JP2013171628A - 非水電解質二次電池用負極材の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程の簡略化を図りつつ、導電性を高めることによって、放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造可能な非水電解質二次電池用負極材の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る製造方法は、非水電解質二次電池用負極材の製造方法であって、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程Aと、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程Bとを有し、前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る製造方法は、非水電解質二次電池用負極材の製造方法であって、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程Aと、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程Bとを有し、前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状である。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池用負極材の製造方法及び製造装置に関する。
携帯電話などの通信端末では、機器の小型化、軽量化の観点から、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。近年では、定置型蓄電池や電気自動車などへの適用を目的として、かかる二次電池の高容量化が強く求められている。
また、この種の二次電池の高容量化を図る手法として、非水電解質二次電池用負極材(以下、負極材として適宜示す。)に珪素を用いる方法の検討が進められている。珪素は、現在実用化されている炭素材料の容量よりも、高い容量を有することから、二次電池の小型化と高容量化において最も期待されている材料である。
しかし、珪素は、高い容量を有しているものの、充放電による体積膨張変化が4倍と大きいことから、充放電を繰り返すと劣化して容量が低下してしまうという課題を有している。よって、充放電を繰り返しても容量が低下しないサイクル特性の向上が望まれている。
また、近年では、珪素と酸化珪素SiOx(例えば、1≦x≦2)との複合体に炭素層を被膜形成した負極材も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される負極材では、負極材に含まれる珪素ナノ粒子が酸化珪素SiOx中に分散した構造をとっている。このように、酸化珪素SiOxを含む負極材は、珪素のみの負極材と比較して、体積膨張変化が小さいため、負極材のサイクル特性が高められている。
また、特許文献1に開示される方法では、負極材は、炭複合体の表面に炭素層を被膜形成されることによって、一定の導電性を確保している。このように導電性を向上させた負極材は、珪素がリチウムイオンを吸収・放出する効果を高めることが可能になり、その結果、放電レート特性を高める効果があると考えられる。
しかしながら、従来の方法では、負極材の製造工程において、炭素材料によって複合体の表面を被覆する工程が必要となるため、製造コストなどの観点から、製造工程の簡略化が望まれている。
また、従来の方法では、炭素材料によって複合体の表面を被覆することで、導電性が高められているため、複合体の表面を炭素材料によって被覆しない場合には、導電性の低下によって、放電レート特性の低下を引き起こす可能性があるため対策が望まれていた。
本発明は、上述した状況に鑑みなされたものであり、製造工程の簡略化を図りつつ、導電性を高めることによって、放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造可能な非水電解質二次電池用負極材の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、非水電解質二次電池用負極材の製造方法であって、非炭素物質によって形成された領域内(例えば、チャンバー10)で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程A(ステップS103)と、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程B(S104)とを有し、前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状であることを要旨とするものである。
ここで、かかる前駆体の生成に用いられる混合物に含まれる珪素源及び炭素源の少なくとも一方が、液状であるため、前駆体の内部では、SiO2及びCが、分子レベルで均一に分散させることができる。また、かかる前駆体を加熱することによって生成されるガスを急冷して得た複合体は、珪素ナノ粒子Siと炭化珪素ナノ粒子SiCとが、酸化珪素SiOx中に分散した構造とすることができる。すなわち、非水電解質二次電池用負極材としての複合体は、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが、酸化珪素中に分散した構造に生成することが可能になる。また、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが、酸化珪素中に分散した構造とした複合体は、導電性を高めることができる。
これは、炭化珪素ナノ粒子の導電性が、珪素ナノ粒子と酸化珪素との導電性に比べて高いため、複合体の内部に導電パスが形成されているものと考える。つまり、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが酸化珪素中に分散した構造の複合体では、複合体全体の体積抵抗(バルク抵抗)が抑制され、導電性が高められている。
よって、かかる製造方法によれば、導電性を高めることによって、放電時の放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造できる。
また、かかる製造方法では、従来技術のように複合体の表面に炭素層などの導電膜を形成する工程を必要としないため、従来の製造方法と比べて製造工程の簡略化を図ることが可能になる。
このように、かかる製造方法によれば、製造工程の簡略化を図りつつ、導電性を高めることによって、放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造することができる。
本発明の第1の特徴において、前記珪素源及び前記炭素源を含む前記混合物は、酸水溶液を更に含み、前記珪素源と前記炭素源と前記酸水溶液とのいずれかには、周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素を含めてもよい。
本発明の第1の特徴において、前記炭素源は、窒素原子を含めてもよい。
本発明の第1の特徴において、前記工程Aにおいて、前記加熱手段として、熱プラズマ、抵抗加熱装置、レーザ加熱装置或いはアークプラズマを用いて、前記前駆体を加熱してもよい。
本発明の第2の特徴は、非水電解質二次電池用負極材の製造装置であって、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱するように構成されている加熱手段と、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得するように構成されている急冷手段とを具備し、前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状であることを要旨とする。
本発明によれば、製造工程の簡略化を図りつつ、導電性を高めることによって、放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造可能な非水電解質二次電池用負極材の製造方法及び製造装置を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
[第1実施形態]
本実施形態に係る非水電解質二次電池用負極材(以下、負極材と適宜示す)の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る負極材の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用負極材(以下、負極材と適宜示す)の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る負極材の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、ステップS101において、少なくとも1種以上の珪素化合物を含む珪素源、及び、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源を合成することによって、珪素源及び炭素源の混合物を生成する。
また、本実施形態では、上述の混合物の生成に用いられる珪素源及び炭素源の少なくとも一方は、液状であるものとする。
例えば、硬化剤として、酸水溶液を用いて、珪素源及び炭素源を合成して、混合物を生成する。すなわち、珪素源及び炭素源を含む混合物は、酸水溶液を更に含んでいてもよい。
ここで、珪素源としては、液状の珪素源と固体状の珪素源とを併用することができるが、少なくとも1種の液状の珪素源が用いられなければならない。
例えば、液状の珪素源としては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)、及び、テトラアルコキシシランの重合体が用いられ得る。
液状の珪素源として、アルコキシシランの中では、テトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が好適に用いられ得る。なお、ハンドリングの点からは、液状の珪素源として、エトキシシランが用いられることが好ましい。
また、液状の珪素源として、テトラアルコキシシランの重合体の中では、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)、及び、さらに重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものが用いられ得る。これらの液状の珪素源と併用可能な固体状の珪素源としては、酸化珪素が用いられ得る。
本実施形態において、酸化珪素には、SiOの他、シリカゲル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化珪素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等を含む。
これらの珪素源は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。これらの珪素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好という観点から、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物等が用いられることが好ましい。
ここで、炭素源として用いられる物質は、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する有機化合物であることが好ましい。
具体的には、フェノール樹脂やフラン樹脂やエポキシ樹脂やフェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロースやデンプン等の多糖類等の各種糖類が挙げられる。
これらの炭素源は、珪素源と均質に混合するという目的から、主に、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加熱することにより軟化するもの或いは液状となるものが用いられる。
これらの中で、レゾール型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に使用される。
また、硬化剤は、炭素源に応じて適宜選択することができる。例えば、炭素源が、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合、硬化剤として、トルエンスルホン酸水溶液、トルエンカルボン酸水溶液、酢酸水溶液、しゅう酸水溶液、リン酸水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液、ホウ酸水溶液、塩酸水溶液等の弱い酸水溶液を用いることができる。かかる場合、硬化剤として、リン酸、硫酸、塩酸等を用いることが好ましい。
これは次の理由による。炭素源としてフェノール樹脂を選定した場合、N型ドーパントとして作用する酸水溶液を硬化剤に用いることで、珪素ナノ粒子に周期律表15族の元素に含まれる元素がドープされ、複合体の導電性を一層高められるからである。なお、本実施形態では、周期律表15族の元素の一例として、窒素Nを用いている。
一方、炭素源が、フェノール樹脂以外のキシレン樹脂を用いた場合、硬化剤として、ホウ酸を用いることが好ましい。これは次の理由による。炭素源としてキシレン樹脂を選定した場合、P型ドーパントとして作用する酸水溶液を硬化剤に用いることで、珪素ナノ粒子に周期律表13族の元素に含まれる元素がドープされ、複合体の導電性を一層高められるからである。
更に、上述したP型ドーパントとN型ドーパントとは、炭化珪素ナノ粒子にもドープされるため、炭化珪素ナノ粒子が複合体に含まれる場合には、複合体の導電性を一層向上させることも可能になる。
このように、酸水溶液は、周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。なお、珪素源と炭素源ととのいずれかに周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素を含めてもよい。すなわち、珪素源と炭素源と酸水溶液とのいずれかに周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素を含めてもよい。
ステップS102において、ステップS101によって得られた混合物を、100℃〜300℃の温度で乾燥することによって、固体状の前駆体(プリカーサー)を生成する。
ここで、上述のように、かかる前駆体の生成に用いられる混合物に含まれる珪素源及び炭素源の少なくとも一方が、液状であるため、かかる前駆体の内部では、SiO2及びCが、分子レベルで均一に分散させることができる。
また、かかる前駆体には、有機成分が多く含まれているため、非酸化雰囲気下において、500℃〜1300℃で、かかる前駆体を炭化してもよい。
例えば、かかる前駆体における炭素と珪素との配合比(以下、C/Si比と略記)は、0.5〜3.0が好ましく、0.75〜1.5がより好ましい。
ステップS103において、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、炭化された前駆体を加熱する。
ここで、非炭素物質は、炭素が表面に染み出していない物質であれば炭素を含む物質でもよく、昇華温度が十分高温でありCが昇華しない物質であってもよい。
また、不活性雰囲気は、ArやN2やH2等の不活性ガスで満たされている状態を示す。なお、不活性雰囲気としての性質に影響を与えない程度の微量であれば、かかる不活性雰囲気内に、O2等の活性ガスが含まれていてもよい。
具体的には、ステップS103において、熱プラズマ、抵抗加熱装置、レーザ加熱装置或いはアークプラズマ等を用いて、炭化された前駆体を加熱してもよい。
例えば、図2に示すように、かかる前駆体を細かく粉砕した後、テーブルフィーダー或いはスクリューフィーダー等の粉体供給装置を用いて、かかる前駆体を含むガス(気体)を、チャンバー10内で発生している熱プラズマによる加熱領域20Aに対して噴霧する。なお、窒素をN型ドーパントとして用いる場合には、当該ガスとして、窒素ガスを用いてもよい。
或いは、かかる前駆体を細かく粉砕した後、テーブルフィーダー或いはスクリューフィーダー等の粉体供給装置を用いて、かかる前駆体を含むガス(気体)を、チャンバー10内で発生している抵抗加熱装置による加熱領域に対して噴霧してもよい。
又は、かかる前駆体を細かく粉砕した後、テーブルフィーダー或いはスクリューフィーダー等の粉体供給装置を用いて、かかる前駆体を含むガス(気体)を、チャンバー10内で発生しているレーザ加熱装置による加熱領域に対して噴霧してもよい。
かかるチャンバー10内は、プラズマ用ガスによって不活性雰囲気下となっている。また、かかるチャンバー10は、非炭素物質の内壁(例えば、ステンレス製の内壁)を有している。
かかる場合、熱プラズマや抵抗加熱装置やレーザ加熱装置が、加熱手段として働き、加熱領域20A内で、1300℃以上に、より好ましくは、1500℃以上に、かかる前駆体を加熱することができる。この結果、(式1)に示す化学反応によって、一酸化珪素(SiO)ガスが生成される。
SiO2 + C → SiO + CO … (式1)
ステップS104において、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷するとともに、冷却して得られる複合体を非水電解質二次電池用負極材として取得する。
ステップS104において、非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷するとともに、冷却して得られる複合体を非水電解質二次電池用負極材として取得する。
具体的には、例えば、図2に示すように、加熱領域20A内で生成された一酸化珪素ガスを、そのままの気流に乗せて、チャンバー10内の加熱領域20Aの外に放出する。
かかる場合、加熱領域20Aの外は、1300℃未満となっているため、かかる一酸化珪素ガスを、1300度未満に急冷することができる。また、チャンバー10の外部は、室温に保たれているため、かかる一酸化珪素ガスは、その後、室温まで急冷される。
この結果、(式2)及び(式3)に示す化学反応によって、珪素(Si)微粒子と炭化珪素(SiC)の微粒子と、酸化珪素(SiOx(1≦x≦2))を含む混合粉体が生成される。
2SiO → Si + SiO2 … (式2)
SiO + 2C → SiC + CO … (式3)
チャンバー10から放出されて生成された混合粉体についてサイクロン或いは集塵機等で回収する。
SiO + 2C → SiC + CO … (式3)
チャンバー10から放出されて生成された混合粉体についてサイクロン或いは集塵機等で回収する。
回収した混合粉体には、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが、酸化珪素中に分散した構造からなる本発明の複合体が含まれている。すなわち、混合粉体から、非水電解質二次電池用負極材としての複合体を取得することができる。
また、混合粉体から、複合体を取り出す方法としては、分級として乾式分級および湿式分級を適用できる。
具体的に、湿式分級では沈降槽や機械式分級機、遠心力分級機が適用でき、乾式分級としては篩分けや風力分級などがある。工業的には篩分けが望ましい。
(製造装置)
以下、図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る負極材の製造装置の一例について説明する。
以下、図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る負極材の製造装置の一例について説明する。
本実施形態に係る負極材の製造装置としては、図4に示すような高周波誘導熱プラズマ装置100を用いることができる。なお、本実施形態に係る負極材の製造装置としては、図4に示す高周波誘導熱プラズマ装置100以外にも、局所加熱を実現できる装置であれば、レーザ焼成装置や抵抗加熱焼成装置等の任意の装置を用いることができる。
図4に示すように、かかる高周波誘導熱プラズマ装置100は、プラズマ発生用のトーチ100Aを具備しており、かかるトーチ100Aは、円筒部材100Bや、円筒部材100Bの上部に取り付けられているガスリング100Cや、円筒部材100Bの外側に配置されている誘導コイル100D等から形成されている。
また、円筒部材100Bは、内側管及び外側管からなる二重管構造として形成されており、内側管は、非炭素物質で形成されている。
また、円筒部材100Bは、上部フランジ100Eと下部フランジ100Fとの間に取り付けられており、上部フランジ100E及び下部フランジ100Fは、ネジ100Gによって支持棒100Hに固定されている。
上部フランジ100Eと下部フランジ100Fとの間には、イグニションコイル等の高電圧発生装置100Iが接続されている。
上部フランジ100Eには、冷却水の出口通路100Jが設けられ、下部フランジ100Fには、冷却水の入口通路100Kが設けられている。
冷却水は、入口通路100Kを介して、円筒部材100Bの二重管構造の内部に供給され、出口通路100Jを介して、円筒部材100Bの二重管構造の内部から排出されるように構成されている。
ガスリング100Cの中央部分には、プローブ100Lが設けられている。かかるプローブ100Lの中心部には、プローブ100Lの長手方向に沿ってプローブ中心孔Hが形成されており、かかるプローブ中心孔H内にパイプQが挿入されている。
かかるパイプQを介して、粉体供給装置から円筒部材100Bの内部に、上述の前駆体を含むガス(例えば、アルゴンガス)が供給されるように構成されている。
また、ガスリング100Cの内部の供給通路100Mを介して、プラズマガス源(図示せず)から円筒部材100Bの内部に、プラズマガス(例えば、アルゴンガス)が供給されるように構成されている。
また、プローブ100Lの内部には、冷却水の通路(図示せず)が設けられており、冷却水は、入口100Nから供給され、出口100Oから排出されるように構成されている。
さらに、ガスリング100Cの内部にも、冷却水の通路100Pが設けられており、冷却水は、かかる通路100P内に供給されるように構成されている。
なお、誘導コイル100Dには、高周波電源(図示せず)からの高周波電力が供給されるように構成されている。
また、トーチ100Aの下部には、チャンバー100Qが配置されている。
以下、かかる高周波誘導熱プラズマ装置100の動作を簡単に説明する。
第1に、ガスリング100Cの内部の供給通路100Mを介して、プラズマガス源から円筒部材100Bの内部に、プラズマガスを供給すると共に、高周波電源から誘導コイル100Dに対して高周波電力を供給する。
第2に、かかる状態で、高圧発生装置100Iから、上部フランジ100Eと下部フランジ100Fとの間に高電圧を印加すると、部フランジ100Eと下部フランジ100Fとの間でコロナ放電が生起し、かかるコロナ放電が引き金となって、トーチ100Aの内部に熱プラズマPが発生(着火)する。
第4に、粉体供給装置から、ガスリング100Cの中心に位置するプローブ中心孔H内のパイプQを介して、上述の前駆体を含むガスを、熱プラズマPによる加熱領域に供給する。
第5に、かかる前駆体は、10000℃程度の熱プラズマPによる加熱領域内で、蒸発したり溶解されたりして、上述の(式1)に示す化学反応によって、一酸化珪素(SiO)ガスが生成される。
第6に、熱プラズマPによる加熱領域内で生成された一酸化珪素ガスを、そのままの気流に乗せて、かかる熱プラズマPによる加熱領域からチャンバー100Q内に放出する。
ここで、チャンバー100Q内において、かかる一酸化珪素ガスが急冷された結果、上述の(式2)及び(式3)に示す化学反応によって、非水電解質二次電池用負極材としての複合体を含む混合粉体が生成される。
第6に、生成された混合粉体については、チャンバー100Qに接続されている集塵機によって回収される。
(複合体)
次に、本実施形態に係る製造方法によって生成された負極材の構成について説明する。なお、上述した負極材を負極活物質として、リチウムイオン二次電池用負極を作製することや、リチウムイオン二次電池を作製することができる。なお、リチウムイオン二次電池用負極の作製方法及びリチウムイオン二次電池の作製方法は、従来の方法を用いることができる。
次に、本実施形態に係る製造方法によって生成された負極材の構成について説明する。なお、上述した負極材を負極活物質として、リチウムイオン二次電池用負極を作製することや、リチウムイオン二次電池を作製することができる。なお、リチウムイオン二次電池用負極の作製方法及びリチウムイオン二次電池の作製方法は、従来の方法を用いることができる。
ここで、上述した製造方法によって取得された複合体をX線回折法によって分析したところ、珪素(Si)に帰属されるピークと、酸化珪素(SiOx(1≦x≦2))に帰属されるブロードなピークと、炭化珪素(SiC)に帰属されるピークとが検出された。すなわち、複合体は、珪素と酸化珪素と炭化珪素とを含むことが確認された。
具体的に、本実施形態に係る複合体は、酸化珪素SiOx(1≦x≦2)と珪素ナノ粒子Siとに加え、炭化珪素ナノ粒子を更に含む。複合体の組成は、ドーパントをXとして示す下記の化学式(式4)によって示される。
SipOqCrXs ・・・(式4)
複合体では、ドーパントXとして、周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素が、珪素ナノ粒子にドープされている。すなわち、珪素ナノ粒子には、P型ドーパントとしての周期律表13族の元素と、N型ドーパントとしての周期律表15族の元素との内、少なくとも1種の元素が、ドープされている。
複合体では、ドーパントXとして、周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素が、珪素ナノ粒子にドープされている。すなわち、珪素ナノ粒子には、P型ドーパントとしての周期律表13族の元素と、N型ドーパントとしての周期律表15族の元素との内、少なくとも1種の元素が、ドープされている。
なお、当該ドーパントは、窒素Nであることが好ましい。本実施形態では、当該ドーパントXは、窒素Nであることとする。但し、当該ドーパントXは、これに限定されるものではない。かかるドーパントXは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期律表13族の元素であってもよい。また、かかるドーパントは、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどの周期律表15族の元素にであってもよい。つまり、かかるドーパントは、3価または5価の元素であればよい。
また、上述した(式4)において、p、q、r、sのそれぞれの定量は、例えば、次の手法によって算出できる。以下に、ドーパントXとして、窒素Nを適用した場合を例に挙げて説明する。
珪素Siについては、脱水重量ICP発光分光併用法を使用して、複合体を炭酸ナトリウムで融解した後、塩酸に溶解し、蒸発乾固してケイ酸を脱水したのち、塩酸で塩化ナトリウムなどの可溶性塩類を溶解してろ過し、沈殿物を強熱して重量を測り、フッ化水素酸を加えて二酸化ケイ素を揮散させたのち、再び強熱して重量を測り、減量から主に酸化ケイ素量を求める。ろ液を採取してICP発光分光法によって溶存珪素を求める。両者から全珪素含有率を算出する。
炭素Cは、複合体をLECO社製炭素・硫黄同時分析装置によって測定し、窒素N及び酸素Oは、LECO社製酸素・窒素・水素分析装置によって測定することができ、これらと上記で算出した珪素含有率とC,O,Nとを、質量分率からモル分率へ換算することによって、上記(式4)のp、q、r、sのそれぞれを算出する。
なお、Nの含有率は上記内容を基にして、質量分率をモル分率へ換算して算出される。また、ホウ素BやリンPといった13族の元素や15族の元素などのその他元素は、上記ICPで微量分析することにより同様に算出できる。
また、(式4)において、pが 0<p<0.78であることが好ましい。これは、次の理由による。すなわち、pが、0.78以上になると珪素が多く含まれすぎていることになり、サイクル特性の劣化要因となる。
また、(式4)において、qが 0.22≦q<0.53であることが好ましい。これは、次の理由による。すなわち、qが、0.22以上であると酸化ケイ素と珪素が複合化している状態であり、これは酸化ケイ素がケイ素の膨張収縮による粒子の崩壊を防ぐためにサイクル特性向上に寄与すると考えられる。しかし、qが、0.53以上になると、充放電に寄与しないSiO2が存在し、複合体の電気容量低下を引き起こす恐れがある。
また、(式4)において、rが 0≦r<0.1 であることが好ましい。これは、次の理由による。すなわち、rが、0.10以上であると電気容量に寄与しない炭化珪素の存在が増加し、複合体の電気容量低下を引き起こす恐れがある。
ここで、rは、0(ゼロ)であってもよい。すなわち、複合体には、炭素が含まれていなくともよいことに留意すべきである。
また、(式4)において、sが 0<s<0.1であることが好ましい。これは、次の理由による。すなわち、sが、0.1以上であると炭化珪素のほかに窒化珪素として存在する可能性がある。その場合、複合体の電気容量の低下が懸念される。
また、この複合体の粒子断面の電子顕微鏡観察により、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが酸化珪素中に分散した構造であることが確認された。
また、複合体中の酸化ケイ素をフッ酸により溶解し、フッ酸に不溶な珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子について電子顕微鏡観察を実施した。透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した写真から、任意に選んだ200個の珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とのそれぞれについて、粒子の粒径を測定したところ、珪素ナノ粒子の平均粒径は、61nmであり、炭化珪素ナノ粒子の平均粒径は、25nmであった。
珪素ナノ粒子の平均粒径は、10nm以上100nm未満であることが好ましい。これは次の理由による。珪素ナノ粒子の平均粒径が、10nm未満であると、珪素ナノ粒子が有する充放電容量を高める効果が低くなり、100nm以上であると、充放電の繰り返しによって、珪素ナノ粒子が微細化(劣化)し易くなり、耐久性が低くなるためである。
複合体に対する珪素ナノ粒子の割合は、5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これは次の理由による。珪素ナノ粒子の割合は、5質量%よりも少ないと、珪素ナノ粒子の持つ高容量の性能を十分に生かせないためである。一方、複合体に対する珪素ナノ粒子の割合が、60質量%よりも大きいと耐久性が著しく悪化するためである。具体的に、割合が60質量%よりも大きいと、複合体の内部における珪素ナノ粒子の割合が多くなりすぎて、珪素ナノ粒子が、充放電によって膨張・収縮する際に、複合体が耐えられず破壊してしまうためである。
炭化珪素ナノ粒子の平均粒径は、10nm以上100nm未満であることが好ましい。これは、次の理由による。炭化珪素ナノ粒子の平均粒径が、10nmよりも小さいと、複合体の内部に十分な導電パスが形成できず、導電性を高める効果が低くなるためである。一方、炭化珪素ナノ粒子の平均粒径が、100nm以上であると、充放電時に珪素ナノ粒子の膨張・収縮を阻害してしまい、珪素ナノ粒子によってリチウムイオンを吸収・放出する効果が低くなる恐れがあるためである。
複合体に対する炭化珪素ナノ粒子の割合は、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。これは次の理由による。炭化珪素ナノ粒子の割合が0.1質量%よりも少ないと、複合体の内部において、炭化珪素ナノ粒子が十分に分散しない。この結果、珪素ナノ粒子が膨張・収縮によって微細化(劣化)した場合に、複合体の内部の導電性を高める効果が低くなるためである。一方、炭化珪素ナノ粒子の割合が15質量%よりも大きいと、炭化珪素ナノ粒子が珪素ナノ粒子の割合に効果の増加が望めず逆に複合体の容量低下の恐れがあるためである。
珪素ナノ粒子に対する炭化珪素ナノ粒子の割合は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。これは次の理由による。0.1質量%未満の場合、珪素と炭化珪素の接触が不十分になり導電性向上に寄与しない。50質量%よりも大きい場合、導電性向上よりも、複合体の容量低下の恐れが大きくなるためである。
なお、炭化珪素ナノ粒子の質量%と、酸化珪素の質量%と、珪素ナノ粒子の質量%との検出は、例えば、次の手法によって検出できる。
炭化珪素ナノ粒子の質量%は、複合体にフッ硝酸を加え、酸化珪素と、珪素ナノ粒子とを溶解するとともに、蒸発乾固することによって、残留物となる炭化珪素ナノ粒子の定量を測定する。また、測定結果の質量と複合体の質量とに基づいて、炭化珪素ナノ粒子の質量%を算出することができる。
酸化珪素の質量%は、複合体にフッ酸を加え、酸化珪素を溶解するとともに、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析法)を用いて、溶解した酸化珪素の定量を測定する。この測定結果の定量に基づいて、酸化珪素の質量%を算出することができる。
珪素ナノ粒子の質量%は、複合体全体から、上述して求めた炭化珪素ナノ粒子の質量%及び酸化珪素の質量%を差し引くことで算出することができる。
また、複合体の比表面積が、70m2/g以上であることが好ましい。これは、次の理由による。比表面積が70m2/g未満であると、充放電時の界面抵抗が大きく、電池として大電流を充電ないし放電することが困難になってしまう恐れがあるからである。比表面積の測定方法としては、BET法などを適用できる。
なお、窒素が炭化珪素ナノ粒子にドープされていてもよい。この場合、複合体の導電性を一層高めることができる。
(作用及び効果)
本実施形態に係る負極材の製造方法では、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程と、前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程とを有する。また、珪素源及び炭素源の少なくとも一方は、液状である。
本実施形態に係る負極材の製造方法では、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程と、前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程とを有する。また、珪素源及び炭素源の少なくとも一方は、液状である。
ここで、かかる前駆体の生成に用いられる混合物に含まれる珪素源及び炭素源の少なくとも一方が、液状であるため、前駆体の内部では、SiO2及びCが、分子レベルで均一に分散している。
かかる前駆体を加熱することによって生成されるガスを急冷して得た複合体は、珪素ナノ粒子Siと炭化珪素ナノ粒子SiCとが、酸化珪素SiOx中に分散した構造とすることができる。
また、かかる複合体の抵抗値を、三菱アナリテック製抵抗率計を用いて、4探針法にて測定した結果、上記複合体の抵抗値は、3×10^4Ω・cmであり、珪素と酸化珪素との複合体の抵抗値5×10^6Ω・cmよりも、小さいことが確認された。すなわち、複合体は、珪素ナノ粒子に加え、炭化珪素ナノ粒子が酸化珪素中に分散した構造とすることによって、導電性が高まることが確認された。
これは、炭化珪素ナノ粒子の導電性が、珪素ナノ粒子と酸化珪素との導電性に比べて高いため、複合体の内部に導電パスが形成されているものと考える。つまり、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが酸化珪素中に分散した構造の複合体では、複合体全体の体積抵抗(バルク抵抗)が抑制され、導電性が高められている。
また、本実施形態に係る負極材では、N型ドーパントとして、窒素Nが珪素ナノ粒子にドープされているので、導電性を更に向上させることができる。このように導電性を向上させることによって、珪素ナノ粒子がリチウムイオンを吸収・放出を円滑に行うことが可能になる。すなわち、本実施形態に係る負極材は、放電時の放電レート特性を向上させることができる。
ここで、導電性を高めるための複合体の構成としては、一例として、珪素ナノ粒子の界面に炭化珪素ナノ粒子を被覆する構成なども考えられる。しかし、かかる場合、珪素ナノ粒子が微細化(劣化)すると、導電性を高める効果が著しく低下する可能性がある。すなわち、本実施形態のように、複合体において、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とが酸化珪素中に分散した構造の方が、導電性を維持する上でも好ましい構成と考えられる。
また、本実施形態に係る負極材では、従来技術のように複合体の表面に炭素層などの導電膜が形成されていない。つまり、本実施形態に係る負極材は、導電膜を形成する工程を必要としないため、従来の製造方法と比べて製造工程の簡略化を図ることが可能になる。
このように、本実施形態に係る製造方法によれば、製造工程の簡略化を図りつつ、導電性を高めることによって、放電レート特性を向上させた非水電解質二次電池用負極材を製造することができる。
また、本実施形態に係る負極材では、導電性を向上させることによって、珪素ナノ粒子がリチウムイオンを吸収・放出を円滑に行うことが可能になるので、珪素ナノ粒子の膨張・収縮の劣化によるサイクル特性の低下についても抑制できる。
更に、炭化珪素ナノ粒子は、充放電時に膨張・収縮を行わないため、炭化珪素ナノ粒子が分散配置されていることによって、複合体の構造安定性が大幅に向上している。すなわち、本実施形態に係る負極材によれば、充放電に対するサイクル特性を向上させることも可能になる。
[変更例]
上述した実施形態では、珪素源と炭素源とを含む混合物を生成する際に、N型ドーパント又はP型ドーパントとして作用する酸水溶液を硬化剤に用いることで、珪素ナノ粒子にドープする場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、炭素源にN型ドーパント又はP型ドーパントとして作用する元素を含むものを用いてもよい。例えば、炭素源に窒素Nを含む尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂を用いてもよい。
上述した実施形態では、珪素源と炭素源とを含む混合物を生成する際に、N型ドーパント又はP型ドーパントとして作用する酸水溶液を硬化剤に用いることで、珪素ナノ粒子にドープする場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、炭素源にN型ドーパント又はP型ドーパントとして作用する元素を含むものを用いてもよい。例えば、炭素源に窒素Nを含む尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂を用いてもよい。
このような場合にも、N型ドーパント又はP型ドーパントを珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とにドープすることができるため、複合体の導電性を一層向上させることが可能になる。
[実施例]
次に、本発明の効果を更に明確にするために、実施例に係る負極と比較例に係る負極との放電レート特性を比較した。
次に、本発明の効果を更に明確にするために、実施例に係る負極と比較例に係る負極との放電レート特性を比較した。
実施例1に係る負極には、本発明の負極材を用いた。具体的に、珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子と酸化珪素とを含む複合体を有する負極材を用いた。
また、複合体中の酸化ケイ素をフッ酸により溶解し、フッ酸に不溶な珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子について電子顕微鏡観察を実施した。複合体を透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した写真から、任意に選んだ200個の珪素ナノ粒子と炭化珪素ナノ粒子とのそれぞれについて、粒子の粒径を測定したところ、珪素ナノ粒子の平均粒径は、61nmであり、炭化珪素ナノ粒子の平均粒径は、25nmであった。
実施例2に係る負極にも、本発明の負極材を用いたが、実施例1に係る負極材とは、粒子の粒径が異なるものを用いた。なお、実施例1乃至2に係る負極の負極材は、いずれもドーパントとして、窒素が含められているものを用いた。実施例1乃至2に係る負極の負極材における粒子の粒径及び他の構成は、表1に示すとおりである。
また、本発明の複合体に、結着剤としてのポリイミド(PI)19質量%と、導電補助材としてのアセチレンブラック(AB)6質量%と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)300質量%とを混合することによって負極材スラリーを作製した。また、集電体として準備した厚さ18μmの銅箔に負極材スラリーを塗布・乾燥し、ポンチを用いて直径φ16mmの形状に打ち抜きだすとともに、ハンドプレスしたものを実施例1乃至2に係る負極として作製した。
比較例1乃至2に係る負極は、珪素ナノ粒子が酸化珪素中に分散した構造の複合体を負極活物質として用いた。すなわち、炭化珪素ナノ粒子が含まれていないものを用いた。また、比較例1乃至2に係る負極材のいずれもドーパントとして、窒素が含められていないものを用いた。比較例1乃至2に係る負極の構成は、かかる点を除き、他の構成は実施例1乃至2に係る負極と同様に作製したものである。なお、比較例1乃至2に係る負極の負極材において、珪素ナノ粒子の粒径及び他の構成は、表1に示すとおりである。また、LECO社製酸素窒素分析装置を用いて、比較例1乃至2に係る負極の負極材を測定したところ、0%近傍のごく微量の空気中の窒素が検出されたが、空気中の窒素であるため、表1に示すように0%としている。
また、実施例1乃至2及び比較例1乃至2に係る負極を用いて、それぞれのハーフセルを作製した。具体的に、実施例1及び比較例1乃至6に係る負極を作用極として、対極(正極)に厚さ0.5mm、直径φ16mmのLi金属を用いた。負極と正極との間には、セパレータとしてφ19mmのセルガード(#2400)を配置するとともに、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC);3/7(体積比)の非水系溶剤に1MLiPF6を添加した非電解液を注入して、ハーフセルを作製した。
試験方法としては、実施例1乃至2及び比較例1に係る負極を用いて作製したハーフセル(以下、単に実施例1乃至2及び比較例1乃至2と示す)の充放電を実施した。
1サイクルあたりにおいて、実施例1乃至2及び比較例1乃至2のそれぞれへの充電は、0.1Cに相当する電流で定電流充電を行い、0.05Vから電流値が設定の1/10になるまで定電圧充電を行った。
また、1サイクルあたりにおいて、実施例1乃至2及び比較例1乃至2のそれぞれからの放電は、0.1Cに相当する電流で0.05Vから1.5Vになるまで実施した。
ここで、3サイクル目において、0.1Cに相当する電流で定電流定電圧充電を実施後、1C、3C、5Cのそれぞれに相当する電流で、1.5Vまで放電した際の放電容量を測定した。また、放電レート特性の評価として、この測定結果と初回の放電容量との放電容量維持率を用いた。
一方、サイクル特性の評価も行った。サイクル特性評価では、初回の放電容量と、300サイクル目の放電容量の比率を容量維持率として評価した。
なお、放電容量は、各ハーフセルから放電される電圧が1.5Vを切った時点における放電容量を測定した。
表1に示すように、実施例1乃至2の放電レート特性は、比較例1乃至2の放電レート特性に比べ、優れていることが証明された。
更に、実施例1乃至2の容量維持率は、比較例1乃至2の容量維持率に比べ、優れていることが証明された。すなわち、実施例1乃至2のサイクル特性は、比較例1乃至2のサイクル特性に比べ、優れていることについても証明された。
[その他の実施形態]
上述した実施形態において、本発明の負極材は、リチウムイオン二次電池に適用可能である旨を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明の負極材は、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、キャパシタなどにも適用することが可能である。
上述した実施形態において、本発明の負極材は、リチウムイオン二次電池に適用可能である旨を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明の負極材は、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、キャパシタなどにも適用することが可能である。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
10…チャンバー、20A…加熱領域、100…高周波誘導熱プラズマ装置、100A…トーチ、100B…円筒部材、100C…ガスリング、100D…誘導コイル、100E…上部フランジ、100E…部フランジ、100F…下部フランジ、100G…ネジ、100H…支持棒、100I…高電圧発生装置、100J…出口通路、100K…入口通路、100L…プローブ、100M…供給通路、100N…入口、100O…出口、100P…通路、100Q…チャンバー、H…プローブ中心孔、Q…パイプ
Claims (5)
- 非水電解質二次電池用負極材の製造方法であって、
非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱する工程Aと、
非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得する工程Bとを有し、
前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状である
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極材の製造方法。 - 前記珪素源及び前記炭素源を含む前記混合物は、酸水溶液を更に含み、
前記珪素源と前記炭素源と前記酸水溶液とのいずれかに、周期律表13族の元素と周期律表15族の元素とに含まれる少なくとも1種の元素を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。 - 前記炭素源は、窒素原子を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。 - 前記工程Aにおいて、前記加熱手段として、熱プラズマ、抵抗加熱装置、レーザ加熱装置或いはアークプラズマを用いて、前記前駆体を加熱する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。 - 非水電解質二次電池用負極材の製造装置であって、
非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、珪素源及び炭素源を含む混合物を乾燥することによって得られた前駆体を加熱するように構成されている加熱手段と、
非炭素物質によって形成された領域内で、不活性雰囲気下において、前記前駆体を加熱することによって生成されたガスを急冷して得られる複合体を、非水電解質二次電池用負極材として取得するように構成されている急冷手段とを具備し、
前記珪素源及び前記炭素源の少なくとも一方は、液状である
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極材の製造装置。
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CN111799449A (zh) * | 2019-04-05 | 2020-10-20 | Hpk有限公司 | 复合负极材料的制备方法及用于锂二次电池的复合负极材料 |
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-
2012
- 2012-02-17 JP JP2012033083A patent/JP2013171628A/ja active Pending
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