JP2013180996A - フォトクロミック化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】用途に応じた実用的な発色濃度を有するフォトクロミック材料およびその分子設計方法を提供する。
【解決手段】7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有するイミダゾールビラジカル構造を有するフォトクロミック化合物。
【選択図】なし
【解決手段】7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有するイミダゾールビラジカル構造を有するフォトクロミック化合物。
【選択図】なし
Description
本発明は、光を照射することで色(可視光の透過率)を変化させる機能を持つフォトクロミック材料に関する。フォトクロミック化合物は、サングラスや光変調素子をはじめとする光学材料や、記録材料や表示体などのデバイス用材料や、表示・非表示や発色・消色の切り替えが可能なインクやコート剤などの印刷材料に使用できる。
光を照射することで色(可視光の透過率)を変化させる機能を持つフォトクロミック材料は、まぶしさを防ぐためのメガネ(調光サングラス)や、光スイッチ、または表示・非表示の切り替え機能を有するインクなどの表示材料として利用される。また、光ディスクなどの記録材料やホログラムとしての応用も研究されている。
フォトクロミック材料による色の変化は光照射によるフォトクロミック化合物の可逆的な化学変化によって発現される。ここでは、この光照射による色の変化を調光機能と呼ぶ。代表的なフォトクロミック化合物としては、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ナフトピラン系化合物、フルギド系化合物およびジアリールエテン系化合物などが挙げられ(例えば下記非特許文献1)、さまざまな用途に用いられてきた。
フォトクロミック化合物は、なお様々な誘導体や新しい分子骨格を有する化合物が開発され続けており、近年新たに提案されてきた分子骨格には、例えば、非特許文献2に示すように、消色反応が極めて速く、発色体の半減期がミリ秒単位と短時間であるラジカル散逸抑制型フォトクロミック化合物も開発されている。
新しい分子骨格が提案されている背景としては、調光機能にはその用途に適した色や発色濃度や発色速度などの特性が求められることにある。例えば、調光サングラスであれば、自動車を運転中、トンネルに入った時に速やかに消色し、トンネルから出た時には直ちに着色するような機能が求められる。このような機能があれば、運転時の安全性と目の保護の両立が望ましく実現できる。
さらには、できるだけ多くの繰り返し発消色反応に耐えうる耐久性や、野外の強い紫外線や湿度に対する耐候性なども求められており、これらの性能は基本的には各フォトクロミック化合物の分子骨格に依存するものである。
このような背景のもとに新規な分子骨格を有するフォトクロミック化合物が開発され続けており、その中からラジカル散逸抑制型フォトクロミック化合物のような新しい発色原理によるフォトクロミック化合物も生まれている。
市村國宏監修、「クロミック材料の開発」、株式会社シーエムシー、2000年11月、p.1−80
阿部二朗、他1名、Journal of the American Chemical Society、2009年12月、第131巻、p.4227-4229
上記のとおり、フォトクロミック化合物には依然新しい機能、特性が求められており、また新しい機能・特性を持ったフォトクロミック化合物が開発されることによって、これまでにない画期的なデバイスや用途に貢献できると考えられる。その新しい機能・特性とは、光に応答する発色・消色の速度であり、発色時の着色の濃さであり、または色調であり、さらには使用される環境における動作を保証する耐久性や、動作特性としての温度依存性や光感受性である。このような新しい機能・特性を有するフォトクロミック化合物が開発されれば、その機能や特性を利用した従来用途の改善や新用途の提案が行われるであろうことは技術開発の自然な流れであって、したがって新しいフォトクロミック化合物の開発に対する期待は無限にあるといってよい。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、新規構造を有し、また新規な光応答特性を有するフォトクロミック化合物を提供する。
本発明者らは上記課題を解決するにあたり、光応答性が速く発色濃度の高い新規なフォトクロミック化合物の創出について鋭意検討を進めた。速い光応答性を発現するようなフォトクロミック化合物の構造としては、前出の非特許文献2で発表されているようなラジカル散逸抑制型構造を参考とした。この文献で報告されているラジカル散逸抑制型フォトクロミック化合物に励起光を照射すると、2つのイミダゾール環を結合する炭素−窒素結合が切れてイミダゾールビラジカルが生成する。このイミダゾールビラジカル体をここでは単にビラジカルと呼ぶ。このビラジカルが発色体の本質であり、ビラジカルが再結合して再び炭素−窒素結合が回復することで消色体に戻る。2つのイミダゾール環はパラシクロファン骨格で連結されており、ビラジカルが常に近接しているために速やかに再結合できる。このことをラジカル散逸抑制と定義している。
ラジカルの生成は極めて短時間のうちに起こる。またラジカルは本質的に反応性に富む化学形態であり、周囲の化学物質や他のラジカルと反応しやすい性質があるため、生成後直ちに消滅し、安定な構造に移行するため、通常その寿命は短い。すなわち、ラジカル散逸抑制型フォトクロミック化合物も発色体構造がビラジカルであるために、ラジカルとしての基本的な同様の性質を有しており、速い光応答性を発現している。その一方で速い光応答性の副作用として発色体の寿命が短く、つまりは発色体が安定して存在する時間が短いために直ちに消滅して消色体に移行することにより高い発色濃度が得られないといった課題を残している。
ラジカルの寿命を延ばすためには、ラジカルが周囲の化学物質と反応することを妨げればよい。その一つの原理的な方法はラジカルと周囲の化学物質との距離を広げるように調節することである。特に反応性が高いラジカル同士の再結合反応は、ラジカルとラジカルの間の距離を広げることが有効と思われる。ただし、非特許文献2で報告されているような、イミダゾールビラジカル構造を含むラジカル散逸抑制型構造においては、二つのラジカル間の距離と発色濃度や消色速度の定量的な相関関係は明らかでなく、現在のところ、二つのラジカル間の距離の調節は多分に経験的であり、実際に分子を設計し、合成し、評価することで調節せざるを得ない。
本発明ではラジカルのこのような特性を生かした上で、さらに発色濃度を向上させた新規なフォトクロミック化合物を創出する。その新規なフォトクロミック構造とは、ビラジカルを形成している二つのラジカル間の距離が調節された構造を有する。このような構造によって、速いラジカル形成速度、つまりは発色体形成速度を保ちながら、しかも消色速度は高い発色濃度を発現するために制御され、なおかつ実用的には速やかなる消色速度を発現する。
すなわち、本発明は励起光によって生成するラジカル体を発色体とするフォトクロミック化合物であって、そのラジカル体は二つのイミダゾール環よりなるビラジカル体から形成されており、その二つのビラジカル間の距離を制御するために下記一般式(1)で表されるフォトクロミック分子のように7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有する。
(式中R1〜R8はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボキシレート基、アルキルカーボネート基、アルキルスルホネート基、ニトロ基、シアノ基又はアリール基を示す。Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。
すなわち本発明は、上記一般式(1)で表される7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有するイミダゾールビラジカル構造を発色体としながら、発色濃度を向上させたフォトクロミック化合物である。
本発明が提供するフォトクロミック化合物は7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有する上記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物であって、光応答速度の速いラジカル発生を発色原理とし、つまりは励起光照射によりイミダゾールビラジカル体を発色体として生成せしめることによって発色させ、しかも消色速度は高い発色濃度を発現するために制御され、なおかつ実用的には速やかなる消色速度を発現する。
本発明は上記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物であって、励起光によって生成するラジカル体を発色体とし、そのラジカル体は二つのイミダゾール環よりなるイミダゾールビラジカル体から形成されており、その二つのビラジカル間の距離を制御するために上記一般式(1)で表されるフォトクロミック分子のように7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有する。
上記一般式(1)中、Ar1〜Ar4の「アリール基」としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、ピリル基またはチオニル基などがあげられるがこれらに限定されるものではない。
上記一般式(1)で表される本発明フォトクロミック化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましく、下記一般式(3)で表される化合物が特に好ましい。
(式中R9R10はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。)
(式中Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。)
本発明のフォトクロミック化合物は、例えば、下記一般式(4)で表される7,7’ −ジホルミル−1,1’−ビナフチル誘導体と下記一般式(5)と下記一般式(6)で表されるジアリールエタンジオン誘導体とを窒素化合物の存在下に反応させてイミダゾール環を含む中間体を得た後にその中間体を酸化反応させることで得られる。尚、本発明のフォトクロミック化合物は、二つのホルミル基に異なるジアリールエタンジオン誘導体を反応させることによっても得られる。本発明の効果は、本発明の構造体分子を得られるのであればどのような合成ルートをとっていてもよく、合成ルートによって何ら限定されるものではない。
(式中R1〜R8はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボキシレート基、アルキルカーボネート基、アルキルスルホネート基、ニトロ基、シアノ基又はアリール基を示す。)
(式中R1〜R8はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボキシレート基、アルキルカーボネート基、アルキルスルホネート基、ニトロ基、シアノ基又はアリール基を示す。)
(式中Ar1、Ar2はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。)
(式中Ar3Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。)
上記一般式(4)で表される本発明のフォトクロミック化合物の合成原料に使用する7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル誘導体は、例えば2,2’−ジヒドロキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ジメトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ジエトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−プロポキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ジブトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス (2−メトキシ−エトキシ)−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス [2−(2−メトキシ−エトキシ) −エトキシ]−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ) −エトキシ] −エトキシ}−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−イソプロピル−5−メチル-シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(7,7−ジメチル−3−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルフォニルオキシ)−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、3,3’,4,4’−テトラアセトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、3,4,3’,4’−ビス(2,2,2−トリフェニル−1,3−ジオキサホスフォラン)−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル、3,3’−ジメトキシカルボニル−4,4’−ジtertブチルカルボキシ−6,6’−ジメトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチルなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(5)、一般式(6)で表される本発明のフォトクロミック化合物の合成原料に使用するジアリールエタンジオン誘導体は、例えば2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、4−フルオロベンジル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、2−ブロモベンジル、3−ブロモベンジル、4−ブロモベンジル、2−ヨードベンジル、3−ヨードベンジル、4−ヨードベンジル、2−ヒドロキシベンジル、3−ヒドロキシベンジル、4−ヒドロキシベンジル、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、2−エトキシベンジル、3−エトキシベンジル、4−エトキシベンジル、2−フェノキシベンジル、3−フェノキシベンジル、4−フェノキシベンジル、2−アセトキシベンジル、3−アセトキシベンジル、4−アセトキシベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルシベンジル、4−メチルベンジル、2−カルボキシベンジル、3−カルボキシベンジル、4−カルボキシベンジル、2−(メチルカルボキシ)ベンジル、3−(メチルカルボキシ)ベンジル、4−(メチルカルボキシ)ベンジル、2−(フェニルカルボキシ)ベンジル、3−(フェニルカルボキシ)ベンジル、4−(フェニルカルボキシ)ベンジル、2−ニトロベンジル、3−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、2−シアノベンジル、3−シアノベンジル、4−シアノベンジル、2−メチルチオベンジル、3−メチルチオベンジル、4−メチルチオベンジル、2−フェニルチオベンジル、3−フェニルチオベンジル、4−フェニルチオベンジル、2−フェニルアセチレニルベンジル、3−フェニルアセチレニルベンジル、4−フェニルアセチレニルベンジル、2−スチリルベンジル、3−スチリルベンジル、4−スチリルベンジル、2−フェニルメチルベンジル、3−フェニルメチルベンジル、4−フェニルメチルベンジル、2−アミノベンジル、3−アミノベンジル、4−アミノベンジル、2−ジメチルアミノベンジル、3−ジメチルアミノベンジル、4−ジメチルアミノベンジル、2−ブロモメチルベンジル、3−ブロモメチルベンジル、4−ブロモメチルベンジル、2−メトキシメチルベンジル、3−メトキシメチルベンジル、4−メトキシメチルベンジル、2−(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、3−(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、4−(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、2−(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、3−(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、4−(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、2−トリフルオロメチルベンジル、3−トリフルオロメチルベンジル、4−トリフルオロメチルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、3,4−エチレンジオキシベンジル、3,4−エチレンジチオベンジル、2,4−ジヒドロキシベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,3−ジメチルベンジル、3,4−ジメチルベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジニトロベンジル、2−メチル−3−ニトロベンジル、2−メトキシ−3−ニトロベンジル、2−クロロ−4−メトキシベンジル、3−クロロ−4−アミノベンジル、2,3−ジクロロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、2−ジフルオロメチル−3−メチルベンジル、3−フルオロ−4−ブロモベンジル、3,5−ジメトキシベンジル、3,5−ジフルオロベンジル、3,4,5−トリメトキシベンジル、4−(2−オキソ−フェニルアセチル)ナフタレン−1,8−ジカルボキシリックアシッドアンハイドライド、1−(9−オキソフルオレン−2−イル)−2−フェニルエタンジオン、1−(4−ニトロフェニル)−3−[4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)フェニル]ウレア、エチル−4−メチル−2−{[4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)フェニル]カルボニルアミノ}−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート、N−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)[4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)フェニル]カルボキシアミド、N−(2−メトキシエチル)[4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)フェニル]カルボキシアミド、4−クロロ−2−メチルフェニル−4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)ベンゾエイト、1−フェニル−2−(2−ナフチル)エタンジオン、1−フェニル−2−(1−ナフチル)エタンジオン、1,2−ジ(2−ナフチル)エタンジオン、1,2−ジ(1−ナフチル)エタンジオン、1,2−ジ{2−(6−メトキシナフチル)}エタンジオン、1−フェニル−2−[4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル]エタンジオン、カルバモイルメチル−4−(2−オキソ−2−フェニルアセチル)ベンゾエイト、1−アセナフテン−5−イル−2−フェニルエタンジオン、2,3,4,5,6−ペンタクロロベンジル、ベンジル、2,2’−ジフルオロベンジル、3,3’−ジフルオロベンジル、4,4’−ジフルオロベンジル、2,2’−ジクロロベンジル、3,3’−ジクロロベンジル、4,4’−ジクロロベンジル、2,2’−ジブロモベンジル、3,3’−ジブロモベンジル、4,4’−ジブロモベンジル、2,2’−ジヨードベンジル、3,3’−ジヨードベンジル、4,4’−ジヨードベンジル、2,2’−ジヒドロキシベンジル、3,3’−ジヒドロキシベンジル、4,4’−ジヒドロキシベンジル、2,2’−ジメトキシベンジル、3,3’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、2,2’−ジエトキシベンジル、3,3’−ジエトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、2,2’−ジフェノキシベンジル、3,3’−ジフェノキシベンジル、4,4’−ジフェノキシベンジル、2,2’−ジアセトキシベンジル、3,3’−ジアセトキシベンジル、4,4’−ジアセトキシベンジル、2,2’−ジメチルベンジル、3,3’−ジメチルシベンジル、4,4’−ジメチルベンジル、2,2’−ジカルボキシベンジル、3,3’−ジカルボキシベンジル、4,4’−ジカルボキシベンジル、2,2’−ビス(メチルカルボキシ)ベンジル、3,3’−ビス(メチルカルボキシ)ベンジル、4,4’−ビス(メチルカルボキシ)ベンジル、2,2’−ビス(フェニルカルボキシ)ベンジル、3,3’−ビス(フェニルカルボキシ)ベンジル、4,4’−ビス(フェニルカルボキシ)ベンジル、2,2’−ジニトロベンジル、3,3’−ジニトロベンジル、4,4’−ジニトロベンジル、2,2’−ジシアノベンジル、3,3’−ジシアノベンジル、4,4’−ジシアノベンジル、2,2’−ジメチルチオベンジル、3,3’−ジメチルチオベンジル、4,4’−ジメチルチオベンジル、2,2’−ジフェニルチオベンジル、3,3’−ジフェニルチオベンジル、4,4’−ジフェニルチオベンジル、2,2’−ジフェニルアセチレニルベンジル、3,3’−ジフェニルアセチレニルベンジル、4,4’−ジフェニルアセチレニルベンジル、2,2’−ジスチリルベンジル、3,3’−ジスチリルベンジル、4,4’−ジスチリルベンジル、2,2’−ジフェニルメチルベンジル、3,3’−ジフェニルメチルベンジル、4,4’−ジフェニルメチルベンジル、2,2’−ジアミノベンジル、3,3’−ジアミノベンジル、4,4’−ジアミノベンジル、2,2’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、3,3’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、2,2’−ジブロモメチルベンジル、3,3’−ジブロモメチルベンジル、4,4’−ジブロモメチルベンジル、2,2’−ジメトキシメチルベンジル、3,3’−ジメトキシメチルベンジル、4,4’−ジメトキシメチルベンジル、2,2’−ビス(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、3,3’−ビス(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、4,4’−ビス(N−メチルアミノカルボニル)ベンジル、2,2’−ビス(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、3,3’−ビス(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、4,4’−ビス(N−フェニルアミノカルボニル)ベンジル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、4,4’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,4,3’,4’−ジメチレンジオキシベンジル、3,4,3’,4’−ジエチレンジオキシベンジル、3,4,3’,4’−ジエチレンジチオベンジル、2,2’,4,4’−テトラメチルベンジル、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンジル、2,2’,4,4’−テトラメトキシベンジル、2,2’,4,4’−テトラニトロベンジル、2,2’−ジメチル−3,3’−ジニトロベンジル、2,2’−ジメトキシ−3,3’−ジニトロベンジル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジメトキシベンジル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノベンジル、2,2’,3,3’−テトラクロロベンジル、3,3’,4,4’−テトラクロロベンジル、2,2’−ビス(ジフルオロメチル)−3,3’−ジメチルベンジル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジブロモベンジル、3,3’,5,5’−テトラメトキシベンジル、3,3’,5,5’−テトラフルオロベンジル、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサメトキシベンジル、4,4’−ビス(3−メチル−3−ヒドロキシ−1−ブチニル)ベンジル、4,4’−ジフェニルベンジル、4,4’−ビス(N−モルフォリニル)ベンジル、1,2−ビス(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)エタンジオン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロベンジル、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジメトキシベンジル、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジブロモベンジル、4−メチル−4’−クロロベンジル、2−クロロ−3’,4’−ジメトキシベンジル、2,4’−ジブロモベンジル、2,3,4,5,6−ペンタクロロ−2’,3’,4’,5’,6’ ペンタフルオロベンジルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、一般式(5)及び(6)に、同一の化合物を用いることもできる。
一般式(4)で表される7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル誘導体と一般式(5)及び(6)で表されるジアリールエタンジオン誘導体とを反応させるための温度は、触媒の有無及び使用する触媒によって異なるため一概には言えないが、例えば触媒を使用せず溶媒として酢酸を使用する場合、反応温度は、通常80〜120℃であり、好ましくは100〜120℃である。また触媒として、例えばZrCl4やヨウ素を使用した場合、反応温度は、触媒の存在下、20℃〜75℃とすることができる。
反応時間も、触媒の有無及び使用する触媒によって異なるため一概には言えないが、例えば触媒を使用せず溶媒として酢酸を使用する場合、反応温度は4〜32時間であり、好ましくは12〜24時間である。また、触媒として例えばZrCl4やヨウ素を使用した場合は、反応時間は、触媒存在下、1〜10時間とすることができる。
上記窒素化合物としては、例えば酢酸アンモニウム及びアンモニアなどが挙げられるが、中でも、加熱時に揮発しにくいという理由から、酢酸アンモニウムが好ましい。
上記反応の溶媒としては、原料を溶解できるものであれば特に制限なく使用可能である。このような溶媒としては、例えば酢酸、アセトニトリルのような極性溶媒が好ましい。
中間体の酸化反応は、例えば中間体を溶媒中に溶解させて溶液を調製し、この溶液に酸化剤を加えることによって行うことができる。
溶媒は、中間体を溶解できるものであれば特に制限なく使用可能である。このような溶媒としては、例えばベンゼン、塩化メチレンなどを用いることができる。
酸化剤は、中間体を酸化してフォトクロミック化合物を得ることができるものであれば特に制限なく使用可能である。このような酸化剤としては、例えばフェリシアン化カリウム、酸化鉛が挙げられるが、中でも、フェリシアン化カリウムが好ましい。これは、フェリシアン化カリウムの反応性がより高いためである。
尚、上記溶液には、酸化剤のほか、さらに塩基を添加する。このような塩基としては、例えば水酸化カリウムなどを用いることができる。
酸化反応は、不活性ガス雰囲気下、遮光条件下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気とするのは、酸素との反応抑制のためである。不活性ガスとしては、例えば窒素を用いることが可能である。遮光条件下で酸化反応を行うことが好ましいのは、得られるフォトクロミック化合物が紫外光によって消色体から着色体に変化することを防止するためである。
フォトクロミック化合物に照射する光は、フォトクロミック化合物の紫外光の波長域における最大吸収波長を含む波長域の光であればよい。
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、これらの例により何ら限定されるものではない。
7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル誘導体は7−ブロモ−2−ナフトールを出発原料として、ホモカップリング反応とブロモ基のホルミル化反応によって合成したものを用いた。また、7−ブロモ−2−ナフトール、塩化銅(II)、tert−ブチルアミン、炭酸カリウム、ヨードメタン、n−ブチルリチウムヘキサン溶液、ジアリールエタンジオン誘導体、酢酸アンモニウム、酢酸、アンモニア、ベンゼン、フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムは市販の試薬(7−ブロモ−2−ナフトールのみAldrich社製、その他は東京化成工業株式会社製)を用いた。反応、抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒および再結晶に用いた有機溶媒(メタノール、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド)は市販の試薬(和光純薬株式会社製)を用いた。
フォトクロミック化合物の発色濃度は、1.0×10−3Mに調整したベンゼン溶液に励起光として、UV−LED照射機UV−400(株式会社キーエンス製)の波長365nmのUV光を照射し、分光光度計MultiSpec−1500(株式会社島津製作所製)を用いて紫外可視吸収スペクトル分析による可視光線透過率を測定することで評価した。
<合成例1>
7−ブロモ−2−ヒドロキシナフタレン3.33gと塩化銅(II)3.99gとメタノール80mLを混合し、窒素下で15分撹拌した。tert−ブチルアミン9.00gをメタノール50mLに溶解させて、上記溶液に2時間かけて滴下して加えた。室温で1時間反応させた後に0℃に冷却し、6M塩酸水溶液40mLを加えた。有機層を酢酸エチルで抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン)と再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)で精製して2,2’−ジヒドロキシ−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビナフチルを3.61g得た。
7−ブロモ−2−ヒドロキシナフタレン3.33gと塩化銅(II)3.99gとメタノール80mLを混合し、窒素下で15分撹拌した。tert−ブチルアミン9.00gをメタノール50mLに溶解させて、上記溶液に2時間かけて滴下して加えた。室温で1時間反応させた後に0℃に冷却し、6M塩酸水溶液40mLを加えた。有機層を酢酸エチルで抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン)と再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)で精製して2,2’−ジヒドロキシ−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビナフチルを3.61g得た。
上記2,2’−ジヒドロキシ−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビナフチル790mgと炭酸カリウム1.66gとアセトニトリル30mLを混合し、窒素下80℃で加熱撹拌しながら、ヨードメタン850mgを添加したのち3時間撹拌した。室温に冷却後濃縮して水を加えて塩化メチレンで抽出し、再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)で精製して2,2’−ジメトキシ−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビナフチルを633mg得た。
上記2,2’−ジメトキシ−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビナフチルを380mgとTHF10mLを混合し窒素下−78℃で撹拌しながら1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液1.2mLを滴下し、その後1時間撹拌した。この溶液にジメチルホルムアミド0.5mLを滴下して加えたのちに室温で1時間撹拌した。水を加えて塩化メチレンで抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン)と再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)で精製して206mgの生成物を得た。
この生成物のNMRスペクトルを測定したところ、δ10.0ppm付近のアルデヒドに基づく2Hのピーク、δ7.5〜δ8.1ppm付近にアロマティックなプロトンに基づく6種類12Hのピーク、δ3.8ppm付近にメトキシ基に基づく6Hのピークを示した。
さらにMSスペクトルを測定したところ、370(m/z)に親イオンと思われるピークを示した。
前記の結果から単離生成物は、下記構造式で示される2,2’−ジメトキシ−7,7’−ジホルミル−1,1’−ビナフチル(中間体(A))であることを確認した。
<合成例2>
合成例1で合成した中間体(A)80mgとベンジル71mgと酢酸アンモニウム330mgと酢酸2.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水4.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(I)を89mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(I)の構造が得られたことが確認された。
合成例1で合成した中間体(A)80mgとベンジル71mgと酢酸アンモニウム330mgと酢酸2.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水4.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(I)を89mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(I)の構造が得られたことが確認された。
上記中間体(I)70mgをベンゼン15mLに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.4gと水酸化カリウム1.1gを15mLの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で3時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をベンゼンとヘキサンを用いて再結晶を行いフォトクロミック化合物[1]を43mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、フォトクロミック化合物[1]の構造が得られたことが確認された。
<合成例3>
合成例1で合成した中間体(A)80mgと4,4’−ジメトキシベンジル130mgと酢酸アンモニウム500mgと酢酸3.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水5.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(II)を155mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(II)の構造が得られたことが確認された。
合成例1で合成した中間体(A)80mgと4,4’−ジメトキシベンジル130mgと酢酸アンモニウム500mgと酢酸3.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水5.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(II)を155mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(II)の構造が得られたことが確認された。
上記中間体(II)80mgをベンゼン15mLに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.3gと水酸化カリウム1.0gを15mLの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で3時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をベンゼンとヘキサンを用いて再結晶を行いフォトクロミック化合物[2]を69mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、フォトクロミック化合物[2]の構造が得られたことが確認された。
<合成例4>
合成例1で合成した中間体(A)50mgと1,2−ジ(2−ナフチル)エタンジオン105mgと酢酸アンモニウム350mgと酢酸2.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水3.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(III)を155mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(III)の構造が得られたことが確認された。
合成例1で合成した中間体(A)50mgと1,2−ジ(2−ナフチル)エタンジオン105mgと酢酸アンモニウム350mgと酢酸2.0mLを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水3.0mLを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(III)を155mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、中間体(III)の構造が得られたことが確認された。
上記中間体(III)80mgをベンゼン15mLに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.4gと水酸化カリウム1.1gを15mLの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で3時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をベンゼンとヘキサンを用いて再結晶を行いフォトクロミック化合物[3]を59mg得た。得られた生成物について、合成例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析を行った。その結果、フォトクロミック化合物[3]の構造が得られたことが確認された。
<実施例1>
合成例2で合成したフォトクロミック化合物[1]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図1に示す。尚、図1において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図1に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は84%から56%まで減少した。
合成例2で合成したフォトクロミック化合物[1]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図1に示す。尚、図1において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図1に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は84%から56%まで減少した。
<実施例2>
合成例3で合成したフォトクロミック化合物[2]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図2に示す。尚、図2において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図2に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は83%から55%まで減少した。
合成例3で合成したフォトクロミック化合物[2]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図2に示す。尚、図2において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図2に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は83%から55%まで減少した。
<実施例3>
合成例4で合成したフォトクロミック化合物[3]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図3に示す。尚、図3において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図3に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は79%から49%まで減少した。
合成例4で合成したフォトクロミック化合物[3]を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図3に示す。尚、図3において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図3に示すように、励起光照射により発色体が生成して着色し、可視光線透過率は79%から49%まで減少した。
<比較例1>
パラシクロファン構造で架橋されたイミダゾールビラジカル構造を発色体とする市販のフォトクロミック化合物[4](pseudogem−Bis(diphenylimidazol)[2.2]paracyclophane、関東化学製)を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図4に示す。尚、図4において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図4に示すように、励起光照射により発色体が生成してわずかに着色し、可視光線透過率は93%から92%へとわずかに減少した。
パラシクロファン構造で架橋されたイミダゾールビラジカル構造を発色体とする市販のフォトクロミック化合物[4](pseudogem−Bis(diphenylimidazol)[2.2]paracyclophane、関東化学製)を用いて1.0×10−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ励起光を照射し、可視光透過率(380nm〜780nm)を観測する紫外可視吸収スペクトル分析を行った。結果を表1及び図4に示す。尚、図4において、破線は励起光を照射していない遮光状態(消色状態)を示し、実線は、励起光(UV)を照射している状態(発色状態)を示す。表1及び図4に示すように、励起光照射により発色体が生成してわずかに着色し、可視光線透過率は93%から92%へとわずかに減少した。
表1に示すように、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物のように7,7’位にイミダゾール環を導入した1,1’ビナフチル骨格を有する実施例のフォトクロミック化合物は、比較例であるパラシクロファン骨格を有する分子よりも発色体の可視光線透過率が低くなり、高い発色濃度を示した。
本発明により、イミダゾールビラジカル構造を発色体とするフォトクロミック分子の発色濃度を効果的に向上させる方法が示された。この方法によって分子を設計し、それを合成することで発色濃度が調節されたフォトクロミック分子の提供が可能である。このフォトクロミック分子は、光スイッチやサングラスまたは印刷材料などに使用することができる。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物。
(式中R1〜R8はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボキシレート基、アルキルカーボネート基、アルキルスルホネート基、ニトロ基、シアノ基又はアリール基を示す。Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。) - 下記一般式(2)で表される請求項1に記載のフォトクロミック化合物。
(式中R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。) - 下記一般式(3)で表される請求項1に記載のフォトクロミック化合物。
(式中Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して置換又は無置換のアリール基を示す。)
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