JP2013174578A - ストロンチウム選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法 - Google Patents

ストロンチウム選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】海水や海水塩成分を含む水溶液にあって、Srの分離に際して水溶液中に共存するCaの影響を受けずに、放射性Srを単独に選択分離し回収することができ、Ca自体は実質的に分離されることなく水溶液中にそのままとどまることになるようにする。
【解決手段】Caアルギン酸膜が、Sr選択吸着剤の表面層を形成し、吸着部材が、Srを吸着する単独種類の無機材料で形成されて、単独で、固形化されたSr吸着ゾーンを形成したカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用し、Ca不透過状態で、放射性Srを吸着させることで放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液を処理する。
【選択図】図3

Description

本発明は、海水や濃縮海水或いは希釈海水等の排水中に含まれる放射性同位元素である89Sr及び90Srを含むストロンチウム(Sr)を選択的に吸着するストロンチウム選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法に関する。
ストロンチウムイオンを含み、複数種の金属イオンを含有する海水のような水溶液からストロンチウムイオンを選択的に除去する実用的な技術が望まれている。特に、水溶液中にカルシウムイオンとかマグネシウムイオンが共存する場合には、実用化が難しい。
従来、水溶液中にこれらの金属イオンが共存しているような場合には、金属イオンを沈殿除去するか、イオン交換体を用いて吸着除去するとか、イオン交換膜を用いて電気透析するとか、あるいは蒸留や逆浸透膜により水を分離する方法が採用されて来た。
特許文献1には、ストロンチウムイオンを含み複数の金属イオンを含む水溶液からストロンチウムを分離するために、チタンあるいはニオブを含んだペロブスカイト型化合物と接触させることが記載されている。
特許文献2には、チタン水和物を用いて水溶液中のストロンチウムイオンを吸着することが記載されている。
特許文献3には、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウムのいずれかの炭酸塩を吸蔵した固形材料を用いて、廃液から放射性ストロンチウムを除去することが記載されている。
非特許文献1には、アルギン酸カルシウムのポリマー担体中に数ミクロン程度のAMP微結晶を包括固定して、Csを吸着することが記載されている。
特開2005−230664号公報 特公昭62−1293号公報 特開2002−267796号公報
10周年記念シンポジウム学術講演「高選択性複合吸着剤の合成と放射性核種分離」
海水や海水塩成分を高濃度に含有する水溶液中には、NaCl,Ca,Mgが大量に共存する。特に、海水中においてSrに比べて多量に存在するCaは、Sr吸着を阻害する阻害元素として作用し、水溶液中に含まれるSrをCaと切り離し、単独で分離し回収することは極めて困難である。海水や海水塩成分を含む水溶液中において共存するCaとSrとを分離することは、双方の元素が周期表で共に2A族のアルカリ土類金属に属し、周期4.5に属して元素的に近似するもの同士であるために難しい。
上述したいずれの特許文献に記載されたストロンチウムの分離、回収手段・方法にあっては、海水や海水塩成分が濃縮された水溶液中に含まれるSr(放射性Srである89Sr,90Srを含む)を分離するに際して、共存するCaの影響を受けて、Sr単独に分離することには困難がある。
Srの分離を容易にするために予めCaを沈殿その他の方法で除去しておくことも考えられるが、除去したCaが大量に蓄積されることになってその処分がやっかいなものとなる。
非特許文献1には、表面にアルギン酸カルシウムを用いることを記載するが、Sr分離のための性状については何等記載していないし、内包する材料はCsを吸着するものである。
本発明は、かかる点に鑑みて、Srの吸着に際して水溶液中に共存するCaの影響を受けずに、Srを単独に選択吸着することができ、Ca自体は実質的に水溶液から分離されることなく水溶液中にそのままとどまることになるようにすることが可能なSr吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されたときに、内部に配置された、Srを吸着する材料の表面に形成されたCaアルギン酸膜が、Caを不透過とし、Caと共存するSrを選択透過させる性状をもつことでSr選択吸着を可能にしたSr選択吸着剤を用いることを特徴とする。
本発明は、具体的には、Caアルギン酸膜が、Sr選択吸着剤の表面層を形成し、吸着部材が、Srを吸着する単独種類の無機材料で形成されて、単独で、固形化されたSr吸着ゾーンを形成したカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用し、Ca不透過状態で、放射性Srを吸着させることを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法を提供する。
本発明は、また、無機材料として、A型ゼオライト又はX型ゼオライトを用いたカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法を提供する。
本発明は、また、前記吸着部材が、前記Caアルギン酸膜を選択透過したBaをも吸着する材料で形成されたカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法を提供する。
本発明は、また、前記Sr選択吸着剤を、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドまたはチタンテトラブトキシドに浸漬させ、Caアルギン酸膜の表面に存在するアルギン酸の水酸基と反応させて、シリカまたはチタニアで架橋することによる三次元構造体をCaアルギン酸膜の表面に形成したカプセル状のSr選択吸着剤を海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法を提供する。
本発明によれば、Caアルギン酸からなる膜をSr選択吸着部材の表面層を形成することで、海水や海水塩成分を含む水溶液中での使用の際に共存するCaが不透過とされ、Srが選択的に透過されることでCaが存在する水溶液から分離されて、共存するCaの影響を受けずに、選択透過したSrを単独に吸着し、Ca自体は実質的に吸着分離されることなく水溶液中にそのままとどまることになるようにすることが可能なSr吸着剤が放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用され、放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法が提供される。
本発明の実施例の製法を示す図。 本実施例で用いる滴下ノズルの構成を示す図。 本実施例であるSr選択吸着剤の概念を示す図。 本実施例であるSr選択吸着剤の性能を説明する図。 RO膜スケール防止用キレート剤共存影響を調べた結果を示す図。 海水塩成分濃度変化の影響を調べた結果を示す図。
本発明は、上述したように、無機材料で固形化された、選択透過したSrを吸着する粒状のSr吸着部材の表面に、Caアルギン酸膜が形成されて、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、Caと共存するSrを選択透過させる性状を持つことでSrの選択吸着を可能としたSr選択吸着剤を用いる。
ここで、Sr吸着部材として、Sr吸着能力のある材料であって、固形化可能な各種の材料が用いられ得る。Sr吸着部材として、例えば、公知のゼオライト系やリム酸アルミニウム系の無機材料、あるいはアルミナとシリカとから構成される無機材料が用いられ得る。
さらに、Sr吸着部材として、Sr吸着能力のある材料としての、チタニア系,シリア系,アルミナ系、あるいはそれらの複合したチタニア−アルミナ系またはシリカ−アルミナ系、またはアルミニウム・イットリウム・ビスマス・クロム・鉄・インジウム・ガリウム・鉛・ベリリウム・銅・コバルト・カドミウム・亜鉛・ニッケルのリン酸塩、あるいはこれらの材料をCa−アルギネートに内包させた材料が用いられ得る。
また、特許文献1にも90Srを廃液から除去するに適した固体吸着材が記載されており、これらの材料も用いられ得る。
それらの中で、特にシリア−アルミナ系として、A型ゼオライトあるいはX型ゼオライト、その中でも細孔径4Å(オングストローム)程度のナトリウム−A型のゼオライトがSr吸着能力のある材料として推奨される。
これらの無機材料が固形状で粒状化されてSr吸着部材として準備される。粒状化状態の大きさは特定されない。使用の目的に対応して、例えばカラム投入あるいは沈殿目的に対応して大きさは任意に選定され得る。
アルギン酸は、海藻に多く含まれる多糖類としてよく知られ、食品、医薬品、繊維、製紙、農業、工業などの分野で幅広く利用されており、その溶液はCa2+、Sr2+、Ba2+などと瞬時にゲル化反応し不溶化する。
本発明にあっては、粒状のSr吸着部材の表面に、Caアルギン酸膜が形成される。この形成されたCaアルギン酸膜が、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、Caと共存するSrを選択透過させる性状を有することが、実験、研究によって本発明者等によって新たに見つけ出された。Caアルギン酸にCaアルギン酸性能を低下させない範囲で他の物質が混在することは許容される。
ここで、「Caを不透過である」とは、膜がCaを吸着しない、そして吸着しないことに伴って透過しないことを意味する。しかしながら、Srを除去するという運用初期において膜がCaを実質的に吸着せず、透過しなくなるという状況を意味すると解すべきである。絶対的に不透過であると解すべきではない。そして、Srを選択透過させるとは、周期表で共に2A族のアルカリ土類金属に属しているCaとSrからSrが選択的に透過されるということを意味する。
「吸着」は、吸着することで派生する分離・回収あるいは除染することの上位の意味において使用される。
「表面層」を形成するとは、単独であるいは混合状態で表面膜を形成することを意味する。あるいは、カプセル状態を形成することをも意味する。
図1は、本発明の実施例のSrの吸着剤を作製する製法を示す図である。
図1において、Sr吸着剤製造装置100は、滴下ノズル装置1とゲル化装置2から構成される。
滴下ノズル装置1は、原料送液配管3、この配管に接続された多連(図1では6つ)の滴下ノズル4及び滴下ノズル4に接続された空気送風配管5から構成される。
原料送液配管3からは原料溶液が滴下ノズル4に送られ、空気送風配管5からは間欠送風になるように制御された空気が滴下ノズル4に送られる。
原料溶液は、Sr吸着部材とアルギン酸(Algi)が混合した溶液であり、本実施例の場合、好んでSr吸着部材としてA型ゼオライト(ZLA4)が使用される。
図2に、滴下ノズル4の詳細を示す。
図2において、滴下ノズル4は、二重ノズル構成とされ、内側の配管1内の内側流路12を原料溶液(ZLA4+Algi)が流過され、外側の配管13と内側の配管11とで形成される外側流路14を間欠制御された空気が流過される。外側流路14は、出口端で狭められており、流連の増した空気流が内方に向けて吹き出される。
内側流路2を流過して来た原料溶液は、出口端15から放出された時、外側流路14を流過した間欠空気の空気流によって小さな粒に切断される。切断された原料溶液の粒は、表面張力によって球状化する。図では、球状化した粒を液滴6として拡大して示す。
この例では、二重ノズル構成としているが、三重ノズル構成として、内側流域からZLA4を投入し、外側流域からAlgiを投入するようにしてもよい。このようにすると、ZLA4とAlgiを混合させずに別個に投入され、別個の構成状態になる。
図1に戻って、ゲル化装置2は、容器21とこの空気21内に貯められたゲル化溶液22から構成される。ゲル化溶液22は、本例の場合、CaClが用いられる。溶液21の上側の表面は、多連の滴下ノズル4に対峙配置される。すなわち、液滴6は垂直方向に落下する。
このような配置構成によって、落下した液滴6は、ゲル化溶液中に受け入れられ、液滴6の表面にあるアルギン酸はCaClによってゲル化し、Caアルギン酸膜が形成される。これによって表面のみがゲル化されたゲル球状体が形成される。
図1に、生体ゲル球状体7として示す。生体ゲル球状体7は、容器21から回収される。図1に、ゲル球状体回収8として示す。
回収されたゲル球状体は粒状を呈しており、乾燥機(図示せず)によって乾燥されて、無機材料で固形化された、Srを選択透過させるCaアルギン酸膜を備えることで、Srを選択的に吸着する粒状のSr選択吸着剤となる。
図3に、このSr選択吸着剤30の概念を示す。
図3において、Sr選択吸着剤30は、内側の内部充填材としてのSr吸着部材31と、この表面に形成されたCaアルギン酸膜32とから形成される。この例の場合、Caアルギン酸膜は、Sr吸着部材との混合状態で、Sr吸着部材の表面に一体的に形成されることになる。三連ノズル構成の滴下ノズルを採用して、Sr吸着部材31の表面にCaアルギン酸膜32が一体付着形成することができる。これらの間に選択吸着に関与しないで選択透過したSrをスルーさせることのできる第三の領域を形成することは可能である。また、選択吸着に関与したい物質をCaアルギン酸膜32に混合しておくことは可能である。
図3には、このような形態のSr選択吸着剤30が、容器29から取り出されて、環境としての海水塩成分混入水33、例えばRO濃縮水中に置かれた場合を示す。
図3に示すように、Caアルギン酸膜32の厚さは粒径(例えば1〜2mmΦ)に比べてかなり薄い。すなわち、薄膜層とされる。
海水塩成分混入水33中には、Sr2+90Sr2+89Sr2+の放射性核種としての放射性ストロンチウムを含むストロンチウム,Ba2+140Ba2+の放射性核種としての放射性バリウムを含むバリウムが存在する。
また、一方ではCa2+,Mg2+,Na,Cl,SO 2−,HCO が存在する。これらから明瞭なように、海水塩成分混入水33中には、Sr、Ca、Mgが共存する。
試用した海水塩成分混入水の例:
1)Sr選択吸着剤のKd値(本実施例)
試験液500mlにSr選択吸着剤2.5g添加し、2h撹拌
海水:Kd(Sr)292
淡水:Kd(Sr)>9.3e+4
2)Sr選択吸着剤のSr選択吸着部材のみからなる場合のKd値
試験液100,500mlにSr選択吸着剤1g添加し、14h撹拌
海水:Kd(Sr)645〜857,Kd(Ca)94〜135,Kd(Mg)4
.8〜7.6淡水:Kd(Sr)6.9e+3〜1.0e+4
Sr選択吸着剤30の内部のSr吸着部材31には、Sr吸着ゾーンが形成される。このゾーンは、SrあるいはSr及びBaの吸着ゾーンでもある。Sr選択吸着剤30の外側に形成されたCaアルギン酸膜32は、Ca不透過機能を有する。この膜は、またCa、あるいはCa及びMgの不透過機能を有する。図3には、Sr吸着ゾーン,Ba吸着ゾーン及びCa不透過膜として機能が表示される。Mg不透過膜としていないのは、吸着運用運転の初期でMgが吸着されることがあることによる。この初期を経て吸着運用の初期状態では、Mg不透過膜となる。したがって、この状態ではCa、Mg共不透過状態となる。
Caアルギン酸膜32は、SrとCaが共存したときに、Srを選択的に透過させる。海水あるいは海水塩成分混入水中にはSrの量に比べて多量のCaが共存しているが、Caアルギン酸膜32は、阻害元素としてのCaの存在下、Srを選択的に透過させる。このCaアルギン酸膜32は、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、Srを選択透過させる性状を有する。このことは、本発明者等によって得られた。新しい知見であることを示す。
Caアルギン酸膜32は、Srに加えてBaについても選択的に透過させる。図3には、この現象をSr,Ba選択透過として表示してある。
Caアルギン酸膜32は、上述したように、Caが透過して内部のSr吸着部材31に到達することを排除する。また、Caアルギン酸膜32は、Ca更にはCaに加えてMgが内部のSr吸着部材31に到達することが排除される。この状態で、Sr吸着部材には、選択透過したSrが到達し、ここで吸着されることになる。図では、この現象をCa,Mg排除と表示している。Ca、あるいはCa及びMgが排除されたSrがSr吸着部材の吸着ゾーンに達する。Ca,Mgが排除されるということは、Ca,Mgが吸着されることがなく、海水あるいは海水塩成分混入水中に残存することであり、二次的堆積物とはならないことを意味し、処理プロセスにおいて大きな意義がある。
海水あるいは海水塩成分混入水中に存在するNa,Cl,SO −,HCO は、SrあるいはBaの吸着に関与しない。
ここで、上述したように、また後述するように、Caが不透過であるという現象は、Caをまったく透過しないということを意味せず、実用的プロセスにおいて、試用開始時においてCaがCaアルギン酸膜に実質的に吸着されない状況になって透過することがなくなるという場合を含めて不透過という。本発明者等の実験によれば、Caアルギン酸膜は、実質的にCaを吸着しない。
このように、Caアルギン酸膜32を選択的に透過したSrは、Sr吸着部材31によって形成されるSr吸着ゾーンで吸着される。よって、Sr選択吸着剤あるいは、選択的にSrを吸着することになる。また、Caアルギン酸膜32を選択的に透過したBaは、Sr吸着部材31が有するBa吸着能力によって吸着される。
本実施例のSr選択吸着剤30を、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドまたはチタンテトラブトキシドに浸漬させ、Caアルギン酸膜の表面に存在するアルギン酸の水酸基と反応させて、シリカまたはチタニアで架橋することによる三次元構造体をCaアルギン酸膜の表面に形成することで、Sr吸着剤の強度を増加させることができる。これによって、Caアルギン酸膜32の表面にアルギン酸の水酸基にシリカまたはチタニアが架橋した三次元構造が形成される。
図4は、海水を使用したときの、カラムに本実施例のSr選択吸着剤を充填して得られた海水通液量と元素吸着除去率との関係を示す。本実施例で使用されたSr吸着部材はA型ゼオライトである。X型ゼオライトを使用しても同様の結果が得られる。また、他のSrに吸着部材であってもCaアルギン酸膜の作用によって同様の結果が得られる。Sr吸着部材としては各種のものが使用可能であり、多数発表されている。また、Sr吸着部材がBaを吸着することもよく知られている。
比較例は、本実施例のSr選択吸着剤のSr吸着部材のみからなって、Caアルギン酸膜を形成しないSr吸着剤を使用した場合を示す。
図4から、Caアルギン酸膜を形成したことによる膜効果は大きく2つあることが分る。
膜効果(1):本実施例によれば、Srの除去率は、海水通液が増加しても高い値を示す。また、本実施例によれば、Baの除去率は、海水通液が増加しても高い値を示す。これに対して、比較例にあっては、Ca吸着に伴い、Sr除去率が低下している。
膜効果(2):本実施例によれば、Sr選択吸着剤へのCa吸着は認められなかった。Mg吸着は運用初期においてわずかであった。本実施例にあってもMg吸着はわずかに認められ、比較例と同様であった。このわずかなMg吸着は、Sr選択吸着、Ba選択吸着に影響を与えないか、与えたとしても僅少である。また、この運用初期を経過し、運用状態に至るとMgもまた吸着されず、不透過となる。
図4から分るように、Sr吸着部材の表面に形成されたCaアルギン酸膜は、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、共存したSrを選択透過させる性状を持つという特徴がある。そして、本実施例のSr選択吸着剤は、このような性状を持つCaアルギン酸膜を備えることを特徴とする。この特徴のある状態は、Sr選択的吸着によって重要な意味を有する。
図5は、海水にRO膜スケール防止用キレート剤が共存する場合の本実施例に与える影響を調べた結果を示す。
図5から、HEDP,EDTA共存は、本実施例のSr除去率に与える影響はないと判断される。
図6は、海水塩成分濃度変化(海水比1〜5倍濃度)が本実施例に与える影響を調べた結果を示す。
図5から、高塩濃度でSr除去率がやや低下する傾向がみられたが、高いSr除去率を保持することができる。
従来、海水や海水塩成分を含む水溶液中において共存するCaとSrとを分離することは、双方の元素が周期表で共に2A族のアルカリ土類金属に属していることから難しく、分離するためにCaを沈殿させるなどの前処理を要したが、本実施例によれば前処理などを行うことなく阻害元素としてのCaの作用を排除することができるため、容易にかつ効率的にSrを選択的に分離することが可能になった。前処理をしなくてすむために排除したCaが蓄積することになるということもない。
1…滴下ノズル装置、2…ゲル化装置、3…原料送液配管、4…滴下ノズル、5…空気送風配管、6…液滴、7…生成ゲル球状体、8…ゲル球状体回収、30…Sr選択吸着剤、31…Sr吸着部材、32…Caアルギン酸膜、100…Sr吸着剤製造装置。

Claims (4)

  1. Caアルギン酸膜が、Sr選択吸着剤の表面層を形成し、吸着部材が、Srを吸着する単独種類の無機材料で形成されて、単独で、固形化されたSr吸着ゾーンを形成したカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用し、Ca不透過状態で、放射性Srを吸着させることを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法。
  2. 請求項1において、無機材料として、A型ゼオライト又はX型ゼオライトを用いたカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法。
  3. 請求項1において、前記吸着部材が、前記Caアルギン酸膜を選択透過したBaをも吸着する材料で形成されたカプセル状のSr選択吸着剤を放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法。
  4. 請求項1において、前記Sr選択吸着剤を、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドまたはチタンテトラブトキシドに浸漬させ、Caアルギン酸膜の表面に存在するアルギン酸の水酸基と反応させて、シリカまたはチタニアで架橋することによる三次元構造体をCaアルギン酸膜の表面に形成したカプセル状のSr選択吸着剤を海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用することを特徴とするSr選択吸着剤を用いた放射性Srで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液の処理方法。
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