JP2013173180A - 熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤 - Google Patents

熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤 Download PDF

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匡史 和田
Satoshi Kitaoka
諭 北岡
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Abstract

【課題】熱反射性及び断熱性に優れており、且つ十分な耐食性を備える熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤を提供する。
【解決手段】本発明の熱反射材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、溶湯の熱を反射させる部分に用いられるものであって、RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子(例えば、チタン酸イットリウム粒子等)、及びMgAl粒子を主成分とする粒子分散型焼結体からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、溶湯の熱を反射させる部分に用いられる熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤に関する。更に詳しくは、本発明は、熱反射性及び断熱性に優れており、且つ十分な耐食性を備える熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤に関する。
従来、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いるダイキャスト工場において、アルミニウム又はアルミニウム合金の原料として、外部から原料供給を受ける際には、インゴットの形態とされてきた。
しかしながら、省エネルギー、二酸化炭素排出削減等の対策のために、インゴットに代えて、溶融物(以下、「溶湯」という)の形態で供給されることが求められてきている。例えば、溶湯を専用の容器に収容した後、この容器をトラック等に積載して搬送し、ダイキャスト工場に供給されている。
このような使用形態の容器としては、例えば、内表面に耐火レンガを用いてなる運搬容器が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を、収容、供給又は搬送するために用いられる従来の容器等においては、断熱性が十分とは言えず、更なる向上が求められているのが現状である。更には、熱や溶湯成分により変質せず、化学的に安定しており、耐食性に優れることも求められている。
一方、アルミニウム合金等の溶湯の取扱いに用いられ、化学的に安定しており、耐食性を備える接触部材としては、例えば、実質的にSiを含有しないAl被膜及び/又はMgAl被膜を備える部材(特許文献2)や、チタン酸希土類を含む接触部材(特許文献3)等が開示されている。
しかしながら、これらの部材を運搬容器に用いた場合においても、断熱性が十分とは言えない。
特開2001−340957号公報 特開2003−321286号公報 特開2011−207730号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、熱反射性及び断熱性に優れており、且つ十分な耐食性を備える熱反射材及びそれを備える溶湯用部品、並びにコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
[1]アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、前記溶湯の熱を反射させる部分に用いられる熱反射材であって、
RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子、及びMgAl粒子を主成分とする粒子分散型焼結体からなることを特徴とする熱反射材。
[2]前記粒子分散型焼結体は多孔質である前記[1]に記載の熱反射材。
[3]前記[1]又は[2]に記載の熱反射材を備えていることを特徴とする溶湯用部品。
[4]アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、前記溶湯の熱を反射させる部分を形成するために用いられるコーティング剤であって、
RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子と、MgAl粒子と、分散媒と、を含有することを特徴とするコーティング剤。
本発明の熱反射材は、特定のチタン酸希土類粒子及びMgAl粒子を主成分とする粒子分散型焼結体からなり、各々の粒子の屈折率の違いから粒子同士の異相界面で効果的に反射・散乱が起こることにより、高い熱反射性と優れた断熱性を有しており、且つ化学的に安定しており、十分な耐食性を備える。
また、熱反射材を構成する粒子分散型焼結体が多孔質である場合も、粒子と空隙の屈折率差から高い熱反射性を発現させることができる。更には、熱反射材をより軽量化することができる。
本発明の溶湯用部品は、特定の組み合わせからなる熱反射材を備えているため、熱反射性及び断熱性に優れており、且つ十分な耐食性を備える。
本発明のコーティング剤によれば、取扱い部材のうち溶湯の熱を反射させる部分を効率良く形成することができる。このコーティング剤は、特定のチタン酸希土類粒子と、MgAl粒子と、分散媒とを含有するため、熱反射性及び断熱性に優れており、且つ十分な耐食性を備えるコーティング膜(熱反射部)を得ることができる。
SEM観察による実施例1の粒子分散型焼結体を説明する説明図である。 実施例1の粒子分散型焼結体におけるYTiクラスターの粒子分布を示すグラフである。 SEM観察による実施例2の粒子分散型焼結体を説明する説明図である。 実施例2の粒子分散型焼結体におけるYTiクラスターの粒子分布を示すグラフである。 実施例及び比較例の各分光反射率を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]熱反射材
本発明の熱反射材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、溶湯の熱を反射させる部分に用いられるものである。そして、この熱反射材は、RETi(但し、REは希土類元素を示す)で表されるチタン酸希土類粒子、及びMgAl粒子を主成分とする粒子分散型焼結体からなることを特徴とする。
本発明の熱反射材が用いられる取扱い部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための部材である。例えば、溶湯を搬送するための部材、溶湯を供給するための部材、溶湯を収容するための部材等が挙げられる。具体的には、例えば、溶湯を搬送する際に用いる搬送用容器、鋳造の際に溶湯を収容する溶解炉や、溶湯を供給する鋳造用治工具(例えば、ラドル、ストーク、樋、管路等)等が挙げられる。なかでも、上記取扱い部材は搬送用容器とすることができる。この取扱い部材が搬送用容器である場合、溶湯の熱を反射させる部分としては、容器蓋部の内表面等を挙げることができる。
上記アルミニウム合金の種類は特に限定されず、一般的に、アルミニウム合金の鋳造プロセスにおいて用いられているものを挙げることができる。例えば、主成分であるアルミニウム(Al)と、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びスズ(Sn)等から選ばれる少なくも1種の金属との合金が挙げられる。
具体的には、一般用アルミニウム合金ダイカスト、特殊用アルミニウム合金ダイカスト等が挙げられる。一般用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Zが挙げられる。特殊用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC1、ADC3、ADC5、ADC6、ADC14が挙げられる。
本発明の熱反射材を構成する上記粒子分散型焼結体は、RETi(但し、REは希土類元素を示す)で表されるチタン酸希土類粒子、及びMgAl粒子を主成分とするものである。
この粒子分散型焼結体の形状は特に限定されず、上記取扱い部材における溶湯の熱を反射させる部分に応じて適宜の形状とすることができる。
また、粒子分散型焼結体は、緻密質であってもよいし、多孔質であってもよい。この焼結体が緻密質である場合には、強度をより向上させることができる。また、焼結体が多孔質である場合には、熱反射材をより軽量化することができる。
上記粒子分散型焼結体は、チタン酸希土類粒子及びMgAl粒子を主成分とするものである。チタン酸希土類粒子及びMgAl粒子以外の他の成分が含まれる場合、他の成分としては、例えば、Al、MgO等が挙げられる。
上記チタン酸希土類粒子は、RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるものである。
上記希土類元素(RE)は特に限定されないが、MgAlとの屈折率差が十分にあるものが好ましい。具体的には、例えば、Y、Yb、Er、Dy、Ho、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくはY、Er、Ho及びTmのうちの少なくとも1種であり、更に好ましくはYである。希土類元素がこれらの元素である場合には、粒子分散型焼結体において、屈折率差が十分にあるクラスター同士が確実に接することになり、異相界面において十分な反射・散乱が起こり、優れた熱反射性及び断熱性を得ることができる。
尚、本発明の熱反射材は、チタン酸希土類粒子を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記粒子分散型焼結体において、チタン酸希土類粒子及びMgAl粒子の含有割合の合計は、粒子分散型焼結体全体を100質量%とした場合に、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
また、粒子分散型焼結体におけるチタン酸希土類粒子とMgAl粒子との含有比[チタン酸希土類粒子:MgAl(体積比)]は、1:9〜9:1であることが好ましく、より好ましくは3:7〜7:3、更に好ましくは4:6〜6:4である。
この粒子分散型焼結体における上記チタン酸希土類粒子の平均クラスターサイズ(二次粒子の平均サイズ、D50)は、0.05〜150μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜80μm、更に好ましくは0.1〜50μmである。このサイズが上記範囲である場合には、焼結体を構成する粒子同士の異相界面で効果的に反射・散乱が起こり、十分な熱反射性及び断熱性を得ることができる。
尚、上記平均クラスターサイズは、焼結体における個々のクラスターサイズをD=1.5L(D;クラスターサイズ、L;2次元像から求められる粒径)という関係式から算出し、得られた個々のデータを基にした粒径分布から得られる値である。但し、上記2次元像から求められる粒径(L)とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した画像上のクラスターの面積を個別に計測し、計測された粒子の面積と等しい面積をもつ円の直径を意味する。また、クラスターの面積の計測は、「Scion Image」(Scion Corporation製)等の画像処理ソフトを用いて行うことができる。
本発明においては、この二次粒子の平均サイズを制御することにより、所定温度における熱反射の度合いを制御することができる。
本発明の熱反射材を製造する方法は特に限定されない。具体的には、例えば、チタン酸希土類及びMgAlの各粉末を混合粉砕した後、所望形状の成形体を作製し、得られた成形体を焼成することにより粒子分散型焼結体を製造することができる。そして、得られた粒子分散型焼結体を、切削加工等により所望形状に加工することにより熱反射材を製造することができる。
上記チタン酸希土類及びMgAlの各粉末を製造する方法は特に限定されず、例えば、錯体重合法、共沈法、ゾルゲル法及び固相法等の公知の複合酸化物の合成法を用いて製造することができる。尚、これらの粉末は、市販品であってもよい。
また、成形体の成形方法は特に限定されず、例えば、ホットプレス、熱間静水圧成形(HIP)、冷間静水圧成形(CIP)等の公知の方法を用いることができる。焼成時の条件は特に限定されず、例えば、焼成温度は約800〜1400℃、焼成雰囲気は、大気雰囲気や、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等とすることができる。
尚、焼結体の製造には、公知の焼結助剤等の添加剤を用いてもよい。
[2]溶湯用部品
本発明の溶湯用部品は、上述の熱反射材を備えていることを特徴とする。
この溶湯用部品の形態は上記熱反射材を備えている限り特に限定されない。例えば、溶湯を搬送するための部材、溶湯を供給するための部材、及び溶湯を収容するための部材に用いられる部品等を挙げることができる。具体的には、例えば、溶湯を搬送する際に用いる搬送用容器のための部品(例えば、容器本体、又は蓋部)、鋳造の際に溶湯を収容する溶解炉のための部品や、溶湯を供給する鋳造用治工具(例えば、ラドル、ストーク、樋、管路等)のための部品等が挙げられる。
[3]コーティング剤
本発明のコーティング剤は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、溶湯の熱を反射させる部分(熱反射部)を形成するために用いられるものである。そして、このコーティング剤は、RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子と、MgAl粒子と、分散媒と、を含有することを特徴とする。
尚、上記取扱い部材については、上述の[1]熱反射材における説明をそのまま適用することができる。
本発明のコーティング剤におけるチタン酸希土類粒子は、RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるものである。
上記希土類元素(RE)は特に限定されないが、Y、Yb、Er、Dy、Ho、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくはY、Er、Ho及びTmのうちの少なくとも1種であり、更に好ましくはYである。
尚、本発明のコーティング剤は、チタン酸希土類粒子を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記チタン酸希土類粒子の平均粒径は、0.05〜150μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜80μm、更に好ましくは0.1〜50μmである。
また、上記MgAl粒子の平均粒径は、0.05〜150μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜80μm、更に好ましくは0.1〜50μmである。
尚、これらの平均粒径は、レーザー回折散乱法(D50)等により測定した値を示す。
また、上記チタン酸希土類及びMgAlの各粒子を製造する方法は特に限定されず、例えば、錯体重合法、共沈法、ゾルゲル法及び固相法等の公知の複合酸化物の合成法を用いて製造することができる。尚、これらの粒子は、市販品であってもよい。
上記分散媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。上記エステルとしては、例えば、酢酸ブチル等が挙げられる。上記エーテルとしては、例えば、ブチルカルビトール、ブチルセルソルブ等が挙げられる。上記芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
本発明のコーティング剤においては、上記チタン酸希土類粒子、MgAl粒子、及び分散媒の合計を100質量%とした場合、チタン酸希土類粒子及びMgAl粒子の含有割合の合計が、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜90質量%、更に好ましくは10〜60質量%である。
本発明のコーティング剤には、上記チタン酸希土類粒子、MgAl粒子、及び分散媒以外にも種々の添加剤を含有させることができる。
上記添加剤としては、分散剤、増粘剤、バインダー、可塑剤等が挙げられる。尚、他の成分は1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
本発明のコーティング剤によれば、適宜選択される基材表面に、熱反射部を形成することができる。具体的には、例えば、本発明のコーティング剤を基材表面に塗布した後、塗膜を熱処理することにより、熱反射部を形成することができる。
上記塗布方法は特に限定されないが、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ドレインコート法等を用いることができる。
また、上記熱処理条件は特に限定されない。例えば、熱処理温度は約800〜1400℃とすることができる。また、熱処理雰囲気は、大気雰囲気や、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等とすることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。
[1]熱反射材(粒子分散型焼結体)の製造
<実施例1>
(1−1)チタン酸イットリウム粉末の製造
チタニウムテトラ−iso−プロポキシド[Ti(O−iPr)]と、エチレングリコールと、無水クエン酸とを混合した。更に、無色透明になるまでビーカー内で混合して(50℃×1時間)、硝酸イットリウム・6水和物[Y(NO・6HO]をビーカー内に追加し、無色透明になるまで混合した(50℃×1時間)。尚、各成分の配合割合はモル比[チタニウムテトラ−iso−プロポキシド:硝酸イットリウム・6水和物:エチレングリコール:無水クエン酸]で、0.2:0.2:4:1である。その後、130℃×5時間の条件にて、エステル化反応させた後、マントルヒーターを用いて、350℃×5時間の条件にて熱分解した。
次いで、得られた熱分解物をアルミナ鞘に移し、大気中(0.3L/分の酸素気流中)において、5℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。その後、粉砕し、目開き48μmの篩いを通すことにより、チタン酸イットリウム(YTi)粉末を得た。尚、この粉末の平均粒径は4.3μmであった。
(1−2)粒子分散型焼結体の製造
上記(1−1)で得られたYTi粉末、及び、MgAl粉末(大明化学工業社製、「TSP−20」、平均粒径;0.23μm)にエタノールを加えてボールミル(玉石;プラスチックボール)にて24時間湿式混合してスラリーを得た[YTi粉末:MgAl粉末=1:1(体積比)]。次いで、得られたスラリーを減圧乾燥した後、得られた混合粉末を目開き100μmの篩いに通した。
その後、得られた混合粉末を、カーボン型[寸法;φ25(mm)]を用いたホットプレス法(圧力:50MPa)により、Ar雰囲気下(1atm)(2L/分のAr気流中)において、10℃/分で1350℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。焼成後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによってアニールした。アニール後、25℃まで降温させることによって、実施例1の粒子分散型焼結体を得た。尚、X線回折の結果、この粒子分散型焼結体は、YTi相とMgAl相のみからなり、熱処理によって反応等が生じていないことが確認できた。また、この粒子分散型焼結体の相対密度は88.8%であった。
(1−3)粒子分散型焼結体の構造
得られた実施例1の粒子分散型焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、その結果を図1に示した。
図1によれば、実施例1の粒子分散型焼結体は、YTi粒子及びMgAl粒子を含む等粒状組織を呈していた(図中の淡色部分;YTi、図中の濃色部分;MgAl)。
また、得られたSEM画像を用いて、YTiクラスターサイズの分布を算出した結果、YTiクラスターサイズ(D50)は、1.6μmであった。尚、YTiクラスターサイズ分布の結果を図2に示した。
<実施例2>
(1−1)粒子分散型焼結体の製造
上述の実施例1の(1−1)において得られたYTi粉末、及び、MgAl粉末(大明化学工業社製、「TSP−20」、平均粒径;0.23μm)にエタノールを加えてボールミル(玉石;アルミナボール)にて96時間湿式混合してスラリーを得た[YTi粉末:MgAl粉末=1:1(体積比)]。その後、得られたスラリーを減圧乾燥した後、得られた混合粉末を目開き100μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて20MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1350℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例2の粒子分散型焼結体を得た。尚、X線回折の結果、この粒子分散型焼結体は、YTi相とMgAl相のみからなり、熱処理によって反応等が起こっていないことが確認できた。また、この粒子分散型焼結体の相対密度は97.2%であった。
(1−2)粒子分散型焼結体の構造
得られた実施例2の粒子分散型焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、その結果を図3に示した。
図3によれば、実施例2の粒子分散型焼結体は、MgAlが海部(図中の濃色部分)、YTiが島部(図中の淡色部分)となる海島状の組織構造を呈していた。
また、得られたSEM画像を用いて、YTiクラスターサイズの分布を算出した結果、YTiクラスターサイズ(D50)は、32.5μmであった。尚、YTiクラスターサイズ分布の結果を図4に示した。
<比較例1>
上述の実施例1の(1−1)において得られたYTi粉末を、カーボン型[寸法;φ25(mm)]を用いたホットプレス法(圧力:50MPa)により、Ar雰囲気下(1atm)(2L/分のAr気流中)において、10℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。焼成後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによってアニールした。アニール後、25℃まで降温させることによって、チタン酸イットリウム(YTi)焼結体を得た。尚、相対密度は97.8%であった。
<比較例2>
MgAl粉末(信越化学工業社製、平均粒径;1.73μm)を、カーボン型[寸法;φ25(mm)]を用いたホットプレス法(圧力:50MPa)により、Ar雰囲気下(1atm)(2L/分のAr気流中)において、10℃/分で1450℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。焼成後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1350℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによってアニールした。アニール後、25℃まで降温させることによって、MgAl焼結体を得た。尚、相対密度は99.7%であった。
[2]反射率
実施例1〜2及び比較1〜2の各焼結体から試験片[寸法;φ25×1(mm)]を作製し、下記の方法により分光反射率を測定した。その結果を図5に示す。尚、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯の取扱い温度は、通常650〜750℃であるため、700℃における黒体放射分布を図5の上部に併記した。
<分光反射率の測定方法>
反射スペクトルの測定は、積分球(Labsphare社製RSA−PE−200−ID)をフーリエ変換赤外分光光度計(PerkinElmer社製System 2000)のビームポートに取り付けて行った。積分球の内部は金メッキされており、赤外線はほぼ100%反射される。積分球中心部には回転ミラーが設置されており、入射赤外線が試料を直接照射する場合と直接照射しない場合とを、それぞれ回転ミラーによって光路切り替えができるようになっている。回転ミラーの位置を、入射赤外線が試料に直接照射しない光路になるよう配置し、基準の反射スペクトルを測定した後、回転ミラーの位置を、入射赤外線が試料に直接照射する光路になるよう配置し、試料の反射スペクトルを測定した。その後、試料の反射スペクトルを基準の反射スペクトルで除算することにより、室温における試料の分光反射率を算出した。尚、試料が相変態或いは変性しないセラミックスのような材料においては、反射スペクトルの形状は1000℃程度の高温まで変化しないので、室温における測定データから高温での熱反射性を議論することができる。
[3]実施例の効果
図5によれば、700℃の黒体放射分布におけるピーク付近の波長(約3μm)において、比較例1及び比較例2の焼結体の反射率は、それぞれ、約15%及び約40%であった。
これに対して、実施例1及び実施例2の焼結体の反射率は、それぞれ、約80%及び約75%であり、非常に優れた値であった。
実施例1及び実施例2の各焼結体は、YTi及びMgAlを含むものであり、組成的に十分な耐食性を備え且つ化学的に安定しており、上述のように反射率が高く熱反射性及び断熱性に優れている。そのため、これらの焼結体は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯(通常、650〜750℃)を取り扱うための取扱い部材のうち、溶湯の熱を反射させる部分に好適に用いることができると考えられる。
また、図5によれば、実施例1及び実施例2において反射率の波長依存性に違いがあることが確認できた。熱反射にはYTiとMgAlの異相界面における各々の粒子の屈折率の違いから生じる反射・散乱が寄与していることから、上記の違いはYTiクラスターサイズに起因するものと考えられる。
従って、YTiクラスターサイズ、即ち、MgAlの粒子間の距離を制御することにより、取り扱う溶湯の温度に適した熱反射材を作成することもできると考えられる。
本発明の複合体(熱反射材)は、熱反射性及び断熱性に優れており、十分な耐食性を備えており、化学的にも安定しているため、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を搬送するための部材、溶湯を供給するための部材、溶湯を収容するための部材等の取扱い部材に好適である。

Claims (4)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、前記溶湯の熱を反射させる部分に用いられる熱反射材であって、
    RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子、及びMgAl粒子を主成分とする粒子分散型焼結体からなることを特徴とする熱反射材。
  2. 前記粒子分散型焼結体は多孔質である請求項1に記載の熱反射材。
  3. 請求項1又は2に記載の熱反射材を備えていることを特徴とする溶湯用部品。
  4. アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を取り扱うための取扱い部材のうち、前記溶湯の熱を反射させる部分を形成するために用いられるコーティング剤であって、
    RETi(但し、REは希土類元素を示す。)で表されるチタン酸希土類粒子と、MgAl粒子と、分散媒と、を含有することを特徴とするコーティング剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015067469A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 三井金属鉱業株式会社 希土類チタン酸塩粉末及びその製造方法並びにそれを含む分散液
JP2015067470A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 三井金属鉱業株式会社 分散液及びその製造方法並びに薄膜
JP2015196171A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 エヌジーケイ・アドレック株式会社 容器。
JP2016043579A (ja) * 2014-08-22 2016-04-04 一般財団法人ファインセラミックスセンター 積層材料及びその製造方法

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