ましい。
本実施の形態の製造方法によって製造されるゼオライト触媒は、炭化水素や含酸素化合物、含窒素化合物、及び/又は含硫黄化合物などを原料(反応物)とした、接触分解、異性化、水素化分解、芳香族化、又は水素化等の様々な反応に用いることができる。ゼオライト触媒が用いられる反応は特に限定されないが、好ましくはゼオライト触媒は、炭化水素接触分解用触媒である。
本実施の形態に係る芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法は、上述したゼオライト触媒の製造方法によって製造されたゼオライト触媒を用いて炭化水素を接触分解することを含む。芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法に用いる炭化水素としては、例えば、炭素数2〜20のアルカン、炭素数2〜20のオレフィン、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数5〜20のナフテン等が挙げられる。用いられる炭化水素は、好ましくは炭素数が5〜12の炭化水素であり、より好ましくは炭素数5〜9の飽和炭化水素及び/又は炭素数6〜9の芳香族炭化水素である。炭素数5〜9の飽和炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、炭素数6〜9の芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
ゼオライト触媒により接触分解される上述の炭化水素を含む炭化水素系原料は、好ましくは炭素数が5〜12の炭化水素を80質量%以上含有し、より好ましくは炭素数が5〜9の飽和炭化水素及び/又は炭素数が6〜9の芳香族炭化水素を80質量%以上含有する。このような炭化水素系原料としては、重油、軽油、ナフサ等が挙げられ、好ましくはナフサである。ナフサは、その沸点によりライトナフサ、ヘビーナフサ、フルレンジナフサがあり、接触分解の原料として用いられるナフサはそのいずれでもよいが、好ましくはライトナフサである。前記ライトナフサは、ナフサの中で沸点が比較的低いものをいい、前記ヘビーナフサは、ナフサの中で沸点が比較的高いものをいう。
接触分解の原料には、接触分解の未反応原料及び生成物の一部をリサイクルして混合してもよく、あるいは他のプロセスで生成した炭化水素を混合してもよい。また、コーキングの抑制、熱の供給、及び炭化水素の希釈を目的として、炭化水素の接触分解反応にはスチームを同伴させることが好ましい。すなわち、スチームの存在下で炭化水素を接触分解することが好ましい。コーキングの抑制効果が十分に得られ、脱アルミニウムによる失活が抑制され、かつスチームの供給コストが低く抑えられるという点から、供給するスチームは供給炭化水素に対する質量比(S/HC比:HCは炭化水素)で好ましくは0.01〜10であり、より好ましくは0.02〜1であり、さらに好ましくは0.04〜0.5である。
なお、上述した触媒反応におけるコーキング抑制等を目的としたスチームの同伴によっても、ゼオライト触媒にスチーム処理を施すことができる。すなわち、スチームを同伴させた炭化水素の接触分解反応では、触媒反応とスチーム処理とが同時に進行する。したがって、工程(3)によるスチーム処理を施していないゼオライト触媒であっても、スチームを同伴させた接触分解反応により、ゼオライト触媒に高い触媒活性と高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを付与することができる。
原料を反応器に導入する際に、窒素などの不活性ガスで原料を希釈してもよいが、不活性ガスを供給するコストを考慮すると不活性ガスを使用しないことが好ましい。また、水素を反応器に供給してもよいが、水素濃度が高くなると生成物が水素化され、芳香族炭化水素及び/又は軽質オレフィンの収率が低下する可能性がある。そのため、水素は反応器に供給しないことが好ましい。
炭化水素の接触分解の反応温度については、温度が高い方が反応が進行しやすく、また、生成物のパラフィン(パラフィン系炭化水素)とオレフィン(オレフィン系炭化水素)との間の平衡がオレフィン側に傾くため、芳香族炭化水素及び/又は軽質オレフィンの収率が向上する。一方、温度が低いほうがコーキングが減少し、触媒の失活を抑制することができる。この点から、炭化水素の接触分解の反応温度は、好ましくは500〜900℃であり、より好ましくは550〜750℃であり、さらに好ましくは600〜700℃である。
ゼオライト触媒と炭化水素との反応方式は、固定層(床)、移動層及び流動層のいずれの流通方式でもよく、好ましくは、固定層流通方式である。固定層流通方式の反応器は、例えば、粒状触媒を所定の部材で保持するタイプの反応器であり、低コストで実現できる。粒状触媒を保持する部材としては、例えば、石英ウールと石英砂を組み合わせたものや、網目状の床などが用いられる。
以上説明した本実施の形態に係るゼオライト触媒の製造方法によれば、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性を付与することができるゼオライト触媒が得られる。したがって、高い触媒活性と高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを兼ね備えたゼオライト触媒の製造が可能となる。また、これにより、炭化水素の接触分解による芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造において、ゼオライト触媒の高い触媒活性が維持されるため、芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの安定生産と収率向上とを図ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では解析、分析を容易にするため、ナフサの代わりにナフサの主成分の一つであるn−ヘキサンを接触分解した。
(1)触媒の調製
ゼオライトとしてプロトン型ZSM−5(H−ZSM−5(ZEOLYST社製))を使用した。アルミニウム含有化合物としてベーマイト(AlOOH・nH2O)(和光純薬工業株式会社製)を使用した。ベーマイトのnは、分析の結果0.67であった。触媒の表記について、例えば実施例1の触媒は3Al(b)4P/ZSM−5(30)と表記する。左に記載した成分(実施例1における「Al」)から担持を行った。また、担持されるアルミニウムの原料としては、実施例としてのベーマイトと、比較のための硝酸アルミニウム九水和物とを使用し、それぞれAl(b)、Al(n)と表記して区別する(実施例1における「Al(b)」)。元素の担持量(質量%)をその元素の左側に記した。ただし、先に担持させた成分(実施例1における「Al」)の担持量(実施例1における「3」)は、ゼオライトに対する担持量であり、続いて担持させた成分(実施例1における「P」)の担持量(実施例1における「4」)は、触媒前駆体に対する担持量である。同時に2成分を担持した場合は、二つの成分の間に「−」を入れる(比較例8)。また、使用したゼオライトのSi/Al2比を括弧内に示す(実施例1における「(30)」)。
ゼオライトとしてプロトン型ZSM−5(H−ZSM−5(ZEOLYST社製))を使用した。アルミニウム含有化合物としてベーマイト(AlOOH・nH2O)(和光純薬工業株式会社製)を使用した。ベーマイトのnは、分析の結果0.67であった。触媒の表記について、例えば実施例1の触媒は3Al(b)4P/ZSM−5(30)と表記する。左に記載した成分(実施例1における「Al」)から担持を行った。また、担持されるアルミニウムの原料としては、実施例としてのベーマイトと、比較のための硝酸アルミニウム九水和物とを使用し、それぞれAl(b)、Al(n)と表記して区別する(実施例1における「Al(b)」)。元素の担持量(質量%)をその元素の左側に記した。ただし、先に担持させた成分(実施例1における「Al」)の担持量(実施例1における「3」)は、ゼオライトに対する担持量であり、続いて担持させた成分(実施例1における「P」)の担持量(実施例1における「4」)は、触媒前駆体に対する担持量である。同時に2成分を担持した場合は、二つの成分の間に「−」を入れる(比較例8)。また、使用したゼオライトのSi/Al2比を括弧内に示す(実施例1における「(30)」)。
(2)P/全Al比の測定
ゼオライト中のアルミニウム(ゼオライトの骨格中のアルミニウム)とゼオライトに担持されたアルミニウムとの合計に対する、ゼオライトに担持されたリンのモル比(P/全Al比)は、ICP発光分光分析装置により分析した。P/全Al比の測定には、ICPE−9000(株式会社島津製作所製)を使用した。加熱条件下で、ゼオライト触媒を水酸化カリウム溶液に溶解し、イオン交換水により希釈した後、リン及びアルミニウムの濃度を測定した。
ゼオライト中のアルミニウム(ゼオライトの骨格中のアルミニウム)とゼオライトに担持されたアルミニウムとの合計に対する、ゼオライトに担持されたリンのモル比(P/全Al比)は、ICP発光分光分析装置により分析した。P/全Al比の測定には、ICPE−9000(株式会社島津製作所製)を使用した。加熱条件下で、ゼオライト触媒を水酸化カリウム溶液に溶解し、イオン交換水により希釈した後、リン及びアルミニウムの濃度を測定した。
(3)スチーム処理
スチーム処理中に閉塞しないように、最初にゼオライト触媒を加圧成形し、粉砕した。次いで、ゼオライト触媒を水蒸気処理装置にセットし、大気圧、窒素気流中、5℃/分で所定温度まで昇温した。その後、50vol%水蒸気/窒素を供給し、水蒸気処理(スチーム処理)を行った。所定時間処理した後、窒素に切り替え、冷却した。スチーム処理の温度及び時間については後述する。
スチーム処理中に閉塞しないように、最初にゼオライト触媒を加圧成形し、粉砕した。次いで、ゼオライト触媒を水蒸気処理装置にセットし、大気圧、窒素気流中、5℃/分で所定温度まで昇温した。その後、50vol%水蒸気/窒素を供給し、水蒸気処理(スチーム処理)を行った。所定時間処理した後、窒素に切り替え、冷却した。スチーム処理の温度及び時間については後述する。
(4)反応試験
炭化水素原料としてn−ヘキサンを使用し、固定層流通反応装置を用いて接触分解を行った。ゼオライト触媒は、粒径250〜500μmに整粒したものを用いた。ゼオライト触媒をインコネル(登録商標)製反応管又はハステロイ(登録商標)製反応管に、全量が0.83gとなるように充填した。触媒層の上下を石英ウールで保持し、そのさらに上下には反応管内のガスの滞留時間を短くするために石英砂を充填した。触媒層の中央の位置に熱電対をセットし、触媒層温度を測定した。窒素気流中、5℃/分で反応管を650℃まで昇温した。その後、所定条件にて反応を行った。反応開始直後、接触分解反応の吸熱により触媒層温度が急激に低下するため、触媒層温度が650℃になるように調節した。所定時間反応させた後、n−ヘキサンの供給を止め、窒素気流中で冷却した。反応の条件及び時間については後述する。
炭化水素原料としてn−ヘキサンを使用し、固定層流通反応装置を用いて接触分解を行った。ゼオライト触媒は、粒径250〜500μmに整粒したものを用いた。ゼオライト触媒をインコネル(登録商標)製反応管又はハステロイ(登録商標)製反応管に、全量が0.83gとなるように充填した。触媒層の上下を石英ウールで保持し、そのさらに上下には反応管内のガスの滞留時間を短くするために石英砂を充填した。触媒層の中央の位置に熱電対をセットし、触媒層温度を測定した。窒素気流中、5℃/分で反応管を650℃まで昇温した。その後、所定条件にて反応を行った。反応開始直後、接触分解反応の吸熱により触媒層温度が急激に低下するため、触媒層温度が650℃になるように調節した。所定時間反応させた後、n−ヘキサンの供給を止め、窒素気流中で冷却した。反応の条件及び時間については後述する。
分析はガスクロマトグラフィーにより行い、炭化水素の転化率(%)と、炭化水素から転化された各成分の炭素原子換算の選択率(C−mol%)とを算出した。また、反応1時間の炭化水素の転化率をa、反応17時間の炭化水素の転化率をbとしたときの転化率の低下量(a−b)を算出した。本実施の形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを付与することができるゼオライト触媒の製造に関するものであるため、高温、長時間のスチーム処理後に高い活性を示し、さらに反応中の活性低下が小さいものが効果が大きいといえる。
[実施例1]
<触媒A:3Al(b)4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
ベーマイト0.80gとH−ZSM−5(30)10gをイオン交換水100mlに添加した。得られたスラリー(混合液)を、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体10.9gを、109mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム1.86gを溶解させた水溶液に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Aを得た。触媒AのP/全Al比は0.7であった。また、Si/全Al比は、原料の組成から概算すると約7となる。
<触媒A:3Al(b)4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
ベーマイト0.80gとH−ZSM−5(30)10gをイオン交換水100mlに添加した。得られたスラリー(混合液)を、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体10.9gを、109mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム1.86gを溶解させた水溶液に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Aを得た。触媒AのP/全Al比は0.7であった。また、Si/全Al比は、原料の組成から概算すると約7となる。
触媒Aに700℃にて161時間スチーム処理を実施した。未スチーム処理(スチーム処理:無)及びスチーム処理後(スチーム処理:有)の触媒Aについて、WHSV=15h−1、スチーム/オイル質量比(S/O)=0.1となるようにn−ヘキサンを12.5g/h、水を1.2g/h、窒素を20ml/minで供給し、全圧0.1MPaにて反応試験を行った。未スチーム処理の触媒Aについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Aについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
[比較例1]
<触媒B:4P3Al(b)/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム2.56gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体17.2gとベーマイト1.37gを172mlのイオン交換水に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Bを得た。触媒BのP/全Al比は0.6であった。触媒Bについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Bについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Bについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
<触媒B:4P3Al(b)/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム2.56gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体17.2gとベーマイト1.37gを172mlのイオン交換水に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Bを得た。触媒BのP/全Al比は0.6であった。触媒Bについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Bについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Bについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
[比較例2]
<触媒C:3Al(n)4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
硝酸アルミニウム九水和物6.26gをイオン交換水225mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体10gを、100mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム1.70gを溶解させた水溶液に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Cを得た。触媒CのP/全Al比は0.6であった。触媒Cについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Cについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Cについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
<触媒C:3Al(n)4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
硝酸アルミニウム九水和物6.26gをイオン交換水225mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体10gを、100mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム1.70gを溶解させた水溶液に添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Cを得た。触媒CのP/全Al比は0.6であった。触媒Cについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Cについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Cについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
[比較例3]
<触媒D:1.5Al(n)3P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
硝酸アルミニウム九水和物3.13gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体15.6gを、156mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム2.00gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Dを得た。触媒DのP/全Al比は0.6であった。触媒Dについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Dについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
<触媒D:1.5Al(n)3P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
硝酸アルミニウム九水和物3.13gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中で4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体15.6gを、156mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム2.00gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Dを得た。触媒DのP/全Al比は0.6であった。触媒Dについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Dについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
[比較例4]
<触媒E:2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム0.85gをイオン交換水100mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Eを得た。触媒EのP/全Al比は0.6であった。触媒Eについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Eについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Eについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
<触媒E:2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム0.85gをイオン交換水100mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Eを得た。触媒EのP/全Al比は0.6であった。触媒Eについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Eについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Eについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
[比較例5]
<触媒F:2.2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム1.41gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Fを得た。触媒FのP/全Al比は0.6であった。触媒Fについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Fについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Fについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
<触媒F:2.2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム1.41gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Fを得た。触媒FのP/全Al比は0.6であった。触媒Fについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。未スチーム処理の触媒Fについての反応開始後1時間の反応結果と、スチーム処理後の触媒Fについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果とを表1に示す。
[比較例6]
<触媒G:10La2P/ZSM−5(150)の調製及び反応評価>
酢酸ランタン1.5水和物2.47gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(150)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体11.0gを、110mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム0.94gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Gを得た。触媒Gについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Gについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
<触媒G:10La2P/ZSM−5(150)の調製及び反応評価>
酢酸ランタン1.5水和物2.47gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(150)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体11.0gを、110mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム0.94gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Gを得た。触媒Gについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Gについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
[比較例7]
<触媒H:10La2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
酢酸ランタン1.5水和物2.47gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体11.0gを、110mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム0.94gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Hを得た。触媒Hについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Hについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
<触媒H:10La2P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
酢酸ランタン1.5水和物2.47gをイオン交換水150mlに溶解した後、H−ZSM−5(30)10gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた固体11.0gを、110mlのイオン交換水にリン酸水素二アンモニウム0.94gを溶解させた水溶液に添加し、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、120℃で8時間乾燥した後、200分かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Hを得た。触媒Hについて、実施例1と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Hについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表1に示す。
[実施例2]
<触媒A:3Al(b)4P/ZSM−5(30)の反応評価>
触媒Aに750℃にて65時間スチーム処理を実施した。その後、触媒Aについて、実施例1と同様の方法で反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Aについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
<触媒A:3Al(b)4P/ZSM−5(30)の反応評価>
触媒Aに750℃にて65時間スチーム処理を実施した。その後、触媒Aについて、実施例1と同様の方法で反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Aについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
[比較例8]
<触媒I:3Al(b)−4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム2.56gをイオン交換水150mlに溶解した後、ベーマイト1.20g及びH−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Iを得た。触媒IのP/全Al比は0.6であった。触媒Iについて、実施例2と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Iについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
[比較例9]
<触媒C:3Al(n)4P/ZSM−5(30)の反応評価>
触媒Cについて、実施例2と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Cについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
<触媒I:3Al(b)−4P/ZSM−5(30)の調製及び反応評価>
リン酸水素二アンモニウム2.56gをイオン交換水150mlに溶解した後、ベーマイト1.20g及びH−ZSM−5(30)15gを添加した。得られたスラリーを、ロータリーエバポレーターにて40℃〜60℃で減圧乾燥した。得られた固体をマッフル炉にて空気中、4時間かけて600℃まで昇温し、5時間保持することにより焼成した。得られた触媒を粉砕し、触媒Iを得た。触媒IのP/全Al比は0.6であった。触媒Iについて、実施例2と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Iについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
[比較例9]
<触媒C:3Al(n)4P/ZSM−5(30)の反応評価>
触媒Cについて、実施例2と同様の方法でスチーム処理及び反応試験を実施した。スチーム処理後の触媒Cについての反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表2に示す。
[スチーム処理条件の検討]
触媒Aに異なる条件でスチーム処理を実施した。その後、各触媒Aについて、実施例1と同様の方法で反応試験を実施した。スチーム処理条件は、処理温度を500℃とした条件1、400℃とした条件2、及び200℃とした条件3を設定した。時間は、全条件共通で65時間とした。各条件でのスチーム処理後の触媒Aにおける反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表3に示す。
触媒Aに異なる条件でスチーム処理を実施した。その後、各触媒Aについて、実施例1と同様の方法で反応試験を実施した。スチーム処理条件は、処理温度を500℃とした条件1、400℃とした条件2、及び200℃とした条件3を設定した。時間は、全条件共通で65時間とした。各条件でのスチーム処理後の触媒Aにおける反応開始後1時間及び17時間の反応結果を表3に示す。
700℃で161時間スチーム処理を施した実施例1及び比較例1〜7を比較すると、表1に示すように、実施例1の触媒Aは、未スチーム処理の場合の反応開始後1時間の転化率に対してスチーム処理した場合の反応開始後1時間の転化率が大きかった。すなわち、触媒Aは、スチーム処理により活性が上昇した。また、触媒Aは、反応開始後1時間の転化率が85.7%であり、転化率71%以上という高い初期活性を示した。さらに、転化率の低下量が4.8であり、低下量10以下という小さい活性低下を示した。すなわち、触媒Aは、高い耐スチーム性及び耐コーキング性を備えていた。
これに対し、比較例1の触媒B、比較例2の触媒C、比較例4の触媒E及び比較例5の触媒Fでは、スチーム処理により活性の低下が見られた。そして、比較例2の触媒Bは、反応中の活性低下は3.8と小さいものの、初期活性が70.4%と低い値であった。なお、触媒Bの初期活性を未スチーム処理の場合の反応開始後1時間の転化率79.3%とした場合には、触媒Bは、高い初期活性を示すが、反応中の活性低下が12.7と大きくなってしまう。比較例2の触媒C、比較例3の触媒D、比較例4の触媒E及び比較例5の触媒Fは、初期活性は高いが、転化率の低下量が大きかった。比較例6の触媒G及び比較例7の触媒Hは、転化率の低下量は小さいが、初期活性が極めて低かった。
750℃で65時間スチーム処理を施した実施例2及び比較例8,9を比較すると、表2に示すように、実施例1の触媒Aは、スチーム処理の温度が750℃になっても高い初期活性を示し、且つ反応中の活性低下も小さかった。これに対し、比較例8の触媒Iは、初期活性は高いが、反応中の活性低下が大きかった。比較例9の触媒Cは、反応中の活性低下は比較的小さいが、初期活性が低かった。また、スチーム処理温度が異なる比較例2の触媒Cと比較すると、スチーム処理温度が高い比較例9の触媒Cでは、初期活性の大きな低下が見られた。
表3に示すように、スチーム処理温度を500℃とした場合に、200℃、400℃とした場合に比べて、触媒Aは反応中の活性低下がより小さかった。したがって、接触分解反応に用いる前にゼオライト触媒を予めスチーム処理する場合、スチーム処理温度を500℃以上に設定することが好ましいことが分かった。
以上の結果から、ベーマイト等のアルミニウム含有化合物を用いてゼオライトにアルミニウムを担持させた後に、このゼオライトにリンを担持させることで、高い触媒活性と、高い耐スチーム性及び耐コーキング性とを付与可能なゼオライト触媒を形成できることが明らかとなった。
以上、本発明を上述の実施の形態や各実施例を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態や実施例に限定されるものではなく、実施の形態や各実施例の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態や各実施例における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態や各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
Claims (10)
- 下記工程(1)及び下記工程(2)を含むことを特徴とするゼオライト触媒の製造方法。
工程(1):ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ及び非晶質シリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルミニウム含有化合物と、ゼオライトと、水、並びに前記アルミニウム含有化合物及び前記ゼオライトが不溶もしくは難溶である有機溶媒の少なくとも一方の液体とを混合し、前記ゼオライトにアルミニウムを担持させてなる触媒前駆体を得る工程
工程(2):前記触媒前駆体と水溶性のリン含有化合物と水とを混合し、前記触媒前駆体にリンを担持させてなるゼオライト触媒を得る工程 - 前記工程(1)において、前記アルミニウム含有化合物と前記ゼオライトと前記液体とを含む混合液を乾燥させて前記触媒前駆体を形成することを含む請求項1に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記工程(2)において、前記触媒前駆体と前記リン含有化合物と前記水とを含む混合液を乾燥させて前記ゼオライト触媒を形成することを含む請求項1又は2に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記工程(2)において、含浸法により前記ゼオライト触媒が形成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記ゼオライト触媒が炭化水素接触分解用触媒である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 下記工程(3)を更に含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
工程(3):前記ゼオライト触媒を500℃以上でスチーム処理する工程 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたゼオライト触媒を用い、炭化水素にスチームを同伴させて当該炭化水素を接触分解することを特徴とする芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法によって製造されたゼオライト触媒を用いて炭化水素を接触分解することを特徴とする芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法。
- 前記炭化水素にスチームを同伴させて前記炭化水素を接触分解する請求項8に記載の芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法。
- 前記ゼオライト触媒と前記炭化水素との反応方式は、固定層流通方式である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の芳香族炭化水素及び/又は炭素数4以下のオレフィンの製造方法。
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KR102074806B1 (ko) * | 2019-11-29 | 2020-02-10 | 한국화학연구원 | 경질올레핀 제조용 촉매, 이의 제조방법, 및 이를 이용하여 경질올레핀을 제조하는 방법 |
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2012
- 2012-03-07 JP JP2012050894A patent/JP2013184108A/ja active Pending
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