JP2013180712A - 車両用ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】可変シェードを駆動するのに必要な駆動力を確保し、かつ過熱を防止した小型のソレノイド型のアクチュエータを備えた車両用ランプを提供する。
【解決手段】光源2から出射した光の一部を遮光して所要の配光を得るための可変シェード5を備える車両用ランプであって、可変シェード5を駆動して配光を切り替えるためのソレノイド型のアクチュエータ6と、当該アクチュエータ6に通電する電流を制御するための電流制御装置10を備える。電流制御装置10はアクチュエータ6の始動時に通電する初期電流を、その後に通電する定常電流よりも大電流に制御する。初期電流によってアクチュエータ6を迅速に始動させ、その後は小電流で駆動することによりアクチュエータ6での発熱を抑制する。
【選択図】 図1
【解決手段】光源2から出射した光の一部を遮光して所要の配光を得るための可変シェード5を備える車両用ランプであって、可変シェード5を駆動して配光を切り替えるためのソレノイド型のアクチュエータ6と、当該アクチュエータ6に通電する電流を制御するための電流制御装置10を備える。電流制御装置10はアクチュエータ6の始動時に通電する初期電流を、その後に通電する定常電流よりも大電流に制御する。初期電流によってアクチュエータ6を迅速に始動させ、その後は小電流で駆動することによりアクチュエータ6での発熱を抑制する。
【選択図】 図1
Description
本発明は可変シェード(遮光板)を駆動して配光を切り替える車両用ランプに関し、特に可変シェードを駆動するための駆動機構にソレノイド型のアクチュエータを備える車両用ランプに関するものである。
車両用ランプでは、配光を切り替えるためにランプ内に可変シェードを配設し、この可変シェードを駆動することによって光源から出射された光の遮光領域を切り替えるようにしたランプが提供されている。このような可変シェードを駆動するためのアクチュエータとして、従来ではモータを駆動源とするアクチュエータやソレノイドを駆動源とするアクチュエータが提案されている。例えば、前者の例として特許文献1に記載の技術があり、後者の例として特許文献2に記載の技術がある。これらのアクチュエータには一長一短があり、例えば、モータ型のアクチュエータは可変シェードを駆動させるのに必要とされる駆動力を得る場合でも小型に構成できるが、モータを回転、停止させる際の電流変化に伴う電磁波ノイズが発生し、この電磁波ノイズが車両に搭載している電子機器、特に電子制御機器の誤作動を生じさせる原因となる。一方、ソレノイド型のアクチュエータは、これとは反対に電磁波ノイズは発生しないが、可変シェードを駆動させるのに必要な駆動力を得るためにはアクチュエータを構成しているコイルの径寸法や軸長寸法を長くし、あるいはコイルの巻数を多くする必要がありモータ型のアクチュエータに比較して大型化することになる。
このようなことから、近年の電子機器を多数備えた車両では電磁波ノイズを発生しないソレノイド型のアクチュエータを採用することが考えられている。しかし、近年の車両用ランプは、ランプの光源としてLED(発光ダイオード)等の発光素子が採用され、ランプの低消費電力化と小型化を図ることも行われているため、このような小型化を図ったランプでは、サイズ的に従来から提供されているソレノイド型のアクチュエータをランプ内に配設することが難しくなり、ランプユニットの小型化に対応してアクチュエータも小型のものを用いる必要がある。しかし、小型のソレノイド型のアクチュエータは大型のアクチュエータに比較して同じ駆動電流を供給した場合の駆動力が低く、可変シェードを迅速かつ確実に駆動させることが難しい。また、アクチュエータの小型化に伴ってソレノイドの熱容量も低くなるため、所定の駆動電流を供給したときの発熱量が大型のアクチュエータに比較して大きくなり、アクチュエータ自身を過熱し、ないしはランプユニットを過熱する要因になる。
本発明の目的は小型化を実現する一方で可変シェードを駆動するのに必要な駆動力を確保し、さらには省電力化を図るととともに過熱を防止したソレノイド型のアクチュエータを備えた車両用ランプを提供するものである。
本発明は、光源から出射した光の一部を遮光して所要の配光を得るための可変シェードを備える車両用ランプであって、可変シェードを駆動して配光を切り替えるためのソレノイド型のアクチュエータと、当該アクチュエータに通電する電流を制御するための電流制御装置を備えており、電流制御装置はアクチュエータの通電初期に通電する初期電流を、その後に通電する定常電流よりも大電流に制御するように構成されていることを特徴とする。
本発明における第1の形態として、電流制御装置は、通電する電流の基準電流を設定し、初期電流を当該基準電流よりも大電流に制御し、定常電流を前記基準電流に制御する構成とする。また、第2の形態として、電流制御装置は、通電する電流の基準電流を設定し、初期電流を当該基準電流に制御し、定常電流を前記基準電流よりも小電流に制御する構成とする。
本発明において、電流制御装置は、アクチュエータが所定のストロークまで動作する間は初期電流に制御し、当該ストロークを越えて動作するときに定常電流に制御するようにしてもよい。例えば、アクチュエータは通電されたときに可変シェードをロービーム配光からハイビーム配光に切り替えることが可能に構成され、電流制御装置は可変シェードがハイビーム配光に切り替えが完了するまで初期電流に制御し、ハイビーム配光に切り替えた後に定常電流に制御する構成とする。
本発明によれば、電流制御装置での電流制御に際しては、例えば、アクチュエータにハイビーム電圧を入力してからタイマで計時される所定時間の間はアクチュエータに低基準電流よりも大きな電流を通電することにより、小型のアクチュエータの始動時における駆動力を高めることができ、アクチュエータによる可変シェードの切り替えを迅速に行うことができる。また、タイマが所定時間を計時した後はアクチュエータには低基準電流に設定した定常電流を通電するが、この時点ではアクチュエータの駆動力は小さくて済むのでアーマチュアを確実に移動させることができる。さらに、始動の初期にはアクチュエータに大電流の初期電流を通電するが、始動後は直ちに定基準電流の定常電流を通電するのでアクチュエータでの省電力化が実現できるとともに、当該アクチュエータにおける発熱を抑制し、アクチュエータないしランプの過熱を未然に防止することが可能になる。
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車用ヘッドランプに用いるランプユニットに適用した実施形態のランプ光軸に沿った概略鉛直断面図である。ランプユニットLUはいわゆるプロジェクタ型ランプとして構成されており、ランプベース1上に光源としてのLED2が搭載されるとともに、このLED2を覆うように回転楕円面の一部で構成されたリフレクタ3が配設されている。また、前記ランプベース1の前端部には照射レンズ4が支持されている。さらに、前記ランプベース1には、前記リフレクタ3と照射レンズ4との間に可変シェード5と、この可変シェード5を駆動するためのアクチュエータ6が配設されている。このランプユニットLUは、LED2が発光したときに出射された光をリフレクタ3により前方に向けて反射し、当該反射光3ないしLED2から直接出射された光を照射レンズ4によりランプユニットLUの前方に向けて照射する。また、可変シェード5をアクチュエータ6によって駆動することによりLED2から出射した光の一部を遮光して当該照射レンズ4に入射する光束を制御し、照射する光の配光を制御する。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車用ヘッドランプに用いるランプユニットに適用した実施形態のランプ光軸に沿った概略鉛直断面図である。ランプユニットLUはいわゆるプロジェクタ型ランプとして構成されており、ランプベース1上に光源としてのLED2が搭載されるとともに、このLED2を覆うように回転楕円面の一部で構成されたリフレクタ3が配設されている。また、前記ランプベース1の前端部には照射レンズ4が支持されている。さらに、前記ランプベース1には、前記リフレクタ3と照射レンズ4との間に可変シェード5と、この可変シェード5を駆動するためのアクチュエータ6が配設されている。このランプユニットLUは、LED2が発光したときに出射された光をリフレクタ3により前方に向けて反射し、当該反射光3ないしLED2から直接出射された光を照射レンズ4によりランプユニットLUの前方に向けて照射する。また、可変シェード5をアクチュエータ6によって駆動することによりLED2から出射した光の一部を遮光して当該照射レンズ4に入射する光束を制御し、照射する光の配光を制御する。
前記可変シェード5は、図2(a)に概略外観図を示すように、ランプ光軸Lxと直交する左右方向に沿って前記ランプベース1の両側に立設した支持片11に両端支持された傾動軸51を有し、この傾動軸51には当該傾動軸51を中心にして所要の角度範囲で上下方向に傾動可能なシェード体52が支持されている。このシェード体52は前記LED2側に向けて凸状に湾曲した板状に形成され、その左右両端部において前記傾動軸51に支持されるとともに、その上縁52aはロービーム配光パターンのカットオフラインに対応した形状に形成されている。また、シェード体52の正面から見て右側の下縁部には下方に向けて突出されたカムピン53が一体に設けられており、このカムピン53は前記アクチュエータ6の一部に係合されている。
前記アクチュエータ6は、同じく図2(a)に外観を示しているが、ランプユニットLUの小型化に対応した小型のソレノイド型アクチュエータとして構成されている。このアクチュエータ6は、通電されたときに磁界を形成する図には表れないソレノイド(コイル)を一体的に内装したケーシング61と、このケーシング61内に一部が内装されるとともに、コイル状のスプリング63によって突出方向に付勢された比較的に太径の円柱状をした金属製のアーマチュア62とを備えている。このアーマチュア62は前記ソレノイドが非通電のときにはスプリング63の伸長力によって突出状態にあり、前記ソレノイドに通電されて磁力が発生したときには、当該磁力によってスプリング63の伸長力に抗してケーシング61の方向に吸引移動される構成である。前記アーマチュア62のケーシングから突出された端部の先端には板状のカム部64が一体に形成されており、このカム部64には所要形状のカム溝64aが板厚方向に貫通して形成されるとともに、このカム溝64aに前記シェード体52に設けられているカムピン53が貫通されている。カム溝64aは前記傾動軸51の軸方向に対して傾斜しており、アーマチュア62が軸移動されたときにはカム溝64aに係合したカムピン53はカム溝64aとの係合によるカム動作によって傾動軸51の軸回り方向に移動され、この移動に伴って前記シェード体52を傾動軸51を中心にして傾動させることになる。
したがって、このアクチュエータ6を備えた可変シェード5によれば、ソレノイドに非通電のときには、図2(a)のように、アーマチュア62はスプリング63の伸長力によって突出状態にあり、カム溝64aに係合しているカムピン53は鉛直下方に向けられた回動位置にある。そのため、これと一体のシェード体52は図1の実践のように起立状態にあり、LED2から出射された光の一部はシェード体52によって遮光され、ランプユニットLUの配光はシェード体52の上縁52aの形状に倣ったカットオフラインを有するロービーム配光となる。一方、ソレノイドに通電されると、図2(b)に示すように、アーマチュア62はスプリング63の伸長力に抗してケーシング61に向けた方向Sに吸引移動されるため、カム溝64aに従動されるカムピン53は前方向Mに移動され、これと一体のシェード体52は図1の鎖線のように傾動軸51を中心に後方に倒れる方向Rに傾動される。これにより、シェード体52はLED2から出射された光の光路から退避され、当該光を遮光しない傾動状態となり、ランプユニットLUの配光はハイビーム配光となる。
前記アクチュエータ6は、図1に示した電流制御装置10によりアクチュエータ6のソレノイドに通電される電流が制御されるように構成されており、その電流制御によって前記したようにアーマチュア62が吸引移動されてシェード体52を傾動制御し、可変シェード5によるランプユニットLUの配光の切り替えが行われる。ここで、図3は一般的なソレノイド型のアクチュエータの「移動ストローク−駆動力」の特性を示す図であり、アクチュエータに一定の電流を通電してアーマチュアを移動させたときのストローク長と、アーマチュアを駆動するのに必要な駆動力の相関を示している。この特性から判るように、アクチュエータに通電を開始してアーマチュアを初期位置から移動させ始めるときには大きい駆動力が必要であるが、アーマチュアがある程度のストローク長だけ移動した際にはその駆動力は小さくて済むことが判る。この駆動力はアーマチュアの初期位置からのストローク長のほぼ2乗に反比例しており、例えば、本実施形態において用いている小型のアクチュエータの場合には、アーマチュアを初期位置から1mm程度吸引移動する際の初期の駆動力は、アーマチュアが初期位置から3mm程度移動する際の駆動力の3〜4倍程度である。この駆動力はアクチュエータに通電する電流の大きさに比例しており、大きな駆動力を得るためには通電する電流量を大きくすることになる。
また、この種のソレノイド型のアクチュエータは、図示はしないが、通電する電流量にほぼ比例して発熱温度が高くなる特性を有している。ソレノイドのサイズ(コイル長、コイル径、コイル巻数等)が小さいアクチュエータでは、ソレノイドのサイズが大きいアクチュエータと同じ電流を通電した場合でも発熱温度が高くなる。そのため、実施形態のように小型に構成したアクチュエータでは、例えば、アーマチュアを初期移動させるのに必要とされる駆動力を得るために相対的に大きな電流を通電し続けたような場合には、当該電流によってソレノイドにおける発熱温度が増加し、アクチュエータ自身ないしランプユニットが過熱される要因になる。
本発明ではこのようなソレノイド型のアクチュエータの駆動力特性及び発熱特性に起因する問題を解消するために、前記ランプユニットLUに設けているアクチュエータ6の電流制御を行う前記電流制御装置10を改善したものである。すなわち、図4(a),(b)は本発明においてアクチュエータ6に通電する電流特性を示す図であり、横軸が時間、縦軸が通電する駆動電流である。ここでは、アクチュエータに通電する初期の駆動電流(以下、初期電流と称する)と、その後に通電する駆動電流(以下、定常電流と称する)とを比較したときに、初期電流の電流値を定常電流よりも相対的に大きな電流に制御している。このような電流制御を行うことにより、アクチュエータ6への通電初期の駆動力が大きくされてアーマチュア62が迅速かつ確実に移動されるようにする一方、アーマチュア62が所定ストローク移動された後は小電流でもアーマチュア62の移動を可能にすることが可能になり、同時にその際の発熱を抑制することができる。
このような電流制御装置における電流を制御する形態として、この実施形態では第1の電流制御形態と第2の電流制御形態を説明する。第1の電流制御形態は、図4(a)のように、定常電流を基準電流として設定し、初期電流を基準電流よりも大きな電流にアップ制御する形態である。また、第2の電流制御形態は、図4(b)のように、初期電流を基準電流として設定し、定常電流を基準電流よりも小さい電流にダウン制御する形態である。なお、これらの基準電流を判別するために、前者の定常電流を設定するための基準電流を低基準電流と称し、後者の初期電流を設定するための基準電流を高基準電流と称する。いずれの電流制御形態においても、前記したように、初期電流によってアクチュエータ6におけるアーマチュア62の始動を可能とし、その後は定常電流によってアーマチュアが継続して移動することを確保するとともに、この小電流に設定した定常電流によってアクチュエータ6での省電力化を図り、かつアクチュエータ6における過熱を防止することが可能になる。
(第1の電流制御形態)
図5は第1の電流制御形態、すなわちアクチュエータ6に通電する定常電流を低基準電流に設定し、初期電流を低基準電流よりも大電流にアップ制御する形態の電流制御装置10の回路図である。なお、以下の説明において、FETは電界効果トランジスタ、Qはバイポーラトランジスタ、Cはコンデンサ、Rは抵抗、Dはダイオードである。この実施形態の電流制御装置は、TM(タイマ)とCUC(カレントモードアップコンバータ)を備えており、図1に示したランプユニットLUをハイビーム配光に切り替える際にはHiV(ハイビーム電圧)が入力端INに入力される。このHiVとして、ここではバッテリ電圧をそのまま入力するように構成している。また、当該電流制御装置10の出力端OUTには前記アクチュエータ6が接続され、当該出力端OUTから出力する駆動電流を当該アクチュエータ6のソレノイドに通電してアクチュエータ6を駆動する。
図5は第1の電流制御形態、すなわちアクチュエータ6に通電する定常電流を低基準電流に設定し、初期電流を低基準電流よりも大電流にアップ制御する形態の電流制御装置10の回路図である。なお、以下の説明において、FETは電界効果トランジスタ、Qはバイポーラトランジスタ、Cはコンデンサ、Rは抵抗、Dはダイオードである。この実施形態の電流制御装置は、TM(タイマ)とCUC(カレントモードアップコンバータ)を備えており、図1に示したランプユニットLUをハイビーム配光に切り替える際にはHiV(ハイビーム電圧)が入力端INに入力される。このHiVとして、ここではバッテリ電圧をそのまま入力するように構成している。また、当該電流制御装置10の出力端OUTには前記アクチュエータ6が接続され、当該出力端OUTから出力する駆動電流を当該アクチュエータ6のソレノイドに通電してアクチュエータ6を駆動する。
前記TMはHiVが入力端INに入力された時点から所定の時間を計時し、所定時間を計時したときをタイムアップとする。前記CUCはタイムアップするまではHiVを経時的に蓄電しながら出力端OUTに初期電流を出力するが、タイムアップされた後には蓄電動作が停止されてHiVに準じた定常電流を出力する。これにより、ハイビーム配光に切り替えるためのHiVが電流制御装置10に入力されたときには、所定時間が経過するまでは蓄電した電圧に基づいて低基準電流よりも大きな初期電流がアクチュエータ6に通電されてアーマチュア62を大きな駆動力で吸引移動を開始させ、アーマチュア62が所定ストローク移動された後は低基準電流に設定された定常電流がアクチュエータ6に通電される。
この動作を図6のタイミング図を併せて参照して具体的に説明すると、前記CUCは、HiVが入力されるとOSC(発振器)が発振を開始し、その立ち上がりエッジでRS型のFF(フリップフロップ)をセットする(S信号)。FFがセットされると、FETがON状態になり、Rs(シャント抵抗)を通してL(インダクタ)に電流が流れ、当該Lに磁気エネルギが蓄電される。Rsの降下電圧(a電圧)が徐々に高くなり、CMP(コンパレータ)の比較電圧(d電圧)よりも高くなるとCMPの出力が反転し、FFがリセットされてFETがOFF状態になる。FETのOFFによりLに蓄電された電磁エネルギはC2に充電され、出力端OUTを通してアクチュエータ6に通電される。このFETのON,OFFを繰り返すことにより、C2の充電量が増大して行きアクチュエータ6に通電される電流が増加される。ここで、前記d電圧は、OP(オペアンプ)によってC2の電圧をR1とR2で分圧したb電圧と、Vref(基準電圧)との差(d電圧=Vref−b電圧)を増幅した値である。そのため、b電圧が低下してd電圧が大きくなるとFFのセット時間が長くなってFETのON時間が長くなり、Lの蓄電時間も長くなり出力端の電圧が増加し、出力される電流も増加する。
一方、HiVが入力されるのと同時に、TMではR11を介してC3が充電される。C3が所定電圧に充電されるまではQ1はOFFであり、前記したようにFETのON状態が保たれる。C3が所定電圧まで充電されるとタイムアップとなり、Q1がONし、FETのゲート電圧(c電圧)は0になる。そのため、以降においてFETは継続してOFF状態となり、Lへの蓄電が行われず、当該L及びD1,D2を通した定常電流が出力端OUTから出力されてアクチュエータ6に通電される。ここでTMにおいてQ1がONするまでの時間、すなわちタイマ時間をアクチュエータ6のアーマチュア62が所定ストローク始動するのに十分な時間に対応させていることは言うまでもなく、また定常電流は前記した低基準電流に設定されていることは言うまでもない。
この電流制御装置10は、アクチュエータ6にHiVを入力してからTMで計時される所定時間の間はアクチュエータ6に低基準電流よりも大きな電流を通電するので、アクチュエータ6の始動時における駆動力を高めてアーマチュア62を迅速に移動させ、ロービーム配光からハイビーム配光への切り替えを迅速に行うことができる。TMが所定時間を計時した後はアクチュエータ6には低基準電流に設定した定常電流を通電するが、この時点ではアクチュエータ6の駆動力は小さくて済むのでアーマチュア62を確実に移動させることができ、ハイビーム配光の切り替えを確実に行うことができるとともに、ハイビーム配光の状態を保持することができる。一方、始動の初期にはアクチュエータ6に大電流の初期電流を通電することになるが、始動後は直ちに低基準電流の定常電流を通電するのでアクチュエータ6での省電力化が実現できるとともに、当該アクチュエータ6における発熱を抑制し、当該アクチュエータないしランプユニットの過熱を未然に防止することが可能になる。特に、ハイビーム配光の状態が長時間にわたる場合でもアクチュエータ6の過熱を防止することが可能になる。
ここで第1の電流制御形態に基づく電流制御装置として、図7に示す構成の電流制御装置10Aとすることが可能である。同図において図5と等価な部分には同一符号を付してその説明は省略する。ここでは、TMのQ1のベースに接続するR11とC3を逆方向に接続するとともに、当該Q1のコレクタをCUCのb電圧の端子に接続する。また、入力端INと出力端OUTとの間、ここではD2とLとの間にフューズFuを介挿する。このフューズFuは既存の電子部品であるフューズを用いてもよいが、例えばLにつながるプリント配線の配線パターンを一部細く形成して電流容量を低減することによっても構成できる。
この電流制御装置10Aの基本的な動作は図5に示した電流制御装置10と同じであるが、図8のタイミング図を併せて参照すると、TMにおいてC3が充電されるまではQ1はONであり、b電圧は出力端OUTの電圧をR1とR2//R6で分圧した電圧である。そのためb電圧は低く、d電圧は高くなりFFのセット時間、すなわちFETのON時間が長くなってLでの蓄電により定常電流、すなわち定基準電流よりも大きな初期電流が得られる。TMにおいてC3が充電されるとタイムアップとなり、Q1はOFFとなり、b電圧は出力端OUTの電圧をR1とR2で分圧した電圧となるのでb電圧が増加し、d電圧が減少する。そのため、FFのセット時間が短くなってFETのON時間も短くなり、Lの蓄電が低下してC2の充電電圧が低減され、定基準電流である定常電流が得られる。なお、このときC2の充電電圧の低下に伴ってb電圧はタイマアップした後は幾分低下することになる。また、この状態ではRsによるa電圧とd電圧に基づいてFFは継続して動作しているので、HiVに変動が生じている場合でも、この変動を相殺して定常電流を一定レベルの駆動電流、すなわち低基準電流に制御することができ、アクチュエータ6を所定位置に安定状態に駆動制御することができ、可変シェード5が変動されるようなこともない。
また、フューズFuを介挿することにより、出力端OUTに接続されるアクチュエータ6での短絡や、電流制御装置10Aの内部での出力端につながる配線での短絡や、電流制御装置10Aを構成するFET等の電子部品のショートモードの故障によって過電流が生じたときにFuを焼損させることで電流制御装置10Aないしはアクチュエータ6の焼損を未然に防止することができる。このFuは図5に示した電流制御装置10に設けても良い。
(第2の電流制御形態)
図9は第2の電流制御形態、すなわちアクチュエータ9への通電の初期電流を高基準電流に設定し、その後に通電する定常電流を高基準電流よりも小電流にダウン制御する形態の電流制御装置の回路図である。この電流制御装置10Bは、いわゆる電流クランプ回路として構成されており、Q1のVBEがRsの降下電圧に等しく構成されている。図10のタイミング図を併せて参照すると、HiVが入力されると、Rd及びReを通してCが充電されるまでQ2がONし、a電圧は0となりQ1のベース入力(b電圧)はRsの電圧降下をRaとRbで分圧した電圧となる。そのため、Q1はOFFであり、FETのゲート電圧は高くソース・ドレイン間は低抵抗となり、HiVによってFETを通して流れる電流は予め設定した高基準電流の初期電流となり、出力端OUTからアクチュエータ6に通電される。Cが充電されるとQ2がOFFし、Q1のベース入力(b電圧)はRsの降下電圧となり、Q1はONされる。そのため、FETのゲート電圧が低下してソース・ドレイン間は高抵抗となり、FETを通して流れる電流は予め設定した高基準電流よりも低電流の定常電流として出力端OUTからアクチュエータ6に通電される。この間、Q1はRsの降下電圧に基づいてFETのゲート電圧を制御するので、HiVの変動にかかわらず一定の定常電流を通電することができ、アクチュエータ6における変動、すなわち可変シェード5での変動を防止することもできる。なお、HiVが入力されなくなると、次の動作に備えてCの電荷をRe,Rfを介して急速放電する。
図9は第2の電流制御形態、すなわちアクチュエータ9への通電の初期電流を高基準電流に設定し、その後に通電する定常電流を高基準電流よりも小電流にダウン制御する形態の電流制御装置の回路図である。この電流制御装置10Bは、いわゆる電流クランプ回路として構成されており、Q1のVBEがRsの降下電圧に等しく構成されている。図10のタイミング図を併せて参照すると、HiVが入力されると、Rd及びReを通してCが充電されるまでQ2がONし、a電圧は0となりQ1のベース入力(b電圧)はRsの電圧降下をRaとRbで分圧した電圧となる。そのため、Q1はOFFであり、FETのゲート電圧は高くソース・ドレイン間は低抵抗となり、HiVによってFETを通して流れる電流は予め設定した高基準電流の初期電流となり、出力端OUTからアクチュエータ6に通電される。Cが充電されるとQ2がOFFし、Q1のベース入力(b電圧)はRsの降下電圧となり、Q1はONされる。そのため、FETのゲート電圧が低下してソース・ドレイン間は高抵抗となり、FETを通して流れる電流は予め設定した高基準電流よりも低電流の定常電流として出力端OUTからアクチュエータ6に通電される。この間、Q1はRsの降下電圧に基づいてFETのゲート電圧を制御するので、HiVの変動にかかわらず一定の定常電流を通電することができ、アクチュエータ6における変動、すなわち可変シェード5での変動を防止することもできる。なお、HiVが入力されなくなると、次の動作に備えてCの電荷をRe,Rfを介して急速放電する。
この電流制御装置10Bは、アクチュエータ6にHiVを入力してから所定時間の間はアクチュエータ6に高基準電流に設定した初期電流を通電するので、アクチュエータ6の始動時における駆動力を確保することができ、アーマチュア62を迅速に移動させ、可変シェード5によってハイビーム配光への切り替えを迅速に行うことができる。所定時間を計時した後はアクチュエータ6には高基準電流よりも低く設定した定常電流を通電するが、この時点ではアクチュエータ6の駆動力は小さくて済むのでアーマチュア62を確実に移動させることができ、ハイビーム配光に確実に切り替えるとともに、ハイビーム配光の状態を保持することができる。このように、アクチュエータ6の始動後は直ちに高基準電流よりも小さい定常電流を通電するのでアクチュエータ6における省電力化を図るとともに、アクチュエータ6の発熱を抑制して当該アクチュエータないしランプユニットの過熱を未然に防止することが可能になる。
図11は第2の電流制御形態の電流制御装置10Cの他の例の回路図であり、ここではいわゆるPWM(パルス幅変調)方式の電流チョッパ回路として構成した例である。図12のタイミング図を併せて参照すると、HiVをR1とR2で分圧したa電圧と、ZD(定電圧ダイオード)による基準電圧(b電圧)をOP1に入力して両者の差をとり、HiVをレベル変換したc電圧を得る。TM(タイマ)は初期電流を通電する時間を計時し、計時するまではQ1をオンし、計時後はQ1をOFFすることで前記c電圧を0レベルを基準とした比較電圧としてのd電圧を得る。また、OSC(鋸波発振器)は鋸波状のe電圧を発生し、OP2においてd電圧と比較することによりPWM変調されたf電圧を出力する。INT(傾き設定回路)はCとR7とで構成される積分回路からなり、これらCとR7とで設定される時定数に基づいてf電圧のパルス波形における立ち上がりと立ち下がりの傾斜を緩和したg信号を出力し、FETのゲートに入力する。これにより、FETはハイビーム電圧の電圧レベルに対応したパルス電圧によりソース・ドレイン間の導電性が制御され、対応した駆動電流を出力端OUTからアクチュエータ6に通電する。
この電流制御装置10Cでは、TMが計時している初期の間はd信号を0レベルとしているので、f電圧ないしg電圧は100%のデューティ比のパルス電圧となり、アクチュエータ6に通電される駆動電流は最大の電流、すなわち高基準電流に設定された初期電流となる。TMの計時が完了した後はf電圧ないしg電圧はHiVのレベルに対応したデューティ比のパルス電圧となるため、アクチュエータ6に通電される駆動電流は当該デューティ比に対応した電流、すなわち初期電流よりも抑圧された定常電流となる。
したがって、アクチュエータ6にHiVを入力してから所定時間の間はアクチュエータ6に高基準電流に設定した初期電流を通電するので、アクチュエータ6の始動時における駆動力を確保することができ、アーマチュア62を迅速に移動させ、ハイビーム配光への切り替えを迅速に行うことができる。所定時間を計時した後はアクチュエータ6には高基準電流よりも低く設定した定常電流を通電してアーマチュア62を確実に移動させ、ハイビーム配光への切り替えを確実に行うとともに、ハイビーム配光の状態を保持することができる。このように、アクチュエータ6の始動後は直ちに高基準電流よりも小さい定常電流を通電するのでアクチュエータ6における省電力化を図るとともに、アクチュエータ6の発熱を抑制して当該アクチュエータないしランプユニットの過熱を未然に防止することが可能になる。
また、この電流制御装置10Cでは、INTによりg電圧のパルス波形の立ち上がりと立ち下がりの傾斜が緩和されているので、これらの立ち上がりと立ち下がり時に発生するノイズを抑圧し、車両に搭載している電子制御機器等における誤動作や安定性の低下を未然に防止することができる。なお、立ち上がりと立ち下がりの傾斜を緩和することにより、いわゆるスイッチング損失が生じるが、ここではパルス周波数が低周波数領域での処理であるため無視することができる。
この第2の電流制御形態を実現する図9及び図11に示した電流制御装置10B,10Cにおいても入力端INと出力端OUTとの間の経路に図7に示した電流制御装置10Aに設けたようなフューズFuを介挿しておくことにより電流制御装置内での過電流の発生を防止し、かつアクチュエータ6への過電流の通電を未然に防止することができる。
ここで、以上説明した電子制御装置では、タイマにより設定される時間の間に初期電流を通電し、その後に定常電流を通電しているが、実際の適用に際してはアクチュエータ6によって可変シェード5が完全にハイビーム配光の状態にまで傾動されるまでの時間の間、初期電流を通電するように構成してもよい。すなわち、可変シェード5が完全に傾動動作されるまでの間は初期電流を通電し、その後に可変シェード5が傾動された位置を保持するための間に定常電流を通電するように構成する。このようにすることで、可変シェード5を確実に傾動させることができ、またハイビーム配光の状態が長時間継続する場合でもアクチュエータ6に通電する電流を定常電流に制御し、省電力化と過熱防止を図ることができる。
以上説明した第1及び第2の電流制御形態を実現するための電流制御装置は本発明を実現するための数例を示したものに過ぎず、例えばマイクロコンピュータでのソフト処理によって初期電流と定常電流を生成するように構成することも可能である。また、具体的な説明は省略するが、第1及び第2の電流制御形態の他に、例えば第3の電流制御形態として、中レベルに設定した中基準電流を基準にして、初期電流を当該中基準電流よりも大電流に制御し、定常電流を当該中基準電流よりも小電流に制御するように構成した電流制御形態とすることも可能である。
また、本発明が適用可能な可変シェードは前記した構成に限られるものではなく、例えば図示は省略するが2枚以上の複数のシェード板を複数の独立したソレノイド型のアクチュエータによりそれぞれ駆動させるようにし、これら複数のアクチュエータを個別に電流制御して各シェード板を選択的あるいは同時に傾動させることによって配光を切り替える構成の可変シェードであってもよい。このような場合でも各アクチュエータを相対的に大電流の初期電流と、相対的に小電流の定常電流とで制御することにより、当該アクチュエータの小型化及び省電力化が実現できるとともにアクチュエータの過熱を防止することができる。
また、本発明における可変シェードはロービーム配光とハイビーム配光を切り替えるための可変シェードに限られるものではなく、一の配光から他の配光に切り替える際に駆動される可変シェードであれば当該可変シェードを駆動するためのソレノイド型のアクチュエータ及び電流制御装置に適用することができる。
本発明は可変シェードを駆動するための駆動機構にソレノイド型のアクチュエータを備える車両用ランプに採用することができる。
1 ランプベース
2 光源(LED)
3 リフレクタ
4 照射レンズ
5 可変シェード
6 ソレノイド型のアクチュエータ
10,10A〜10C 電流制御装置
51 傾動軸
52 シェード体
53 カムピン
61 ケーシング(ソレノイド)
62 アーマチュア
63 スプリング
64 カム部
64a カム溝
LU ランプユニット
2 光源(LED)
3 リフレクタ
4 照射レンズ
5 可変シェード
6 ソレノイド型のアクチュエータ
10,10A〜10C 電流制御装置
51 傾動軸
52 シェード体
53 カムピン
61 ケーシング(ソレノイド)
62 アーマチュア
63 スプリング
64 カム部
64a カム溝
LU ランプユニット
Claims (8)
- 光源から出射した光の一部を遮光して所要の配光を得るための可変シェードを備える車両用ランプであって、前記可変シェードを駆動して配光を切り替えるためのソレノイド型のアクチュエータと、前記アクチュエータに通電する電流を制御するための電流制御装置を備え、前記電流制御装置は前記アクチュエータの通電初期に通電する初期電流を、その後に通電する定常電流よりも大電流に制御するように構成されていることを特徴とする車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、通電する電流の基準電流を設定し、初期電流を当該基準電流よりも大電流に制御し、定常電流を前記基準電流に制御する構成であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、入力信号に基づいて生成される定常電流を大電流の初期電流に変換するカレントモードアップコンバータと、前記入力信号が入力されてから所定時間の経過後に当該カレントモードアップコンバータの機能を停止または抑制するタイマとを備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、通電する電流の基準電流を設定し、初期電流を当該基準電流に制御し、定常電流を前記基準電流よりも小電流に制御する構成であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、入力信号に基づいて生成される初期電流をそれよりも小電流の定常電流に変換する電流クランプ回路と、前記入力信号が入力されてから所定時間の経過後に当該電流クランプ回路を始動させるタイマとを備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、入力信号に基づいて生成される初期電流と定常電流のパルス幅を制御する電流チョッパ回路と、前記入力信号が入力されてから所定時間の間は前記初期電流のパルス幅を定常電流のパルス幅よりも大幅に制御するタイマとを備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用ランプ。
- 前記電流制御装置は、前記アクチュエータが所定のストロークまで動作する間は初期電流に制御し、当該ストロークを越えて動作するときに定常電流に制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用ランプ。
- 前記アクチュエータは通電されたときに前記可変シェードをロービーム配光からハイビーム配光に切り替えることが可能に構成され、前記電流制御装置は前記可変シェードがハイビーム配光に切り替えが完了するまで初期電流に制御し、ハイビーム配光に切り替えた後に定常電流に制御することを特徴とする請求項7に記載の車両用ランプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012047480A JP2013180712A (ja) | 2012-03-05 | 2012-03-05 | 車両用ランプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012047480A JP2013180712A (ja) | 2012-03-05 | 2012-03-05 | 車両用ランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2013180712A true JP2013180712A (ja) | 2013-09-12 |
Family
ID=49271680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012047480A Pending JP2013180712A (ja) | 2012-03-05 | 2012-03-05 | 車両用ランプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013180712A (ja) |
-
2012
- 2012-03-05 JP JP2012047480A patent/JP2013180712A/ja active Pending
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