JP2013171759A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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憲輝 前田
Masashi Okikawa
昌史 沖川
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勝利 真銅
Shunsuke Kawai
俊輔 川合
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Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの駆動電圧変動を抑制する。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルは、保護層9を有する前面板2と、隔壁14を有する背面板10と、隔壁14の少なくとも一部と保護層9の一部とを接着する接着部30と、を備える。接着部30は、B23を含む。保護層9の表面はボロンを含む。プラズマディスプレイパネルの製造方法は、隔壁14上に、接着部30を設けること、前面板2と背面板10を対向させて配置すること、前面板2と背面板10を熱処理することによって、隔壁14の一部と保護層9とを接着すること、を有する。接着部30は、ガラス成分を有する。熱処理における温度は、ガラス成分の軟化点より高く、熱処理において、前面板2と背面板10とが加圧される。
【選択図】図1

Description

ここに開示された技術は、表示装置などに用いられるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関する。
表示装置の一つであるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)の保護層の一つの機能は、放電を発生させるための電子を放出することである。
保護層に二次電子放出能力が高い材料を用いることにより、駆動電圧を下げることが可能である。このため、保護層に酸化マグネシウム(MgO)と、より二次電子放出能力が高い酸化カルシウム(CaO)などを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−080388号公報
MgOなどは、空気中の水分や炭酸ガスと容易に反応して、水酸化物や炭酸化物を形成する。保護層に、水酸化物や炭酸化物が形成されると、電子放出能力が不安定になる。つまり、PDPの駆動電圧に変動が生じるといった課題がある。
ここに開示された技術は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、保護層の変質を抑制することにより、駆動電圧の変動を抑制することが可能なPDPを提供することを目的とする。
ここに開示されたPDPは、保護層を有する前面板と、隔壁を有する背面板と、隔壁の少なくとも一部と保護層の一部とを接着する接着部と、を備える。接着部は、B23を含む。保護層の表面はボロンを含む。
ここに開示された製造方法は、保護層を有する前面板と、隔壁を有する背面板と、隔壁の少なくとも一部と保護層の一部とを接着する接着部と、を備え、接着部は、B23を含み、保護層の表面はボロンを含むPDPの製造方法である。製造方法は、隔壁上に、接着部を設けること、前面板と背面板を対向させて配置すること、前面板と背面板を熱処理することによって、隔壁の一部と保護層とを接着すること、を有する。接着部は、ガラス成分を有する。熱処理における温度は、ガラス成分の軟化点より高く、熱処理において、前面板と背面板とを加圧する。
PDPの駆動電圧の変動を抑制できる。
実施の形態にかかるPDPの概略を示す分解斜視図である。 実施の形態にかかるPDPを前面板側から見た正面図である。 図2における3−3線断面の一部を示す図である。 実施の形態にかかる保護層表面のX線回折分析結果の一例を示す図である。 実施の形態にかかる保護層表面のX線回折分析結果の他の例を示す図である。 実施の形態にかかるPDPの製造フロー図である。 実施の形態にかかる背面板の製造フロー図である。 実施の形態にかかる背面板の製造過程を示す概略図である。 実施の形態にかかる温度プロファイル例を示す図である。 保護層表面のボロン測定領域を示す図である。 高温放置試験における維持電圧変動を示す図である。 ボロン濃度と統計遅れ時間との関係を示す図である。 ボロン濃度と維持電圧差分値との関係を示す図である。
[1.PDP1の構造]
本実施の形態にかかるPDP1は、交流面放電型PDPである。図1から図3に示されるように、前面板2と背面板10とが、対向して配置されている。前面板2と背面板10の周縁は、封着部材22によって封着されている。前面板2に設けられた保護層9と、背面板10に設けられた隔壁14とは、接着部30によって、接着されている。
[1−1.前面板2]
図1および図3に示されるように、前面板2は、前面ガラス基板3を含む。複数の表示電極6が、前面ガラス基板3の表面に配置されている。それぞれの表示電極6は、前面ガラス基板3の長辺と平行に配置されている。それぞれの表示電極6は、一つの走査電極4と一つの維持電極5とを有する。走査電極4と維持電極5との間が放電ギャップである。走査電極4は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極4aと、透明電極4a上に積層されたバス電極4bとを含む。維持電極5は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極5aと、透明電極5a上に積層されたバス電極5bとを含む。前面板2は、表示電極6を被覆する誘電体層8を含む。前面板2は、誘電体層8を被覆する保護層9を含む。
[1−1−1.保護層9]
保護層9は、放電を発生させるための電荷を保持する機能、および、維持放電の際に二次電子を放出する機能が求められる。電荷保持性能が向上することにより、印加電圧が低減される。二次電子放出数が増加することにより、維持放電を発生させる駆動電圧が低減される。
本実施の形態にかかる保護層9は、一例として、MgO膜である。MgO膜は、Alを不純物として含有してもよい。MgO膜の厚さは、500nm〜1200nm程度である。
また、保護層9は、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含んでもよい。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrO(酸化ストロンチウム)およびBaO(酸化バリウム)からなる群の中から選ばれる2種である。さらに、保護層9は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークとの間にある。第1のピークと第2のピークは、保護層9のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。
図4に示されるように、横軸はブラッグの回折角(2θ)である。縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示される。回折光の強度は任意単位(arbitrary unit)で示されている。結晶面方位は括弧付けで示されている。
CaO単体における(111)面方位は、回折角32.2度のピークで示される。MgO単体における(111)面方位は、回折角36.9度のピークで示される。SrO単体における(111)面方位は、回折角30.0度のピークで示される。BaO単体における(111)面方位は、回折角27.9度のピークで示される。
本実施の形態にかかる保護層9は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種以上の金属酸化物を含んでいる。
A点は、MgOとCaOの2つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。B点は、MgOとSrOの二つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。C点は、MgOとBaOの二つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。
A点の回折角は36.1度である。A点は、第1の金属酸化物であるMgO体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるCaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
B点の回折角は35.7度である。B点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるSrO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
C点の回折各は35.4度である。C点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるBaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
図5に示されるように、D点は、MgO、CaOおよびSrOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。E点は、MgO、CaOおよびBaOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。F点は、BaO、CaOおよびSrOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。
D点の回折角は33.4度である。D点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるCaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
E点の回折角は32.8度である。E点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるSrO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
F点の回折各は30.2度である。F点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるBaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
なお、本実施の形態では、面方位(111)について例示された。しかし、他の面方位についても同様である。
CaO、SrOおよびBaOの真空準位からの深さは、MgOと比較して浅い領域に存在する。そのため、PDP1を駆動する場合において、CaO、SrO、BaOのエネルギー準位に存在する電子がXeイオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、MgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
また、上述のように、X線回折分析における保護層9のピークは、第1の金属酸化物のピークと第2の金属酸化物のピークとの間にある。すなわち、保護層9のエネルギー準位は、単体の金属酸化物の間に存在し、オージェ効果により放出される電子数がMgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
その結果、図4および図5に示された保護層9では、MgO膜のみからなる保護層9と比較して、より高い二次電子放出性能を有する。したがって、駆動電圧の低減ができる。特に、輝度を高めるために放電ガス中のXe分圧を高めた場合に、より駆動電圧の低減ができる。
また、保護層9は、金属酸化物で構成された膜の他に、MgO、SrO、CaO、BaO、Al23などの金属酸化物微粒子の集合体で構成されてもよい。さらに、保護層9は、金属酸化物で構成された膜と、金属酸化物微粒子の集合体の両方を含んでもよい。
[1−2.背面板10]
図1および図3に示されるように、背面板10は、背面ガラス基板11を含む。複数のアドレス電極12が背面ガラス基板11の表面に配置されている。それぞれのアドレス電極12は、背面ガラス基板11の短辺と平行に配置されている。言い換えると、それぞれのアドレス電極12は、表示電極6と直交する方向に配置されている。
[1−2−1.下地誘電体層13]
背面板10は、複数のアドレス電極12を被覆する下地誘電体層13を含む。下地誘電体層13は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、25重量%以上35重量%以下である。
ガラス成分は、三酸化二ビスマス(Bi23)を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)の群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、三酸化モリブデン(MoO3)、三酸化タングステン(WO3)、二酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化銅(CuO)、三酸化二クロム(Cr23)、三酸化二コバルト(Co23)、二酸化五バナジウム(V25)および三酸化二アンチモン(Sb23)の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)、三酸化二硼素(B23)などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
フィラーは、三酸化二アルミニウム(Al23)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
下地誘電体層13は、空隙を有する。下地誘電体層13における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。
[1−2−2.隔壁14]
下地誘電体層13上には放電空間を区切る隔壁14が設けられている。隔壁14は、アドレス電極12と平行に配置された縦隔壁24と、表示電極6と平行に配置された横隔壁26とを含む。縦隔壁24は、アドレス電極12とアドレス電極12との間に配置されている。
隔壁14は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、81重量%以上85重量%以下である。ガラス成分は、Bi23を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、CaO、SrOおよびBaOの群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、MoO3、WO3、CeO2、MnO2、CuO、Cr23、Co23、V25およびSb23の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
また、上記以外の成分として、ZnO、B23などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
フィラーは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
[1−2−4.接着部30]
接着部30は、縦隔壁24と、横隔壁26の交差部に設けられる。接着部30の厚みは、5μm以上、40μm以下が好ましい。5μm未満では、接着強度が不足する。40μmを超えると、後述される接着時において、後述される蛍光体層15などに付着する場合がある。蛍光体層15に接着部30が付着すると、不灯などの不具合が発生することが懸念される。
接着部30は、ガラス成分を含む。ガラス成分は、一例として、Bi23−B23−ZnO−SiO2−RO系ガラスである。なお、Rは、Ba、Sr、Ca、Mgのいずれかである。
ガラス成分は、Bi23を10モル%以上40モル%以下含み、かつ、B23を10モル%以上40モル%以下含むと好ましい。Bi23が10モル%未満だと、接着力が低下する。一方、Bi23が40モル%を超えると、封着の際、ガラス部材の結晶化が始まる。つまり、接着力が低下する。また、ガラス部材は、Bi23を20モル%以上40モル%以下含み、かつ、B23を10モル%以上40モル%以下含むとより好ましい。
[1−2−4.蛍光体層15]
背面板10は、蛍光体層15を含む。蛍光体層15は、下地誘電体層13の表面および隔壁14の側面に配置されている。蛍光体層15は、赤色光を発する赤色蛍光体層151、青色光を発する青色蛍光体層152および緑色光を発する緑色蛍光体層153を含む。赤色蛍光体層151、青色蛍光体層152および緑色蛍光体層153は、紫外線によって励起される発光中心を有する。
赤色蛍光体層151に用いられる赤色蛍光体は、一例として、610nm以上630nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu3+付活赤色蛍光体である。赤色蛍光体は、具体的には、Y23:Eu3+(YOX蛍光体)、(Y,Gd)23:Eu3+(YGX蛍光体)およびY(P,V)O4:Eu3+(YPV蛍光体)などの蛍光体粒子である。
青色蛍光体層152に用いられる青色蛍光体層は、一例として、420nm以上500nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu2+付活青色蛍光体である。Eu2+を付活剤とする青色蛍光体は、Eu2+イオンの4f65d1→4f7電子エネルギー遷移に基づいて発光する。そのために、1msec未満の残光時間の青色発光が実現できる。青色蛍光体は、具体的には、BaMgAl1017:Eu2+(BAM蛍光体)、CaMgSi26:Eu2+(CMS蛍光体)、Sr3MgSi28:Eu2+(SMS蛍光体)などの蛍光体粒子である。
緑色蛍光体層153に用いられる緑色蛍光体は、一例として、500nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有し残光時間が2msecを超え5msec未満のMn2+付活短残光緑色蛍光体と、490nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有するCe3+付活緑色蛍光体またはEu2+付活緑色蛍光体を含む蛍光体である。緑色蛍光体は、具体的には、Zn2SiO4:Mn2+(ZSM蛍光体)およびY3Al512:Ce3+(YAG蛍光体)などの蛍光体粒子である。
[1−3.封着部材22]
図2に示されるように、PDP1は、封着部材22を備える。封着部材22は、前面板2の周縁と背面板10の周縁とを封着する。つまりPDP1は、封着部材22によって気密封着されている。PDP1における表示領域の外側に封着部材22が配置される。
封着部材22は、一例として、Bi23、B23、V25などを主成分としたガラスフリットが用いられる。さらに、封着部材22としては、Al23、SiO2、コージライトなどの酸化物からなるフィラーを加えたものを用いることができる。ガラスフリットの軟化点は、460℃から480℃程度である。
さらに、放電空間には、キセノン(Xe)を含む放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入される。
[2.PDP1の製造方法]
図6に示されるように、本実施の形態にかかるPDP1の製造方法は、前面板作製工程A1、背面板作製工程B1、フリット塗布工程B2、封着工程C1、排気工程C2、放電ガス供給工程C3およびエージング工程C4を有する。
[2−1.前面板作製工程A1]
[2−1−1.表示電極]
フォトリソグラフィ法によって、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5が形成される。まず、インジウム錫酸化物(ITO)などからなる透明電極4a、5aが形成される。
次に、バス電極4b、5bが形成される。バス電極4b、5bの材料には、銀(Ag)と銀を結着させるためのガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含む電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、電極ペーストが、透明電極4a、5aが形成された前面ガラス基板3に塗布される。次に、乾燥炉によって、電極ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、電極ペースト中の溶剤が除去される。次に、例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、電極ペーストが露光される。
次に、電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存した電極ペーストが電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、電極パターンが焼成される。焼成によって、電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、電極パターン中のガラスフリットが軟化する。軟化したガラスフリットは、焼成後に再び硬化する。以上の工程によって、バス電極4b、5bが形成される。
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
[2−1−2.誘電体層8]
誘電体層8の材料には、誘電体ガラスフリットと樹脂と溶剤などを含む誘電体ペーストが用いられる。まずダイコート法などによって、誘電体ペーストが所定の厚みで前面ガラス基板3上に塗布される。塗布された誘電体ペーストは、走査電極4および維持電極5を被覆する。次に、乾燥炉によって、誘電体ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、誘電体ペースト中の樹脂が除去される。焼成によって、誘電体ガラスフリットが軟化する。軟化した誘電体ガラスフリットは、焼成後に再び硬化する。以上の工程によって、誘電体層8が形成される。
上述の方法の他、スクリーン印刷法、スピンコート法などを用いることができる。また、誘電体ペーストを用いずに、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、誘電体層8となる膜を形成することもできる。
[2−1−3.保護層9]
保護層9は、例えば、EB(Electron Beam)蒸着装置により形成される。保護層9が、MgOとCaOを含む場合、保護層9の材料は単結晶のMgOからなるMgOペレットと単結晶のCaOからなるCaOペレットである。つまり、保護層9の組成に合わせてペレットを選択すればよい。MgOペレットまたはCaOペレットには、さらに不純物としてアルミニウム(Al)、珪素(Si)などが添加されていてもよい。
まず、EB蒸着装置の成膜室に配置されたMgOペレットおよびCaOペレットに電子ビームが照射される。電子ビームのエネルギーを受けたMgOペレットおよびCaOペレットの表面は蒸発していく。MgOペレットから蒸発したMgOおよびCaOペレットから蒸発したCaOは、成膜室内を移動する前面ガラス基板3上に付着する。より詳細には、表示領域となる領域が開口したマスクを介して、MgOおよびCaOが誘電体層8上に付着する。前面ガラス基板3は、ヒータによって約300℃に加熱されている。成膜室の圧力は、約10-4Paに減圧された後、酸素ガスが供給され、酸素分圧が約3E-2Paになるように保たれる。保護層9の膜厚は、電子ビームの強度、成膜室の圧力、前面ガラス基板3の移動速度などによって、所定の範囲に収まるように調整される。
[2−2.背面板作製工程B1]
[2−2−1.アドレス電極12]
フォトリソグラフィ法によって、背面ガラス基板11上に、アドレス電極12が形成される。アドレス電極12の材料には、導電体としての銀(Ag)粒子と銀粒子同士を結着させるガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含むアドレス電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、アドレス電極ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲でアドレス電極ペーストが乾燥される。乾燥によって、アドレス電極ペースト中の溶剤が除去される。例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、アドレス電極ペーストが露光される。次に、アドレス電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存したアドレス電極ペーストがアドレス電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、アドレス電極パターンが焼成される。焼成によって、アドレス電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、アドレス電極パターン中のガラスフリットが軟化する。軟化したガラスフリットは、焼成後に再び硬化する。以上の工程によって、アドレス電極12が形成される。
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
[2−2−2.下地誘電体層13]
スクリーン印刷法などによって、下地誘電体層13が形成される。下地誘電体層13の材料には、ガラスフリット、フィラー、樹脂および溶剤などを含む下地誘電体ペーストが用いられる。ガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率は、25重量%以上35重量%以下である。
ガラスフリットは、Bi23を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラスフリットは、CaO、SrOおよびBaOの群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラスフリットは、MoO3、WO3、CeO2、MnO2、CuO、Cr23、Co23、V25およびSb23の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
また、上記以外の成分として、ZnO、B23などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
フィラーは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、テルピネオール、ベンジルアルコールなどが用いられる。
まず、スクリーン印刷法などによって、下地誘電体ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。塗布された下地誘電体ペーストは、アドレス電極12を被覆する。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で下地誘電体ペーストが乾燥される。乾燥によって、下地誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、下地誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、下地誘電体ペースト中の樹脂が除去される。また、焼成によって、ガラスフリットが軟化する。一方、焼成によっても、フィラーは軟化しない。軟化したガラスフリットは、焼成後に再び硬化することによって、ガラス成分になる。つまり、下地誘電体層13は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。なお、樹脂が存在していた領域は、樹脂が除去されると空隙になる。空隙は、空隙の周囲のガラス成分によって、埋められていく。その結果として、下地誘電体層13における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。以上の工程によって、下地誘電体層13が形成される。スクリーン印刷法の他にも、スピンコート法、ダイコート法などを用いることができる。
[2−2−3.隔壁14および接着部30]
図7に示されるように、下地誘電体層13形成工程が終了後、隔壁ペースト塗布・乾燥工程B11、隔壁露光工程B12、接着層ペースト塗布・乾燥工程B13、接着層露光工程B14、現像工程B15および焼成工程B16によって、隔壁14および接着部30が形成される。
フォトリソグラフィ法によって、隔壁14が形成される。隔壁14の材料には、フィラーと、フィラーを結着させるためのガラスフリットと、感光性樹脂と、溶剤などを含む隔壁ペーストが用いられる。
ガラスフリットは、Bi23を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラスフリットは、CaO、SrOおよびBaOの群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラスフリットは、MoO3、WO3、CeO2、MnO2、CuO、Cr23、Co23、V25およびSb23の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。また、上記以外の成分として、ZnO、B23などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
フィラーは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
感光性樹脂としては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用される。具体的には、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。なお、熱分解性が良いものが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、テルピネオール、ベンジルアルコールなどが用いられる。
なお、光重合開始剤、バインダ樹脂などが追加されてもよい。
B11では、例えば、ダイコート法によって、隔壁ペーストが所定の厚みで下地誘電体層13上に塗布される。ダイコート法の他にも、スクリーン印刷法などが用いられ得る。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で隔壁ペーストが乾燥される。乾燥炉としては、ヒータ加熱炉、赤外線乾燥炉などが用いられ得る。乾燥によって、隔壁ペースト中の溶剤が除去される。B11が終了すると、図8(a)に示されるように、隔壁ペースト層51が下地誘電体層13上に形成される。
次に、B12では、格子パターンのフォトマスクを介して、隔壁ペースト層51が露光される。具体的には、まず、ガラス板にクロムなどで隔壁14のマスクパターンが形成されたフォトマスクを介して、隔壁ペースト層51に光が照射される。光の波長は、隔壁ペースト層51に含まれている感光性樹脂が反応する波長である。一般的には、250nmから450nm程度である。隔壁ペースト層51における光が照射された領域では、感光性樹脂が硬化する。図8(b)に示されるように、露光された部分は、露光部52となる。
次に、B13では、隔壁ペースト層51上に、接着ペーストが塗布される。接着ペーストは、ガラスフリットと、感光性樹脂と、溶剤などを含む。
ガラスフリットは、一例として、Bi23とB23とを含む。Bi23は、熱膨張係数を増大させ、かつ、軟化点を低下させる。つまり、接着力を高める作用を有する。B23は、ガラス骨格を形成する。さらに、B23は、熱膨張係数を低下させ、かつ、軟化点を上昇させる。ガラス部材としては、例えば、Bi23−B23−ZnO−SiO2−RO系ガラスが用いられる。なお、Rは、Ba、Sr、Ca、Mgのいずれかである。
上述のガラスフリットの屈伏点は、425℃から450℃の範囲である。また、ガラスフリットの軟化点は、460℃から500℃の範囲である。なお、軟化点とは、ガラスが自重で顕著に軟化変形しはじめる温度である。言い換えると、軟化点は、ガラスが約107.6dPa・sの粘度になるときの温度である。
屈伏点は、熱機械分析によって求められる。熱機械分析とは、試料の温度を一定のプログラムにもとづいて変化させながら、圧縮、引張り、曲げなどの非振動的荷重を加えてその物質の変形を温度または時間の関数として測定する方法である。熱機械分析装置としては、例えば、島津製作所製:TMA−60を用いることができる。
屈伏点とは、熱機械分析によるガラスの温度と体積変化を示す熱膨張曲線において、見かけ上、膨張が停止する温度である。つまり、熱機械分析の測定機構によって、ガラスそのものが治具の貫入を受けることでガラスの熱膨張係数が急激に減少する。言い換えると、屈伏点は、ガラスが1010〜1011dPa・sの粘度になるときの温度である。
さらにガラスフリットは、Bi23を10モル%以上40モル%以下含み、かつ、B23を10モル%以上40モル%以下含むとより好ましい。Bi23が10モル%未満だと、接着力が低下する。一方、Bi23が40モル%を超えると、封着の際、ガラスフリットの結晶化が始まる。つまり、接着力が低下する。また、ガラスフリット、Bi23を20モル%以上40モル%以下含み、かつ、B23を20モル%以上40モル%以下含むとより好ましい。
感光性樹脂としては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用される。具体的には、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。なお、熱分解性が良いものが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、テルピネオール、ベンジルアルコールなどが用いられる。
なお、光重合開始剤、バインダ樹脂などが追加されてもよい。
接着ペーストは、例えば、ダイコート法によって、所定の厚みで隔壁ペースト層51上に塗布される。ダイコート法の他にも、スクリーン印刷法などが用いられ得る。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で接着ペーストが乾燥される。乾燥炉としては、ヒータ加熱炉、赤外線乾燥炉などが用いられ得る。乾燥によって、接着ペースト中の溶剤が除去される。B13が終了すると、図8(c)に示されるように、接着ペースト層53が隔壁ペースト層51上に形成される。
次に、B14では、ドットパターンのフォトマスクを介して、接着ペースト層53が露光される。具体的には、まず、ガラス板にクロムなどで接着部30のマスクパターンが形成されたフォトマスクを介して、接着ペースト層53に光が照射される。光の波長は、接着ペースト層53に含まれている感光性樹脂が反応する波長である。一般的には、250nmから450nm程度である。接着ペースト層53における光が照射された領域では、感光性樹脂が硬化する。図8(d)に示されるように、露光された部分は、露光部54となる。
次に、B15では、隔壁ペースト層51と接着ペースト層53とが、浸漬法などにより現像される。浸漬法の他には、スプレー法などが用いられ得る。現像液は、隔壁ペースト層51と接着ペースト層53に対応したアルカリ現像液が用いられる。具体的には、炭酸ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、TMAH(tetramethyl annmonium hydroxide)などが用いられる。図8(e)に示されるように、光が照射された領域が残存し、光が照射されなかった領域が除去される。つまり、隔壁パターン55と、接着部パターン56が形成される。最後に水洗浄が行われ、背面ガラス基板11に付着した汚れなどが除去される。
最後に、焼成炉によって、例えば500℃から600℃の温度範囲で隔壁パターン55および接着部パターン56が焼成される。焼成によって、隔壁パターン55および接着部パターン56中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、隔壁パターン55中および接着部パターン56中のガラスフリットが軟化する。一方、焼成によっても、フィラーは軟化しない。軟化したガラスフリットは、焼成後にガラス成分となる。つまり、隔壁14は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。以上の工程によって、隔壁14が形成される。なお、樹脂が存在していた領域は、樹脂が除去されると空隙になる。
[2−2−4.蛍光体層15の形成]
蛍光体層15の材料には、蛍光体粒子とバインダと溶剤などとを含む蛍光体ペーストが用いられる。まず、ディスペンス法などによって、蛍光体ペーストが所定の厚みで隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に塗布される。次に、乾燥炉によって、蛍光体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、蛍光体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、蛍光体ペースト中の樹脂が除去される。以上の工程によって、蛍光体層15が形成される。ディスペンス法の他にも、スクリーン印刷法などを用いることができる。
以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
[2−3.フリット塗布工程B2]
背面板作製工程B1により作製された背面板10の画像表示領域外に封着部材である封着ガラスフリットが塗布される。その後、封着ガラスフリットは、350℃程度の温度で仮焼成される。仮焼成によって、溶剤成分などが除去される。
[2−4.封着工程C1から放電ガス供給工程C3まで]
封着工程C1では、前面板2とフリット塗布工程B1を経た背面板10とが対向配置されて周辺部が封着部材22により封着される。その後、排気工程C2および放電ガス供給工程C3によって、放電空間に放電ガスが封入される。
なお、本実施の形態にかかる封着工程C1、排気工程C2および放電ガス供給工程C3は、同一の装置において、図9に例示された温度プロファイルに基づいて処理を行う。
封着温度とは、前面板2と背面板10とが封着部材により封着されるときの温度である。本実施の形態における封着温度は、例えば約490℃である。封着温度は、接着部30が有するガラス成分の軟化点より高い。なお、図9において、軟化点とは、封着ガラスフリットが軟化する温度である。本実施の形態における軟化点は、例えば約430℃である。排気温度とは、放電空間から大気などが排気されるときの温度である。本実施の形態における排気温度は、例えば約400℃である。
[2−4−1.温度プロファイル]
図9に示されるように、まず、封着工程C1において、温度は、室温から封着温度まで上昇する。次に、温度は、a−bの期間、封着温度に維持される。その後、温度は、b−cの期間に封着温度から排気温度に下降する。またa−cの期間において、放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。このとき、前面板2と背面板10とは、外圧と内圧との差のために、加圧される。a−bの期間において、熱処理と加圧によって、接着部30が隔壁14と保護層9とを接着する。
その後、排気工程C2において、温度は所定の期間、排気温度に維持される。その後、温度は、室温程度まで下降する。d−eの期間において、放電空間内は、さらに排気される。
次に、放電ガス供給工程C3において、放電空間内に放電ガスが導入される。つまり、温度が室温程度に下がったe以降の期間に放電ガスが導入される。本実施の形態において、放電ガスは、Xe10%−Ne90%の混合ガスが用いられた。
[2−5.エージング工程C4]
C4では、走査電極4および維持電極5に所定の周波数、所定の電圧による駆動波形が印加される。つまり、PDP1の表示領域全体が点灯する。駆動波形は、一例として、LC共振回路によってリンギングさせた220Vの電圧波形である。周波数は、一例として、45kHzである。それぞれの走査電極4に印加された電圧波形と位相が半周期ずれた電圧波形が、それぞれの維持電極5に対して印加される。なお、PDP1の特性に応じて矩形パルスを印加しても構わない。また、アドレス電極12には電圧波形は印加されない。つまり、アドレス電極12は、GND電位である。しかし、アドレス電極12と走査電極4の間、あるいはアドレス電極12と維持電極5の間に、対向放電を発生させる場合にはアドレス電極12に駆動波形が印加される。
エージング工程を経ることによって、PDP1を点灯させるために必要な電圧が降下する。PDP1を製造する過程で保護層9の表面などに付着していた不純物がスパッタによって除去されるためである。
以上の工程を経て、PDP1が完成する。
[3.試作評価]
上述の製造方法によって試作されたPDP1は、42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するものである。PDP1は、前面板2と、前面板2と対向配置された背面板10と、を備える。また、前面板2と背面板10の周囲は、封着部材22で封着されている。前面板2は、表示電極6と誘電体層8と保護層9とを有する。背面板10は、アドレス電極12と、下地誘電体層13と、隔壁14と、蛍光体層15とを有する。PDP1には、キセノン(Xe)の含有量が15体積%のネオン(Ne)−キセノン(Xe)系の混合ガスが、60kPaの内圧で封入された。また、表示電極6と表示電極6との電極間距離は、60μmであった。下地誘電体層13の膜厚は、10μmであった。縦隔壁24の高さは120μm、縦隔壁24と縦隔壁24との間隔(セルピッチ)は120μmであった。横隔壁26の高さは120μm、横隔壁26と横隔壁26との間隔は45μmであった。赤色蛍光体層151にはYPVが用いられた。青色蛍光体層152にはBAMが用いられた。緑色蛍光体層153にはZSMとYAGを1:1の割合で混合したものが用いられた。
保護層9と、隔壁14とは接着部30によって接着されている。接着部30の材料となる接着ペーストには、評価のために、組成が異なる数種のガラスフリットが用いられた。さらに、比較のために、接着部30を有さないPDPも試作された。
[3−1−1.ボロン濃度測定]
保護層9の表面におけるボロン濃度測定のために、試作されたPDP1が前面板2と背面板10に分離された。図10に示されるように、ボロン濃度の測定領域は、放電セルのほぼ中央である。図示されていないが、走査電極4および維持電極5は、誘電体層8によって覆われている。また、図示されていないが、誘電体層8は、保護層9によって覆われている。また、図10に示されるように、前面板2を保護層9側から見ると、縦隔壁24と横隔壁26との交点にあたる領域に接着部30の一部が付着している。
測定には、走査型X線光電子分光分析装置(XPS)が用いられた。具体的には、アルバック・ファイ株式会社製:Quantera SXMが用いられた。X線の照射領域は概ね50μmφである。光電子は、保護層9の表面から厚み方向に5nm程度の領域から放出される。つまり、本実施の形態にかかるXPSによる測定値は、保護層9の表面から厚み方向に5nm程度の領域における情報である。
なお、ボロン濃度は、バックグラウンド補正後のスペクトルから計算される。まず、B1sスペクトルの面積と、Mg2pスペクトルの面積が計算される。B濃度は次式によって求められる。B濃度(at%)=B1sスペクトルの面積/(B1sスペクトルの面積+Mg2pスペクトルの面積)。つまり、本実施の形態においてB濃度は、Mg濃度との相対値である。なお、検出されるスペクトルの強度は、装置の特性に依存する。よって、本実施の形態で用いられたXPSに応じた感度係数の補正が行われる。
図10に示される測定領域は、接着部30を含まない。つまり、本実施の形態にかかる保護層9表面のボロン濃度とは、接着部30におけるボロンを含むものではない。
本実施の形態にかかる保護層9の表面からは、1.0at%〜6.5at%のボロンが検出された。一方、接着部30を有さない従来の構成のPDPにおいては、ボロンは検出されなかった。
つまり、本実施の形態においては、隔壁14と保護層9が接着される際に、接着部30が軟化する。軟化した接着部30は、封着工程および/または排気工程における減圧環境下で発泡していると考えられる。その結果、接着部30が有するガラス成分の中からボロンが飛散する。飛散したボロンの一部は、保護層9の表面に付着すると考えられる。なお、接着部30から飛散したボロンは、酸化物の状態であると予想される。
[3−1−2.評価]
本実施の形態にかかるPDP1である試作品1と接着部30を有さない従来の構成のPDPである試作品2について、高温放置特性が評価された。高温放置とは、評価するPDPを80℃の環境で放置し、所定の時間が経過した時点で、電圧特性を測定するものである。つまり、電圧特性の初期値との変動が評価項目である。電圧は、ブフィールド駆動法における電圧である。サブフィールド駆動法は、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成する。一つのサブフィールドは、初期化期間と、書込み期間と、維持期間とを有する。初期化期間は放電セルにおいて初期化放電を発生させる期間である。書込み期間は、初期化期間のあと、発光させる放電セルを選択する書込み放電を発生させる期間である。維持期間は、書込み期間において選択された放電セルに維持放電を発生させる期間である。維持放電を発生させるために必要な電圧が維持電圧である。
試作品1と試作品2について、高温放置前、20時間経過後、160時間経過後、310時間経過後、500時間経過後に維持電圧が測定された。なお、試作品1と試作品2において、維持電圧の測定には同一の駆動回路が用いられた。
図11に示されるように、試作品1は、高温放置前から、500時間経過後に至るまで、維持電圧変動値はゼロであった。維持電圧変動値とは、高温放置前にPDPを点灯させるために必要な維持電圧から、所定の時間経過後に、PDPを点灯させるために必要な維持電圧との差分値である。一方、試作品2は、20時間経過後に、維持電圧変動値が−2Vであった。その後、試作品2は、310時間経過までは、維持電圧変動値が約−2Vのままであった。さらに、試作品2は、500時間経過後では、維持電圧変動値が−1Vに上昇した。
つまり、保護層9の表面にボロンが存在することによって、高温放置における維持電圧変動が抑制されることがわかった。これは、接着部30から飛散したB23によって、保護層9の表面の少なくとも一部が覆われたためと考えられる。保護層9に付着したB23は、保護層9に水分や、二酸化炭素などが付着することを抑制できる。つまり、B23によって、保護層9の変質が抑制されていると考えられる。
さらに、放電が生じると、保護層9の表面はスパッタされる。保護層9の表面は、一様にスパッタされるのではなく、走査電極4、維持電極5に対応する領域が特にスパッタされ易い。一方、走査電極4と維持電極5の間のギャップは、ほとんどスパッタされない。よって、保護層9において、走査電極4および維持電極5に対応する領域では、B23は除去され、その他の領域は、B23で覆われていると考えられる。したがって、試作品1の保護層は、水分や二酸化炭素などの吸着がB23によって妨げられ、電圧変動が抑制されている。
しかし、試作品2の保護層は、MgOが全体として露出しているため、水分や二酸化炭素が吸着することによって変質しやすくなっている。変質した保護層は、電子放出能力が変動しやすい。よって、維持電圧が変動すると考えられる。高温環境によって、保護層の表面は活性化するため、より顕著になる。さらに、保護層がMgOに加えてCaOも含む場合には、高温放置における維持電圧変動がより顕著になると予測される。CaOはMgOより、さらに水分や二酸化炭素によって変質しやすいからである。
つまり、本実施の形態は、保護層9がMgOに加えてCaOも含む場合には、より効果が顕著になると考えられる。
保護層9の表面におけるボロンの濃度は、1at%以上、10at%以下が好ましい。1at%未満では、高温放置における維持電圧の変動が大きくなる。一方、10at%を超えると、逆に電子放出能力が低下する。
特開2007−48733号公報に記載されている方法により、アドレス放電の発生しやすさの目安となる数値(統計遅れ時間)が測定された。統計遅れ時間が小さいほど、放電が発生しやすい。図12に示されるように、ボロンの濃度が10at%を超えると、統計遅れ時間が増大する。つまり、保護層9の電子放出能力が低下する。
発明者らの評価によると、ボロン濃度が増加すると、維持電圧がばらつくことが判明した。図13に示されるように、維持電圧差分値は、ボロン濃度が3at%を超えると、ばらつきが大きくなる。維持電圧差分値とは、本実施の形態にかかるPDP1の維持電圧と、試作品2の維持電圧との差分値である。つまり、保護層9の表面の少なくとも一部にボロンが存在すると、高温放置における電圧変動は抑制される。しかし、初期の維持電圧は、ボロン濃度によって、変動し得る。よって、初期の維持電圧のばらつきを抑制するためには、ボロン濃度は、3at%以下が好ましい。
したがって、保護層9の表面におけるボロンの濃度は、1at%以上、3at%以下がより好ましい。
[4.まとめ]
本実施の形態にかかるPDP1は、保護層9を有する前面板2と、隔壁14を有する背面板10と、隔壁14の少なくとも一部と保護層9の一部とを接着する接着部30と、を備える。接着部30は、B23を含む。保護層9の表面はボロンを含む。
本実施の形態にかかるPDP1は、前面板2と背面板10とが接着部30で接着されているため、機械的強度が向上する。さらに、本実施の形態にかかるPDP1は、保護層9に水分や二酸化炭素などが付着することが抑制される。したがって、保護層9の変質が抑制される。特に、高温環境における保護層9の変質抑制に有利である。よって、本実施の形態にかかるPDP1は、駆動電圧の変動が抑制できる。
本実施の形態にかかる製造方法は、保護層9を有する前面板2と、隔壁14を有する背面板10と、隔壁14の少なくとも一部と保護層9の一部とを接着する接着部30と、を備え、接着部30は、B23を含み、保護層9の表面はボロンを含むPDP1の製造方法である。製造方法は、隔壁14上に、接着部30を設けること(B13〜B16)、前面板2と背面板10を対向させて配置すること(C1)、前面板2と背面板10を熱処理することによって、隔壁14の一部と保護層9とを接着すること(C1)、を有する。接着部30は、ガラス成分を有する。熱処理における温度は、ガラス成分の軟化点より高く、熱処理において、前面板2と背面板10とが加圧される。本実施の形態においては、熱処理の際に、放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。前面板2と背面板10とは、外圧と内圧との差のために、加圧される。
本実施の形態にかかる製造方法によって製造されたPDP1は、機械的強度が向上する。さらに、本実施の形態にかかる製造方法によって製造されたPDP1は、駆動電圧の変動が抑制できる。
ここに開示された技術は、PDPの駆動電圧変動を抑制できるので、大画面の表示デバイスなどに有用である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a、5a 透明電極
4b、5b バス電極
5 維持電極
6 表示電極
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
22 封着部材
24 縦隔壁
26 横隔壁
30 接着部
51 隔壁ペースト層
52、54 露光部
53 接着ペースト層
55 隔壁パターン
56 接着部パターン
151 赤色蛍光体層
152 青色蛍光体層
153 緑色蛍光体層

Claims (6)

  1. 保護層を有する前面板と、
    隔壁を有する背面板と、
    前記隔壁の少なくとも一部と前記保護層の一部とを接着する接着部と、を備え、
    前記接着部は、B23を含み、
    前記保護層の表面はボロンを含む、
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 前記保護層の表面におけるボロンの濃度は、1at%以上、10at%以下である、
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記保護層の表面におけるボロンの濃度は、1at%以上、3at%以下である、
    請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記保護層は、酸化マグネシウムを含む、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記保護層は、酸化カルシウムを含む、
    請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 保護層を有する前面板と、隔壁を有する背面板と、前記隔壁の少なくとも一部と前記保護層の一部とを接着する接着部と、を備え、前記接着部は、B23を含み、前記保護層の表面はボロンを含むプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記隔壁上に、前記接着部を設けること、
    前記前面板と前記背面板を対向させて配置すること、
    前記前面板と前記背面板を熱処理することによって、前記隔壁の一部と前記前面板とを接着すること、を有し、
    前記接着部は、ガラス成分を有し、
    前記熱処理における温度は、前記ガラス成分の軟化点より高く、
    前記熱処理において、前記前面板と前記背面板とを加圧する、
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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