JP2013177595A - インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、及び、平版印刷版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)N−ビニルラクタム類、(B)式(I)又は式(II)で表されるモノマー、及び、(C)ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とするインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、印刷物及び平版印刷版の製造方法。式(I)及び式(II)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に置換基を表し、kは1〜6の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、nは環状炭化水素構造を表す。
【選択図】なし
Description
詳しくは、長期間安定したインクジェット記録が可能であり、活性放射線の照射に対して、高感度で硬化し、インク組成物硬化後にも硬化物が十分な柔軟性を有するインクジェット記録用に好適なインク組成物、インクジェット記録方法、及び、これを用いた印刷物、並びに、該インク組成物を用いて得られる平版印刷版の製造方法に関するものである。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
また、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物として、密着性に優れるインク組成物が開示されている(特許文献2)。しかし、硬化性及び硬化膜柔軟性を十分に満足させるものではない。
<1> (A)N−ビニルラクタム類、(B)式(I)又は式(II)で表されるモノマー、及び、(C)ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とするインク組成物、
<2> 式(I)又は式(II)で表されるモノマーのうち少なくとも1つが単官能アクリレートである上記<1>に記載のインク組成物、
<3> 前記式(II)で表されるモノマーが式(III)、式(IV)又は式(V)で表されるモノマーである上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> (A)N−ビニルラクタム類がN−ビニルカプロラクタムである上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<5>(D)着色剤を含有する上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<6> インクジェット記録用である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<7> (a1)被記録媒体上に、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<8> 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、且つ、被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である上記<7>に記載のインクジェット記録方法、
<9> 上記<7>又は<8>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物、
<10> (a2)親水性支持体上に、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化させることにより、該インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程、を含む平版印刷版の製造方法。
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、(A)N−ビニルラクタム類、(B)式(I)又は式(II)で表されるモノマー、及び、(C)ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインク組成物は、N−ビニルラクタム類(以下、(A)成分ともいう。)を含有する。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(A-1)で表される化合物が挙げられる。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していても良い。
また、N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類が40重量%以下の含有率であると、0℃以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなり好ましい。
上記N−ビニルラクタム類はインク組成物中に1種のみ含有されていてもよく、複数種含有されていてもよい。
本発明のインク組成物は、前記式(I)又は式(II)で表されるモノマー(以下、(B)成分ともいう。)を含有する。前記式(I)又は式(II)で表されるモノマーは、付加重合性モノマーであることが好ましく、ラジカル重合性モノマーであることがより好ましい。
式(I)又は式(II)におけるR1は、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、原材料入手の容易性の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。また、k個存在するR1はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(I)又は式(II)におけるX1は二価の連結基を表し、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド基(−C(O)NR’−)、カルボニル基(−C(O)−)、窒素原子(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。k個存在するX1はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
また、式(I)又は式(II)におけるX1のビニル基と結合する端部は、X1のカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、その場合、アダマンタン骨格若しくはノルボルネン骨格と結合するX1の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
式(I)又は式(II)におけるR1及びX1を含むビニル部分(H2C=C(R1)−X1−)の置換数kは1〜6の整数を表す。R1及びX1を含むビニル部分は、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、式(I)におけるアダマンタン構造上、式(II)におけるノルボルネン構造上及びnを含む環状炭化水素構造上を指す。
また、色材との親和性を向上させるという観点から、式(I)又は式(II)におけるX1の脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(I)又は式(II)におけるX1は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
q個存在するR2、及び、r個存在するR3は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していても良い総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
R2の置換数qは0〜5の整数を表し、また、R3の置換数rは0〜5の整数を表す。
また、式(I)におけるアダマンタン骨格中の一炭素原子をカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよく、式(II)におけるノルボルネン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(III)、式(IV)又は式(V)におけるR1及びX1を含むビニル部分は、式(III)、式(IV)又は式(V)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
式(III)、式(IV)又は式(V)におけるs、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR4、t個存在するR5、及び、u個存在するR6はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
本発明のインク組成物は、(C)ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明で用いることができる重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤と後述するカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明のインク組成物に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収してラジカル重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
また、本発明のインク組成物に後述する増感色素を用いる場合、ラジカル重合開始剤の総使用量は、増感色素に対して、ラジカル重合開始剤:増感色素の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
本発明のインク組成物を平版印刷版の画像部形成に用いる場合などは特に着色画像を形成する必要はないが、形成された画像部の視認性を向上するため、あるいは、インク組成物を用いて着色画像を形成しようとするときは、着色剤を含有することができる。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
本発明のインク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることが好ましい。
高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYKケミー社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカアディティブ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤、(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)楠本化成社製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
また、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000,12000、ソルスパース22000(アビシア社製)等の顔料誘導体もあわせて使用することができる。
本発明のインク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤として有機フルオロ化合物やポリシロキサン化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。前記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー株式会社製)、BYK−306、BYK−307、BYK−331、BYK−333、BYK−347、BYK−348等(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.0001〜1重量%であることが好ましい。また、これらの海面活性剤は単独で含有しても、2種類以上のポリシロキサン化合物を併用して含有してもよい。
本発明においては、(A)及び(B)成分に加え、他のラジカル重合性化合物(以下、単に「ラジカル重合性化合物」ともいい、(A)、(B)成分を除くラジカル重合性化合物を意味することはいうまでもない。)を含有していてもよい。
ラジカル重合性化合物を併用するとさらに硬化性に優れるインク組成物が提供できるので好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−80675号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
具体例としては、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラアクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、n−トリデシルメタクリレート、n−セチルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーが挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、前記成分以外の他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、例えば、増感色素、共増感剤、他の重合性化合物、他の重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、特にインクジェット記録用に用いる場合、特定の活性放射線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるために増感色素を添加してもよい。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明のインク組成物中における共増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、必要に応じその他の重合性化合物として、カチオン重合性化合物を併用することもできる。カチオン重合性化合物を併用する場合には、重合開始剤としてカチオン重合開始剤も併用することが好ましい。
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明のインク組成物には、必要に応じ、その他の重合開始剤として、カチオン重合開始剤を用いることもできる。カチオン重合開始剤を併用する場合には、重合性化合物としてカチオン重合性化合物も併用することが好ましい。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
本発明のインク組成物に用いることができる溶剤としては、重合性粒子の内部構造に樹脂を用いている場合、その樹脂の溶解度パラメータの値(SP値)と用いる溶剤の溶解度パラメータの値との差が、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、さらに好ましくは、7〜30mPa・sである。また吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、より好ましくは3〜13mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能にラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法を用いて、親水性支持体上に本発明のインク組成物を適用し、硬化させることで平版印刷版を製造することが可能である。
以下、本発明のインクジェット記録方法を適用した、平版印刷版の製造方法(本発明の平版印刷版の製造方法)、及びそれにより得られる平版印刷版(本発明の平版印刷版)について説明する。
(a2)親水性支持体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化させることにより、該インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程である。
即ち、被記録媒体として、平版印刷版用支持体に好適な親水性表面を有する支持体を使用する他は、本発明のインクジェット記録方法と同様にすることで平版印刷版を製造することができる。
一方、本発明の平版印刷版は、本発明の平版印刷版の製造方法(本発明のインクジェット記録方法)を適用することで、ディジタル化された画像情報に従って親水性支持体表面に、直接インク組成物を射出し、それを硬化させることで疎水性画像部を形成することができる。これにより、従来よりも容易に平版印刷版を作製することが可能となったものである。
本発明の平版印刷版は、親水性支持体と、該支持体表面上に本発明のインク組成物により形成された疎水性画像と、を有するものである。
支持体として用いる材料は、親水性を有する場合にはそのまま支持体として用いることができ、また、親水性を有さない場合にはその表面に浸水化処理を施してもよい。
支持体に用いる材料としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び疎水性画像と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、さらに、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80重量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であることが好ましく、1.5〜4.0g/m2であることがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られるので好ましい。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、さらに、リン酸塩化合物を含有することが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像性及び耐汚れ性を向上させることができるので好ましい。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有することが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性及び耐汚れ性の向上の点で、0.01重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、また、溶解性の点で、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
また、水溶液の温度は、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
また、水溶液は、pH1以上であることが好ましく、pH2以上であることがより好ましく、また、pH11以下であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回又は複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧又は常圧の水蒸気を連続的に又は非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、105℃以下であることが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×105〜1.043×105Pa)であることが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
熱水による封孔処理は、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)又は有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。
また、熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
まず、親水性支持体上に本発明のインク組成物を吐出する。この工程には、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様に、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。また、このインクジェット記録装置を用いてインクを吐出させる際の、インクの温度及び粘度の好ましい範囲、さらにそれらの制御方法も同様である。
親水性支持体の表面上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。この硬化機構の詳細は、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様である。また、ここでインク組成物の硬化に用いられる活性放射線源或いはその好ましい照射条件もまた、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様である。
また、前述のように、本発明のインク組成物は、活性放射線により高感度で硬化し、支持体との密着性や膜質に優れた疎水性領域(疎水性画像)を形成することができる。
これらのことから、本発明の平版印刷版は、高画質であり、耐刷性にも優れる。
なお、本発明のインク組成物は、このような平版印刷版の画像部を形成するのみならず、一般的に使用されるインク組成物としても有用であることはいうまでもない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社(CSC社)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(マゼンタ顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・KRONOS2300(ホワイト顔料、KRONOS社製)
・例示化合物M−1(1−アダマンチルアクリレート)
・ファンクリル512A(例示化合物M−11に相当、日立化成社製)
・ファンクリル513A(例示化合物M−13に相当、日立化成社製)
・ファンクリル512M(例示化合物M−16に相当、日立化成社製)
・IRR214(例示化合物M−35に相当、ダイセルUCB社製)
・N−ビニルカプロラクタム(NVC、Aldrich社製)
・Actilane 421(プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、Akcros社製)
・KAYARAD DPCA−60(DPCA、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤)
・Disper BYK−168(BYK Chemie社製高分子分散剤)
・NKエステルAMP−10G(PEA、フェノキシエチルアクリレート、新中村化学社製)
・THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート、Aldrich社製)
・Rapi−Cure DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP Europe社製)
・First cure ST−1(重合禁止剤、Chem First社製)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤)
・ベンゾフェノン(光開始剤、和光純薬社製)
・Irgacure 184(光開始剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・Byk 307(界面活性剤、BYK Chemie社製)
・KF−353(シリコーン系界面活性剤、信越化学社製)
・Firstcure ITX(増感剤、Chem First社製)
1−アダマンチルアルコールと、アクリル酸クロリドとの反応により、例示化合物M−1(1−アダマンチルアクリレート)を得た。
IRGALITTE BLUE GLVOを300重量部と、Actirane421(Akcros社製アクリレートモノマー)を500重量部と、Solsperse32000を200重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
CINQUASIA MAGENTA RT−335 Dを300重量部と、Rapi−Cure DVE−3を300重量部と、Solsperse32000を400重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、Actirane421(Akcros社製アクリレートモノマー)を300重量部と、Solsperse32000を400重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
SPECIAL BLACK 250を300重量部と、Actirane421(Akcros社製アクリレートモノマー)を300重量部と、Solsperse32000を400重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
KRONOS2300を500重量部と、Actirane421(Akcros社製アクリレートモノマー)を400重量部と、Solsperse32000を100重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
IRGALITTE BLUE GLVOを300重量部と、NKエステルAMP−10Gを650重量部と、Solsperse32000を50重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで2時間分散を行った。
CINQUASIA MAGENTA RT−335 Dを300重量部と、NKエステルAMP−10Gを640重量部と、Solsperse32000を60重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、NKエステルAMP−10Gを640重量部と、Solsperse32000を60重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで5時間分散を行った。
SPECIAL BLACK 250を300重量部と、NKエステルAMP−10Gを650重量部と、Solsperse32000を50重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで3時間分散を行った。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,630mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を1,500mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ コーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡社製)を用いた。
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、触診により、画像のべとつきの程度を評価した。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
3: 画像にべとつきなし。
2: 画像がややべとついている。
1: 未硬化のインクが手に転写するほど固まっていない。
本実施例では、硬化膜の柔軟性を評価する方法として、折り曲げテストを実施した。
上記インクジェットインクジェット画像記録方法に従い、被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡社製)を用い、画像部の平均膜厚が12μm、24μm、36μmの3つのベタ画像を描画した。折り曲げテストは画像を形成した被記録材を25℃条件下で1回折り曲げ、画像部の割れの有無によって評価した。一般に平均膜厚が厚くなると、画像部を折り曲げた際に画像部にかかる歪が大きくなり、割れを生じやすくなる。すなわち、より厚い膜厚で画像部に割れが生じないかをテストすることで、柔軟性の尺度とすることができる。
評価基準は以下の通りである。
4: 平均膜厚12μm、24μm、36μmすべてのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に全く割れが生じない。
3: 平均膜厚12μm、24μmのサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚36μmのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
2: 平均膜厚12μmのサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚24μm、36μmのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
1: 平均膜厚12μm、24μm、36μmすべてのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
本実施例における粘度測定は、B型粘度計:Brookfield LVDV-I(Brookfield社製)を用い、25℃条件下で、ローターの回転数20rpmで粘度測定を行った。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は19mPa・sであった。
(マゼンタ色インク組成物)
・(D)(E)マゼンタミルベースB 12.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 14.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は19mPa・sであった。
(イエロー色インク組成物)
・(D)(E)イエローミルベースB 12.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 14.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ブラック色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
(ブラック色インク組成物)
・(D)(E)ブラックミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は18mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA−2 6.0部
・(E)DisperBYK168 2.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 26.0部
・(B)ファンクリル512A 36.5部
・NKエステルAMP−10G 9.5部
・KAYARAD DPCA−60 2.0部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・First cure ST-1 0.3部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 9.0部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.2部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.44部
・(F)KF353 0.06部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は20mPa・sであった。
(マゼンタ色インク組成物)
・(D)(E)マゼンタミルベースB−2 13.0部
・(E)DisperBYK168 2.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 22.0部
・(B)ファンクリル512A 32.0部
・NKエステルAMP−10G 8.0部
・KAYARAD DPCA−60 1.4部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・First cure ST-1 0.3部
・(C)Lucirin TPO 9.0部
・(C)ベンゾフェノン 3.2部
・(C)Firstcure ITX 6.04部
・(F)KF353 0.06部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は20mPa・sであった。
(イエロー色インク組成物)
・(D)(E)イエローミルベースC−2 13.0部
・(E)DisperBYK168 2.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 24.0部
・(B)ファンクリル512A 35.0部
・NKエステルAMP−10G 9.0部
・KAYARAD DPCA−60 1.44部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・First cure ST-1 0.3部
・(C)Lucirin TPO 9.0部
・(C)ベンゾフェノン 3.2部
・(F)KF353 0.06部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ブラック色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は18mPa・sであった。
(ブラック色インク組成物)
・(D)(E)ブラックミルベースD−2 6.0部
・(E)DisperBYK168 2.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 26.0部
・(B)ファンクリル512A 36.5部
・NKエステルAMP−10G 9.5部
・KAYARAD DPCA−60 2.0部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・First cure ST-1 0.3部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 9.0部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.2部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.44部
・(F)KF353 0.06部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ホワイト色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は24mPa・sであった。
(ホワイト色インク組成物)
・(D)(E)ホワイトミルベースE 31.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 18.0部
・(B)ファンクリル512A 26.4部
・NKエステルAMP−10G 10.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
・Firstcure ITX 1.0部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。膜厚12μmの画像が描画できた。硬化性、硬化膜の柔軟性、密着性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、クリアーのUVインクジェット用インクを得た。粘度は16mPa・sであった。
(クリアー色インク組成物)
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 51.4部
・NKエステルAMP−10G 10.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。膜厚12μmの画像が描画できた。硬化性、硬化膜の柔軟性、密着性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル513A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は18mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 30.0部
・(B)ファンクリル513M 30.4部
・(B)ファンクリル512M 20.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(B)例示化合物M−1 20.4部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・NKエステルAMP−10G 35.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は16mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 30.0部
・(B)IRR214 10.4部
・THFA 40.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は20mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 30.0部
・(B)ファンクリル512A 50.4部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 19.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
・Firstcure ITX 1.0部
着弾後のUV光を露光面照度350mW/cm2に集光し、画像に照射される積算光量を1,500mJ/cm2とし、ランプには、UV−LEDランプ:NCCU033(日亜化学社製)を使用する以外は、上記インクジェット記録と同様の方法によりインクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は17mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・(B)ファンクリル512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 18.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
・Firstcure ITX 3.0部
着弾後のUV光を露光面照度450mW/cm2に集光し、画像に照射される積算光量を8,000mJ/cm2とし、ランプには、一般的にプロジェクター用途等に使用される超高圧水銀ランプ:SHP270W(フェニックス電気社製)を使用する以外は、上記インクジェット記録と同様の方法によりインクジェット記録を行った。得られた画像にドットの抜けは存在せず、鮮やかな膜厚12μmの画像が描画できた。硬化感度、硬化膜柔軟性、密着性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は24mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(B)ファンクリル512A 80.4部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は20mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(B)ファンクリル512A 55.4部
・NKエステルAMP−10G 25.0部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は15mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・(A)N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・NKエステルAMP−10G 55.4部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は15mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・(D)(E)シアンミルベースA 6.0部
・NKエステルAMP−10G 80.4部
・First cure ST-1 0.05部
・(C)Lucirin TPO(BASF社製光開始剤) 8.5部
・(C)ベンゾフェノン(光開始剤) 3.0部
・(C)Irgacure 184(CSC社製光開始剤) 2.0部
・(F)Byk 307(BYK Chemie社製界面活性剤) 0.05部
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。硬化性の評価結果を表1に示した。
(支持体の作製)
Si:0.06重量%、Fe:0.30重量%、Cu:0.025重量%、Mn:0.001重量%、Mg:0.001重量%、Zn:0.001重量%、Ti:0.03重量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1,200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1,030mmにした後、以下に示す表面処理に供しアルミニウム支持体を作成した。
表面処理は、以下の(i)〜(x)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後には、ニップローラーで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007重量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15重量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の炬形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.12g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
このように処理された支持体を、3号珪酸ソーダ水溶液に、70℃で13秒間浸漬した後、水洗乾燥した。東京精密(株)製、サーフコム 形式575Aの表面粗さ計を用い、カットオフ0.8mm、測定長3mmで、繰り返し5回の平均値として、表面粗さRaを測定したところ、0.55μmであった。
下記組成のインク受容層塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させ、インク受容層を形成した支持体を得た。インク受容層の塗布量は、20mg/m2であった。
上記のインク受容層を形成した支持体に、実施例1と同様のインク組成物を以下のようにしてインクジェット記録をした。
描画に際しては、ヘッドとしてせん断モードピエゾヘッド(東芝テック社製CA3:最小液滴量6pL、ノズル数318個、ノズル密度150ノズル/25.4mm)を使用し、該ヘッド一つを移動式キャリッジ上に搭載したヘッドスキャニング方式の描画装置を利用した。減圧機能を有する2Lの容量を有するインクタンクにインクを導入し、−40kPaに減圧してインク中の溶存気体を脱気したインクを、静圧式圧力制御タンク(容量50mL)を介して内径2mmのテフロン(登録商標)製柔軟チューブにより上記ヘッドに導入した。静圧式圧力タンクの高さをヘッドに対して制御する事によりヘッドの内圧は−6.6kPaに調整され、ヘッドのノズル部でのメニスカス形状を制御している。またヘッドには水循環式温度制御装置(SCINICS CH−201)により水循環を行い、ヘッド内でのインク温度が45℃になるようにした。ヘッドの駆動電圧は24Vとし、8値のマルチドロップモードあるいはバイナリモードで吐出を行った。ドット形成の周波数はそれぞれ4.8kHz、及び12kHzである。描画ピッチは8値のマルチドロップモードでヘッド走査方向600dpi(ヘッドスキャン速度203mm/s)×記録媒体搬送方向600dpi、バイナリモードでヘッド走査方向1,200dpi(ヘッドスキャン速度254mm/s)×記録媒体搬送方向1,200dpiとし、すなわち記録媒体の逐次移動を行いつつヘッドの双方向インタレース印字を行った。また上記ヘッドのクリーニング手段として、ヘッドのノズルプレートに非接触でワイピングを行う不繊布からなるワイピング手段を有し、適宜、クリーニングを実施した。
インクジェット記録を行った後、1〜60秒の後に、高圧水銀灯3kWで、露光し、平版印刷版を作製した。
得られた画像ドットの直径を、光学顕微鏡を用い測定したところ、35μmであった。
得られた平版印刷版を、ガム処理することなく、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、IF102(富士写真フィルム(株)製)湿し水を用い、大日本インキ化学工業社(株)製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷した。画像部の白ヌケ、及び非画像部の汚れのない高画質の印刷物が10,000枚以上得られ、耐刷性が実用上問題のないレベルであることを確認した。
Claims (11)
- (A)N−ビニルラクタム類、
(B)ジシクロペンテニル基を有するアクリレートモノマーを除く、式(II)で表されるモノマー、及び、
(C)ラジカル重合開始剤を含有し、
25℃における粘度が、5〜40mPa・sであることを特徴とする
インクジェット記録用インク組成物。
- 式(II)で表されるモノマーのうち少なくとも1つが単官能アクリレートである請求項1に記載のインク組成物。
- (A)N−ビニルラクタム類がN−ビニルカプロラクタムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- (D)着色剤及び(E)分散剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- フェノキシエチルアクリレートを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- ビニルエーテル化合物を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- (a1)被記録媒体上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。 - 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、且つ、被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項8又は9に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
- (a2)親水性支持体上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化させることにより、該インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程、を含む平版印刷版の製造方法。
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