JP2013182018A - 変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法 - Google Patents

変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系、光学装置、及び変倍光学系の製造方法を提供する。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、及び第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔がそれぞれ変化し、第3レンズ群G3が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、第2部分群G32とを有し、第2部分群G32が光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、所定の条件式を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法に関する。
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2006−284763号公報
しかしながら、上述のような従来の変倍光学系は、大型であり、防振機能を有しつつ高変倍化を図ろうとすれば、光学性能が著しく劣化してしまうという問題があった。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系、光学装置、及び変倍光学系の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化し、
前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有し、
前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、
以下の条件式を満足することを特徴とする変倍光学系を提供する。
2.80 < f1/f3 < 4.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
また本発明は、
前記変倍光学系を有することを特徴とする光学装置を提供する。
また本発明は、
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有するようにし、
前記第1レンズ群と前記第3レンズ群が以下の条件式を満足するようにし、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化するようにし、
前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにすることを特徴とする変倍光学系の製造方法を提供する。
2.80 < f1/f3 < 4.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
本発明によれば、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系、光学装置、及び変倍光学系の製造方法を提供することができる。
(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に防振を行った際のメリディオナル横収差図である。 本願の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。 本願の変倍光学系の製造方法の概略を示す図である。
以下、本願の変倍光学系、光学装置、及び変倍光学系の製造方法について説明する。
本願の変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化し、前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有し、前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
(1) 2.80 < f1/f3 < 4.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
本願の変倍光学系は、上記のように第3レンズ群中の第2部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、手ぶれ発生時の像ぶれの補正、即ち防振を行うことができる。
上記条件式(1)は、第3レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離を規定したものである。本願の変倍光学系は、条件式(1)を満足することにより、広角端状態において像面湾曲を良好に補正し、望遠端状態において球面収差を良好に補正することができる。
本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の変倍効果が小さくなる。このため、変倍比を確保するために第2レンズ群の屈折力を大きくする必要があり、その結果、広角端状態における像面湾曲の発生、及び望遠端状態における球面収差の発生を招いてしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を4.30とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が大きくなり、望遠端状態において球面収差を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を3.00とすることがより好ましい。
以上の構成により、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系を実現することができる。
また本願の変倍光学系は、前記第2部分群が負の屈折力を有することが望ましい。この構成により、本願の変倍光学系の小型化を図り、偏芯時のコマ収差の変動を抑えることができる。
また本願の変倍光学系は、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 2.20 < f1/f4 < 3.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
条件式(2)は、第4レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離を規定したものである。本願の変倍光学系は、条件式(2)を満足することにより、広角端状態において像面湾曲とコマ収差を良好に補正し、望遠端状態において球面収差を良好に補正することができる。
本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、第4レンズ群の屈折力が大きくなり、広角端状態において像面湾曲とコマ収差を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を3.30とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が大きくなり、望遠端状態において球面収差を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を2.50とすることがより好ましい。
また本願の変倍光学系は、合焦に際して、前記第2レンズ群の少なくとも一部が光軸方向へ移動することが望ましい。小型で軽量な第2レンズ群の少なくとも一部によって合焦を行うことにより、迅速な合焦を達成することができる。
また本願の変倍光学系は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 0.35 < (−f2)/f3 < 0.55
ただし、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
条件式(3)は、第3レンズ群の焦点距離に対する第2レンズ群の焦点距離を規定したものである。本願の変倍光学系は、条件式(3)を満足することにより、広角端状態において像面湾曲を良好に補正し、望遠端状態において球面収差を良好に補正することができる。
本願の変倍光学系の条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の変倍効果が小さくなる。このため、変倍比を確保するために第1レンズ群の屈折力を大きくする必要があり、その結果、広角端状態における像面湾曲の発生、及び望遠端状態における球面収差の発生を招いてしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を0.52とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、第3レンズ群の変倍効果が小さくなる。このため、変倍比を確保するために第1レンズ群又は第2レンズ群の屈折力を大きくする必要があり、その結果、望遠端状態における球面収差、及び広角端状態における像面湾曲を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.38とすることがより好ましい。
また本願の変倍光学系は、前記第2部分群が、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることが望ましい。この構成により、第2部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させた際に偏芯コマ収差を良好に補正することができる。
また本願の変倍光学系は、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.20 < |f32|/f1 < 0.43
ただし、
f1 :前記第1レンズ群の焦点距離
f32:前記第2部分群の焦点距離
条件式(4)は、第1レンズ群の焦点距離に対する第2部分群の焦点距離を規定したものである。本願の変倍光学系は、条件式(4)を満足することにより、望遠端状態において球面収差を良好に補正し、第2部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させた際にコマ収差を良好に補正することができる。
本願の変倍光学系の条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が大きくなり、望遠端状態において球面収差を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.41とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、第2部分群の屈折力が大きくなる。このため、第2部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させた際にコマ収差の劣化を招いてしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.25とすることがより好ましい。
また本願の変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群が光軸方向へ移動することが望ましい。この構成により、変倍に関わる各レンズ群、即ち第1〜第4レンズ群のそれぞれの屈折力を小さくすることができ、広角端状態から望遠端状態にわたって良好な光学性能を確保することができる。
本願の光学装置は、上述した構成の変倍光学系を有することを特徴とする。これにより、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の光学装置を実現することができる。
本願の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有するようにし、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群が以下の条件式(1)を満足するようにし、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化するようにし、前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにすることを特徴とする。これにより、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系を製造することができる。
(1) 2.80 < f1/f3 < 4.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
以下、本願の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1(a)、図1(b)、及び図1(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32とからなる。なお、第3レンズ群G3の物体側には、開口絞りSが備えられている。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と両凹形状の負レンズL33との接合レンズとからなる。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL42と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズとからなる。なお、第4レンズ群G4において最も物体側に位置する正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、及び第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表1に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスを示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えた光学面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dは光軸上の面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、絞りSは開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。また、非球面には面番号に*を付して曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
x=(h/r)/[1+{1−κ(h/r)1/2
+A4h+A6h+A8h+A10h10
ここで、hを光軸に垂直な方向の高さ、xを高さhにおける非球面の頂点の接平面から当該非球面までの光軸方向に沿った距離(サグ量)、κを円錐定数、A4,A6,A8,A10を非球面係数、rを基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)とする。なお、「E−n」(n:整数)は「×10−n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10−5」を示す。
[各種データ]において、FNOはFナンバー、2ωは画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは変倍光学系の全長、di(i:整数)は第i面の可変の面間隔をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
ここで、表1に掲載されている焦点距離fや曲率半径r、及びその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
ここで、レンズ全系の焦点距離がf、防振係数(防振時の防振レンズ群の移動量に対する像面I上での像の移動量の比)がKであるレンズにおいて、角度θの回転ぶれを補正するためには、防振レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向へ移動させればよい。したがって、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.88、焦点距離が10.0(mm)であるため、1.00°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.20(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.92、焦点距離が100.0(mm)であるため、0.32°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.29(mm)となる。
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 459.647 1.600 1.953660 30.27
2 57.423 6.819 1.497820 82.51
3 -154.085 0.100 1.000000
4 56.956 5.161 1.878896 41.01
5 569.648 可変 1.000000

*6 38.479 1.200 1.882991 40.76
7 8.366 3.937 1.000000
8 -16.649 1.200 1.864046 41.96
9 53.630 0.100 1.000000
10 21.938 3.669 1.846659 23.78
11 -14.738 0.417 1.000000
12 -12.219 1.200 1.882997 40.76
13 -43.622 可変 1.000000

14(絞りS) ∞ 1.000 1.000000

15 23.408 3.198 1.754999 52.31
16 -31.880 0.100 1.000000
17 15.118 3.851 1.497820 82.51
18 -19.673 1.200 1.856445 26.89
19 59.726 2.566 1.000000
20 -68.834 1.200 1.822803 45.06
21 7.553 3.351 1.878191 37.36
22 24.293 可変 1.000000

*23 16.648 3.632 1.497820 82.51
24 -23.750 0.100 1.000000
25 -553.763 4.361 1.577760 40.84
26 -8.231 1.200 1.882997 40.76
27 -42.498 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.54E-05 -2.59E-08 3.23E-10 6.63E-12
23 -0.3689 -1.24E-05 6.50E-07 -5.31E-09 1.67E-10

[各種データ]
変倍比 10.00

W M T
f 10.00 50.02 100.00
FNO 3.50 4.80 5.60
2ω 82.49° 18.42° 9.30°
Y 8.350 8.350 8.350
TL 92.33 135.76 153.35
BF 13.25 39.10 42.51

W M T
d5 2.301 37.043 53.748
d13 19.357 5.095 2.400
d22 6.260 3.363 3.524

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 85.1
2 6 -9.4
3 15 21.3
4 23 28.4

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 3.99
(2) f1/f4 = 3.00
(3) (−f2)/f3 = 0.44
(4) |f32|/f1 = 0.28
図2(a)、図2(b)、及び図2(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図3(a)、及び図3(b)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に1.00°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.32°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)における収差をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、後述する各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第2実施例)
図4(a)、図4(b)、及び図4(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32とからなる。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と両凹形状の負レンズL33との接合レンズとからなる。なお、正レンズL31と正レンズL32の間には、開口絞りSが備えられている。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズとからなる。なお、第4レンズ群G4において最も物体側に位置する正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、及び第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表2に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.61、焦点距離が10.3(mm)であるため、0.99°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.28(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.42、焦点距離が97.0(mm)であるため、0.32°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.38(mm)となる。
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 214.935 1.600 1.953660 30.27
2 60.293 6.140 1.497820 82.51
3 -216.386 0.100 1.000000
4 59.192 4.825 1.810230 46.17
5 516.132 可変 1.000000

*6 32.741 1.200 1.882997 40.76
7 8.577 4.007 1.000000
8 -15.726 1.200 1.839050 43.75
9 46.418 0.100 1.000000
10 21.908 3.623 1.846660 23.78
11 -16.185 0.601 1.000000
12 -11.861 1.200 1.882997 40.76
13 -33.094 可変 1.000000

14 24.800 2.781 1.754999 52.31
15 -39.736 0.500 1.000000
16(絞りS) ∞ 1.600 1.000000
17 14.646 3.397 1.497820 82.51
18 -19.677 1.200 1.852045 25.40
19 69.922 2.144 1.000000
20 -879.676 1.200 1.802688 46.87
21 8.771 2.765 1.876437 36.60
22 23.971 可変 1.000000

*23 17.538 3.382 1.497820 82.51
24 -22.122 0.100 1.000000
25 712.073 4.071 1.625207 37.14
26 -8.262 1.200 1.882997 40.76
27 -97.309 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.66E-05 1.53E-07 -4.44E-09 5.56E-11
23 1 -5.70E-05 6.19E-07

[各種データ]
変倍比 9.42

W M T
f 10.30 49.99 96.98
FNO 3.50 5.20 5.67
2ω 79.71° 17.90° 9.37°
Y 8.190 8.190 8.190
TL 89.39 132.08 150.34
BF 13.54 36.00 44.01

W M T
d5 2.317 38.392 51.572
d13 18.962 5.444 2.400
d22 5.643 3.306 3.427

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 86.9
2 6 -9.6
3 14 21.2
4 23 31.0

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 4.10
(2) f1/f4 = 2.81
(3) (−f2)/f3 = 0.45
(4) |f32|/f1 = 0.40
図5(a)、図5(b)、及び図5(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図6(a)、及び図6(b)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に0.99°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.32°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第3実施例)
図7(a)、図7(b)、及び図7(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32とからなる。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と両凹形状の負レンズL33との接合レンズとからなる。なお、正レンズL31と正レンズL32の間には、開口絞りSが備えられている。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズとからなる。なお、第4レンズ群G4において最も物体側に位置する正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、及び第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表3に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.79、焦点距離が10.3(mm)であるため、0.60°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.14(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.74、焦点距離が97.0(mm)であるため、0.19°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.19(mm)となる。
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 167.891 1.600 1.950000 29.37
2 69.549 5.925 1.497820 82.51
3 -183.905 0.100 1.000000
4 56.184 4.388 1.729157 54.66
5 198.836 可変 1.000000

*6 41.829 1.200 1.882997 40.76
7 8.946 3.756 1.000000
8 -17.431 1.200 1.864742 41.92
9 38.456 0.100 1.000000
10 20.545 3.705 1.846660 23.78
11 -15.937 0.629 1.000000
12 -11.749 1.200 1.882997 40.76
13 -35.044 可変 1.000000

14 24.738 2.730 1.754999 52.31
15 -36.975 0.500 1.000000
16(絞りS) ∞ 1.600 1.000000
17 14.497 3.278 1.497820 82.51
18 -19.591 1.200 1.851149 25.12
19 97.099 2.184 1.000000
20 -105.628 1.200 1.875733 41.21
21 8.299 2.780 1.939960 33.32
22 26.001 可変 1.000000

*23 20.461 3.205 1.497820 82.51
24 -22.765 0.100 1.000000
25 175.793 3.930 1.616359 38.32
26 -9.172 1.200 1.883682 40.65
27 -65.712 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.28E-05 5.16E-08 -8.45E-10 2.36E-11
23 1 -5.71E-05 2.70E-07

[各種データ]
変倍比 9.42

W M T
f 10.30 50.00 97.00
FNO 3.50 5.20 5.60
2ω 79.71° 17.90° 9.37°
Y 8.190 8.190 8.190
TL 89.38 132.39 150.35
BF 14.01 36.64 44.30

W M T
d5 2.319 39.217 52.463
d13 19.087 5.422 2.400
d22 6.245 3.394 3.481

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 88.3
2 6 -9.4
3 14 21.1
4 23 28.4

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 4.18
(2) f1/f4 = 3.11
(3) (−f2)/f3 = 0.44
(4) |f32|/f1 = 0.31
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図9(a)、及び図9(b)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に0.60°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.19°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第4実施例)
図10(a)、図10(b)、及び図10(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32とからなる。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と両凹形状の負レンズL33との接合レンズとからなる。なお、正レンズL31と正レンズL32の間には、開口絞りSが備えられている。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズとからなる。なお、第4レンズ群G4において最も物体側に位置する正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、及び第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表4に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.75、焦点距離が10.3(mm)であるため、0.60°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.14(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.62、焦点距離が97.0(mm)であるため、0.19°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.20(mm)となる。
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 134.035 1.600 1.995973 28.75
2 56.255 5.824 1.497820 82.51
3 -238.373 0.100 1.000000
4 50.086 4.577 1.772927 50.05
5 242.611 可変 1.000000

*6 57.243 1.200 1.878662 37.67
7 8.942 3.645 1.000000
8 -17.572 1.200 1.882997 40.76
9 43.025 0.100 1.000000
10 20.980 3.779 1.810399 22.65
11 -15.077 0.580 1.000000
12 -11.668 1.200 1.882997 40.76
13 -30.843 可変 1.000000

14 22.438 2.768 1.754910 52.33
15 -41.025 0.500 1.000000
16(絞りS) ∞ 1.600 1.000000
17 14.301 3.206 1.497820 82.51
18 -21.553 1.200 1.970527 23.71
19 96.060 2.155 1.000000
20 -149.641 1.200 1.882794 40.61
21 10.106 2.398 2.002300 28.33
22 24.619 可変 1.000000

*23 20.677 3.184 1.593190 67.90
24 -23.793 0.100 1.000000
25 610.600 3.859 1.605665 39.91
26 -8.915 1.200 1.890148 39.59
27 -90.902 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.55E-05 -9.41E-08 2.04E-09 -1.22E-12
23 1 -4.75E-05 3.47E-07

[各種データ]
変倍比 9.42

W M T
f 10.30 50.00 97.01
FNO 3.50 5.20 5.60
2ω 79.71° 17.90° 9.37°
Y 8.190 8.190 8.190
TL 89.33 125.89 140.87
BF 14.18 36.03 42.68

W M T
d5 2.328 33.549 45.003
d13 19.446 5.642 2.400
d22 6.199 3.500 3.615

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 76.4
2 6 -9.3
3 14 21.8
4 23 28.5

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 3.51
(2) f1/f4 = 2.68
(3) (−f2)/f3 = 0.43
(4) |f32|/f1 = 0.38
図11(a)、図11(b)、及び図11(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図12(a)、及び図12(b)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に0.60°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.19°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第5実施例)
図13(a)、図13(b)、及び図13(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32と、負の屈折力を有する第3部分群G33とからなる。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズとからなる。なお、正レンズL31と正レンズL32の間には、開口絞りSが備えられている。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第3部分群G33は、両凹形状の負レンズL36のみからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL42と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズとからなる。なお、第4レンズ群G4において最も物体側に位置する正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、及び第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表5に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.67、焦点距離が10.3(mm)であるため、0.60°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.16(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.45、焦点距離が97.0(mm)であるため、0.19°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.23(mm)となる。
(表5)第5実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 121.433 1.600 2.000942 28.06
2 56.973 5.569 1.497820 82.51
3 -262.775 0.100 1.000000
4 50.394 4.472 1.757194 52.03
5 230.587 可変 1.000000

*6 60.994 1.200 1.874937 35.34
7 8.965 3.574 1.000000
8 -18.928 1.200 1.882997 40.76
9 40.750 0.100 1.000000
10 20.638 3.681 1.831265 21.76
11 -16.433 0.539 1.000000
12 -12.501 1.200 1.882997 40.76
13 -37.209 可変 1.000000

14 22.437 2.755 1.747287 52.75
15 -40.608 0.500 1.000000
16(絞りS) ∞ 1.600 1.000000
17 14.529 3.193 1.497820 82.51
18 -21.393 1.200 1.959603 22.45
19 -244.270 2.040 1.000000
20 -109.243 1.200 1.882997 40.76
21 11.581 2.339 1.964773 29.62
22 31.145 1.462 1.000000
23 -57.166 1.000 1.875553 35.71
24 96.176 可変 1.000000

*25 19.938 3.197 1.593190 67.90
26 -24.778 0.100 1.000000
27 -825.810 3.984 1.614364 38.61
28 -8.826 1.200 1.891733 39.34
29 -44.568 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.18E-05 -7.24E-08 6.90E-10 5.95E-12
25 1 -6.37E-05 4.69E-07

[各種データ]
変倍比 9.42

W M T
f 10.30 50.00 97.00
FNO 3.50 5.20 5.59
2ω 79.72° 18.05° 9.42°
Y 8.190 8.190 8.190
TL 89.33 125.73 140.86
BF 13.31 35.58 42.88

W M T
d5 2.329 33.140 44.235
d13 19.776 5.702 2.400
d24 4.905 2.300 2.341

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 75.9
2 6 -9.2
3 14 20.7
4 25 23.8

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 3.66
(2) f1/f4 = 3.19
(3) (−f2)/f3 = 0.44
(4) |f32|/f1 = 0.41
図14(a)、図14(b)、及び図14(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図15(a)、及び図15(b)はそれぞれ、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に0.60°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.19°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第6実施例)
図16(a)、図16(b)、及び図16(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とからなる。なお、第2レンズ群G2において最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32とからなる。
第1部分群G31は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と両凹形状の負レンズL33との接合レンズとからなる。なお、正レンズL31と正レンズL32の間には、開口絞りSが備えられている。
第2部分群G32は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズのみからなる。
第4レンズ群G4は、両凸形状の正レンズL41のみからなる。なお、正レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズのみからなる。
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増大するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、及び第5レンズ群G5が光軸に沿って物体側へ移動し、第2レンズ群G2が光軸に沿って移動する。なお、この際、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動する。
また本実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
また本実施例に係る変倍光学系は、手ぶれ等の発生時に第2部分群G32のみを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより防振を行う。
以下の表6に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が−0.67、焦点距離が10.3(mm)であるため、0.60°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.16(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が−1.48、焦点距離が97.0(mm)であるため、0.19°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は0.22(mm)となる。
(表6)第6実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 130.000 1.600 1.977550 30.05
2 53.215 5.870 1.497820 82.51
3 -301.577 0.100 1.000000
4 49.766 4.706 1.762484 51.33
5 285.082 可変 1.000000

*6 55.053 1.200 1.875647 35.77
7 8.920 3.605 1.000000
8 -18.863 1.200 1.882997 40.76
9 38.238 0.100 1.000000
10 20.860 3.659 1.830156 21.81
11 -16.640 0.611 1.000000
12 -12.286 1.200 1.882997 40.76
13 -32.821 可変 1.000000

14 22.276 2.832 1.723962 54.17
15 -39.179 0.500 1.000000
16(絞りS) ∞ 1.600 1.000000
17 14.822 3.235 1.497820 82.51
18 -21.400 1.200 1.966413 23.23
19 294.782 2.124 1.000000
20 -97.585 1.200 1.881100 39.35
21 10.629 2.457 1.993396 28.92
22 30.804 可変 1.000000

*23 24.645 2.816 1.593190 67.90
24 -36.143 可変 1.000000

25 -1303.485 3.950 1.602810 40.36
26 -8.782 1.200 1.897219 38.51
27 -45.532 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ A4 A6 A8 A10
6 1 1.59E-05 -5.02E-08 1.14E-10 9.01E-12
23 1 -4.32E-05 2.52E-07

[各種データ]
変倍比 9.42

W M T
f 10.30 50.00 97.00
FNO 3.50 5.17 5.63
2ω 79.71° 18.02° 9.43°
Y 8.190 8.190 8.190
TL 89.33 125.31 140.86
BF 13.25 33.66 41.71

W M T
d5 2.328 34.196 44.867
d13 19.888 5.725 2.400
d22 6.801 3.500 3.502
d24 0.100 1.265 1.411

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 77.2
2 6 -9.3
3 14 20.3
4 23 25.1
5 25 -72.1

[条件式対応値]
(1) f1/f3 = 3.76
(2) f1/f4 = 3.07
(3) (−f2)/f3 = 0.45
(4) |f32|/f1 =0.42
図17(a)、図17(b)、及び図17(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図18(a)、及び図18(b)はそれぞれ、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠物体合焦時に0.60°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時に0.19°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
上記各実施例によれば、防振機能を有し、10倍程度の高変倍比と広角端状態において70°以上の広画角を有し、良好な光学性能を備えた軽量で小型の変倍光学系を実現することができる。なお、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
以下の内容は、本願の変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
本願の変倍光学系の数値実施例として4群や5群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、例えば6群等のその他の群構成の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、本願の変倍光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で他のレンズ群と分離された、少なくとも1つのレンズを有する部分をいう。
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。特に、第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
また、本願の変倍光学系において、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、手ぶれ等によって生じる像ぶれを補正する構成とすることもできる。特に、本願の変倍光学系では第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
また、本願の変倍光学系において開口絞りは第2レンズ群と第3レンズ群の間又は第3レンズ群中に配置されることが好ましく、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
また、本願の変倍光学系は、変倍比が3〜20程度である。
次に、本願の変倍光学系を備えたカメラを図19に基づいて説明する。
図19は、本願の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
本カメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係る変倍光学系を備えたデジタル一眼レフカメラである。
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る変倍光学系は、上述のように小型で、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えている。これにより本カメラ1は、防振機能を有し、高変倍化、広画角化、及び小型化を図りながら、良好な光学性能を実現することができる。なお、上記第2〜第6実施例に係る変倍光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラー3を有しない構成のカメラに上記各実施例に係る変倍光学系を搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
最後に、本願の変倍光学系の製造方法の概略を図20に基づいて説明する。
図20に示す本願の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、以下のステップS1〜S4を含むものである。
ステップS1:第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有するようにする。
ステップS2:第1レンズ群と第3レンズ群が以下の条件式(1)を満足するようにし、第1〜第4レンズ群を鏡筒内に物体側から順に配置する。
(1) 2.80 < f1/f3 < 4.50
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
ステップS3:鏡筒内に公知の移動機構を設ける等することで、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔、及び第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔がそれぞれ変化するようにする。
ステップS4:鏡筒内に公知の移動機構を設ける等することで、第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにする。
斯かる本願の変倍光学系の製造方法によれば、防振機能を有し、高変倍、広画角で、良好な光学性能を備えた小型の変倍光学系を製造することができる。
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G31 第1部分群
G32 第2部分群
G33 第3部分群
S 開口絞り
I 像面

Claims (10)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有し、
    広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化し、
    前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有し、
    前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、
    以下の条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
    2.80 < f1/f3 < 4.50
    ただし、
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離
    f3:前記第3レンズ群の焦点距離
  2. 前記第2部分群が負の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
  3. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変倍光学系。
    2.20 < f1/f4 < 3.50
    ただし、
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離
    f4:前記第4レンズ群の焦点距離
  4. 合焦に際して、前記第2レンズ群の少なくとも一部が光軸方向へ移動することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  5. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の変倍光学系。
    0.35 < (−f2)/f3 < 0.55
    ただし、
    f2:前記第2レンズ群の焦点距離
    f3:前記第3レンズ群の焦点距離
  6. 前記第2部分群が、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  7. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の変倍光学系。
    0.20 < |f32|/f1 < 0.43
    ただし、
    f1 :前記第1レンズ群の焦点距離
    f32:前記第2部分群の焦点距離
  8. 広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群が光軸方向へ移動することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の変倍光学系を有することを特徴とする光学装置。
  10. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
    前記第3レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、第2部分群とを有するようにし、
    前記第1レンズ群と前記第3レンズ群が以下の条件式を満足するようにし、
    広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔がそれぞれ変化するようにし、
    前記第2部分群が光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにすることを特徴とする変倍光学系の製造方法。
    2.80 < f1/f3 < 4.50
    ただし、
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離
    f3:前記第3レンズ群の焦点距離
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