JP2013173824A - 防水工事用改質アスファルト組成物 - Google Patents

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Katsuaki Sekihara
克章 関原
Koichi Matsuda
弘一 松田
Takashi Asaba
貴志 浅羽
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Abstract

【課題】防水工事用に好適な、施工時のべたつきが少なく、加熱溶融時に発煙、発臭の少ない防水工事用改質アスファルト組成物の提供。
【解決手段】ストレートアスファルトに、メタロセン触媒による高流動な軟質系ポリプロピレン、ワックス及びSEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)等を添加してなる組成物であり、加熱溶融時の発煙・発臭がきわめて少なく、施工時のべたつきの少ない防水工事用改質アスファルト組成物(JISK2207防水工事用アスファルト3種に適合)。
【選択図】 なし

Description

本願発明は防水工事用アスファルトに関するものであり、特に施工時のべたつきが少なく、溶融時に発煙、発臭の少ない防水工事用改質アスファルトの提供に係るものである。
従来からアスファルトは、安価で透水性がほとんどないため、立体駐車場や建物の床等の防水工事に際して防水処理の防水材や接着剤としても広く利用されている。このアスファルトについては日本工業規格(JIS K2207石油アスファルト)に示されており、種類としてはストレートアスファルト、ブローンアスファルト及び防水工事用アスファルトの3種類がある。
ストレートアスファルトは、軟化点が低く、作業時(特に夏場の施工時)のべたつき、低温脆性等の問題を抱えているため、高温のストレートアスファルトに空気を吹き込んで酸化重合させて低温、高温領域での性能を改善したブローンアスファルトの方が防水工事に使われている。
また一般に石油の減圧蒸留残査油に減圧留出油等をカットバック材として使用し、適度な針入度又は粘度に調製したものを原料油とし、無触媒あるいは触媒下において、所定の反応条件でブローイングすることにより製造されているアスファルトが、防水工事用アスファルトとしてJISK2207防水工事用アスファルトに適合しており、主として防水工事に使われている。
該防水工事用アスファルトは、JISK2207で用途によって1〜4種に分類され、一般地域の露出屋根又は気温の比較的高い地域の屋根に用いるもので、感温性が小さいものである3種防水工事用アスファルトが多く用いられている。
しかしながら前記防水工事用アスファルトは、実際のところ、施工に適した温度(250℃〜280℃位)まで加熱溶融して使用するため、アスファルト中に含まれる軽質成分の蒸発による発煙、発臭現象が生じ、温度が高くなればなるほど多く発生する。このため高温にすることに拠る施工時の安全確保、反省エネ及び施工現場近辺への臭い移行の問題等を起こしている。
また、最近の原油の高騰及び生産設備の老朽化のため、前記防水工事用アスファルトの生産量が激減しており、簡単には手に入らなくなってきている。
またストレートアスファルトに改質材を添加し、低温性能、べたつき、発煙、発臭を改善した改質アスファルトも使われているが、JISK2207防水工事用アスファルト3種の規定に全て適合した改質アスファルトは今のところ見当たらない。
次に、本願発明に関連する防水工事用アスファルト、改質アスファルトに関する公知の特許文献について以下に説明する。
(1)特開平6−9878(特許文献1)では、JISK2207で規定する防水工事用アスファルトと減圧蒸留残査油を用いて防水工事用アスファルトのJIS規格を満足する範囲でしかも低煙性で低臭性を有する防水工事用アスファルト組成物の提供について、また、(2)特開平7−179768(特許文献2)では、JISK2207で規定する防水工事用アスファルトとJISK2207で規定するストレートアスファルトからなるJISK2207防水工事用アスファルトに合格する物性を有する低煙性、低臭性防水工事用アスファルト組成物の提供について、さらに(3)特開平10−81828(特許文献3)では、JISK2207で規定する防水工事用アスファルトと減圧蒸留残査油からなる、また前記防水工事用アスファルトとストレートアスファルトからなるJISK2207防水工事用アスファルトに合格する物性を有する低煙性、低臭性防水工事用アスファルト組成物の提供について記載されている。
そしてまた、(4)特開2002−363540(特許文献4)では、飽和分15〜30質量%、アスファルテン分13〜30質量%、レジン分15〜30質量%を含有し、アスファルテン分の芳香族指数(FA)が0.30〜0.48、レジン分の芳香族指数(FA)が0.20〜0.36である防水工事用アスファルト組成物について記載されている。
また、(5)特開2005−213981(特許文献5)では、アスファルトとアスファルトに反応性を付与する材料(ポリオールと多価イソシアネートとの混合物及び/又はポリウレタンプレポリマー及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種)からなり、溶融温度80〜150℃の粘度が30〜2000cPs、反応硬化前の軟化点が60℃以上の防水工事用アスファルト組成物について記載されている。
さらにまた、(6)特開2007−270042(特許文献6)では、水添熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体:SEBS、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体:SEPS)を4〜18質量%含有し、残部がアスファルトからなり、前記水添熱可塑性エラストマーの臭素価と分子量等を限定したアスファルト組成物について記載されている。
そしてまた、(7)特開2008−38121(特許文献7)では、低温脆性改善と常温での表面の粘着(べたつき)のない組成物として、アスファルトにFTワックスとメタロセン系ポリオレフィン・プラストマーを添加した防水工事用アスファルト組成物について記載されている。
さらにまた、(8)特開2004−315826(特許文献8)では、ストレートアスファルトに高軟化点ワックスを添加して加熱時の発煙、発臭が少ない摂氏200度未満で施工可能な、軟化点が70度以上でかつだれ長さが8mm未満とJIS2207規格を満足する低温度施工可能な改質アスファルトについて記載されている。
しかしながら、上記特許文献1〜8のいずれの記載技術においても、JISK2207規定の防水工事用アスファルトに適合するものは開示されていない。
特開平6−9878号公報 特開平7−179768号公報 特開平10−81828号公報 特開2002−363540号公報 特開2005−213981号公報 特開2007−270042号公報 特開2008−38121号公報 特開2004−315826号公報
昨今、JIS規定を満たす防水工事用アスファルトの製造メーカ数社が原油の高騰、製造設備の老朽化等により該防水工事用アスファルトの生産から撤退したため、この生産量が防水工事に影響を与えるまで激減した。また以前から前記防水工事用アスファルトでは発煙、発臭の問題があった。
しかしながら、この生産量が激減した従来のJIS規定を満たす防水工事用アスファルトに代わるJIS規定を満たす新しい防水工事用アスファルトは、今のところ見あたらない。
この理由は、JISK2207防水工事用アスファルト3種を使用する場合、実際のところ前記JIS規定9項目以外に作業性、施工性、環境の問題等に絡む溶融粘度、発煙性、発臭性、施工時のべたつきも含めた総合的な特性が必要となるが、これらの特性を満たすために、ストレートアスファルトに種種な改質材を添加しても、前記改質材の配合割合の組み合わせが非常に多く、前記の全ての特性を満たす適正な割合を見出すことができない、もしくは見出すことができても価格が非常に高いものとなってしまうことにある。
JIS規定にある特定の特性、例えば、フラースぜい化点は低温改善改質材を用いると前記JIS規定を満たすことができるが、この配合割合が多くなると加熱安定性を満たすことができない場合があり、また粘度が高くなり過ぎるため、施工時溶融温度を高くする必要が生じ、発煙、発臭が起こるなどの問題が生じる。だれ防止、べたつき防止のためワックス類を用いるが、多く配分すればするほどべたつきは改善されるが、ワックス類を5%を超えて配合するとワックスはトルエンに溶けにくいため、トルエン可溶分を満たすことができなくなる。
本願発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、前記防水工事用アスファルトの代替となるJIS規定を満たし、かつ防水工事等において施工時のべたつきが少なく、加熱溶融時に発煙、発臭の少ないJIS適合防水工事用改質アスファルト組成物の提供を目的とする。
本願発明は、下記構成のJISK2207に適合する防水工事用改質アスファルト組成物であって、加熱溶融時の発煙・発臭が少なく、施工時のべたつきの少ない防水工事用改質アスファルト組成物である。
[1] ストレートアスファルトに、SEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、ワックス及び軟質ポリプロピレンを添加してなり、加熱溶融時の発煙・発臭が少なく、施工時のべたつきの少ない防水工事用改質アスファルト組成物。
[2] 軟質ポリプロピレンが、メタロセン触媒を使用して得られたものであって、
MFR(g/10min):15〜25、ビカット軟化温度(500g荷重)(℃):100〜125の特性を備えたものであることを特徴とする前記[1]に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
[3] 下記組成の前記[1]又は[2]に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
ストレートアスファルト:85〜91重量%、
SEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー):6〜10重量%、
ワックス:2.5〜4.5重量%、
軟質ポリプロピレン:0.5〜2重量%、
ただし、ワックス+軟質ポリプロピレン:5重量%以下。
[4] ワックスが、フィッシャー・トロプシュワックスと低分子量ポリオレフィンの混合品、又は低分子量ポリオレフィン単体であることを特徴とする前記[1]〜前記[3]のいずれか1項に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
[5] 改質アスファルト組成物が、JISK2207防水工事用アスファルト3種に記載のある以下の規定値、即ち、軟化点(℃):100以上、針入度(25℃):20以上40以下、だれ長さ(mm):8mm以下、トルエン可溶分:95以上、引火点(℃):280以上、蒸発質量変化率(質量%):1以下、針入度指数:5.0以上、フラースぜい化点(℃):−15以下、加熱安定性(℃):5以下、を満たすものであることを特徴とする前記[1]〜前記[4]のいずれか1項に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
本願発明の防水工事用改質アスファルト組成物では、ストレートアスファルトにSEBS、ワックス、及び軟質ポリプロピレンを添加しているため、加熱溶融時の発煙・発臭がきわめて少なく、また施工時のべたつきが少なく、JISK2207防水工事用アスファルト3種に適合する防水工事用改質アスファルト組成物が低コストで容易に製造できる。
図1は実施例、比較例の各種アスファルトのべたつきを測定する方式の説明図
本願発明の組成物は、ストレートアスファルト、SEBS、ワックス及び軟質ポリプロピレンの混合物である。以下、本願発明のJIS適合防水工事用改質アスファルト組成物の添加材料とこれらの数値限定理由について説明する。
本願発明におけるストレートアスファルトは、JISK2207記載のストレートアスファルトであり、JISK2207記載の種類の60〜80,80〜100,100〜120,120〜150,150〜200を使用することができるが、施工時のべたつきの点から60〜80,80〜100が好ましい。
本願発明で使用するワックスは、低分子量ポリオレフィン単体又は低分子量ポリオレフィン及びフイッシャー・トロプシュワックスを混合したものも使用することができる。
本願発明では、メタロセン触媒を用いて作られたMFR(g/10min):15〜25、ビカット軟化温度(500g荷重)(℃):100〜125の特性を有する軟質ポリプロピレンを使用する。低温性能改善改質材としてSEBSの使用量を増やしていくと、粘着いわゆるべたつきが強くなる傾向にあるが、前記軟質ポリプロピレンを配合することにより、べたつき、特に施工時のべたつきが低減できることを見出した。(この理由は、明らかではないが、該軟質ポリプロピレンがマトリックスとして本願発明の改質アスファルト中に存在するためと考えられる。)
本願発明で使用する前記ストレートアスファルトは85〜91重量%を用いるが、この割合は、前記ストレートアスファルトに添加する他の原料(SEBS、ワックス及び軟質ポリプロピレン)の使用重量%で決まる。
本願発明で使用するSEBSは、6〜10重量%であるが、6%重量より少ないと低温性能が悪くなり、フラース脆化点が−15℃以下を満たさなくなる。10重量%を超える場合には本願発明の防水工事用改質アスファルト組成物の溶融粘度が高くなり、施工時のアスファルト溶融温度を高くする必要が生じるため、結果的に発煙が多くなり、発臭も強くなる。また加熱安定性にも影響を与える。
前記ワックスは2.5〜4.5重量%を用いるが、2.5重量%より少ないとJISK2207に記載のだれ長さが大きくなり、JISK2207記載の規定値8mm以下を満たさなくなる。
4.5重量%より多いと、軟質ポリプロピレンも材料として0.5重量%以上添加しており、ワックスと軟質ポリプロピレン2つの総重量が5重量%を超えるので、ワックスも軟質ポリプロピレンもトルエンに溶けにくいことから、トルエン可溶分が95以上を満たさなくなる。
前記軟質ポリプロピレンは0.5〜2重量%を用いるが、0.5重量%より少ないとべたつき低減の効果が下がる。2重量%を超えると溶融粘度が高くなり、施工時の溶融温度を高くする必要が生じるため、発煙量が多くなり、発臭も強くなる。
本願発明では、ワックスと軟質ポリプロピレンの総重量を5重量%以下にする。これは、ワックスもポリプロピレンもトルエンに溶けにくく、5重量%を超えるとトルエン可溶分が95未満になり、JISに適合しなくなる。さらに前記総重量は4.5重量%以下が好ましい。
以上詳述したように本防水工事用改質アスファルト組成物は、ストレートアスファルトにSEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)を6〜10重量%、ワックス(低分子量ポリオレフィン又は低分子量ポリオレフィン及びフイッシャー・トロプシュワックスを混合したもの)を2.5〜4.5重量%、軟質ポリプロピレンを0.5〜2重量%それぞれ添加しているため、かつワックスと軟質ポリプロピレンの総重量を5重量%以下にすることにより、JISK2207防水工事用アスファルト3種の全規定に適合し、溶融時発煙、発臭の少ない防水工事用改質アスファルト組成物が得られる。
さらにメタロセン触媒を用いて作られたMFR(g/10min):15〜25、ビカット軟化温度(500g荷重)(℃):100〜125の特性を有する軟質ポリプロピレンを使用するため、施工時のべたつきを低減した防水工事用改質アスファルト組成物となる。
次に本願発明を事前試験、実施例、比較例によりさらに具体的に説明するが、本願発明はこれにより、何ら限定されるものではない。
(改質アスファルト組成物の作製方法)
本実施例においては、180〜185℃に加熱したストレートアスファルトにワックスを温度185〜195℃で添加して、「T.K.HOMOMIXER MARKII」(商
品名:特殊機化社製の混合機)を用いて、回転数1500回転/分で45分間混合し、次に温度190〜200℃でSEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)を添加して、回転数3000回転/分で45分間混合した。最後に温度195〜200℃で軟質ポリプロピレンを添加し、回転数3300回転/分で2時間混合して各改質アスファルト組成物を作製した。
本比較例においては、前述のワックスを添加して次に温度190〜200℃でSEBSを添加して回転数3000回転/分で混合するところまでは実施例と同じで、攪拌時間を2時間として改質アスファルト組成物を作製した。
(改質アスファルト組成物の原料銘柄)
また、本実施例、比較例でのストレートアスファルトは昭和シェル石油社製の80−100を主として使用した。一つの実施例(実施例8)のみ150−200を使用した。またSEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)(A)として、ダイナソル社製のカルプレンH6110を、さらにまたSEBS(B)としてポリメリヨーロッパ社製のユーロプレンTH2312を使用した。またワックス(フイッシャー・トロプシュワックス)aとしてCHUMANN SASOL社製のSASOBIT、ワックス(低分子量ポリオレフィン)bとして三井化学社製のHIWAXNP055を使用した。また、軟質ポリプロピレンとしては、メタロセン触媒により作られたMFR(g/10min):15〜25、ビカット軟化温度(500g荷重)(℃):100〜125の特性を有するポリプロピレンを使用した。
(特性測定方法)
次に上述の方法で作製した改質アスファルト組成物をJISK2207に規定されている方法で、該JISに規定された項目(軟化点、針入度、針入度指数、だれ長さ、蒸発質量変化率、引火点、トルエン可溶分、フラースぜい化点、及び加熱安定性)を測定した。
また、200℃における粘度は、東京計器社製のBH型粘度計を使用して、No.1ローターを用いて回転数は20rpm/分の条件で測定した。
また、べたつき(靴で踏んだ時のべたつき感触)は、「シェーンボード:商品名(910mm×605mm×厚み35mm)」(日新工業(株)製の硬質ウレタンフォーム保温板)
を図1に示すように、4等分したそれぞれの区画に、溶かした前述のアスファルト組成物をまいて供試体を作製した。
60℃に設定した恒温室で該供試体を2hr保持し、該供試体の表面温度が60℃になったことを確認後、恒温室の中で靴で踏んだ時のべたつき感を5人で確認し、べたつき感の少ない順に表示した。
なお、該供試体の表面温度の測定機器として、testo社製の赤外線放射温度計「830-T1」を使用した。
さらに、発臭性は、亜硫酸ガス及び硫化水素ガスの発生ガス濃度で代用し、改質アスファルト組成物を1リットル缶に入れて蓋をして加熱溶融し、温度が200℃〜240℃の範囲で10℃毎にガス検知管(株式会社ガステック社製)の先端を缶と蓋の隙間から、缶の半径
方向中心部当たりに検知管の先端がくるように4cm程度差し込み、ガスを採取して亜硫酸ガス濃度、硫化水素ガス濃度を測定した。
低温性能(耐低温脆性)は、SEBSの配合割合と密接な関係がある。
改質材の配合割合を増していくと低温性能は上がり、フラースぜい化点温度を低くすることができる。以下に前記SEBS2種類(A、B)及び他の材料の配合重量%とフラースぜい化点の関係をつかむため、事前に試験1から11を行った。その結果を表1に示す。
SEBSの重量%を減らしていくとフラースぜい化点の値は大きくなる。
Figure 2013173824
次にトルエン可溶分は、ワックス及び軟質ポリプロピレン等のトルエンに溶けない成分(不溶分)の配合割合(重量%)と密接な関係がある。ワックスa、bと軟質ポリプロピレンの配合重量%とトルエン可溶分の関係をつかむため、事前に試験(1)から(7)を行った。トルエン可溶分と組成(ワックスa、bと軟質ポリプロピレン)の関係を表2に示す。
不溶分を増やすとトルエン可溶分は下がる。
Figure 2013173824
また、本願発明者らの実験により、アスファルト施工時(表面温度55℃〜70℃)のべたつき(該アスファルトを靴で踏んだ時のべたつき感触)は、ワックス系以外の軟質ポリプロピレンを添加することで改善できることを発見した。
施工時のこのべたつきの強弱は、軟質ポリプロピレンの配合割合と密接な関係があることが分かった。下記(1)〜(6)のとおり、軟質ポリプロピレンを増やすと施工時のべたつき感が弱くなる。

SEBS(A)使用時
(1)ワックスa(0.5%)+ワックスb(3%)+軟質ポリプロピレン(1%)
:べたつきはシグマートSより弱い
(2)ワックスa(0.5%)+ワックスb(3%)+軟質ポリプロピレン(0.7%)
:べたつきはシグマートSと同等
(3)ワックスa(1.1%)+ワックスb(3%)+軟質ポリプロピレン(0%)
: べたつきはシグマートSより強い
(4)ワックスa(1.1%)+ワックスb(3%)+ポ軟質リプロピレン(2%)
: べたつきはシグマートSよりかなり弱い
SEBS(B)使用時
(5)ワックスa(2%)+ワックスb(3%)+軟質ポリプロピレン(1%)
: べたつきはシグマートSより弱い
(6)ワックスa(2%)+ワックスb(2%)+軟質ポリプロピレン(0.5%)
: べたつきはシグマートSと同等か少し強い
(注:「シグマートS」(日新工業(株)製の防水工事用アスファルト):JISK2207 3種に適合するアスファルト、適正施工温度は250〜280℃)
以上の事前試験結果を踏まえて改質アスファルト組成物を各種作製し、特性を測定した。まずこれらの配合割合を下記表3に示す。
Figure 2013173824
以上の改質アスファルト組成物でJIS K2207防水工事用アスファルト3種の規定項目に適合するか測定を行ったので、その結果を下記表4にまとめて示す。
Figure 2013173824
アスファルトの施工時のべたつき(靴で踏んだ時のべたつき感触)については、以下の結果であった。日新工業(株)の製品である「シグマートS」と「シグマートE」との比較を行った。(注:「シグマートE」(日新工業(株)製の防水工事用アスファルト):JISK2207 3種に適合しないアスファルト、適正施工温度は170〜190℃)

(1)シグマートEと同等以上の弱いべたつき感を目標としている。
(2)実施例、比較例とも軟質ポリプロピレンを添加した改質アスファルト組成物は、シグマートEよりもべたつきが弱い。軟質ポリプロピレンを0.5重量%より多く添加した添加した実施例1,同3,同4,同5、同7,比較例5はシグマートSよりもさらにべたつきが弱い。
すなわち、下記の関係であった。

{ほとんど無い(弱い)} → → {僅かにあり}→ {あり(強い)}
実施例(1,4,5)、比較例5>実施例7≧実施例3>シグマートS *1 ≒実施例2≧比較例4,実施例6>実施例8≧シグマートE *2 >比較例2,比較例3≧比較例1

シグマートS*1:アスファルト施工時、靴で踏んだ時のべたつき感が非常に弱いブローンアスファルト系のJISK2207防水工事用アスファルト3種に適合するアスファルト。
シグマートE*2:JISK2207防水工事用アスファルト3種に適合していないアスファルト。靴で踏んだ時のべたつき感はシグマートSより僅かに劣る。
アスファルトの加熱溶融時の発臭性については、亜硫酸ガス(SO2)、硫化水素(H2S)発生ガス濃度で評価した。
表5に示すように亜硫酸ガス発生濃度は、実施例も比較例もシグマートSとほぼ同じレベルであるが、硫化水素ガス発生濃度は、実施例も比較例も同レベルでシグマートSよりもかなり低いレベルである。
Figure 2013173824
次に200℃における粘度の測定結果を以下に示す。
実施例1:220、実施例3:180、シグマートS:280(粘度単位:mPa・s)
シグマートSなどのブローンアスファルト系のJISK2207適合防水工事用アスファルト3種品は、実際のところ、施工に適した温度(250℃から280℃位)まで加熱溶融して使用するため、発煙・発臭の問題があるが、実施例のように、本願発明品はシグマートSより低粘度であるので、施工に適したアスファルト溶融温度を200℃から230℃と低くできるため、250℃から280℃の高温にすることに拠る施工時の安全確保、反省エネ及び施工現場近辺への臭いの問題の解決につなげることができる。
上記表4に示すように、比較例1及び比較例2では、JIS規定は全て満たすが、べたつきが強い。また比較例3,同4では、フラースぜい化点が規定を満たさない。
比較例5では、べたつきはほとんど無いが、トルエン可溶分が規定を満たさない。これに対して、本願発明の範囲内の実施例1〜8の改質アスファルト組成物は、JIS K2207防水工事用アスファルト3種の規定項目全てに適合している。
また加熱溶融時の発臭性、発煙性についてもブローンアスファルト系のJIS K2207防水工事用アスファルト3種品よりも少なく、アスファルト施工時のべたつきもシグマートE以上に弱い。またアスファルト施工時の溶融温度も低くすることができ、省エネ及び施工現場近辺への発煙・発臭も低減できる。

Claims (5)

  1. ストレートアスファルトに、SEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、ワックス及び軟質ポリプロピレンを添加してなり、加熱溶融時の発煙・発臭が少なく、施工時のべたつきの少ない防水工事用改質アスファルト組成物。
  2. 軟質ポリプロピレンが、メタロセン触媒を使用して得られたものであって、
    MFR(g/10min):15〜25、ビカット軟化温度(500g荷重)(℃):100〜125の特性を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
  3. 下記組成の請求項1又は2に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
    ストレートアスファルト:85〜91重量%、
    SEBS(水添スチレン系熱可塑性エラストマー):6〜10重量%、
    ワックス:2.5〜4.5重量%、
    軟質ポリプロピレン:0.5〜2重量%
    ただし、ワックス+軟質ポリプロピレン:5重量%以下。
  4. ワックスが、フィッシャー・トロプシュワックスと低分子量ポリオレフィンの混合品、又は低分子量ポリオレフィン単体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
  5. 改質アスファルト組成物が、JISK2207防水工事用アスファルト3種に記載のある以下の規定値、即ち、軟化点(℃):100以上、針入度(25℃):20以上40以下、だれ長さ(mm):8mm以下、トルエン可溶分:95以上、引火点(℃):280以上、蒸発質量変化率(質量%):1以下、針入度指数:5.0以上、フラースぜい化点(℃):−15以下、加熱安定性(℃):5以下、を満たすものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水工事用改質アスファルト組成物。
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