JP2007254625A - インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び、平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)重合開始剤、(d)着色剤、及び、(e)高分子分散剤を含有することを特徴とするインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版及び平版印刷版の製造方法。
【選択図】 なし
Description
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
また、本発明の他の目的は、低粘度であり、活性放射線の照射に対して硬化性に優れるインク組成物を用いて得られた平版印刷版、及び、平版印刷版の製造方法を提供することにある。
<1> (a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)重合開始剤、(d)着色剤、及び、(e)高分子分散剤を含有することを特徴とするインク組成物、
<2> 多分岐ポリマーがハイパーブランチポリマー又はデンドリマーである上記<1>に記載のインク組成物、
<3> インクジェット記録用である上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> (a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程を含むインクジェット記録方法であって、前記インク組成物が上記<1>〜<3>いずれか1つに記載のインク組成物であるインクジェット記録方法、
<5> 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、かつ被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である上記<4>に記載のインクジェット記録方法、
<6> 上記<4>又は<5>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物、
<7> (a)上記<1>〜<3>いずれか1つに記載のインク組成物を親水性支持体上に吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させることにより、前記インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程を含む平版印刷版の製造方法、
<8> 上記<7>に記載の平版印刷版の製造方法によって製造された平版印刷版。
また、本発明によれば、活性放射線の照射により高感度かつ短時間で硬化可能なインク組成物を用いて得られた平版印刷版、及び、平版印刷版の製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、放射線により硬化可能であり、(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)重合開始剤、(d)着色剤、及び、(e)高分子分散剤を含有し、必要に応じて、(f)増感色素、(g)共増感剤、(h)他の重合性化合物、(i)その他の成分を含んでいてもよい。
本発明で言う「放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
本発明のインク組成物は、(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー(以下、単に「多分岐ポリマー」ともいう。)を含有する。
従来、インク組成物の感度を向上させるため、多官能の重合性化合物を用いる方法が挙げられるが、多くの官能基を重合性化合物へ導入することで重合性化合物の分子量が大きくなり、それを用いたインク組成物の粘度が高くなってしまうという問題があった。
本発明のインク組成物は、(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマーを含有することにより、多官能化による十分な感度が得られると同時に、同様の分子量を有する重合性化合物を用いた場合よりも分子間の絡み合いが少なく、インク組成物の粘度を低く抑えることができるため好ましく、また、インク組成物の硬化前後の体積収縮を小さくすることができ、基材との密着性に優れるため好ましい。
デンドリマーを製造するためには反応条件と化学量論の厳格な制御が必要である。世代が高いほどデンドリマーは大きくなり、球状に近づくといわれている。最近、デンドリマーに関する本が相次いで出版されており、この分野への関心の高さを示している。前記出版物としては、「Topics in Current Chemistry」 228巻、Dendrimer V、C.A.Schalley、F.Vogtle編、2003年、Springer刊、「デンドリマーの科学と機能」、岡田鉦彦編、株式会社アイピーシー刊が例示できる。
また、本発明におけるデンドリマーとは、規則的な分岐構造をもち、分子量がそろった多分岐化合物を指し、コア部分を中心に複数の分岐した鎖状部分を有するものであっても、規則性の低いハイパーブランチポリマーや、該分岐した鎖状部分が直鎖状であって分岐構造を有しない化合物は含まない。
なお、デンドリマーについては、Angew.Chem.,Int.Ed.38,P884(1999年)などにも詳細に記載されている。
デンドリマーの合成方法については、最近かなり確立されたものになりつつある。コアから外側に向かって合成を進めるダイバージェント法、末端官能基から内側に向かって合成を進めるコンバージェント法、あるいはそれら2つを組み合わせたものなど数多くの報告例がある。
エチレン性不飽和基を有するデンドリマーの分子量に特に上限はないが、インク組成物の粘性などの観点から、5万以下であることが好ましく、2万以下であることがより好ましく、1万5千以下であることが更に好ましく、1万以下であることが最も好ましい。
また、エチレン性不飽和基は、それぞれの分岐構造の末端に位置することが好ましい。
中心となるコア部位10は、複数の枝部位12Aを有しており、該枝部位12Aの末端部位が分岐部位14となり、そこから新たな枝部位12Bが分岐し、それぞれの枝部位12Bは末端部位16を有している。このモデル図においては、分岐部位14はコア部位10から生じる枝部位12Aの末端のみに存在するが、もちろんこれに限定されず、この分岐部位14に連続する枝部位12Bの末端が分岐部位となり、新たな複数の枝部位を有する構造をとるものであってもよい。
また、一般に規則性の正しいデンドリマーの場合、その大きさは世代(ジェネレーション)という概念用語で表される。本発明において、上記定義のコア部位から出発した分岐構造体、即ち、図1における枝部位12Aの先端に末端部位(末端基)を有する場合、その末端部位までを第1世代デンドリマーといい、第1世代の全末端部位(図1における分岐部位14)から分岐した分岐構造を有する構造体、即ち、分岐部位12B及びその先端に位置する末端部位16までを第2世代デンドリマーという。これを本発明における世代の定義とする。
本発明に用いることができるデンドリマーの大きさとしては、好ましくは2〜10世代、更に好ましくは2〜8世代、特に好ましくは2〜6世代のデンドリマーである。
本発明において、コア部位は少なくとも3つの枝部位が結合した構造を有することを要する。
以下に、コア部位の代表的な構造を示す。コア部位が1原子で構成されるものとしては、例えば、下記式(2−a)、(2−b)が挙げられ、その中心は3価以上の原子、例えば、N、C、などで構成される。コア部位が環状化合物で構成されるものとしては、例えば、下記式(2−c)、(2−d)、(2−e)で示されるものが挙げられる。このように、環状構造は芳香環構造であっても、脂環構造であってもよく、また、ヘテロ環構造であってもよい。
また、(2−f)や(2−g)で示されるような多価原子を中心にして複数の原子を組み合わせてなる構造や金属原子もコア部位として例示することができ、ここで例示した(2−f)や(2−g)で示されるような構造は、コア部位のみならず、後述する分岐部位としても使用可能である。
なお、下記式(2−h)〜(2−k)で示された構造はコア部位のみに相当する構造の例示であり、この構造のコア部位においては4個以上の枝を有することが好ましい。下記式(2−h)〜(2−k)中Rxは炭素数1〜12、好ましくは1〜6のアルキレン基である。
また、デンドリマー1分子中に存在する枝部位の数の合計(コア部位に直接連結するもの及び分岐部位に連結するものの総計)は9〜160個であることが好ましく、12〜130個が更に好ましく、最も好ましくは18〜100個である。
また、本発明に用いることができるデンドリマーは、分子内に含まれるアリール基が12個以下であることが好ましく、より好ましくは6個以下であり、最も好ましくは3個以下である。
本発明に用いることができるハイパーブランチポリマーは、1分子中に2種類の置換基を合計3個以上もつ、いわゆるABx型分子の自己縮合により合成される多分岐高分子である。例えば、石津浩二編著「分岐ポリマーのナノテクノロジー」(2000年、株式会社アイピーシー)の成書に記述されているハイパーブランチポリマーなどが挙げられる。
本発明において、好適に用いられるハイパーブランチポリマーとしては下記の製造方法で製造されるHP−1〜HP−5が挙げられる。
前記多分岐ポリマーが有するエチレン性不飽和基は、以下に示す具体例からも明らかなように、多分岐ポリマーの末端部位の全てにあってもよく、また、末端部位の一部のみに存在してもよい。
また、本発明に用いることができる多分岐ポリマーは、エチレン性不飽和基を、効果の観点から、分子内に12〜180個有することが好ましく、14〜140個有することがより好ましく、16〜120個有することが最も好ましい。
P−1) 前記HP−1と、アクリル酸クロリドとの反応生成物
P−2) 前記HP−2と、メタクリル酸クロリドとの反応生成物
P−3) 前記HP−3と、パラビニル安息香酸との反応生成物
P−4) 前記HP−4と、2−ヒドロキシルエチルビニルエーテルとの反応生成物
P−5) 前記HP−5と、2−ヒドロキシルエチルアクリレートとの反応生成物
これらの反応はいずれも溶媒中、室温〜100℃に加熱して得ることができ、適宜アミン等の触媒を使用することが好ましい。
本発明のインク組成物は、(b)ラジカル重合性化合物を含有する。なお、(b)ラジカル重合性化合物は、前記(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマーを除くものであることは言うまでもない。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
本発明に用いることのできるラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマー或いはプレポリマー、エポキシ系モノマー或いはプレポリマー、ウレタン系モノマー或いはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステル、が好ましく用いられる。更に好ましくは、下記化合物である。
特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用が膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
更に、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーを併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、記録媒体との密着性をより改善することができるため好ましい。
モノアクリレートとして併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
なお、上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70重量%未満の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
本発明のインク組成物は、N−ビニルラクタム類も好適に使用できる。N−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物における(b)ラジカル重合性化合物の総使用量は、本発明のインク組成物全体の重量に対し、好ましくは1〜97重量%であり、より好ましくは30〜95重量%である。
本発明のインク組成物は、(c)重合開始剤を含有する。本発明で用いることができる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。本発明に用いることができる(c)重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明のインク組成物に用いることのできる重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルフォスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明のインク組成物において、後述するように、カチオン重合性化合物を併用する場合には、カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
本発明で用いることができるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が好ましく挙げられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
また、本発明のインク組成物に後述する(f)増感色素を用いる場合、(c)重合開始剤の総使用量は、(f)増感色素に対して、重合開始剤:増感色素の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、更に好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
本発明のインク組成物を平版印刷版の画像部形成に用いる場合などは特に着色画像を形成する必要はないが、形成された画像部の視認性を向上するため、あるいは、インク組成物を用いて着色画像を形成しようとするときは、(d)着色剤を含有することができる。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6、18、21
などが目的に応じて使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する(b)ラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、顔料の分散性を向上させる目的で従来公知の高分子分散剤(顔料分散剤)を添加する。ここで、高分子とは、重量平均分子量が500以上のオリゴマー、ポリマーを意味する。
高分子分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、好適に使用されるものとして、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYKケミー社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカアディティブ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤、(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
また、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000、12000、ソルスパース22000(ゼネカ(株)製)等の顔料誘導体もあわせて使用することができる。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。本発明において、これらの分散剤及び分散助剤は、着色剤100重量部に対し、1〜50重量部添加することが好ましい。
本発明のインク組成物には、特にインクジェット記録用に用いる場合、特定の活性放射線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるために増感色素を添加してもよい。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、必要に応じ(h)その他の重合性化合物として、カチオン重合性化合物を併用することもできる。カチオン重合性化合物を併用する場合には、重合開始剤としてカチオン重合開始剤も併用することが好ましい。
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、界面活性剤、塩基性化合物等が挙げられる。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
本発明のインク組成物に用いることができる溶剤としては、重合性粒子の内部構造に樹脂を用いている場合、その樹脂の溶解度パラメータの値(SP値)と用いる溶剤の溶解度パラメータの値との差が、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、前記(e)高分子分散剤として用いる高分子以外にも、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、上述のように、(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、及び、(c)重合開始剤を必須成分として含有し、任意に着色剤等を含有するものである。これらの成分は、インク組成物全体の重量に対して、(a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマーが、好ましくは0,5〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、(b)ラジカル重合性化合物が、好ましくは1〜97重量%、より好ましくは30〜95重量%、(c)重合開始剤が、好ましくは0.01〜35重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、更に着色剤を含む場合は、着色剤が好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%の量であって各成分の合計の重量%が100重量%となるように含有することが適当である。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として用いることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法に好適に採用され得るインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a)及び(b)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4,000×4,000dpi、好ましくは、400×400〜1,600×1,600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる(c)重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能に(b)ラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において(c)重合開始剤と共に(f)増感色素が存在すると、系中の(f)増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、(c)重合開始剤と接触することによって(c)重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
更に、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法を用いて、親水性支持体上に本発明のインク組成物を適用し、硬化させることで平版印刷版を製造することが可能である。
以下、本発明のインクジェット記録方法を適用した、平版印刷版の製造方法(本発明の平版印刷版の製造方法)、及びそれにより得られる平版印刷版(本発明の平版印刷版)について説明する。
(a)親水性支持体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化させることにより、該インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程である。
即ち、被記録媒体として、平版印刷版用支持体に好適な親水性表面を有する支持体を使用する他は、本発明のインクジェット記録方法と同様にすることで平版印刷版を製造することができる。
一方、本発明の平版印刷版は、本発明の平版印刷版の製造方法(本発明のインクジェット記録方法)を適用することで、ディジタル化された画像情報に従って親水性支持体表面に、直接インク組成物を射出し、それを硬化させることで疎水性画像部を形成することができる。これにより、従来よりも容易に平版印刷版を作製することが可能となったものである。
本発明の平版印刷版は、親水性支持体と、該支持体表面上に本発明のインク組成物により形成された疎水性画像と、を有するものである。
支持体として用いる材料は、親水性を有する場合にはそのまま支持体として用いることができ、また、親水性を有さない場合にはその表面に浸水化処理を施してもよい。
支持体に用いる材料としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び疎水性画像と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80重量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であることが好ましく、1.5〜4.0g/m2であることがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られるので好ましい。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、更に、リン酸塩化合物を含有することが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像性及び耐汚れ性を向上させることができるので好ましい。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有することが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性及び耐汚れ性の向上の点で、0.01重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、また、溶解性の点で、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
また、水溶液の温度は、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
また、水溶液は、pH1以上であることが好ましく、pH2以上であることがより好ましく、また、pH11以下であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回又は複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧又は常圧の水蒸気を連続的に又は非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、105℃以下であることが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×105〜1.043×105Pa)であることが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
熱水(水蒸気)による封孔処理は、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)又は有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。
また、熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
まず、親水性支持体上に本発明のインク組成物を吐出する。この工程には、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様に、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。また、このインクジェット記録装置を用いてインクを吐出させる際の、インクの温度及び粘度の好ましい範囲、更にそれらの制御方法も同様である。
親水性支持体の表面上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。この硬化機構の詳細は、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様である。また、ここでインク組成物の硬化に用いられる活性放射線源或いはその好ましい照射条件もまた、前記インクジェット記録方法において述べたのと同様である。
また、前述のように、本発明のインク組成物は、活性放射線により高感度で硬化し、支持体との密着性や膜質に優れた疎水性領域(疎水性画像)を形成することができる。
これらのことから、本発明の平版印刷版は、高画質であり、耐刷性にも優れる。
なお、本発明のインク組成物は、このような平版印刷版の画像部を形成するのみならず、一般的に使用されるインク組成物としても有用であることはいうまでもない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
なお、以下の実施例は各色のUVインクジェット用インクに係るものである。
また、硬化に使用した紫外線ランプ、LEDランプはそれぞれ下記を使用した。以下、「紫外線ランプ」、「LEDランプ」とはそれぞれ下記ランプを意味する。
紫外線ランプ:HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ コーポレーション社製)
LEDランプ:NCCU033(日亜化学社製)
実施例に用いる重合性デンドリマーは、前記した文献に記載された既知の合成法を参考に。以下の手順で合成した。
コンデンサー、撹拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、ペンタエリスリトール(0.1mol)、2,2−ビスヒドロキシメチルプロピオン酸(1.2mol)、p−トルエンスルホン酸(0.005mol)を加えて窒素をフローしながら145℃のオイルバス中で2時間反応させると均一系溶液となる。その後、減圧下(〜50mmHg)、145℃で更に2時間反応させて、M−1の前駆体である下記化合物(K−1)が得られた。この化合物の同定はNMR及びIRにて行った。
その後、得られた重合性基含有デンドリマー前駆体(K−1)11gをテトラヒドロフラン(THF)150mlに添加し、窒素をフローさせながら、70℃でTHF20mlに溶解させた22gのメタクリル酸無水物及び0.2gのハイドロキノンをゆっくりと数回に分けて添加した。そしてその溶液を70℃を保ちつつ、8時間反応させた。
反応終了後、溶液を減圧除去し、得られた生成物をクロロホルムにて抽出し、抽出した溶液を2%NaOH水溶液で洗浄した後、水で洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、溶媒を減圧除去し、黄色の粘性のある溶液を得た。
この溶液を200mlのTHFに溶解させ、20mlのトリエチルアミンを窒素気流下添加した。その溶液に、15gのメタクリル酸クロリドを、液温が10℃を越えないようにゆっくりと滴下し、滴下後、反応溶液を15時間反応させた。析出した塩をろ過し、得られた溶液を2%の塩酸水溶液及び2%のNaOH水溶液にて洗浄後、水でpH=7になるまで洗浄した。得られた粗生成物をクロロホルムにて溶解し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、クロロホルムを減圧除去し、目的とする化合物(M−1)が収量11gで得られた。
コンデンサー、撹拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、下記構造の重合性デンドリマー前駆体(K−2)0.1mol、MOIを1.2mol、酢酸エチル、54gを添加し、70℃で撹拌した。10分後、上記の混合液にラウリン酸錫0.5gを添加した。4時間撹拌を行い、IRチャートにてNCO基特性吸収(2270cm-1)が消失していることを確認し、反応を終えた。その後、酢酸エチルを減圧除去することにより目的とする重合性基含有デンドリマー(M−2)を得た。
出発物質などを選択することで、以上の合成例と同様にして、具体例に示した全ての重合性デンドリマー化合物を合成できる。
ジオールAをTHF溶媒中、ジ(n−ブチル)ジアセチルスタナン存在下、160℃で縮合させることで、ハイパーブランチポリマーHP−2を得た。更に、20等量のアクリル酸クロリドと反応させ、ヘキサン溶媒中で再沈処理するることで、アクリロイルオキシ基が導入されたハイパーブランチポリマーP−2を得た。重量平均分子量は、11,000であった。
出発物質などを選択することで、以上の合成例と同様にして、アクリロイルオキシ基が導入されたハイパーブランチポリマーP−3を得た。重量平均分子量は、7,000であった。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマーA((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N(UCB社製アクリレートモノマー 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
なお、前記Actilane 422はジプロピレングリコールジアクリレート(2官能アクリレート)であり、ODA-Nはオクチルアクリレート、ドデシルアクリレートの混合物である。
得られたシアン色インク組成物をポリ塩化ビニル製のシート上に印刷し、そして鉄ドープ処理した紫外線ランプ(パワー120W/cm)の光線下に40m/minの速度で通過させることにより照射を行って、インクを硬化させ、印刷物を得た。また、同様に鉄ドープ処理した紫外線ランプ(パワー100W/cm)の光線下に40m/minの速度で通過させることにより照射を行って、インクを硬化させ、印刷物を得た。
このとき、以下の評価を行った。
硬化性は、このインクによる印刷物の硬化後の画像部を触診により評価した。その結果、硬化後の粘着性は完全に消失しており、硬化性に優れることを確認した。
インクの40℃における粘度をE型粘度計(東機産業製)を用いて測定した。評価基準はA:30mPas未満、B:30mPas以上、100mPas未満、C:100mPas以上(吐出上問題のあるレベル)とした。その結果、19.5mPasと低粘度であった。
被記録媒体との接着性及び柔軟性はクロスハッチテスト(EN ISO2409)により評価したところ、クラス4Bと高い接着性を示した。更に、柔軟性の評価はシートを10回折り曲げた後に硬化膜に生じた亀裂の程度によっても評価した。この折り曲げ試験は、亀裂がまったく生じない状態を5点とした5段階評価で行い、3点以上を実用上問題の無い状態と評価するが、その結果、印刷画像に影響を与えないわずかな亀裂の発生を認めるにすぎず、4点と評価された。
結果を下記表1に示す。
得られたシアン色インク組成物を65℃で8週間保存し、平均粒子径変化を測定した。その結果、平均粒子径はほぼ変わりないことが明らかとなった。結果を下記表1に示す。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、22.5mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(M−2) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・N−ビニルカプロラクタム(Aldrich社製) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、16.6mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(M−13) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、20.6mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(M−18) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、15.7mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(P−2) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、22.5mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(P−3) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
実施例1と同様に作成したインクをポリ塩化ビニル製のシート上に印刷し、そしてLEDランプ(積算光量:220mJ/cm2)で照射を行った。また、同様にLEDランプ(積算光量:330mJ/cm2)で照射を行った。このインクによる印刷物、及び分散安定性評価を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度測定を行った結果、7.1mPasと低粘度であった。
・Actilane 422 51.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤:(e)成分) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は18.0mPasと低粘度であった。
・例示多分岐ポリマー(M−1) ((a)成分) 15.0部
・Actilane 422 36.4部
(前記Akcros社製アクリレートモノマー:(b)成分)
・ODA−N (UCB社製アクリレートモノマー) 20.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料:(d)成分) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル:(b)成分)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(c)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光開始剤:(c)成分) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
比較例1と同様に作成したインクをポリ塩化ビニル製のシート上に印刷し、そしてLEDランプ(積算光量:220mJ/cm2)で照射を行った。また、同様にLEDランプ(積算光量:330mJ/cm2)で照射を行った。このインクによる印刷物、及び分散安定性評価を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
一方、(a)エチレン性不飽和基含有多分岐ポリマーを含有しない比較例1のインク組成物は、保存安定性、硬化性、基材密着性が実施例1〜7ほど良くないことを確認した。比較例1と同様のインク組成物を使用し、LEDで硬化した比較例3においても、保存安定性、硬化性、基材密着性が実施例1〜7ほど良くないことを確認した。また、高分子分散剤を有さない比較例2のインク組成物は、安定に顔料を分散できず、加熱条件でのインクジェットの途中でヘッドのノズル詰まりが発生した。
<支持体の作製>
Si:0.06重量%、Fe:0.30重量%、Cu:0.025重量%、Mn:0.001重量%、Mg:0.001重量%、Zn:0.001重量%、Ti:0.03重量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供しアルミニウム支持体を作成した。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後には、ニップローラーで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007重量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15重量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の炬形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.12g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
上記で作製したアルミニウム支持体上に、実施例1のインク組成物で印字し、実施例1と同様にして画像を形成し、硬化させた。
これを平版印刷版として、以下の方法で、画像の評価、及び耐刷性の評価を行った。
実施例1のインク組成物を用いて作製した平版印刷版を、ハイデルKOR−D機に掛け、インク〔枚葉用VALUES−G紅(大日本インク(株)製)〕と湿し水〔Ecolity2(富士写真フイルム(株)製)〕とを供給して印刷を行った。100枚印刷後の印刷物を目視で評価した。その結果、画像部の白ヌケ、及び、非画像部の汚れのない良好な画像であることを確認した。
そのまま印刷を継続したところ、画像部の白ヌケ、及び非画像部の汚れのない高画質の印刷物が10,000枚以上得られ、耐刷性も実用上問題のないレベルであることを確認した。
12A 枝部位
12B 枝部位
14 分岐部位
16 末端部位
Claims (8)
- (a)エチレン性不飽和基を有する多分岐ポリマー、
(b)ラジカル重合性化合物、
(c)重合開始剤、
(d)着色剤、及び、
(e)高分子分散剤
を含有することを特徴とする
インク組成物。 - 前記多分岐ポリマーがハイパーブランチポリマー又はデンドリマーである請求項1に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
- (a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び、
(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程を含むインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物が請求項1〜3いずれか1項に記載のインク組成物である
インクジェット記録方法。 - 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、かつ被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項4又は5に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
- (a)請求項1〜3いずれか1項に記載のインク組成物を親水性支持体上に吐出する工程、及び、
(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させることにより、前記インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記親水性支持体上に形成する工程を含む
平版印刷版の製造方法。 - 請求項7に記載の平版印刷版の製造方法によって製造された平版印刷版。
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