JP2013177756A - ダブルスキンカーテンウォールおよび空調システム - Google Patents

ダブルスキンカーテンウォールおよび空調システム Download PDF

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Abstract

【課題】十分な省エネルギー効果が得られるダブルスキンカーテンウォールと、それを利用する空調システムを提供する。
【解決手段】外側面材2と内側面材3との間に中空層4を有し、中空層の最下部および最上部にそれぞれ下部換気口5および上部換気口6を設ける。窓部の位置に日射遮蔽材9を設ける。各階層に室内と屋外との間で換気を行うための室内換気機構10を設ける。各階層に室内空気を中空層に対して排気するための排気機構を設置しても良い。空調設備による導入外気の少なくとも一部をダブルスキンカーテンウォール1の中空層を介して導入可能とし、排気設備による排気の少なくとも一部をダブルスキンカーテンウォールの中空層に排気可能とし、空調設備と排気設備および室内換気機構10とによって冷暖房運転および外気冷房運転を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は建物の外壁面を構成するダブルスキンカーテンウォール、およびそのダブルスキンカーテンウォールによって外壁面を構成した建物に適用する空調システムに関する。
建物の外壁面を構成するダブルスキンカーテンウォールとして、特許文献1に示すものが提案されている。
これは、外側面材と内側面材との間に空気が上下方向に流通する中空層を設けて煙突効果により換気可能とし、かつその中空層を利用して室内に対する自然換気を可能としたものである。
特開2011−219989号公報
しかし、特許文献1に示されるダブルスキンカーテンウォールは、中空層を複数の階層毎に区画しているために必ずしも十分な煙突効果が生じないし、それ自体に格別の遮熱対策がなされていないことから、必ずしも十分な省エネルギー効果を期待できない。
すなわち、上記従来のダブルスキンカーテンウォールでは、日射が外側面材および内側面材としてのガラス面を透過してそのまま室内に入射してしまうから、それ自体では日射熱取得を軽減できない。
また、日射により中空層内の空気が高温となるばかりでなく、ダブルスキンカーテンウォール自体(つまりダブルスキンカーテンウォールの構成要素である外側面材や内側面材としてのガラス面やそれらを取り付けるためのサッシ等の全体)が過度に高温になり、そのため中空層内の高温空気が内部換気口を通して室内に流入したり、外部換気口のダクトを通して室内に導入される外気が高温に加熱されてしまい、省エネルギー効果が得られないばかりか冷房負荷が増大することも想定される。
上記事情に鑑み、本発明は特許文献1に示されるダブルスキンカーテンウォールをさらに改良して十分な省エネルギー効果が得られる有効適切なダブルスキンカーテンウォールを実現し、併せてそのダブルスキンカーテンウォールを備えた建物に適用するための有効適切な空調システムを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、多層の建物の外壁部に各階層に亘って取り付けられて該建物の外壁面を構成するダブルスキンカーテンウォールであって、外側面材と、該外側面材の室内側に間隔をおいて設けられた内側面材とを備え、前記外側面材と前記内側面材との間に上下方向に連通する中空層を設けて、該中空層の最下部および最上部にそれぞれ屋外に開口する下部換気口および上部換気口を設け、前記外側面材および前記内側面材の少なくとも一部をガラス材による窓部とするとともに、前記中空層内には前記窓部の位置に日射遮蔽材を設け、前記各階層のそれぞれに対して、各階層における室内と屋外との間で換気を行うための室内換気機構を設けるとともに、該室内換気機構を、前記外側面材に開口する外部換気口と、室内に開口する内部換気口と、前記中空層内を横断して設置されて前記外部換気口と前記内部換気口とを接続する換気ダクトにより構成してなることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のダブルスキンカーテンウォールであって、前記各階層のそれぞれに対して、各階層における室内空気を前記中空層に対して排気するための排気機構を設置してなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のダブルスキンカーテンウォールを備えた建物に適用される空調システムであって、各階層に対して外気を取り入れつつ冷暖房運転を行うための空調設備と、前記各階層から排気を行うための排気設備を具備し、前記空調設備は、導入外気の少なくとも一部を前記ダブルスキンカーテンウォールにおける前記中空層を介して導入可能に構成され、前記排気設備は、室内からの排気の少なくとも一部を前記ダブルスキンカーテンウォールにおける前記中空層に対して排気可能に構成され、前記空調設備と前記排気設備および前記ダブルスキンカーテンウォールに設置されている前記室内換気機構とによって、前記各階層に対する冷暖房運転および外気冷房運転が可能に構成されてなることを特徴とする。
本発明のダブルスキンカーテンウォールおよびそれを利用した空調システムによれば、外壁面および窓面からの熱負荷を大幅に低減でき、冷房および暖房エネルギー消費量を削減できる。特に、夏期においては日射遮蔽材により窓部からの日射取得を十分に削減することができる。
また、中間期においては外気冷房運転を行うことにより冷房時間を短縮し、冷房エネルギー消費量を削減できるし、ダブルスキンカーテンウォールに組み込んだ室内換気機構を併用することで外気冷房運転時の電力消費量を削減できる。
さらに、冬期の空調用取り入れ外気の外気負荷を削減できるので、暖房エネルギー消費量を削減できる。
本発明のダブルスキンカーテンウォールの第1実施形態を示す図である。 同、シーズン毎の運転パターンの例を示す図である。 同、比較例(ボイドにより換気を行う場合)を示す図である。 同、変形例(室内換気機構における換気ダクトの構成例)を示す要部拡大図である。 本発明のダブルスキンカーテンウォールの第2実施形態(排気機構を設置した場合の構成例)を示す要部拡大図である。 同、運転パターンの例を示す図である。 同、シーズン毎の運転パターンの例を示す図である。 本発明の空調システムの実施形態を示す図である。
以下、本発明のダブルスキンカーテンウォールおよび空調システムの実施形態を説明する。
図1は本発明のダブルスキンカーテンウォール1の基本的な第1実施形態を示すものである。本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1は、多層の建物の外壁部に各階層に亘って取り付けられてこの建物の外壁面を構成するもので、基本的には特許文献1に示されるものと同様に、外側面材2と、外側面材2の室内側に間隔をおいて設けられた内側面材3とを備えて、それら外側面材2と内側面材3との間に上下方向に連通して空気が流通可能な中空層4を有するものである。
上述した特許文献1に示されるダブルスキンカーテンウォールでは、中空層を複数の階層毎に区画して各区画毎に下換気口と上換気口を設けていたのであるが、本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1ではそのような区画を設けず、中空層4全体の最下部および最上部のみにそれぞれ屋外に開口する下部換気口5および上部換気口6を設けている。
したがって本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1においては中空層4全体に煙突効果が生じ、最下部の下部換気口5から外気が中空層4内に流入して最上部の上部換気口6から外部に流出するという、中空層4の全体に亘る一連の上昇気流が確実に形成され、これにより中空層4内が自ずと十分に換気されて夏期に日射を受けても中空層4内の空気やダブルスキンカーテンウォール1自体が過度に高温になることが抑制されるようになっている。
なお、下部換気口5や上部換気口6の双方もしくはいずれか一方に適宜の開閉機構を設けることも好ましく、その開閉機構には開度調整機構を設けることも好ましい。それにより、必要に応じて下部換気口5や上部換気口6を閉じて中空層4内の換気を停止したり、あるいは換気量を適切に調整することが可能である。
また、本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1では、外側面材2および内側面材3の少なくとも一部は採光可能なガラス材による窓部7とされている。
図示例の場合には、各階層の室内に面する範囲が透明なガラス材による窓部7とされているとともに、上下の窓部7の間は腰部8とされている。腰部8の素材は任意であるが、ダブルスキンカーテンウォール1の全体を全面的にガラスカーテンウォールとする場合は腰部8も透明ないし不透明なガラス材により形成すれば良い。
そして、ダブルスキンカーテンウォール1における中空層4内の窓部7の位置には、たとえばブラインドからなる日射遮蔽材9が設けられていて、必要に応じてその日射遮蔽材9を操作することにより窓部7を通して室内に入射する日射量を制御可能とされている。
なお、少なくとも内側面材3に設けられているガラス材としては、ペアガラスや、熱線反射膜を形成したLow-Eガラス等を用いることが好ましく、それにより窓部7における断熱性能をさらに向上させることが可能である。
さらに、本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1には、各階層のそれぞれに対して室内と屋外との間で直接的に換気を行うための室内換気機構10が設けられている。
本実施形態における室内換気機構10は、外側面材2に開口する外部換気口11と、室内の天井面に開口する内部換気口12と、中空層4内を横断する状態で設置されてそれら外部換気口11と内部換気口12とを接続する換気ダクト13により構成されていて、この室内換気機構10によって必要に応じて外気が直接的に室内に取り入れられ、あるいは逆に室内空気が屋外に直接的に排気されるようになっている。
このような室内換気機構10は外壁面の各面に複数設けることが好ましく、それにより風向や風力等の気象条件に応じていずれかの室内換気機構10に外気の流入あるいは室内空気の流出が生じ、それによる自然換気が効果的に生じる。
また、室内換気機構10を通して室内への外気の流入量を確保するためには、建物内にボイド空間(たとえば後述するボイド40)を設けておいて、そこで生じる煙突効果を利用して室内換気機構10を通して外気を建物内に誘因することも好ましい。
なお、本実施形態の室内換気機構10は、外部換気口11と内部換気口12とを換気ダクト13により接続した構成であることから、夏期や中間期において中空層4内の空気が日射により高温になったとしてもその高温空気が室内に直接流入してしまうことはない。しかし、換気ダクト13を通して室内に導入される外気が換気ダクト13を通過する際に中空層4内の高温空気により加熱されてしまう可能性はあるので、それを防止するためには必要に応じて換気ダクト13を断熱材により被覆しておくことが好ましい。
また、室内換気機構10には適宜の開閉機構を設けることが好ましく、その開閉機構には開度調整機構を設けることも好ましい。それにより必要に応じてその開閉機構を操作することで室内換気機構10による換気を必要時にのみ自由に行うことが可能であって、換気が不要であれば開閉機構を閉じてしまえば良いし、必要に応じて換気量を適切に調整することも可能となる。
本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1によれば、上記のように中空層4の最下部にのみ下部換気口5を設けるとともに最上部にのみ上部換気口6を設けるので、中空層4内の全体に煙突効果による上昇流が確実に生じて自ずと十分な換気がなされるから、日射により中空層4内の空気が過度に高温になったり、ダブルスキンカーテンウォール1自体が過度に高温になることもない。
したがって、本実施形態のダブルスキンカーテンウォール1によれば、特許文献1に示される従来のダブルスキンカーテンウォールに比べて十分な省エネルギー効果が得られるし、下部換気口5と上部換気口6をそれぞれ1個所ずつ設ければ良いので施工コストを削減できる。
また、ダブルスキンカーテンウォール1内には窓部7に面してブラインド等の日射遮蔽材9を組み込んでいるので、ダブルスキンカーテンウォール1自体で室内への日射制御が可能であり、したがってその点においても省エネルギー効果に優れるし、室内に他の日射制御手段を設ける必要もない。
さらに、各階層に室内換気機構10を設けているので、中間期等においてはその室内換気機構10による自然換気が可能であるし、その室内換気機構10は中空層4を介することなく室内と屋外との間で直接的に換気を行うものであるので、中間期に中空層4内の空気が高温になったとしても高温空気がそのまま室内に導入されてしまうこともない。
図2は本第1実施形態のダブルスキンカーテンウォール1を利用したシーズン毎の空調運転パターンの例を模式的に示すものである。なお、図2では日射遮蔽材9の図示は省略している。
図2に示すように、夏期の冷房時には下部換気口5および上部換気口6を開くことにより、中空層4内の熱気を効率的に排出することができ、それにより中空層4内及びダブルスキンカーテンウォール1全体が過度に高温になることを防止できる。
冬期の暖房時には下部換気口5および上部換気口6を閉じることにより、ダブルスキンカーテンウォール1全体を実質的に密封してその断熱性を向上させることができる。
中間期においては、室内換気機構10を利用した自然換気が可能である。この場合、図示しているように建物内にボイド40を設けておけば、ボイド40に生じる煙突効果によって室内空気が排気され、それに伴い室内換気機構10を通して外気が建物内に誘因されるので、より効果的な自然換気が可能である。
なお、従来より建物内部にボイドを設けて自然換気の排気に利用することは行われているが、単にボイドのみを設けることのみでは十分な自然換気は期待できない。
すなわち、図3に示すように、ダブルスキンカーテンウォール1を設けることなく単にボイド40を設けた場合においては、外気温度θ0、室内温度θR、ボイド内温度θBとし、外気密度ρ0、室内密度ρR、ボイド内密度ρBとすると、それらの間には
θ0<θB≦θR 、 ρ0<ρB≦ρR なる関係が生じ、外気、室内、ボイド内の圧力勾配はそれぞれ図中に示す状態となる。
そのため、外気と室内との圧力差ΔP1、ボイド内と室内の圧力差ΔP2とすると、上層階では ΔP1+ΔP2≦0 となる階が生じてしまい、風力を期待できない状態では有効な自然換気を行うことができない。
したがって、ダブルスキンカーテンウォール1を設けることなく単にボイド40を設けることは有効ではなく、上記のようにダブルスキンカーテンウォール1を設けたうえでさらにボイド40を設けることが有効である。
以上で本発明の基本的な第1実施形態を説明したが、本発明においては次のような変形例が考えられる。
上記実施形態のダブルスキンカーテンウォール1では、各階層に設置する室内換気機構10の構成を、図1に模式的に示したように、外部換気口11を外側面材2に対して直接的に開口するように設置するとともに、換気ダクト13を単に中空層4を横断するようにストレートに設けたのであるが、あるいはたとえば図4に示すような変形例も考えられる。
これは、外部換気口11を横長のスリット状としてその内側に換気ダクト13の一部となるチャンバ13aを設け、そのチャンバ13aに対して本来の換気ダクト13を接続するようにしたものであって、外部換気口11の開口面積を大きくして換気量を十分に確保することが可能となる。
また、本発明のダブルスキンカーテンウォール1では、上記第1実施形態のように室内と屋外との間で換気を行うための室内換気機構10を設けることに加えて、図5に示す第2実施形態のように、室内からダブルスキンカーテンウォール1の中空層4に対して排気するための排気機構15を設けることも好ましい。
そのような排気機構15を設ける場合には、その排気機構15にも適宜の開閉機構や開度調整機構を設けることが好ましく、それにより室内から中空層4への排気を必要時にのみ自由に行うことが可能であるし、排気量を適切に調整することも可能である。
図6は排気機構15を設けた第2実施形態のダブルスキンカーテンウォール1を利用して自然換気を行う場合の運転パターンを示す。
この場合、室内換気機構10および排気機構15の双方を開いて、室内換気機構10により外気を取り入れ、排気機構15で排気を行う。
この場合においては、中空層4の上部換気口6の開口面積を中空層4の断面積より大きく開けることで、上部換気口6での圧力損失を極小にすることが好ましい。また、下部換気口5は閉じるか、もしくは僅かに開ける程度として、下部換気口5での圧力損失を極大にすることが好ましい。
また、上部換気口6は、外側面材2を上方に立ち上げて形成した屋上冠壁2aの下部内側に設置しておいて、負の風圧力を受けるようにすることが好ましい。
この場合、外気温度θ0、室内温度θR、中空層内の温度θとし、外気密度ρ0、室内密度ρR、中空層内の密度ρとすると、それらの間には
θ0<θR<θ、 ρ0>ρR>ρ の関係が生じ、図中に示すような圧力勾配が生じる。
そして、外気と室内との圧力差ΔP1、室内と中空層4の圧力差ΔP2とすると、全ての階で ΔP1+ΔP2>0 となり、したがって室内換気機構10から室内に外気が流入し、排気機構15から排気されるという自然換気が行われる。
さらに、風が吹き、上部換気口6に負の風圧ΔP3がかかると(ΔP3<0)、
ΔP1+ΔP2−ΔP3≫0 となるから、自然換気風量を多く取ることができる。
本第2実施形態のダブルスキンカーテンウォール1では、第1実施形態のダブルスキンカーテンウォール1による図2に示したような基本的な運転パターンに加えて、図7に示すようなシーズン毎の空調運転パターンも可能である。なお、図7では日射遮蔽材9の図示は省略している。
すなわち、夏期の冷房時においては、ダブルスキンカーテンウォール1の上部換気口6からの高温空気を屋上に設置したデシカント外調機50に導くことにより、その排熱をデシカント外調機50のデシカントローターの再生に利用することができる。この運転パターンは第1実施形態のダブルスキンカーテンウォール1の場合にも同様に適用できる。
冬期の暖房時には、ダブルスキンカーテンウォール1の上部換気口6からの高温空気を外調機60に導入することにより、外気負荷を低減させることができる。この運転パターンは第1実施形態のダブルスキンカーテンウォール1の場合にも同様に適用できる。
中間期においては、図6に示したように室内換気機構10および排気機構15を利用した自然換気が可能である。この場合、第1実施形態の場合と同様に建物内にボイド40を設けておくことにより、ボイド40による煙突効果も利用したより効果的な自然換気が可能である。
なお、本第2実施形態のように排気機構15を設ける場合には、上記の室内換気機構10を室内への給気専用としても良く、その場合においては必要に応じて図5に破線で示しているように換気ダクト13に給気ファン16を組み込むことも考えられる。
その給気ファン16による外気を取り入れる場合において、冬期において外気温が低すぎる場合には、必要に応じて室内空気と外気を適度に混合して適温に調整してから室内に導入するように構成することも好ましい。
以上で本発明のダブルスキンカーテンウォール1の実施形態について説明したが、次に、本発明の空調システムの実施形態について図8に示す概略系統図を参照して説明する。なお、図8では日射遮蔽材9の図示は省略している。
本実施形態の空調システム20は、図1に示した第1実施形態のダブルスキンカーテンウォール1や、図5〜図6に示した第2実施形態のダブルスキンカーテンウォール1を備えた建物に適用するものであって、各階層に対して外気を取り入れつつ冷暖房運転を行うための空調設備21と、各階層から排気を行うための排気設備26を具備し、かつ中間期等には換気による外気冷房運転が可能に構成されている。
本実施形態における空調設備21は、通常のように空調機22によって調整した給気(SA)を給気ダクト23により室内に供給し、室内からの還気(RA)を空調機22に戻すように循環させて冷暖房を行い、かつその際には所定量の外気(OA)を外気ファン30により外気ダクト24を通して取り入れて外気処理も可能とされている。
そして、本実施形態の空調設備21では、空調機22への導入外気の少なくとも一部をダブルスキンカーテンウォール1の中空層4を介して導入可能なように、サブ外気ダクト25(破線で示す)をダブルスキンカーテンウォール1の頂部に接続して、そこからの外気を空調機22に導入可能に構成されている。
なお、図示例の空調機22は室内負荷と外気負荷の双方を処理可能なものとして図示しているが、空調機22を室内負荷処理専用機と外調機(外気処理専用機:図7に示した外調機60に相当)とにより構成しても良く、その場合には外調機に対して外気ファン30およびサブ外気ダクト25を接続すれば良い。
排気設備26は、排気ファン27および排気ダクト28によって室内から屋外に排気するものであるが、本実施形態の排気設備26では少なくとも排気の一部をサブ排気ダクト29(破線で示す)を通してダブルスキンカーテンウォール1の中空層4に対して排気可能に構成されている。
本実施形態の空調システム20では、夏期における冷房運転と冬期における暖房運転はもとより、中間期等においては全外気による外気冷房運転も可能であり、しかもダブルスキンカーテンウォール1を利用して以下のような運転パターンを選択することにより、年間を通じて効率的な空調運転が可能である。
すなわち、夏期あるいは中間期における冷房運転時においては、排気ファン27によって排気するべき室内空気の少なくとも一部をサブ排気ダクト29を通してダブルスキンカーテンウォール1の中空層4に対して排気することにより、ダブルスキンカーテンウォール1内が過度に高温になることを防止することができる。
冬期の暖房運転時において、ダブルスキンカーテンウォール1の中空層4内が日射により加温されて屋外気温よりも高温になっているときには、中空層4内の加温空気をダブルスキンカーテンウォール1の頂部からサブ外気ダクト25により空調機22(あるいは外調機)に導入することにより、外気負荷を軽減することが可能である。
中間期等において外気冷房運転を行う際に、ダブルスキンカーテンウォール1に設けている室内換気機構10を併用することにより、外気ファン30による外気導入量や排気ファン27による排気量を削減することができる。
すなわち、外気ファン30による外気導入量を排気ファン27による排気量よりも少なくするか外気ファン30を停止すれば、不足分の外気が室内換気機構10によって自ずと室内に導入される。逆に、排気ファン27による排気量を外気ファン30による外気導入量よりも少なくするか排気ファン27を停止すれば、過剰分の室内空気が室内換気機構10によって自ずと屋外に排気される。したがって、いずれにしても外気ファン30あるいは排気ファン27の電力消費量を削減し得る。
なお、図5に示した第2実施形態のダブルスキンカーテンウォール1のように排気機構15を設置したり、室内換気機構10に対して給気ファン16を備えた場合においても、それらの排気機構15や室内換気機構10を上記の空調システム20と連携させることにより同様に効率的な運転が可能である。
また、室内換気機構10や排気機構15は上記実施形態のように中間期における自然換気のために用いることが好ましく現実的であるが、必要であれば冷房時や暖房時においても室内換気機構10や排気機構15を空調設備21や排気設備26と連携して使用することでも良い。
さらに、図8では空調設備21と排気設備26を模式的に各階層に設置しているように図示したが、空調設備21および排気設備26の具体的な構成や設備容量、ゾーニングの設定その他の諸元は建物の規模や用途に応じて任意に設計すれば良いのであって、たとえば空調機22や排気ファン27をセントラル方式として屋上に設置する等、図示例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計的変更や応用が可能であることは当然である。
1 ダブルスキンカーテンウォール
2 外側面材
2a 屋上冠壁
3 内側面材
4 中空層
5 下部換気口
6 上部換気口
7 窓部
8 腰部
9 日射遮蔽材
10 室内換気機構
11 外部換気口
12 内部換気口
13 換気ダクト
13a チャンバ
15 排気機構
16 給気ファン
20 空調システム
21 空調設備
22 空調機
23 給気ダクト
24 外気ダクト
25 サブ外気ダクト
26 排気設備
27 排気ファン
28 排気ダクト
29 サブ排気ダクト
30 外気ファン
40 ボイド
50 デシカント外調機
60 外調機

Claims (3)

  1. 多層の建物の外壁部に各階層に亘って取り付けられて該建物の外壁面を構成するダブルスキンカーテンウォールであって、
    外側面材と、該外側面材の室内側に間隔をおいて設けられた内側面材とを備え、
    前記外側面材と前記内側面材との間に上下方向に連通する中空層を設けて、該中空層の最下部および最上部にそれぞれ屋外に開口する下部換気口および上部換気口を設け、
    前記外側面材および前記内側面材の少なくとも一部をガラス材による窓部とするとともに、前記中空層内には前記窓部の位置に日射遮蔽材を設け、
    前記各階層のそれぞれに対して、各階層における室内と屋外との間で換気を行うための室内換気機構を設けるとともに、該室内換気機構を、前記外側面材に開口する外部換気口と、室内に開口する内部換気口と、前記中空層内を横断して設置されて前記外部換気口と前記内部換気口とを接続する換気ダクトにより構成してなることを特徴とするダブルスキンカーテンウォール。
  2. 請求項1記載のダブルスキンカーテンウォールであって、
    前記各階層のそれぞれに対して、各階層における室内空気を前記中空層に対して排気するための排気機構を設置してなることを特徴とするダブルスキンカーテンウォール。
  3. 請求項1または2記載のダブルスキンカーテンウォールを備えた建物に適用される空調システムであって、
    各階層に対して外気を取り入れつつ冷暖房運転を行うための空調設備と、前記各階層から排気を行うための排気設備を具備し、
    前記空調設備は、導入外気の少なくとも一部を前記ダブルスキンカーテンウォールにおける前記中空層を介して導入可能に構成され、
    前記排気設備は、室内からの排気の少なくとも一部を前記ダブルスキンカーテンウォールにおける前記中空層に対して排気可能に構成され、
    前記空調設備と前記排気設備および前記ダブルスキンカーテンウォールに設置されている前記室内換気機構とによって、前記各階層に対する冷暖房運転および外気冷房運転が可能に構成されてなることを特徴とする空調システム。
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