JP2013176811A - 開閉作業具 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業者が開閉操作部に加える閉力を微妙な力加減で調整しながら慎重に操作することなく、開閉操作部5を単に握持操作若しくは指先で摘まみ操作するといった極めて簡易な操作で対象物を破損させずに容易に挟持することができる開閉作業具を提供する。
【解決手段】第一半体1と第二半体2とを交差枢着して、先端部に開閉作業部4、基端部に開閉操作部5を設けた開閉作業具において、開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていった際に、開閉操作部5が撓んで当接部7と受部6とが当接するように構成し、この受部6と当接部7とが当接した状態で閉力を更に増大させると開閉操作部5は更に撓むが開閉作業部4には閉力が伝達されず、開閉作業部4の挟持力は、受部6と当接部7が当接した際の閉力に応じた挟持力以上とならないように構成した開閉作業具。
【選択図】図1

Description

本発明は、開閉操作部に加えた閉力を開閉作業部に伝達してこの開閉作業部で対象物を挟持したり切断したりする開閉作業具に関するものである。
従来のペンチやニッパーなどの開閉作業具は、例えば、作業者が開閉操作部を握持する握持力をてこの原理を用いて大きな挟持力や切断力に変えて開閉作業部に伝達して対象物を挟持したり切断したりするものであった。
そのため、作業者が開閉操作部に加える閉力を、できるだけ開閉作業具の先端部の開閉作動する開閉作業部に効率よく伝達できるように開閉作業具全体の剛性を高めたものが一般的であった。
しかしながら、高い剛性の確保を主体とした開閉作業具では、開閉操作部に加える閉力がダイレクトで開閉作業部に伝わるため、開閉作業部に必要以上の力が加わり易く、例えば、潰れ易いもの、壊れ易いもの、或いは表面にキズが付き易いものなどデリケートな構造の対象物を挟持する場合には、開閉操作部に加える閉力を、少しでも加減を誤って必要以上に加えてしまうことで、開閉作業部に必要以上の挟持力が作用し対象物を押し潰して破損させたり表面にキズを付けてしまったりするという恐れがある。
そのため、上記のようなデリケートな対象物を潰したり、破損させたり、キズを付けたりしないように挟持するには、作業者は手先や指先に神経を集中させて開閉操作部に微妙な力加減で閉力を加える繊細且つ微細な操作を余儀なくされ、そのための開閉操作部の微妙な力加減を調整しながらの操作は非常に難しいものであると共に、作業効率を大きく低下させる要因となっていた。
本発明は、上述のような問題点を解決し、挟持操作によって潰したくない、壊したくない、或いは表面にキズを付けたくないといったデリケートな構造の対象物を挟持したり切断する際に、作業者が開閉操作部に加える閉力を微妙な力加減で調整しながら慎重に操作することなく、例えば、開閉操作部を単に握持操作若しくは指先で摘まみ操作するといった極めて簡易な操作で対象物を潰したり、破損させたり、或いはキズを付けたりすることなく容易にデリケートな挟持物や切断物を挟持したり切断したりすることができる画期的な開閉作業具を提供することを目的としている。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
第一半体1と第二半体2とを交差枢着して、この対向する第一半体1と第二半体2との先端部を挟持部若しくは切断部とする開閉作業部4とし、前記対向する第一半体1と第二半体2との基端部を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで前記開閉作業部4が閉動して対象物3を挟持若しくは切断する開閉操作部5とした開閉作業具において、前記開閉操作部5を構成する前記第一半体1の基端部は、前記開閉操作部5に加えた閉力によって撓むように構成すると共にこの撓みによって内方に移動する当接部7を設けた構成とし、前記開閉操作部5を構成する前記第二半体2の基端部は、前記当接部7と当接しこの当接した当接部7に押圧されることで弾性変形し得る受部6を設けた構成として、前記開閉操作部5に閉力を加えて前記開閉作業部4を閉動させ前記対象物3を挟持若しくは切断する際、前記開閉操作部5に閉力を加えてゆくと前記第一半体1の基端部が内方に撓み、この第一半体1の基端部が内方に撓むことによって前記当接部7が前記第二半体2の基端部に設けた前記受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した状態で更に前記開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、前記受部6が前記当接部7に押圧されて弾性変形すると共に、前記開閉操作部5に加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として前記開閉作業部4に伝達する伝達比が、前記当接部7と前記受部6との当接前の挟持力若しくは切断力として伝達する伝達比に比して減じるように変化する構成したことを特徴とする開閉作業具に係るものである。
また、前記第一半体1の基端部は、前記開閉作業部4で前記対象物3を挟持した状態で前記開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓ませる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、前記撓み部11に前記当接部7を設けて、この当接部7を前記撓み部11が内方に撓み可動することによって前記受部6に当接するように構成したことを特徴とする請求項1記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記当接部7と前記受部6とが当接した状態で、前記開閉操作部5に加える閉力を増大してゆくと、この開閉操作部5は増大しながら加えられる閉力によって更に内方に閉動してゆくが、この開閉操作部5に増大しながら加えられた閉力は前記開閉作業部4に伝達されず、前記当接部7と前記受部6とが当接した以降は、前記開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が略一定となるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記受部6は、板面を受け面とする板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部6の基端部を固定し先端部を自由端として前記第二半体2の基端部に内方に突出状態に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記当接部7と前記受部6との離間間隔を調整する間隔調整機構15を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、開閉操作部に加えた閉力が開閉作業部に挟持力若しくは切断力として伝わり難くなるので、対象物を挟持若しくは切断する際、従来の開閉作業具に比べて開閉操作部を大きな操作量で操作することができ、よって、微妙な力加減を要する操作、言い換えると、開閉作業部の挟持力若しくは切断力が急激に増大しないように開閉操作部を微少な閉動量で調整しなければならない操作を、閉動量の大きな操作で操作することができるようになり微妙な力加減を要する際の操作性が向上する。
また、開閉操作部に閉力を加えていっても開閉作業部に所定値以上の挟持力や切断力が伝わらないように構成することも容易にできる構成であり、これによって、開閉操作部に閉力を加え過ぎても、開閉作業部で挟持若しくは切断している対象物に所定以上の大きな挟持力若しくは切断力が作用しないように構成することができるため、対象物を潰してしまう、壊してしまう、キズを付けてしまう、或いは、切断したくないところを切断してしまうことを防止できる極めて優れた開閉作業具となる。
従って、本発明は、このような特性を活かして様々な用途に使用することができ、しかも、このような画期的な作用効果を発揮する構成を簡易な構成で実現することができる画期的な開閉作業具となる。
即ち、本発明は、開閉作業部に対象物を挟持した状態で開閉操作部に閉力を加えてゆくことで開閉操作部の一方となる第一半体の基端部が内方に撓むという簡易な構成でこの第一半体の基端部に設けた当接部と第二半体の基端部に設けた受部とを容易に当接することができ、この第一半体の基端部が撓むことで当接した当接部と受部とにおいて、開閉操作部に更に加えられた閉力によって当接部が受部を押圧し、この当接部に押圧された受部が弾性変形するだけの簡易な構成で上述した開閉操作部に加えた閉力を開閉作業部に伝え難くするという画期的な作用効果を実現することができ、更に、この開閉操作部に閉力を加える操作を握持操作若しくは指先摘み操作することによって、第一半体の基端部が撓み変形した際の反作用(復帰弾性力)を開閉操作部を操作する手や指先で感じ取ることで作業者は開閉作業部が対象物を挟持しているということを認識でき、これによって、開閉作業部が対象物を挟持しているかどうかの不安感を抱くことなく対象物を挟持していることを確信し安心して挟持作業することができる実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
また、請求項2記載の発明においては、対象物を挟持した状態で開閉操作部に閉力を加えた際に撓み可動因部により撓む撓み部によって、開閉操作部を内方に確実に撓ませることができ、この撓み部が内方へ撓み変形することにより開閉操作部に閉力を増大させながら加え続けることができると共に、この撓み変形の反作用となる復帰弾性力を握持操作若しくは指先摘み操作する手や指先で確実に感じとることができる実用性に優れた構成の開閉作業具となる。
また、請求項3記載の発明においては、単に開閉操作部を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を増大させながら加える操作、例えば、握持する力や指先で摘まむ力を微妙に調整することなく無造作に操作するような握持操作や指先摘み操作をするだけの極めて簡易な操作をしても、開閉作業部には所定値以上の挟持力若しくは切断力が作用しないので、開閉操作部に閉力を加え過ぎたことによって、デリケートな構造の対象物を潰したり、破損させたり、表面にキズを付けたりする不具合の発生が可及的に減少し、作業者は、極めて容易に且つ安心してデリケートな対象物を挟持することができたり切断することができる極めて実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
即ち、例えば、当接部と受部とが当接した状態で更に開閉操作部に閉力を増大させながら加えていっても開閉作業部には開閉操作部に加えた所定値以上の閉力に応じた力が伝わらない、言い換えると、開閉作業部は所定の挟持力若しくは切断力、例えば当接部と受部との離間間隔や撓み部の撓み変形度、或いは受部の弾性変形度の設定により予め設定した挟持力若しくは切断力よりも大きな力で対象物を挟持若しくは切断することがないので、例えば、この予め設定する挟持力若しくは切断力を挟持若しくは切断する対象物を潰したり破損させたりなどしない挟持力若しくは切断力に設定することで、若しくはそのように設定されたものを用いることで、開閉操作部に加える閉力を微妙な力加減で調整することなく、この開閉操作部を無造作な握持操作や指先摘み操作で閉力を加えていっても、このデリケートな構造の対象物を潰さず、破損させず、或いは表面にキズを付けずに容易に挟持することができたり、デリケートに切断したりすることができる画期的な開閉作業具となる。
よって、例えば、血管などの潰れ易くキズ付き易い繊細なものを対象物として挟持する場合でも、予めこの対象物がどの程度の挟持力で潰れてしまうか、或いはどの程度の挟持力でキズが付いてしまうかを調べて、いくら開閉操作部に閉力を加えていっても、開閉作業部が対象物を挟持する挟持力若しくは切断する切断力をきちんと対象物を挟持したり切断したりするが、この挟持力若しくは切断力によって対象物を潰したり、キズを付けたり、或いは切断しなくないところまで切断したりすることがない力、即ち、前述のような不具合が生じない所望の挟持力若しくは切断力になるように設定構成することで、作業者は開閉操作部を握持操作若しくは指先摘まみ操作してこの開閉操作部に加えていく閉力を開閉作業部に伝達し過ぎないように気にしながら少しずつ加えてゆくといった煩わしい操作をすることなく、何も気にせず、単に開閉操作部を握持操作若しくは指先摘まみ操作するだけで良いので、極めて容易に、且つプレッシャーを感じずに血管などの潰れ易くキズ付き易いデリケートな構造物を対象物として挟持することができる。
また、請求項4記載の発明においては、極めて簡易な構成で本発明の作用効果を発揮することができる画期的な開閉作業具となる。
また、請求項5記載の発明においては、当接部と受部との離間間隔を調整することで、この当接部と受部とが当接するまでに増大し続ける挟持力や切断力のピーク値(最大挟持力若しくは最大切断力)を調整することができるので、対象物を所望の挟持力若しくは切断力で挟持する若しくは切断することができる一層実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
実施例1を示す斜視図である。 実施例1の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図2の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓ませることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。 図3の状態から、更に閉力を増大させて開閉操作部を内方へ撓ませた状態を示す説明正面図である。 実施例1において、開閉操作部に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部の変位量と、開閉作業部の挟持力との関係を示すグラフである。 実施例2を示す正面図である。 実施例2の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 実施例3を示す正面図である。 実施例3の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 実施例3において、開閉操作部に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部の変位量と、開閉作業部の挟持力との関係を示すグラフである。 実施例4を示す斜視図である。 実施例4の開閉作業部に比較的径の小さな対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図12の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓ませることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。 図13の状態から、更に閉力を増大させて開閉操作部を内方へ撓ませた状態を示す説明正面図である。 実施例4の開閉作業部に比較的径の大きな対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図15の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓ませることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
対向する第一半体1と第二半体2との先端部間、即ち挟持部若しくは切断部となる開閉作業部4で例えば被挟持物となる対象物3を挟持し、この対象物3を挟持した状態で対向する第一半体1と第二半体2との基端部、即ち開閉操作部5に閉じ方向となる内方に押圧する閉力を増大させながら加えてゆくと、少なくとも第一半体1の基端部が撓むことによって開閉操作部5が閉動し、この開閉操作部5の閉動によって、開閉作業部4の挟持力がこの開閉操作部5に加えられる閉力に応じて増大してゆくと共に、第一半体1の基端部に設けた当接部7が第二半体2の基端部に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この際に、例えば作業者が握持操作若しくは指先摘み操作によって閉力を加えてゆく場合は、開閉操作部5(第一半体1の基端部)が撓み変形した際の反作用の力(復帰弾性力)をこの閉力を加えている手若しくは指先で感じ取ることができ、この反作用を感じ取ることで作業者は対象物3を挟持していることを容易に認識することができるので、作業者は挟持状態を見ずとも安心して作業を続けることができる。
この当接部7と受部6とが当接することで開閉操作部5の動作支点が、第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9と、当接部7と受部6とが当接した当接点10との二つになり、この動作支点が二つになった状態で更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、受部6に当接した当接部7が受部6を押圧して、この当接部7に押圧された受部6が弾性変形する。
この当接部7と受部6とが当接して開閉操作部5の動作支点が二つになると共に、当接部7と受部6とが当接した後も開閉操作部5は閉力を加え続けてゆくことで閉動操作可能であるが受部6が弾性変形することによって、この開閉操作部5に増大させながら加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比は、当接部7と受部6とが当接する前の閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比に比べて減じるように変化する。
言い換えると、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことで変位する開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との所定位置における離間間隔の変位量)に対する開閉作業部4の挟持力若しくは切断力の増大する割合が減じるように変化する。
この伝達比が減じる変化とは、当接部7と受部6とが当接すると、対象物3を挟持する挟持力若しくは対象物3を切断する切断力の増大する割合が低下する、言い換えると、挟持力若しくは切断力が当接前に比べて緩やかに増大してゆくような変化や、いくら開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていっても、当接部7と受部6とが当接すると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が変化せずに一定の挟持力若しくは切断力を維持するような変化や、当接部7と受部6とが当接すると、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が減少してゆくような変化を意味し、これらいずれの変化を伴う構成でも良い。
従って、いずれにしても当接部7が受部6に当接した状態では、開閉操作部5に加えた閉力が開閉作業部4に挟持力若しくは切断力として伝わり難くなるので、対象物3を挟持若しくは切断する際、従来の開閉作業具に比べて開閉操作部5を大きな操作量で操作することができ、よって、微妙な力加減を要する操作、言い換えると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が急激に増大しないように開閉操作部5を微少な閉動量で調整しなければならない操作を、閉動量の大きな操作で操作することができるようになり微妙な力加減を要する際の操作性が向上する。
また、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4に所定値以上の挟持力や切断力が伝わらないように構成することも容易にできる構成であり、これによって、開閉操作部5に閉力を加え過ぎても、開閉作業部4で挟持若しくは切断している対象物3に所定値以上の大きな挟持力若しくは切断力が作用しないように構成することができるため、対象物3を潰してしまう、壊してしまう、キズを付けてしまう、或いは、切断したくないところを切断してしまうことを防止できる極めて優れた開閉作業具となる。
従って、本発明は、このような特性を活かして様々な用途に使用することができ、しかも、このような画期的な作用効果を発揮する構成を簡易な構成で実現することができる画期的な開閉作業具となる。
本発明の具体的な実施例について図1〜図5に基づいて説明する。
本実施例は、第一半体1と第二半体2とを途中で交差枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側の対向する第一半体1と第二半体2との先端部を挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側の対向する第一半体1と第二半体2とを開閉操作部5として、この開閉操作部5を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで開閉作業部4が閉動して対象物3を挟持する挟持作業具に構成した開閉作業具において、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、この開閉操作部5に加えられた閉力が所定の閉力に達した時点でこの開閉操作部5に加えられた閉力を開閉作業部4に挟持力として伝える伝達比が減じるように変化する構成としたものであり、具体的には、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した以降も閉力を増大させながら加えていっても、開閉作業部4の挟持力は、開閉操作部5に所定の閉力が加えられた時点の挟持力から挟持力が増大しない、即ち、どんなに開閉操作部5に強い閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力は所定の挟持力から変化せず一定の挟持力を維持する構成としたものである。
より具体的には、本実施例は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部を開閉操作部5に加えた閉力によって撓むように構成すると共にこの撓みによって内方に移動する当接部7を設けた構成とし、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部を当接部7と当接しこの当接した当接部7に押圧されることで弾性変形し得る受部6を設けた構成として、この第一半体1と第二半体2の夫々の基端部同士が対向して成る開閉操作部5に閉力を加えて開閉作業部4で対象物3を挟持する際に、この開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部が内方に撓み、この第一半体1の基端部が内方に撓むことによって当接部7が第二半体2の基端部に設けた受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した状態で更に開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、受部6が当接部7に押圧されて弾性変形すると共に、この開閉操作部5にいくら閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力が増大せず、一定の挟持力で対象物3を挟持し続けるように構成している。
更に詳しく説明すると、第一半体1及び第二半体2は、金属又は合成樹脂からなる細長い帯板状部材を所定形状に形成した構成(本実施例においては金属、具体的にはアルミ板材若しくはステンレス板材を採用した構成)とし、また、夫々の先端部を対象物3を挟持し得る形状に構成し基端部を握持操作若しくは指先摘み操作し得る形状に構成し、夫々を先端部と基端部との境界位置で交差重合して枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側を第一半体1と第二半体2との夫々の先端部が対向してなる挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側を第一半体1と第二半体2との夫々の基端部が対向してなる開閉操作部5とし、この開閉作業部4と開閉操作部5は交差枢着部9を支点に開閉回動自在とした構成としている。
即ち、この第一半体1と第二半体2との夫々の基端部を対向状態に配設して構成した開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5に内方へ押圧する(開閉操作部5の対向間隔が狭まるように)閉力を加えることで、第一半体1と第二半体2が前記交差枢着部9を支点に回動して開閉作業部4が閉動すると共に開閉操作部5に加えた閉力がこの開閉作業部4に挟持力として伝達されて対象物3を加えた閉力に応じた挟持力で挟持する構成としている。
また、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓ませる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、撓み部11に当接部7を設けて、この当接部7を撓み部11が内方に撓み可動することによって後述する第二半体2の基端部に設けた受部6に当接するように構成している。
本実施例においては、撓み部11は撓み可動因部8として設けた構成とし、この撓み部11は具体的には、先端側が外方に凸となる湾曲形状、基端側が内方に凸となる湾曲形状の略S字状に形成し、この基端側の内方に凸となる湾曲形状(略円弧状)に形成した部位を当接部7とした構成としている。
更に、この撓み部11は、第一半体1(第二半体2)の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性が低く撓み変形し易い構成とし、開閉操作部5を構成する第一半体1(第二半体2)の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、開閉操作部5に閉力が加えられていった際、この剛性の低い撓み部11を起点として開閉操作部5が撓み内方に向かって閉動する構成としている。
即ち、第一半体1の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことによりこの撓み部11、具体的にはこの撓み部11の先端側が内方に撓み、この撓みによって撓み部11の基端側に設けた内方に突出する円弧状の当接部7が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で第二半体2の基端部に設けた受部6と当接するように構成している。
尚、本実施例では、撓み部11を他の部位の厚みよりも薄くすることで撓み変形し易い構成としたが、本実施例と同様の作用効果を発揮する構成であれば上記に限らず適宜採用するものとし、例えば第一半体1の基端部を棒状体で構成した場合は撓み部11の径を他の部位に比べて細くした構成としたり、例えば、撓み部11と他の部位との材質を変えた構成(撓み部11を他の部位よりも剛性の低い材質ものを採用する)としても良い。
また、上述した第一半体1の基端部と共に開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、外方に凸となる湾曲形状に形成し、先端側(交差枢着部9側)に第一半体1の基端部に設けた当接部7と当接する受部6を設けた構成としている。
この受部6は弾性変形自在な構成とし、具体的には、開閉操作部5に加えた閉力によって第一半体1の基端部の撓み部11が撓み、この撓み部11の撓みによって内方に移動した当接部7がこの受部6と当接した際に、この当接部7に押圧されて弾性変形し得る構成としている。
より具体的には、本実施例の受部6は、板面を受け面とする湾曲した帯板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部6の基端部を固定し先端部を自由端として第二半体2の基端部に内方に向かって突出した状態に設けた構成としている。
即ち、本実施例の開閉操作部5は、この開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部の先端側に設けた撓み可動因部8としての撓み部11が内方に撓み、この撓み部11が内方に撓むことによってこの撓み部11の基端側に設けた当接部7が内方に移動してゆき、この内方に移動していった当接部7は、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で第二半体2の基端部に設けた受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した後も引き続き開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部は共に閉動し開閉操作部5自体は閉動操作可能であり、更に受部6は当接部7に押圧されて弾性変形する構成としている。
また、本実施例では、この開閉操作部5の内方への撓み(具体的には、第一半体1の基端部の内方への撓み)によって当接し合う当接部7と受部6との当接点10が第一半体1の基端部の閉動時の動作支点となるように構成してこれを力伝達比変動機構12とし、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、当接部7と受部6とが当接していない状態においては、この開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部のいずれも交差枢着部9を動作支点として閉動し、当接部7と受部6とが当接した状態で更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、第二半体2の基端部は引き続き交差枢着部9を動作支点として閉動するが、第一半体1の基端部は当接部7と受部6とが当接する当接点10を動作支点として閉動する構成とし、この当接部7と受部6とが当接して第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動することで、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比が減じるように構成している。
この伝達比が減じる変化とは、本実施例においては、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力が増大していかないような変化を意味するものであり、即ち、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接し、第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動した時点から、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても、開閉作業部4の挟持力は当接部7と受部6とが当接した時点の挟持力から変化せず、略一定の挟持力が維持される変化を意味するものである。
尚、本実施例は上述のように対象物3を挟持する開閉挟持具とした構成としているが、第一半体1と第二半体2の先端部を対象物3を挟持し得る形状に構成する代わりに、対象物3を切断し得る形状、即ち切断刃に構成して前記開閉作業部4を切断部とする開閉切断具とした構成としても良い。
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
図2は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態(対象物3には殆ど挟持力は作用していない)を示している。この開閉作業部4で対象物3を挟持している状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図3に示すように、第一半体1の基端部に設けた撓み部11が内方に撓み変形して第一半体1の基端部が閉動し、第一半体1の基端部の閉動に伴い、撓み部11に設けた当接部7も内方に移動して第二半体2に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この図2の状態から図3の状態になるまで、即ち当接部7と受部6とが非当接状態から当接するまでは、開閉操作部5(力点部13)に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉作業部4は、閉力の増大に伴って挟持力を増大させながら対象物3を挟持してゆくこととなる。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図4に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部は、当接部7と受部6とが当接した当接点10を動作支点にして、この当接点10よりも基端側(閉力を加える力点部13側)が内方に閉動し、当接点10よりも先端側が外方に開動し、開閉操作部5の他側の第二半体2の基端部は受部6が当接部7に押圧されて弾性変形することで、この受部6が弾性変形した分だけ交差枢着部9を動作支点にして更に内方に閉動することとなる。
即ち、この当接部7と受部6とが当接した以降も開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は、閉力を加える力点部13は内方へ可動若しくは撓み可動して閉動操作可能であるが、第一半体1は、開閉操作部5となる基端部の当接部7が受部6に当接した当接点10よりも先端側の開動動作によって先端部が開動して挟持力を低下させる動作が成され、第二半体2は、受部6の弾性変形によって基端部は更に交差枢着部9を動作支点とした閉動操作によって先端部が更に閉動動作しようとして対象物3を押圧することで挟持力が増大する動作が成されるという相反する動作が生じる。
本実施例では、この第一半体1の挟持力を低下させる開動動作と、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作とが略釣り合う動作をするように設定したので、当接部7と受部6とが当接した以降、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の対象物3を挟持する挟持力は増大せずに略一定の挟持力を維持することとなる。
即ち、第一半体1の基端部の当接点10より先端側が外方に押し広げられるように開動動作し、この開動動作によって第一半体1の先端部が開動動作する際の移動量と、受部6が弾性変形することによって第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点として閉動動作し、この閉動動作によって第二半体2の先端部が閉動動作する際の移動量とが等しくなるように設定することで、開閉操作部5は閉動操作可能となるが、開閉作業部4は第一半体1と第二半体2との夫々の先端部間隔が変化しないため、挟持力が変化せず一定の挟持力を維持することとなる。
尚、本実施例においては、撓み部11の撓み変形度合い(撓み部11の剛性)を適宜な値に設定することで第一半体1の先端部の開動動作量を設定し、受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)を適宜な値に設定することで第二半体2の先端部の閉動動作量を設定している。
図5は、本実施例の開閉操作部5に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との変位量の和)と、開閉作業部4の挟持力との関係を示すグラフである。このグラフが示すように、開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は閉動してゆき、当接部7と受部6とが当接するまでは、開閉操作部5に加える閉力の増大に伴って開閉作業部4の挟持力も増大してゆくが、当接部7と受部6とが当接した以降は開閉操作部5に加える閉力を増大させていっても、開閉作業部4の挟持力は増大せず一定の挟持力を維持しているが、開閉操作部5は閉動し続けていることを示している。
尚、本実施例は、上述したように開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接した以降は開閉作業部4の挟持力が一定となる場合を示したものであるが、これに限らず、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接すると、対象物3を挟持する挟持力若しくは対象物3を切断する切断力の増大する割合が当接前に比べて低下する、言い換えると、挟持力若しくは切断力が当接前に比べて緩やかに増大してゆくように変化する構成や、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が減少してゆくように変化する構成としても良い。
具体的には、例えば第一半体1の挟持力を低下させる開動動作の割合よりも、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作の割合のほうが大きくなるように構成して、当接部7と受部6とが当接する前よりも挟持力の増大してゆく割合は減少するものの、当接部7と受部6とが当接後も開閉操作部5に閉力を加えていった際に開閉作業部4の挟持力が緩やかに増大させてゆくように構成したり、逆に、第一半体1の挟持力を低下させる開動動作の割合が、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作の割合よりも大きくなるように構成することで、当接部7と受部6とが当接した以降は、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことによって、開閉作業部4を構成する第一半体1の先端部と第二半体2の先端部とが徐々に相対的に離反してゆき、これによって、対象物3を挟持している挟持力を徐々に減少させてゆくような構成としても良い。
この当接部7と受部6とが当接した以降、開閉操作部5の閉動操作によって生じる開動動作の割合と閉動動作の割合に差を設けるためには、上述した挟持力を一定にする場合と同様に、第一半体1の基端部に設けた撓み部11の撓み変形度合い(撓み部11の剛性)や第二半体2の基端部に設けた受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)を所望の値に設定したり、第二半体2の基端部にも第一半体1の基端部同様に撓み部11を設けた構成にすることで実施可能であり、例えば、受部6の剛性を低く設定して当接部7に押圧された際の弾性変形度合いが大きくなるように構成することで、この受部6の弾性変形度合いが大きいほど第二半体2の基端部の交差枢着部9を動作支点とした閉動動作の割合が大きくなり、よって、第一半体1の開動動作によって作用する挟持力の低下よりも第二半体2の閉動動作によって作用する挟持力の増大が上回ることで、当接部7と受部6とが当接した後も挟持力が増大してゆく構成となり、例えば、受部6の剛性を高く設定して当接部7に押圧された際の弾性変形度合いが小さくなるように構成することで、この受部6の弾性変形量が減少するほど第二半体2の基端部の交差枢着部9を動作支点とした閉動動作の割合が小さくなり、よって、第一半体1の開動動作によって作用する挟持力の低下が第二半体2の閉動動作によって作用する挟持力の増大よりも上回ることで、当接部7と受部6とが当接後は、開閉操作部5に閉力が加えられるにつれ挟持力が低下してゆく構成となる。
このように、受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)の設定を適宜変更するだけの極めて簡易な構成で、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4へ伝達する伝達比を容易に調整、設定することができる。
本発明の具体的な実施例について図6〜図7に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、第一半体1に設けた当接部7と第二半体2に設けた受部6との離間間隔を広狭自在に調整可能な間隔調整機構15を備えて、この間隔調整機構15により当接部7と受部6との離間間隔を調整することで対象物3を挟持する最大挟持力を調整し得るように構成した場合である。
具体的には、間隔調整機構15を第二半体2の基端部に設けて、第二半体2の基端部に設けた受部6をこの間隔調整機構15で操作して当接部7との離間間隔を調整し得る構成としている。
この間隔調整機構15は、受部6を設ける可動板部23と、この可動板部23を押動する押動部24とで構成し、この押動部24を押動方向に移動させて可動板部23を押動することで、この可動板部23に設けた受部6を当接部7に接近する方向に移動させて当接部7と受部6との離間間隔を調整し得る構成としている。
より具体的には、可動板部23は、円弧状に湾曲した帯板状弾性体で構成し、基端部を第二半体2の基端部に設け先端部を自由端にし、この自由端とした先端部には受部6を設ける受部固設部32を設けた構成としている。
また、押動部24は雄ネジから成り、この雄ネジから成る押動部24は第二半体2の基端部に設けた雌ネジ部26を有する押動部取付け部25に螺着し、回動螺動操作によって進退自在に設けた構成としている。
即ち、本実施例における間隔調整機構15は、雄ネジから成る押動部24を螺挿する方向に回動螺動操作してこの押動部24を前進させることで、この押動部24の先端部が可動板部23の受部固設部32に当接してこれを押圧し、この受部固設部32が押動部24に押圧されることで円弧状可動板部23が弾性変形して円弧の形状が広がり、この可動板部23の広がり変形によって受部固設部32は前方且つ稍上方へ移動し、この受部固設部32が前方且つ上方へ移動することで、この受部固設部32に設けた受部6が当接部7に接近してこの当接部7と受部6との離間間隔が狭まるように構成している。
即ち、本実施例は、第二半体2の受部6を当接部7側に進退移動させる間隔調整機構15を設けて、当接部7と受部6との離間間隔を調整自在にすることで、開閉操作部5に閉力を加えていった際の当接部7と受部6との当接するタイミングを調整して開閉作業部4に伝達される最大挟持力を調整可能にし得る構成とした実用性に優れた画期的な開閉作業である。
他の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例について図8〜図10に基づいて説明する。
本実施例は、実施例2と同様に間隔調整機構15を設けた開閉作業具において、受部6を設けた第二半体2の基端部に、第一半体1の基端部同様に撓み可動因部8としての撓み部11を設けた構成とした場合である。
具体的には、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部を、先端側(交差枢着部9側)に、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した撓み部11を設け、この撓み部11の基端部側に間隔調整機構15を介して可動自在且つ弾性変形自在に構成した受部6を内方に突出状態に設けて、この間隔調整機構15によって受部6を可動させて当接部7と受部6との離間間隔を調整自在にし得る構成とすると共に、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えていった際、第一半体1、第二半体2夫々の基端部に設けた夫々の撓み部11が撓むことで、第一半体1、第二半体2夫々の基端部が内方に閉動してゆきこの第一半体1の基端部に設けた当接部7と第二半体2の基端部に設けた受部6とが互いに接近してゆき当接するように構成している。
即ち、本実施例は、開閉操作部5に閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部、第二半体2の基端部の双方の撓み部11が内方に撓んで閉動するので、当接部7と受部6との離間間隔、開閉操作部5に加えてゆく閉力の条件を同じ条件とした際、実施例1、実施例2に比べて、早く当接部7と受部6とが当接する、言い換えると、小さい閉力で当接部7と受部6とが当接するので、開閉作業部4の最大挟持力も実施例1、実施例2に比べて低い値となるように構成している。
図10は、本実施例の開閉操作部5に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との変位量の和)と、開閉作業部4の挟持力との関係を示すグラフである。このグラフが示すように、実施例1で示したグラフと同様に、開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は閉動してゆき、当接部7と受部6とが当接するまでは、開閉操作部5に加える閉力の増大に伴って開閉作業部4の挟持力も増大してゆくが、当接部7と受部6とが当接した以降は開閉操作部5に加える閉力を増大させていっても、開閉作業部4の挟持力は増大せず略一定の挟持力を維持しているが、開閉操作部5は閉動し続けていることを示しており、また、実施例1のグラフ(図5)と比較すると、開閉操作部5の変位量は同じ量でも加えられている閉力は実施例1の場合よりも小さく、また、挟持力も小さい値を示していることがわかる。
他の構成は、実施例1,実施例2と同様である。
本発明の具体的な実施例について図11〜図16に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みや径の大小が変化しても当接部7と受部6との離間間隔が変わらず、最大挟持力が挟持する対象物3の厚みや径の大きさに関係なく常に一定の値となるように構成した場合である。
即ち、実施例1〜実施例3に示す開閉作業具は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みが厚いほど、若しくは径が大きいほど、これを挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔は広がり、この離間間隔が広がるほど当接部7と受部6とを当接させるために大きな閉力を開閉操作部5に加えることとなり、この当接部7と受部6とが当接するまでに開閉操作部5に加えられる閉力が大きいほど、開閉作業部4に作用する挟持力も大きくなるので、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合は、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合に比べて、最大挟持力即ち当接部7と受部6とが当接した以降の一定の挟持力の値が大きくなってしまうので、実施例2や実施例3では、この厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持することで、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合よりも広くなった離間間隔を狭めて開閉作業部4に作用する最大挟持力を減じるための間隔調整機構15を設けた構成としており、この間隔調整機構15を操作して離間間隔を所望の離間間隔に調整することで厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合でも、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合と同じ最大挟持力に設定することが可能となるが、本実施例は、この実施例2で示したような間隔調整機構15を設けて一々当接部7と受部6との離間間隔を調整する操作をしなくても、単に開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆき閉動操作するだけで、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合と、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合とで、最大挟持力が同等になるように構成した開閉作業具である。
具体的には、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、先端側を外方に凸となる湾曲形状に形成し基端側を内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成して略S字状に形成した撓み可動因部8としての撓み部11を先端側(交差枢着部9側)に設け、この撓み部11の基端側の湾曲形状部(円弧状部)に当接部7を設けた構成とし、この撓み部11に設けた当接部7は、具体的には、後述する第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点として開閉動作する際にこの第二半体2の基端部に設けた受部6が前記開閉動作に伴って移動する方向に長さを有する帯板状に形成すると共に、受部6との当接面を凹凸形状(本実施例では、鋸歯形状)に形成した構成としている。
また、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した撓み部11を先端側(交差枢着部9側)に設け、この撓み部11の基端部側に弾性変形自在に構成した受部6を内方に突出状態に設けた構成とし、この受部6は、具体的には、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した弾性板31と、この弾性板31の先端に設けた係止爪28とで構成し、この係止爪28の先端部が当接部7の凹凸形状に形成した当接面の凹部に嵌合して当接するように構成している。
また、この受部6は、第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点にして開閉動作する際に、第一半体1の基端部に設けた当接部7の当接面に沿って移動すると共に、この当接部7の当接面と受部6の先端部(具体的には、係止爪28の先端部)との離間間隔が一定の離間間隔を維持した状態で移動するように構成している。
即ち、受部6は、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合は、当接部7の先端側に位置し、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合は当接部7の基端側に位置して、対象物3の厚みや径の大小によって当接部7に対する位置が変動するが、この位置が変動しても、当接部7との離間間隔は変動せずに一定の離間間隔を維持して、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆきこの開閉操作部5が撓み部11の撓み変形によって閉動する際、常に所定の閉力が加えられた時点で受部6と当接部7とが当接するように構成している。
このように構成した本実施例の作用を以下に説明する。
図12は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態(対象物3には殆ど挟持力は作用していない)を示している。この開閉作業部4で対象物3を挟持している状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図13に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み部11が内方に撓み変形して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する(具体的には、受部6を構成する係止爪28の先端部が、凹凸形状に形成した当接部7の当接面の凹部33と嵌合状態に当接する)。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図14に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部は、当接部7と受部6とが当接した当接点10を動作支点にして、この当接点10よりも基端側(閉力を加える力点部13側)が内方に閉動し、当接点10よりも先端側が外方に開動し、開閉操作部5の他側の第二半体2の基端部は受部6が当接部7に押圧されてこの受部6を構成する弾性板31が弾性変形し、この受部6が弾性変形した分だけ交差枢着部9を動作支点にして更に内方に閉動することとなる。
即ち、この当接部7と受部6とが当接した以降も開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は、閉力を加える力点部13は内方へ可動若しくは撓み可動して閉動操作可能であるが、第一半体1は、開閉操作部5となる基端部の当接部7が受部6に当接した当接点10よりも先端側の開動動作によって先端部が開動して挟持力を低下させる動作が成され、第二半体2は、受部6の弾性変形によって基端部は更に交差枢着部9を動作支点とした閉動操作によって先端部が更に閉動動作しようとして対象物3を押圧することで挟持力が増大する動作が成されるという相反する動作が生じ、この相反する動作が生じることによって、いくら開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていっても、開閉作業部4の挟持力は増大してゆかずに一定の挟持力を維持する。
また、図15は、図12で示す対象物3よりも径の大きな対象物3を挟持した状態を示している。
この図15と図12を比較すると、当接部7の長さ方向に対する受部6の位置に差があり、径の大きな対象物3を挟持した場合を示す図15の受部6のほうが当接部7の先端側に位置しているが、受部6と当接部7との離間間隔は差が見られない。
よって、この図15の状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図16に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み部11が内方に撓み変形して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する。
この図16と径の小さい対象物3を挟持した場合の図13を比較すると、当接部7と受部6との当接位置は変化するが、当接部7と受部6とが当接するまでに閉動する開閉操作部5の移動量(変位量)は略同じであり、即ち、開閉操作部5に加えられた閉力が同じ値で当接部7と受部6とが当接することとなり、よって、開閉作業部4に挟持されている対象物3に作用する挟持力も径の大小に関わらず同等の閉力が作用することとなる。
このように、本実施例は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みや径の大きさが変動しても、当接部7と受部6とが当接するまでに加えられる閉力が一定であり、よって、対象物3の厚みや径の大きさに関わらず、常にこの対象物3に作用する最大挟持力は一定の値となる。
他の構成は、実施例1と同様である。
尚、本発明は、実施例1〜4に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 第一半体
2 第二半体
3 対象物
4 開閉作業部
5 開閉操作部
6 受部
7 当接部
8 撓み可動因部
11 撓み部
15 間隔調整機構
本発明は、開閉操作部に加えた閉力を開閉作業部に伝達してこの開閉作業部で対象物を挟持したり切断したりする開閉作業具に関するものである。
従来のペンチやニッパーなどの開閉作業具は、例えば、作業者が開閉操作部を握持する握持力をてこの原理を用いて大きな挟持力や切断力に変えて開閉作業部に伝達して対象物を挟持したり切断したりするものであった。
そのため、作業者が開閉操作部に加える閉力を、できるだけ開閉作業具の先端部の開閉作動する開閉作業部に効率よく伝達できるように開閉作業具全体の剛性を高めたものが一般的であった。
しかしながら、高い剛性の確保を主体とした開閉作業具では、開閉操作部に加える閉力がダイレクトで開閉作業部に伝わるため、開閉作業部に必要以上の力が加わり易く、例えば、潰れ易いもの、壊れ易いもの、或いは表面にキズが付き易いものなどデリケートな構造の対象物を挟持する場合には、開閉操作部に加える閉力を、少しでも加減を誤って必要以上に加えてしまうことで、開閉作業部に必要以上の挟持力が作用し対象物を押し潰して破損させたり表面にキズを付けてしまったりするという恐れがある。
そのため、上記のようなデリケートな対象物を潰したり、破損させたり、キズを付けたりしないように挟持するには、作業者は手先や指先に神経を集中させて開閉操作部に微妙な力加減で閉力を加える繊細且つ微細な操作を余儀なくされ、そのための開閉操作部の微妙な力加減を調整しながらの操作は非常に難しいものであると共に、作業効率を大きく低下させる要因となっていた。
本発明は、上述のような問題点を解決し、挟持操作によって潰したくない、壊したくない、或いは表面にキズを付けたくないといったデリケートな構造の対象物を挟持したり切断する際に、作業者が開閉操作部に加える閉力を微妙な力加減で調整しながら慎重に操作することなく、例えば、開閉操作部を単に握持操作若しくは指先で摘まみ操作するといった極めて簡易な操作で対象物を潰したり、破損させたり、或いはキズを付けたりすることなく容易にデリケートな挟持物や切断物を挟持したり切断したりすることができる画期的な開閉作業具を提供することを目的としている。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
第一半体1と第二半体2とを交差枢着して、この対向する第一半体1と第二半体2との先端部を挟持部若しくは切断部とする開閉作業部4とし、前記対向する第一半体1と第二半体2との基端部を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで前記開閉作業部4が閉動して対象物3を挟持若しくは切断する開閉操作部5とした開閉作業具において、前記開閉操作部5を構成する前記第一半体1の基端部は、前記開閉操作部5に加えた閉力によって撓むように構成すると共にこの撓みによって内方に移動する当接部7を設けた構成とし、前記開閉操作部5を構成する前記第二半体2の基端部は、前記当接部7と当接しこの当接した当接部7に押圧されることで弾性変形し得る受部6を設けた構成として、前記開閉操作部5に閉力を加えて前記開閉作業部4を閉動させ前記対象物3を挟持若しくは切断する際、前記開閉操作部5に閉力を加えてゆくと前記第一半体1の基端部が内方に撓み、この第一半体1の基端部が内方に撓むことによって前記当接部7が前記第二半体2の基端部に設けた前記受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した状態で更に前記開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、前記受部6が前記当接部7に押圧されて弾性変形すると共に、前記開閉操作部5に加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として前記開閉作業部4に伝達する伝達比が、前記当接部7と前記受部6との当接前の挟持力若しくは切断力として伝達する伝達比に比して減じるように変化する構成したことを特徴とする開閉作業具に係るものである。
また、前記第一半体1の基端部は、前記開閉作業部4で前記対象物3を挟持した状態で前記開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、前記撓み部11に前記当接部7を設けて、この当接部7を前記撓み部11が内方に撓み可動することによって前記受部6に当接するように構成したことを特徴とする請求項1記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記当接部7と前記受部6とが当接した状態で、前記開閉操作部5に加える閉力を増大してゆくと、この開閉操作部5は増大しながら加えられる閉力によって更に内方に閉動してゆくが、この開閉操作部5に増大しながら加えられた閉力は前記開閉作業部4に伝達されず、前記当接部7と前記受部6とが当接した以降は、前記開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が略一定となるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記受部6は、板面を受け面とする板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部6の基端部を固定し先端部を自由端として前記第二半体2の基端部に内方に突出状態に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
また、前記当接部7と前記受部6との離間間隔を調整する間隔調整機構15を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉作業具に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、開閉操作部に加えた閉力が開閉作業部に挟持力若しくは切断力として伝わり難くなるので、対象物を挟持若しくは切断する際、従来の開閉作業具に比べて開閉操作部を大きな操作量で操作することができ、よって、微妙な力加減を要する操作、言い換えると、開閉作業部の挟持力若しくは切断力が急激に増大しないように開閉操作部を微少な閉動量で調整しなければならない操作を、閉動量の大きな操作で操作することができるようになり微妙な力加減を要する際の操作性が向上する。
また、開閉操作部に閉力を加えていっても開閉作業部に所定値以上の挟持力や切断力が伝わらないように構成することも容易にできる構成であり、これによって、開閉操作部に閉力を加え過ぎても、開閉作業部で挟持若しくは切断している対象物に所定以上の大きな挟持力若しくは切断力が作用しないように構成することができるため、対象物を潰してしまう、壊してしまう、キズを付けてしまう、或いは、切断したくないところを切断してしまうことを防止できる極めて優れた開閉作業具となる。
従って、本発明は、このような特性を活かして様々な用途に使用することができ、しかも、このような画期的な作用効果を発揮する構成を簡易な構成で実現することができる画期的な開閉作業具となる。
即ち、本発明は、開閉作業部に対象物を挟持した状態で開閉操作部に閉力を加えてゆくことで開閉操作部の一方となる第一半体の基端部が内方に撓むという簡易な構成でこの第一半体の基端部に設けた当接部と第二半体の基端部に設けた受部とを容易に当接することができ、この第一半体の基端部が撓むことで当接した当接部と受部とにおいて、開閉操作部に更に加えられた閉力によって当接部が受部を押圧し、この当接部に押圧された受部が弾性変形するだけの簡易な構成で上述した開閉操作部に加えた閉力を開閉作業部に伝え難くするという画期的な作用効果を実現することができ、更に、この開閉操作部に閉力を加える操作を握持操作若しくは指先摘み操作することによって、第一半体の基端部が撓んだ際の反作用(復帰弾性力)を開閉操作部を操作する手や指先で感じ取ることで作業者は開閉作業部が対象物を挟持しているということを認識でき、これによって、開閉作業部が対象物を挟持しているかどうかの不安感を抱くことなく対象物を挟持していることを確信し安心して挟持作業することができる実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
また、請求項2記載の発明においては、対象物を挟持した状態で開閉操作部に閉力を加えた際に撓み可動因部により撓み可動する撓み部によって、開閉操作部を内方に確実に撓み可動させることができ、この撓み部が内方へ撓み可動することにより開閉操作部に閉力を増大させながら加え続けることができると共に、この撓み可動の反作用となる復帰弾性力を握持操作若しくは指先摘み操作する手や指先で確実に感じとることができる実用性に優れた構成の開閉作業具となる。
また、請求項3記載の発明においては、単に開閉操作部を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を増大させながら加える操作、例えば、握持する力や指先で摘まむ力を微妙に調整することなく無造作に操作するような握持操作や指先摘み操作をするだけの極めて簡易な操作をしても、開閉作業部には所定値以上の挟持力若しくは切断力が作用しないので、開閉操作部に閉力を加え過ぎたことによって、デリケートな構造の対象物を潰したり、破損させたり、表面にキズを付けたりする不具合の発生が可及的に減少し、作業者は、極めて容易に且つ安心してデリケートな対象物を挟持することができたり切断することができる極めて実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
即ち、例えば、当接部と受部とが当接した状態で更に開閉操作部に閉力を増大させながら加えていっても開閉作業部には開閉操作部に加えた所定値以上の閉力に応じた力が伝わらない、言い換えると、開閉作業部は所定の挟持力若しくは切断力、例えば当接部と受部との離間間隔や撓み可動因部の撓み変形度、或いは受部の弾性変形度の設定により予め設定した挟持力若しくは切断力よりも大きな力で対象物を挟持若しくは切断することがないので、例えば、この予め設定する挟持力若しくは切断力を挟持若しくは切断する対象物を潰したり破損させたりなどしない挟持力若しくは切断力に設定することで、若しくはそのように設定されたものを用いることで、開閉操作部に加える閉力を微妙な力加減で調整することなく、この開閉操作部を無造作な握持操作や指先摘み操作で閉力を加えていっても、このデリケートな構造の対象物を潰さず、破損させず、或いは表面にキズを付けずに容易に挟持することができたり、デリケートに切断したりすることができる画期的な開閉作業具となる。
よって、例えば、血管などの潰れ易くキズ付き易い繊細なものを対象物として挟持する場合でも、予めこの対象物がどの程度の挟持力で潰れてしまうか、或いはどの程度の挟持力でキズが付いてしまうかを調べて、いくら開閉操作部に閉力を加えていっても、開閉作業部が対象物を挟持する挟持力若しくは切断する切断力をきちんと対象物を挟持したり切断したりするが、この挟持力若しくは切断力によって対象物を潰したり、キズを付けたり、或いは切断しなくないところまで切断したりすることがない力、即ち、前述のような不具合が生じない所望の挟持力若しくは切断力になるように設定構成することで、作業者は開閉操作部を握持操作若しくは指先摘まみ操作してこの開閉操作部に加えていく閉力を開閉作業部に伝達し過ぎないように気にしながら少しずつ加えてゆくといった煩わしい操作をすることなく、何も気にせず、単に開閉操作部を握持操作若しくは指先摘まみ操作するだけで良いので、極めて容易に、且つプレッシャーを感じずに血管などの潰れ易くキズ付き易いデリケートな構造物を対象物として挟持することができる。
また、請求項4記載の発明においては、極めて簡易な構成で本発明の作用効果を発揮することができる画期的な開閉作業具となる。
また、請求項5記載の発明においては、当接部と受部との離間間隔を調整することで、この当接部と受部とが当接するまでに増大し続ける挟持力や切断力のピーク値(最大挟持力若しくは最大切断力)を調整することができるので、対象物を所望の挟持力若しくは切断力で挟持する若しくは切断することができる一層実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
実施例1を示す斜視図である。 実施例1の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図2の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓み可動させることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。 図3の状態から、更に閉力を増大させて開閉操作部を内方へ撓み可動させた状態を示す説明正面図である。 実施例1において、開閉操作部に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部の変位量と、開閉作業部の挟持力との関係を示すグラフである。 実施例2を示す正面図である。 実施例2の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 実施例3を示す正面図である。 実施例3の開閉作業部に対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 実施例3において、開閉操作部に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部の変位量と、開閉作業部の挟持力との関係を示すグラフである。 実施例4を示す斜視図である。 実施例4の開閉作業部に比較的径の小さな対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図12の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓み可動させることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。 図13の状態から、更に閉力を増大させて開閉操作部を内方へ撓み可動させた状態を示す説明正面図である。 実施例4の開閉作業部に比較的径の大きな対象物を挟持した状態を示す説明正面図である。 図15の状態から、開閉操作部に閉力を加えて開閉操作部を内方へ撓み可動させることにより当接部を受部に当接させた状態を示す説明正面図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
対向する第一半体1と第二半体2との先端部間、即ち挟持部若しくは切断部となる開閉作業部4で例えば被挟持物となる対象物3を挟持し、この対象物3を挟持した状態で対向する第一半体1と第二半体2との基端部、即ち開閉操作部5に閉じ方向となる内方に押圧する閉力を増大させながら加えてゆくと、少なくとも第一半体1の基端部が撓むことによって開閉操作部5が閉動し、この開閉操作部5の閉動によって、開閉作業部4の挟持力がこの開閉操作部5に加えられる閉力に応じて増大してゆくと共に、第一半体1の基端部に設けた当接部7が第二半体2の基端部に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この際に、例えば作業者が握持操作若しくは指先摘み操作によって閉力を加えてゆく場合は、開閉操作部5(第一半体1の基端部)が撓んだ際の反作用の力(復帰弾性力)をこの閉力を加えている手若しくは指先で感じ取ることができ、この反作用を感じ取ることで作業者は対象物3を挟持していることを容易に認識することができるので、作業者は挟持状態を見ずとも安心して作業を続けることができる。
この当接部7と受部6とが当接することで開閉操作部5の動作支点が、第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9と、当接部7と受部6とが当接した当接点10との二つになり、この動作支点が二つになった状態で更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、受部6に当接した当接部7が受部6を押圧して、この当接部7に押圧された受部6が弾性変形する。
この当接部7と受部6とが当接して開閉操作部5の動作支点が二つになると共に、当接部7と受部6とが当接した後も開閉操作部5は閉力を加え続けてゆくことで閉動操作可能であるが受部6が弾性変形することによって、この開閉操作部5に増大させながら加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比は、当接部7と受部6とが当接する前の閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比に比べて減じるように変化する。
言い換えると、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことで変位する開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との所定位置における離間間隔の変位量)に対する開閉作業部4の挟持力若しくは切断力の増大する割合が減じるように変化する。
この伝達比が減じる変化とは、当接部7と受部6とが当接すると、対象物3を挟持する挟持力若しくは対象物3を切断する切断力の増大する割合が低下する、言い換えると、挟持力若しくは切断力が当接前に比べて緩やかに増大してゆくような変化や、いくら開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていっても、当接部7と受部6とが当接すると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が変化せずに一定の挟持力若しくは切断力を維持するような変化や、当接部7と受部6とが当接すると、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が減少してゆくような変化を意味し、これらいずれの変化を伴う構成でも良い。
従って、いずれにしても当接部7が受部6に当接した状態では、開閉操作部5に加えた閉力が開閉作業部4に挟持力若しくは切断力として伝わり難くなるので、対象物3を挟持若しくは切断する際、従来の開閉作業具に比べて開閉操作部5を大きな操作量で操作することができ、よって、微妙な力加減を要する操作、言い換えると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が急激に増大しないように開閉操作部5を微少な閉動量で調整しなければならない操作を、閉動量の大きな操作で操作することができるようになり微妙な力加減を要する際の操作性が向上する。
また、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4に所定値以上の挟持力や切断力が伝わらないように構成することも容易にできる構成であり、これによって、開閉操作部5に閉力を加え過ぎても、開閉作業部4で挟持若しくは切断している対象物3に所定値以上の大きな挟持力若しくは切断力が作用しないように構成することができるため、対象物3を潰してしまう、壊してしまう、キズを付けてしまう、或いは、切断したくないところを切断してしまうことを防止できる極めて優れた開閉作業具となる。
従って、本発明は、このような特性を活かして様々な用途に使用することができ、しかも、このような画期的な作用効果を発揮する構成を簡易な構成で実現することができる画期的な開閉作業具となる。
本発明の具体的な実施例について図1〜図5に基づいて説明する。
本実施例は、第一半体1と第二半体2とを途中で交差枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側の対向する第一半体1と第二半体2との先端部を挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側の対向する第一半体1と第二半体2とを開閉操作部5として、この開閉操作部5を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで開閉作業部4が閉動して対象物3を挟持する挟持作業具に構成した開閉作業具において、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、この開閉操作部5に加えられた閉力が所定の閉力に達した時点でこの開閉操作部5に加えられた閉力を開閉作業部4に挟持力として伝える伝達比が減じるように変化する構成としたものであり、具体的には、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した以降も閉力を増大させながら加えていっても、開閉作業部4の挟持力は、開閉操作部5に所定の閉力が加えられた時点の挟持力から挟持力が増大しない、即ち、どんなに開閉操作部5に強い閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力は所定の挟持力から変化せず一定の挟持力を維持する構成としたものである。
より具体的には、本実施例は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部を開閉操作部5に加えた閉力によって撓むように構成すると共にこの撓みによって内方に移動する当接部7を設けた構成とし、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部を当接部7と当接しこの当接した当接部7に押圧されることで弾性変形し得る受部6を設けた構成として、この第一半体1と第二半体2の夫々の基端部同士が対向して成る開閉操作部5に閉力を加えて開閉作業部4で対象物3を挟持する際に、この開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部が内方に撓み、この第一半体1の基端部が内方に撓むことによって当接部7が第二半体2の基端部に設けた受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した状態で更に開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、受部6が当接部7に押圧されて弾性変形すると共に、この開閉操作部5にいくら閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力が増大せず、一定の挟持力で対象物3を挟持し続けるように構成している。
更に詳しく説明すると、第一半体1及び第二半体2は、金属又は合成樹脂からなる細長い帯板状部材を所定形状に形成した構成(本実施例においては金属、具体的にはアルミ板材若しくはステンレス板材を採用した構成)とし、また、夫々の先端部を対象物3を挟持し得る形状に構成し基端部を握持操作若しくは指先摘み操作し得る形状に構成し、夫々を先端部と基端部との境界位置で交差重合して枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側を第一半体1と第二半体2との夫々の先端部が対向してなる挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側を第一半体1と第二半体2との夫々の基端部が対向してなる開閉操作部5とし、この開閉作業部4と開閉操作部5は交差枢着部9を支点に開閉回動自在とした構成としている。
即ち、この第一半体1と第二半体2との夫々の基端部を対向状態に配設して構成した開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5に内方へ押圧する(開閉操作部5の対向間隔が狭まるように)閉力を加えることで、第一半体1と第二半体2が前記交差枢着部9を支点に回動して開閉作業部4が閉動すると共に開閉操作部5に加えた閉力がこの開閉作業部4に挟持力として伝達されて対象物3を加えた閉力に応じた挟持力で挟持する構成としている。
また、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、撓み部11に当接部7を設けて、この当接部7を撓み部11が内方に撓み可動することによって後述する第二半体2の基端部に設けた受部6に当接するように構成している。
本実施例においては、撓み可動因部8の一部を撓み可動する撓み部11として構成し、具体的には、先端側が外方に凸となる湾曲形状、基端側が内方に凸となる湾曲形状の略S字状に形成し、この基端側の内方に凸となる湾曲形状(略円弧状)に形成した部位を撓み可動する撓み部11とし、この撓み部11に当接部7を設けた構成としている。
更に、撓み可動因部8は、第一半体1の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性が低く撓み変形し易い構成とし、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、開閉操作部5に閉力が加えられていった際、この剛性の低い撓み可動因部8が撓み変形して開閉操作部5が撓み可動して内方に向かって閉動する構成としている。
即ち、第一半体1の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことによりこの撓み可動因部8、具体的にはこの撓み可動因部8の先端側が内方に撓み、この撓みによって撓み可動因部8の基端側に設けた内方に突出する円弧状の当接部7が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で第二半体2の基端部に設けた受部6と当接するように構成している。
尚、本実施例では、撓み可動因部8を他の部位の厚みよりも薄くすることで撓み変形し易い構成としたが、本実施例と同様の作用効果を発揮する構成であれば上記に限らず適宜採用するものとし、例えば第一半体1の基端部を棒状体で構成した場合は撓み可動因部8の径を他の部位に比べて細くした構成としたり、例えば、撓み可動因部8と他の部位との材質を変えた構成(撓み可動因部8を他の部位よりも剛性の低い材質ものを採用する)としても良い。
また、上述した第一半体1の基端部と共に開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、外方に凸となる湾曲形状に形成し、先端側(交差枢着部9側)に第一半体1の基端部に設けた当接部7と当接する受部6を設けた構成としている。
この受部6は弾性変形自在な構成とし、具体的には、開閉操作部5に加えた閉力によって第一半体1の基端部の撓み可動因部8によって撓み部11が撓み可動して内方に移動した当接部7がこの受部6と当接した際に、この当接部7に押圧されて弾性変形し得る構成としている。
より具体的には、本実施例の受部6は、板面を受け面とする湾曲した帯板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部6の基端部を固定し先端部を自由端として第二半体2の基端部に内方に向かって突出した状態に設けた構成としている。
即ち、本実施例の開閉操作部5は、この開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部の先端側に設けた撓み可動因部8が撓み、この撓み可動因部8が撓むことによって撓み部11が撓み可動して当接部7が内方に移動してゆき、この内方に移動していった当接部7は、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で第二半体2の基端部に設けた受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した後も引き続き開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部は共に閉動し開閉操作部5自体は閉動操作可能であり、更に受部6は当接部7に押圧されて弾性変形する構成としている。
また、本実施例では、この開閉操作部5の内方への撓み(具体的には、第一半体1の基端部の内方への撓み)によって当接し合う当接部7と受部6との当接点10が第一半体1の基端部の閉動時の動作支点となるように構成してこれを力伝達比変動機構12とし、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、当接部7と受部6とが当接していない状態においては、この開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部のいずれも交差枢着部9を動作支点として閉動し、当接部7と受部6とが当接した状態で更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、第二半体2の基端部は引き続き交差枢着部9を動作支点として閉動するが、第一半体1の基端部は当接部7と受部6とが当接する当接点10を動作支点として閉動する構成とし、この当接部7と受部6とが当接して第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動することで、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比が減じるように構成している。
この伝達比が減じる変化とは、本実施例においては、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力が増大していかないような変化を意味するものであり、即ち、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接し、第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動した時点から、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても、開閉作業部4の挟持力は当接部7と受部6とが当接した時点の挟持力から変化せず、略一定の挟持力が維持される変化を意味するものである。
尚、本実施例は上述のように対象物3を挟持する開閉挟持具とした構成としているが、第一半体1と第二半体2の先端部を対象物3を挟持し得る形状に構成する代わりに、対象物3を切断し得る形状、即ち切断刃に構成して前記開閉作業部4を切断部とする開閉切断具とした構成としても良い。
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
図2は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態(対象物3には殆ど挟持力は作用していない)を示している。この開閉作業部4で対象物3を挟持している状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図3に示すように、第一半体1の基端部に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して第一半体1の基端部が閉動し、第一半体1の基端部の閉動に伴い、撓み部11に設けた当接部7も内方に移動して第二半体2に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この図2の状態から図3の状態になるまで、即ち当接部7と受部6とが非当接状態から当接するまでは、開閉操作部5(力点部13)に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉作業部4は、閉力の増大に伴って挟持力を増大させながら対象物3を挟持してゆくこととなる。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図4に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部は、当接部7と受部6とが当接した当接点10を動作支点にして、この当接点10よりも基端側(閉力を加える力点部13側)が内方に閉動し、当接点10よりも先端側が外方に開動し、開閉操作部5の他側の第二半体2の基端部は受部6が当接部7に押圧されて弾性変形することで、この受部6が弾性変形した分だけ交差枢着部9を動作支点にして更に内方に閉動することとなる。
即ち、この当接部7と受部6とが当接した以降も開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は、閉力を加える力点部13は内方へ可動若しくは撓み可動して閉動操作可能であるが、第一半体1は、開閉操作部5となる基端部の当接部7が受部6に当接した当接点10よりも先端側の開動動作によって先端部が開動して挟持力を低下させる動作が成され、第二半体2は、受部6の弾性変形によって基端部は更に交差枢着部9を動作支点とした閉動操作によって先端部が更に閉動動作しようとして対象物3を押圧することで挟持力が増大する動作が成されるという相反する動作が生じる。
本実施例では、この第一半体1の挟持力を低下させる開動動作と、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作とが略釣り合う動作をするように設定したので、当接部7と受部6とが当接した以降、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の対象物3を挟持する挟持力は増大せずに略一定の挟持力を維持することとなる。
即ち、第一半体1の基端部の当接点10より先端側が外方に押し広げられるように開動動作し、この開動動作によって第一半体1の先端部が開動動作する際の移動量と、受部6が弾性変形することによって第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点として閉動動作し、この閉動動作によって第二半体2の先端部が閉動動作する際の移動量とが等しくなるように設定することで、開閉操作部5は閉動操作可能となるが、開閉作業部4は第一半体1と第二半体2との夫々の先端部間隔が変化しないため、挟持力が変化せず一定の挟持力を維持することとなる。
尚、本実施例においては、撓み可動因部8の撓み変形度合い(撓み可動因部8の剛性)を適宜な値に設定することで第一半体1の先端部の開動動作量を設定し、受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)を適宜な値に設定することで第二半体2の先端部の閉動動作量を設定している。
図5は、本実施例の開閉操作部5に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との変位量の和)と、開閉作業部4の挟持力との関係を示すグラフである。このグラフが示すように、開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は閉動してゆき、当接部7と受部6とが当接するまでは、開閉操作部5に加える閉力の増大に伴って開閉作業部4の挟持力も増大してゆくが、当接部7と受部6とが当接した以降は開閉操作部5に加える閉力を増大させていっても、開閉作業部4の挟持力は増大せず一定の挟持力を維持しているが、開閉操作部5は閉動し続けていることを示している。
尚、本実施例は、上述したように開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接した以降は開閉作業部4の挟持力が一定となる場合を示したものであるが、これに限らず、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接すると、対象物3を挟持する挟持力若しくは対象物3を切断する切断力の増大する割合が当接前に比べて低下する、言い換えると、挟持力若しくは切断力が当接前に比べて緩やかに増大してゆくように変化する構成や、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が減少してゆくように変化する構成としても良い。
具体的には、例えば第一半体1の挟持力を低下させる開動動作の割合よりも、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作の割合のほうが大きくなるように構成して、当接部7と受部6とが当接する前よりも挟持力の増大してゆく割合は減少するものの、当接部7と受部6とが当接後も開閉操作部5に閉力を加えていった際に開閉作業部4の挟持力が緩やかに増大させてゆくように構成したり、逆に、第一半体1の挟持力を低下させる開動動作の割合が、第二半体2の挟持力を増大させる閉動動作の割合よりも大きくなるように構成することで、当接部7と受部6とが当接した以降は、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことによって、開閉作業部4を構成する第一半体1の先端部と第二半体2の先端部とが徐々に相対的に離反してゆき、これによって、対象物3を挟持している挟持力を徐々に減少させてゆくような構成としても良い。
この当接部7と受部6とが当接した以降、開閉操作部5の閉動操作によって生じる開動動作の割合と閉動動作の割合に差を設けるためには、上述した挟持力を一定にする場合と同様に、第一半体1の基端部に設けた撓み可動因部8の撓み変形度合い(撓み可動因部8の剛性)や第二半体2の基端部に設けた受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)を所望の値に設定したり、第二半体2の基端部にも第一半体1の基端部同様に撓み可動因部8を設けた構成にすることで実施可能であり、例えば、受部6の剛性を低く設定して当接部7に押圧された際の弾性変形度合いが大きくなるように構成することで、この受部6の弾性変形度合いが大きいほど第二半体2の基端部の交差枢着部9を動作支点とした閉動動作の割合が大きくなり、よって、第一半体1の開動動作によって作用する挟持力の低下よりも第二半体2の閉動動作によって作用する挟持力の増大が上回ることで、当接部7と受部6とが当接した後も挟持力が増大してゆく構成となり、例えば、受部6の剛性を高く設定して当接部7に押圧された際の弾性変形度合いが小さくなるように構成することで、この受部6の弾性変形量が減少するほど第二半体2の基端部の交差枢着部9を動作支点とした閉動動作の割合が小さくなり、よって、第一半体1の開動動作によって作用する挟持力の低下が第二半体2の閉動動作によって作用する挟持力の増大よりも上回ることで、当接部7と受部6とが当接後は、開閉操作部5に閉力が加えられるにつれ挟持力が低下してゆく構成となる。
このように、受部6の弾性変形度合い(受部6の剛性)の設定を適宜変更するだけの極めて簡易な構成で、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4へ伝達する伝達比を容易に調整、設定することができる。
本発明の具体的な実施例について図6〜図7に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、第一半体1に設けた当接部7と第二半体2に設けた受部6との離間間隔を広狭自在に調整可能な間隔調整機構15を備えて、この間隔調整機構15により当接部7と受部6との離間間隔を調整することで対象物3を挟持する最大挟持力を調整し得るように構成した場合である。
具体的には、間隔調整機構15を第二半体2の基端部に設けて、第二半体2の基端部に設けた受部6をこの間隔調整機構15で操作して当接部7との離間間隔を調整し得る構成としている。
この間隔調整機構15は、受部6を設ける可動板部23と、この可動板部23を押動する押動部24とで構成し、この押動部24を押動方向に移動させて可動板部23を押動することで、この可動板部23に設けた受部6を当接部7に接近する方向に移動させて当接部7と受部6との離間間隔を調整し得る構成としている。
より具体的には、可動板部23は、円弧状に湾曲した帯板状弾性体で構成し、基端部を第二半体2の基端部に設け先端部を自由端にし、この自由端とした先端部には受部6を設ける受部固設部32を設けた構成としている。
また、押動部24は雄ネジから成り、この雄ネジから成る押動部24は第二半体2の基端部に設けた雌ネジ部26を有する押動部取付け部25に螺着し、回動螺動操作によって進退自在に設けた構成としている。
即ち、本実施例における間隔調整機構15は、雄ネジから成る押動部24を螺挿する方向に回動螺動操作してこの押動部24を前進させることで、この押動部24の先端部が可動板部23の受部固設部32に当接してこれを押圧し、この受部固設部32が押動部24に押圧されることで円弧状可動板部23が弾性変形して円弧の形状が広がり、この可動板部23の広がり変形によって受部固設部32は前方且つ稍上方へ移動し、この受部固設部32が前方且つ上方へ移動することで、この受部固設部32に設けた受部6が当接部7に接近してこの当接部7と受部6との離間間隔が狭まるように構成している。
即ち、本実施例は、第二半体2の受部6を当接部7側に進退移動させる間隔調整機構15を設けて、当接部7と受部6との離間間隔を調整自在にすることで、開閉操作部5に閉力を加えていった際の当接部7と受部6との当接するタイミングを調整して開閉作業部4に伝達される最大挟持力を調整可能にし得る構成とした実用性に優れた画期的な開閉作業である。
他の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例について図8〜図10に基づいて説明する。
本実施例は、実施例2と同様に間隔調整機構15を設けた開閉作業具において、受部6を設けた第二半体2の基端部に、第一半体1の基端部同様に撓み可動因部8としての撓み部11を設けた構成とした場合である。
具体的には、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部を、先端側(交差枢着部9側)に、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した撓み可動因部8を設け、この撓み可動因部8の基端部側に間隔調整機構15を介して可動自在且つ弾性変形自在に構成した受部6を内方に突出状態に設けて、この間隔調整機構15によって受部6を可動させて当接部7と受部6との離間間隔を調整自在にし得る構成とすると共に、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えていった際、第一半体1、第二半体2夫々の基端部に設けた撓み可動因部8によって夫々の撓み部11が撓み可動することで、第一半体1、第二半体2夫々の基端部が内方に閉動してゆきこの第一半体1の基端部に設けた当接部7と第二半体2の基端部に設けた受部6とが互いに接近してゆき当接するように構成している。
即ち、本実施例は、開閉操作部5に閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部、第二半体2の基端部の双方の撓み部11が内方に撓み可動して閉動するので、当接部7と受部6との離間間隔、開閉操作部5に加えてゆく閉力の条件を同じ条件とした際、実施例1、実施例2に比べて、早く当接部7と受部6とが当接する、言い換えると、小さい閉力で当接部7と受部6とが当接するので、開閉作業部4の最大挟持力も実施例1、実施例2に比べて低い値となるように構成している。
図10は、本実施例の開閉操作部5に加えてゆく閉力と、閉力を加えていった際の開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との変位量の和)と、開閉作業部4の挟持力との関係を示すグラフである。このグラフが示すように、実施例1で示したグラフと同様に、開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は閉動してゆき、当接部7と受部6とが当接するまでは、開閉操作部5に加える閉力の増大に伴って開閉作業部4の挟持力も増大してゆくが、当接部7と受部6とが当接した以降は開閉操作部5に加える閉力を増大させていっても、開閉作業部4の挟持力は増大せず略一定の挟持力を維持しているが、開閉操作部5は閉動し続けていることを示しており、また、実施例1のグラフ(図5)と比較すると、開閉操作部5の変位量は同じ量でも加えられている閉力は実施例1の場合よりも小さく、また、挟持力も小さい値を示していることがわかる。
他の構成は、実施例1,実施例2と同様である。
本発明の具体的な実施例について図11〜図16に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みや径の大小が変化しても当接部7と受部6との離間間隔が変わらず、最大挟持力が挟持する対象物3の厚みや径の大きさに関係なく常に一定の値となるように構成した場合である。
即ち、実施例1〜実施例3に示す開閉作業具は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みが厚いほど、若しくは径が大きいほど、これを挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔は広がり、この離間間隔が広がるほど当接部7と受部6とを当接させるために大きな閉力を開閉操作部5に加えることとなり、この当接部7と受部6とが当接するまでに開閉操作部5に加えられる閉力が大きいほど、開閉作業部4に作用する挟持力も大きくなるので、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合は、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合に比べて、最大挟持力即ち当接部7と受部6とが当接した以降の一定の挟持力の値が大きくなってしまうので、実施例2や実施例3では、この厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持することで、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合よりも広くなった離間間隔を狭めて開閉作業部4に作用する最大挟持力を減じるための間隔調整機構15を設けた構成としており、この間隔調整機構15を操作して離間間隔を所望の離間間隔に調整することで厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合でも、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合と同じ最大挟持力に設定することが可能となるが、本実施例は、この実施例2で示したような間隔調整機構15を設けて一々当接部7と受部6との離間間隔を調整する操作をしなくても、単に開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆき閉動操作するだけで、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合と、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合とで、最大挟持力が同等になるように構成した開閉作業具である。
具体的には、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、先端側を外方に凸となる湾曲形状に形成し基端側を内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成して略S字状に形成した撓み可動因部8を先端側(交差枢着部9側)に設け、本実施例では、この撓み可動因部8の一部、具体的には、この撓み可動因部8の基端側の湾曲形状部(円弧状部)を自身によって撓み可動する撓み部11とし、この撓み部11に当接部7を設けた構成とし、この撓み部11に設けた当接部7は、具体的には、後述する第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点として開閉動作する際にこの第二半体2の基端部に設けた受部6が前記開閉動作に伴って移動する方向に長さを有する帯板状に形成すると共に、受部6との当接面を凹凸形状(本実施例では、鋸歯形状)に形成した構成としている。
また、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した撓み可動因部8を先端側(交差枢着部9側)に設け、この撓み可動因部8の基端部側に弾性変形自在に構成した受部6を内方に突出状態に設けた構成とし、この受部6は、具体的には、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した弾性板31と、この弾性板31の先端に設けた係止爪28とで構成し、この係止爪28の先端部が当接部7の凹凸形状に形成した当接面の凹部に嵌合して当接するように構成している。
また、この受部6は、第二半体2の基端部が交差枢着部9を動作支点にして開閉動作する際に、第一半体1の基端部に設けた当接部7の当接面に沿って移動すると共に、この当接部7の当接面と受部6の先端部(具体的には、係止爪28の先端部)との離間間隔が一定の離間間隔を維持した状態で移動するように構成している。
即ち、受部6は、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合は、当接部7の先端側に位置し、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合は当接部7の基端側に位置して、対象物3の厚みや径の大小によって当接部7に対する位置が変動するが、この位置が変動しても、当接部7との離間間隔は変動せずに一定の離間間隔を維持して、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆきこの開閉操作部5が撓み可動因部8によって撓み部11が撓み可動することによって閉動する際、常に所定の閉力が加えられた時点で受部6と当接部7とが当接するように構成している。
このように構成した本実施例の作用を以下に説明する。
図12は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態(対象物3には殆ど挟持力は作用していない)を示している。この開閉作業部4で対象物3を挟持している状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図13に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する(具体的には、受部6を構成する係止爪28の先端部が、凹凸形状に形成した当接部7の当接面の凹部33と嵌合状態に当接する)。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図14に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部は、当接部7と受部6とが当接した当接点10を動作支点にして、この当接点10よりも基端側(閉力を加える力点部13側)が内方に閉動し、当接点10よりも先端側が外方に開動し、開閉操作部5の他側の第二半体2の基端部は受部6が当接部7に押圧されてこの受部6を構成する弾性板31が弾性変形し、この受部6が弾性変形した分だけ交差枢着部9を動作支点にして更に内方に閉動することとなる。
即ち、この当接部7と受部6とが当接した以降も開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5は、閉力を加える力点部13は内方へ可動若しくは撓み可動して閉動操作可能であるが、第一半体1は、開閉操作部5となる基端部の当接部7が受部6に当接した当接点10よりも先端側の開動動作によって先端部が開動して挟持力を低下させる動作が成され、第二半体2は、受部6の弾性変形によって基端部は更に交差枢着部9を動作支点とした閉動操作によって先端部が更に閉動動作しようとして対象物3を押圧することで挟持力が増大する動作が成されるという相反する動作が生じ、この相反する動作が生じることによって、いくら開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていっても、開閉作業部4の挟持力は増大してゆかずに一定の挟持力を維持する。
また、図15は、図12で示す対象物3よりも径の大きな対象物3を挟持した状態を示している。
この図15と図12を比較すると、当接部7の長さ方向に対する受部6の位置に差があり、径の大きな対象物3を挟持した場合を示す図15の受部6のほうが当接部7の先端側に位置しているが、受部6と当接部7との離間間隔は差が見られない。
よって、この図15の状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図16に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する。
この図16と径の小さい対象物3を挟持した場合の図13を比較すると、当接部7と受部6との当接位置は変化するが、当接部7と受部6とが当接するまでに閉動する開閉操作部5の移動量(変位量)は略同じであり、即ち、開閉操作部5に加えられた閉力が同じ値で当接部7と受部6とが当接することとなり、よって、開閉作業部4に挟持されている対象物3に作用する挟持力も径の大小に関わらず同等の閉力が作用することとなる。
このように、本実施例は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みや径の大きさが変動しても、当接部7と受部6とが当接するまでに加えられる閉力が一定であり、よって、対象物3の厚みや径の大きさに関わらず、常にこの対象物3に作用する最大挟持力は一定の値となる。
他の構成は、実施例1と同様である。
尚、本発明は、実施例1〜4に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 第一半体
2 第二半体
3 対象物
4 開閉作業部
5 開閉操作部
6 受部
7 当接部
8 撓み可動因部
11 撓み部
15 間隔調整機構

Claims (5)

  1. 第一半体と第二半体とを交差枢着して、この対向する第一半体と第二半体との先端部を挟持部若しくは切断部とする開閉作業部とし、前記対向する第一半体と第二半体との基端部を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで前記開閉作業部が閉動して対象物を挟持若しくは切断する開閉操作部とした開閉作業具において、前記開閉操作部を構成する前記第一半体の基端部は、前記開閉操作部に加えた閉力によって撓むように構成すると共にこの撓みによって内方に移動する当接部を設けた構成とし、前記開閉操作部を構成する前記第二半体の基端部は、前記当接部と当接しこの当接した当接部に押圧されることで弾性変形し得る受部を設けた構成として、前記開閉操作部に閉力を加えて前記開閉作業部を閉動させ前記対象物を挟持若しくは切断する際、前記開閉操作部に閉力を加えてゆくと前記第一半体の基端部が内方に撓み、この第一半体の基端部が内方に撓むことによって前記当接部が前記第二半体の基端部に設けた前記受部と当接し、この当接部と受部とが当接した状態で更に前記開閉操作部に閉力を加えてゆくと、前記受部が前記当接部に押圧されて弾性変形すると共に、前記開閉操作部に加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として前記開閉作業部に伝達する伝達比が、前記当接部と前記受部との当接前の挟持力若しくは切断力として伝達する伝達比に比して減じるように変化する構成したことを特徴とする開閉作業具。
  2. 前記第一半体の基端部は、前記開閉作業部で前記対象物を挟持した状態で前記開閉操作部に加える閉力を増大させた際にこの第一半体の基端部を内方に撓ませる撓み可動因部と、この撓み可動因部により撓み可動する撓み部とから成り、前記撓み部に前記当接部を設けて、この当接部を前記撓み部が内方に撓み可動することによって前記受部に当接するように構成したことを特徴とする請求項1記載の開閉作業具。
  3. 前記当接部と前記受部とが当接した状態で、前記開閉操作部に加える閉力を増大してゆくと、この開閉操作部は増大しながら加えられる閉力によって更に内方に閉動してゆくが、この開閉操作部に増大しながら加えられた閉力は前記開閉作業部に伝達されず、前記当接部と前記受部とが当接した以降は、前記開閉作業部の挟持力若しくは切断力が略一定となるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の開閉作業具。
  4. 前記受部は、板面を受け面とする板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部の基端部を固定し先端部を自由端として前記第二半体の基端部に内方に突出状態に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉作業具。
  5. 前記当接部と前記受部との離間間隔を調整する間隔調整機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉作業具。
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