JP2013174919A - 表示具 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚みがありかつ外観が良好な表示部を得ることができる表示具を提供する。
【解決手段】基板表面2aに立体形状の表示部3を備える表示具2であって、表示部3は、硬化された紫外線硬化樹脂または硬化された熱硬化性樹脂からなり、表示部3の表面の表面粗さが、基板表面2aの露出面の表面粗さよりも高い。また、表示具2は、利用者に対して、タクタイル文字(凸文字)に指先で触れられることで触覚的な表示部材として機能する。
【選択図】図1
【解決手段】基板表面2aに立体形状の表示部3を備える表示具2であって、表示部3は、硬化された紫外線硬化樹脂または硬化された熱硬化性樹脂からなり、表示部3の表面の表面粗さが、基板表面2aの露出面の表面粗さよりも高い。また、表示具2は、利用者に対して、タクタイル文字(凸文字)に指先で触れられることで触覚的な表示部材として機能する。
【選択図】図1
Description
本発明は、表示具に関し、特に、基板から突出する立体形状の表示部を備える表示具に関する。
表示具として、基板の表面から突出するタクタイル文字(凸文字)を利用する表示方法が知られている。タクタイル文字は、文字や記号の形状で、基板表面から突出される。これにより、表示具は、利用者に対して、タクタイル文字を視覚的に見せる表示部材として機能する。また、表示具は、利用者に対して、タクタイル文字に指先で触れられることで触覚的な表示部材として機能する。
タクタイル文字を形成する手法として、樹脂をシルク印刷で基板表面に印刷する手法が知られている。該手法では、基板表面に対して樹脂を複数回印刷することで、基板表面に対してタクタイル文字の厚みを出している。タクタイル文字の厚みを出すことを目的として、シルク印刷には、比較的粘度の高い樹脂が利用される。たとえば、紫外線硬化樹脂が利用される場合、印刷中にタクタイル文字の形状が崩れることを防止すべく、粘度1000dPa・sから3000dPa・s(印刷雰囲気20℃)の樹脂が利用される。より好ましくは、粘度2000dPa・sから2500dPa・s(印刷雰囲気19℃)の樹脂が利用される。
また、型内に紫外線硬化樹脂を充填した後、基板表面を型に重ね合わせてタクタイル文字である点字を形成する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、シルク印刷でタクタイル文字の厚みを出す場合、厚く印刷する程に、樹脂を硬化するまで印刷されたタクタイル文字の立体形状を維持するのが難しかった。そのため、シルク印刷では、タクタイル文字に十分な厚みを出すことができなかった。
また、特許文献1に記載の方法のように、型内に紫外線硬化樹脂を充填した後、基板表面を型に重ね合わせてタクタイル文字を形成する場合、型および基板の重ね合わせにおいて、型から溢れた紫外線硬化樹脂が基板表面に付着して硬化してしまうおそれがあった。そこで、型から紫外線硬化樹脂が溢れることを防止すべく、充填する紫外線硬化樹脂を少なくすると、硬化される紫外線硬化樹脂の中に空気が残ってしまい、タクタイル文字内にボイドが発生したり、紫外線硬化樹脂が型内の隅々に行き渡らないことにより、タクタイル文字の表面にボイドが発生したりするおそれがあった。いずれにおいても、表示部の外観が不良になってしまうおそれがあった。
本発明は、斯かる事情に鑑み、厚みがありかつ外観が良好な表示部を得ることができる表示具を提供することを課題とする。
本発明に係る表示具の作製方法は、基板表面に立体形状の表示部を備える表示具の作製方法であって、基板表面のうち、表示部を形成する形成面を除く領域に、マスキング層を形成するステップと、基板と重ね合わされる型内に、表示部になる液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を充填した後、型と基板とを重ね合わせることで、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂と形成面とを接触させるステップ、若しくは型と基板とを重ね合わせた後、型内に液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を充填することで、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂と形成面とを接触させるステップと、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を硬化させるステップと、型から基板を取り外すステップと、マスキング層を基板表面から剥離するステップとを備える。
斯かる構成によれば、型内に液体の紫外線硬化性樹脂または液体の熱硬化性樹脂を充填して表示部を形成するので、厚みがある表示部を形成することができる。また、基板表面のうち、形成面を除く領域にマスキング層を形成するので、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を硬化させた後、マスキング層を基板表面から剥離することで、形成面以外の領域で硬化した紫外線硬化樹脂または熱硬化性樹脂を容易に除去することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法は、マスキング層を形成するステップは、形成面にアンカー層を形成するステップを有してもよい。
斯かる構成によれば、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂の形成面への接着をより強固にすることができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法において、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂と形成面とを接触させるステップは、表示部の形成に余剰する液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を、マスキング層に接触させるステップを有してもよい。
斯かる構成によれば、型内に表示部の形成に必要な量以上の量の液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂を充填することができる。これにより、充填に際して、液体の紫外線硬化樹脂または液体の熱硬化性樹脂の中に空気が混入することを防止することができ、硬化された紫外線硬化樹脂または硬化された熱硬化性樹脂の内部及び表面にボイドが発生することを防止できる。さらに、余剰する液体の紫外線硬化樹脂または余剰する液体の熱硬化性樹脂がマスキング層に接触するので、余剰する液体の紫外線硬化樹脂または余剰する液体の熱硬化性樹脂が基板表面で硬化することを防止できる。これらにより、表示部の外観を良好にすることができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法は、マスキング層を基板表面から剥離した後、表示部に残されているバリを除去するステップをさらに備えてもよい。
斯かる構成によれば、表示部の外観をより良好にすることができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法において、液体の紫外線硬化樹脂は、0.5dPa・sから30dPa・sの粘度であってもよい。
斯かる構成によれば、より粘度の低い液体の紫外線硬化樹脂を利用することで、表示部が複雑な形状を有していても、液体の紫外線硬化樹脂への空気の混入を防ぐことができる。これにより、硬化された紫外線硬化樹脂におけるボイドの発生をより抑えることができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法において、液体の紫外線硬化樹脂を硬化するステップは、透明な材料で形成された基板側から、液体の紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射してもよい。
斯かる構成により、不透明材料で型が形成されている場合であっても、基板を通して液体の紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射することができるので、液体の紫外線硬化樹脂を硬化することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法は、型から基板を取り外した後、再度、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射するステップをさらに備えてもよい。
斯かる構成によれば、紫外線硬化樹脂をより確実に硬化させることができるとともに、表示具の触感をより柔らかくすることができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法において、液体の紫外線硬化樹脂を硬化させるステップは、少なくとも、透明材料で形成された型に対して紫外線を照射してもよい。
斯かる構成によれば、透明材料で形成された型に対して紫外線を照射するので、基板が紫外線を透過しない材料で形成されていても、液体の紫外線硬化樹脂を硬化させることができる。また、基板が紫外線を透過する材料で形成されている場合には、基板が重ね合わされている型の任意の方向から紫外線を照射できるので、より厚みのある表示部材を形成することができる。
また、本発明に係る表示具は、基板表面に立体形状の表示部を備える表示具であって、表示部は、硬化された紫外線硬化樹脂または硬化された熱硬化性樹脂からなり、表示部の表面の表面粗さが、基板表面の露出面の表面粗さよりも高い。
斯かる構成によれば、表示部の表面の表面粗さが基板表面の露出面の表面粗さよりも高いので、指先で表示部に触れた場合における触覚を良くすることができる。
以上の如く、本発明に係る表示具によれば、基板表面に立体形状の表示部を備える表示具において、厚みがありかつ外観が良好な表示部を得ることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明に係る表示具における第1の実施形態について、図1〜図11を参酌して説明する。
[表示具]
図1(a)から図1(c)に示すように、表示具1は、タクタイル文字が形成される基板2と、タクタイル文字である表示部3と、表示部3の基板2への接着をより強くするアンカー層4とを備える。すなわち、表示具1は、基板2に、アンカー層4および表示部3がその順番で積層されたものである。表示具1は、例えば、凸形ボタン、メンブレンスイッチ、ロゴ、または銘板等として利用される。なお、本実施形態においては、表示具1が、数字「2」を示す表示部材として機能する場合で説明する。
図1(a)から図1(c)に示すように、表示具1は、タクタイル文字が形成される基板2と、タクタイル文字である表示部3と、表示部3の基板2への接着をより強くするアンカー層4とを備える。すなわち、表示具1は、基板2に、アンカー層4および表示部3がその順番で積層されたものである。表示具1は、例えば、凸形ボタン、メンブレンスイッチ、ロゴ、または銘板等として利用される。なお、本実施形態においては、表示具1が、数字「2」を示す表示部材として機能する場合で説明する。
基板2は、透明な部材で板状に形成される。基板2は、例えば、板状に形成されたアクリルである。基板2は、少なくとも一面に、表示部3が形成される基板表面2aを有する。基板表面2aは、表面磨き加工を施されることで、光沢のある、表面粗さの低い状態に形成される。
表示部3は、樹脂で形成される立体形状のタクタイル文字である。表示部3は、基板2の基板表面2aに形成され、基板表面2aから所定の厚さで突出する。表示部3は、例えば、紫外線硬化樹脂を硬化させることで形成され、基板表面2aから約1mm程度の厚さで突出する。表示部3が紫外線硬化樹脂を硬化させることで形成されるので、表示部3は、より表面粗さの高い状態で形成される。すなわち、表示部3は、基板表面2aに比べて表面粗さが高い状態(表面部3の表面が基板表面2aよりも粗い状態)で形成される。表示部3は、数字「2」の形で基板表面2aから突出することで、表示具1を数字「2」を示す表示部材として機能させる。
アンカー層4は、例えばビニル樹脂、エポキシ樹脂であり、基板2と表示部3との間の接着性を高めることを目的として、基板表面2aと表示部3との間に薄膜状に設けられる。アンカー層4は、基板表面2aと表示部3との接着性を高めることで、基板表面2aからの表示部3の脱落を防止する。
[表示具1の作製方法]
次に、表示具1の作製方法を説明する。表示具1の作製方法を説明するのに先立って、表示具1に表示部3を形成する型7の構成を説明する。
次に、表示具1の作製方法を説明する。表示具1の作製方法を説明するのに先立って、表示具1に表示部3を形成する型7の構成を説明する。
図2(a)および図2(b)に示すように、型7は、凹状に形成された型7の底を形成する底部8と、底部8から図2(b)に示す重ね合わせ方向に突出する突出部9と、突出部9および底部8によって形成される凹状の充填部10と、突出部9の周囲に隣接して設けられる凹形状の樹脂受け部11と、樹脂受け部11を囲うように底部8から突出して設けられる基板支持部12と、基板支持部12を囲うように底部8から突出して設けられる型枠13とを備える。型7は、全体として、樹脂3aと離型性の高い材料であれば、どのような材料で形成されていてもよい。本実施形態においては、型7を不透明のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)で形成されている場合で説明する。
底部8は、凹形状に形成された型7の底として設けられ、凹形状の充填部10および樹脂受け部11の底としても機能する。底部8は、重ね合わせ方向に対して垂直な方向に、型枠13にまで広がる長さで設けられることで、型7の基部として機能する。
突出部9は、表示部3の形状を縁取りする位置に、底部8から重ね合わせ方向に突出して設けられる。突出部9は、底部8を底とする凹形状を形成する。突出部9は、底部8から、基板支持部12と同じ高さで突出する。突出部9は、型7に重ね合わされた基板2のマスキング層5と重ね合わされることで、底部8に対して基板2を支持する。本実施形態においては、表示具1に数字「2」の形の表示部3を形成するべく、突出部9は、基板2を型7に重ね合わせる方向からみて、左右反転された数字「2」の縁を縁取る位置に形成される。
充填部10は、底部8を底として、突出部9を側壁とする凹形状内側に設けられる。充填部10は、該凹形状で、表示部3の材料となる液体の紫外線硬化樹脂3aによって充填される。
樹脂受け部11は、底部8上で突出部9に隣接して設けられる。樹脂受け部11は、底部8を底として、突出部9および基板支持部12を側壁とする凹形状内側に設けられる。樹脂受け部11は、突出部9を超えて充填部10から流入する液体の紫外線硬化樹脂3aを受け止める機能を有する。
基板支持部12は、樹脂受け部11を囲う位置に設けられる。基板支持部12は、突出部9と同じ高さで底部8から突出する。基板支持部12は、型7に重ね合わされる基板2のマスキング層5に重ね合わされることで、基板2を支持する。
型枠13は、基板支持部12を囲う位置に設けられる。型枠13は、基板支持部12よりも底部8から重ね合わせ方向に突出する。型枠13は、基板支持部12に隣接する位置に設けられる側壁で、重ね合わされた基板2の型7に対する位置を固定するのが好ましい。すなわち、型枠13は、基板2の基板表面2aの形状に合わせて、基板支持部12に隣接する側壁を有することで、重ね合わされた基板2の型7に対する位置を固定するのが好ましい。
このような型7を利用して、表示具1を作製する方法を説明する。本実施形態に係る表示具1の作製方法は、基板2にマスキング層5を形成するステップと、表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3aを型7に充填した後、型7と基板2とを重ね合わせることで、液体の紫外線硬化樹脂3aと形成面6とを接触させるステップと、紫外線を照射することで、液体の紫外線硬化樹脂3b,3cを硬化させるステップと、型7から基板2を取り外すステップと、型7から基板2を取り外した後、再度、紫外線硬化樹脂3b,3cに紫外線を照射するステップと、マスキング層5を基板表面2aから剥離するステップと、表示部3に残されているバリを除去するステップとを備える。
まず、基板2にマスキング層5を形成するステップが実行される。基板2にマスキング層5を形成するステップは、図3に示すような基板2を用意するステップと、基板表面2aのうち、表示部3を形成する形成面6を除く領域に、マスキング層5を形成するステップとを有する。
基板2を用意するステップでは、板状に形成された基板2が用意される。基板2の詳細は、表示具1の説明における基板2と同一であるので、ここでの説明を省略する。
次に、基板表面2aのうち、表示部3を形成する形成面6を除く領域に、マスキング層5を形成するステップが実行される。図4(a)および図4(b)に示すように、マスキング層5は、形成面6を残して、基板表面2aに印刷される。マスキング層5は、基板表面2aへマスキング材料をシルク印刷することで形成される。マスキング層5は、紫外線を完全に遮蔽しない材料であるのが好ましい。マスキング層5は、例えば、紫外線硬化樹脂であってよい。マスキング層5は、印刷後に乾燥されて、基板表面2a上で膜状になる。
本実施形態において、表示部3が数字「2」の形状に形成されることを目的として、マスキング層5は、数字「2」の形に形成面6を形成するように、基板表面2aに印刷される。これにより、マスキング層5は、基板表面2aのうち、形成面6の形、すなわち数字「2」の形に基板表面2aを残した状態で基板表面2aを覆う。マスキング層5は、形成面6の領域、すなわち数字「2」の領域以外で基板2に付着しようとする、表示部3を形成する材料から、基板表面2aを保護すべく設けられる。
なお、基板2にマスキング層5を形成するステップは、形成面6にアンカー層4を形成するステップをさらに有してもよい。アンカー層4を形成するステップでは、図5(a)および図5(b)に示すように、アンカー層4が、表示部3と基板2との接着性を高めるべく、形成面6の形状に合わせて印刷される。アンカー層4は、例えば、ビニル系の樹脂を溶剤に溶かしたアンカー材料として、形成面6にシルク印刷される。アンカー層4は、印刷後に乾燥させられることで、溶剤の質量分、体積が減少する。
本実施形態において、アンカー層4は、マスキング層5と形成面6との境界から一定の間隔をあけて印刷される。これにより、表示部3が、型7への基板2の重ね合わせにおけるずれに起因して、形成面6の位置から多少ずれて形成された場合であっても、アンカー層4が、表示部3から外れて基板表面2aに露出することを防止している。なお、形成面6が充填部10にずれることなく重ね合わされることが保障されているならば、アンカー層4は、マスキング層5と形成面6との境界に合わせて形成面6全体を覆うように形成されるのが好ましい。アンカー層4が形成面6全体を覆うように形成されることで、アンカー層4に接着する表示部3の面積が広くなり、結果、表示部3が基板表面2aから脱落することをより防止することができる。
ここで、アンカー層4を形成するステップは、基板表面2aのうち、表示部3を形成する形成面6を除く領域に、マスキング層5を形成するステップの前に実行されてもよい。すなわち、マスキング層5は、アンカー層4が形成された後に、形成されてもよい。
次に、図6(a)および図6(b)に示すように、基板2と重ね合わされる型7内に、表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3aを充填した後、型7と基板2とを重ね合わせることで、液体の紫外線硬化樹脂3aおよび形成面6を接触させるステップが実行される。
基板2と重ね合わされる型7内に、表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3aを充填した後、型7と基板表面2aとを重ね合わせることで、液体の紫外線硬化樹脂3aおよび形成面6を接触させるステップは、図6(a)に示すように、型7内に表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3aを充填するステップと、図6(b)に示すように、型7と基板2とを重ね合わせるステップと、型7に充填されている液体の紫外線硬化樹脂3aのうち表示部3の形成に余剰する液体の紫外線硬化樹脂3cを、マスキング層5に接触させるステップとを有する。
まず、型7内に表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3aを充填するステップが実行される。液体の紫外線硬化樹脂3aは、型7内の充填部10に充填される。液体の紫外線硬化樹脂3aは、凹形状の充填部10の容積を十分に満たす程度に充填される。より好ましくは、液体の紫外線硬化樹脂3aは、図6(b)に示す重ね合わせ方向において、凹形状の充填部10の側壁となる突出部9,9の間で表面張力を伴って重ね合わせ方向に突出する程度に充填される。
次に、型7と基板2とを重ね合わせるステップが実行される。基板2は、図6(b)に示す重ね合わせ方向において、基板表面2aを型7に向けて重ね合わされる。また、基板2は、型7に重ね合わされることで型枠13の側壁の内側に入り込み、型7にその位置が固定される。
基板2が型7に重ね合わされることで、マスキング層5は、基板支持部12の重ね合わせ方向にある面に当接する。また、マスキング層5と形成面6との境界が、突出部9の重ね合わせ方向にある面に当接する。そして、アンカー層4は、充填部10に対向する位置に固定される。
次に、型7に充填されている液体の紫外線硬化樹脂3aのうち表示部3の形成に余剰する液体の紫外線硬化樹脂3cを、マスキング層5に接触させるステップが実行される。液体の紫外線硬化樹脂3aは、突出部9,9の間で表面張力を伴う程度で充填部10に充填されており、型7に重ね合わされた基板2と充填部10とで囲まれる領域の容積を超える液体の紫外線硬化樹脂3aが、余剰な液体の紫外線硬化樹脂3cになる。そして、充填部10に残された液体の紫外線硬化樹脂3aが、表示部3になる液体の紫外線硬化樹脂3bになる。図6(b)に示すように、液体の紫外線硬化樹脂3cは、基板2が型7に重ね合わされることで、突出部9を超えて、樹脂受け部11に流入する。液体の紫外線硬化樹脂3cは、樹脂受け部11に流入することで、型7に重ね合わされている基板2の基板表面2aに形成されたマスキング層5に接触する。より詳しくは、液体の紫外線硬化樹脂3cは、樹脂受け部11に流入することで、図6(b)に示す重ね合わせ方向において、樹脂受け部11を閉塞するマスキング層5の表面に接触する。
より適切に、余剰な液体の紫外線硬化樹脂3cが樹脂受け部11に流入するには、充填部10に充填される液体の紫外線硬化樹脂3aの粘度がより低いことが好ましい。また、充填部10に空気を入れずに液体の紫外線硬化樹脂3aを充填するにも、液体の紫外線硬化樹脂3aの粘度がより低いことが好ましい。液体の紫外線硬化樹脂3aは、例えば、0.5dPa・sから30dPa・s(充填雰囲気20℃)の粘度であることが好ましい。さらに好ましくは、液体の紫外線硬化樹脂3aは、10dPa・sから15dPa・s(充填雰囲気19℃)であることが好ましい。
基板2と型7とを重ね合わせた後、図7に示すように、液体の紫外線硬化樹脂3b,3cを硬化させるステップが実行される。光源14は、基板2側から、基板2および型7に向けて紫外線を照射する。紫外線が、充填部10に充填されている液体の紫外線硬化樹脂3bと、樹脂受け部11に流入した余剰する液体の紫外線硬化樹脂3cとに照射されることで、液体の紫外線硬化樹脂3bおよび余剰する液体の紫外線硬化樹脂3cのそれぞれは、その位置で硬化して、硬化された紫外線硬化樹脂3bおよび硬化された紫外線硬化樹脂3cになる。
液体の紫外線硬化樹脂3b,3cを硬化させた後、型7から基板2を取り外すステップが実行される。基板2は、型7に対して図7に示す取り外し方向に向けて型7から抜かれることで、型7から取り外される。型7から取り外された基板2には、図8(a)から図8(c)に示すように、マスキング層5に接着する硬化された紫外線硬化樹脂3cが形成され、アンカー層4および形成面6に接着する硬化された紫外線硬化樹脂3bが形成されている。硬化された紫外線硬化樹脂3bは、マスキング層5の厚さに対応する厚さで硬化された紫外線硬化樹脂3dと、充填部10内で形成された表示部3とを含んでいる。
型7から取り外された基板2に対して、再度、紫外線硬化樹脂3b,3cに紫外線を照射するステップが実行される。図示しない光源は、基板2の基板表面2a側から紫外線を基板2に照射する。これにより、型7の底部8側で硬化された紫外線硬化樹脂3b,3cが確実に硬化される。したがって、紫外線硬化樹脂3b,3cの硬化不足を防止できるとともに、紫外線硬化樹脂3b,3cをより柔らかな感触に形成することができる。なお、液体の紫外線硬化樹脂3bを硬化させるステップにおいて、液体の紫外線硬化樹脂3b、3cを十分に硬化できる場合、すなわち、型7から基板2が取り外された状態で、液体の紫外線硬化樹脂3b,3cが十分に硬化されていれば、本ステップを実行せずともよい。
次に、図9(a)から図9(c)に示すように、マスキング層5を基板表面2aから剥離するステップが実行される。マスキング層5は、接着テープ等に接着されて基板表面2aから剥離する方向に力が加えられることで、基板表面2aから剥離する。硬化された紫外線硬化樹脂3cは、マスキング層5に接着して硬化しているので、マスキング層5とともに基板表面2aから除去される。
マスキング層5を基板表面2aから剥離した後、表示部3に残されているバリを除去するステップが実行される。マスキング層5が基板表面2aから除去されることで、基板表面2aには、アンカー層4および形成面6に接着している硬化された紫外線硬化樹脂3bが残される。硬化された紫外線硬化樹脂3bは、図9(b)に示す重ね合わせ方向で、断面凸形状に形成されている。すなわち、硬化された紫外線硬化樹脂3bは、表示部3と、表示部3から重ね合わせ方向に垂直な方向に距離uまたはvで突出する硬化された紫外線硬化樹脂3dとを含む。硬化された紫外線硬化樹脂3dは、除去されたマスキング層5の厚さと同じ厚さで表示部3から突出している。ここで、硬化された紫外線硬化樹脂3dは、表示部3のバリとして、表示部3から除去される。これにより、表示部3の外観を良好にすることができる。なお、硬化された紫外線硬化樹脂3dが存在しない、あるいは硬化された紫外線硬化樹脂3dの突出が目立たない場合には、本ステップを実行せずともよい。
以上より、本実施形態に係る表示具の作製方法およびその表示具は、基板表面から十分に突出する、厚みのある表示部を形成することができる。基板を型入れした状態で紫外線硬化樹脂を硬化する前に、予め余剰な紫外線硬化樹脂を樹脂受け部に流入させることができるので、充填部への紫外線硬化樹脂の注入に起因する表示部への空気の侵入を防止することができる。特に、表示部が複雑な文字や記号であっても、充填部へ十分に紫外線硬化樹脂を充填することができる。これにより、外観が良好な表示具を作製することができる。
また、本実施形態における表示具の作製方法および表示具は、基板表面に対して紫外線硬化樹脂を印刷する場合に比べて、基板表面から紫外線硬化樹脂が剥がれ難い表示部を作製することができる。また、表示部の表面粗さが基板表面の表面粗さよりも高いので、表示具が触覚的な表示部材として機能する場合に、柔らかな触り心地を実現できる。
また、本実施形態における表示具の作製方法および表示具は、基板に曲率がある場合であっても、表示部を形成できる。また、基板表面に対して、1.0mm以上の厚さをもつ表示部を形成することができる。また、表示部を点字として、従来に比べてより綺麗な半球形状をもつ形状に形成することができる。
なお、本発明に係る表示具の作製方法および表示具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、本発明に係る表示具の作製方法および表示具においては、形成される表示部3を数字「2」として説明したが、表示部3は、数字「2」に限られず、様々な文字や記号の形状で形成されてよい。
また、本発明に係る表示具の作製方法および表示具においては、紫外線硬化樹脂に代えて、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、または不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を利用してもよい。表示部3に熱硬化性樹脂を利用することで、型7から基板2を取り外した後に、再度硬化する必要がない。また、光源14を利用して液体の熱硬化性樹脂3b,3cを硬化する必要がなく、表示具1の作製コストを削減することができる。また、紫外線硬化樹脂を利用する場合と同様に、表示部3の表面粗さが基板表面2aの表面粗さよりも高いので、表示具1が触覚的な表示部材として機能する場合に、柔らかな触り心地を実現できる。
なお、熱硬化性樹脂を利用する場合、液体の熱硬化性樹脂3b,3cを硬化するステップは、紫外線の照射に代えて、基板2と型7とを重ね合わせた状態で放置あるいは積極的に熱を付与することで実行される。これにより、液体の熱硬化性樹脂3b,3c内の架橋反応が進み、液体の熱硬化性樹脂3b,3cは硬化する。
熱硬化性樹脂を利用することで、紫外線硬化樹脂を利用する場合と同様に、基板2に曲率がある場合であっても表示部3を形成できる。また、基板表面2aに対して、1.0mm以上の厚さをもつ表示部3を形成することができる。また、表示部3を点字として、従来に比べてより綺麗な半球形状をもつ形状に形成することができる。また、熱硬化性樹脂を利用することで、基板2が金属板であっても、表示部3を形成することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法および表示具おいては、表示部3を形成する材料の、基板表面2aの材料に対する接着力が、表示具1の使用において剥離しない程度に強い場合には、アンカー層4を設けずともよい。また、アンカー層4を形成するステップを省略してよい。これにより、表示具1を作製するにあたり工程を省くことができるので、表示具1の作製コストを削減することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法においては、形成面6を囲う、所定範囲の領域にマスキング層5を形成してもよい。たとえば、形成面6の端部から、型7と基板2とを重ね合わせることで、樹脂受け部11に対向する基板表面2aの領域の端部までのみにマスキング層5を形成してもよい。これにより、マスキング層5を形成する領域を狭くすることができるので、表示具1の製作コストを削減することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法においては、型7を透明の樹脂で形成しても良い。たとえば、型7をPMP樹脂(ポリメチルペンテン樹脂)で形成しても良い。これにより、型7側からでも光源14から紫外線を液体の紫外線硬化樹脂3bに照射することができるので、より厚い表示部3を形成することができる。また、基板2が不透明な材料で形成されていても、液体の紫外線硬化樹脂3bを硬化することができる。すなわち、基板2が金属板であっても、液体の紫外線硬化樹脂を利用して、表示部3を形成することができる。
また、本発明に係る表示具の作製方法および表示具においては、アンカー層4は、着色顔料を含むことで、着色層として機能してもよい。アンカー層4は、着色層として機能することで、表示部3の基板2側から、表示部3に色をつけて表示させることができる。また、基板表面2aのうち、着色層のない領域が透明である場合、該両域は、奥行きのある感覚を基板2に持たせることができる。
なお、基板2が2枚の透明樹脂板を重ね合わせて接着することで形成される場合、基板表面2aを有する一方の透明樹脂板は、基板表面2aに対して裏面に、表示部3に着色をする図示しない着色部を有してもよい。着色部は、一方の透明樹脂板の裏面において、表示部3の位置に合わせて形成される。着色部は、着色されたインキであり、表示部3の位置に合わせて印刷されることで形成される。たとえば、表示部3が数字の「2」である場合、着色部は、一方の透明樹脂板の裏面において、数字「2」の形を左右反転させて、表示部3の位置に合わせて着色されたインキで印刷されることで形成される。なお、着色部は、他方の透明樹脂板で、一方の透明樹脂板と接着される面において、表示部3と重なる位置に設けられてもよい。また、他方の透明樹脂板で、一方の透明樹脂板と接着される面の裏面で、表示部3と重なる位置に設けられてもよい。この場合、着色部は、インキに限定されず、着色シート、拡散シートなどを利用することができる。なお、他方の透明樹脂板は、乳白色に着色されて光を透過する乳白色樹脂板であってもよい。
さらに、他方の透明樹脂板は、一方の透明樹脂板と接着される面において、表示部3と重なる位置以外の領域を着色されてもよい。具体的には、他方の透明樹脂板は、一方の透明樹脂板と接着される面において、表示部3と重なる位置以外の領域への着色されたインキの印刷により着色されてもよい。たとえば、表示部3が数字の「2」である場合、他方の透明樹脂板は、一方の透明樹脂板と接着される面において、数字「2」と重なる位置以外の領域への着色されたインキの印刷により着色されてもよい。これにより、基板2は、他方の透明樹脂に印刷されたインキの色に対して、着色部の色、すなわち、表示部3の色を際立たせて表示することができる。
なお、この場合、着色部は、他方の透明樹脂板の一方の透明樹脂板と接着される面に印刷されてもよく、または基板2に設けられなくてもよい。着色部が基板2に設けられない場合、基板2は、他方の透明樹脂で表示部3と重なる位置以外の領域に印刷されたインキの色に対して、表示部3と重なる位置における、他方の透明樹脂板を通して見える色、すなわち、表示部3の色を際立たせて表示することができる。
ここで、基板2は、着色部を有する一方の透明樹脂板と、他方の透明樹脂板に代えて、着色された不透明樹脂板とで形成されてもよい。これにより、基板2は、不透明樹脂板の色に対して、着色部の色、すなわち、表示部3の色を際立たせて表示することができる。また、着色部は、他方の不透明樹脂板の一方の透明樹脂板に接着される面で、表示部3と重なる位置に着色されたインキで印刷されてもよい。たとえば、表示部3が数字の「2」である場合、着色部は、他方の不透明樹脂板の一方の透明樹脂板に接着される面において、数字「2」の形で表示部3と重ね合わされる位置に合わせて、着色されたインキで印刷されることで形成される。また、着色部を設けずに、他方の不透明樹脂板は、一方の透明樹脂板に接着される面において、表示部3と重なる位置以外の領域を着色されたインキの印刷をされてもよい。これにより、表示部3と重なる位置における、他方の不透明樹脂板の位置、すなわち、表示部3の色を際立たせて表示することができる。なお、型7が不透明の樹脂で形成されており、紫外線硬化樹脂で表示部3が形成される場合、不透明樹脂板は、透明樹脂板を基板2とする表示部3の形成の後に、透明樹脂板に対して接着されてもよい。
また、本願発明に係る表示具の作製方法においては、図10に示すように、底部8と突出部9の側面である第1面9aおよび第2面9bとのそれぞれのなす角度r、sを鈍角にしてもよい。これにより、型7から基板2を取り外すステップにおける、離型性を高くすることができる。
また、本願発明に係る表示具の作製方法において、図10に示すように、底部8と突出部9の側面である第2面9bとの接点を面取り構造としてもよい。これにより、図11に示すように、表示部3は、面取り構造を有する形状に形成される。したがって、表示具1が触覚的な表示部材として機能する場合に、より柔らかな触り心地を実現できる。
また、液体の紫外線硬化樹脂3aと形成面6とを接触させるステップに変わり、型7と基板2とを重ね合わせた後に、型7と基板2との間に液体の紫外線硬化樹脂3aまたは液体の熱硬化樹脂3aを充填するステップを実行してもよい。この場合、充填部10の底部8に所定の貫通孔を形成して、液体の紫外線硬化樹脂3aまたは液体の熱硬化性樹脂3aを充填部10に注入する注入孔とする。同様に、充填部10の底部8に所定の貫通孔を別途形成して、充填部10から空気を抜く空気孔としてもよい。液体の紫外線硬化樹脂3aまたは液体の熱硬化性樹脂3aは、充填部10と基板2とで囲まれた領域の容積を超える程度に注入されることで、その一部が余剰する液体の紫外線硬化樹脂3cまたは余剰する液体の熱硬化性樹脂3cとして、樹脂受け部11に流入する。したがって、充填部10への液体の紫外線硬化樹脂3aまたは液体の熱硬化性樹脂3aの注入に起因する液体の紫外線硬化樹脂3aへの空気の侵入を防止することができ、もって表示部3へのボイドの発生を防止できる。
1…表示具、2…基板、2a…基板表面、3…表示部、3a,3b,3c,3d…紫外線硬化樹脂、4…アンカー層、5…マスキング層、6…形成面、7…型、8…底部、9…突出部、9a…第1面、9b…第2面、10…充填部、11…樹脂受け部、12…基板支持部、13…型枠、14…光源
Claims (1)
- 基板表面に立体形状の表示部を備える表示具であって、
表示部は、硬化された紫外線硬化樹脂または硬化された熱硬化性樹脂からなり、表示部の表面の表面粗さが、基板表面の露出面の表面粗さよりも高いことを特徴とする表示具。
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- 2013-05-09 JP JP2013099255A patent/JP2013174919A/ja not_active Withdrawn
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