JP2013173998A - 現地溶接性に優れるラインパイプ用高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

現地溶接性に優れるラインパイプ用高強度熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厳しい耐座屈と低温靭性が要求される地域においてもその使用に耐え、API5L−X65規格以上の強度を兼ね備えるスパイラルパイプ用の熱延鋼板を提供する。
【解決手段】所定の成分を含有し、且つN−14/48×Ti≧0%、を満足し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる鋼板であって、板厚中心における{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が4以下でかつ{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比が4.8以下で、さらに初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態生成物であり、前記ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下かつエリア平均粒径が12μm以下であり、前記エリア平均粒径の標準偏差が2μm以下であることを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は現地溶接性に優れるラインパイプ用高強度熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、原油、天然ガスなどエネルギー資源の開発域は、北海、シベリア、北米、サハリンなどの寒冷地、また、北海、メキシコ湾、黒海、地中海、インド洋などの深海へと、その自然環境の苛酷な地域に進展してきた。さらには、地球環境重視の観点から天然ガス開発が増加すると同時に、パイプラインシステムの経済性の観点から操業圧力の高圧化が求められている。
これらの環境条件の変化に対応してラインパイプに要求される特性はますます高度化かつ多様化しており、大きく分けると、(a)厚肉/高強度化、(b)高靭性化、(c)現地溶接性の向上、(d)耐食性の厳格化、(e)凍土、地震・断層地帯での高変形性能の要求、である。また、これらの特性は使用環境に従い、複合して要求されるのが普通である。
更に、最近では、不連続凍土地帯のように地盤が凍結と融解によって動く地域でのパイプラインの敷設も増加しており、このような地域に敷設されたパイプラインでは、地盤の変動によるパイプラインの曲がり変形が起き、不連続凍土地帯以外でのパイプラインには生じない長手方向の応力が発生するため、局部座屈を起こし、座屈に起因した亀裂が、破断をもたらす場合もある。そのため、耐内圧性に優れるだけではなく、長手方向の変形が起きた場合にも座屈等が生じ難い、変形性能に優れた高強度鋼管が要望されている。
パイプラインのように輸送流体による内圧負荷下で端部が拘束され、その間に曲げモーメントが負荷されるような変形モードにおいて、座屈変形に及ぼす材料特性やその異方性の影響については、非特許文献1および非特許文献2に記述されている。
非特許文献1には、パイプの座屈強度は、同一降伏強度もしくは同一引張強度の何れの場合においてもパイプ長手方向の加工硬化指数が大きいほど良好であることが示されている。一方、非特許文献2には、パイプの座屈特性はパイプの長手方向と円周方向の異方性に大きく影響されることが示されている。
このように、輸送流体による内圧負荷下で良好な耐座屈特性を得るためには、パイプ長手方向の加工硬化指数が大きく、且つ、パイプ円周方向の降伏強度がパイプ長手方向の降伏強度よりも大きいことが重要である。
ところで、ラインパイプ用鋼管はその製造プロセスにより、シームレス鋼管、UOE鋼管、電縫鋼管およびスパイラル鋼管と分類でき、その用途、サイズ等により選択がなされるが、シームレス鋼管を除いて、何れも板状の鋼板・鋼帯を管状に成形された後に溶接によりシームされることで鋼管(以下、「パイプ」ともいう。)として製品化される特徴を持つ。
さらに、これら溶接鋼管は、素材に連続した熱延鋼板(以下、「ホットコイル」ともいう。)を用いるかプレートを用いるかにより分類でき、前者は電縫鋼管およびスパイラル鋼管、後者はUOE鋼管である。高強度、大径、厚肉な用途には後者のUOE鋼管を用いるのが一般的であるが、コスト、納期の面で前者のホットコイルを素材とする電縫鋼管およびスパイラル鋼管が有利であり、その高強度化、大径化、厚肉化の要求が増している。
ホットコイルを素材とする電縫鋼管とスパイラル鋼管の大きな違いは、その造管方法にある。前者の電縫鋼管がUOE鋼管と同様にパイプの長手方向と圧延方向が一致し、パイプの円周方向が圧延の幅方向に一致するのに対して、後者のスパイラル鋼管では溶接線がらせん状となるように造管され、必ずしも圧延方向がパイプ長手方向と、圧延の幅方向がパイプの円周方向と一致しない。
一般的に高靭性を求められるラインパイプ用の素材は、オーステナイトでの未再結晶温度域で行う制御圧延の結果、集合組織の発達が顕著であり、強い異方性を有している。すなわち、制御圧延が適用された場合、圧延の幅方向に強度、靭性ともに良好であるので、鋼管の円周方向が圧延の幅方向になる電縫鋼管やUOE鋼管の場合はその異方性は望ましい。
特許文献1には、鋼管の軸方向と周方向の引張特性をそれぞれ制御することで高い耐座屈性能と優れた耐内圧破壊性能を兼ね備えた鋼管を得る技術が開示されている。しかしながら、当該技術は、制御圧延の結果として得られる強い異方性を有効に活用するとともに特定の拡管率以上で拡管を施すことで管軸方向及び管周方向の強度特性バランスを最適化するものであり、圧延方向がパイプ長手方向と一致しないスパイラル鋼管を対象としたものではない。また、一般的にスパイラル造管においては、コスト増につながる拡管工程は採用されていない。さらに、当該技術が対象としている鋼管の素材はホットコイルではない。
特許文献2には、熱間圧延後に熱処理を施すことでフェライトとベイナイト及び/又はマルテンサイトとの複相組織を得た後に造管することでAPI規格X65〜100級の優れた強度を有する変形性能に優れた高強度鋼管を得る技術が開示されている。しかしながら、当該技術は、熱間圧延後に熱処理を施すためにコスト増となるばかりでなく、UOE法、ベンディングロール法を対象としたものでスパイラル鋼管については何ら考慮されていない。また、当該技術が対象としている鋼管の素材はホットコイルではない。
一方、特許文献3には、ホットコイルにおいてミクロ組織をベイニティックフェライト単相とし、Nb、V等の微細析出物により安定した強度が得られ、その組織の平均粒径を細粒な範囲に規定することで靭性を担保する技術が開示されている。しかしながら電縫鋼管を対象としており、異方性を考慮していないためにスパイラル鋼管用ホットコイルにおいて耐座屈性が必要な環境への適用が考慮されていない。
特開2002−206140号報 特開2005−15823号報 特開2005−281838号報
溶接学会全国大会講演概要 No.60 218項 材料とプロセス 21巻 No.2 159項
そこで、本発明は、厳しい耐座屈性と低温靭性が要求される地域(特に寒冷地)においてもその使用に耐え、API5L−X65規格(YS:448〜600MPa、TS:531〜758MPa)以上の強度を兼ね備えるスパイラルパイプ用の熱延鋼板を提供することを課題とする。
そのため、低温靭性の指標として、DWTT(Drop Weight Tear Test)試験の延性破面率(SA)が−20℃の試験温度において85%以上で、吸収エネルギーが240J以上であり、さらに高強度化の観点から板厚12.7mm以上でスパイラル鋼管の円周方向であるホットコイルのR方向の強度もAPI5L−X65規格を満たし、且つスパイラルパイプ用として耐座屈性と低温靭性を担保すために等方性指標(=1/|Δr|)が3.5以上である、高強度なスパイラルパイプ用の熱延鋼板(ホットコイル)およびその熱延鋼板を安価に安定して製造できる方法を提供することを目的とするものである。
上述の如き目的を達成するために、本発明者らは、以下に示す耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板を発明した。
(1)質量%にて、C:0.02〜0.1%、Si:0.05〜0.5%、Mn:1〜2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、O:0.003%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.0015〜0.006%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.02%、を含有し、且つ、NとTiの含有量が、N−14/48×Ti≧0%、を満足し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる鋼板であって、
板厚中心における{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が4以下でかつ{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比が4.8以下で、さらに板厚中心におけるミクロ組織について初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態生成物であり、前記ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下かつエリア平均粒径が12μm以下であり、前記エリア平均粒径の標準偏差が2μm以下であることを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
(2)前記鋼板が、さらに質量%にて、V:0.15%以下(0%を含まない)、Mo:0.3%以下(0%を含まない)、Cr:0.05〜0.3%、Cu:0.05〜0.3%、Ni:0.05〜0.3%、B:0.0002〜0.003%、のうち一種または二種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
(3)前記鋼板が、さらに質量%で、Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.1%、のいずれか一種又は二種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成分を有する熱延鋼板を得るために溶製され、鋳造された鋳片を熱間圧延することにより熱延鋼板を製造するに際し、仕上げ圧延において、鋼板成分により下記式(1)で決定される温度をT1とすると、T1以上T1+100℃以下の温度範囲における最終パスでの圧下率P1が少なくとも30%以上で、且つ、該温度範囲での圧下率の合計を50%以上とし、圧延温度および圧下率により下記式(2)で決定される時間をt1秒とすると、圧延後t1秒超t1×2.5秒以内に冷却を開始し、25℃/sec以上の冷却速度でT1−30℃以下の温度域まで冷却を行い、さらに3秒超10秒以内に10℃/sec以上の冷却速度で450℃以上620℃以下の温度域まで冷却し、巻き取ることを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
T1(℃)=850+10×(C+N)×Mn+350×Nb+250×Ti+
40×B+10×Cr+100×Mo+100×V ・・・(1)
t1=0.001×((Tf−T1)×P1/100)−0.109×((Tf−
T1)×P1/100)+3.1 ・・・(2)
ここで、式(1)の各元素記号はその元素の含有量(質量%)であり、式(2)のTfは30%以上の最終圧下後の温度(℃)、P1は30%以上の最終圧下の圧下率である。
(5)上記(4)に記載の熱延鋼板の製造方法において、圧延温度と仕上げ圧延直前までの累積時間により下記式(3)で決定される粗有効累積ひずみ(εeff)が0.4以上となる粗熱間圧延を行うことを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
εeff=Σεi(t2,T2) ・・・(3)
ここで、
εi(t2,T2)=εi0/exp{(t2/τR2/3}、
τR=τ0・exp(Q/RT2)、
τ0=8.46×10-6
Q=183200J、
R=8.314J/K・molであり、
iは粗熱間圧延のパスを、t2は当該パスでの仕上げ圧延直前までの累積時間(秒)を、T2は当該パスでの圧延温度(℃)を、εi0は当該パスで加えられたひずみを示す。
(6)上記(4)または(5)に記載の熱延鋼板の製造方法において、前記鋳片を、鋼板成分により決定される下記式(4)により求められるSRT温度以上、1260℃以下に加熱した後、当該温度域で20分以上保持することを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
SRT(℃)=6670/(2.26−log〔Nb×C〕)−273
・・・(4)
(7)(4)〜(6)のいずれかに記載の製造方法で得られた熱延鋼板をスパイラルパイプに造管する際に、スパイラルパイプの円周方向が熱延鋼板の圧延方向に対して30°以上90°未満となるようにして造管することを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプの製造方法。
なお、上記式(1)及び(4)において、各元素記号はその元素の質量%で表される含有量である。
本発明の熱延鋼板をスパイラル鋼管に用いることにより厳しい耐座屈性と低温靭性が要求される寒冷地においても12.7mm以上の板厚でAPI5L−X65規格以上の高強度なスパイラルパイプが製造可能となるばかりでなく、本発明の製造方法により、スパイラル鋼管用ホットコイルを安価に安定的に得ることが可能となる。
本発明者等は、スパイラルパイプ用途を前提に強度と靭性に優れた熱延鋼板を念頭に、ホットコイル製造工程にて生産される熱延鋼板のR方向での強度低下、靭性低下をもたらす面内異方性と材料そのものの低温靭性について鋭意研究を重ねた。その結果以下の新たな知見を得た。
スパイラル鋼管の円周方向はホットコイルのR方向であり、圧延方向に対してある角度で傾くことになるためにスパイラル鋼管用ホットコイルには同じAPI−X65規格の鋼管でも圧延の幅方向に換算すると強度だけでも30〜90MPa程度高くする必要があるので、より厳しい強度−靭性バランスが要求される。
この要求を、合金添加等のコスト増加をすることなく達成するためには、材料そのものの低温靭性を下げることなく面内異方性を低減する、すなわち、等方性を高めることが重要である。また、パイプの耐座屈性についても材料の等方性を高めた上で造管工程でのR方向での造管ひずみの導入により、パイプ円周方向の降伏強度がパイプ長手方向の降伏強度よりも大きくなることが知見された。
等方性を得る(異方性を低減する)ためには、異方性の原因である未再結晶オーステナイトからの変態集合組織の形成を回避する必要がある。このためには、仕上げ圧延後のオーステナイトの再結晶を促進することが必要であり、その手段としては仕上げ圧延での最適な圧延パススケジュールと圧延温度の高温化が有効である。
一方、低温靭性を向上させるためには、脆性破面の破面単位の微細化すなわち、ミクロ組織単位の細粒化が効果的である。これには、γ→α変態時のαの核生成サイトを増加させることが有効であり、その核生成サイトとなりうるオーステナイトの結晶粒界や転位密度の増加が条件となる。
その手段としては、γ→α変態点温度以上で出来る限り低温で圧延すること、言いかえるとオーステナイトを未再結晶とし、未再結晶率が高い状態でγ→α変態をさせることが必要となる。なぜならば、再結晶後のオーステナイト粒は、再結晶温度直下であっても粒成長が早く、非常に短時間で粗大化してγ→α変態後のα相でも粗大粒となり、著しい靭性劣化が起こるためである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、上記のように通常の熱間圧延手段では相反する条件となるため両立が難しいと考えられていた等方性と低温靭性を、高い次元でバランスさせるまったく新しい熱間圧延方法を考案するに至った。
すなわち、等方性を得るために、最終段の圧延後のごく短時間の間にオーステナイトの再結晶を進行させ、次に靭性を劣化させないために、再結晶がほぼ完了した後のオーステナイト粒の粒成長が進行する前に粒成長が抑制される温度域までごく短時間で冷却する方法である。
本発明者らは、この方法を用いることでオーステナイト粒が細粒な再結晶粒となり、変態後の熱延鋼板においても異方性が少なく且つ細粒で靭性が優れるミクロ組織を得ることができると考えた。
そこで、この考えに基づき検討した結果、本発明者らは、等方性と集合組織の関係について以下の知見を得た。
ホットコイルのR方向でC方向と遜色ない強度を得るためには、少なくとも等方性指標(=1/|Δr|)が3.5以上であることが必要である。鋼板の集合組織で少なくとも鋼板の表面から板厚中心における板面の{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が4以下となるようにすることで、等方性指標が3.5以上を満足するようになる。望ましくはこの指標の値が6以上であればコイル内でのバラツキを考慮しても、電縫鋼管のごとく鋼管の円周方向とホットコイルのC方向が合致する場合と同様の合金成分にてスパイラル鋼管のようにホットコイルのR方向が鋼管の円周方向となる場合と遜色ない強度が得られる。
ここで等方性指標は、JIS Z 2201記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方法に従って行った。また、等方性の指標である1/|Δr|は圧延方向、圧延方向に対して45°方向並びに90°方向(板幅方向)の塑性歪比(r値)をそれぞれr0、r45、r90と定義すると、Δr=(r0−2×r45+r90)/2と定義される
また、{100}<011>〜{223}<110>方位群に含まれる主な方位は、{100}<011>、{116}<110>、{114}<110>、{113}<110>、{112}<110>、{335}<110>および{223}<110>である。
これら各方位のX線ランダム強度比はX線回折やEBSD(Electron Back Scattering Diffraction)などの装置を用いて測定する。{110}極点図に基づきベクトル法により計算した3次元集合組織や{110}、{100}、{211}、{310}極点図のうち複数の極点図(好ましくは3つ以上)を用いて級数展開法で計算した3次元集合組織から求めればよい。
たとえば、後者の方法における上記各結晶方位のX線ランダム強度比には、3次元集合組織のφ2=45゜断面における(001)[1−10]、(116)[1−10]、(114)[1−10]、(113)[1−10]、(112)[1−10]、(335)[1−10]、(223)[1−10]の強度をそのまま用いればよい。
{100}<011>〜{223}<110>方位群の平均値とは、上記の各方位の相加平均である。上記の全ての方位の強度を得ることができない場合には、{100}<011>、{116}<110>、{114}<110>、{112}<110>、{223}<110>の各方位の相加平均で代替しても良い。
同様に、鋼板の集合組織で少なくとも鋼板の表面から板厚中心における板面の{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比を4.8以下として、等方性指標が3.5以上を満足するようにする。同様に、望ましくはこの値が6以上であればコイル内でのバラツキを考慮しても、電縫鋼管のごとく鋼管の円周方向とホットコイルのC方向が合致する場合と同様の合金成分にてスパイラル鋼管のようにホットコイルのR方向が鋼管の円周方向となる場合と遜色ない強度が得られる。
X線回折に供する試料は、機械研磨などによって鋼板を所定の板厚まで表面より減厚し、次いで、化学研磨や電解研磨などによって歪みを除去すると同時に板厚の中心で適当な面が測定面となるように上述の方法に従って試料を調整して測定すればよい。例えば、板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より30mmφに切り取った試片に三山仕上の研削を行い、次いで化学研磨または電解研磨によって歪みを除去してX線回折に供する試料を作製する。
当然のことであるが、上述のX線ランダム強度の限定が板厚1/2近傍だけでなく、なるべく多くの厚みについて満たされることで、より一層等方性が良好になる。しかしながら、鋼板の表面から板厚中心の測定を行うことで概ね鋼板全体の材質特性を代表することができるためこれを規定するものとする。
なお、{hkl}<uvw>で表される結晶方位とは、板面の法線方向が<hkl>に平行で、圧延方向が<uvw>と平行であることを示している。X線による結晶方位の測定は、例えば新版カリティX線回折要論(1986年発行、松村源太郎訳、株式会社アグネ)274〜296頁に記載の方法に従う。
例えば、理学電機製、RINT1500型、X線測定装置を用い、測定速度40回/分で行い、X線源としてMo−Kαを用い管電圧60kV、管電流200mAの条件で、フィルターとしてZr−Kβを使った。ゴニオメータは、広角ゴニオメータを使ってステップ幅は0.010°で、スリットは発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.15mmである。
次に本発明者らは、低温靭性について調査する目的で結晶粒径、ミクロ組織を変化させ、低温靭性との関係を明らかにするために、熱間圧延条件および冷却条件を様々に変化させた鋼板の特性を評価した。
すなわち、このように得られた製品コイルのテール10m位置より、サンプルを採取し、そこから各種試験片を切出した。引張試験はR方向よりJIS Z 2201に記載の5号試験片を切出し、JIS Z 2241の方法に従って実施した。DWTT試験はR方向より、300mmL×75mmW×板厚(t)mmの短冊状の試験片を切り出し、これに5mmのプレスノッチを施したテストピースを作製して実施した。
DWTT試験片各々の結晶粒径、集合組織、ミクロ組織および中心偏析を調査するためにDWTT試験片の破断面のごく近傍よりミクロサンプルを切出した。
切出したミクロサンプルよりまず、結晶粒径とミクロ組織を測定するためにEBSP−OIM(Electron Back Scatter Diffraction Pattern-Orientation Image Microscopy・商標)を用いた。サンプルはコロイダルシリカ研磨剤で30〜60分研磨し、倍率400倍、160μm×256μmエリア、測定ステップ0.5μmの測定条件でEBSP測定を実施した。
EBSP−OIM法は、走査型電子顕微鏡(SEM)内で高傾斜した試料に電子線を照射し、後方散乱して形成された菊池パターンを高感度カメラで撮影し、コンピュータ画像処理する事により照射点の結晶方位を短待間で測定する装置及びそのためのソフトウエアで構成されている。
EBSP法では、バルク試料表面の微細構造並びに結晶方位の定量的解析ができ、分析エリアはSEMで観察できる領域で、SEMの分解能にもよるが、最小20nmの分解能で分析できる。解析は数時間かけて、分析したい領域を等間隔のグリッド状に数万点マッピングして行う。多結晶材料では試料内の結晶方位分布や結晶粒の大きさを見ることができる。
本発明においては、隣りあうピクセル間の方位差が、一般的に結晶粒界として認識されている大傾角粒界の閾値である15°を超えた位置を粒界と定義して、マッピングした画像より粒を可視化し、平均結晶粒径を求めた。
後で詳細に説明するが、結晶粒の粒径ごとの個数分布をとったときの平均粒径(粒径の総和/結晶粒個数)を「個数平均粒径」とし、また、結晶粒径ごとの個数分布にその粒径の平均面積を乗じたものの分布をとったときの平均粒径(平均面積に該当する粒径)を「エリア平均粒径」とする。「個数平均粒径」、「エリア平均粒径」、およびエリア平均粒径の「標準偏差」とはEBSP−OIMにて得られる値である。
また、ミクロ組織については、EBSP−OIMに装備されているKAM(Kernel Average Misorientation)法にて初析フェライト体積分率を求めた。
KAM法では、測定データのうちのある正六角形のピクセルの隣り合う6個(第一近似)もしくはさらにその外側12個(第二近似)、さらには、さらにその外側の18個(第三近似)のピクセル間の方位差を平均し、その値をその中心のピクセルの値とする計算を各ピクセルに対して行う。そして、粒界を越えないようにこの計算を実施することで粒内の方位変化を表現するマップを作成できる。すなわち、このマップは粒内の局所的な方位変化に基づくひずみの分布を表している。
なお、本発明において解析条件はEBSP−OIMにおいて隣接するピクセル間の方位差を計算する条件は第三近似として、この方位差が5°以下となるものを表示させた。
ここで初析フェライトとは、上記の方位差第三近似1°以下と算出されたピクセルの面性分率と定義した。
これは、高温で変態したポリゴナルな初析フェライトは拡散変態で生成するので、転位密度が小さく、粒内の歪みが少ないため、結晶方位の粒内差が小さく、これまで発明者らが実施してきた様々な調査結果より、光学顕微鏡観察で得られるポリゴナルなフェライト体積分率とKAM法にて測定した方位差第三近似1°で得られるエリアの面積分率がほぼよい一致をみたためである。
ただし、DWTT試験のSA(−20℃)の値は何れも2試料の平均値であり、個々の試験片ではSA(−20℃)≧85%を満たさないものも存在した。そこで、2試料のSA(−20℃)の差(ΔSA)と上述したEBSP−OIMにて得られたエリア平均粒径の標準偏差の関係を調べた。
エリア平均粒径の「標準偏差」が2μm以下であればΔSA(−20℃)が20%以下となり、靭性のバラツキがこの範囲で抑制されることが明らかとなった。ΔSA(−20℃)が20%以下であれば、平均値としてのSA(−20℃)≧85%を確保するにあたり、SA(−20℃)の最小値が75%程度で抑えられる、実用上許容される範囲となる。
次に、吸収エネルギーとミクロ組織の関係を調査するためにVノッチシャルピー試験を実施し、その破断面近傍よりミクロサンプルを切り出し、その吸収エネルギー(vE(−20℃))と初析フェライト分率の関係を調査した。なお、シャルピー衝撃試験は、板厚中心のR方向よりJIS Z 2202に記載の試験片を切出し、JIS Z 2242の方法に従って実施した。初析フェライト分率は上述のEBSP−OIM法にて得られた値である。
その結果、初析フェライト分率とvE(−20℃)にはよい相関があり、初析フェライト分率が3%以上でvE(−20℃)が240Jの目標値が得られることが明らかとなった。
さらに、耐座屈性にとって重要なスパイラルパイプの長手方向の加工硬化挙動が、初析フェライト分率が3%以上で変化し、スパイラルパイプ造管後に採取した引張試験で得られた応力−ひずみ曲線がラウンド型となることも判明した。また、初析フェライト分率が20%超では、強度の低下が大きくなる傾向が認められた。
耐座屈性の評価は、耐座屈性能を評価するため軸力圧縮による座屈試験を行った。座屈試験は、長さ1800mmの鋼管の両端に鋼板を溶接した後、大型プレス試験装置により圧縮試験を行い、座屈発生により荷重低下が開始する歪(圧下量/全長)を座屈歪として評価した。
続いて、本発明の化学成分の限定理由について説明する。なお、各元素の含有量の%は質量%である。
Cは、目的とするAPI5L−X65規格以上の強度、ミクロ組織を得るために必要な元素である。ただし、0.02%未満では必要な強度を得ることが出来ず、0.1%超添加すると破壊の起点となる炭化物が多く形成されるようになり靭性、特に吸収エネルギーを低下されるばかりでなく、現地溶接性が著しく劣化する。従って、Cの添加量は0.02%以上0.1%以下とする。また、圧延後の冷却において冷却速度によらず均質な強度を得るためには0.07%以下が望ましい。
Siは、破壊の起点となる炭化物の析出を抑制する効果があるので0.05%以上添加するが、0.5%超添加すると現地溶接性が劣化する。現地溶接性の観点で汎用性を考慮すると0.3%以下が望ましい。さらに0.15%超ではタイガーストライプ状のスケール模様を発生させ、それが脆性き裂の起点となる微小欠陥になる恐れがあるので、望ましくはその上限を0.15%とする。
Mnは、固溶強化元素でありその目的で添加するが、1%未満ではその効果が得られない。一方、Mnは鋳造時に鋳片中心に偏析して、セパレーションの起点となる硬質な偏析バンドを形成する。そのため2%超添加するとどのように鋳造しても最大Mn偏析量が2%超になる可能性が大きく、セパレーションの発生が増加し吸収エネルギーが低下するので、本発明の要件を満たさなくなる。最大Mn偏析量の変動も加味してセパレーションの発生を低減するためには1.8%以下とすることが望ましい。
Pは、不純物であり低いほど望ましく、0.03%超含有すると連続鋳造鋼片の中心部に偏析し、粒界破壊を起こし低温靭性を著しく低下させるので、0.03%以下とする。さらにPは、造管および現地での溶接性に悪影響を及ぼすのでこれらを考慮すると0.015%以下が望ましい。
Sは、熱間圧延時の割れを引き起こすばかりでなく、多すぎると低温靭性を劣化させるので、0.005%以下とする。さらに、Sは連続鋳造鋼片の中心付近にMnSとして偏析し、圧延後に伸張したMnSを形成し脆性破壊の起点となるばかりでなく、二枚板割れ等の擬似セパレーション(本発明ではセパレーションとして取り扱う)の発生の原因となる。また、耐サワー性を考慮すると0.001%以下が望ましい。
Oは、不純物であり、酸化物の集積を抑制して、耐水素誘起割れ性を向上させるために、含有量の上限を0.003%以下に制限する。酸化物の生成を抑制して、母材及びHAZ靭性を向上させるためには、O量の上限値を0.002%とすることが望ましい。
Alは、脱酸元素であり、その効果を得るためには0.005%以上添加する。一方、0.1%を超えて添加しても効果が飽和する。また0.03%を超えるとAl酸化物の集積クラスターが確認されるため、0.03%以下とすることが望ましい。さらに厳しい低温靭性が要求される場合には、Al量の上限を0.017%以下にすることが好ましい。
Nbは、本発明において最も重要な元素の一つである。Nbは固溶状態でのドラッギング効果および/または炭窒化析出物としてのピンニング効果により粗圧延中もしくは圧延後のオーステナイトの粒成長を抑制し、変態後の平均結晶粒径を細粒化し、低温靭性を向上させる効果を有する。ただし、これらの効果を得るためには少なくとも0.005%以上の添加が必要である。
一方、0.05%超添加するとその効果が飽和するだけでなく、本発明が提案する熱間圧延方法を用いたとしても、仕上げ圧延終了後に再結晶が完了せずに等方性が劣化する。従って、Nbの含有量は0.005%以上0.05%未満と限定する。
ただし、ホットコイル製造工程の特徴である巻取り工程において微細な炭化物を生成し、その析出強化により強度の向上に寄与するためには0.01%以上の添加が望ましい。一方、Nbは、粗大な炭窒化物を形成して破壊の起点となり、低温靭性や耐サワー性を劣化させる恐れがあるため、0.03%以下の添加が望ましい。
Tiも、本発明において最も重要な元素の一つである。Tiは、連続鋳造もしくはインゴット鋳造で得られる鋳片の凝固直後の高温で窒化物として析出を開始する。このTi窒化物を含む析出物は高温で安定であり、後のスラブ再加熱においても完全に固溶することなく、ピンニング効果を発揮し、スラブ再加熱中のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、ミクロ組織を微細化して低温靭性を改善する。このような効果を得るためには、少なくとも0.005%以上のTi添加が必要である。一方、0.02%超添加しても、その効果が飽和する。さらに、Ti添加量がNとの化学量論組成超(N−14/48×Ti<0%)となると、残存したTiがCと結合し、耐HIC性や靱性を低下させるおそれがある。
Nは、上述したようにTi窒化物を形成し、スラブ再加熱中のオーステナイト粒の粗大化を抑制して後の制御圧延においてオーステナイト粒径を細粒化し、変態後の平均粒径を細粒化することで低温靭性を改善する。ただし、その含有量が0.0015%未満では、その効果が得られない。一方、0.006%超含有すると時効により延性が低下し、造管する際の成形性が低下する。N含有量がTiとの化学量論組成未満(N−14/48×Ti≦0%)となると残存したがCと結合し、耐HIC性や靱性を低下させるおそれがある。
次にV、Mo、Cr、Ni、Cu、Bの一種または二種以上とMg、Ca、REMの一種または二種を必要に応じて添加する理由について説明する。以上の基本となる成分にさらにこれらの元素を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、製造可能な板厚の拡大や母材の強度・靭性などの特性の向上を図るためである。
Vは、ホットコイル製造工程の特徴である巻取り工程において微細な炭窒化物を生成し、その析出強化により強度の向上に寄与する。ただし、0.15%超添加してもその効果は飽和する。また、0.1%以上添加すると現地溶接性を低下させる懸念があるので、0.1%未満が望ましい。また、微量でも効果を奏するが、0.02%以上添加することが望ましい。
Moは、焼入れ性を向上させ、強度を上昇させる効果がある。また、MoはNbと共存して制御圧延時にオーステナイトの再結晶を強力に抑制し、オーステナイト組織を微細化し、低温靭性を向上させる効果がある。ただし、0.3%超添加してもその効果は飽和する。また、0.2%以上添加すると延性が低下し、造管する際の成形性が低下させる懸念があるので、0.2%未満が望ましい。また、微量でも効果を奏するが、0.02%以上添加することが望ましい。
Crは、強度を上昇させる効果がある。ただし、0.3%超添加してもその効果は飽和する。また、0.15%以上添加すると現地溶接性を低下させる懸念があるので、0.15%未満が望ましい。また、0.05%未満添加してもその効果は期待できないため、0.05%以上添加することが望ましい。
Cuは、耐食性、耐水素誘起割れ特性の向上に効果がある。ただし、0.3%超添加してもその効果は飽和する。また、0.2%以上添加すると熱間圧延時に脆化割れを生じ、表面疵の原因となる懸念があるので、0.2%未満が望ましい。また、0.05%未満添加してもその効果は期待できないため、0.05%以上添加することが望ましい。
Niは、MnやCr、Moに比較して圧延組織(特にスラブの中心偏析帯)中に低温靭性、耐サワー性に有害な硬化組織を形成することが少なく、従って、低温靭性や現地溶接性を劣化させることなく強度を向上させる効果がある。ただし、0.3%超添加してもその効果は飽和する。また、Cuの熱間脆化を防止する効果があるのでCu量の1/3以上を目安に添加する。0.05%未満添加してもその効果は期待できないため、下限を0.05%とする。
Bは、強度の向上がある。従って、必要に応じ添加する。ただし、0.0002%未満ではその効果を得るために不十分であり、0.003%超添加すると現地溶接性を劣化させる懸念がある。
Mg、CaおよびREM(希土類元素)は、アルミナ系介在物を改質することにより、微細な酸化物を溶鋼中に均一に分散し、さらにこれら酸化物が等軸晶生成の核になり易くする効果があり、いずれか1種または2種以上を選択的に添加する。ただし、過少に添加してもその効果がなく、過剰に添加するとそれらの酸化物が大量に生成してクラスター、粗大介在物して生成し、溶接シームの低温靭性の劣化や、現地溶接性にも悪影響を及ぼす。また、破壊の起点となり、耐サワー性を劣化させる非金属介在物の形態を変化させて無害化する元素である。
Ca及、REMおよびMgの含有量は、いずれも0.0005%未満では上記効果を発揮しない。また、Mgの含有量を0.01%超、Caの含有量を0.01%超、REMの含有量を0.1%超としても上記効果が飽和して経済性が低下する。
したがって、添加する場合のMg含有量は0.0005%以上0.01%以下、Ca含有量は0.0005%以上0.01%以下、REM含有量は、0.0005以上0.1%以下とする。
なお、以上の元素のほかに熱延鋼板には、Zr、Sn、Co、Zn、Wを合計で1%以下含有しても本発明の効果は特に損なわれない。しかしながらSnは、熱間圧延時に疵が発生する恐れがあるので0.05%以下とする。
次に鋼板のミクロ組織等について詳細に説明する。
鋼板のミクロ組織は、目的の強度および低温靭性等を達成するためには、鋼板中心におけるミクロ組織で初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態生成物であり、ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下、かつエリア平均粒径が12μm以下、その標準偏差が2μm以下であることが必要である。
特に16mm以上の板厚の場合に板の表裏面と板厚中心には大きな温度偏差が生じ、圧延開始から終了までの各板厚位置での温度履歴が直接的にミクロ組織等の形成に影響する。また、板厚中心部はその3軸応力度が最も高く、破壊の起点は板厚中心部である。さらに、そのミクロ組織等とDWTT試験での延性破面率(SA)等の材質が最もよい相関があった事実から、鋼板中心(1/2厚)でのミクロ組織等を全板厚の代表とした。
低温脆性とミクロ組織等の冶金因子を結び付ける考え方として、へき開破壊においては最弱リンクモデルが提案されている。これは、例えばへき開破壊の場合、き裂先端近傍だけでなく、塑性域全部にわたってき裂発生起点となりうる。これをプロセスゾーンと定義するとその中で最も弱い単位が破壊すれば全体の破壊に至るというものである。この場合、「初析フェライト」と「低温変態生成物」のどちらが最も弱い単位であるかは別として、その各々でその弱さの下限を規定する閾値(この場合は「個数平均結晶粒径」と「エリア平均粒径」)が必要となる。また、これらのバラツキも重要であり、安定した靭性を得るためには。その「標準偏差」も規定しなければならない。
さらに、低温靭性を向上させるためにはこれらを含めたミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下、かつエリア平均粒径が12μm以下、その標準偏差が2μm以下にする必要がある。これは、脆性破壊におけるへき開破壊伝播の主な影響因子と考えられている破面単位と直接的な関係のある結晶粒径が細粒化し低温靭性が向上するからである。
吸収エネルギーについては、そのミクロ組織の体積分率と相関がある。初析フェライトは、比較的延性に富んだミクロ組織であり、その効果により、体積分率が増加すると吸収エネルギーを増加させる。目的とする吸収エネルギーを得るためには3%以上の初析フェライトが必要であるが、20%を超えるその効果が飽和するだけでなく、強度の低下が顕著になる。従って、初析フェライトは、3%以上20%以下であることが必要である。
また、ミクロ組織が軟質である「初析フェライト」と硬質である「低温変態生成物」からなることで加工硬化挙動が変化し、スパイラル造管時にひずみをほとんど受けないスパイラルパイプの長手方向の応力−ひすみ曲線がラウンド型になり、耐座屈性が向上する。ただし、その効果を得るためには、3%以上の初析フェライトが必要であるが、20%を超えるその効果が飽和する。
このことは造管後の鋼管の降伏比を低減するのに有効であり、特に最近ではStrain Based Designで設計されることが主流になりつつあり、造管後の降伏強度を下げることが望まれている。造管後の降伏比を求められている0.93以下とするためには、初析フェライトを少なくとも体積分率で3%以上含むことが望ましいさらに、20%以下に制御することで吸収エネルギーの増加とセパレーションの抑制に顕著な効果がある。これは、初析フェライトと低温変態生成物との境界を伝播する擬似へき開破壊が抑制されるためと推定される。
ここで、個数平均結晶粒径とエリア平均粒径の違いについて言及する。この数値は何れも、上述したEBSP−OIM法により得られる。
EBSP−OIM法による一定測定ステップごとの方位測定で、隣りあう測定点の方位差が、一般的に結晶粒界として認識されている大傾角粒界の閾値である15°を超えた位置を粒界とし、その粒界に囲まれた領域を結晶粒として、その粒径を求める。
この測定された粒のサイズ分布をヒストグラムで描き、その平均値が本発明で定義する「個数平均結晶粒径」である。一方、このヒストグラムのサイズステップごとの数値にその平均面積を重み付け(積を求める)をしたヒストグラムを描き、その平均値が本発明で定義する「エリア平均粒径」である。この値は、光学顕微鏡観察等を肉眼で見えるミクロ組織の印象やJISに定義されている比較法、切断法により近い値となる。
ここで、本発明が対象とするスパイラルパイプ用のホットコイルのミクロ組織は、詳細に見ると本発明で定義する「初析フェライト」に相当する非常に細粒な組織とそれ以外、すなわち、比較的粒径が粗大で旧オーステナイト粒径と関連し、マッシブに変態したと推定される「低温変態生成物」に分類される。言い換えると「個数平均結晶粒径」とはこの「初析フェライト」の粒径を主に代表しており、「エリア平均粒径」は「低温変態生成物」の粒径を代表している。また、「標準偏差」はこれらの粒径差を表す指標となっている。
本発明者らの詳細な研究の成果によると、これまで考えられてきた「結晶粒」と「靭性」の関係において細粒化するほど靭性が向上するという解釈は汎用的な法則ではなく、ミクロ組織がフェライトもしくはベイナイト等のほぼ単一相と見なせる場合にのみ成り立つ関係である。本発明で対象としているようにAPI−X65グレード以上の高強度鋼の場合は必然的にミクロ組織が「初析フェライト」と「低温変態生成物」の混合したミクロ組織となるため、一般的な平均結晶粒径は「エリア平均粒径」すなわち「低温変態生成物」の粒径を代表しているに過ぎず適当ではない。
一方、スラブ鋳造の際に生じる中心偏析は、DWTT試験での脆性き裂の伝播に悪影響を及ぼし、さらにセパレーションの発生を助長する。DWTT試験は、試験の際にプレスノッチ部から発生した脆性き裂の伝播を、延性破面を形成する塑性変形で如何に遅延させるかを評価する試験方法であるが、中心偏析の結果として生じる硬質なバンド状組織は、塑性変形しにくいために脆性き裂の伝播を促進する。また、中心偏析はセパレーションの起点となる擬似へき開を発生させる。従って、低温靭性の指標であるDWTTのSAをセパレーションの発生を抑制しつつ向上させるためには極力中心偏析、特にMnのそれを低減することが望ましい。しかしながら、中心偏析部の最高硬度が300Hv以下で、母材平均硬度+50Hv以上の偏析帯幅が200μm以下ならば、SAを担保した上でセパレーションの発生を抑制できる。また、板厚方向の硬質なバンド状組織の幅も狭い方が、望ましくMn濃度1.8%以上の偏析帯の厚さが板厚方向で140μm以下ならば、更にセパレーションの発生を抑制できる。
鋼板の強度を得るためには上記のミクロ組織中に比較的強度が高い低温変態生成物を含んでいるだけでは強度が不足する場合があり、その場合はミクロ組織全体を析出強化するためにナノメータサイズのNbを含む析出物が密に分散されていることが望ましい。これらナノメータサイズの析出物の組成は、Nbを主体としているが、炭窒化物を形成するTi、V、Mo、Crも含まれていることも許容する。また、これらの析出物が適切に強化に寄与するためには巻取り温度の範囲が500℃以上とすることが望ましい。ただし、巻き取り温度が620℃を超えると、この析出物が粗大化し、へき開破壊の起点となるばかりでなく、過時効状態となり強度が低下するので、巻き取り温度が620℃以下とすべきである。
ただし、ランナウトテーブルでの冷却速度が板厚中心で15℃/sec以上と速く、巻取り温度も500℃以下ならば初析フェライト体積分率≦20%となり、ナノメータサイズのNbを含む析出物が十分な析出強化能を発現しない亜時効状態であっても低温変態生成物の組織強化によりX65グレードの強度を確保することは可能である。
天然ガスパイプラインを想定した場合に必要な延性破壊停止性能の指標である吸収エネルギーを向上させるためには、セメンタイト等の粗大な炭化物含むミクロ組織を含まないことが必要である。すなわち、本発明における低温変態生成物にはセメンタイト等の粗大な炭化物含むミクロ組織を含まない。
ここで、低温変態生成物とは、ランナウトテーブルでの冷却時もしくは巻取り後において、平衡状態より過冷した場合に出現するミクロ組織に代表され、例えば日本鉄鋼協会基礎研究会ベイナイト調査研究部会/編;低炭素鋼のベイナイト組織と変態挙動に関する最近の研究−ベイナイト調査研究部会最終報告書−(1994年 日本鉄鋼協会)に記載されている連続冷却変態組織(Zw)に準じるミクロ組織である。
すなわち、連続冷却変態組織(Zw)とは光学顕微鏡観察組織として上記参考文献125〜127項にあるようにそのミクロ組織は主にBainitic ferrite(α°B)、Granular bainitic ferrite(αB)、Quasi-polygonal ferrite(αq)から構成され、さらに少量の残留オーステナイト(γr)、Martensite-austenite(MA)を含むミクロ組織であると定義されている。αqとはポリゴナルフェライト(PF)と同様にエッチングにより内部構造が現出しないが、形状がアシュキュラーでありPFとは明確に区別される。ここでは、対象とする結晶粒の周囲長さlq、その円相当径をdqとするとそれらの比(lq/dq)がlq/dq≧3.5を満たす粒がαqである。
次に、本発明のラインパイプ用熱延鋼板の製造方法について、以下に詳細に述べる。
本発明において連続鋳造工程に先行する製造方法は特に限定するものではない。すなわち、高炉から出銑後に溶銑脱燐および溶銑脱硫等の溶銑予備処理を経て転炉による精錬を行うかもしくは、スクラップ等の冷鉄源を電炉等で溶解する工程に引き続き、各種の2次精練で目的の成分含有量になるように成分調整を行い、次いで通常の連続鋳造、インゴット法による鋳造の他、薄スラブ鋳造などの方法で鋳造すればよい。
ただし、スラブ鋳造に際し、中心偏析を低減するために連続鋳造セグメントにおいて未凝固圧下等の偏析対策を施すことが望ましい。もしくはスラブ鋳造厚を薄くし、中心偏析の板厚方向の幅を抑えることが望ましい。
連続鋳造もしくは薄スラブ鋳造などによって得たスラブの場合には高温鋳片のまま熱間圧延機に直送してもよいし、室温まで冷却後に加熱炉にて再加熱した後に熱間圧延してもよい。ただし、スラブ直送圧延(HCR:Hot Charge Rolling)を行う場合は、γ→α→γ変態により、鋳造組織を壊し、スラブ再加熱時のオーステナイト粒径を小さくするために、Ar3変態点温度未満まで冷却することが望ましい。さらに望ましくはAr1変態点温度未満まで冷却するとよい。
熱間圧延に際して、スラブ再加熱温度(SRT)は、鋼材中のNbおよびCの含有量(質量%)に基づく、次式(4)
SRT(℃)=6670/(2.26−log〔Nb×C〕)−273
・・・(4)
にて算出される温度以上とするのがよい。
この式はNbCの溶解度積でNbCの溶体化温度をしめすもので、この温度未満であるとスラブ製造時に生成したNbの粗大な炭窒化物が十分に溶解せず後の粗圧延工程においてNbによるオーステナイトの粒成長の抑制効果が得られないばかりか、その析出強化により強度を向上させる効果が得られない。ただし、1000℃未満の加熱ではスケールオフ量が少なくスラブ表層の介在物をスケールと共に後のデスケーリングによって除去できなくなる可能性があるので、スラブ再加熱温度は1000℃以上が望ましい。
一方、1260℃超であるとオーステナイトの粒径が粗大化し、後の制御圧延における旧オーステナイト粒が粗大化し、変態後の平均結晶粒径も粗大化して低温靭性の改善効果が期待できない。さらに望ましくは1230℃以下である。
スラブ加熱時間は、Nbの炭窒化物の溶解を十分に進行させるためには当該温度に達してから20分以上保持するのがよい。20分未満では、スラブ製造時に生成したNbの粗大な炭窒化物が十分に溶解せず、粗圧延中のオーステナイトの粒成長の抑制効果やその析出強化により強度を向上させる効果が得られない。
続く熱間圧延工程は、通常、リバース圧延機を含む数段の圧延機からなる粗圧延工程と6〜7段の圧延機をタンデムに配列した仕上げ圧延工程より構成されている。一般的に粗圧延工程はパス数や各パスでの圧下量が自由に設定できる利点を持つが各パス間時間が長く、パス間での回復・再結晶が進行する恐れがある。
一方、仕上げ圧延工程はタンデム式であるためにパス数は圧延機の数と同数となるが各パス間時間が短く、制御圧延効果を得やすい特徴を持つ。従って、優れた低温靭性を実現するためには鋼成分に加えて、これら圧延工程の特徴を十分に生かした工程設計が必要となる。
また、例えば、製品厚が16mmを超えるような場合で、仕上げ圧延1号機の噛み込みギャップが設備制約上制限されている場合等は、仕上げ圧延工程のみで本発明の要件である未再結晶温度域の圧下率を稼いで靭性を向上させることが出来ないので、粗圧延工程のを有効に活用し、再結晶域圧延で、未再結晶域圧延直前での再結晶オーステナイト粒径を細粒化することが非常に重要である。
本発明は製品厚が12.7mm以上を対象としているが、特に製品厚が16mm以上の場合においては、この再結晶オーステナイト粒径を如何に細粒化するかが重要である。しかしながら、パススケジュール、圧延開始温度および圧延速度が決まれば冶金学的に重要な圧延ひずみ、圧延温度およびパス間時間が決定されてしまう多段タンデム圧延機を用い、連続圧延である仕上げ圧延と違い、粗圧延は、単スタンド圧延機の組合せであり、その操業自由度が大きい裏返しとして、上述した再結晶オーステナイト粒径を細粒化する最適なパススケジュール、圧延開始温度および圧延速度の組合せは無数に存在し、本発明を実現化するための手法を定量化することに本発明者らは苦心した。
そこで、粗圧延のパススケジュール、圧延開始温度および圧延速度、さらに具体的には、温度、パス間時間、圧延ひずみを一律に評価できる指標を確立した。すなわち、下記式(3)で算出される有効累積ひずみ(εeff)を用いることで、16mm以上の板厚の厚い鋼板の圧延に際し、それらの条件を統一的に表すことができることを見出した。
εeff=Σεi(t2,T2) ・・・(3)
ここで、
εi(t2,T2)=εi0/exp{(t/τR2/3
τR=τ0・exp(Q/RT2)
τ0=8.46×10-6
Q=183200J
R=8.314J/K・molであり、
iは粗圧延のパスを示し、t2は当該パスでの仕上げ圧延直前までの累積時間、すなわち、被圧延材が当該パスを通過した後仕上げ圧延機に到達するまでの時間(秒)を、T2は当該パスでの圧延温度(℃)を、εi0は当該パスで加えられたひずみをそれぞれ示す。
この粗圧延の有効累積ひずみ(εeff)が0.4以上であると未再結晶域圧延直前の再結晶オーステナイトが細粒となり、目的とする靭性を得ることができる。
この粗圧延工程での再結晶温度域圧延を行うが、その各圧下パスでの圧下率は、本発明では限定しない。ただし、粗圧延の各パスでの圧下率が10%以下では再結晶に必要な十分なひずみが導入されず、粒界移動のみによる粒成長が起こり、粗大粒が生成し、低温靭性が劣化する懸念があるので、再結晶温度域において各圧下パスで10%超の圧下率で行うことが望ましい。
同様に、再結晶温度領域での各圧下パスの圧下率が25%以上であると、特に後段の低温域では圧下中に転位の導入と回復を繰返すことによって転位セル壁が形成され、亜粒界から大角粒界へと変化する動的再結晶が起こるが、この動的再結晶粒主体のミクロ組織のような転位密度の高い粒とそうでない粒が混在する組織では短時間に粒成長が起こるため、仕上げ圧延前までに比較的粗大な粒に成長し、後の仕上げ圧延により粒が成長してしまい低温靭性が劣化する懸念があるので、再結晶温度域での各圧下パスでの圧下率は25%未満とすることが望ましい。
仕上げ圧延は、鋼板成分(元素の種類とその含有量)により決定される温度をT1℃とすると、T1以上T1+100℃以下の温度範囲において、最終パスでの圧下率P1を少なくとも30%以上とし、且つ、圧下率の合計を50%以上として熱間圧延を終了する必要がある。ここでT1とは、質量%で表される各成分元素の含有量を用いた下記の式(1)で算出される温度である。
T1(℃)=850+10×(C+N)×Mn+350×Nb+250×Ti
+40×B+10×Cr+100×Mo+100×V ・・・(1)
T1温度自体は経験的に求めたものである。T1温度を基準として、通常の圧延ではT1温度以上で各鋼のオーステナイト域での再結晶が促進されることを発明者らは実験により経験的に知見した。
T1+100℃超の温度範囲での圧延では、再結晶後に粒成長が著しく、製品版の粒径が粗大化し、靭性が劣化する。また、最終パスでの圧下率P1が30%未満かつ合計圧下率が50%未満であると熱間圧延中に蓄積される圧延ひずみが不均一となり、再結晶が不均一となりその後のミクロ組織の組織単位が不均一となり、靭性値にバラツキが生じる恐れがある。望ましくは合計圧下率が70%以上であると温度変動等に起因するバラツキを考慮しても十分な不均一性が得られる。合計圧下率が90%を超えると加工発熱により再結晶が抑制できなくなったり、圧延荷重が増加し圧延が困難となる恐れがある。
一方、T1未満の温度範囲で圧延では、再結晶が十分に進行せず十分な等方性が得られない。仕上げ圧延の下限はT1であるが、この仕上げ圧延の下限は、少なくともオーステナイトの温度域でありAr3変態点温度未満となることは考慮していない。すなわち、この温度以下になると二相域圧延となり、DWTT試験等の靭性評価試験においてセパレーションの発生が顕著になり、吸収エネルギーが低下する恐れがある。
なお、Ar変態点温度とは、各元素の質量%で表される含有量との関係で、例えば下記式(5)の計算式により簡易的に示される。
Ar=910−310×C+25×Si−80×[Mneq]・・・(5)
ただし、[Mneq]は、Bが添加されていない場合は下記式(6)によって示され、Bが添加されている場合は下記式(7)によって示される。
[Mneq]=Mn+Cr+Cu+Mo+Ni/2+10(Nb−0.02) ・・・(6)
[Mneq]=Mn+Cr+Cu+Mo+Ni/2+10(Nb−0.02)+1 ・・(7)
仕上げ圧延終了後には、下記の式(2)によって決定されるt1秒超t1×2.5秒以内に25℃/sec以上の冷却速度でT1−30℃以下の温度域まで冷却を行う必要がある。
冷却までの時間がt1秒以下であると再結晶が進行せず、未再結晶ままとなり等方性が劣化する。一方、冷却までの時間がt1×2.5秒超であると再結晶粒の粒成長が顕著となり低温靭性が劣化する。
また、この冷却停止温度がT1−30℃超であると再結晶粒の粒成長が顕著となり低温靭性が劣化する。さらに、この冷却での冷却速度が25℃/sec未満であると再結晶粒の粒成長が顕著となり低温靭性が劣化する。この冷却速度の上限は特に定めないが板形状の観点から200℃/sec以下が妥当と思われる。
t1=0.001×((Tf−T1)×P1/100)−0.109×((Tf−
T1)×P1/100)+3.1 ・・・(2)
ここで、Tfは30%以上の最終圧下後の温度(℃)、P1は30%以上の最終圧下の圧下率である。
上述の規定した圧延が行われているか否は、圧延率は圧延荷重、板厚測定などから実績または計算により求めることができるし、温度についてもスタンド間温度計があれば実測可能で、またはラインスピードや圧下率などから加工発熱を考慮した計算シミュレーション、或いはその両方によって得ることができる。
なお、本発明において圧延速度については特に限定しないが、仕上げ最終スタンド側での圧延速度が50mpm未満であると再結晶粒の粒成長が顕著となり低温靭性が劣化する。また、上限については600mpm超であると再結晶が進行せず、未再結晶ままとなり等方性が劣化する。ただし、設備制約上400mpm以下が現実的である。従って、仕上げ圧延工程において圧延速度は、必要に応じて50mpm以上400mpm以下とすることが望ましい。
その後、さらに3秒超後10秒以内に10℃/sec以上の冷却速度で冷却を行う。すなわち、3秒以内であると十分な初析フェライトが得られず、耐座屈性に好ましい加工硬化特性が得られない。一方、10秒超もしくは10℃/sec未満の冷却速度であるとパーライト組織が混入し、強度が低下するとともに強度と靭性のバランスに優れる低温変態生成物が十分に得られなくなる。なお、冷却速度の上限は、特に限定しなくとも本発明の効果を得ることができるが、熱ひずみによる板そりを考慮すると、300℃/sec以下とすることが望ましい。
冷却後は、ホットコイル製造工程の特徴である巻取り工程を効果的に活用する。冷却停止温度および巻き取り温度は450℃以上620℃以下の温度域とする。620℃超で冷却を停止し、その後巻き取ると、炭化物が粗大化し脆性破壊の起点となるサイズになると低温靭性が劣化する恐れがある。一方、450℃未満で冷却を終了すると、強度が上昇しすぎて、製品の板厚、幅によってはコイラーの巻き取り能力を超えてしまう恐れがある。従って、冷却を停止し、巻き取る温度域は450℃以上620℃以下とする。
得られたホットコイルをスパイラルパイプに造管する際の方向はスパイラルパイプの円周方向が熱延鋼板の圧延方向に対して30°以上90°未満となることが必要である。30°未満では、本発明の効果が得られたとしても耐座屈性に必要なパイプ円周方向の降伏強度がパイプ長手方向の降伏強度よりも大きい特性を安定的に得ることが難しいばかりで開く、パイプ単位長さ当たりの溶接長が長くなりコスト増を招く。一方、90°では、一般的な電縫鋼管と同じとなり本発明の特徴を生かせなくなる。
以下に、実施例により本発明をさらに説明する。
表1に示す化学成分を有するA〜Mの鋼は、転炉にて溶製して、CASまたはRHで二次精練を実施した。脱酸処理は二次精練工程にて実施した。これらの鋼は、連続鋳造後、直送もしくは再加熱し、粗圧延に続く仕上げ圧延で18.4mmの板厚に圧下し、ランナウトテーブルで冷却後に巻き取った。ただし、表中の化学組成についての表示は質量%である。
Figure 2013173998
製造条件の詳細を表2に示す。ここで、「成分」とは表1に示した各鋼の記号を、「加熱温度」とはスラブ加熱温度実績を、「溶体化温度」とは、上記(4)式にて算出される温度を、「保持時間」は実績スラブ加熱温度での保持時間を、「粗有効累積ひずみ」とは上記(3)式で算出された粗圧延で実施された圧延の有効累積ひずみを、ここで、「T1」とは上記式(1)にて算出される温度を、「Ar3変態点温度」とは上記式(5)にて算出される温度をいう。
また、「T1以上T1+100℃以下の合計圧下率」とは、仕上げ圧延工程におけるT1以上T1+100℃以下の温度域での合計圧下率を、「Tf」とは最終圧下後の温度を、「P1」とは最終圧下後の圧下率をいう。
さらに、「t1」とは上記式(2)にて算出される仕上げ圧延終了後に一次冷却を開始するまでの望ましい下限時間を、「t1×2.5」とは式(1)にて算出される仕上げ圧延終了後に一次冷却を開始するまでの望ましい上限時間を、「冷却開始までの時間」とは、仕上げ圧延終了後に一次冷却を開始するまでの時間を、「一次冷却速度」とは、仕上げ圧延終了後から一次冷却温度変化分の冷却を完了するまでの平均冷却速度を、「一次冷却停止温度」とは一次冷却終了温度後の温度を、「二次冷却速度」とは、二次冷却開始から巻き取りまでの平均冷却速度を、「CT」とは、巻き取り工程においてコイラーにて巻取る温度を示している。
Figure 2013173998
このようにして得られた鋼板の材質を表3に示す。調査方法を以下に示す。
引張試験はR方向よりJIS Z 2201に記載の5号試験片を切出し、JIS Z2241の方法に従って実施した。シャルピー衝撃試験は板厚中心のR方向よりJIS Z 2202に記載の試験片を切出し、JIS Z 2242の方法に従って実施した。DWTT試験はR方向より、300mmL×75mmW×板厚(t)mmの短冊状の試験片を切り出し、これに5mmのプレスノッチを施したテストピースを作製して実施した。
次に、HAZ靱性(シャルピー試験の−20℃での吸収エネルギー:vE−20)はパイプの長手方向に相当する方向より再現熱サイクル試験片を切出し、再現熱サイクル装置で再現したHAZで評価した(最高加熱温度:1400℃,800〜500℃の冷却時間〔Δt800−500 〕:25秒)。また現地溶接性はY−スリット溶接割れ試験(JIS G3158)においてHAZの低温割れ防止に必要な最低予熱温度で評価した(溶接方法:ガスメタルアーク溶接,溶接棒:引張強さ100MPa,入熱:0.5kJ/mm,溶着金属の水素量:3cc/100g)。
次に、試験後のDWTT試験片各々の圧延方向に平行な破断面近傍部位から切出したミクロサンプルよりまず、結晶粒径とミクロ組織を測定するためにEBSP−OIMを用いた。サンプルはコロイダルシリカ研磨剤で30〜60分研磨し、倍率400倍、160×256μmエリア、測定ステップ0.5μmの測定条件でEBSP測定を実施した。
また、ミクロ組織については、EBSP−OIMに装備されているKAM法にて初析フェライト体積分率を求めた。
表3において、「ミクロ組織」とは、試験後のDWTT試験片各々から切出したミクロサンプルの1/2tにおけるミクロ組織である。
このうち「初析フェライト体積分率」とは、上述の、EBSP−OIMのKAM法にて測定した値であり、「個数平均粒径」、「エリア平均粒径」、「標準偏差」とは同じくEBSP−OIMでの測定結果である。
また、「{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値」とは圧延面と平行な{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比を、「{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比」とは圧延面と平行な{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比である。
「圧延方向とパイプ円周方向の角度」とはスパイラルパイプ造管時の圧延方向とパイプ円周方向の角度を示している。
「引張試験」結果は、R方向JIS5号試験片の結果を、「YP/TS」とは、パイプ長手方向のYPとTSの比を、「YSL/YSC」とはパイプ長手方向のYSとパイプ円周方向のYSの比を、「1/|Δr|」とは本発明で言うところの等方性指標を、「座屈ひずみ」とは、パイプの座屈試験にて測定した座屈ひずみを。「SA(−20℃)」は、−20℃でのDWTT試験における延性破面率を、「セパレーション有無」とは同じく−20℃でのDWTT試験における破断面のセパレーションの有無を、「母材靭性vE−20℃」は、シャルピー衝撃試験における−20℃で得られる吸収エネルギーを、示している。
Figure 2013173998
本発明に沿うものは、鋼番1、10、17〜24の10鋼であり、所定の量の鋼成分を含有し、板厚中心における{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が4以下でかつ{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比が4.8以下で、さらに初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態生成物であり、前記ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下かつエリア平均粒径が12μm以下であり、前記エリア平均粒径の標準偏差が2μm以下であることを特徴とし、造管前の素材としてX65グレード相当の引張強度を有する耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板が得られている。
上記以外の鋼は、以下の理由によって本発明の範囲外である。
鋼番2は、「T1以上T1+100℃以下の合計圧下率」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、座屈ひずみが低い。
鋼番3は、「P1」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、座屈ひずみが低い。
鋼番4は、「Tf」と「冷却までの時間」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、SA(−20℃)が低い。
鋼番5は、「冷却までの時間」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、SA(−20℃)が低い。
鋼番6は、「一次冷却速度」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、SA(−20℃)が低い。
鋼番7は、「一次冷却停止温度」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、SA(−20℃)が低い。
鋼番8は、「二次冷却速度」および「CT」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、強度が低い。
鋼番9は、「CT」が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、SA(−20℃)が低い。
鋼番12は、Nb含有量が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、座屈ひずみが低い。
鋼番13は、C含有量が本発明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られず、座屈ひずみが低い。
鋼番14は、Ti含有量およびN*が本発明の範囲外であるので、SA(−20℃)が低い。
鋼番15は、N含有量が本発明の範囲外であるので、SA(−20℃)が低い。
鋼番16は、Cが本発明の範囲外であるので、強度が低く、API5L−X65グレードに達していない。
鋼番25は、Nb含有量が本発明の範囲外であるので、SA(−20℃)が低い。
鋼番26は、Nb含有量が本発明の範囲外であるので、SA(−20℃)が低い。
本発明は、鉄鋼業における電縫鋼管およびスパイラル鋼管に用いる熱延鋼板の製造に、利用することができる。特に用いることにより厳しい耐破壊特性が要求される寒冷地においても16mm以上の板厚でAPI5L−X65規格以上の高強度なスパイラルパイプが製造に利用することができる。

Claims (7)

  1. 質量%にて、
    C :0.02〜0.1%、
    Si:0.05〜0.5%、
    Mn:1〜2%、
    P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、
    O :0.003%以下、
    Al:0.005〜0.1%、
    N :0.0015〜0.006%、
    Nb:0.005〜0.05%、
    Ti:0.005〜0.02%、
    を含有し、且つ、NとTiの含有量が、
    N−14/48×Ti≧0%、
    を満足し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる鋼板であって、
    板厚中心における{100}<011>〜{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が4以下でかつ{332}<113>の結晶方位のX線ランダム強度比が4.8以下で、さらに板厚中心におけるミクロ組織について初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態生成物であり、前記ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が5μm以下かつエリア平均粒径が12μm以下であり、前記エリア平均粒径の標準偏差が2μm以下であることを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
  2. 前記鋼板が、さらに質量%にて、
    V :0.15%以下、
    Mo:0.3%以下、
    Cr:0.05〜0.3%、
    Cu:0.05〜0.3%、
    Ni:0.05〜0.3%、
    B :0.0002〜0.003%、
    のうち一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
  3. 前記鋼板が、さらに質量%で、
    Mg:0.0005〜0.01%、
    Ca:0.0005〜0.01%、
    REM:0.0005〜0.1%、
    のいずれか一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分を有する熱延鋼板を得るために溶製され、鋳造された鋳片を熱間圧延することにより熱延鋼板を製造するに際し、仕上げ圧延において、鋼板成分により下記式(1)で決定される温度をT1とすると、T1以上T1+100℃以下の温度範囲における最終パスでの圧下率P1が少なくとも30%以上で、且つ、該温度範囲での圧下率の合計を50%以上とし、圧延温度および圧下率により下記式(2)で決定される時間をt1秒とすると、圧延後t1秒超t1×2.5秒以内に冷却を開始し、25℃/sec以上の冷却速度でT1−30℃以下の温度域まで冷却を行い、さらに3秒超10秒以内に10℃/sec以上の冷却速度で450℃以上620℃以下の温度域まで冷却し、巻き取ることを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
    T1(℃)=850+10×(C+N)×Mn+350×Nb+250×Ti+
    40×B+10×Cr+100×Mo+100×V ・・・(1)
    t1=0.001×((Tf−T1)×P1/100)−0.109×((Tf−
    T1)×P1/100)+3.1 ・・・(2)
    ここで、Tfは30%以上の最終圧下後の温度(℃)、P1は30%以上の最終圧下の圧下率である。
  5. 請求項4に記載の熱延鋼板の製造方法において、圧延温度と仕上げ圧延直前までの累積時間により下記式(3)で決定される粗有効累積ひずみ(εeff)が0.4以上となる粗熱間圧延を行うことを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
    εeff=Σεi(t2,T2) ・・・(3)
    ここで、
    εi(t2,T2)=εi0/exp{(t2/τR2/3}、
    τR=τ0・exp(Q/RT2)、
    τ0=8.46×10-6
    Q=183200J、
    R=8.314J/K・molであり、
    iは粗熱間圧延のパスを、t2は当該パスでの仕上げ圧延直前までの累積時間(秒)を、T2は当該パスでの圧延温度(℃)を、εi0は当該パスで加えられたひずみを示す。
  6. 請求項4または5に記載の熱延鋼板の製造方法において、前記鋳片を、鋼板成分により決定される下記式(4)により求められるSRT温度以上、1260℃以下に加熱した後、当該温度域で20分以上保持することを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプ用高強度熱延鋼板の製造方法。
    SRT(℃)=6670/(2.26−log〔Nb×C〕)−273
    ・・・(4)
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法で得られた熱延鋼板をスパイラルパイプに造管する際に、スパイラルパイプの円周方向が熱延鋼板の圧延方向に対して30°以上90°未満となるようにして造管することを特徴とする耐座屈性に優れるスパイラルパイプの製造方法。
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