JP2013176803A - プレス成形品およびその製造方法 - Google Patents

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圭介 沖田
Chikayuki Ikeda
周之 池田
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Abstract

【課題】深絞り加工が可能な程度に成形性が良好なプレス成形品を製造するための有用な方法、およびこうした製造方法によって得られたプレス成形品を提供する。
【解決手段】パンチおよびダイを有する金型を用いて鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、650℃以下の温度まで冷却してから成形を開始し、且つ成形中における金型と鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、主に自動車車体に適用される鋼板成形品を製造する分野において、その素材となる鋼板(ブランク)をAc1変態点以上に加熱し、その後プレス成形して所定の形状に成形する際に、形状付与と同時に焼入れて所定の強度を得ることのできるプレス成形品を製造する方法、およびこうした製造方法によって得られるプレス成形品等に関するものであり、殊にプレス成形時に破断や割れなどを発生させずに良好な成形が実現できる成形品の製造方法、およびプレス成形品等に関するものである。
地球環境保護の観点から、低燃費化を目的とした自動車の軽量化が強く望まれており、車両を構成する部品に鋼板が使用される場合には、高強度鋼板を適用し、この鋼板の板厚を薄くすることによって、軽量化が図られている。その一方で、自動車の衝突安全性を向上させるために、ピラー等の自動車部品には、更なる高強度化が要求されており、引張強度がより高い超高強度鋼板に対するニーズも高まっている。
しかしながら、鋼板の強度をより高くすると、伸びELやr値(ランクフォード値)が低下し、プレス成形性や形状凍結性が劣化することになる。
こうした状況の下、高強度の自動車用構造部品を実現するために、プレス成形と焼入れによる部品の強度向上を同時に行なう熱間プレス方法(いわゆる「ホットプレス法」)が提案されている(例えば、特許文献1)。この技術は、鋼板をAc3変態点以上のオーステナイト(γ)領域まで加熱して、熱間でプレス成形すると共に、プレス成形時に常温の金型と接触させることによって鋼板の焼入れを同時に行い、超高強度化を実現する方法である。
こうした熱間プレス方法によれば、低強度状態で成形されるので、スプリングバックも小さくなると共に(形状凍結性が良好)、急冷によって引張強度が1500MPa級の強度が得られることになる。尚、このような熱間プレス方法は、ホットプレス法の他、ホットフォーミング法、ホットスタンピング法、ホットスタンプ法、ダイクエンチ法、等様々な名称で呼ばれている。
図1は、上記のような熱間プレス成形(以下、「ホットプレス」で代表することがある)を実施するための金型構成を示す概略説明図であり、図中1はパンチ、2はダイ、3はブランクホルダー、4は鋼板(ブランク)、BHFはしわ押え力、rpはパンチ肩半径、rdはダイ肩半径、CLはパンチ/ダイ間クリアランスを夫々示している。また、これらの部品のうち、パンチ1とダイ2には冷却媒体(例えば水)を通過させることができる通路1a,2aが夫々の内部に形成されており、この通路に冷却媒体を通過させることによってこれらの部材が冷却されるように構成されている。
こうした金型を用いてホットプレス(例えば、熱間深絞り加工)するに際しては、ブランク(鋼板4)を、(Ac1変態点〜Ac3変態点)の二相域温度またはAc3変態点以上の単相域温度に加熱して軟化させた状態で成形を開始する。即ち、高温状態にある鋼板4をダイ2とブランクホルダー3間に挟んだ状態で、パンチ1によってダイ2の穴内(図1の2,2間)に鋼板4を押し込み、鋼板4の外径を縮めつつパンチ1の外形に対応した形状に成形する。また、成形と並行してパンチ1およびダイ2を冷却することによって、鋼板4から金型(パンチ1およびダイ2)への抜熱を行なうと共に、成形下死点(パンチ先端が最深部に位置した時点:図1に示した状態)で更に保持冷却することによって素材の焼入れを実施する。こうした成形法を実施することによって、寸法精度の良い1500MPa級の成形品を得ることができ、しかも冷間で同じ強度クラスの部品を成形する場合に比較して、成形荷重が低減できることからプレス機の容量が小さくて済むことになる。
しかしながら、上記したこれまでのホットプレスでは、鋼板を例えば900℃付近の高温でプレス冷却することになるので、金型(パンチ1およびダイ2)との接触部分と接触しない部分とで温度差がつきやすくなり、相対的に高温となる部分に歪みが集中することや、例えば深絞り成形では縮みフランジが冷却されて縮まなくなることなどによって、成形性が悪くなり、特に深絞り成形が難しくなる。
こうしたことから、冷間プレスによってニアネット(成形品に近い状態)まで成形し、その後、加熱・ダイクエンチする、いわゆるインダイレクト工法も提案されている。しかしながらこの方法では、成形工程が増えるために成形時間が長くなるという欠点がある。従って、成形工程がそれほど多くならない、いわゆるダイレクト工法によって深絞り加工できるような技術が求められているのが実情である。
このような問題に関し、特許文献2には、中炭素薄鋼板を加熱、冷却、プレス成形、更に冷却する際のプレス成形開始温度、停止温度及びプレス成形時間を制御し、より低温で、且つ成形が終了するまでマルテンサイト変態させることなく、プレス成形を行うことにより、優れたプレス成形性を確保できることが開示されている。特に、鋼板を加熱後、鋼板の冷却を行ってからプレス成形を開始することが提案されている。
しかしながら、特許文献2に開示されたようなプレス成形開始温度や冷却速度等を制御するだけでは、必ずしも十分な成形性が得られるとは限らず、更なる製造技術の改良を検討する必要がある。
特開2002−102980号公報 特開2007−275937号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、深絞り加工が可能な程度に成形性が良好なプレス成形品を製造するための有用な方法、およびこうした製造方法によって得られたプレス成形品を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のプレス成形品の製造方法とは、パンチおよびダイを有する金型を用いて鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、650℃以下の温度まで冷却してから成形を開始し、且つ成形中における前記金型と前記鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とする点に要旨を有するものである。
本発明方法において、金型と鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とする手段としては、(a)金型および鋼板の少なくとも一方に潤滑剤を塗布する、(b)鋼板の表面に金属めっきを形成または塗料を塗布する、(c)金型の表面にコーティングを施す、等のいずれか若しくは併用することができる。
本発明方法においては、成形開始温度は鋼板のマルテンサイト変態開始温度Ms以上とすることが好ましい。また、成形終了温度は、鋼板のマルテンサイト変態開始温度Ms未満、マルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度とすることが好ましい。
本発明は、上記のような方法によって得られるプレス成形品も包含する。
本発明によれば、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、650℃以下の温度まで冷却してから成形を開始し、且つ成形中における金型と鋼板との間の摩擦係数を0.3以下としたので、成形時に破断や割れなどを発生させることなくプレス成形品の製造が可能となった。
熱間プレス成形を実施するための金型構成を示す概略説明図である。 プレス成形方法の違いによる成形性の相違を示すグラフである。 成形開始温度と摩擦係数が成形性に与える影響を示すグラフである。 従来の熱間プレスライン(設備構成)の一例を示す概略説明図である。 本発明方法を実施するための熱間プレスライン(設備構成)の一例を示す概略説明図である。 成形開始温度を761℃として成形した成形品の外観形状を示す図面代用写真である。 成形開始温度を526℃として成形した成形品の外観形状を示す図面代用写真である。 各被試験材における、摺動距離100mmまでの摩擦係数の実測データを示すグラフである。
本発明者らは、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後プレス成形するに際して、成形性が良好なプレス成形品を製造するために、様々な角度から検討した。その結果、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、そのまま成形を開始するのではなく、650℃以下の温度まで冷却してからプレス成形を開始し、且つ成形中における金型と鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とすれば、成形時に破断や割れ等を発生させることなく、良好な成形性が確保できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯に沿って本発明について具体的に説明する。
本発明者らは、まずダイレクト法においてプレス成形前に鋼板を冷却する方法の有用性を確認するための実験および解析を行った。この実験において、比較対象として、下記表1に示す化学成分組成を有する鋼板(厚さ:1.4mm、直径:85〜100mmの円形ブランク)を用いて、インダイレクト法によって円筒絞り成形を行った。このとき金型として、直径が50mmの円形の金型(円筒ダイおよび円筒パンチ)を使用した。詳細なプレス成形条件を下記に示す。このとき、金型と鋼板との間の摩擦係数は0.13であった。その結果、成形時の限界絞り比は1.8であった。
<プレス成形条件>
しわ押さえ力:3トン
ダイ肩半径rd:5mm
パンチ肩半径rp:5mm
パンチ−ダイ間クリアランスCL:(0.15/2)mm+1.4(鋼板厚さ)mm
成形高さ:30mm
次に、ダイレクト法においてプレス成形前に鋼板を冷却する方法を、従来一般に知られている手順で行った場合に、限界絞り比を解析によって求めた。この場合、特に摺動性に対する手段は講じていなかったため、金型と鋼板との間の摩擦係数は0.5であった(測定方法は後述する)。また、成形開始温度は、400℃、500℃、600℃、700℃、および800℃の5つのパターンについて解析した。尚、このときの鋼板の加熱温度は、900℃である。
この解析結果を、図2に示す(解析ポイントを◆印で示す)。図2において、破線で示す通り、プレス成形前に鋼板を冷却することによって、成形開始温度を低くした場合(400℃、500℃、および600℃)には、限界絞り比が高くなっており、成形性が向上していることが確認できる。しかしながら、インダイレクト法にて成形した場合の限界絞り比に比べると劣っており、ダイレクト法においてプレス前に鋼板を冷却することだけでは、成形性の向上は不十分であることが分かる。
そこで、金型と鋼板との間の摩擦係数を0.2として、上記と同様にダイレクト法においてプレス成形前に鋼板を冷却する方法で円筒深絞り成形を行った場合の限界絞り比を、解析によって求めた。この場合には、前記図2において実線で示す通り(解析ポイントを▲印で示す)、プレス成形前に鋼板を冷却することによって成形温度を低くした場合に、インダイレクト法にて成形した場合よりも大きな限界絞り比が得られており、成形性が優れていることが確認できた。
以上の実験および解析により、ダイレクト法において、プレス成形前に鋼板を冷却し、且つ成形中における金型と鋼板との間の摺動性を良くすれば、良好な成形性が確保できることが判明したのである。即ち、従来法のように高温域でプレス成形を開始するダイレクト法を適用するのではなく、プレス成形を開始する前に鋼板を650℃以下に冷却することによって成形性を向上させるダイレクト法を適用し、更に、これにとどまらず、このダイレクト法と組み合わせて、鋼板がプレス成形される温度域における金型と鋼板との間の摺動性を考慮する方法と適用すれば、インダイレクト法を上回るほどの良好な成形性が確保できるのである。
成形開始温度は、上記解析結果より、700℃を超えると温度が高すぎて良好な成形性が得られておらず、この700℃よりも低くするべきことが分かるが、具体的には、650℃以下とする必要がある。より好ましくは、600℃以下とすれば、更に成形性の向上が期待できる。また、成形開始温度の下限値は、マルテンサイト変態開始温度Ms以上とすることが好ましい。
本発明方法を実施するに当たっては、まず鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱して成形を容易にする必要がある。尚、Ac1変態点以上の温度とは、(Ac1変態点〜Ac3変態点)の二相域温度は勿論のこと、Ac3変態点以上の単相域温度のいずれでも含む意味である。上記解析では、上述の通り900℃とした。この加熱温度の上限は1000℃程度までとすることが好ましい。1000℃よりも高くなると、加熱時にオーステナイトの粒径が大きくなり、良好な成形性が達成できなくなる。また、1000℃よりも高くなると、酸化スケールの生成が著しくなって(例えば、100μm以上)、成形品の板厚(デスケーリング後の厚さ)が所定のものより薄くなる可能性がある。
本発明における成形終了温度については、成形途中でマルテンサイト変態が完全に完了してしまうと成形性が却って悪くなるので、この温度(成形終了温度)はマルテンサイト変態開始温度Ms未満、マルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度とすることが好ましい。尚、本発明において「成形終了温度」とは、成形下死点(パンチ先端が最深部に位置した時点:図1に示した状態)に至り、更に所定温度まで金型冷却保持を行って金型を離した時の温度を意味する。
上記したAc1変態点、Ac3変態点、マルテンサイト変態開始温度Ms、およびマルテンサイト変態終了温度Mfは、下記の(1)式〜(4)式に基づいて求められるものである(例えば『熱処理』41(3),164〜169,2001 邦武立朗「鋼のAc1,Ac3およびMs変態点の経験式による予測」参照)。尚、表1に示した化学成分組成の鋼板のAc1変態点、Ac3変態点、マルテンサイト変態開始温度Ms、およびマルテンサイト変態終了温度Mfは、夫々Ac1変態点:718℃、Ac3変態点:830℃、Ms:411℃、Mf:261℃となる。
Ac1変態点(℃)=723+29.1×[Si]−10.7×[Mn]+16.9×[Cr]−16.9×[Ni] …(1)
Ac3変態点(℃)=−230.5×[C]+31.6×[Si]−20.4×[Mn]−39.8×[Cu]−18.1×[Ni]−14.8×[Cr]+16.8×[Mo]+912 …(2)
Ms(℃)=560.5−{407.3×[C]+7.3×[Si]+37.8×[Mn]+20.5×[Cu]+19.5×[Ni]+19.8[Cr]+4.5×[Mo]} …(3)
Mf(℃)=Ms−150.0 …(4)
但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr]および[Mo]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,CrおよびMoの含有量(質量%)を示す。
上記解析から、摺動性を考慮しなかった場合の摩擦係数=0.5では良好な成形性が得られず、摩擦係数=0.2とした場合に成形性の向上が得られたことが分かる。具体的に、成形開始温度と摩擦係数が成形性に与える影響を図3に示す(成形高さが高いほど成形性が良好であることを示す)。図3の解析結果によると、摩擦係数(図3中「μ」で示す)が0.4および0.6の場合には、プレス前に薄鋼板を冷却しても成形高さに大きな変化が見られなかった(即ち、成形性が向上しなかった)のに対し、摩擦係数を0.3とした場合には、成形開始温度が500℃および600℃のときに、成形高さが大きくなる(即ち、成形性が顕著に向上する)ことが分かる。従って、本発明において、金型と薄鋼板との間の摩擦係数は、0.3以下とすればよい。より好ましくは、0.2以下である。
本発明において、金型と薄鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とする手段については、特に限定されないが、例えば、以下の各手段(1)〜(3)が適用可能であり、これらのいずれか或は併用すれば良い。
(1)金型および薄鋼板の少なくともいずれか一方に潤滑剤を塗布する。このとき用いる潤滑剤としては、特に限定されず、金型と薄鋼板との間の摩擦係数が0.3以下とできる限り、公知のものが採用できる。例示すると、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素等が使われる固体潤滑剤や、液体潤滑剤あるいはグリース等が挙げられる。
(2)薄鋼板表面にめっきを形成または塗料を塗布してもよい。用いるめっき、塗料としては、特に限定されず、金型と鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とできる限り、公知のものを採用できる。めっきとして、例えば、亜鉛系めっき(溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき)、アルミ系めっき等が挙げられる。
(3)金型の表面にコーティングを施してもよい。コーティングとしては、特に限定されず、金型と薄鋼板との間の摩擦係数が0.3以下となる限り、公知のものを採用できる。具体的に例示すると、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を含むICF膜(真性カーボン膜)、PVDによるCrSiN系膜、TiBON系膜、TiCN系膜、CVDによるTiC−Al23系膜等が挙げられる。
ところで、従来の熱間プレスライン(設備構成)は、図4(概略説明図)に示すような構成(設備構成)となっているのが一般的である。即ち、図4に示すように、コイル状態の鋼板10を、切り出し機11によって切り出しされ(Blanking)、加熱炉12内で加熱された後、プレス成形機13に移動されてプレス成形品14とされる。
本発明では、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、そのまま成形を開始するのではなく、650℃以下の温度まで冷却してからプレス成形を開始するものであるが、こうした冷却を行うに際しては、例えば図5(概略説明図)に示すような設備構成を採用すれば良い。即ち、加熱後の後半領域に冷却部15を配置し(図5において、図4に対応する部分には同一の参照符号が付してある)、鋼板10を加熱炉12からプレス成形機13に移動する際に冷却部15で冷却を行うようにすれば良い。冷却部15で行う冷却では、例えば下記(1)〜(4)等の方法で冷却を実施することができる。
(1)ガス冷却手段を設けてガスジェット冷却する。
(2)冷媒としての金属と接触させる手段(例えば、水冷ロールによる冷却手段)を設けて抜熱する。
(3)ミスト冷却手段を設けて冷却する。
(4)ドライアイスショット手段(顆粒ドライアイスをブランク材に衝突させて冷却する)を設けて冷却する。
上記のような冷却部15で所定温度までの冷却を行った後は、プレス成形機13に移動させて、成形を開始してからも引き続き成形金型による冷却を行ないつつ成形を行うようにすれば良い。
以下、本発明の効果を実施例によって更に具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
前記表1に示した化学成分組成を有する鋼板(従って、この鋼板のAc1変態点:718℃、Ac3変態点:830℃、マルテンサイト変態開始温度Ms:411℃、マルテンサイト変態終了温度Mf:261℃)を用いて、ダイレクト法によって円筒絞り成形を行った。鋼板は非めっき材を用いた。このときのプレス成形条件は、前記インダイレクト工法での実験と同じ金型(図1)を用い、しわ押さえ力:3トン、成形速度:100mm/秒である。潤滑剤として、固体潤滑、液体潤滑を含む5種類(下記表2)を用い、金型コーティングとしてDLCを用いた。比較として、摩擦抵抗を低減する処置(摩擦抵抗低減処置)を何も施していない条件でも実施した。各潤滑剤を用いた場合の金型と鋼板との間の摩擦係数を下記表2に併せて示すように、いずれも0.2未満であり、DLCを用いた場合では0.30であった。
摩擦係数の測定は、種々の方法が周知であるが、ここでは、「プレス成形難易ハンドブック(第3版)、pp.442〜445、2007、薄鋼板成形技術研究会」に開示されたp.443の表7.7(c)と同等原理の試験を用いて、鋼板温度が400〜650℃のときの平均的な摩擦係数を求めた。具体的には、加熱炉にて900℃まで加熱した薄鋼板を常温の試験装置内に移送し、薄鋼板の温度が低下する間の摩擦係数を50℃間隔で測定し、650℃から400℃までの間の平均値を求めた。図8に、各被試験材(未処理、固体潤滑剤(e)、DLCコーティング)における、摺動距離100mmまでの摩擦係数の実測データを示す。
実施例における成形開始温度は、761℃、633℃、526℃、446℃の4つのパターンとした。また、加熱温度は、900℃とし、加熱温度は6分とした。また鋼板の冷却については、加熱炉からプレス機までに鋼板を搬送する過程で、ブランクに冷風を吹きつけ、平均冷却速度:25℃/秒以上で急冷し、上記の各温度で成形を開始した。また成形開始温度は、予め熱電対を取り付けた薄鋼板を風冷し、冷却曲線を求め、それに基づき、加熱炉から鋼板を取り出してプレス成形するまでの急冷時間によって計算した。また成形終了温度は、いずれも280℃とした。各試験におけるプレス成形性と成形品のビッカース硬さを評価した。尚、プレス成形性は、ブランク直径:95mm(絞り比:1.9)の条件で割れなく成形できた場合を、インダイレクト工法での限界絞り比:1.8より成形性が上回っているため成形性○と評価した(破断や割れが有るととき「×」、無いとき「○」)。また、成形品のビッカース硬さは、底部、R部、縦壁部の板厚中心のビッカース硬さを測定し、その平均値で評価した。その結果を、摩擦抵抗低減処置の種類、加熱条件、冷却方法、成形条件と共に、下記表3(試験No.1〜14)および表4(試験No.15〜28)に示す。
尚、各潤滑剤は、図1におけるダイ2の下面(鋼板と接触する面)およびブランクホルダー3の上面に20g/m程度を極力均一になるように散布または塗布した。また、DLCコーティング処理については、処理前にイオン窒化処理を行い、物理蒸着(PVD)により成膜した。このときの膜厚は、約1μmである。
この結果から次のように考察できる。まず、成形開始温度を761℃としたときには(試験No.1、5、9、13、17、21、25)、いずれの場合でも成形の途中で割れが発生した。このときの成形品の状態を図6(図面代用写真)に示す。これに対して、各種潤滑剤やDLCを用いて、且つ成形開始温度を633℃、526℃、446℃とした場合には、いずれも破断や割れなどを発生させることなく良好な成形をすることができた(試験No.6〜8、10〜12、14〜16、18〜20、22〜24、26〜28)。このうち、成形開始温度を526℃としたときの成形品の状態を図7(図面代用写真)に示す。一方、成型開始温度を低下させても、摩擦抵抗低減処置を施していない場合には(試験No.2〜4)、成形途中で割れが発生した。即ち、成形開始温度を650℃以下とし、且つ成形中における金型と薄鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とすることで、良好な成形性が発揮されていることが確認できた。
1 パンチ
2 ダイ
3 ブランクホルダー
4,10 ブランク(鋼板)
11 切り出し機
12 加熱炉
13 プレス成形機
14 プレス成形品
15 冷却部

Claims (7)

  1. パンチおよびダイを有する金型を用いて鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、鋼板をAc1変態点以上の温度に加熱した後、650℃以下の温度まで冷却してから成形を開始し、且つ成形中における前記金型と前記鋼板との間の摩擦係数を0.3以下とすることを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. 前記金型および前記鋼板の少なくとも一方に潤滑剤を塗布することによって摩擦係数を0.3以下とする請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記鋼板の表面に金属めっきを形成または塗料を塗布することによって摩擦係数を0.3以下とする請求項1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. 前記金型の表面にコーティングを施すことによって摩擦係数を0.3以下とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  5. 成形開始温度を鋼板のマルテンサイト変態開始温度Ms以上とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  6. 成形終了温度を鋼板のマルテンサイト変態開始温度Ms未満、マルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度とする請求項1〜5のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られたものであるプレス成形品。
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