JP2013177378A - 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 - Google Patents
芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013177378A JP2013177378A JP2013019526A JP2013019526A JP2013177378A JP 2013177378 A JP2013177378 A JP 2013177378A JP 2013019526 A JP2013019526 A JP 2013019526A JP 2013019526 A JP2013019526 A JP 2013019526A JP 2013177378 A JP2013177378 A JP 2013177378A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- amino acid
- amino group
- site
- substitution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 *C(Cc(cc1)ccc1N)N Chemical compound *C(Cc(cc1)ccc1N)N 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
【課題】芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質において、芳香族アミノ基を特異的にPEG等の修飾化合物で修飾する方法の提供。
【解決手段】芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入し、該芳香族アミノ基を介して前記タンパク質を修飾化合物で修飾することを含む、タンパク質の部位特異的修飾化方法。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入し、該芳香族アミノ基を介して前記タンパク質を修飾化合物で修飾することを含む、タンパク質の部位特異的修飾化方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、タンパク質をPEG等の修飾化合物で修飾する方法に関し、具体的には芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いてタンパク質をPEG等の化合物で修飾する方法に関する。
タンパク質のPEG化は、タンパク質の生体内での安定性を高め、医薬品としての効果を高める上で、有用な手法である。実際に、インターフェロン(IFN)や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などがPEG化されて、医薬品として実用化されている。このようなPEG化タンパク質医薬品は、血中半減期が長く投与間隔を大幅に広げることが可能であり、患者の肉体的負担を大幅に低減させている。また、タンパク質医薬品は一般に高価であることから、治療に必要となるトータルの投与量の低減は、患者の経済的負担を大幅に低減し、ひいては社会全体の医療費の抑制に貢献できる。
(1)従来のPEG化法
タンパク質のPEG化は、活性化させたPEG試薬をLys側鎖のアミノ基等と反応させることで行われてきた(図1A)。しかし、様々な部位がランダムにPEG化されるために、しばしばタンパク質の活性が大きく低下してしまうという問題があった。また、製造ロットによってPEG化される位置や割合が変化する可能性があるために、同一の薬効を持つPEG化タンパク質を継続的に製造することが難しいという問題もあった。
タンパク質のPEG化は、活性化させたPEG試薬をLys側鎖のアミノ基等と反応させることで行われてきた(図1A)。しかし、様々な部位がランダムにPEG化されるために、しばしばタンパク質の活性が大きく低下してしまうという問題があった。また、製造ロットによってPEG化される位置や割合が変化する可能性があるために、同一の薬効を持つPEG化タンパク質を継続的に製造することが難しいという問題もあった。
一方、タンパク質N末端のα-アミノ基は、Lysのε-アミノ基より低いpKa値(酸解離定数)を持つために(多くの場合、pKa値はαアミノ基で7程度、εアミノ基で10程度)、低pH溶液中において選択的にPEG化することが可能である(図1B)。ただしこの手法は、N末端のアミノ基しかPEG化できないため、必ずしもタンパク質の安定性を向上できるとは限らない。
そこで、高い安定性と活性の両方を示すPEG化タンパク質の合成のためには、N末端以外への部位特異的なPEG化が可能な方法が必要とされている。
(2)非天然アミノ酸を利用した部位特異的PEG化法
そのための方法の一つとして、天然アミノ酸とは異なる反応性を持つ非天然アミノ酸をタンパク質に導入しておき、その非天然アミノ酸を選択的にPEG化する方法が開発されている。例えば、アジド基を付加した非天然アミノ酸、4-アジドフェニルアラニンをタンパク質に導入しておき、アルキンを有するPEG化試薬と反応させることで、アジドフェニルアラニンを特異的にPEG化することができる(図1C、非特許文献1を参照)。
そのための方法の一つとして、天然アミノ酸とは異なる反応性を持つ非天然アミノ酸をタンパク質に導入しておき、その非天然アミノ酸を選択的にPEG化する方法が開発されている。例えば、アジド基を付加した非天然アミノ酸、4-アジドフェニルアラニンをタンパク質に導入しておき、アルキンを有するPEG化試薬と反応させることで、アジドフェニルアラニンを特異的にPEG化することができる(図1C、非特許文献1を参照)。
しかしこの手法では、反応収率が十分に高くなく、PEG化のために特別に調製した試薬(この場合はアルキン化されたPEG)が必要となる。さらに、アジドとアルキン化PEGの反応によって生じるトリアゾール基のようなPEG部分とタンパク質の間の分子構造は、一般的な生体分子と比べて大きく構造が異なることから、高い抗原性を有する可能性がある。PEG化タンパク質を医薬品として投与する場合は、長期間繰り返し投与するため、抗原性を有する分子構造を持つことは抗体の出現を促し、望ましくない免疫応答を引き起こす可能性がある。
また、同様の原理により、4-アセチルフェニルアラニンを導入したタンパク質を、アミノオキシ基を有するPEG化試薬と反応させた報告がある(図1D、非特許文献2を参照)。この場合も、PEG化のために特別に調製した試薬が必要であり、PEG部分とタンパク質の間にはケトオキシム基が生じ、やはり抗原性を有する可能性がある。
さらに、ピロリンカルボキシリジンを導入したタンパク質を、2-アミノアセトフェノンまたは2-アミノベンズアルデヒドを有するPEG化試薬と反応させた報告もある(図1E、非特許文献3を参照)。この場合も同様に、PEG化のために特別に調製した試薬が必要であり、連結部分の分子構造は一般的な生体分子と比べて大きく構造が異なり、抗原性を有する可能性がある。
(3)芳香族アミノ基を有するタンパク質の部位特異的修飾法
その一方で、芳香族アミノ基をタンパク質に導入しておき、その芳香族アミノ基を低pH溶液中で特異的に化学修飾する手法が知られている。芳香族アミノ基は、タンパク質のN末端アミノ基やεアミノ基より低いpKa値(多くの場合、5程度)を示す。そのため、N末端のα-アミノ基やのε-アミノ基がプロトン化されて求核反応性が大きく低下するpH 5程度の弱酸性溶液中においても、芳香族アミノ基は脱プロトン化して求核反応性を保持しており、特異的にPEG化等の化学修飾を施すことが可能となる。
その一方で、芳香族アミノ基をタンパク質に導入しておき、その芳香族アミノ基を低pH溶液中で特異的に化学修飾する手法が知られている。芳香族アミノ基は、タンパク質のN末端アミノ基やεアミノ基より低いpKa値(多くの場合、5程度)を示す。そのため、N末端のα-アミノ基やのε-アミノ基がプロトン化されて求核反応性が大きく低下するpH 5程度の弱酸性溶液中においても、芳香族アミノ基は脱プロトン化して求核反応性を保持しており、特異的にPEG化等の化学修飾を施すことが可能となる。
例えば、テトラニトロメタン(C(NO2)4)を用いてタンパク質中のチロシン残基を3-ニトロチロシン残基に変換し、それをさらに還元剤(Na2S2O4)を用いて3-アミノチロシン残基に変換した。そしてこの3-アミノチロシン残基に対してpH 5で蛍光標識試薬(ダンシルクロリド)と反応させることで、3-アミノチロシンの芳香族アミノ基のみをダンシル基で修飾できることが報告されている(図1F、非特許文献4を参照)。ただしこの方法では、複数のチロシンを含むタンパク質の場合には、特定のチロシンだけを修飾することはできない。
一方、芳香族アミノ基をタンパク質中に導入する手法として、芳香族アミノ基を含む非天然アミノ酸を導入する方法もある。実際に、3-アミノチロシンの他に4-アミノフェニルアラニンが、tRNAの化学的アミノアシル化を用いる、あるいはアミノアシルtRNA合成酵素の変異体(非特許文献4を参照)を用いることで、タンパク質に導入できる。しかしこれまでに、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質において、芳香族アミノ基を特異的にPEG等の修飾化合物で修飾することは行われてこなかった。
Deitersa, A. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 5743
Cho H et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2011, 108, 9060-9065
W. Ou et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.2011,108, 10437-10442
Hans Neurath et al., Biochemistry 1971, 10, 551-557
本発明は、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質において、芳香族アミノ基を特異的にPEG等の修飾化合物で修飾する方法の提供。
本発明者らは、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質において、芳香族アミノ基を特異的にPEG等の修飾化合物で修飾する方法について鋭意検討を行った。その結果、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を終止コドン法等によりタンパク質に導入しておき、pH5程度の低pH溶液中で、芳香族アミノ基を特異的かつ高効率に修飾化合物で修飾することで、部位特異的に修飾されたタンパク質の合成を達成できることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入し、該芳香族アミノ基を介して前記タンパク質を修飾化合物で修飾することを含む、タンパク質の部位特異的修飾化方法。
[2] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入する方法が、終止コドン、4塩基コドン又は人工コドン法である、[1]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[3] 修飾化合物での修飾が、PEG(ポリエチレングリコール)によるPEG化である、[1]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[4] PEG化にPEGアルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をPEG化する、[3]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[5] 修飾化合物が、色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、合成高分子、核酸、糖及びポリペプチドからなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[6] アルデヒド基を導入した修飾化合物を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を修飾する、[5]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[7] アルデヒド基を導入した蛍光物質を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を蛍光物質で修飾する、[6]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[8] TAMRA-X-アルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をTAMRAで修飾する、[7]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[9] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、フェニルアラニン又はチロシンのベンゼン環上にアミノ基が直接結合(置換位置は問わない)した構造を有する、[1]〜[8]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[10]芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、4-アミノフェニルアラニン又は3-アミノチロシンである[9]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[11] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、非天然アミノ酸のα炭素とアミノ基が結合した芳香環がメチレン基1個よりも長いリンカーを介して結合した構造を有する、[1]〜[8]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[12] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、アミノベンジルオキシカルボニルリジン、アミノベンゾイルリジン及びアミノフェニルアセチルリジンからなる群から選択される、[11]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[13] 3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体であって、配列番号2に表されるアミノ酸配列を有するMethanosarcina mazei由来のピロリジルtRNA合成酵素において、以下の(i)〜(v)のいずれかの変異を有するアミノアシルtRNA合成酵素変異体:
(i) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのロイシンへの置換;
(ii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのメチオニンへの置換;
(iii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのフェニルアラニンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;
(iv) 306位のチロシンのアラニンへの置換、348位のシステインのイソロイシンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;並びに
(v) 306位のチロシンのアラニンへの置換及び309位のロイシンのメチオニンへの置換。
[14] [13]のアミノアシルtRNA合成酵素変異体を用いて3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを人工的にタンパク質に導入する、[1]〜[12]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[1] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入し、該芳香族アミノ基を介して前記タンパク質を修飾化合物で修飾することを含む、タンパク質の部位特異的修飾化方法。
[2] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入する方法が、終止コドン、4塩基コドン又は人工コドン法である、[1]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[3] 修飾化合物での修飾が、PEG(ポリエチレングリコール)によるPEG化である、[1]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[4] PEG化にPEGアルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をPEG化する、[3]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[5] 修飾化合物が、色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、合成高分子、核酸、糖及びポリペプチドからなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[6] アルデヒド基を導入した修飾化合物を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を修飾する、[5]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[7] アルデヒド基を導入した蛍光物質を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を蛍光物質で修飾する、[6]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[8] TAMRA-X-アルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をTAMRAで修飾する、[7]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[9] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、フェニルアラニン又はチロシンのベンゼン環上にアミノ基が直接結合(置換位置は問わない)した構造を有する、[1]〜[8]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[10]芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、4-アミノフェニルアラニン又は3-アミノチロシンである[9]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[11] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、非天然アミノ酸のα炭素とアミノ基が結合した芳香環がメチレン基1個よりも長いリンカーを介して結合した構造を有する、[1]〜[8]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[12] 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、アミノベンジルオキシカルボニルリジン、アミノベンゾイルリジン及びアミノフェニルアセチルリジンからなる群から選択される、[11]のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
[13] 3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体であって、配列番号2に表されるアミノ酸配列を有するMethanosarcina mazei由来のピロリジルtRNA合成酵素において、以下の(i)〜(v)のいずれかの変異を有するアミノアシルtRNA合成酵素変異体:
(i) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのロイシンへの置換;
(ii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのメチオニンへの置換;
(iii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのフェニルアラニンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;
(iv) 306位のチロシンのアラニンへの置換、348位のシステインのイソロイシンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;並びに
(v) 306位のチロシンのアラニンへの置換及び309位のロイシンのメチオニンへの置換。
[14] [13]のアミノアシルtRNA合成酵素変異体を用いて3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを人工的にタンパク質に導入する、[1]〜[12]のいずれかのタンパク質の部位特異的修飾化方法。
本発明の方法は、元々天然のタンパク質に存在しない、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸をタンパク質に人工的に導入し、該芳香族アミノ酸を介してPEG等の修飾化合物をタンパク質に結合させて、タンパク質を修飾する。この方法によれば、タンパク質の特定の位置のみを部位特異的に修飾することができ、タンパク質がランダムに修飾されることはない。このため、安定に活性を維持した修飾タンパク質を高効率で作製することができる。さらに、常にタンパク質の同じ位置でタンパク質が修飾されるため、製造ロットによる活性の差も生じず、同一の効果、例えば薬効を有する修飾タンパク質を継続的に作製することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いてタンパク質を部位特異的に修飾化合物で修飾する方法である。修飾化合物としては、PEG(ポリエチレングリコール)やその他の合成高分子、色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、ビオチン等の補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、核酸、糖、ポリペプチド等が挙げられる。
本発明は、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いてタンパク質を部位特異的に修飾化合物で修飾する方法である。修飾化合物としては、PEG(ポリエチレングリコール)やその他の合成高分子、色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、ビオチン等の補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、核酸、糖、ポリペプチド等が挙げられる。
以下、修飾化合物としてPEGを用いる場合の方法について説明し、その他の修飾化合物については後記する。本発明において、化合物により修飾することは、化合物で標識することをいう。
1.芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的なPEG化方法
本発明は、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸をタンパク質に導入しておき、pH5程度の低pH溶液中で、芳香族アミノ基を特異的かつ高効率にPEG化(ペグ化)することで、部位特異的にPEG化されたタンパク質の合成を実現するものである。
本発明は、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸をタンパク質に導入しておき、pH5程度の低pH溶液中で、芳香族アミノ基を特異的かつ高効率にPEG化(ペグ化)することで、部位特異的にPEG化されたタンパク質の合成を実現するものである。
「非天然アミノ酸」とは、同一分子内にアミノ酸骨格を有し、自然界の生物がタンパク質合成の際に使用する20種類のアミノ酸以外のあらゆる化合物を指し、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸はアミノ基が結合した芳香環をアミノ酸骨格に結合させることにより作製することができる。「アミノ酸骨格」はアミノ酸中のカルボキシル基、アミノ基、およびこれらを連結している部分を含有する。「芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸」とは、非天然アミノ酸が芳香環を有し該芳香環にアミノ基が結合している非天然アミノ酸をいう。「芳香環」とは、一般的に、あらゆる不飽和環状化合物を指す。したがって、5もしくは6員の複素芳香環、または2個以上、好ましくは2〜5個、さらに好ましくは2〜3個の環構造を含む多環性化合物も含む。特に、芳香環はベンゼン環であることが好ましい。天然型アミノ酸のうち、フェニルアラニンおよびチロシンはその側鎖に芳香環を含有する天然型芳香族アミノ酸であり、該芳香環にアミノ基が結合した非天然アミノ酸は、本発明の芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸に含まれる。すなわち、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸として、芳香族アミノ基を有するフェニルアラニン誘導体およびチロシン誘導体が挙げられ、具体的には、4-アミノフェニルアラニン(AF)、2-アミノフェニルアラニン、3-アミノフェニルアラニン、2-アミノチロシン、3-アミノチロシン等が挙げられる。図1に4-アミノフェニルアラニン(AF)の構造を示す。本発明においては、非天然アミノ酸は、遊離の非天然アミノ酸として合成されたものをいい、該非天然アミノ酸はタンパク質合成時にタンパク質に導入される。従って、元々タンパク質に存在するチロシン等の芳香環を有するアミノ酸にアミノ基を導入した場合は、本発明の芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質に該当しない。
さらに、上記の芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸において、非天然アミノ酸は、リンカーを介して芳香族アミノ基を有していてもよい。非天然アミノ酸がリンカーを介して芳香族アミノ基を有しているとは、非天然アミノ酸のα炭素(アミノ基およびカルボキシル基に隣接している炭素原子)と、アミノ基が結合した芳香環が、メチレン基(-CH2-)1個よりも長いリンカーを介して結合していることをいう。すなわち、チロシンまたはフェニルアラニンの芳香環上にアミノ基が結合していても、アミノ酸のα炭素とリンカーを介して離れて結合している芳香環上にアミノ基が結合していてもよい。
チロシン又はフェニルアラニン等の芳香環上にアミノ基を持つ非天然アミノ酸は、タンパク質への導入部位によっては、芳香環の強い疎水性のために芳香族アミノ基がタンパク質内部に埋もれてしまい、PEG化の反応の効率が大きく低下する可能性がある。そこで、そのような問題を回避するために、タンパク質に芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入する際に、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸の側鎖にリンカーを結合させ、該リンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸をタンパク質に導入すればよい。
ここで、リンカーは、その主鎖部分にC、O、NおよびSのうちの少なくとも1種を少なくとも1つ以上含んでいればよい。リンカーは、好ましくは炭素数2以上の炭素鎖とアミド結合構造(-NH-C(=O)-)を含むものであり、例えば、-(CH)4-NH-C(=O)-、-(CH)4-NH-C(=O)-CH2-および-(CH)4-NH-C(=O)-O-CH2-が挙げられる。
具体的には、例えば、リジンの側鎖アミノ基に芳香族アミノ基を含む分子を結合させた非天然アミノ酸が挙げられる。このような非天然アミノ酸として、アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))、アミノフェニルアセチルリジン(Lys(APA))、アミノベンゾイルリジン(Lys(Abz))等が挙げられ、例えば、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))、4-アミノフェニルアセチルリジン(Lys(4APA))、2-アミノベンゾイルリジン(Lys(2Abz))、3-アミノベンゾイルリジン(Lys(3Abz))、4-アミノベンゾイルリジン(Lys(4Abz))がある。例えば、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))は、アミノ酸主鎖のα炭素から炭素鎖長4のアルキル鎖とウレタン結合とメチレン基を介してアニリン分子が結合しているために、タンパク質に導入した場合に芳香族アミノ基はタンパク質内部に埋もれることがなく、効率的にPEG化が可能となる。図3に3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))の構造を示す。
なお、本発明において、タンパク質に導入する芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸には、リンカーを含むものと含まないものがあるが、リンカーを含まない芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸は、フェニルアラニン(Phe)又はチロシン(Tyr)のベンゼン環上にアミノ基が直接結合(置換位置は問わず、ベンゼン環に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよい)した構造を有する非天然アミノ酸であり、リンカーを含む芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸は、非天然アミノ酸のα炭素とアミノ基が結合した芳香環が、メチレン基1個よりも長いリンカーを介して結合した構造を有する非天然アミノ酸(置換位置は問わず、例えば芳香環がベンゼン環の場合、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよい)であるということができる。
PEG化するタンパク質は、限定されずあらゆるタンパク質が対象となるが、特に医薬として用い生体に投与するタンパク質が好ましい、具体的には、例えば、インターフェロン(IFN)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)等が挙げられる。
本発明においては、最初にPEG化しようとするタンパク質に芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入する。非天然アミノ酸のタンパク質への導入は、自然界ではアミノ酸が割り当てられていないコドンに非天然アミノ酸を割り当てコドンを拡張する方法である終止コドン法、4塩基コドン法、人工コドン法のいずれの方法も用いることができる。この中でも終止コドン法が好ましい。終止コドン法は、Science,244,p.182.1989およびJ.Am.Chem.Soc., 111,p.8013,1989の記載に従って実施することができる。また、4塩基コドン法は、Hohsaka T., et al., J. Am. Chem. Soc., 118, 9778-9779, 1996およびHohsaka T., et al., J. Am. Chem. Soc., 121, 34-40, 1999、人工塩基コドン法は、Hirao, I., et al., Nature Biotech., 20, 177-182, 2002の記載に従って行うことができる。この場合、非天然アミノ酸を導入しようとするタンパク質のアミノ酸配列の任意のアミノ酸を非天然アミノ酸で置換されるようにすればよい。すなわち、前記タンパク質をコードするDNAの塩基配列において、非天然アミノ酸に置換しようとするアミノ酸に対応するコドンを前記の終止コドン、4塩基コドン、人工コドンに置換し、該置換したコドンに非天然アミノ酸を割り当てればよい。
芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を含むタンパク質を作製するためには、該非天然アミノ酸とtRNAとを結合させる必要がある。このためには、非天然アミノ酸を認識するアミノアシルtRNA合成酵素を用いればよい。あるいは、非天然アミノ酸を化学的アミノアシル化法によりtRNAに結合させればよい。この際、tRNAのアンチコドン部位を上記の非天然アミノ酸に割り当てた終止コドン、4塩基コドン、人工コドンに相補的な配列とする。
上記のコドンを置換したDNAを鋳型に、非天然アミノ酸のアミノアシルtRNAの存在下で、タンパク質合成を行えばよい。タンパク質合成は公知の方法で行うことができ、大腸菌や真核細胞等の細胞内で合成する方法や無細胞翻訳系によって合成する方法がある。例えば、大腸菌等の細胞を上記のコドンを置換したタンパク質をコードするDNAを含むプラスミド及び上記の非天然アミノ酸に特異的なアミノアシルtRNA合成酵素をコードするDNAおよびtRNAをコードするDNAを含むプラスミドを用いて形質転換することにより、該細胞中で非天然アミノ酸を含むアミノアシルtRNAが合成され、タンパク質をコードするDNAを鋳型として、非天然アミノ酸が導入されたタンパク質が合成される。
特定の非天然アミノ酸に対するアミノアシルtRNA合成酵素は、例えば、メタン合成古細菌(Methanosarcina属)のピロリジンに対応するアミノアシルtRNA合成酵素であるピロリジルtRNA合成酵素を基にして作製することができる。ピロリジルtRNAはアンバーサプレッサーtRNA(アンバー終止コドンを認識するtRNA)であり、ピロリジルtRNA合成酵素は、ピロリジンをアンバーサプレッサーtRNAに結合することで、アンバーコドン特異的にタンパク質にピロリジンを導入する。該ピロリジルtRNA合成酵素のアミノ酸を認識する基質結合部位を構成するアミノ酸を他のアミノ酸で置換し、特定の非天然アミノ酸を認識して結合し得るアミノアシルtRNA合成酵素を得ればよい。このアミノアシルtRNA合成酵素はタンパク質に導入しようとする非天然アミノ酸を認識し、非天然アミノ酸が結合したアミノアシルtRNA合成酵素を合成しうる。タンパク質翻訳の際に、合成した、非天然アミノ酸を認識するアミノアシルtRNAを用いることにより、アンバーコドンに対応して、前記の非天然アミノ酸がタンパク質に導入される。上記のピロリジルtRNA合成酵素(PylRS)は、好ましくはMethanosarcina mazei由来のピロリジルtRNA合成酵素が用いられる。アミノ酸の置換はランダムに行い、アミノ酸を置換した変異体の中から、非天然アミノ酸を認識するtRNA合成酵素変異体を選択し用いればよい。
また、例えば、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸がアミノフェニルアラニンである場合、アミノフェニルアラニン特異的アミノアシルtRNA合成酵素変異体(Mehl, R. A. et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 935-939)を用いて、大腸菌内で終止コドンであるアンバーコドンTAGに対してアミノフェニルアラニンをタンパク質に導入することができる。
特に、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸として、リンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いる場合、これまで炭素鎖長2以上のリンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体は存在しなかった。そのような非天然アミノ酸に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体は上記のように、以下の方法で作製することができる。Methanosarcina mazei(メタノサルシナ・マゼイ)由来のピロリジン(pyrrolysine)に対するアミノアシルtRNA合成酵素を基にして、その基質結合部位を構成するアミノ酸をランダムに置換しておき、その中からリンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸に対する変異体を選択すればよい。Methanosarcina mazei由来のピロリジルtRNA合成酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号1に、ピロリジルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を配列番号2に示す。3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを認識するピロリジルtRNA合成酵素変異体として、306位のチロシン、309位のロイシン、348位のシステイン及び413位のイソロイシンを元のアミノ酸以外のアミノ酸に置換した変異体が挙げられる。そのような変異体として以下の(i)〜(v)のいずれかのアミノ酸変異を有する変異体が挙げられる。
(i) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのロイシンへの置換;
(ii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのメチオニンへの置換;
(iii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのフェニルアラニンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;
(iv) 306位のチロシンのアラニンへの置換、348位のシステインのイソロイシンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;並びに
(v) 306位のチロシンのアラニンへの置換及び309位のロイシンのメチオニンへの置換。
(ii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのメチオニンへの置換;
(iii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのフェニルアラニンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;
(iv) 306位のチロシンのアラニンへの置換、348位のシステインのイソロイシンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;並びに
(v) 306位のチロシンのアラニンへの置換及び309位のロイシンのメチオニンへの置換。
306位のチロシンをアラニンへ置換し、309位のロイシンをアラニンへ置換し、348位のシステインをメチオニンに置換した変異体が好ましい。
あるいは、化学的アミノアシル化法を用いて非天然アミノ酸のアミノアシルtRNAを合成することもてきる。この場合、非天然アミノ酸をtRNAに結合するために必要な特定の基を非天然アミノ酸に結合させておく必要がある。例えば、アミノ酸のカルボキシル基にジヌクレオチド(pdCpA)を結合させておけば、3’末端のCAジヌクレオチドを欠落させたtRNA(tRNA(-CA))と結合させ、人工アミノアシルtRNAを作製することができる。人工アミノアシルtRNAの作製は、WO2004/009709国際公開パンフレットやRobertson, S. A. et al., J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722-2729等の記載に従って行うことができる。例えば、アミノ酸のαアミノ基をBoc基で、側鎖官能基をBocもしくはOtBocで保護し、Boc-アミノ酸をシアノメチルエステル化した後、pdCpAと反応させるか、縮合剤カルボニルイミダゾール(CDI)を用いてBocアミノ酸とpdCpAを反応させる方法により、アミノアシルpdCpAを作製することができる。tRNA(-CA)との連結はT4 RNAリガーゼを用いればよい。化学的アミノアシル化法で合成した非天然アミノ酸のタンパク質への導入は無細胞翻訳系により行う。無細胞翻訳系による非天然アミノ酸の導入は、例えば、WO2004/009709国際公開パンフレットやHohsaka T., et al., J. Am. Chem. Soc., 121, 34-40, 1999の記載に従って行うことができる。
次いで、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質を、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、2-メチルピリジンボラン((C5H4N)CH3・BH3)、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)3)等の還元剤の存在下で、PEGアルデヒドと混合する。ここで、PEGアルデヒドとはアルデヒド官能基を有するPEGをいう。PEG誘導体は、平均分子量が好ましくは約5〜約40kDaである。
この際、溶液のpHを6以下、好ましくは3.5〜5.5で行う。芳香族アミノ基は、PEG化しようとするタンパク質のN末端アミノ基やεアミノ基より低いpKa値(多くの場合、5程度)を示す。この場合、N末端のα-アミノ基やリジン側鎖のε-アミノ基がプロトン化されて求核反応性が大きく低下するpH 5程度の弱酸性溶液中においても、芳香族アミノ基は脱プロトン化して求核反応性を保持しており、特異的にPEG化等の化学修飾を施すことが可能となる。
その結果、シッフ塩基形成を経由した芳香族アミンの還元的アルキル化によりタンパク質がPEG化される。図4に非天然アミノ酸として4-アミノフェニルアラニン(AF)を用いた場合の反応経路を、図5に非天然アミノ酸として3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))を用いた場合の反応経路を示す。弱酸性条件下で行うことによりタンパク質が元々有するαアミノ基やεアミノ基をほとんど反応させずに、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸の芳香族アミノ基のみを高効率でPEG化することができる。PEGアルデヒドを用いた還元的アルキル化反応を利用してPEG化する場合、芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質とPEGアルデヒドの量比、反応時間、反応温度、添加するNaBH3CN等の還元剤の量を適宜設定することにより、タンパク質1分子に結合するPEGの数を制御することができる。例えば、非天然アミノ酸を導入したタンパク質に対するPEGアルデヒドの添加量(モル当量)を5当量以下、好ましくは4当量以下、さらに好ましくは3当量以下にすることによりモノPEG化が効率的に起こる。また、反応時間を24時間以下にすることにより、モノPEG化が効率的に起こる。さらに、反応温度を20℃以下、好ましくは10℃以下、さらに好ましくは5℃以下とすることでモノPEG化が効率的に起こる。さらに、還元剤NaBH3CNの添加量を4mM以下とすることによりモノPEG化が効率的に起こる。
なお、芳香族アミノ基をPEG化するための反応としては、PEGスクシンイミドエステルを用いたアミド結合による反応も利用できる。しかし、芳香族アミノ基は求核反応性が低く、PEGスクシンイミドエステルとの反応は効率が低い。そのため、PEG化するための反応としては、PEGアルデヒドとの還元的アルキル化反応が好ましい。ただし、これに限定されるものではない。
この反応の結果生じるPEG化タンパク質において、タンパク質とPEGとの間の化学結合は、生体分子にも多く含まれるアルキル化アミンを介した結合であり、抗原性は低いので、医薬として生体に投与しても、免疫反応を誘発することはない。
また、PEGアルデヒドはN末端アミノ基の選択的なPEG化などに利用されており、市販されているため、PEG化試薬を特別に調製する必要は無い。このような、市販試薬を用いて高効率で部位特異的にPEG化され、かつその連結部分の抗原性が低いPEG化タンパク質の合成法はこれまでに存在せず、本発明は、生体内で安定性が高くかつ免疫原性の低いタンパク質医薬品を合成するための非常に有用な手法となる。
2.芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質のPEG以外の修飾化合物による部位特異的修飾
芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いたタンパク質の部位特異的PEG化の手法は、PEG以外の修飾化合物についても適用可能である。すなわち、タンパク質にリンカーを介して又はリンカーを介さずに芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入し、芳香族アミノ基に修飾化合物を結合させることができる。修飾化合物としては、当業者に公知の色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、ビオチン等の補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、合成高分子、核酸、糖およびポリペプチドが挙げられる。例えば、蛍光物質として、TAMRA、Fluorescein、Texas Red、Rhodamine Red、AlexaFluor、Cy3、Cy5、BODIPYFL、BODIPY558/568等が挙げられる。
芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を用いたタンパク質の部位特異的PEG化の手法は、PEG以外の修飾化合物についても適用可能である。すなわち、タンパク質にリンカーを介して又はリンカーを介さずに芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入し、芳香族アミノ基に修飾化合物を結合させることができる。修飾化合物としては、当業者に公知の色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、ビオチン等の補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、合成高分子、核酸、糖およびポリペプチドが挙げられる。例えば、蛍光物質として、TAMRA、Fluorescein、Texas Red、Rhodamine Red、AlexaFluor、Cy3、Cy5、BODIPYFL、BODIPY558/568等が挙げられる。
タンパク質に導入した芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸のアミノ基への修飾化合物の結合は、上記のPEGを結合させる方法と同様の方法で行うことができる。すなわち、上記修飾物質にアルデヒド基を導入し、還元的アルキル化反応を起こさせればよい。例えば、TAMRA等の蛍光物質にアルデヒド基を導入した化合物を用いればよく、TAMRA-X-アルデヒドが挙げられる。TAMRA-X-アルデヒドの構造を図18に示す。TAMRA-X-アルデヒドのアルデヒド基が結合するアルキル鎖はリンカーとして炭素鎖長を変更することができる(図18のn)。例えば、炭素鎖長が1〜15、好ましくは1〜10でも効率的にタンパク質をTAMRAで修飾することができる。
このようにして作製した修飾タンパク質は医薬のみならず、診断薬や研究用試薬として利用することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 アミノフェニルアラニンを導入したSODの部位特異的PEG化
ヒト由来スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。アルギニンのレアコドン(Arg70のAGA、Arg80のAGG)をCGTに置換して、これを野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号3に示す)。続いて、Lys4あるいはTrp33部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。
ヒト由来スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。アルギニンのレアコドン(Arg70のAGA、Arg80のAGG)をCGTに置換して、これを野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号3に示す)。続いて、Lys4あるいはTrp33部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。
このプラスミドを、4-アミノフェニルアラニンを認識するMethanocaldococcus jannaschii由来のアミノアシルtRNA合成酵素およびアンバーサプレッサーtRNAの遺伝子を有するプラスミド(Mehl, R. A. et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 935-939に従って作成)とともに、大腸菌BL21(DE3)株に導入した。カルベニシリンとテトラサイクリンを含むプレートからコロニーを取り、3mLのM9最少培地(カルベニシリン、テトラサイクリン、微量金属を含む)に植えて、37℃で飽和するまで培養した。この培養液を300mLのM9最少培地(1mMのアミノフェニルアラニンを含む)に加えて、37℃でOD660が0.7になるまで培養し、その後0.4mM IPTGを加えて4〜8時間培養した。遠心分離によって集菌した後、Bugbuster(Novagen社)を用いて溶菌した。遠心分離後に上清を回収して、AKTA ExplorerでHisTrap HPカラム(GEヘルスケア社)を用いてSODを精製した。カラムを10mLの洗浄バッファー(20 mMリン酸バッファー, pH 7.5, 500 mM NaCl, 5 mM imidazole)で洗浄した後、2mLの溶出バッファー(20 mMリン酸バッファー, pH 7.5, 500 mM NaCl, 500 mM imidazole)で溶出した。TBSバッファー(TBS, 20 mM Tris-HCl pH 7.5, 150 mM NaCl)を加えて、限外ろ過(Amicon社、10-kDa molecular mass cutoff)により濃縮した。タンパク質の濃度をBCAアッセイキット(Thermo Fisher Scientific社)により決定した。野生型SODも、LB培地を用いて同様の方法により発現、精製した。
野生型(Wild-type)およびアミノフェニルアラニンを導入したSOD (1.0μg/μL, 20μM)は、50 mM クエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0), PEGアルデヒド(100μM(5当量)、分子量5kDa、日油社)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN, 2 mM)と混合して、4℃でPEG化反応を行なった。24時間後にサンプリングして、SDS-PAGEで分析した。電気泳動ゲルはCBB染色した。
図6に、SDS-PAGEで分析した反応液のpHを変えた場合のSOD(野性型(Wild-type)及びTrp33にアミノフェニルアラニンを導入)のPEG化の結果を示す。図6に示すように、pH6以下でアミノフェニルアラニンを導入したSODでは明確なPEG化が認められた。図においてPEGが一分子結合したものをモノPEG化、二分子結合したものをジPEG化と表している。一方、野生型SODではPEG化はほとんど進行しなかった(非PEG化)。この結果は、アミノフェニルアラニン特異的にPEG化が起きていることを示している。ただしpHが低くなるにつれてPEGが二分子結合したもの(ジPEG化)、おそらくは芳香族アミンが2回還元的アルキル化されてPEG2分子が結合したもの、が多く生成したことから、反応液のpHは以下の実験では主に5となるようにした。
また、図7に、SDS-PAGEで分析したPEGアルデヒドの添加量を変えた場合のSODのPEG化の結果を示す。図7に示すように、PEGアルデヒドの添加量をタンパク質の3〜5当量とすることで、効率良くPEG化SODが得られることが確認された。
さらに、図8に、SDS-PAGEで分析したPEGアルデヒドの分子量を変えた場合のSODのPEG化の結果を示す。図8に示すように、PEGアルデヒドの分子量を10, 20, 30 kDaに変化させた場合、それぞれ対応する分子量のPEG化SODが得られることも確認された。
実施例2 アミノフェニルアラニンを導入したインターフェロンの部位特異的PEG化
ヒト由来インターフェロンα2b遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。連続するアルギニンのレアコドン(Arg12-Arg13のAGG AGG、Arg22-Arg23のAGG AGA)をそれぞれCGT CGCに置換して野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号4に示す)。続いて、Lys70部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。実施例1に記載のSODの合成と同様の手法により、野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したインターフェロンを発現、精製した。PEG化反応の生成物をヒスチジンタグに対する抗体を用いたウエスタンブロットによって分析したところ、アミノフェニルアラニンを導入したインターフェロンにおいてのみ、PEG化が起こることが確認された(図9)。
ヒト由来インターフェロンα2b遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。連続するアルギニンのレアコドン(Arg12-Arg13のAGG AGG、Arg22-Arg23のAGG AGA)をそれぞれCGT CGCに置換して野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号4に示す)。続いて、Lys70部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。実施例1に記載のSODの合成と同様の手法により、野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したインターフェロンを発現、精製した。PEG化反応の生成物をヒスチジンタグに対する抗体を用いたウエスタンブロットによって分析したところ、アミノフェニルアラニンを導入したインターフェロンにおいてのみ、PEG化が起こることが確認された(図9)。
実施例3 アミノフェニルアラニンを導入したG-CSFの部位特異的PEG化
ヒト由来顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。アルギニンのレアコドン(Arg22のAGG、Arg147のCGG)をCGTに置換して、これを野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号5に示す)。続いて、Tyr165部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。実施例1のSODの合成と同様の手法により、野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したG-CSFを発現、精製した。PEG化反応の生成物をヒスチジンタグに対する抗体を用いたウエスタンブロットによって分析したところ、アミノフェニルアラニンを導入したG-CSFにおいてのみ、PEG化が起こることが確認された(図10)。なお、アミノフェニルアラニン導入G-CSFの収量が低いために、PEG化の反応条件の検討は十分に行なえなかったため、PEG化の効率は高くないが、今後反応条件を最適化することで、SODと同様の高効率でのPEG化が可能になると考えられる。
ヒト由来顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)遺伝子は、NBRC(NITE Biological Resource Center)のヒトcDNAクローンライブラリーから入手した。そのC末端にヒスチジンタグを付加し、pGEMEX-1ベクター(Promega社)のT7 gene 10のコーディング領域の代わりとなるようにクローニングした。アルギニンのレアコドン(Arg22のAGG、Arg147のCGG)をCGTに置換して、これを野生型遺伝子とした(塩基配列を配列番号5に示す)。続いて、Tyr165部位のコドンをアンバーコドンTAGに置換した。実施例1のSODの合成と同様の手法により、野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したG-CSFを発現、精製した。PEG化反応の生成物をヒスチジンタグに対する抗体を用いたウエスタンブロットによって分析したところ、アミノフェニルアラニンを導入したG-CSFにおいてのみ、PEG化が起こることが確認された(図10)。なお、アミノフェニルアラニン導入G-CSFの収量が低いために、PEG化の反応条件の検討は十分に行なえなかったため、PEG化の効率は高くないが、今後反応条件を最適化することで、SODと同様の高効率でのPEG化が可能になると考えられる。
実施例4 3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODの部位特異的PEG化
これまで炭素鎖長2以上のリンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体は存在しなかった。そこで、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体を作製した。これは、Methanosarcina mazei由来のピロリジン(pyrrolysine)に対するアミノアシルtRNA合成酵素を基にして、その基質結合部位を構成するアミノ酸をランダムに置換しておき、その中から3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対する変異体を選択することにより実現した。3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを認識するMethanosarcina mazei由来のアミノアシルtRNA合成酵素変異体の選択は、T. Yanagisawa, et al., Chem. Biol.2008, 15, 1187-1197に記載の方法によって行った。その際、アミノ酸変異部位は、基質結合部位を構成するTyr306、Leu309、Cys348、Ile413、Trp417とした。その結果、得られた変異体のアミノ酸配列を表1に示す。
これまで炭素鎖長2以上のリンカーを介して芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体は存在しなかった。そこで、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジン(Lys(AZ))に対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体を作製した。これは、Methanosarcina mazei由来のピロリジン(pyrrolysine)に対するアミノアシルtRNA合成酵素を基にして、その基質結合部位を構成するアミノ酸をランダムに置換しておき、その中から3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対する変異体を選択することにより実現した。3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを認識するMethanosarcina mazei由来のアミノアシルtRNA合成酵素変異体の選択は、T. Yanagisawa, et al., Chem. Biol.2008, 15, 1187-1197に記載の方法によって行った。その際、アミノ酸変異部位は、基質結合部位を構成するTyr306、Leu309、Cys348、Ile413、Trp417とした。その結果、得られた変異体のアミノ酸配列を表1に示す。
それぞれの変異体の酵素活性を比較した結果、Clone 2が最も高い酵素活性を示したことから、以下の実験にはClone 2を用いた。
Clone 2の3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体遺伝子とアンバーサプレッサーtRNAの遺伝子を有するプラスミドを、Lys4のコドンをアンバーコドンに置換したSOD遺伝子を含むプラスミドとともに、大腸菌BL21(DE3)株に導入した。M9最少培地の代わりにLB培地を用いて、アミノフェニルアラニン導入SODの場合と同様の方法により、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODを合成、精製した。
実施例1のアミノフェニルアラニンを導入したSODと同様の手法により、PEGアルデヒドとの反応を行い、生成物をSDS-PAGEのCBB染色によって検出したところ、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODにおいてのみ、PEG化が起こることが確認された(図11)。
実施例5
4-アミノフェニルアセチルリジン(Lys(4APA))、2-アミノベンゾイルリジン(Lys(2Abz))、3-アミノベンゾイルリジン(Lys(3Abz))、4-アミノベンゾイルリジン(Lys(4Abz))について、化学的アミノアシル化によりアンバーサプレッサーtRNAに結合させた。これらの化合物の化学式を図12に示す。これをN末端領域に4塩基コドンCGGGを挿入してLys115部位をアンバーコドンに置換したカルモジュリン遺伝子(塩基配列を配列番号6に示す)のmRNA、および、TAMRA標識アミノ酸を結合させた4塩基コドン用tRNAとともに、大腸菌由来無細胞翻訳系に加えた。実験は、Y. Tokuda, et al., J. Biosci. Bioeng. 2011, 111, 402-407に記載の方法と同様にして行った。得られた蛍光標識されて芳香族アミン含有非天然アミノ酸の導入されたカルモジュリンは、C末端に付加したヒスチジンタグを用いて精製した。これを実施例1のSODのPEG化と同様の手法により、pH3.5〜5.5においてPEGアルデヒドと反応させて、生成物をSDS-PAGEの蛍光イメージにより検出した。図13に示すように、いずれの非天然アミノ酸についてもPEG化されたカルモジュリンのバンドが検出されており、これらの非天然アミノ酸の芳香族アミンに特異的にPEG化が起きていることが確認された。
4-アミノフェニルアセチルリジン(Lys(4APA))、2-アミノベンゾイルリジン(Lys(2Abz))、3-アミノベンゾイルリジン(Lys(3Abz))、4-アミノベンゾイルリジン(Lys(4Abz))について、化学的アミノアシル化によりアンバーサプレッサーtRNAに結合させた。これらの化合物の化学式を図12に示す。これをN末端領域に4塩基コドンCGGGを挿入してLys115部位をアンバーコドンに置換したカルモジュリン遺伝子(塩基配列を配列番号6に示す)のmRNA、および、TAMRA標識アミノ酸を結合させた4塩基コドン用tRNAとともに、大腸菌由来無細胞翻訳系に加えた。実験は、Y. Tokuda, et al., J. Biosci. Bioeng. 2011, 111, 402-407に記載の方法と同様にして行った。得られた蛍光標識されて芳香族アミン含有非天然アミノ酸の導入されたカルモジュリンは、C末端に付加したヒスチジンタグを用いて精製した。これを実施例1のSODのPEG化と同様の手法により、pH3.5〜5.5においてPEGアルデヒドと反応させて、生成物をSDS-PAGEの蛍光イメージにより検出した。図13に示すように、いずれの非天然アミノ酸についてもPEG化されたカルモジュリンのバンドが検出されており、これらの非天然アミノ酸の芳香族アミンに特異的にPEG化が起きていることが確認された。
実施例6
3-アミノチロシンについて、化学的アミノアシル化と無細胞翻訳系を用いた実施例5と同様の手法により、タンパク質に導入した。図14に3-アミノチロシン(aminoTyr)の化学式を示す。ただしカルモジュリンの代わりにSODを使用して、導入部位はTrp33とした。得られた蛍光標識されて3-アミノチロシンの導入されたSODを精製後、実施例1のSODのPEG化と同様の手法により、pH4.5-5.5においてPEGアルデヒドと反応させて、反応開始直後(0h)および24時間後(24h)の生成物をSDS-PAGEの蛍光イメージにより検出した。図15に示すように、3-アミノチロシンを導入した場合にPEG化されたSODのバンドが検出されており、3-アミノチロシンの芳香族アミンに特異的にPEG化が起きていることが確認された。
3-アミノチロシンについて、化学的アミノアシル化と無細胞翻訳系を用いた実施例5と同様の手法により、タンパク質に導入した。図14に3-アミノチロシン(aminoTyr)の化学式を示す。ただしカルモジュリンの代わりにSODを使用して、導入部位はTrp33とした。得られた蛍光標識されて3-アミノチロシンの導入されたSODを精製後、実施例1のSODのPEG化と同様の手法により、pH4.5-5.5においてPEGアルデヒドと反応させて、反応開始直後(0h)および24時間後(24h)の生成物をSDS-PAGEの蛍光イメージにより検出した。図15に示すように、3-アミノチロシンを導入した場合にPEG化されたSODのバンドが検出されており、3-アミノチロシンの芳香族アミンに特異的にPEG化が起きていることが確認された。
実施例7
実施例1で得られたアミノフェニルアラニンを導入したSODに対して、TAMRA(商標名、一般名はCarboxytetramethylrhodamine)-X-アルデヒドを用いて、部位特異的蛍光標識を行った。野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したSOD(1.0μg/μL, 20μM)は、50 mM クエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0), TAMRA-X-アルデヒド(20〜60μM(1〜3当量)),シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN, 2 mM)と混合して、4℃でPEG化反応を行なった。12時間後および24時間後にサンプリングして、SDS-PAGEで分析した。電気泳動ゲルは蛍光イメージにより検出した。図16に修飾化反応の経路を示す。
実施例1で得られたアミノフェニルアラニンを導入したSODに対して、TAMRA(商標名、一般名はCarboxytetramethylrhodamine)-X-アルデヒドを用いて、部位特異的蛍光標識を行った。野生型およびアミノフェニルアラニンを導入したSOD(1.0μg/μL, 20μM)は、50 mM クエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0), TAMRA-X-アルデヒド(20〜60μM(1〜3当量)),シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN, 2 mM)と混合して、4℃でPEG化反応を行なった。12時間後および24時間後にサンプリングして、SDS-PAGEで分析した。電気泳動ゲルは蛍光イメージにより検出した。図16に修飾化反応の経路を示す。
図17に、SDS-PAGEで分析したTAMRA-X-アルデヒドの添加量を変えた場合のSOD(野性型(Wild-type)及びTrp33にアミノフェニルアラニンを導入)のTAMRA標識の結果を示す。図17に示すように、アミノフェニルアラニンを導入したSODでは明確なTAMRA標識が認められた(モノ標識及びジ標識)。一方、野生型SODではTAMRA標識はほとんど進行しなかった。この結果は、アミノフェニルアラニン特異的にTAMRA標識が起きていることを示している。ただしTAMRA-X-アルデヒドの添加量が多く、反応時間が長くなるにつれて、TAMRAが二分子結合したもの(ジ標識)、おそらくは芳香族アミンが2回還元的アルキル化されてTAMRA2分子が結合したもの、が生成することも観察された。
実施例8
Lys31部位に3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、実施例7と同様の手法により、部位特異的蛍光標識を行った。ただし、TAMRA-X-アルデヒドのアルキル鎖の炭素鎖長を7として(図18、n=7)、その添加量を減らしつつ反応時間を短くした。3時間後に反応を停止して、SDS-PAGEの蛍光イメージおよびCBB染色によって分析した。図19に示すように、1〜1.5当量程度のTAMRA-X-アルデヒドを添加した場合、効率よく蛍光標識が起こっていた(図19A)。またCBB染色の結果では、TAMRAで標識された場合にタンパク質のバンドがわずかに上にシフトしているが、1.3当量程度加えた場合には、ほぼ全てのタンパク質がTAMRAで標識されていることがわかった(図19B)。これらの結果から、1.3当量程度のTAMRA-X-アルデヒドを添加した場合、TAMRAが一分子結合したタンパク質が効率よく生成することがわかった。
Lys31部位に3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、実施例7と同様の手法により、部位特異的蛍光標識を行った。ただし、TAMRA-X-アルデヒドのアルキル鎖の炭素鎖長を7として(図18、n=7)、その添加量を減らしつつ反応時間を短くした。3時間後に反応を停止して、SDS-PAGEの蛍光イメージおよびCBB染色によって分析した。図19に示すように、1〜1.5当量程度のTAMRA-X-アルデヒドを添加した場合、効率よく蛍光標識が起こっていた(図19A)。またCBB染色の結果では、TAMRAで標識された場合にタンパク質のバンドがわずかに上にシフトしているが、1.3当量程度加えた場合には、ほぼ全てのタンパク質がTAMRAで標識されていることがわかった(図19B)。これらの結果から、1.3当量程度のTAMRA-X-アルデヒドを添加した場合、TAMRAが一分子結合したタンパク質が効率よく生成することがわかった。
実施例9
種々の長さのリンカーを持つTAMRA-X-アルデヒド(図18、n=2,5,7,9)を用いて、実施例8と同様の手法により、部位特異的蛍光標識を行った。図20に示すように、リンカーの長さを変えた場合も、同様に効率よく蛍光標識が可能であることが確認された。図20Aは蛍光イメージの結果を示し、図20BはCBB染色の結果を示す。
種々の長さのリンカーを持つTAMRA-X-アルデヒド(図18、n=2,5,7,9)を用いて、実施例8と同様の手法により、部位特異的蛍光標識を行った。図20に示すように、リンカーの長さを変えた場合も、同様に効率よく蛍光標識が可能であることが確認された。図20Aは蛍光イメージの結果を示し、図20BはCBB染色の結果を示す。
実施例10
実施例4と同様の手法により、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、PEG化を行った。導入部位はLys4のほか、Lys10、Lys24、Lys31、Trp33とし、PEGアルデヒドの添加量はタンパク質に対して3当量とした。図21に示すように、いずれの部位においても効率よくPEG化が進行しており、導入部位に依存しないことが確認された。
実施例4と同様の手法により、3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、PEG化を行った。導入部位はLys4のほか、Lys10、Lys24、Lys31、Trp33とし、PEGアルデヒドの添加量はタンパク質に対して3当量とした。図21に示すように、いずれの部位においても効率よくPEG化が進行しており、導入部位に依存しないことが確認された。
実施例11
実施例4と同様の手法により、Trp33部位に3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、PEG化を行った。この際、標準的な反応条件(PEGアルデヒド3当量、反応時間24時間、反応温度4℃、還元剤NaBH3CN濃度2 mM)において、各条件を変えた場合について調べた。また、SDS-PAGEのCBB染色画像について、各バンドを定量して相対的なバンド強度を算出して、グラフにまとめた。
実施例4と同様の手法により、Trp33部位に3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODに対して、PEG化を行った。この際、標準的な反応条件(PEGアルデヒド3当量、反応時間24時間、反応温度4℃、還元剤NaBH3CN濃度2 mM)において、各条件を変えた場合について調べた。また、SDS-PAGEのCBB染色画像について、各バンドを定量して相対的なバンド強度を算出して、グラフにまとめた。
PEGアルデヒド(分子量5000)の添加量をタンパク質に対して、1〜30当量まで変化させた場合、図22に示すように、3当量ではモノPEG化のみが起こるのに対し、5当量以上ではジPEG化も起こることがわかった。図22Aは、CBB染色の結果を示し、図22Bは、PEGアルデヒド添加量とPEG化の程度の関係を示す図である。図22Aの左及び図22Bの左のグラフは野生型SODのPEG化の結果であり、図22Aの右及び図22Bの右のグラフは3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODの結果を示す。
次に、反応時間を96時間まで追跡したところ、図23に示すように、24時間まではモノPEG化されたタンパク質が主に生成するが、それ以降はジPEG化されたものが生成しており、また野生型タンパク質においてもPEG化が起きている(おそらくN末端アミノ基に対して)ことがわかった。図23Aは、CBB染色の結果を示し、図23Bは、PEG化を行う反応時間とPEG化の程度の関係を示す図である。図23Aの左及び図23Bの左のグラフは野生型SODのPEG化の結果であり、図23Aの右及び図23Bの右のグラフは3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODの結果を示す。
続いて、反応温度を4、20、37℃で比較した。図24に示すように、20および37℃ではジPEG化が起こり、また野生型タンパク質においてもPEG化が起きていることがわかった。図24Aは、CBB染色の結果を示し、図24Bは、PEG化を行うときの反応温度とPEG化の程度の関係を示す図である。図24Aの左及び図24Bの左のグラフは野生型SODのPEG化の結果であり、図24Aの右及び図24Bの右のグラフは3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODの結果を示す。
さらに、還元剤NaBH3CNの添加量を変化させたところ、図25に示すように、4mM以上ではジPEG化が起こり、また野生型タンパク質においてもPEG化が起きていることがわかった。図25Aは、CBB染色の結果を示し、図25Bは、PEG化を行うときの反応温度とPEG化の程度の関係を示す図である。図25Aの左及び図25Bの左のグラフは野生型SODのPEG化の結果であり、図25Aの右及び図25Bの右のグラフは3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを導入したSODの結果を示す。
これらの結果から、反応時間、反応温度、還元剤濃度を最適化することで、モノPEG化が効率よく起こることが確認できた。
本発明の方法により作製される修飾タンパク質は医薬、診断薬、研究用試薬等として利用することができる。
Claims (14)
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入し、該芳香族アミノ基を介して前記タンパク質を修飾化合物で修飾することを含む、タンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を人工的にタンパク質に導入する方法が、終止コドン、4塩基コドン又は人工コドン法である、請求項1記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 修飾化合物での修飾が、PEG(ポリエチレングリコール)によるPEG化である、請求項1記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- PEG化にPEGアルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をPEG化する、請求項3に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 修飾化合物が、色素化合物、蛍光物質、化学/生物発光物質、酵素基質、補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質、合成高分子、核酸、糖及びポリペプチドからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- アルデヒド基を導入した修飾化合物を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を修飾する、請求項5に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- アルデヒド基を導入した蛍光物質を用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質を蛍光物質で修飾する、請求項6に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- TAMRA-X-アルデヒドを用いて芳香族アミノ基を介してタンパク質をTAMRAで修飾する、請求項7に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、フェニルアラニン又はチロシンのベンゼン環上にアミノ基が直接結合した構造を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、4-アミノフェニルアラニン又は3-アミノチロシンである、請求項9記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、非天然アミノ酸のα炭素とアミノ基が結合した芳香環がメチレン基1個よりも長いリンカーを介して結合した構造を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸が、アミノベンジルオキシカルボニルリジン、アミノベンゾイルリジン及びアミノフェニルアセチルリジンからなる群から選択される、請求項11記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
- 3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンに対するアミノアシルtRNA合成酵素変異体であって、配列番号2に表されるアミノ酸配列を有するMethanosarcina mazei由来のピロリジルtRNA合成酵素において、以下の(i)〜(v)のいずれかの変異を有するアミノアシルtRNA合成酵素変異体:
(i) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのロイシンへの置換;
(ii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのメチオニンへの置換;
(iii) 306位のチロシンのアラニンへの置換、309位のロイシンのアラニンへの置換及び348位のシステインのフェニルアラニンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;
(iv) 306位のチロシンのアラニンへの置換、348位のシステインのイソロイシンへの置換及び413位のイソロイシンのロイシンへの置換;並びに
(v) 306位のチロシンのアラニンへの置換及び309位のロイシンのメチオニンへの置換。 - 請求項13記載のアミノアシルtRNA合成酵素変異体を用いて3-アミノベンジルオキシカルボニルリジンを人工的にタンパク質に導入する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のタンパク質の部位特異的修飾化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013019526A JP2013177378A (ja) | 2012-02-03 | 2013-02-04 | 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012022235 | 2012-02-03 | ||
JP2012022235 | 2012-02-03 | ||
JP2013019526A JP2013177378A (ja) | 2012-02-03 | 2013-02-04 | 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013177378A true JP2013177378A (ja) | 2013-09-09 |
Family
ID=49269436
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013019526A Pending JP2013177378A (ja) | 2012-02-03 | 2013-02-04 | 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013177378A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103923161A (zh) * | 2014-04-25 | 2014-07-16 | 南开大学 | 一种蛋白质定点修饰的新方法 |
JP2019533999A (ja) * | 2016-10-14 | 2019-11-28 | ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリーEuropean Molecular Biology Laboratory | 直交(orthogonal)用途の古細菌ピロリジルtRNA合成酵素 |
CN112358414A (zh) * | 2019-07-25 | 2021-02-12 | 中国科学院上海药物研究所 | 非天然氨基酸及其在蛋白质定点修饰和蛋白质相互作用中的用途 |
WO2023031445A3 (en) * | 2021-09-06 | 2023-04-13 | Veraxa Biotech Gmbh | Novel aminoacyl-trna synthetase variants for genetic code expansion in eukaryotes |
-
2013
- 2013-02-04 JP JP2013019526A patent/JP2013177378A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103923161A (zh) * | 2014-04-25 | 2014-07-16 | 南开大学 | 一种蛋白质定点修饰的新方法 |
JP2019533999A (ja) * | 2016-10-14 | 2019-11-28 | ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリーEuropean Molecular Biology Laboratory | 直交(orthogonal)用途の古細菌ピロリジルtRNA合成酵素 |
JP7277361B2 (ja) | 2016-10-14 | 2023-05-18 | ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリー | 直交(orthogonal)用途の古細菌ピロリジルtRNA合成酵素 |
CN112358414A (zh) * | 2019-07-25 | 2021-02-12 | 中国科学院上海药物研究所 | 非天然氨基酸及其在蛋白质定点修饰和蛋白质相互作用中的用途 |
CN112358414B (zh) * | 2019-07-25 | 2022-03-22 | 中国科学院上海药物研究所 | 非天然氨基酸及其在蛋白质定点修饰和蛋白质相互作用中的用途 |
WO2023031445A3 (en) * | 2021-09-06 | 2023-04-13 | Veraxa Biotech Gmbh | Novel aminoacyl-trna synthetase variants for genetic code expansion in eukaryotes |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
De Graaf et al. | Nonnatural amino acids for site-specific protein conjugation | |
CN102264697B (zh) | 生物合成产生的吡咯啉-羧基-赖氨酸以及通过吡咯啉-羧基-赖氨酸和吡咯赖氨酸残基化学衍生化的位点特异性蛋白修饰 | |
Kochendoerfer | Site-specific polymer modification of therapeutic proteins | |
JP2022088518A (ja) | プロテアーゼ切断耐性、志賀毒素aサブユニットエフェクターポリペプチド及びそれを含む細胞標的化分子 | |
US20020169125A1 (en) | Recombinant production of polyanionic polymers and uses thereof | |
JP6426103B2 (ja) | c−Metタンパク質アゴニスト | |
JP2004518621A (ja) | 「擬似」天然型化学的ライゲーション | |
CN111212661A (zh) | 白介素-2多肽偶联物及其用途 | |
US20200246420A1 (en) | pHLIP® peptide-mediated epitope tethering at cell surfaces | |
Li et al. | Genetically encoded alkenyl–pyrrolysine analogues for thiol–ene reaction mediated site-specific protein labeling | |
CN101918026A (zh) | 经修饰胰岛素多肽和其用途 | |
CA2766039A1 (en) | Arginase formulations and methods | |
JP2009504171A (ja) | トランスグルタミナーゼ基質特異性の向上 | |
JP2013177378A (ja) | 芳香族アミノ基を有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の部位特異的な修飾方法 | |
JP2002209593A (ja) | 微生物由来のインビトロ発現法またはインビボ発現法によって生産されたエリスロポエチンの突然変異体の修飾体およびその生産方法 | |
CN102421447A (zh) | 用peg标记干扰素的方法 | |
JP2016507520A (ja) | 安定化されたb型肝炎コアポリペプチド | |
US20240016947A1 (en) | Method for conjugating antibody and physiologically active substance | |
JP2004531225A (ja) | ペプチド、蛋白質及び疑似ペプチド合成のための方法及び組成物 | |
EP4282876A1 (en) | Uricase-albumin conjugate, preparation method therefor, and use thereof | |
CN113698468A (zh) | 人白细胞介素2-聚乙二醇偶联物及其应用 | |
WO2019191630A1 (en) | Selective reduction of antibodies | |
WO2022038417A2 (en) | Modified il-18 polypeptides and uses thereof | |
JP6099756B2 (ja) | ペプチド又はタンパク質へのフッ素含有アミノ酸導入法 | |
WO2015115661A1 (ja) | アゾール誘導体骨格を有するペプチドの製造方法 |